【色づき始めたカリン】
父はよく良寛を語った。
もう30年も昔、父に乞われて晩秋の国上山の五合庵へ同行したことを思い出した。
以来、良寛は自分の身近な人となっていった。
今、その頃の父の年齢になり、父の心の一端が見えるような気がしている。
そして、あのとき父と一緒に目にした乙子神社の石碑に刻まれた「生涯懶立身 騰々任天真」の漢詩が、いつしか自分の心の支えになった。
年老いて知ることはたくさんあるが、最近、良寛が最も尊敬した道元の教えに出会った。
「学道の人は先須らく貧なるべし。財おほければ必ず其の志を失う。」と。
であれば、有り余るものを持つ現代人は、志を失い、幸せを得ることはできないのではないだろうか。
最近の世相を見るにつけ納得できることだ。
生涯無一物を旨とし、質素な生活に耐えた良寛は、貧に徹し、志を遂げた学道の人であり、いつも私を惹きつけている
父はよく良寛を語った。
もう30年も昔、父に乞われて晩秋の国上山の五合庵へ同行したことを思い出した。
以来、良寛は自分の身近な人となっていった。
今、その頃の父の年齢になり、父の心の一端が見えるような気がしている。
そして、あのとき父と一緒に目にした乙子神社の石碑に刻まれた「生涯懶立身 騰々任天真」の漢詩が、いつしか自分の心の支えになった。
年老いて知ることはたくさんあるが、最近、良寛が最も尊敬した道元の教えに出会った。
「学道の人は先須らく貧なるべし。財おほければ必ず其の志を失う。」と。
であれば、有り余るものを持つ現代人は、志を失い、幸せを得ることはできないのではないだろうか。
最近の世相を見るにつけ納得できることだ。
生涯無一物を旨とし、質素な生活に耐えた良寛は、貧に徹し、志を遂げた学道の人であり、いつも私を惹きつけている