中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

’24秋のクエ釣り ~その4と、リールの話

2024-09-21 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

  2週間で3回のクエ釣り釣行を敢行したが、ウマい話は続くハズもなく、3回目はそれらしきアタリが2回あったものの、頭だけ残されたエサが帰ってくるのみだった。記すべき内容は、ほぼないので、今回は道具ネタを。ということで、現在使用中のリールについて少し解説を。


■迷えるリール選び■

 クエ釣りでは、ボクは昨年前半まで、海外製の手巻きレバー・ドラグ・リールを使用していたが、これには少し問題があった。ある一定以上のドラグ値を掛けると、仕掛けの落下速度が落ち、巻き上げがかなり重くなるのだ。シマノさんのホームページでも「レバーをフリーの状態にした際にスプールフリーが保てる状態でのMAXドラグ力」と記しているように、これはレバー・ドラグ方式の宿命なのだろう。

 これがスタードラグ搭載モデルになると基本的にいくら締めても巻き上げに支障が出ない構造になっている。その中でシマノ・オシアジガー4000が候補に挙がったが、電動リールに目を遣ると、大本命がある事に気付かされた。

 

■電動リールという選択■

 ボク自身はロッドは魚が掛かれば手に持っていたいが、リールに関しては「電動でも手巻きでも本人が楽しけりゃ、それでイイんじゃないの派」なので、電動リール内で候補に上がったのが、現在使用しているシマノのフォースマスター6000だった。

 このリールの最大ドラグ値は30kgで、オシアジガーの18kgを大きく上回り、実釣では必要ないほど強力になっている。それを支えるボディは実績のある旧ビーストマスター6000譲りなので、強度的に安心の領域にある。しかも嬉しいことに今主流のレバー・ドラグ・リールよりもかなり割安であり、実勢販売価格が60000円台前半なのは驚かされるばかりだった。クエ釣りに対応できそうな手巻きの中では最安の部類に入るオシアジガー4000の実勢価格に対して、僅か9,000円の投資でモーターが付いてくるという、嬉しい価格設定だと個人的には思えたので、購入に至った次第だ。

 ただし、それ相当に強力なモーターが採用されているものの、大型クエが相手では巻き勝つことはできない。聞くところによると、上位モデルのビーストマスターMD6000であれば、滅多に巻上げは止まらず、ブラシレスモーター搭載の旧ビーストマスター6000でもあまり止まらないということだから、投資額による差が確実にあるのは仕方がない。

 であるから、36.42kgを釣った際のレポートで記したように、高負荷がかかる場面では対策が必要になるのだ。

 

■弱点をカバーする■

 電動リールを使わない人にとっては「スロットルを入れて後はリール任せで全自動…。」と思えるのかも知れないが、クエ釣りであれ、完全フカセであれ、大型魚とのバトルでは、そもそもの巻き上げ能力が足らなかったり、ドラグの設定値や特性で巻き上げが停止する場面がよくある。そういった状態に陥ると「手でラインを掴んで引き抜く」等、釣人側の工夫が必須になる機種が多いのが現実だ。

 特にクエ釣りでは電動巻き上げが止まれば、すぐに手巻きに移行しないと即ヤラレてしまうが、電動リールのハンドルは、本来はフィニッシュ時に使用することが前提なので、短くてあまり力がかからない。その対策としてボクはフォースマスター6000のハンドルをミゾハンというメーカーの110mm・ステンレス製ロングハンドルに換装することで手巻時の巻上げをパワーアップさせている。

 この投資額は¥12,000程度(ハンドルノブ代金込み)であり、効果を考えれば妥当な線になると思う。因みにロングハンドルはシマノ製品の中~大型両軸リール用と共通であるが、2スピード・ギヤ搭載で構造が違うタリカやティアグラ用は合わないから注意が必要だ。尚、一部に存在する安価なアルミ製は曲がり易いので、ステンレス製の中から選んだ方が安心だ。

●フォースマスター6000+ロングハンドル●

 

■スタイルそれぞれ■

 ボクとしては、エサの上げ下げ等で無駄な体力は使わず、いざ大型が掛かれば手巻きで対抗し、ポンピングをしたくない場面では針ハズレ防止のためにモーターを定速で巻き取るのが狙いだったが、このリールとロングハンドルの組み合わせはそれにドンピシャで応えてくれた。

 「山の頂上は一つだが、そこに至るルートは沢山ある。」それが釣りだと思う。

 シンプルに手巻きでドンと構えるのが好きな釣人もいるだろう。だが、楽しみ方は人それぞれにあり、こういった「タックルの弱点を補うよう、工夫して使いこなす」、「いざという時は、真正面から魚と対峙する」というやり方は、ボクの釣りにおける楽しみの一つになっているし、実際に現場や記事で同意見の釣人の存在も確認している。

 また、このリールと後はロッド選びを工夫すれば、総額を¥100,000を少し超えたあたりで収めることが可能になる。因みにボクの場合はリール=約¥61,000(ポイント差し引き後の実質価格)+ロッド¥13,200(中古品)+ハンドル¥9,950(送料込み)+ハンドルノブ¥1,990(送料込み)で、合計¥86140しか(?)かかっていない。尚、ハンドルノブについては純正の形状で可とするのなら、その装着も可能なので更にコストが下がる。

 尚、今回はボクの候補には挙がらなかったが、ダイワ製品なら、シーパワー800も同価格帯(数千円up)であり、ロングハンドルも手に入るので、同等のコストで導入可能なことも付け加えておく。

 とかくお金が掛かるとされ、上を見ればキリがなく「ロッド&リールで¥300,000オーバー!」と言われるクエ釣りタックルだが、本人の工夫次第で、かなりコストを下げられる。それでも他の釣りからすると、まだまだ高額投資なのかも知れないが、高い敷居がかなり下がってくれるのは朗報だと思う。それでクエ釣りのチャレンジャーが増えてくれれば幸いだ。

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2024年版 沈む(高比重)PEラインの話

2024-07-20 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 今年一回目のブログで記した、よつあみの「オードラゴン✕8」の3号(300m)が、ようやく6月末に販売された。

■新旧比較■

 古い記事で確認してもらうと解るのだが、沈むPEライン=オードラゴンは以前から販売されていたが、それは4本撚りであり、今回の8本撚りとは、かなり様子が違う。

●新発売のオードラゴン✕8●

 「従来のオードラゴンとは何が違うのか?」だが、旧タイプ(以後「✕4」と記す)は比重が1.40。今回の新タイプ(以後「✕8」と記す)は、1.20で、✕8の方が軽い。完全フカセではメインで使われている、フロロカーボンは1.79前後と言われ、ナイロンは1.15前後と言われているから、✕8はナイロンに近く、✕4はフロロカーボンに近くなる。因みに普通のPEは0.97で、水に浮いてしまうので、完全フカセでの使用は厳しい。

●旧タイプのオードラゴン✕4●

 3号同士だと強度は✕4の40lb(18kg)に対して✕8では2割アップして、48lb(21.6kg)になるが、標準的なPEライン3号の強度55lb(24.97kg)よりは、低い数値になっている。

 しかし✕4は毛羽立ちやすく、そこからの綻びが原因なのか、アジ釣り等、細糸使用時のインプレ記事を見ると、「破断し易い」との評価がよく目に入って来るから、実用強度は違っているように思う。

 記事にも記したよう、ボクも4年以上前に✕4を導入したが、継続使用中にこの毛羽立ち~綻びによる強度低下が起こらないかと気になっていた。だが今回の✕8は、この毛羽立ち具合がかなり改善されている。触れるとツルッとしていて、通常の軽比重PEラインよりも張りや腰があり、新品時の手触りは柔らかめのフロロカーボンに近い印象だった。

 尚、「✕8・3号・300m」の販売価格は¥4700程度なので、フロロカーボン・ラインの6~7号と同等だ。

 

■✕8の活用法■

 ✕8・3号の強度=48lbは、フロロカーボンラインの14号程度の強度に相当する。この✕8・3号をリールに巻いた場合、数値的には、フロロカーボン・ハリスは14号まで使えるワケだが、PEライン共通の弱点として、「根ズレに弱い」「サルカン等に直接結ぶと結節強度が落ちる」という点が挙げられるので、注意が必要だ。

 その対策はリーダー(先糸)を装着する事だが、ジギング等と同様にフロロカーボンのリーダーを介してサルカンに連結すると、弱点はかなり改善される。同時に最初に送り出しを行う部分がフロロカーボンラインになるので、それが重しになって、沈み具合が改善されるのもメリットの一つになる。

 但し、PEラインとフロロカーボンラインの結節は「PRノット」や「SFノット」他といった、100%に近い強度が出る方法で結ばなくてはならず、電車結び等は以ての外になる。

 ✕8の導入にあったっては、色々と構想を描いていたが、ようやく入手出来たのが、ちょうど玄達瀬への釣行シーズンだったので、装着するハリス&リーダーを12号とした。勿論ハリスは、いつもの6mの2本バリを選択した。リーダーの長さは、ジギングの場合は3~5mが標準なのだが、それよりももっと長い15mとした。その狙いは、上述のフロロカーボンの高比重による馴染みの良さと根ズレ対策に加えて、伸びの少ないPEラインの特性を補うための、ショック吸収性を考慮したからだ。

 

■実釣では■

 先週の記事で記したが、7月初旬の玄達瀬釣行で実釣テストを行った。

 当日の潮況は、2分30秒を切る、所謂ブッ飛び潮が殆どの時間帯で差していた。

 当初は、自分の玄達基準では細めのフロロカーボン・ライン8号&10号ハリスのタックルと✕8装着タックルとを交互に投入していたのだが、最初にアタリが出たのがフロロカーボン・ラインの方だったため、最初の数時間はついつい、そちらを優先していた。

 時間が経つにつれて潮速が速まるという厳しい状況の中、どうにも上潮に吹き飛ばされている感が強くなったため、思い出したように✕8装着タックルに持ち替えたところ、これが見事にアタリを捉えてくれたのだ。しかし残念ながらそれは、空振りに終わったのだが…。

●リールに巻かれた✕8●

 事態が好転しないまま、急潮流でありながらも、あえて深場への移動となった。

 そこは船長曰く、「アタリが出るのは、250~300m辺りになるだろう。」という、ポイントだった。

 「ラインの細さが有利に働いて上潮を切るか、比重が軽い分だけ沈まずに吹き飛ばされるかの、どっちだろう?。」と思いつつ、✕8装着タックルの方を選択して、まずはサルカンの上に4Bのガン玉を2個装着し、送り出しを40mとってみたが、サシエサが残って帰ってきた。

 次に同じセッティングで、送り出し量を増やしていったが、ダメだった。そこで4Bを3個にして送り出しを40mに戻し、200mまで出たら20秒の停止を入れてみると、230mで遂にラインが走って、中マサをゲットした。

 その後の展開は先週の記事に譲るが、以後は✕8タックルを最後まで使い続けた。その結果は中マサが合計4本、ブリ~メジロが4本、大型マダイが2枚、イサギ&グレが少々という内容で、10号のフロロカーボン・ラインで頑張り続けた釣友との差はダブル~トリプルスコアどころではなかった。

 

■✕8の利点■

 一度きりでは全てを決めつけられないが、急潮時に3号という細さは、ハマればこれまでのフロロカーボン・ライン使用時に比べると、異次元に有利になるのは確かで、比重が軽くなる面での不利さは水切り面の有利さで相殺どころか、オツリが来るように感じられた。

 有利さは他にもあって、伸びが少ないからか、スプール上でのライン同士の食い込みによる回転の停止は殆ど無く、アタリが出るまでの間は、ほぼノータッチでOKだったのだ。

 尚、以下は想像になるが、このラインが有利に働く面がまだまだあるように思える。

 例えば、沈み過ぎないという事を逆手に取れば、緩潮時に余分な糸フケが出ず、PEラインの伸びの少なさもあって、アタリが取り易くなると思われる。

 利点はまだまだあって、リールに✕8・3号を巻いておけば、リーダーの号数を使用ハリスに合わせて変化させるだけで、白石グリ~玄達瀬まで巻き替え不要になるのは有難い。

 また、フリー回転時にイシダイ用リール並みによく回るが、フロロカーボン・ラインを巻くとトラブルが起こり易い、シマノのビースト&フォースマスター2000シリーズも、✕8なら、ライントラブルは解消されるように思えるし、足りなかった巻き糸量が確保出来るから、今後のテスト次第だが、完全フカセで復権(活躍?)するかも知れない。

 

■✕8の不安面■

 反面、不利になる点を挙げるとなれば、まずはオマツリに非常に弱い点になるだろう。何しろPEライン同士の絡みを解くのは非常に難しい。よって乗合船での4人乗船では、よほどの好条件でない限り使用は控えるべきだし、バック・ラッシュにもこれまで以上に注意が必要だ。

 セッティング面から言うと、オモリや発泡ウキの使い方に今までとは違う視点での工夫が必要になる点が挙げられる。特にオモリを大胆に使ったマイナス方向へのアプローチが必要になるだろう。

 これは実釣で得た感覚からの想像になるが、ヒラマサのサイズが1mチョイ程度であれば強度的に余裕はあるように感じるものの、ライン全体でのショック吸収性が劣るだけに「相手が120cm以上だとどうなるのか?」は未知数だ。

 だが、ルアー系の大型ヒラマサ狙いではPEラインの5号(80lb・36.32kg)以上が標準ではあるものの、3号は一応、ギリギリ許容範囲だから、これまでよりロッドを粘る調子にする等の工夫で何とかなるモノと思われる。

 最低でもPEラインの3号というルアー系釣り師たちに対しては、我々完全フカセ釣り師とは次元の違ったパワータックルを使えて、やり取りでかなり優位になる点で羨ましく感じるが、フロロカーボン・ライン7号の強度は25lb(11.34kg)程度だから、たとえルアー系では最細の3号であっても、我々にとってはパワータックルに該当するので、いつものヒヤヒヤからかなり開放される点では大助かりだ。残る心配は「耐久性がどこまであるか」にかかっているだろう。

 また、✕4の際は、発売後しばらく経つとメーカーが「3号・300m巻」を廃盤にした事が使用を断念するに至った決定的な理由だけに、今後一般化されて需要が高まり、継続販売されるよう祈るばかりだ。そしてメーカーさんには、可能であれば更に太い4号辺りまでの展開や、更なる高比重タイプの発売もお願いしたいところだ。

 

■期待はこれからも‥■

 実は、前回の玄達瀬釣行では注入したオイルの選択ミスを犯して、あまり回らなくなったリールを使用していたのに、あの結果だった。ベストコンディションのリールならば、もっと効果があったかも知れない。ついては次回は更に本腰の体勢で臨むため、その期待は大きい。興味のある釣人は、今後の記事に注目して欲しい。

 

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’24年版 電動リール漂流記

2024-06-22 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 今回は道具ネタ。ダイワの最新ラインナップなら大丈夫だろうと思い、以前に、このブログで紹介した13ビーストマスター3000改は手放していた。しかし、シーボーグ500MJ-ATの大事なところでの巻切れに業を煮やして、久しぶりに「電動リール漂流記」が始まった。

 

■15フォースマスター■

 シマノ製電動リールの良さはドラグフィーリングの良さであり、完全フカセ釣りに電動リールを導入して以降、12フォースマスター3000MKまでは代々をメイン機として使用してきた。

 だが、15フォースマスター3000を入手した際には評価が激変した。あまりのフリー回転の悪さに「こりゃダメだ。」とすぐに手放し、それ以降はダイワの製品を使うようになって現在に至っている。

 しかし、近頃はダイワ製品のドラグ特性他がボクのスタイルに合わないせいか、トラブルが多発していたので、またもやシマノ製電動リールの導入に食指が動きだした。幸い以前にベアリング・チューンは経験済みだし、今回も「それを施せば何とかなるだろう。」との思いがあった。

 そんなタイミングで15フォースマスター3000の中古品を手に入れる事ができたため、早速、分解掃除&ベアリング調整を行おうとして右サイドパネルを開けてみると、「ビックリ仰天」だったのだ。

 何とこのモデルは向かって左サイドの、シマノ特有の大径ベアリングは入っているものの、右サイドに有るハズのベアリングがレベルワインドを駆動するプラスチック・ギヤ盤の内側に入っていたのだ。

 つまりはモデルチェンジごとにパワーアップするモーターに対応すべく、電動巻き上げ時のスムースさを優先するあまり、フリー回転時への配慮は無くなって、クラッチを切ると、右サイドはベアリングを介さずにプラスチックのパーツ同士が直接擦れ合う構造になっているという事だ。これではスムースなフリー回転は全く期待出来ない。

 メーカーホームページ上の展開図ではそんな仕様にはなっていなかったので、この件をシマノのお客様相談窓口で問い合わせると、「展開図と実際は違う場合がある。」と言いつつ、ボクの見解は肯定されたので、間違いのない事実だ。

 ついでに「これ以降に発売されたフォースやビーストの3000番は同じ構造なのか?」という質問をしたのだが、「それには答えられない。」との事だった。だが、個人でリールのメンテナンスを請け負う個人業者さんのホームページで、ピンク色のフォースマスター3000(限定仕様)や、17フォースマスター3000XPの分解画像を確認したところ、従来通りのプラスチック・ギア盤の外側にベアリングが装着されていた事から、右サイドのベアリング位置の変更は15フォースマスター3000の、初期モデルのみの仕様なのかも知れない。

 

■16プレイズ3000■

 「やはりシマノ機の導入は絶版モデル以外は無理なのか?」と思っていたのだが、ふとメーカーのホームページ内の現行16プレイズ3000に目が行った。よくよく見ると、外観や仕様が12フォースマスター3000MKとそっくりなのだ。そしてYoutube内での動画でベアリング位置が確認できたので「これだったらイケるだろう。」と思い、これまた良いタイミングで2万円台中盤という、適価の中古品を手にするに至った。

●16プレイズ3000●

 16プレイズ3000は、22フォースマスター3000の下位クラス扱いだ。従ってコストダウンの影響で金属パーツが減って、代わりにエンジニア・プラスチック化されている事と、ベアリング数が減っている。

 とは言うものの、完全フカセでは最重要の、スプール支持部とレバルワインド駆動系の支持部には、ちゃんと両サイドにベアリングが入っているから合格だ。

●レベルワインド駆動部のベアリング●

 最新のHAGANEボディと比較すると、エンジニア・プラスチック・ボディの剛性は落ちるだろうが、昔から採用されてきた素材であるから、完全フカセ・ユースでは全く問題は起きないだろう。逆にその恩恵で重量が685gと軽量で、最新モデルよりも110gも軽いし、シーボーグ500MJ-AT~600MJとの差は300g前後となり、更に広がる。

 肝心要のドラグ性能だが、これも手抜きは無くてカーボン・ドラグワッシャーが5枚と、シマノ製品はドラグケースギヤの裏にもカーボン・ドラクワッシャーが1枚入るので、5+1の組合せになっている。

●プレイズ3000のドラグ構成●

 最大値は15kgで、完全フカセでのハリスの使用範囲内では十分であり、発売当時「MUTEKIドラグ」と称していた12フォースマスター3000MKや13ビーストマスター3000と構成が同じだ。カーボン・ドラグワッシャー自体も同じ単価(¥605)の物が採用されているから、特に謳ってはいないが、全く同じ物だと思われる。このドラグ組はボク自身が実釣で何度も体験済みであり、高評価をしているドラグなので安心して使用出来るだろう。

 また、モーターも3000MKと同じ、旧型のMUTEKIモーターが採用され、それによる最高速も分速190mなので、まずまずの数値が出ている。

 よくよく考えてみると、6~7号ライン+8~10号ハリス程度の使用前提であれば、トータルスペックは、ほぼド真ん中なのかも知れず、オーバースペックで巻き切ってしまうよりは賢明な選択なのかも知れない。

 

■分解方法■

 分解方法はこのブログでは役不足なので、実際にやってみたい人は、Youtube内のDDM修理工房の

https://www.youtube.com/watch?v=GYoI0F8AQO8

https://www.youtube.com/watch?v=-MfkN4SNQ68

及び、メーカーの展開図&パーツリスト

https://www.shimanofishingservice.jp/parts_price.php?scode=036209

を確認して欲しい。

 

■ベアリング・チューン■

 実際に分解を進めてゆくと、心配だった右サイドのベアリングはプラスチック・ギア盤の外に装着されていて、一安心。

●指しているのが、右サイドのベアリング●

 この構造は、以前にこのブログで紹介した13ビーストマスターと同じなので、フリー回転性能を高める事が可能だ。

 そして、左サイドの大径ベアリングをチェック。

ドライバーの先で回してみる

 回してみると、高粘度気味のグリス?が封入されていたので、まずはこれのグリス抜きを施す。

 洗浄にはパーツクリーナーを使用するが、リール修理全般に「プラスチックやゴムにも使用可」なタイプを選ばないとダメだ。

●AZのゴム・プラスチック対応パーツクリーナー●

 外してパーツクリーナーに漬け込む方法ではなく、面倒なので直接吹付けたが、モーター軸にもローラークラッチが入っているので、噴射し過ぎるとそれに塗布されたグリスまで落としてしまうから、注意が必要だ。

 吹付け後は乾くまで放置する。

 乾いた後はオイルを注入するが、サラサラ過ぎるオイルは超回転が望めるものの耐久性が無く、耐久性があるオイルは粘度が高くて抵抗が掛かるジレンマがあるので、「どこで折り合いをつけるか」だが、「高浸透」「水置換」「高潤滑」に加えて「ある程度の耐久(持続)性」を求めてボクが選んだのが、ワコーズのメンテルーブとAZのCKM-001であり、ベアリングへの注入全般で愛用している。

●ワコーズのメンテルーブ●

●AZのCKM-001●

 

●今回はメンテルーブを注入●

 注入は大径ベアリングの2~3箇所に短くシュッと吹き付け、ベアリングのシールド脇から染み込んでゆくのを確認し、指で回して回り具合と音でオイルの入り具合を確かめる。

 逆の右サイドのベアリングは簡単に外れるので、ビニール袋に入れてパーツクリーナーを吹きかけてグリスを除去し、乾くのを待ってから組戻して大径ベアリングと同じ要領でオイルを吹き入れる。

●右サイドのベアリング●

 続いてレベルワインド部に厚く塗られたグリスをパーツクリーナーで洗浄し、乾かしてからオイルを注入。

 

●レベルワインド部●

 レベルワインド部周辺は、サラサラのオイルの方がより動きが良くなるし、使用中も外側からオイルの注入が可能なので、純正のオイルを使用している。

 

■ローラークラッチ■

 プレイズ3000はコストカットのため、ハンドル軸周りにベアリングは導入せず、プラスチック・ブッシュが採用されている。

●プラスチック・ブッシュ●

 電動リールなので、最終局面で初めてハンドルを回すだけだから、必要ないと判断した場合は、このまま純正状態で組戻すことになるが、ノーマルだとやや重い手巻時のフィーリングを改善したければ、プラスチック・ブッシュに代わって上位モデルに採用されているローラークラッチに換装する手がある。

●15フォースM用・部品No,0140●

●左=ローラー・クラッチ、右=プラスチック・ブッシュ●

●ピッタリ入る●

 ローラー・クラッチはワンウェイ・クラッチとも言い、文字通り一方向にしか回らず、方向性ががあるので、正転方向に回せるよう、向きを間違えずに装着する事。そしてクラッチの内部に入るチューブも外径が違うので交換の必要がある。

●15フォースM用・部品No,0140●

 このチューブとローラー・クラッチに純正グリスを塗ってからハンドル軸に通し、突起部をドラグ押さえ板の溝に入れて固定する。

●インナーチューブの突起●

 しかし、元から入っていたチューブとは全長が1mm程度違うので、そのまま組み戻すとドラグが緩まなくなる。

●左が純正のチューブと1mm厚ワッシャー●

 対処するには1mm削るか、サラバネ(パーツNo,0020)左のドラグ座金(パーツNo,0021)を本来の厚さ1mmから薄い物に変更するかだが、AMAZONで購入した外径15mm、内径8.5mm、厚さ0.5mmの座金(ワッシャー)に変更してみると、ウマく収まった。

 最後に、以前にシーボーグで使用していた社外品のボールベアリング入りハンドルノブが余っていたので、それに換装して出来上がり。

●自分仕様のプレイズ3000改●

 因みに今回の16プレイズ3000と以前に紹介した13ビーストマスター3000以外に、12フォースマスター3000MKも、ほぼ同じ内部構造なので、同じ方法でフカセ・チューンが可能だ。13プレイズ3000も同様なのだが、モーターとドラグの能力が落ちるので、無理に求める必要はないと思う。

 残念な事に16プレイズ3000以外は販売終了品であるため現在は中古購入しか選択肢が無く、しかもメーカー修理までもが終了になっている。だが、ICモジュール等の専用パーツ以外であれば現行モデルから流用可能なパーツも多いので、整備法を覚えれば自分だけのフカセ仕様に改良して楽しむ事が出来るだろう。また、少し内部構造は違うが、右サイドのベアリング位置が同じであれば現行品であっても同様にチューン出来るハズだ。

 但し、ベアリングのグリス?を抜いて粘度の低いオイルを入れるという事は、油膜の持続性に問題があるため、メンテのサイクルが短くなるのは当然だ。これが面倒だと思う人はベアリングの焼付き等、故障発生の原因になるので、ヤメにしておいた方が良い話だという事を理解して欲しい。

 

■仕上がりは上々■

 組戻し後は最終チェック。指で弾いてもビュンビュン回るのでフリー回転は合格。ラインを巻いた後に、試しに600MJとライン同士を繋いで綱引きをしてみた。

●勝敗は?●

 何と、新品の実売価格+追加パーツ代を含めても半額以下の16プレイズ3000改が先に回り出すという結果になった。

 後は実戦投入でのドラグ・チェック等を待つのみだが、生憎フィールドが玄達瀬に変わる時期であり、イレギュラーな釣行がない限り実戦投入は見送り状態になる。改良の合否はまだ先になるが、追ってお伝えしたいと思う。

 いつもながらだが、今回の電動リールの他、ロッドを含めてメーカー側の開発者やテストする立場の人に完全フカセへの深い理解がないのか、我々素人側がこんな工夫をしなくてはならない現実には、残念な思いで一杯になる…。

 最後に、こんな話題のお決まり文句で申し訳ないが、道具の改造や調整をメーカー側以外の人間が行う事は、保証を受けられなくなる事にも繋がるので、今回の記事を参考に実践する場合は、あくまでも自己責任で行う事!。

 結果、起こったトラブルについては当方の責任ではありませんので、その点はご理解を。

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そろそろ始動

2024-03-23 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 更新せずに、放置している間に数ヶ月経過してしまった…。

 フカセ釣りのオフシーズン中はほとんど釣りに行かず、脳内で今シーズンへの取り組み他を構想していた。

 その一つが今春よりYGKよつあみから販売される、「OHDRAGON X8」( https://xbraidygk.jp/products/ohdragonx8/ )の導入だ。これは以前にこのブログで触れた前モデルのアップグレード版になるが、このシリーズの特徴は水面に浮くPEとは違って高比重設定になっている点だ。故に完全フカセに使えるとして一時テストをしていたのだが、普通のPEラインより強度的に落ちるのが気になって中断していた。

 だが今回のバージョンアップで、8本ヨリになって前モデル比120%にパワーアップしているので、大いに興味が湧いている。その恩恵で、一番太い3号を使えばギリギリだが12号ハリスまで使えそうになっている。

 しかし一方、比重が従来の1.4から1.2に゙変更されている点が気になる。ちなみにフロロカーボンの比重は1.78でナイロンが1.14と言われているから、1.2といえば「ナイロンラインより少しだけ。」ということなる。と、なると「フロロカーボンラインのリーダー(先糸)を30m前後取れば何とかなるかな?」と思っているのだが…。

 普通の流れでは比重の軽いラインは不利になり、使う気にはならないが、どこかに比重よりも水流抵抗の影響の方が大きくなる点があるはずだ。通常のフロロカーボン・ラインでは白石グリなら100mあたりの経過時間が3分を超えると上潮に吹き飛ばされて絶望的になってくるし、玄達瀬でも2分30秒に近づくとかなり厳しくなるから、この辺りを超える辺りからOHDRAGON X8の3号を使用すれば攻略が可能になるかも知れない。であるから今期はこの高比重PEラインを再テストするつもりだ。

 

 兎にも角にも、シーズンに入ろうとしている。さてさて今年はどういう展開になる事やら…。

 

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ライン節約大作戦

2023-08-12 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 近頃、完全フカセの仕掛ではハリス強度ではなく、ライン(道糸)強度の方が重要だと思うようになっているが、今回はその話。

 

■ラインの役割■

 完全フカセ釣りでの、実際のやり取り中の感覚では、主にハリスが根ズレ担当で、「パワー対パワー」の引っ張り合いを負担しているのはラインの方だと感じている。よって不用意に古いラインは使えない。また、ライン(道糸)とハリスの太さが逆転しているケースが多く、例えば6号や7号ラインに8号ハリスは当たり前だから、その意味でもだ。

 引っ張り合ったラインは伸びることでショックを吸収するので、伸びた後は当然縮む。余談だが、その縮もうとする力は半端なく強力で、この春にシーボーグ600MJのスプールが破壊されてしまう事件?に遭遇したが、その原因はラインの縮む力だった。リールのスプールエッジ側に食い込んで潰れてしまうのも、この縮む力が原因だが、あまりにひどい場合は、この食い込んだ部分が傷のようになってしまい、無理に引っ張ると、そこから破断することもある。

 傷がない場合でも伸びて縮んでを繰り返すうちにだんだん縮まなくなり、これがライン破断の原因になる。だから、ずっと巻っぱなしでの使用はヤメにしたほうが良いのだ。

 

■ライン経費削減■

 年に何度も巻き替えるとなるとコストを下げなくてはならない。だが強度も落とせないから、実績のあるメーカーから選ぶしかないのが現状だが、7号ラインの300m巻は¥3600以上と高額で、10号にもなると¥5000オーバーになるので費用負担は大きい。

 「なにか良い方法はないものか?」と、思案した挙げ句、得た結論は「クレハ・シーガー150」の流用だった。これだと定価の50%引きで発売している店舗が多く、例えば7号だと税込1375円になる。名称通り150m巻になり、最初からリールに巻き込むには2本(300m分)必要になるが、それでも単品の300m巻との差はかなりある。

 言わずと知れたフロロカーボンラインのパイオニアであるシーガーだが、エースでもなく、ましてやグランドマックスでもないシリーズ最安の、普通のシーガーに強度の不安を感じるかも知れないが、距離のあるラインでの使用なので耐衝撃度と実用強度は上がるし、ボク自身は実釣時に不安を感じたことはない。とは言え、それでも不安ならクレハのホームページ「シーガーで十分だ」https://www.seaguar.ne.jp/technology/index.htmlを参照すると良いだろう。

●シーガー150(7号)●

 実際には、ボクはシーズン初めには継ぎ目のない「クレハ・完全ふかせ」を始めとする300m巻をリールに巻き込んでいるが、実釣で痛むのはほとんどが150m以内なので、見かけ上では無傷であっても3回程度の使用でリール側の残量150m分を残してカットしている。そこに、このシーガー150を連結するようにしているが、その際、150m分をリール側に残す方法が4つある。

 1つ目は最初に巻くラインを「クレハ・完全ふかせ」もしくは「よつあみ・沖ふかせ」等のマーキングが付いたタイプにしないと出来ないが、これらのマーキングを頼りに150m分抜き取って連結する方法だ。但し、ラインの結び直しや根ズレで切った際に何m分をカットしていたかを覚えておかなくてはならず、つまりは最初に出てくるマーキングが、新品状態から何m分かが理解できていないと一挙に25m単位でラインが減ってしまう。

 2つ目もマーキングの付いたライン限定だが、一旦ラインをリール側がゼロになるまで(下巻きをしている場合はその継ぎ目まで)空スプールに巻き取ってしまい、そこからマーキングを頼りに再びリールに150m巻き取ってから連結する方法だ。この場合、一番根元に巻かれていて糸潰れしていたり、スプール芯部に付いている糸止めピンで傷ついた部分をカットして、状態の良い150mだけ残して連結する方法も採れる。

 3つ目はリールの電源を入れて、巻いたラインを一旦、空スプールに巻き込んだ後にカウンターが150mになるまで巻き上げてからカットし、そこから継ぎ足す方法になる。

 4つ目はボクが実際に採用しているのだが、一旦最初の部分まで抜き取ってから「デプスチェッカー」という、ラインカウンターを利用し、150m分を計測して巻き込んでから継ぎ足す方法になる。

●ICデプスチェッカー●

 デプスチェッカーは何種類か発売されているが、ボクが愛用しているのはPROX(プロックス)社の「ICデプスチェッカー」というモデルだ。これを持っているとマーキングがないラインでも距離が把握できるので、便利この上なく、それこそライン管理が飛躍的に簡単になる。例えばダイワ製リールのラインプログラムにある、50mと100mの2回引き出しての入力=引き出し入力にも簡単に対応できるようになるし、初めからラインマーカーのないシーガー150を2本購入して総コストを下げる方法も採れる。実勢価格である3000円ほどの投資が必要だが、支払って損はなく、すぐに元が取れる。

 尚、空スプールへの巻取りは専用の巻取り機を使用している。これも多種あるが、巻き取りの速い第一精工の「高速リサイクラー」がオススメだ。

●高速リサイクラー●

 

■ポリラーノット■

 「接続する」と言うと、その部分での強度低下やロッドのガイドやリールのレベルワインドへの引っ掛かりを心配する声が上がると思うが、以下の方法を採れば、ほぼ問題が無くなる。

 その方法とはポリラーノット(旧称ダイニーマノット)を利用する方法になる。

●よつあみ・ポリラーノット8号●

 このポリラーノットの接続法を知ったのは、その昔に萩沖でマグロを狙ってやろうと思っていた時期になる。当時、ボイルオキアミで狙う釣法が流行っており、フロロカーボン製のハリスとナイロン製のラインとを接続するのに採用していたが、「強度を確保しながらもガイドの通りがスムーズになる」と雑誌等でも紹介されていた。その他、大昔に一時かじった磯の石鯛釣りではナイロンハリスの歯ズレ対策にチモトに結ぶ方法でも利用した経験がある。

 そんなポリラーノットだが、下段に記す「8の字結び」ならば強度的には問題なく、ハリスでは一番力のかかる針元に使用しても接続部で切れることは少なく、反対側のサルカン部で切れたり、場合によっては中間部で切れることもあるそうなので、心配の必要は無いだろう。また、どこかの記事で読んだが、結節強度は破断強度の90%以上だそうだ。因みにブラッドノットや電車結びといった糸同士を直接結ぶ方法は50~60%しか強度が出ないし、糸の端が外側に出るのでスプール上やガイド等に引っかり易くなる。また、注意事項として、同じよつあみのシリーズに「ポリラート」と言うのが存在するが、必要なのは中空構造の「ポリラーノット」になるので、お間違いなく。

 ポリラーノットは使用するラインに対してタイトな方がスッポ抜けが起こり辛いのだが、あまりにタイトな号数では以下の作業がやり辛くなるので、フカセ釣リでメインに使用する7~10号ラインに対しては8号(実勢価格¥1300ほど)あたりが万能になる。

 

■ライン接続法■

 接続方法は簡単で、以下の手順を踏む。

 ①15cmほどにカットして中芯を片側に5cm程抜く。

 ②抜いた側の反対側にリールからのラインを差し込むが、通りにくい場合はラインの先端を斜めにカットして、ポリラーノットを左右に回しながら入れてゆくと良い。

 ③差し込んだ部分を8の字結びするが、結び目の1cm程度上までラインが通っていることを確認すること。

 ④きっちりと締め込む

 ⑤8の字で結んだ部分とは反対側に出ている中芯を全て抜き取る

 ⑥シーガー150の端を大きく8の字結び状態にする。

 ⑦8の字結びの先端からポリラーノットを差し入れてゆく。

 ⑧8の字結びの間を全て通し切る。(この時、反対側の結びより差し込み代を多く取った事が役立つ。)

 ⑨全体的に引き締めて完成。

 上記の方法の他、ポリラーノットに全て差し入れてから大きな8の字結びを作り、ラインのボビンごと通した後に締めてゆく方法もある。

 

■高切れ対策にも■

 ボクの場合、ポリラーノットは常に携行していて、高切れが起こった際は、シーガー150、もしくはダメージの少ない部分を取り置きしておいた使用済みラインとをポリラーノットで結ぶことで対処している。乗合船で、高切れを起こして僅かなラインしか残っておらず、予備リールもなくて苦慮している釣り人を見かけることがあり、その準備不足具合にはいつも驚かされているが、ベタな言葉だが「備えあれば憂いなし」なので、ポリラーノット+予備ラインの携行を強くオススメしたい。

 「150mでは少し不安だ」という釣り人も中には居るだろう。その場合はシーガー150の代わりにダイワから発売されている「ディーフロン船ハリス 200FX 200m」を使用すると良いだろう。但しその場合、7号✕200mで2050円程度になる。

 

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太糸の話

2023-07-29 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 以前に同様の記事を記したが、今年の玄達瀬で起こっているバラシ連発について思うことがあるので、再度掘り起こしてみた。

 

■ラインの太さ■

 玄達瀬釣行の釣果欄で「バラシ多数」という記事や、中には「15~16発バラシ!」という記事を見かけるが、殆どが7号ラインを使用しての話だと思われる。何度も根ズレが連発するのはハリスが細いからドラグでラインを送り出す必要に迫られるからであり、高切れを起こすのは、傷が入っているのは論外として、通常はラインとハリス強度バランスが合っていないからだ。

 他の釣りスタイルであれば、メーターオーバーのヒラマサ狙いでは、例えばルアーでトップを狙う場合や活きエサを使う泳がせだと、リーダーやハリスは20号以上が当たり前であるのにも関わらず、完全フカセ釣りでは7号ラインに太くて10号ハリス、中には近場と同様の8号ハリスの人も居る。この現実を別スタイルの釣り人が知れば「無謀なことを…。」と言われても仕方が無いだろう。

 しかしこれには事情があって、船上からオキアミを撒いて長距離を釣ることの多い完全フカセ釣りでは、あまりに太いラインは水流抵抗が大きくて使用出来ず、それに合わせるハリスもバランス上細くならざるを得ないのだ。だが、それでも現状の一般的なセッティングにボクとしては疑問を感じている。

 実際に強度テストを行えば解るが、7号ラインに10号ハリスではバランス的に厳しくなって高切れのリスクが高まる。それが8号ラインだと10号ハリスが余裕で使えて展開が違うし、ましてや10号ラインでは12号ハリスが使えるので、次元が違うやり取りが可能なのに、ボクがこの釣りを知った20数年前から多くの釣り人が7号以外を使いたがらないのが現実だ。

 実はこの夏、玄達瀬でボクは両極端な経験をしている。7/7のことだが、この日は最速で100mあたり2分前後というブッ飛び潮だった。それでも「あくまでも大型狙い」とばかりに当初は釣友と並んで10号ラインの仕掛を流し込んでいた。しかし、一向に埒が明かないので、堪らず、もしものために用意していた8号ラインを巻いていたリールに換装したのだが、そこから好転し、以後はボク一人がアタリを捉え続けていった。これはラインが細い分だけ水流抵抗が少ないので、ヒラマサを始めとする魚たちの浮上する位置に仕掛がウマく入り込んだためだが、これは誰にでも理解できる話だろう。

 しかし、その逆があって7/16の釣行では最速で100mあたり3分前後という、速めの潮だったので、前回の教訓もあってボクは当初は8号ラインをセレクトしていた。しかし喰いが渋くてやや交通事故的にアタる状況だったものの、アタリを捉えるのは10号ラインの釣友の方で、こっちはほとんどアタリを捉えることが出来なかった。その後は慌てて10号ラインに換装したのだが、そこから先はポツポツと何がしかのアタリが拾えるようになっていった。

 この2例から解るように、「如何にタナに入れるか」という方が重要であり、単にラインを細くしたからといって、入り易くなったり、太くしたから入り難くなるワケではないのだ。だから超ブッ飛び潮のように物理的に無理な場合を除いてラインをむやみに細くする必要がないことを理解しておいて欲しい。

 

■同調の話■

 太いラインを使用するとなると、心配なのは「マキエサと同調しなくなるのでは?」という点になるだろう。よく言う同調とは、例えば発泡ウキを装着し、その沈み具合を目視して「マキエサと同じスピードで落ちてゆくから同調している。」と思っている人が多いと思う。しかし、現実を言うと他の釣り=例えばグレ釣りを経験していると解るのだが、1.5号という細さのラインと、そこに結んだ1.5号以下のハリスと伊勢尼5号という小バリを使用しても、上から撒いたマキエサと同調させるのは難しく、釣座からたった20m程度離れた5~6mのタナを探る場合でも、同調にはウキの浮力をシビアに調整したり、風を計算したり、ラインメンディングを駆使したりと、相当な技術が必要になる。この件についても、何度も過去のブログで触れているが、7号以上のラインを使って100m以上も流す完全フカセ釣りでは、同調するはずがなく、釣る側の甘い期待でしかないのだ。

 結局は、マキエサが海中の様々な流れに翻弄され、紆余曲折しながら複雑なスロープを滑るように流れて行き、その先にある、溜まり易い位置と本命魚が浮上して来る位置がシンクロして、そこがポイントとなる。そしてそこにサシエサが落ちてくるから食ってくるのだとボクは解釈している。7/7の最後の一投はマキエサが切れて、サシエサのみで流していたが、これに中マサがアタってくれた。これは「同調はしていないが、マキエサが溜まる位置に届けば喰う」の証拠になると思う。

 マキエサの溜まる位置にサシエサを届けるためには、沈み過ぎであればプラス方向の発泡ウキでの浮力調整、浮き過ぎであればマイナス方向のオモリ調整は必須となる。だが、極端な話をすると、その位置に至るまではエサ盗りに見つからない限り、前後左右どこから到達しても良いとボクは考えている。

 

■「隣と合わせる」の難しさ■

 「仕掛や浮力設定を釣れた人に合わせる」という考えがあるのだが、これも甘い考えのようにボクは思っている。

 フロロカーボン製品では最大手の、クレハのホームページに標準直径に関する記述があるが、その中には、同じ号数表示でも実際はメーカーによってかなりのバラツキがあって、そのほとんどが強度を稼ぐために太い側にブレが出ている点について記されている。中には一つ上の号数を超えた製品もあるようだが、それほどの違いがあるのなら、隣の釣り人と号数を合わせても、ラインの製造メーカーが違えば沈み具合は違ってくる。

 他の要素としては、リールのフリー回転性能の違いも大きく、これは同じ製品であっても、メンテナンス状況の違いやグリスの落ち具合、それに新品時からの個体差も有る。

 他にもロッドの長短や調子、装着ガイド数の違い、ハリスのメーカー違いやハリの号数や本数、長さの違いでも条件は変わってしまうのだ。

 上記の理由から、隣と同じにするのは困難な話であり、それを追ったが為に、逆に失敗する可能性もあることを知って欲しい。ボクの場合は、隣でヒラマサのアタリが出たら、「あくまでも目安としての」距離を確認することと、浮力調整が「プラス方向なのか、マイナス方向なのか」という判断をするための、発泡ウキやオモリサイズの確認だけに留めている。後はそれを自分の流し方に応用するだけで、袋小路に入った時以外は同じにすることはない。

 結果、周りの細いライン&ハリスに対してワンランク以上太いセッティングのボクが釣り負けていない場面は相当な回数になる。

 

■再び?太糸のススメ■

 要は多少仕掛が太かろうが、魚の出る位置にハリの付いたサシエサを落とし込めれば基本的に正解なワケだ。(例外的にワザとズラす場合もあるが…)そのためには、周りに左右されずに自分の釣りに徹することが重要だ。ボクの場合は外してしまうこともあるが、「それも釣りであり、簡単に釣れ続けても飽きるだけだ。」と、自分を言い聞かせて日々チャレンジしている。

 一部の船では「太いタックル・セッティングでは喰わない。」という声が上がったり、中には怒り出す船長も居るそうだが、偉そうなことは言いたくはないが、玄達瀬に案内する側ももう少し研究の余地があると思う。ボクの知る限り、太糸を推奨している船はいつもの晴海丸さんを始め、SAKAE丸さんくらいと少数派だ。

 誰だってバラす事はあるし、ボク自身も例外ではない。だが、このままハリスのヒゲを生やしたヒラマサを増やし続けて、無駄に殺すのは問題アリだとは誰でも理解できると思う。15本掛けて1本しか獲れなかったという記事を見る度に、「7号ラインで15打数1安打であれば10号ラインだと8打数5安打だったかも知れない。」と、ボクは残念に思っている。要は歩留まりの問題なのだが、掛けた後のゲット数を確実に増やす方が釣り人にとってもヒラマサにとっても得策だということを皆さんにも理解して頂きたい。

 

 

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回るリール、回らないリール

2023-07-08 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 2回目の玄達瀬釣行では「回らないリールを駆使してヒラマサをゲット」というテーマを持って釣行していた。

 ボクが玄達瀬でメインに使用しているラインが10号なので、それが300m近く巻けるキャパのリールがベストなのだが、その観点で選んだ、現在メインで使っている元祖シーボーグ750MTは機関がヘタリ気味なのに加えて他機種からのパーツ流用でツギハギだらけになっている。

●代替パーツだらけの750MT●

 

 そんな中、次世代機として頼りにしていたダイワ・シーボーグ600MJが、何と、巻いたフロロカーボンライン6号の縮む力でスプール軸周りが破損するという、信じ難い欠陥が発覚したため、釣り人側で対策をしないと完全フカセ釣りでは怖くて使えないことが判明した。

 この件に関しては、メーカーから対策法と説明があったが、ほとんどが納得出来ない、非現実的なモノばかりだった。その中で唯一、現実的な対策だった、「下巻きにPEラインを使用する」を試すことになったのだが、そうなると、メインのフロロカーボンラインの巻糸量が減ってしまい、「10号が300m近く巻ける」が選択肢だったボクには痛手になる。逆を言えば、こんな使用方法なら、下巻き不要でスプール軸が太くて丈夫そうな500MJなり500MJ-ATを買った方が賢明な選択になってしまうのだが…。

 結局600MJは、軸から直接巻き込まなくてはならない10号ラインは使用出来ず、玄達瀬の急潮対策で8号ラインを使用する際にのみ、「下巻きにPEラインを巻くこと前提」で使用するしかないとボクは判断した。

 長々と600MJについて記したが、10号ライン用に次なる候補を探す羽目になった。そこで候補に挙がったのは中古を含めて以下の4機種だった。

 1.ダイワ・'14シーボーグ750MT(中古)、2.ダイワ・レオブリッツ750MT(中古)、3.ダイワ・ハイパータナコン600FE(中古)、4.シマノ・プレイズ4000(現行品)

 4.以外は過去に所有した経験があって長所短所も理解しているし、今となっては中古市場でしか入手できないので、「回らない分は、工夫次第で何とかなるだろう。」と、唯一新品で購入できる、4.の購入を決意した。

 完全フカセ釣りに取り組む釣り人なら皆が知っているが、シマノ製品はモーターパワーが強いモデルが多いので耐久性を重視しているのか、スプール周りのベアリングに封入しているグリスが固く、フリー回転性能がかなり落ちる傾向にある。以前に記したが、試しにグリスを抜いてオイル封入した’13ビーストマスター3000はビュンビュンと回ってくれたので、それが根拠になる。そんな傾向に加えて元々このプレイズ4000にはスプールの左右に各1個ずつしかベアリングが存在せず、やはりオモリを背負っての釣り向きではあるようだが、それを承知の上で玄達瀬へ持ち込んでテストを行った。

 買ったばかりのリールのグリス抜きはやりたくなかったので、ノーマルで持ち込み、仕掛けを重くしたり、電動でリバース方向に送り込んだりといった工夫で攻略できないかを探ってみた。比較するにあたって、釣友や船長の許可を得て、いつものメイン機=シーボーグ750MTをセッティングした同じロッドと2本並べて交互に投入を行った。

●2本並列出し●

 開始早々に釣友が中マサを掛けたが、こっちは両方共にしばらくは無反応。しばらく経っても回らないリールはアタらず、回る方のリールでようやくアタリを捉えたが、それはブリ族からのモノだった。回る方のリールは発泡ウキの7番+6番という設定だったが、思い切って回らない方のリールをクッション水中だけにして流すとアタリが出たのだが、これもブリ族。その後は回らない方のリールはエサが残ることが多く、オモリを打ってみても、モーターで強制的に送り出しを行っても改善しなかった。

 ジアイ中であるにも関わらず、その差は歴然で、回る方にはブリ族メインに中マサも掛かってくれたが、回らない方はエサが残ってしまうことも多かった。結局、3時間に渡って実験を続けたが、やはり無理があったようだ。当日のヒラマサの活性は朝が一番高く、以後は厳しい状況が続いたため、貴重な時間を使い切ってしまった。しかし、釣れている間に実験をしないと意味がないので、「今後のため」には仕方がなかったのだが…。

 ただし、プレイズという廉価版シリーズでありながらドラグのフィーリングはかなり良く、その点ではシマノ製品らしくて好印象だったので、「あとは回転性能さえ何とかすれば…。」と、自宅に戻った後、改良できる点はないものかと分解図を隅々まで睨んでみたが、たとえグリス抜きを行っても構造的に期待できるフリー回転性能は得られないと悟った次第だ。

 結論から言うと、ボクの力量では回らないリールはどうやってもだめで、魚が先を争って上層のエサを奪い合う状況以外は使えないということが判った。となると、玄達瀬のメイン機である元祖シーボーグ750MTがメーカー修理不能になる前に次代機を中古市場で探すしか道は残っていないようだ。シーボーグ600MJの登場で落ち着いたかに見えた玄達釣行用の電動リール選びだったが、以前のように放浪の旅が始まった。はたして行き着く先は…。

 

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タックルボックスに何が入っているのか?

2023-04-01 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 ボクの場合、完全フカセ釣りでの釣行時に利用する船は、その地区地区ごとにほぼ決めてはいるが、常に一定とはいかず、他の船に乗る事もよくある。しかし、乗合船で見かけるメンバーは、よく見る顔が多い。それはそれで楽しいのだが、新しく顔を見る事、特に若い年齢層が少ない事に対してはこの釣りの衰退につながるので危機感を持っている。

 紙媒体中心の昔なら、自分の釣りスタイル以外の記事や情報を目にする事で他方面に興味を持つ事もあった。だが時代が変わって自らの興味のある情報を選択していくネット時代になって以降はそれも望み薄だろう。

 これまでにこのブログでは微力ながら、少しでもこの釣り人口を下支えしようとロッドやリールといった基本タックルについては、初心者が見ても解り易いかどうかは別として何度か触れてきたが、「それ以外に何を用意すればよいのか?」については詳しく触れてはいなかった。その点に関しては、思い切って釣具店に飛び込んでも、恐らく店員さんに完全フカセ釣りに関しての知識を持った人は少ないと思われるので、今回は「タックルボックスと、その中に何が入っているのか?」について記していこうと思う。

 

■タックルボックス■

 これ迄、色々と回り道してきたが、現在は「メイホウ(MEIHO) 社」製品に落ち着いている。メイホウのタックルボックスは主にルアー釣りユーザー向けのヴァーサス・シリーズと一般的な釣り向けのバケットマウス・シリーズに分かれているが、サイズ展開に差はあってもオプションは共通なので、基本的には自分のスタイルに合わせて選べば良い。

 現在ボクが使用しているのはヴァーサス・シリーズのVS-7070というモデルだ。現在型番末尾にNがつくタイプに更新されているが、そちらはトップパネルがカラー変更され、持ち運ぶ際にグラつかないよう、ハンドルがロックできるようになっている。ダイワでもOEM商品が発売されていて、そちらは型番がTB4000(VS-707相当)もしくはTB4000HS(VS-7070N相当)になる。VS-7070は一般向けのバケットマウス5000~9000番に比べてスリムで小さいが、上蓋部収納と、下部のメイン収納部とが別々に開けられる点が気に入っている。(バケットマウスは上蓋のみで、開くと全開になってしまう)

●VS-7070(+オプション他)●

 「大は小を兼ねる」で、ついつい大型を買ってしまいがちで、ボクも以前はその一人だったが、大型だと何でもかんでも放り込みがちで、いざ取り出す際には「かき分け、かき分け」で探す羽目になり、オキアミや海水で汚れた手でそれを行った結果、内部が臭くなったり、場合によっては中に納めた金属パーツにいつの間にか錆が発生していたりする。その点VS-7070は、容量は必要最低限ながら使用頻度に合わせて区分けできるので重宝するのだ。

 本体容量の小ささを補うために外周部にオプション他を多数取り付けているが、これには意味があって、外周部のオプション群は現場で何度も取り換える必要があるパーツや、海水がかかっても良い物を収納するスペースとし、内部から取り出した後、海水で濡れた物は、洗浄して乾燥させるまでは戻さないようにしたいからだ。

 

■周囲のオプション・パーツ■

 前列は「マルチハンガーBM」というパーツを介して、 左からパーツケースBM-100、ダイワ製エサ箱、ドリンクホルダーBMの3点を取り付けている。

 

  パーツケースBM-100は、内部の物を濡らしても水が抜けるよう、底に穴を開け加工を施している。その中に入っているのが、ライン送りの停止時間を計測するためのストップウォッチ(防水タイプ)と、釣った魚を神経締めする際に使用するワイヤー類だ。時間計測はリールの液晶表示を利用する手もあるが、完全フカセ釣りではアタッたパターンを再現して次の魚を狙う事が数を伸ばす為に必須となるから、ストップウォッチを利用する方が見落としが無く、より確実になる。そして神経締め用ワイヤーは魚種によって太さを変えないとウマく入らないので、0.8mm~1.5mm迄を揃えている。

●ストップウォッチとワイヤー類●

 次いで中央にあるのが、ダイワ製のエサ箱で、現場で頻繁に取り換える、発泡ウキや潮受けウキゴム、オモリ類を一時収納するスペースとしている。ボクの場合、たまたま家にあったエサ箱を利用したが、メイホウの純正品(ベイトボックスBM等)も販売されているから、そっちを装着しても構わない。

●エサ箱の中身●

 尚、右側のドリンクホルダーBMに関しては、説明の必要は無いだろう。

 そして右サイド。こちらにはロッドスタンドBM-300Lightが2本装着してあり、ロッドやマキエ杓を挿している。また、片側にマルチホルダーBM-30を介してルアーホルダーBMを装着し、そこにハサミとプライヤーを挿している。

●右サイド●

 そして左サイド。こちらにはストッカーBM-3010Dを装着して左から折り畳み式ハンドギャフ、ナイフ、それと何かの都合で天秤ズボ釣りに変更した際にすぐに取り出せるよう、60~80号のオモリを入れている。

 

●ストッカーBM-3010D●

■タックルボックス上部■

 上述したが、VS-7070には上蓋部に、すぐにアプローチ出来るスペースがある。

●上蓋の収納部●

 向かって左にはカゴフカセをする場合の10~20号オモリと。完全フカセで使用するガン玉G2~4Bが入るピルケース、ドラグ数値を計るドラグチェッカー、天秤ズボ釣りに使用するPEラインとリーダーを結ぶ際に必要なボビンとライターが収納されている。

 ●上蓋左側のスペース●

 真ん中のスぺースには両面収納タイプの小物入れを納めている。

●上蓋中央のスペース●

 この小物入れの片側には発泡ウキの5~8番と、0.5~1号の丸玉オモリ他を収納している。

●小物入れ(浮力調整グッズ)●

 その反対側には2~4号オモリとウキ止めゴムやウキ止め糸、小型天秤、ウキゴム&プラヨージ他を納めている。

●小物入れの反対側●

 そして、一番右側に当日メインで使う仕掛(白石グリの場合は8号)が10本収納された仕掛ポーチ、結び替え用ハリ、サルカン類(白石グリの場合はB.B.入0号)の入った小物入れを納めている。

●上蓋右側のスペース●

■タックルボックス下部■

 次に本体下部のスペースに納めている物を紹介しよう。

 ふたを開けてまず見えるのが、パーツクリーナーと潤滑オイル、予備のストップウォッチとティッシュペーパーになる。電動リールを始めとするレベルワインド付きリールは、使用しているうちに駆動させるクロスギアの部分に海藻クズや塩分が溜まって動きが悪くなる。そんな時にはパーツクリーナーで洗浄した後に潤滑オイルを注せば復活するので常に携行している。タオルは使い捨てとはいかず、持ち帰っての洗濯も臭くて辛いので、ティッシュペーパーを手拭き他に使っている。余談だが、メダイのヌルヌルはティッシュペーパーで拭き取れば簡単に取れるから、その面でも重宝する。

●下段上部の収納物●

 このタックルボックスは工夫が随所にあって、上蓋を開けると、その部分がトレーとして保持されるのもその一つだ。底部の物を取り出す際に、避けた上部の物をここに乗せられるから、デッキに置いて海水で濡らしてしまう事がないのだ。

 その下の中段あたりには急遽天秤ズボ釣りに変更となった場合に使用する、天秤、カゴ、クッションゴムを納めている。

●下段中部の収納物●

 そして最後に最低部だが、予備の発泡ウキ、メインで使う仕掛の上下号数(白石グリの場合は7号と10号)が各10個入った仕掛ポーチ、道糸を連結するダイニーマノット他が入ったポーチ、予備のハリやサルカンが入ったピルケースとポーチ、天秤ズボ釣り用のオモリになる。

 

●下段底部の収納物●

 

■これ以外にも■

 以上が釣り座周りで使用するタックルボックスに収納された内容物だ。しかし、これ以外にもタックルバックを船室に持ち込んでいる。そちらの方には予備のリールと電源コードや予備のラインを納めている。乗合船に乗船した際にはラインを高切れさせ、予備のリールやラインの持ち合わせがなくて途方に暮れている釣り人をたまに見かけるが、一日を無駄にしない為にも、予備のリールがない場合であっても予備のラインだけは必ず用意して欲しい。因みにボクの場合、ラインは3~4回使用すると巻き替えるので、傷をチェックしたうえで抜き取った古いラインを予備としている。

●予備のラインとリール●

 

 玄達瀬釣行ではハリスや予備ラインの号数等が変化するが、以上が基本的にボクの持参するタックルボックスの内容物だ。長年の経験で得た教訓から、仕掛けやパーツから始まって、現場で起こる軽~中程度のトラブルにも対処できるケミカル用品や予備品類までを網羅しているつもりだ。これが皆様の参考になれば幸いだが、初心者にはこの全てを揃える事は厳しいかも知れない。しかし、玄達瀬釣行以外の完全フカセ釣り用品だけに絞っても「仕掛(8号ハリス)、発泡ウキ(5~8号)、オモリ類(G2~4B~2号)、サルカン類(ローリングサルカン5号程度)、予備のライン(6~7号)」は必須アイテムになる。まずはこのあたりから揃えてみよう。

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'23版 「完全フカセ用ロッド」の話

2023-02-11 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 荒天続きで釣行レポートは出せない。従って今回は、このブログでは人気の高い道具ネタ。少し前の電動リールの話に続いての「完全フカセ用ロッド編」。

 

■今や絶滅危惧種の…■

 現在、ボクがメインで使っているお気に入りのマッドバイパー・スティング265M(旧モデル)は、予備を所有しているので、しばらくは安泰なのだが、発売から13年を経た年代物になっているし、そのうちにトラブルに見舞われたりで次のロッドを探さねばならない事態が発生するかも知れない。その為、他人様の、ロッドの曲がりを眺めたり、自分で試したりで、「いざ」という時に備えてアレコレと考えている。

 市場を見回すと、完全フカセ用の専用ロッドは廃盤が続いて、現存するのは、がまかつの真鯛スペシャルLV2のみとなってしまったが、この現状には「完全フカセ愛好者が減ってしまい、メーカーも諦めてしまったのか…。」と、残念に思っている。唯一残ったこのロッドの、前身モデルのLVを所有しているが、元来はマダイ用であるものの、ヒラマサに関しても春の白石グリでの釣りであれば充分にこなせるし、磯の上物竿的な良さがある。だが、3m台後半の長さはパワーロスが大きく、適水温期に入って以降、特に大型の出る玄達瀬では、かなり扱いに苦労させられるから、オールマイティには使えない。

 以前に完全フカセ向きのロッドについて触れた際には

①「7:3調子もしくは胴に乗り過ぎない6:4で、全長2.35m~3.0m」
②「オモリ負荷が最大で150号以上の、汎用ロッドで言うところの100号クラス以上」
③「曲がり込んだ際に、スムーズなカーブを描く」
④「カーボン含有率の高い物」

と、記したが、ラインナップの豊富な従来型の置き竿系汎用タイプは「グラス含有量が増えて胴調子化し、全長が短くなる」傾向になって、ボクの考えとは真逆の方向に向かっている。

 

■落とし込み用ロッド■

 そこそこ以上サイズのヒラマサが掛かった際にパワーロスが多くて疲れる置き竿用のムーチング・ロッドや長いロッドを使って「ヒーヒー」と言いながら巻いている人が居る中、「オヤッ?コレは…。」と気付かされる事があった。それは落とし込み釣り用ロッドの曲がりだった。

 「ロッドと魚を喧嘩させて浮かせる。」とは、磯のグレ釣りでよく言われている事だ。これは、釣り人がハリスの強度を最大に生かすロッド角度=ロッドの胴部とラインが作る角度を90度近辺で保持し、「魚の走りと衝撃をロッドを胴部近くまで曲げ込む事で一旦は吸収して疲れさせ、最終的にロッドの復元力に負けた魚の頭をこちらに向ける」という流れを指す。胴から簡単にグニャリと曲がり込んでしまうロッドは復元力が低く、この作業がやり辛いので、走りが遅く沈み根に入らない習性のあるチヌ用を除いた磯の上物竿のほとんどが、胴部の反発力が生きる7:3から8:2調子で設計されている。

 この「ロッドと魚を喧嘩させて浮かせる。」という点で見てみると、落とし込み用ロッドの曲がり具合が実にイイのだ。よく考えてみると、落とし込み用ロッドが持つ特性である「穂先でベイトのアタリを取って、本命の走りをバットのパワーで止める」は、磯釣りの上物用ロッドの特性と共通する。特に、穂先が柔らかである点は、小アタリを取るシーンが増えつつある近頃の完全フカセでは有利に働く。

 また、置き竿用の各ロッドより、全長がやや長めの設計になっている点もウレシイし、手持ち操作が前提なので、軽量化されている点も有難い。

 

■実釣での曲がり■ 

 これまでに実釣で使用した落とし込み専用ロッドは「シマノ・バンディット落とし込み・H230」「ダイワ・ゴウイン落とし込み・MMH-248・R」「ダイワ・ゴウイン落とし込み・H-243・J(=旧型)」の3種で、これら全てでヒラマサを掛けている。中でもゴウイン落とし込み・H-243・Jは実際に完全フカセで使用した事があったが、胴部の曲がりと反発力に余裕があって、使い勝手がかなり良かった。

  下の画像で確認してもらうと、特殊な調子のMMH以外は胴部の曲がりしろがキッチリ残っている事が理解できるだろう。

●「ゴウイン落とし込み・H-243・J」 V.S. 75cm級ヒラマサ●

 因みにシマノの船竿全体で柔らか目の設定が多いので、Hタイプでもそんなに硬く感じない。

 

●「バンディット落とし込み・H230」 V.S. 96cmヒラマサ●

 また、「ゴウイン落とし込み・MMH-248・R」はMHパワーではあるが、やや胴に掛かるモデレート・タイプなので、PEライン使用前提の落とし込み専用とした方が良いように思う。

 

●「ゴウイン落とし込み・MMH-248・R」 V.S. 90cm台ヒラマサ●

 

■互換バット■ 

 落とし込み用ロッドは手持ちで頻繁に仕掛けの上げ下ろしを行う為、操作がし易いようにリールシートの位置が低く設計されているので、ボクのように骨盤周りに竿尻を着けてやり取りをするタイプの釣り人には、リール位置がやや低く感じる。しかし、多くの落とし込み用ロッドはエンドキャップを外せば竿尻にデカアテが装着可能なので、それを装着すれば幾分リールシートが前に来るので活用している。

●竿尻に装着されたデカアテ●

 最近は送料負担の大きさから各メーカーが脱1ピース化(=2ピース化)を進めているので、これは旧モデル限定の話になるが、裏ワザとして他銘柄のバットを換装する手がある。

 幸いボクが所有している旧型のゴウイン落とし込み=Jシリーズは「フェルール対応・ピン付きDPSシート・20サイズ装着」のバット(グリップ)ジョイント仕様なので、多くのバット(グリップ)ジョイント・ロッドと互換性があり、例えばシマノのBJSバット20シリーズが装着できる。

 ウチに転がっていたBJSバットはリールシートの位置が400mmだったので、純正よりも約9cm長くなるが、構えてみたところ少し行き過ぎな感があった。好みの位置は35cmなのだが、それを実現するには自作するしかない…。尚、バットの延長は、その分だけ全長が伸びるので、自論の「竿さばきが一番良いのは2.7mあたり」に近付くので好都合だ。

 

■初心者にもオススメ■ 

 これから先にボクがスティングの次を導入する際は、完全フカセロッド市場が現状と変わらなければ、上述した理由から落とし込み用ロッドを流用していくと思う。

 但し、この選択はボクの主観だ。他の違ったスタイルの釣り人から見れば意見も変わるかと思うが、ロッド選びに困っている方々や、これから完全フカセ釣りを始めようとしている方々に一つの意見として参考になれば幸いだ。

 付け加えになるが、もし余裕があれば、落とし込み用のH~MHクラスが1本と、グラス素材中心で胴調子の、青物対応用ロッドの80~100号クラスが1本との、2本体制を強く推したいところだ。この2タイプを持っていれば、兵庫県北部~福井北部で行われている、「完全フカセ釣り」「落とし込み釣り(タテ釣り)」「天秤ズボ釣り」の全てに対応出来るのだ。

 また、「マダイも狙いたい。」という声も聞こえてきそうだが、マダイの引きは、たとえ大型であっても"ほどほど”であるし、沈み根に突っ込む習性も無いので、ドラグ操作を間違えなければ、硬めの竿でも十分に対応可能だから安心していイイ。それよりもマダイ用の胴から曲がる竿にヒラマサが掛かった時の方が、よほどキビシくなると認識しておいて欲しい。

 

 

 

 

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近頃の攻めパターン

2022-08-27 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 完全フカセ釣りのTV番組やホームページ等の解説を見ていると、一部を除いて例えば「ラインは触らず、できるだけ無抵抗で送り込み…」であるとか、「サルカンの数を増やして…」であるとか、以前のようにヒラマサの回遊数が多かった頃に通用していた釣法のみを解説しているモノが多いように思う。まぁ、これは初心者向けにあまり複雑な事を言っても理解してもらえないだろうし、取っ付きにくくなるのを避けた結果なのかも知れないが、そんな簡単な対応だけで釣果が伸びるのならボクは苦労はしないし、その内に釣り飽きてしまうかも知れない。だが現実は違う。

 「回遊数が多かった頃とは違って、近頃ではアタリの出る位置が変わっている。」

 これは付き合いのある優秀な各船長が言っている事だ。それはボクも実感しているので、以前の釣法のみでは対処出来なくなって試行錯誤を繰り返している。今回はこのあたりを記していきたいと思っているが、その前に今年の春~夏までの傾向から。

 

■今夏までの傾向■

 

 「玄達瀬は春の経ヶ岬=白石グリの傾向を引き継ぐ」と、以前にも記した。今春の白石グリは例年よりも釣れ出しが遅く、3週間遅れで釣れ始めたが、一部の特異日を除くと乗船者全員で5本前後と数は釣れないものの、アベレージサイズは80cm程度で、状況としては良好だった。だが収束も早く、6月初旬に急潮傾向になって以降、ポツポツと顔を見せる程度になり、やがてアタリは途絶えていった。

 玄達瀬の釣りも同様の傾向で、解禁と同時に好釣果が出ていたが、急潮が差すようになった7月中旬以降はポツポツとアタる程度となり、次第にブリ族に占拠されるようになると、ヒラマサボーズも続出していた。

 と書くと、「急潮流が原因なのか?」と、思うかも知れないが、瀬に入って来るヒラマサの量が多ければ群集心理?が働いて、先を争って喰ってくるハズだ。例を挙げると一昨年に75cm級が大量に入った玄達瀬では、まさしくその状態で、急潮の上層でバンバンとアタリが取れていた。

 よって、今年の経ヶ岬~玄達瀬は「回遊量が少ない中、急潮が差してしまった。」というのが、失速の原因だとボクは思っている。

 

■ヒラマサの捕食傾向■

 

 「ヒラマサは縦方向への意識が強く、ブリ族は横方向への意識が強い。」と、ボクは考えている。

 根周りに着く性格のヒラマサはそれに沿ってエサを捕食する傾向があるし、実際に掛けてやり取りをすると、執拗に下方向へと突っ込むが、ブリ族の殆どは横方向に走る。また、ヒラマサは条件が変わらなければ一度アタッた距離で次のアタリが拾える事も多いが、これはそこにヒラマサが付いている沈み根があるからだ。それまでアタリがあった距離よりも極端に短い距離で急にアタッてくるのは大概がブリ族で、これも横方向への移動が激しいからだが、もし仮に短い距離でアタッて来たのがヒラマサだったなら、そこには別の沈み根がある事が殆どだ。但し、これらは中マサ(70cmクラス)以上の話で、警戒心が薄くマキエサに群がり易い60cm以下のチビマサは違う傾向になる。

 そういった捕食傾向のあるヒラマサだが、大型は警戒心が強いのか、周囲でライバルがエサを奪い合う等、状況に焦れた時は浮上するが、通常は沈み根の周囲かその手前の底層で上からこぼれ落ちてきたオキアミを悠然と小範囲に移動しながら拾っているように思う。実際に、この位置で掛けた大型の多くが一気に走るアタリではなく、ズルズルと出た後に急加速するアタリが多い事から裏付け出来るように思う。また、中間の75~85cmクラスは、サイズ的にも性質的にも中庸なので、ライバル数が増えると、チビマサのように上層に出て来る率が上がり、ライバル数が減ると底層中心でエサを拾うようになると思う。

 

■近頃の攻めパターン■

 

 底層に沈んで簡単に浮上しない相手へサシエサを届けるには、通常の「昔ながらの越前方式」である「リールの回転は制御せずにフリーで流し、サシエサの盗られ具合で発泡ウキのサイズと個数で浮力調整する」だけでは太刀打ちできず、例えば今期の玄達瀬だと中盤以降に上層を占めていたブリ族のアタリばかりを取る羽目になる。

 そんなブリ族ばかり、あるいはヒラマサであっても、玄達瀬では80cmクラス、白石グリでは70cmクラスばかりで大型が出そうにないと判断すると、ボクの場合は以下のようにアプローチ法を変えている。

 例えば150mでブリ族ばかりがアタって来る時のアプローチが、「初めの送り出しが20m、発砲ウキ8番を1個装着した仕掛をフリーで流している」だとしよう。「そのまま続けても結果は同じ」と、判断すると、ボクの場合は、ウキの番手を7番に落とし、初めの送り出しを40m、ラインを130mまでフリーで出した後に30秒の停止を入れ、そこからリールのメカニカルブレーキをそれまでの2/3程度でスプールが回転するように絞って、リール前に糸フケが出ないよう、確認しながら流す事を試みると思う。

 そしてそのままヒラマサのアタリが出れば大成功だが、アタリがない場合、160mまで流したらエサの盗られ具合を確認するために回収する。そこでサシエサが残っていれば停止の後、メカニカルブレーキを絞らずに流す。そしてそれでも残ったら発砲ウキを外して同じパターンで流し、それでも残れば送り出しの量を10mずつ増やしてみるだろう。

 逆に最初のアプローチでエサが盗られたら、送り出しの量を30mに減らして停止の位置を10m手前の120mにする。それでもエサが盗られるなら更に送り出しの量を10m減らし、停止位置を10mずつ手前にと、アタリが出るか、エサが時折残るようになるまで縮めてゆく。

 今年の玄達瀬では「これはデカい!」と思ったアタリのほとんどをこのようなパターンで取っている。ただし、海底や根際でアタる確率が高まるので、根ズレでバラす率も増えて来るのが難点だ。案の定だが、恥ずかしながらこれで「らしき魚」のアタリを5回も取ったのに、全てをバラシてしまった。

 上のパターンでヒラマサのアタリが出なければ、逆の奥側を攻める事になるが、ボクの場合は、そう感じたらブリ族のアタリが出ているセッティングのままで100m辺りで30秒の止めを入れてメカニカルブレーキを絞り、以後30m単位で10mの巻き戻しを入れて160mからは完全フリーで流す方法か、ワザと発砲ウキの浮力を上げてブリ族のタナを通過させる方法を選択すると思うが、上潮の影響をモロに受ける分だけ手前を攻めるパターンより難易度が上がる。

 尚、現代の完全フカセでは「糸フケを取る事は必須」とボクは考えている。初期段階での糸フケを取るには、停止して取る方法と巻き戻して取る方法の2パターンがあるが、ボクの場合は潮流が速い場合は停止優先、緩い場合は巻き戻し優先で行う。但し、その日のひらめきや状況判断でそれぞれを複合的に使う事も多々ある。それら全てを文章には起こせないので、曖昧な言い方になるが「そこは個人の経験則で」と言うしかない。

 「止めたり、引き戻したり」と言うと、「マキエサと同調しなくなるのでは?」と思う人も居るだろうが、「同調させるのは最初っから不可能に近い。」と言っておく。と言うのも、ラインが1.5号、ハリスが1.5号程度の磯のグレ釣りであっても余程の神経を使わなければ、たった20m程度離れただけでサシエサとマキエサを同調させる事は難しくなる。これは、その昔の釣りサンデーでも水中写真で確認していたが、紛れもない事実だ。

 従って、より抵抗のある6~10号ラインを使用し、複数のハリを引きずりながら50~300mも流すという、船からの完全フカセ釣りでは同調なんて狙って出来っこないワケで、実際には「何度も打ち分けたマキエサ溜りのどれかに偶然に入り込む」以外は、「マキエサが流れ込んでくる筋の中を仕掛が通過している」、もしくは「根の手前のどこかにマキエサが滞留する位置があって、そこに仕掛が差し掛かる」だけに過ぎないのだ。だから、安心して止めや引き戻しを活用して欲しい。

 ここまで、解り辛い文章で長々と説明したが、何となくでもイメージしてもらえただろうか?。ボクのブログをよく読んでもらうと解るが、大量の40~60mといった送り出しや、途中での停止や巻き戻しを頻繁に行うのは、普通の位置に浮きそうにないヒラマサをほじくり出すように狙うための手段なのだ。ついてはこれらが皆さんへのヒントになれば幸いだ。

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