(加積郷刈入時@新宮川~西加積間)
上市から滑川の街に向かって、北陸自動車道を挟んで広い広い田園地帯が続いている。基本的には東へ東へと走って行く地鉄本線が南北に富山平野を突っ切って行く区間なので、晴れていればどう切り取っても光線の回りが良く、好きな撮影地です。確か去年の秋も午前中にこの大きな田んぼ一面に広がる黄金の稲穂を切り取った覚えがあるのだけど、結局今年も再び訪れてしまった。単純かつ平凡な構図ですが、去年に引き続いて実りの秋の加積郷を行く14760形を。加積郷とは、現在の魚津市、滑川市、上市町の一帯(魚津平野・滑川平野)を指す旧地名ですが、富山地鉄の駅には旧国名の「越中」と同様に多数現れる富山県の旧地名の一つ。
今年も豊かな実りを迎えた加積郷の稲穂。富山平野の中でも、この旧加積郷に含まれる地域は屈指の米どころで、田んぼの一つ一つの区画が大きい。非常に大掛かりなスケールの農業を行っている感じがして、建造物も米の貯蔵庫であったり、何らかの穀物のサイロであったりが目立ちます。何の遮るもののない黄金色の絨毯はまさに秋真っ盛りという日本らしい風景で、前日から同じような風景を撮影しちゃってるのは承知の上で似たようなアングルを量産してしまうのであった。実るほど、頭を垂れる稲穂かな。
中加積の駅で、さっき撮影した宇奈月温泉行きの14760形の交換風景を。滑川方面に向かって左カーブした線路がY字に分かれる相対式ホーム、宇奈月行きをだいぶ待たせて電鉄富山行きが顔を出した。前パン側同士の交換シーンだから凛々しさが2割増し、いや3割増しに見える。前面の大型二枚窓、センターピラーを挟んで運転席の反対側に行先を表示する方向幕が付いていますが、地鉄で方向幕を導入したのは14760形が初めての形式なんだとか。それまではお腹の部分の丸看板で行き先を表示するのが普通だったそうで。
14760形のフロントマスクを近影で。横から見ると、東急の7200系「ダイヤモンドカット」ほどではありませんが鼻筋の通った涼しい顔立ち。僅かにくの字に折れ曲がった前面と、左右にも軽く後退角が付けられていて、正面から見た以上にシャープな印象がいや増しになっています。加積郷の朝の光を浴びて輝くその姿、やはり地鉄で一番の美男子ぶりを見せつけてくれる車両だと思いますね。