(名車の誉れ・日車の誇り@富山地方鉄道10020形)
湘南二枚窓のスタイリッシュないで立ちで、昭和30年代の高度経済成長期に地方鉄道の花型車両としてデビューしたいわゆる「日車ロマンスカー」と呼ばれる車両たち。長電2000系を筆頭に次々に仲間が引退して行く中、その牙城を最後まで守り続けていた富山地方鉄道の10020形・14020形ですが、とうとうこの度引退が発表されました。平成の世を過ぎて、いよいよ「いつまでも走ると思うな国鉄型と自社発注車(字余り)」という事なのだけれど、とうとう来たかという感じですねえ・・・。そうと決まれば最後に一目でも良いので顔を見たくなるのがマニアの心情。3連休が2回もある9月ですし、期末に向けて有給をどっかで消化する算段もあったので、思い切って金曜日に有給を取って富山まで出かけて来ました。
中央道で松本まで2時間ちょっと。そこからはR158で安房峠を越え、平湯からR471神岡、R41で大沢野を通って富山市街へは3時間。クルマで行くのは3回目だが、何だかんだ富山へは安房トンネル経由が一番距離が短くて速い(但し真っ暗な山道をずーっと走るのが苦にならなければだが)。晴れ予想の天気予報とは裏腹に、思ったほどは天気が良くなかった金曜日の朝。寺田の駅前にクルマを置き、電車に乗って稲荷町の車庫へ。現在の定期仕業は平日の朝に不二越・上滝線を1往復するだけの10020形が、車庫のいつもの所定の位置にて寝起き顔。出区前のコーヒーブレイク。
前面四隅のふっくらと丸みのある優しい表情。オデコや車体の裾に出て来るこの丸みが日車ロマンスカーの特徴の一つ。少し下膨れなその表情、雨の日に紫陽花の葉の上で休んでいるアマガエルのような愛らしさがあって、そこが個人的にも好きだったりする。10020型が昭和39年製造、14720型がちょっと先輩の昭和37年製造。先日の養老鉄道では、同じ50年前のオリンピックイヤーに製造された東急の7700系が第二の人生を送る姿を見て来ましたけど、長命なステンレスとは違ってこちらはどちらも普通の鋼製車。雪国での使用環境も厳しいものがあった事でしょう。褪せる事のない魅力を漂わせながら、2回目の東京オリンピックを前に、別れのご挨拶という事になります。
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