JR両国駅から江戸東京博物館に向かう。11月18日まで漱石に関する特別展が行なわれている。文学好きと見受けられる女性が多い。
東北大学附属図書館が所有している資料は初めて見るものばかりで非常に貴重だ。大学予備門(旧制第一高等中学校の前身)時代の成績表、英国から持ち帰った莫大な書物、「道草」草稿などファンにはたまらない内容だろう。
中でも正岡子規がロンドンの漱石に出した最後の手紙は胸を打つ。子規との再会は叶わなかった。帰国直前に友の死を知った漱石は高浜虚子宛の手紙に「…只々気の毒と申より外なく候。但し、かゝる病苦になやみ候よりも早く往生致す方或は本人の幸福かと存候。…」と書いている。
漱石は1916(大正5)年12月9日に病没した。展示室の出口付近にそのデスマスクが置かれている。