寮管理人の呟き

偏屈な管理人が感じたことをストレートに表現する場所です。

道越町の婆さんと話し込む(その2)

2011年12月12日 | 
「以前石標はお玉小路(坂)を上った所にあった」と婆さんは植え込みの辺りを指差しながら教えてくれた。ここもかつては格子戸の家(鞆町鞆643)だったそうだ。私は更に質問した。

「三浦正幸さんは遊廓案内所という表現を使ってますが、ここでどういうことをしようたんですか」

「先生が言うとるんは番所のことよ。遊女が逃げんようにそこで男が見張っとったんじゃ」

「つまり吉原の大門みたいな感じか…」

「そう言うことになるかな」

遊廓地を示す石標は他にも(もう一つ太いのが)あったと思われる。村上正名さんの著作『福山散策』には興味深い記述があるのだ。

…朝鮮使節の宿舎となった福禅寺対潮楼の丘をつなぐ海岸の州の上に形成された旧遊郭地の家並みが最近までよく残っていた。ここにも軒の低い格子戸をめぐらした二階屋が建ち並んでいたが、すでにその大半は建てかえられ、道路に切られ「これより遊郭地」と刻み込まれた石標もいずれかに持ち去られ、いまは見る影もなくなっている。

『福山散策 ‐その史跡をたずねて‐ / 村上正名(昭和51年 佐々木印刷)』

鞆町遊廓跡地の調査が終わったのでがらりと話題を変えた。

「私が鞆を訪れた本当の目的は埋め立て・架橋問題について地元の人の生の声を聞くことなんですよ。お母さんはどう思われますか」

「うちは反対派。大きな声じゃ言えんがのー。実は道越町も意見は真っ二つに割れとる」

老婆は水を得た魚のようにしゃきっとして語り始めた。これまでに溜まった鬱憤を一気に吐き出す彼女を前にして私は聞き手に回った。

『鞆の浦を歩く / 三浦正幸(南々社)』

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おでん種に加えたい牛スジ肉

2011年12月12日 | 食材
西日本ではおでん種としてスジ肉が入るのが普通である。アキレスのことをスジと言う店もあるが、私が使うのは赤い肉の方だ。

スーパーでは国産品に100グラム当たり120円程度の値がついている。牛スジ肉は下処理が必要だが、手間をかけてもよいと思えるほどいい味を出す。

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