■丹波路へ■
秋の紅葉シーズンの訪問で、その奥の深さを感じた丹波路。ボクの住む西宮市内からは1時間程の距離にあって、日帰り小旅行には丁度良い。そんな丹波路へ友人夫婦と共に向かった。
同じ丹波路地方でも京都府内側にある、丹波ワインを訪問し、
ワインを選んだ後は、兵庫県側に入り、柏原(かいばら)町へと向かう。
■鹿料理専門店■
柏原町に向かったのは、鹿肉料理専門店の無鹿(むじか)さんで昼食をとるためだ。
ここの”売り”は、もちろん丹波産の天然鹿肉を使用していることだが、野菜ソムリエの資格を持つオーナーシェフが創作する、四季それぞれの野菜を巧みに使った前菜類もすばらしい出来栄えだった。そして我々はそれらを築後約100年を経た町屋の中で味わうわけだが、その歴史が醸し出す独特の雰囲気が味わいに加わる。
ボク達全員が「お昼のコース」を頼んだのだが、この前菜にメインの鹿肉料理(2タイプの内、1つを選ぶ)とスープ、コーヒー、デザートまでが付いた基本の状態で¥1680。イメージからすると、もっと高くつくことを予想していただけに、驚きの価格設定だった。
メインの鹿肉料理は、赤ワインソースを使った料理を選んだが、その味わいはクセがなく、柔らかく、牛とは全く違うあっさりとしつつも奥深い味わいはクセになる程のウマさだった。
オーナーシェフは、どうやらCWニコル氏に傾倒しているようで、サインや関連書籍がレジカウンターの周囲に並べられていた。その中にあって興味を惹いたのは「鹿肉食のすすめ」という本だった。帰宅後に、その内容について調べてみたのだが、ナチュラリストとしても名高い氏は、増え過ぎた鹿による農業被害や森の荒廃を訴え、積極的に食することを強く勧めているそうだ。それは、森に暮らし、森を知る立場からの発言であり、その意味では「陸の上から『非人道的だ!』と反捕鯨を叫ぶ、どこかの人」とは違う重みがその言葉にあると思った。(加えて言うなら、CWニコル氏は、日本の食文化・漁業文化・生活文化を守る必要性から、信頼できるデータに基づくのであれば、捕鯨については賛成の立場をとっている。)
■丹波焼・立杭焼■
柏原町を後にして、一旦篠山城下に立ち寄った後は、そこから南西方向にある今田(こんだ)町へと向かう。ここは、焼き物の町だ。ここで生産される陶器は丹波焼(たんばやき)、立杭焼(たちくいやき)、あるいは丹波立杭焼と呼ばれ、瀬戸、常滑、信楽、備前、越前と並ぶ日本六古窯の一つとされている。
発祥は平安末期から鎌倉時代とされているが、江戸初期に登り窯が導入されたことが今日の発展の礎となっているそうだ。
現在では60軒近くの工房があるそうで、それぞれがそれぞれの作風で、日々生産している。ここで生産される陶器は目ん玉が飛び出すような高級品もあるが、主体は日常雑器のため、我々庶民が懐具合を気にせず購入できる陶器もギャラリーに多く並んでいる。
当日は訪問した時間帯が夕刻となってしまったために時間が少なく、あらかじめガイドブックでピックアップした工房のみを廻った。
まず最初は大雅窯(たいががま)という工房だった。
ここには、色彩が豊富でモダンアートとの融合した作風というべきか、カラフルな器類が並んでいた。
続いて向かったのが丹窓窯(たんそうがま)という工房で、ここは古くから英国の工房と人物の往来があり、それぞれの技法が影響し合って今に至るのだそうだ。特にスリップウェアーという技法が有名なのだそうだ。
そして最後に訪問したのが、丹波まるいち窯という工房だった。
ここには、ド素人のボクにも解りやすい作品が多く、今回の訪問では一番お気に入りとなった工房だ。また、手頃な価格帯での展開も多く、その意味でも嬉しい限りだった。
そして、妻と吟味し、購入したのは
の、三点だった。
今回は時間が足らず、数件しか訪問できなかったが、上述したように60軒近くもの工房がこの界隈には建ち並ぶため、一日掛けてもとても回り切れるモノではない。しかし、「ウマく考えた」と思うのが、この地区の東にある「立杭陶の郷(たちくいすえのさと)」という施設で、ここでは、丹波・立ち杭焼の歴史等が学べるうえ、「窯元横丁」という名の展示ブース群があって、そこには54軒もの工房が出展しているから、便利なことこの上ない。また、ここで予め好きな作風をセレクトしておいた後に効率良く工房を訪問するという方法もとれる。そして、次回はボクも、是非とも入館してから工房巡りに向かおうと思っている。
かく語ってきたが、ボクに芸術的素養があるワケでもなく、元より陶器類に興味があったワケでもなかった。しかし、そんなボクでも見ているうちに楽しくなってくるし、「これで食ったら、飯がウマそう。」なんて思えてくるから不思議だ。
自宅から近い距離でありながらも知らないことが多く、まだまだ奥の深い丹波路。次回の訪問が楽しみな今日この頃だ。
秋の紅葉シーズンの訪問で、その奥の深さを感じた丹波路。ボクの住む西宮市内からは1時間程の距離にあって、日帰り小旅行には丁度良い。そんな丹波路へ友人夫婦と共に向かった。
同じ丹波路地方でも京都府内側にある、丹波ワインを訪問し、
●以前にも紹介した、丹波ワインのワイナリー●
ワインを選んだ後は、兵庫県側に入り、柏原(かいばら)町へと向かう。
■鹿料理専門店■
柏原町に向かったのは、鹿肉料理専門店の無鹿(むじか)さんで昼食をとるためだ。
●鹿肉料理専門店の無鹿●
ここの”売り”は、もちろん丹波産の天然鹿肉を使用していることだが、野菜ソムリエの資格を持つオーナーシェフが創作する、四季それぞれの野菜を巧みに使った前菜類もすばらしい出来栄えだった。そして我々はそれらを築後約100年を経た町屋の中で味わうわけだが、その歴史が醸し出す独特の雰囲気が味わいに加わる。
●9品の前菜●
ボク達全員が「お昼のコース」を頼んだのだが、この前菜にメインの鹿肉料理(2タイプの内、1つを選ぶ)とスープ、コーヒー、デザートまでが付いた基本の状態で¥1680。イメージからすると、もっと高くつくことを予想していただけに、驚きの価格設定だった。
メインの鹿肉料理は、赤ワインソースを使った料理を選んだが、その味わいはクセがなく、柔らかく、牛とは全く違うあっさりとしつつも奥深い味わいはクセになる程のウマさだった。
●案内のパンフレット●
オーナーシェフは、どうやらCWニコル氏に傾倒しているようで、サインや関連書籍がレジカウンターの周囲に並べられていた。その中にあって興味を惹いたのは「鹿肉食のすすめ」という本だった。帰宅後に、その内容について調べてみたのだが、ナチュラリストとしても名高い氏は、増え過ぎた鹿による農業被害や森の荒廃を訴え、積極的に食することを強く勧めているそうだ。それは、森に暮らし、森を知る立場からの発言であり、その意味では「陸の上から『非人道的だ!』と反捕鯨を叫ぶ、どこかの人」とは違う重みがその言葉にあると思った。(加えて言うなら、CWニコル氏は、日本の食文化・漁業文化・生活文化を守る必要性から、信頼できるデータに基づくのであれば、捕鯨については賛成の立場をとっている。)
■丹波焼・立杭焼■
柏原町を後にして、一旦篠山城下に立ち寄った後は、そこから南西方向にある今田(こんだ)町へと向かう。ここは、焼き物の町だ。ここで生産される陶器は丹波焼(たんばやき)、立杭焼(たちくいやき)、あるいは丹波立杭焼と呼ばれ、瀬戸、常滑、信楽、備前、越前と並ぶ日本六古窯の一つとされている。
発祥は平安末期から鎌倉時代とされているが、江戸初期に登り窯が導入されたことが今日の発展の礎となっているそうだ。
現在では60軒近くの工房があるそうで、それぞれがそれぞれの作風で、日々生産している。ここで生産される陶器は目ん玉が飛び出すような高級品もあるが、主体は日常雑器のため、我々庶民が懐具合を気にせず購入できる陶器もギャラリーに多く並んでいる。
●ガイドマップ●
当日は訪問した時間帯が夕刻となってしまったために時間が少なく、あらかじめガイドブックでピックアップした工房のみを廻った。
まず最初は大雅窯(たいががま)という工房だった。
●大雅窯●
ここには、色彩が豊富でモダンアートとの融合した作風というべきか、カラフルな器類が並んでいた。
続いて向かったのが丹窓窯(たんそうがま)という工房で、ここは古くから英国の工房と人物の往来があり、それぞれの技法が影響し合って今に至るのだそうだ。特にスリップウェアーという技法が有名なのだそうだ。
●丹窓窯●
そして最後に訪問したのが、丹波まるいち窯という工房だった。
●丹波まるいち窯●
ここには、ド素人のボクにも解りやすい作品が多く、今回の訪問では一番お気に入りとなった工房だ。また、手頃な価格帯での展開も多く、その意味でも嬉しい限りだった。
●ギャラリー内●
そして、妻と吟味し、購入したのは
●茶碗(丹窓窯)●
●小鉢(丹窓窯)●
●茶碗(丹波まるいち窯)●
の、三点だった。
今回は時間が足らず、数件しか訪問できなかったが、上述したように60軒近くもの工房がこの界隈には建ち並ぶため、一日掛けてもとても回り切れるモノではない。しかし、「ウマく考えた」と思うのが、この地区の東にある「立杭陶の郷(たちくいすえのさと)」という施設で、ここでは、丹波・立ち杭焼の歴史等が学べるうえ、「窯元横丁」という名の展示ブース群があって、そこには54軒もの工房が出展しているから、便利なことこの上ない。また、ここで予め好きな作風をセレクトしておいた後に効率良く工房を訪問するという方法もとれる。そして、次回はボクも、是非とも入館してから工房巡りに向かおうと思っている。
かく語ってきたが、ボクに芸術的素養があるワケでもなく、元より陶器類に興味があったワケでもなかった。しかし、そんなボクでも見ているうちに楽しくなってくるし、「これで食ったら、飯がウマそう。」なんて思えてくるから不思議だ。
自宅から近い距離でありながらも知らないことが多く、まだまだ奥の深い丹波路。次回の訪問が楽しみな今日この頃だ。