(この冬の雪の多さよ@津軽大沢駅)
車両区があり、大鰐線の運転の要衝である津軽大沢の駅。ただし、駅は羽州街道の外れの小さな集落にあって、利用する人は少ないのか、駅員自体は無配置の駅です(車両区や饋電、保線関係の要員は配置されている)。駅の周りには住宅よりも新しい老健施設の大きな建物が目立っていて、雪をかぶった年季のある民家との対比は、なんとも東北の都市農村部の人口動態を表しているようで切ないものがあります。除雪用のスノーダンプの置かれた駅舎の入口。この冬の津軽の雪の多さは、過去の半世紀を見ても比べるものがないほどのもので、2月23日には弘前市の積雪深が160cmを記録したようです。これは1982年(昭和57年)の観測史上最大の記録なんだとか・・・この時すでに、駅舎の上の駅名看板が雪の重みのせいなのかひしゃげてしまっていた。この冬に起こったことなのかは分からないけど、駅の看板くらいはせめてちゃんとしておいてほしいものだ。
駅の奥の車両区では、今日の出番のなさそうな7039編成と、その隣にはED221+キ105のコンビ。今シーズンはED221の故障により稼働できず。EDのランボードも雪に埋まっているが、この雪の多いシーズンに活躍が出来ないこと、忸怩たる思いがあるだろう。そしてその奥にいるのが元東急6000系。7000系の一世代前のステンレス車両で、東急車輛としては初の量産型ステンレス車両。僅か2編成ではありますが、朝の快速運用を中心に、一時期は赤帯や青帯を巻いて大鰐線の主力車両として活躍していました。何年か前に予備車運用からも外れたらしく、車両区で撮影会をやって引退。今は錆びないボディを武器に、倉庫代わりになってるみたいですね。現在の弘南鉄道の主役は7000系ですが、その前が6000系で、さらにその前は目蒲線から移籍した全鋼製車の3600系などが使われていましたから、1970年代から半世紀以上に渡って東急OBが活躍する線区です。1970年代は輸送需要も極めて旺盛で、弘南線では1M2Tの3連を2つ繫げた6連が走ることもあったとか。
さて、津軽大沢の駅は「アップルロード」という広域農道が近くを走っていまして、弘前市内方面へ戻りがてら少し寄り道をしてみることに。農道を岩木山方面へ向かって走って行くと、どんどんとその独立峰の山容が眼前に迫って来ます。天気は晴れたり曇ったり。雲の流れが速く、岩木山の山頂も見えたり見えなかったり。津軽大沢の駅からクルマを転がすこと30分くらい、SNSで情報を教えていただいた「三本柳温泉」に来てみました。岩木山に近づくと、弘前市内に比べるとやはり随分と雪深い。建て増しを重ねて横に向かって伸びる建屋と、雪下ろし用のハシゴが屋根に向かって伸びてるのも、いかにも東北の湯治宿然とした佇まい。
広々した館内、外にはマイクロバスまであったりして、近郷近在の湯治場としても繁盛している様子。屈託のない笑顔の老夫婦に迎えられ、湯銭350円を払って向かう浴場。平日の午前中という誰もいない時間に、大浴場を独り占めできるのはなんとも贅沢なことだ。少々ぬるめの薄緑色に濁る土類系炭酸泉は浴場の裏手に湧き、湯船に引き込まれ惜しみなく溢れ出ている。キシキシ感と炭酸味を明瞭に感じる湯、ゆったりと湯船に頭を預けて微睡に至る。あせもなどの皮膚疾患に効能とのことだが、岩木山にお参りを重ねていた村人の夢枕に立った薬師如来が教えた場所に行ってみると、延命地蔵と柳の木が三本立っていて、そこに湧いていた湯であることからこの名前になったのだとか。全国各地の温泉は、1.動物や鳥が湯浴みをしてて見つけたパターン、2.誰かの夢枕に神様や仏様が現れたパターン、3.行基か弘法大師が杖でつついたパターンの三つのうちのどれかだと思っているのだが(大雑把だな)、ここは「2」の夢枕パターンであるらしい。
温泉のあとは、そんな私にも神仏のご加護があることを願って岩木山神社に来てみた。「いわきさん」じゃなくて「いわきやま」神社なのでご注意。それこそ、津軽の民の信仰を一手に集める霊峰・岩木山の麓にある由緒正しき神社。岩木山神社と言えばお山参詣「サイギサイギ」ですよね。神の前で自らの愚行を悔い改め、この呪文のような文言を唱えることで信仰の山と一体化し、五穀豊穣家内安全無病息災を祈るという。ちなみに「サイギ」とは「懺悔」のことです。思い付くだけでもいくつものサイギがある私めが参拝するに相応しい神社と言いましょうか・・・
雪で凍った参道を慎重に踏みしめ、朱塗りの楼門の脇を通って拝殿に至る。参拝をする人の列に並びながら、お山参詣の祝詞を唱えてみる。サイギサイギ(懺悔懺悔)ドッコイサイギ(六根懺悔)オヤマサハツダイ(御山八大)コンゴウドウシャ(金剛道者)イツニナノハイ(一々礼拝)ナムキンミョウチョウライ(南無帰命頂礼)。この祝詞は、りんご娘の「サイギサイギ」という曲を聞いていると自動的に覚えられる。岩木山神社のことを調べていてりんご娘にたどり着くという、そういう学習効果が最近の検索エンジンには備わっている。青森にいる間、レンタカーでずっとFM青森とか青森放送ラジオを聞いていたのだが、彼女たちは地元のロコドルというにはあまりにも浸透し過ぎていて、ラジオ、テレビ番組、CM、リクエスト、自治体、献血、道路公社と何のメディアにも関係なくホントよく出て来るんですよね。特に弘前周辺が圧倒的に強い。一時期新潟行くとそういうイベント系に花を添える役割がNegiccoばっかだった時期があったように思うのだが、そういうローカルアイドルの一番の成功例なのではないだろうか。
テレビを見ていると、青森に来るたびに東京とだいぶ毛色の違うタレントが起用されているように思う。そんな「メディアキャラクターの違い」も地域性か。
あべこうじがこんなに重用されるのって、青森県だけだと思うんだよなあ(笑)。
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