庭で、葉の裏にモンカゲロウが止まっていた。その造形はとても奇妙に見えたが、羽といい目といい、よく見るとこれまた魅力あり美しくさえ見えた。
渓流の石ころを取りあげ、水生昆虫を観察したことを思いだした。
在職中に、信州大の生態学研究室(櫻井善雄研究室)に内地留学したことがあった。当時、環境教育の必要性を感じその教材化を検討していた時期だ。
研究報告書を見返したら、研究テーマは ①界面活性剤の生分解性に関する研究 洗剤が水界の細菌群衆に及ぼす影響 ②野外調査観察研修とあった。
思えば、環境科学に関するいろいろ有意義な研修をすることが出来た。
特に、大学近くの河川での水生昆虫による水質調査や諏訪湖での大腸菌群細菌の分布調査など野外の研修はとても興味深かった。
特に、生態学的な指標生物を使っての水質判定は、今では小学生などの一般的環境教育教材として定着しているが、当時はその先駆け的手法であった。その後、これらを環境教育教材に取り上げた授業では、生徒は関心深く意欲的に取り組んだものだ。
当時、工業高校化学系学科では廃水処理に関する専門的な技術を学ぶ公害教育が中心であったが、より「正しい環境の認識」という視点から、グローバルな教材の必要性を感じていた。この研修で、カゲロウ、カワゲラなど渓流の底生昆虫の採集を体験したことが、知識、理論、技術、法律以前の、より重要な環境教育の構造化をし、その実践につながった。
カゲロウを見つながら、環境教育の実践を懐かしく思い浮かべた。