tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ゴールデンウィークは、奈良県立美術館へ!(2015Topic)

2015年05月01日 | お知らせ
いよいよ5/2(土)からは、本格的に大型連休がスタートする。奈良公園へもたくさんの方が来られると思うが、ぜひ「奈良県立美術館」にお立ち寄りいただきたい。同館では特別展「狩野芳崖・横山大観・菱田春草… 奈良礼賛 ~岡倉天心、フェノロサが愛した近代美術と奈良の美~」を開催中で5月24日まで)。

この期間中、NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、1階ギャラリーで、これまでの活動状況の写真展示と、奈良検定クイズ大会(土日祝に1日2回程度)を開催するとともに、1階レクチャールームで無料の講演会(約1時間)を実施している。これらの展示や講演には、無料で参加できる(観覧券はご無用)。明日(5/2)、「十一面観音菩薩と聖林寺」のお話をされる雑賀耕三郎さんは、ご自身のブログ「奈良・桜井の歴史と社会」に、このようにお書きである。


トップとこの写真は、前川光正さんの講演「飛鳥の不思議な石造物」(4/29)

1時間ほどだが、聖林寺と十一面観音菩薩のことをお話しする。聖林寺十一面観音像は、760年頃に東大寺の造仏所で作られたとされる。この十一面観音には兄弟仏があることはよく知られている。京田辺の観音寺である。白洲正子は「十一面観音巡礼」の冒頭を「聖林寺から観音寺」で始めており、その一体性と相似に触れている。いずれも東大寺の造仏所で作られ、共通の見本があったのではといわれている。「十一面陀羅尼と呪」を人格化とした観音が十一面観音であり、経典に形が示されている。


赤いジャンパーが雑賀耕三郎さん。雑賀さんによる長谷寺研修で撮影(2013.3.20)

井上一稔(かずとし)同志社大学教授がかって、帝塚山大学で聖林寺の十一面観音像について講演されている。それによると、「十一面観音を作るには、枯れていない良質できめ細かい白檀を用い、身長は一尺三寸という小像でよいと書かれており、また正面の三面は菩薩面、左側の三面を瞋面とし、右側三面が菩薩面に似ていて牙が上に突出している。また後方の一面は大笑面で、頭上の一面は仏面であるとして、十一面観音の頭上面を規定しています」と紹介しています。

さらにこれらにはモデルがあり、大御輪寺に行く、京田辺にも出るということで、東大寺のなかにもこれらの兄弟仏が残されているという指摘があり、二月堂のご本尊などのお姿が思い起こされる。誰が作らせたか、これも重要で、天武天皇の皇子、長皇子(ながのみこ)の皇子、文室真人智努(ふんやのまひとちぬ)が作らせたとされる。



これら2枚の写真は、石田一雄さんの講演「奈良公園・ならまちの魅力」(4/19)

智努は当時の仏教界の退廃を嘆いて警鐘を鳴らしたことを続日本紀が紹介している。ふざけた僧侶をやめさせよ、悔過作法を真面目につとめさせよと天皇に奏上するのである。懺悔なしには願いを聞いてくれない十一面観音、奈良時代から悔過の本尊として知られていた。聖林寺の十一面観音、作らせた智努の意気込み、怒りが投影されたということだろうか。



和辻(哲郎)は、こちらの十一面観音像を「神々しい威厳と、人間のものならぬ美しさが現れている」と評しているが、井上先生は「もともと悔過を受ける仏」であり、「怒っている」と言われるのである。いかがでしょうか。どうでしょうか。

奈良県立美術館、「奈良礼賛~岡倉天心、フェノロサが愛した近代美術と奈良の美」のレクチャールームで5月2日(土)午後3時30分からお話しする。ぜひ、おいでください。


では、5/2(土)以降のラインナップを同講演のチラシから抜粋しておく。なお同じタイトルの講演は、同じ内容である。これら講演は、観覧券なし(入館料無料)でお聞きいただける。

奈良の歴史・文化に関する特別講演(各1時間)
1階入口横の「レクチャールーム」で 奈良のエキスパートが講演!
無料・予約不要。下記時間にお越しください!所要時間:約1時間(観覧券不要)

5月 2日(土) PM3:30~ 雑賀耕三郎    十一面観音菩薩と聖林寺
5月 3日(日) PM2:00~ 大山 恵功   奈良県の世界遺産
5月 4日(月) PM2:00~ 石田 一雄   奈良公園・ならまちの魅力
5月 6日(水) PM2:00~ 大山 恵功   奈良県の世界遺産
5月17日(日) PM2:00~ 石田 一雄   奈良公園・ならまちの魅力
5月23日(土) PM3:30~ 岡田 充弘   日本の国のはじまり 奈良


友松洋之子(ともまつ・よしこ)さんによる奈良検定クイズ(4/29)

NPO法人奈良まほろばソムリエの会に所属する奈良の歴史・文化に関するエキスパートである「奈良まほろばソムリエ」(※)が、分かりやすい語り口で、奥深い奈良の魅力を紹介します。参加は無料で、お申し込みも不要です。観覧の合間に、ぜひ1階「レクチャールーム」をお訪ねください!

※「奈良まほろばソムリエ」とは
奈良のご当地検定「奈良まほろばソムリエ検定」の最上級資格「奈良まほろばソムリエ」の有資格者です。うち約7割の約300人がNPO法人奈良まほろばソムリエの会に所属し、観光ガイド、セミナー講師、バスツアーの企画、文化財の保存・継承などの活動を行っています。

皆さん、ぜひ奈良県立美術館をお訪ねください!
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