MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『フレンチ・ディスパッチザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』

2022-02-24 00:46:01 | goo映画レビュー

原題:『The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun』
監督:ウェス・アンダーソン
脚本:ウェス・アンダーソン
撮影:ロバート・D・イェ―マン
出演:ベニチオ・デル・トロ/エイドリアン・ブロディ/ティルダ・スウィントン/レア・セドゥ/ビル・マーレイ
2021年/アメリカ

画面内の情報の濃密さについて

 論じることが難しい作品なのだが、印象的なエピソードを取りあげてみる。「警察署長の食事室(The Private Dining Room of the Police Commissioner)」においてフード・ジャーナリストのローバック・ライトがアンニュイ警察署長の息子のギギが誘拐された件に関してトークショーで話している。
 興味深い点としてライトは天才シェフのネスカフィエの逸話を記事から除外したことを挙げたい。ネスカフィエは誘拐犯の食事に毒を盛ることで事件を解決に導くのであるが、毒見をしたネスカフィエも死にかけるものの、辛うじて死なずに済むのである。その時、ネスカフィエはその毒を盛った料理の美味に感動したというのであるが、ライトはこの逸話を記事にせずに捨ててしまうのである。
 この演出意図を勘案するならば、ウェス・アンダーソン監督は「感動的な話」で「動きを止める」よりも雑誌に載るような「小話」を詰め込んだものが好きで、スタンダードサイズの画面に多量に情報と人員を導入して絶えず画面内に動きをつけたいのだと思うのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-106985


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