青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

貨物が元気な駅

2012年08月23日 23時00分00秒 | 三岐鉄道・北勢線

(小野田のホキとセメントキルン@東藤原駅前)

丹生川での撮影を終え、三岐セメント貨物の拠点である東藤原の駅までやって来ました。
丹生川より先は、若干山深くなった沿線の森の中を走って行く三岐線。暑いは暑いんだけど、心なしか丹生川に比べると涼しいような気もしますね。駅前には小野田時代のホキが置かれてたり、駅舎の中には今まで活躍した私有貨車のアルバムが飾られていたりと貨物ファンにはたまんない駅だと思います(笑)。

 

駅前には代行バスが停車中。
本当なら東藤原から西野尻を経て西藤原駅まで三岐鉄道線は続いているんだけど、この駅の西野尻方のポイントで電気機関車が連発で脱線事故を起こしたため、事故調査と原因究明が済むまで東藤原~西藤原はバス代行となっちゃってる状態。奥にセメント工場に繋がる引き込み線があるので、問題のポイントは撤去された上で仮復旧はしております。ただ、この状態では東藤原での交換が出来ないので、電車のダイヤが組めず代行バスになっちゃうんだな。元々末端の閑散区間だからバス代行でも賄えるんでしょうが…改札を出る際に「バスに乗られます?」と駅員さんにご丁寧に聞かれましたけど、今回は貨物メインですからね。ここが目的地。また復旧したら西藤原まで行こうと思います(来るのか)。


さて、この東藤原駅は太平洋セメント藤原工場に隣接するまさにお膝元。藤原岳で採掘された石灰石が、工場でセメントやら何やらに加工されてここから出荷されて行きます。南北に伸びた構内にはタキ1900とED45。工場のキルンの煙突がスペースシャトルの発射台みたいだな。プラント萌えの方にもたまらない駅かもしんないな(笑)。


一通り駅の周辺を眺めていると、富田からのセメント返空便が到着。
返空つーのは荷物を降ろして文字通り空になった貨車を、荷受け駅に向けて送り返す回送便の事ですが、反対に積み荷を持って走るのは積載とか積車とか言いますね。貨物業界の用語なんでしょうが、特にセメントとか石油みたいな一方通行の荷動きをするものにしか使われないような。最近全盛のコンテナだと、行きも帰りも何らかの荷物を積んで走るからなあ。鉄道輸送ってのは同品目&同目的地&大量輸送だと一番効果があるものですが、セメントなんかまさにピッタリの荷物なんだろうねえ。

  

そうこうしているうちに係員さんがワラワラと持ち場に散って、到着後の入れ換え作業開始。
基本作業は富田の駅とあまり変わりません。機関車を解放し、側線から機回し線に向かって行くED。重連総括制御だけに前進後退を頻発する入れ換え作業では、デッキに乗った見張り員さんの役割は重要。機回し線から到着した貨物の後側に機関車が回り込み、セメントタキに再び荷物を積み込むためここからはタキを先頭にした推進運転で工場へ押し込んで行きます。

  

押し込み完了後は再び機関車はホームの位置まで戻って今度は出発線でスタンバってる積載のタキを取りに行き、出発信号の手前まで持って行って作業終了。あとはダイヤ通りにまた四日市港へ向けて出発を待つばかり。


構内をせかせかと動き回るEDの吊り掛け音、係員さんの合図に応えるホイッスル、タキを動かすたびに鳴る連結器の衝撃音、ポイントを渡るジョイント音と様々な音が賑やかに聞こえる東藤原の駅。あちこちと位置を変え動き回る電機と貨物の動きはパズル的に楽しく、子供の頃PC8801でやってた「倉庫番」っつーゲームを思い出した(笑)。

三岐鉄道東藤原駅は、貨物が元気な駅です。
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狂おしいほど、夏

2012年08月22日 06時24分12秒 | 三岐鉄道・北勢線

(クジラがおるで@三岐鉄道線近鉄富田駅)

関西本線の踏切からぽくぽくと富田の街を歩いて、三岐鉄道電車の始発駅である近鉄富田の駅にやって来ました。JR側はともかく、一応乗換駅ですし駅前周りはそこそこ栄えてるのかなと思いきや何だか区画整理もされてない古い街なんですね富田。時代を感じる旧家が街道沿いにあって、その間に個人商店と銀行がパラパラとある程度。駅前にコンビニ一つありゃしないってのは…白子の駅前ってあれはあれで栄えてたんだなあとつまらぬ感想を抱く(笑)。つーか富田と言えば私的には「トミダノ股割レ」なんですけど、そう言う話はやっぱこの辺りではタブーなんでしょうか…話すと長くなるんで、詳細はググるがよろし。近年新しく改築されたらしい近鉄富田駅、クジラの形を模してるようだがなぜクジラかは不明(笑)。この駅東西に入口はありますけど、西口にしか三岐鉄道の窓口はないのでお気を付け下さいな。ここで一日1,000円の三岐鉄道全線フリーパスを購入しましたが、これ一枚で三岐線と北勢線のどちらも乗り放題と言うかな~りお得なキップです。


何だか天気は一気に回復し、絞れば水が出るような空気の蒸し暑さ。ホームでベンチに座って待っていると程なく折り返しの東藤原行きが到着。車両は三多摩地区の皆さんにはお馴染みの元・西武701系でございます。最近の地方私鉄と言えばどこへ行っても東急車が幅を効かせまくりですけど、三岐鉄道はかなり長い事西武の中古を入れてますね。資本的にはあまり西武とは関係ないとは思うのですけど…鈴鹿山地を越えた近江鉄道は明確に西武系列の会社ですが。

 

西武の701系の三両編成、ほど良くクーラーの効いたガラガラな車内、ロングシートに座れば雰囲気的には西武国分寺線とか多摩湖線とか多摩川線とかあの辺りの感じ(笑)。自分としては西武線って西武球場に行く時にしか使わなかったから、何だか懐かしいよね。まだ車内の壁には「西武所沢車輛工場」のプレートが残っていて、目を閉じて耳を澄ませば聞こえて来るシゲル・マツザキの歌声(ねえよw)。電車は定刻、3割くらいのお客を乗せて近鉄富田を発車。市街地を走る大矢知、平津、暁学園前、山城で3割の半分くらいの客が消え、車両区のある保々で乗務員が交替し、朝明川を渡ると沿線に緑が濃くなり北勢中央公園口。梅戸井からは田園地帯を走って大安、三里と電車は旧員弁郡(現いなべ市)を藤原岳に向かって北上して行きます。


最初の目的地である丹生川で下車。
丹生川~三里の間の田園地帯は三岐鉄道随一の撮影スポット。だいたいウェブで探すとこの辺りで撮られた写真が多いんで、まずは定番でいっちょセメント貨物を抑えてみようっちゅう訳です。さっき車窓から見て撮る場所の当たりは付けたしね。この駅にはボランティアが整備した「貨物鉄道博物館」と言うものがあるのですが、今日は開館日ではないらしい。


駅前の路地を抜けて田園地帯へ。…天気回復しすぎ(笑)。
今日は徒歩鉄なんで大きなスリックの三脚とレンズの入ったカメラバッグ担いでるんだけど、こんな炎天下の中を歩いたらマジで5分で死ねるレベル。ずーっと向こうに農道が線路をオーバーパスするのが見えっけど、あの辺りだよな…と思いながら歩く事15分、撮影地に到着してさっそくアングルを決めていると、乗って来た電車の次の下りがやって来た。


どーよ、この狂おしいくらいの夏(笑)。
発狂しそうなくらいの炎天下、これアメリカ人なら間違いなく車のボンネットの上でBBQを開始するに違いねえなちくしょうめwオーリ持って来いオーリ!(古い)と叫びたくなるのを堪えてファインダーを覗けば、あくまでも緑一色役満確定のどこまでも続く稲田、藤原岳の向こうから沸き立つ白雲。そんなハイコントラストな風景の中を、負けじとハイコントラストな三岐カラーの電車が駆けて行く。


自分が丹生川まで乗って来た西武701系が戻って来たので、今度は藤原岳を手前に引きつけて一枚。
三岐鉄道は当時の小野田セメントがこの藤原岳から産出される石灰石を輸送するために昭和6年に敷設された鉄道なんだけど、北九州の香春岳とか、秋吉台とか、秩父の武甲山とか、日本って鉱物資源に恵まれない国ではあるけど石灰石だけは結構豊富な埋蔵量があるんだよね。削られた山肌がちょっと痛々しいが、藤原岳は文字通り身を削って国土の整備振興に役立って来た山だと言えるのかもしれませぬ。


そしてお待ちかね、東藤原発四日市港行きの重連セメント専貨がタキ1900を連ねて山を下りて行きます。
茶色のD級電機ED45は常時重連で運用に就いておりますが、荷物満載だと一編成でセメント約600トンを牽引する能力を持っているらしい。見た目がちょっと小柄なんでそんなパワーがあるように見えないんだけどね。測った訳じゃないけど、秩父のデキよりちょっと小柄かなあ。ちなみに元々秩父鉄道は秩父セメント系列、三岐は元小野田セメント系列だったんだけど、何年か前に秩父+小野田+日本セメント=太平洋セメントとなりましたので、現在は親会社が同じになってるんですねえ。

太平洋セメントって会社は日本最大のセメント会社ですけど、岩手じゃ大船渡で岩手開発鉄道を、埼玉では秩父で秩父鉄道を、そしてここ三重では三岐鉄道を、それぞれセメントや石灰石の輸送を鉄道を基軸として運営している会社な訳です。
なんて趣味人にやさしい会社なんだろw
足を向けて寝られませんわあ。
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恍惚と陶酔のデーデー

2012年08月21日 22時42分20秒 | 三岐鉄道・北勢線

(画像:関西本線富田駅)

今回の三岐行でとにかく日焼けしちゃったんで帰ってから体がほてってほてってたまらんのだけど、ぼちぼちとレポを開始してみたいと思います。やる気のあるうちにやらないとやらなくなっちゃいそうなんで(笑)。始発で家を出て小田原から新幹線に乗って名古屋までやって来ましたが、お盆の最終日の下り&早朝のひかりって事で自由席もガラガラでしたねえ。小田原駅の乗換口で新幹線のキップ買おうとしたら窓口の姉ちゃん居眠りこいてたしw名古屋からは関西本線の区間快速で富田へ向かいましたが、区間快速とはいえ各駅で対向列車の交換待ちをするので実質各駅停車と変わらん(笑)。八田とか春田とかで対向待ちしている間に並走する近鉄電車がスイスイ抜いて行く。名古屋から弥富のあたりまで単線なのもツライなあ…まあ名古屋地区でも関西本線は一番テコ入れされてなくて、今でこそ電車になってるけどボロボロの気動車繋げてヨタヨタ走らせてた時代が長かったからねえ。四日市の間は近鉄が圧勝なのも分かる気がするわあ。


富田駅全景。三岐鉄道線は電車は近鉄富田に行くけれど、貨物はJRとの接続のために富田駅に入ります。元々は電車も国鉄の富田駅と接続してたんだけど、みんな名古屋だ四日市だ行くのに近鉄に乗り換えるもんだから結局三岐電車は近鉄富田駅までレールを引っ張ってそっちへ行ってしまうようになったらしい。どんだけ頼りにならないんだ関西本線(笑)。ちなみに両者の位置関係としてはこんな感じ。のんびり歩いて7~8分だったからJRの稲田堤から京王稲田堤へ乗り換えるくらいの感じか。写真の真ん中にあるホームが国鉄と接続してた時代の三岐線ホームの名残。


と言う訳で、そんな歴史の経緯もあり三岐鉄道の本社は当初の始発駅だったJR富田駅の東口にあります。つーか切符渡そうとしたら富田駅って無人駅なのね…それなりに利用者いそうなんだけど、そこまで合理化するかJR東海よ。まーこの駅の主要目的は今や三岐鉄道とJRの間の貨物の受け渡しなんだろうねえ。今日の目的の第一は乗り鉄もそうなんだけど三岐の貨物を見る事なんで、その辺りも踏まえてわざわざ関西本線でJR富田まで来た訳なんですがね。


事前に調べた時刻では、そろそろ三岐鉄道からセメント貨物(3712レ)がやって来てJR側との受け渡し作業をやるはず…と駅の周りをウロウロしていると、電気機関車の独特の吊り掛け音が聞こえて来た。ダッシュで跨線橋を上がり窓枠から身を乗り出してカメラを構える。おお~これがウワサの三岐の重連セメント専貨かあ!(感動)秩父でも専貨は見てるけどあちらの鉱石専貨とはまた違った迫力だあねえ!(興奮)黒タキの連なるズラズラ感って~の?これぞ編成美って感じでたまんないよねえ!(恍惚)隣のDD51がまさにリレー走者のごとくバトンを待ってるのがまたいいよねえ…(陶酔)とか心の中でひとりごちてたら、跨線橋を渡って来た若いねーちゃんが怪訝顔。今のひとりヲタ心を読まれたみたいに思えて、ちょいと恥ずかしかった。ナイーブヲタですいません(笑)。写真的には完全に架線設備が顔にかかって失敗作なのもすいませんw

 

セメント専貨はJR富田駅旧三岐ホームに到着するやいなや、素早く機関車を解放し引き上げ線へ。替わってここから四日市港のサイロまでセメタキをエスコートするのが愛知機関区のDD51、機回し側線から安全側線へ動かして地上の係員さんがポイント転換、クルリと回る転てつ機の矢羽根。デッキに掴まった誘導員さんが合図をするとデーデーが短笛をピョーと鳴らし、ズォォ~ンとエンジンを震わせてセメタキの元へ。



停止、発進、そろそろと…ガッチャン。


組成完了。
到着から機回し付け替えまで、ものの10分程度の極めてテキパキとした作業にまた感動(笑)。
冷静に考えればここで毎日何回もやってる事なんだからそんな感動して本気汁垂れ流さなくてもええやん兄ちゃん?と言われちゃいそうだけど、いや~今日び関東でこんな事日常でやってたらどんだけヲタ来るか分かんないレアな風景じゃないかなあと。10年くらい前なら鹿島貨物とか八高線の高麗川セメント専貨とかあったけど、こと東日本にはデーデーが貨物引くってシチュエーション自体もうありませんからねえ。東日本大震災絡みでデーデーのガソリン臨貨が磐越西線を走ったけど、あん時のヲタの集結っぷりを見ればそのレアぶりが分かろうと言うもんだ。まあ理由が理由だけに複雑な思いではあったけど、老雄デーデーが被災地へ燃料を届けに磐越西線で山越えの奮闘を繰り返すと言う姿は確かに胸に迫るものがあったねえ…そして一枚でも記録したいと言うヲタ心も分かるんでね。


ともあれ、DD51はカッコイイですよ。
ベンガラ色を基調とした大柄の図体に機関士が乗り込むセンターキャブ、動輪脇に付けられた空転防止用の砂箱、旧型電機を思わせるデッキに四角のライト、上から見ればジェットエンジンを思わせる巨大な冷却ファン。どれを撮っても非電化の王者らしい風格じゃござんせんか!組成が完了して地上部隊の作業員さんは撤退、おそらくクーラーはそんなに効かないであろうキャブに機関士が乗り込み、デーデーのアイドリング音が響いて来た。出発時刻が近付いてるようなので、出来れば一発どっかで走行中のお姿も収めたいところ。とはいえ本日は徒歩鉄なんで行動半径も限られる。とりあえず富田駅の東口から線路沿いに歩いてみると、四日市に向かって右カーブの先にちょっと良さげな踏切があったのでここで構えてみる事にする。


名古屋行きの普通列車をやり過ごし、DD51セメント専用貨物(5363レ)が富田を発車。踏切の右カーブをアウト側からやっつけてみる。このDD51・857号機は愛知機関区の標準的な塗色である裾がグレーのJR貨物更新色。贅沢を言えば国鉄時代からの原色デーデーが良かったんだけど、それでも轟音のようなグワァァァァ~!と言うディーゼルエンジンのエグゾーストノートを響かせ、紫煙をくゆらせながらガッションガッションとタキを引いて行くその姿や力強し!オトーサン正直この30分くらいでお腹一杯ですよまったくw

DD51とホキの姿が見えなくなるまで見送って、揚々と近鉄富田の駅に向かって歩く事にしましょう。
次回へ続く。
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ぼくのなつやすみ

2012年08月19日 21時32分28秒 | 三岐鉄道・北勢線

(3716列車・出発線入場@東藤原駅)

昨日嫁さんにフリーパスを貰ったあげく、どのように行動するか熟慮の末行き着いた結論は私鉄貨物の西の雄、三岐鉄道への訪問。始発で出て来て新幹線に乗って名古屋までひとっ飛び、帰りも最終のひかりでこれを書いてるんだけど、一日だからこそ濃密に濃密に遊んで参りました(笑)。

朝方は積乱雲に覆われて名古屋市内は強い雨が降ってたんで新幹線降りた時はどうかなあ~って思ったんだけど、三岐鉄道の始点である富田駅に到着した頃からはみるみる回復(笑)。晴れ男とも思わないけど、たまにゃこう言うツキもあってもよかんべって思ってたら最終的には終日ほぼピーカンのカンカン照り。一日で消費したペットボトル10本近く、飲んでも飲んでもダダ漏れに近い全身の汗。ひたすら照らされた体は恐ろしいくらい日焼けしてしまい、明日説明するのがめんどくさいレベルになっちまったwお盆休みは明けているとは言え日曜日、基本的には日曜でも貨物は動いているとの情報は手に入れていたものの、行ってウヤばっかだったらやだなあ…ってのが一番の危惧だったんだけど、なんてこたあない臨貨のスジまで動いていてセメント編成はほぼフル稼働。この路線の荷主であり親会社でもある太平洋セメント、何気に調子いいんかねえ?

拠点である東藤原駅構内では、広い側線を元気に動く貨物の姿をたっぷり堪能。
途中からは旧知の地元民(笑)の参戦もあり、旧交を暖めつつ周り回った三岐鉄道のお話は、またアホみたいに写真撮ってしまったんで整理しつつ明日以降順次。
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