2007年7月25日第1刷、定価600円(税込み)
時代劇で切られ役に徹した役者さんの名を知ったのは数年前だった。鋭い目付きの浪人にほとんど台詞はなく、派手に死んでゆくことのみが要求される。そんな主役を立てる地味な役者が私は好きだ。
この本では下積みから東映退社までの流れが詳しく書かれてあって面白い。「ラストサムライ」出演のくだりに大きくページを割いている。
ファンクラブの会長が作ったという出演作品おすすめリストが見事だ。私が最近見た中での傑作は新・はんなり菊太郎の第8話「おかえり菊さん」である。
菊太郎との激しい斬り合いの末、説得に応じ刀を捨ててお縄になる。台詞こそ短かったが、すご腕の浪人の悲哀とさり気ない優しさを上手に表現していた。
