NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は、毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「ディスカバー!奈良」を連載している。2月14日付で掲載されたのは「夫婦愛救った観音様/高取町の壷阪寺と信楽寺」、筆者は同会理事の大山恵功(よしのり)さん。
※トップ写真は、お里と沢市の像(壷阪寺)
「妻は夫をいたわりつ、夫は妻に慕いつつ~」の浪曲の名文句で知られるお里・沢市の「壺坂霊験記」。そのストーリーは皆さんよくご存じだろうし記事でも紹介されるが、最近、新発見をした。「朝拝式」で知られる吉野郡川上村の金剛寺のお地蔵さんにまつわる話が、「壺坂霊験記」のモトになっているというのである。しかもこちらはハッピーエンドとは少し違う。サイト「文化デジタルライブラリー」によると、
吉野の里に住む盲目の男が、川上という所の霊験(れいげん)あらたかな地蔵に参詣(さんけい)し、目が開くように願います。地蔵堂に籠(こ)もったその夜、男は御霊夢をたまわり、目が見えるようになります。念願かなった男は、大喜びで杖を捨て帰宅し、妻も「黒い涼しい目になりました」と喜びます。
ところが、目をあけてもらうには条件があって、それは妻とは悪縁なので、すぐに別れなければいけないというものでした。その話を聞いて腹を立てた妻は地蔵をあしざまにののしり絶対に別れないと言います。ついに夫も承知し、2人は連れ立って帰りますが、道の途中で夫の目は再び見えなくなってしまいます。2人はともに座って泣き、これも前世の因縁と思って嘆くまいと謡い、手を取り合って帰ります。
お里と沢市の墓がある信楽寺
これは微妙なストーリーだ。では最後に今回の記事全文を紹介しておく。
高取町にある壷阪寺(つぼさかでら)正式名は南法華寺(みなみほっけじ)は西国三十三所の六番札所で、眼病にご利益があることで知られています。「壺坂観音霊験記」(つぼさかかんのんれいげんき)は、盲目の沢市(さわいち)と妻のお里(さと)の夫婦愛を描いた明治時代に作られた人形浄瑠璃(文楽)の演目で、歌舞伎や講談、浪曲でも演じられ人気を集めました。お互いを思いやるがゆえに生じた夫婦の悲劇を壷阪寺の本尊である十一面観音が救済するお話です。
沢市はお里が明け方に出掛けていくのに気付き、男ができたのではと疑いますが、沢市の目が治るように壷阪寺の観音さまに願掛けに行っていたと知ります。それを恥じた沢市はお里とともに壷阪寺へお参りをしますが、目の見えない自分がいては将来お里の足手まといになると考え、谷に身を投げてしまいます。
それを知ったお里も沢市のあとを追って身を投げますが、夫婦愛を聞いた観音さまが現れ、二人は息を吹き返し、沢市は目が見えるようになるという物語です。壷阪寺本堂横には、その沢市とお里が身を投げた投身の谷と言い伝えられている場所があります。高取町下子島の信楽寺(しんぎょうじ)には沢市とお里のお墓があります。
■メモ 壷阪寺へは近鉄吉野線壺阪山駅からバスで壷阪寺前下車。信楽寺へは壺阪山駅下車徒歩約15分(奈良まほろばソムリエの会理事 大山恵功)。
※トップ写真は、お里と沢市の像(壷阪寺)
「妻は夫をいたわりつ、夫は妻に慕いつつ~」の浪曲の名文句で知られるお里・沢市の「壺坂霊験記」。そのストーリーは皆さんよくご存じだろうし記事でも紹介されるが、最近、新発見をした。「朝拝式」で知られる吉野郡川上村の金剛寺のお地蔵さんにまつわる話が、「壺坂霊験記」のモトになっているというのである。しかもこちらはハッピーエンドとは少し違う。サイト「文化デジタルライブラリー」によると、
吉野の里に住む盲目の男が、川上という所の霊験(れいげん)あらたかな地蔵に参詣(さんけい)し、目が開くように願います。地蔵堂に籠(こ)もったその夜、男は御霊夢をたまわり、目が見えるようになります。念願かなった男は、大喜びで杖を捨て帰宅し、妻も「黒い涼しい目になりました」と喜びます。
ところが、目をあけてもらうには条件があって、それは妻とは悪縁なので、すぐに別れなければいけないというものでした。その話を聞いて腹を立てた妻は地蔵をあしざまにののしり絶対に別れないと言います。ついに夫も承知し、2人は連れ立って帰りますが、道の途中で夫の目は再び見えなくなってしまいます。2人はともに座って泣き、これも前世の因縁と思って嘆くまいと謡い、手を取り合って帰ります。
お里と沢市の墓がある信楽寺
これは微妙なストーリーだ。では最後に今回の記事全文を紹介しておく。
高取町にある壷阪寺(つぼさかでら)正式名は南法華寺(みなみほっけじ)は西国三十三所の六番札所で、眼病にご利益があることで知られています。「壺坂観音霊験記」(つぼさかかんのんれいげんき)は、盲目の沢市(さわいち)と妻のお里(さと)の夫婦愛を描いた明治時代に作られた人形浄瑠璃(文楽)の演目で、歌舞伎や講談、浪曲でも演じられ人気を集めました。お互いを思いやるがゆえに生じた夫婦の悲劇を壷阪寺の本尊である十一面観音が救済するお話です。
沢市はお里が明け方に出掛けていくのに気付き、男ができたのではと疑いますが、沢市の目が治るように壷阪寺の観音さまに願掛けに行っていたと知ります。それを恥じた沢市はお里とともに壷阪寺へお参りをしますが、目の見えない自分がいては将来お里の足手まといになると考え、谷に身を投げてしまいます。
それを知ったお里も沢市のあとを追って身を投げますが、夫婦愛を聞いた観音さまが現れ、二人は息を吹き返し、沢市は目が見えるようになるという物語です。壷阪寺本堂横には、その沢市とお里が身を投げた投身の谷と言い伝えられている場所があります。高取町下子島の信楽寺(しんぎょうじ)には沢市とお里のお墓があります。
■メモ 壷阪寺へは近鉄吉野線壺阪山駅からバスで壷阪寺前下車。信楽寺へは壺阪山駅下車徒歩約15分(奈良まほろばソムリエの会理事 大山恵功)。