(雪の常願寺を渡る@本宮~立山間)
本宮で立山行きの快速急行を撮影した後は、折り返しを狙って立山駅方面へ。立山線は、終点の立山に向かって一方的な登り勾配になっている路線ですが、標高350mの本宮から標高470mの立山までは、まさにラストスパートと言う感じで約120mの標高差をゆっくりと登って行きます。真川の鉄橋の手前で先回りが出来たので、立山へ進入する快速急行をサイドから一枚。
雪の立山駅で折り返し準備中の60形。立山線には、代々地鉄の中でも強力なモーターを持つ車両が充当されて来たそうですが、特に冬場は登り坂に加えて積雪もあるので余計に大変かと思います。何年か前に、雪の立山線をラッセルしながら登って来た14720形が、モーターのオーバーヒートで立山駅で火災を起こし廃車になってしまったなんて事もあったくらいで・・・(この立山駅の火災事故で使えなくなってしまった14720形の代替として、17480形の導入となったと記憶しております)。
「冬ダイヤ」期間中は極端に本数が減るので、3面2線のホームは1線が潰され、ハイシーズンでは車両が留置される構内の側線も除雪が行われていません。って事は、冬ダイヤだと有峰口→立山→有峰口が1閉塞(=有峰口より先は1列車しか入れない)になるんですね。必要最低限の機能だけで運用されているのがこの時期の立山線末端部。まあアルペンルートが閉ざされた立山駅に何の用があるのか・・・と言われたら困ってしまうのだけども。
折り返しの電鉄富山行き306レを真川鉄橋の本宮寄りで。ファーストショットと同じ位置だけど、たった一時間で明るさが全然違うな。2月末という時期は冬と春の端境期のような微妙な季節だけども、山の地肌の見え方だとかは確実に春なんだろう。昔の地鉄の写真を見ると、2月末の立山って真冬もいいとこで、もっと雪深かったんだろうと思うのだけど、世界は確実に温暖化していますのでね。
立山大橋から眺める常願寺川の谷。山間を流れる川ながら、その氾濫原の広さに驚いてしまう。常願寺川の上流には、何度も何度も崩壊し大量の土石流を富山平野に流し込んだ立山カルデラがありますが、おそらくはその土石流が狭い谷を削り取って、このような広大な氾濫原が出来上がったのではなかろうかと思う。厚い雪雲に覆われて霞んでいる峻険たる立山の山並み。立山の厳しい自然に対する畏敬心は人々の心に宗教心として植え付けられ、「立山信仰」という山岳信仰を生み出しました。立山の山深く、硫黄の蒸気が吹きすさぶ谷を、人は「立山地獄」と呼んで恐れ、禁忌の山として神聖な扱いをしていたそうです。現世で罪を犯した人は、死ぬとみんな立山地獄に連れて行かれると言われていたそうで、「昔より伝えいう様、日本国の人、罪を造りて多く此の立山の地獄に堕つと云へり」なんて書かれていたのだとか・・・
私は地鉄と言う沼に落ち、不要不急の外出を繰り返してはここ立山に馳せ参じた罪深き人間でもあります。立山大橋から地獄の淵を覗くと、与四兵衛山の麓をぐるりと回って、ファインダーの中で雷鳥カラーの14760形が翔ばたいた。ああ、この車両とならば、地獄に落ちても構わない(笑)。
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