エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

相田みつを美術館で自分を見つめる

2006-03-14 | 文芸
 東京丸の内に相田みつを美術館*を訪ねた。
 美術館展示室の入り口には「お約束として」の看板が掲げられ、そこに《感動は小さなお声でお願いいたします》とあった。私も一つ一つの作品の文字を辿りながら、感動を静かに心にしまいながら歩いた。
 我が家にも彼の著作や作品の日めくりカレンダーがあるが、作品のすべてに心動かされる美術館の雰囲気がとてもすばらしいと感じた。
 「裸の木蓮」には《寒風の中にただ黙って立っています》とある。「いのちの根」や「だれにだって」などの詩を読んで、これまでの自分の弱音を恥じた。もう辛さや苦しさを口にしないようにしようと思う。いつもそんな弱音を聞かされてきた妻に本当に済まないと思った。
 廊下を歩くとそこは自然の小道、自然の風景の映像が揺らいでいた。薄暗い廊下の所々に小さな椅子の空間があり、一人座して静寂に心を見つめることができた。
道元の「正法眼蔵」の文庫本がすり減る程に読まれ、彼の思考の過程を見た思いがした。
「ただいるだけで」には、良寛の座右の銘と言われる「一生成香」(生涯いい香りを発しながら生きよ)を思い浮かべた。
相田みつをのすべての作品が、至らない自分への諭し、戒めに思えた。
 廊下の見えるカフェでアイスコーヒーを取り、静かに余韻に浸り自分の心をもう一度見つめた。
 限りある生をしっかり生きようと思った。
*http://www.mitsuo.co.jp/museum/index.html

*だれにだって*

だれにだって
あるんだよ
ひとにはいえない
くるしみが

だれにだってあるんだよ
ひとにはいえない
かなしみが

ただだまっている
だけなんだよ
いえばぐちに
なるから


*ただいるだけで*

あなたがそこに
ただいるだけで
その場の空気が
あかるくなる

あなたがそこに
ただいるだけで
みんなのこころが
やすらぐ

そんな
あなたにわたしも
なりたい

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