エッセイ  - 麗しの磐梯 -

「心豊かな日々」をテーマに、エッセイやスケッチを楽しみ、こころ穏やかに生活したい。

熊田千佳慕の平和な虫の世界

2010-03-01 | 文芸
    【樹液に集まる昆虫】

今年1月から朝日新聞の購読に切り替えた。
気付かずにいたが、今日購読料の集金に来た時、額絵シリーズ「熊田千佳慕の世界」を置いて行った。
第8回分で、「春の草原」と「野の花たち(ヘビイチゴ)」だった。

 はじめて熊田千佳慕と作品を知ったのは、県立美術館での展覧会を見た時だった。
 その時に求めたカタログ(図版)を本棚から取りだし、久々に鑑賞した。
カタログには「2002.5.18 於:県立図書館」とメモってあった。
あらためて驚きの描写だ。アリ、トンボ、クモ、ハチ、チョウ、カマキリ、・・・、あらゆる昆虫たちの細密な描写は驚異的だった。

その後もお元気で創作を続けられていたが、残念ながら昨年夏、99歳で亡くなられた。

 下記は、展覧会を観た折に書いた新聞の読者欄への投稿文である。
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熊田千佳慕の平和な虫の世界
 
 県立美術館で、熊田千佳慕の平和な虫の世界を鑑賞した。花と虫を見つめ、心と心で語り合う画家の心豊かな日々を想像した。
齢九十を越えたナチュラリストが、虫の目の高さで自然を見つめ精魂込めて描く緻密な絵は、初めて目にするメルヘンの世界であった。
私自身もそんな目で身近な自然を描いてみたいと思った。
 かつて、高山蝶の生態研究者、山岳写真家田淵行男の微細画を驚嘆の目で見た覚えがある。それは、そのまま蝶の翅の文様分析であり生態研究であった。
彼は肉眼的視点で特徴を捉え、それを自主的に強調することで写真と一線を画した。その絵はがきは今も、蝶に魅せられた私の宝である。
一方、童画家熊田の作品には、科学を超えた、夢にあふれる温かさが感じられた。
彼は「美しさは、その虫、花、自然が美しいからではなく、見つめる愛する心があるから」と言う。
 いずれも写真にはない、虫の心が伝わる労作で、あらためて驚愕と敬意の念を禁じ得ない。
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 カタログには、「熊田千佳慕の作風はドライブラッシュとよばれ、水分を十分絞った面相筆で、
点描のように細かく色を重ねていくやり方は熊田独自のもの」とあった。




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2 コメント

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虫たちのレストラン (山裾の人)
2010-03-01 21:13:44
こんばんわ
虫たちのレストラン平和ですね。
我が家の白樺レストランではクワガタよりスミナガシが強いですね。
蝶が意外にも強いのを知り驚きました。
平和でいろいろな虫たちが一同に集えるのをみたいですね。
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Unknown (会津マッチャン)
2010-03-02 10:05:57
山裾さん、おはようございます。
待ちわびた春、じきに、虫たちも姿を見せてくれるでしょう。誰が一番初めでしょう。まずは、越冬から目覚めたチョウたちでしょうか。楽しみにしています。
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