何日か前に、NHK「ラジオ深夜便」4時台の「こころの時代」で、米国生れロジャー・パルバース(東京工業大学教授)氏の“私の大好きな宮沢賢治”を聞いた。
途中からだったが、賢治を熱く語る氏の的確な賢治への思いに感心し、氏に興味を抱いた。
放送の最後に英訳の朗読を聞いた。
Strong in the rain Strong in the wind ・・・
ネットで検索した。氏は第18回「宮沢賢治賞」を受賞し(宮沢賢治に関する優れた研究や評論をした人に贈られる賞)、「雨ニモマケズ」を『STRONG IN THE RAIN』として英国で出版、また青少年のための『英語で読み解く賢治の世界』で、長年賢治の詩、童話作品の研究・翻訳に取り組んでいる。
本棚には何冊もの関連書籍があるが、別の視点で読みたいと思い、早速、ネットで[「英語で読み解く賢治の世界」を発注した。
放送を聞き、忘れていた賢治の精神を思い出し、もう一度学ぼうと思った。
以下は、かつての拙エッセイである。
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賢治の高潔な精神に学ぶ (1996.2)
今年は宮沢賢治生誕百周年に当たるという。彼は私にとって小さい頃からの身近な詩人、哲学者、科学者であった。
五年前、花巻での研修会の帰りに賢治の記念館に立ち寄ることが出来た。その折求めた小冊子「宮沢賢治記念館」には、見学の感動メモが記されている。
彼の三十七才の短い生涯を思い、サムサノナツハオロオロアルク暗い時代の、しかし濃厚な精神的生きざまを考え直した。そして自分の精神状態の貧しさを嘆き、物質文明が精神の高揚を妨げる一因ではないかと疑ったりしている。
妹の死を嘆く詩に、暗い冬の寒さが思い浮かぶ。賢治の古い手帳に書かれた「雨ニモマケズ」を繰り返し読むうちにその高潔さに涙がこみ上げてきた。またイーハートヴ、ジョバンニなどの響きからは、賢治の抱いた大自然や宇宙銀河の世界が清らかによみがえってくる様だ。
賢治生誕百周年は、私の惰性の日々に、人生の糧となる彼の生きざまを振り返り、再度豊かな心を考えるチャンスとなった。
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