日だまりの冬モミジが美しい庭に佇み、ひととき、過ぎ去りし1年をふり返えっている。四度の入退院を繰り返したこの1年だったが、その都度健康の有り難さを思い、庭の小さな自然と語り合いながら穏やかな時を過ごしてきた。
融けだした雪の下から顔を出すさわやかなミスミソウに始まり、庭の草花は、それぞれがそれぞれの季節に間違いなく花を咲かせ、実を付けた。
ウメやサクラが春を告げ、アジサイやバイカウツギが梅雨に濡れ、夏の炎天下にはサルスベリ咲き続け、そして秋立つ風にススキの穂が揺れていた。今、一年を締めくくる菊の花も色あせ、膨らんだツバキの蕾が新しい年を待っている。
今年も醜い世相が嫌でならなかったが、一年を通して、このけなげな小さないのちに救われた。静けさにはらはらと散る紅葉の終わりを見つめ、人生の流転を思っている。