中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

'22 春の経ヶ岬 ~6回目

2022-05-28 12:30:00 | 船釣り・釣行記
 今回も白石グリでの釣行記。お世話になったのはいつもの日本海41さん。振り返ればこの海域で最多の乗船回数になるのがこの船だが、90cm~98cmのヒラマサは覚えていないほどの数を釣ってきたものの、あと2cmの壁が超えられず、メータークラスを一度も釣った事が無かった。結果から言うと、それをようやく超える事が出来たのだが、今回はその顛末記だ。


■続く急潮■

 11時に現着すると、実釣開始。相変わらず急潮気味の状態が続くのだが、それを嫌ってマダイが絶好調な冠島に向かう船が多く、日曜日でありながら、当船の貸し切り状態だった。現場が込み合うと過去データに頼り切ってGPSに入れた位置に「ポン着け」する船長が間に入る事もあって、それが邪魔で潮速に合わせた位置取りが出来ないので、流し辛くなる事のあるのだが、当日はそんな心配も無く、日本海41の葉山船長はベストなポジションに入ってくれた。

●100mあたり3分と少々●


 前回の釣行時と似通った流れだったので、その日に骨格的だった「B.B.入サルカン0号と小型の水中帆のみとした仕掛けで、送り出しは潮流に合わせて30mとし、150m出た時点で20秒の止めを入れる」というパターンを組んで様子をうかがった。


■同じパターン■

 「一投目は200m付近まで。」と考えていたが、いきなり隣が116mでアタリを捉えて80cm前半クラスが登場した。回収するとボクの仕掛はサシエサが残っていたので、送り出しのみを40mに変更して流し直した。すると178mでラインが走ってアタリをキャッチ。そこから巻き上げに入ったが、数秒でフッと軽くなった。前回と全く同じ、縞フグのイタズラによる高切れだ。またもや120mほどをロストしてラインを充足する羽目になった。
 ラインを補充して再開したが、サシエサが盗られ気味になるため、止めて張る地点を手前に変更。送り出しは30mで「100mで20秒の停止、150mで5mの巻き戻し、そこから先はメカニカルブレーキを絞る」パターンに変更した。
 そしてそれが182mに達した時点でラインが走った。「縞フグよ、ジャマをするな!」と、ハラハラしながらやり取りを開始する。

●ここまでくれば大丈夫?●


 そこそこサイズではあるが、特大ではなさそうだった。そして無事にゲット。及第点サイズながらホッとした瞬間だった。

●93cm●


■痛恨のバラシ■

 1本獲った後はサシエサが盗られる一方になったので、発泡ウキ7~8番を入れてタナを調整してみたが、状況は変わらなかった。こういったパターンはヒラマサが上ずっていない時の"あるある”だ。サシエサの残り具合のみの判断でタナを上げていっても、ヒラマサが上層に割って出ないので、結局は到達した先のエサ盗りの餌食にって、いつまでも盗られ続けるからだ。
 そんな判断に行き着いたので、手前の深い位置を探ろうと発泡ウキを外し、1本目と同じパターンで流し直すと、タナは深目に入っているにも関わらず、不思議とサシエサが残ってきた。そこで「送り出しを40m、120mで20秒の停止を入れた後はフリーで流す」というパターンに変更すると、190mを超えたあたりで、ラインがスプールから吹き飛んでいった。
 ラインをフルスロットルで巻き取ってから大アワセを入れると「ズドンッ!」といった衝撃を伴いつつ、ロッドが絞り込まれた。
 「これはデカイ!」と思いつつ、ファースト・ランに対抗したが、なかなか言うことを聞かない。それでもなんとかラインを手で引き抜いて頭をこちら側に向けさせて距離を詰めたが、2度目の攻防で悲劇は起こった。

 最初の攻防で、「ややドラグが緩いかな?」と、感じていたので、少し締めてみたのだが、これが災いして「バチンッ!」という大音響と共にラインが180mを残してブチ切れてしまったのだ。
 これは覚えているだけで2度、玄達瀬で経験している。恐らくは相手の強烈な締め込みと、ハイパワー・タイプの電動リールの巻き上げ✙キツ目のドラグ設定が相乗して、ラインがスプール上で強烈に食い込んだ結果、大きくラインが凹んでキズ状になった事が原因だろう。
 守りではなく、攻めた結果なので仕方ないが、「電動の巻き上げに頼らず、手での引き抜きを続けていれば…。」と、思わなくもない…。

 大バラシの後は、午後2時を過ぎて、いつもの白石グリのように、ヒラマサは遅めの昼休憩に入ってしまった。


■挽回の後半戦■

 大バラシの後は、マダイやブリ族の外道がポツリポツリと釣れてはいたが、パッとした展開ではなかった。しかし、3時半を回るとそれまで釣れていなかったイサギが混じり出した事から、状況が変わっている感があった。
 そこで、「送り出しを30m、100mで20秒の停止、150mで5mの巻き戻し」を基準に、サシエサが盗られると「送り出しを25mに縮めて150mで5mの巻き戻し以降にメカニカルブレーキを絞る」アプローチに変更し、サシエサが残ると「送り出しを40mに延ばして120mで20秒の停止、160mで5mの巻き戻し以降にメカニカルブレーキを絞らず、フリーで流す」といったアプローチの間で毎回それぞれを組み合わせて調整していると、2投に1回の割合でアタリが出始めた。しかしそれらは外道からのモノだった。
 一投ごとに様々な組み合わせを試みてアタリを拾っていったが、送り出しが30mで120mで20秒の停止後、130mで捉えたアタリは予想を超える結果となった。

 アタリ自体はそれまで掛けていたブリ族よりも緩めであったものの、ファースト・ランは大した引きではなかった。船上の皆々様からは「メジロや、メジロ」と温かい言葉を掛けられ、ボクもその気?になっていたが、船下に来たあたりから執拗に真下方向に締め込んだ事から「これはホンマ物!」と判断し、慎重に距離を詰めていった。
 しかしながら、40mを切る頃になると何度もラインを引き出して、それ以上の層に上がってこない。

●執拗なツッ込みに耐える●


 「この動きは大マサに違いない。」と判断し、電動巻き上げを止め、ドラグを緩め気味にしてサミング&ポンピングで相手を極力弱らせる事に専念し、怯んだスキに20m、10mと引き寄せてようやくネットイン。船上で計測すると…。

●1mジャスト!●


 ジャストサイズだけど昨年に続くメーター級に大喜びの瞬間だったが、いささかこのヒラマサはボディの割に尾ビレ方向が短く、釣った本人と同じ「胴長・短足のポッコリお腹」の魚体だった。

●似た者同士?の2ショット●


 ヒラマサの処理後、続いて仕掛けを投入していった。それ以降は、大まかに言うと2投に1回の割合でアタリを取り続けたのだが、続くヒラマサは無いままにこの日の釣りが終わった。


■期待は高まるが…■

 ボクのヒラマサに対する生涯目標である「130cmオーバーを獲る事」が未達成の場合の二次目標は、メーター級を10本釣る事だった。そしてこの日、どうにかこうにか釣り人生で10本目のメーター級ヒラマサを獲ったが、その喜びよりも、2時頃の魚の方がキョーレツだっただけに、そちらの後悔の方が大きい。対策は考えているが、そう簡単に喰ってくるサイズではないと思っているので、後は運のみだろう。
 残る白石グリ釣行は後1回となった。その後は玄達瀬へと向かうが、春期ラスト釣行に対する思いも大きい。
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'22 春の経ヶ岬 ~5回目

2022-05-21 12:30:00 | 船釣り・釣行記
 時間が無いので、簡単に。

 今回の白石グリ釣行は、舞鶴市の伊佐津川左岸から出船している、倉丸さん。ご存じの方も多いだろうが、昨年までの第八大海丸さんが船を換えた為、再デビューしたという次第だ。
 倉橋船長のガイドで、昨年はボクの白石グリ記録であるところの119cmを仕留めたが、果たして今年は記録更新となるのだろか?。前回までのブログでは「調子が悪い。」と、愚痴をこぼすばかりだったように、条件的には期待していなかった上、朝一に「ブッ飛び潮が差している。」との情報が入っただけに、不安は増したが、「数は要らんが一発を…。」と、強がり半分で現地へと向かった。

 現着すると、ブッ飛びというほどでもなく、理想よりやや速め程度の潮流だった。

●100mあたり4分程度●


 それを受け、一安心。後は攻めをどう展開させるかを思案したが、とりあえずはB.B.入サルカン0号と小型の水中帆のみとした仕掛けを投入する。送り出しは潮流に合わせて30mとし、150m出た時点で20秒の止めを入れて様子をうかがった。
 すると、一投目から「ブィーン!」ではなく、切れ目なく継続してラインを流速よりも速く引き出すアタリを捉えたので、十分に糸フケを取ってから大アワセを入れると、「ドスンッ!」という重量感が伝わり、その後の、リールの巻き上げ音から、そこそこ大型と判断してやり取りを開始した。
 しかし、喜びはすぐに途絶えた。ブツンとした衝撃と共に何と125mで高切れしたのだ。回収すると、道糸に付いたピンクのマーカー部で切れており、このところ白石グリで沸いている縞フグの仕業と判断した。実際、この潮の速さの中でも浮上して、ボクの仕掛についた赤いウキ止めをかじろうとするのを肉眼で確認したが、肝心なところでトンデモなくタチの悪いエサ取りの登場にため息を漏らした。

 という事で、道糸の巻替えをしている間に隣で釣友が1本目のヒラマサをゲット。

●当日1本目の中マサ●


 電動リールのプログラム等で時間がかかり、焦りはラーメンの具のように“マシマシ”だった。何しろ今年の白石グリは時合が短い日が多いから、堪ったモノではなかった。

 どうやら釣友は仕掛を浮かせ気味にしているようで、早くも発泡ウキを通しているようだった。それに合わせようかと思ったが、今年の傾向から我慢我慢。そしてようやくラインが走って当日1本目の中マサをゲットした。

●遅ればせながら曲がる竿●


 その後は、送り出しを40m~25mに調整しているうちに、160mで中型のマダイをゲットする。

●マダイは全て70cm前後のサイズだった●


 そして気付けば周囲をイルカに取り囲まれ、時合は終わってしまった。

●イルカ…●


 近年の、白石グリのパターンとして2時頃までの時合が過ぎると3時半ごろまで、ピタッとアタリが途絶えるだけに、やや気がなえていた。
 それでも休んでいるヒマはない。イルカが立ち去ったタイミングで、「送り出しを40mとり、120mで20秒の一旦停止を入れ、そこからはメカニカルブレーキを絞って回転を抑えながら流してゆき、160mで5mの巻き戻しを行う」というパターンで流していると、168mで当日で一番派手なアタリでラインが吹き飛んでいった。
 「これはもしかして…。」と思いつつ、慎重かつ大胆にやり取りを開始した。

●「そこそこアルで~!(腹周りも…。)」●


 そして途中の突っ込みも回避し、ハリスも自分で手繰って無事にゲット。釣った本人と同様の、胴回りの太さから「メーターあるかも?」と思ったのだが…。

●当日最長寸の96cm●


 以降の流しからはエサが盗られ気味になったので、発泡ウキの8番を通して送り出し25mに変更。100mで20秒の一旦停止を入れ、そこからはメカニカルブレーキを絞って回転を抑え、140mから先は40mごとに5mの巻き戻しを入れながら流していったが、潮流は流速を更に増していた。

●100mあたり3分ほど●


 しかし、流速アップも何のその。ここからがお祭り騒ぎとなった。
 アタる距離は100~220mとワイドだったが、ヒラマサのサイズは75cmから85cmばかり、70cm前後のマダイを交えて、ほぼ入れ食いの状態になった。
 釣友の仕掛は発砲ウキが7番×2個と、やや回転の悪い予備リールの組み合わせでボクより上層に入っていただろうが、そっちにアタるのはヒラマサ・オンリー。対するボクは玄達瀬でよくある「マダイの捕食層に入って来る大マサ」を狙って、その層をドンピシャにキープしていたが、マダイ交じりで喰いは続くものの、最後の最後までメーターオーバーは顔を出さなかった。

右列のヒラマサ10本とマダイ&イサギがボクの分●


 「ブッ飛び潮」と言われる基準は100mあたり何分以下を指すのか理解していないが、玄達瀬での経験では2分30秒までなら何とか釣りこなしてきた。但し、これは水深と魚の着き場にも関係するのだが、70m台の水深であっても縞フグが遊泳出来るくらいだから、白石グリでも諦めずに攻めていると、案外良い結果が出るのかも知れない。

 「居ない居ない」とぼやいていたが、ボク自身が本格化のチケットを最初に掴んでしまった。今後も続くことを期待したいが…。白石グリへの釣行機会は残すところ2回となったが、さらなる大型を求めてチャレンジし続けてゆく。
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'22 春の経ヶ岬 ~4回目

2022-05-14 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■変わらない状況■

 例年よりも遅れてスタートした白石グリでのヒラマサ狙い。その後に上向いた日がわずかにあったが、良い船で1~2本という日が多く、パッとしない状況が続いている。原因としては、水温上昇が遅れていた事とベイトになるイワシ類が多い事だが、それだけなら、「いずれは好転して…」と、考えられなくもないが、それらとは別次元の、回遊量そのものが少ない事が理由なら今年全体の流れに繋がるだけに、かなり気になってくる。釣行日近辺でも、イワシ類が沸いてオキアミへの反応が鈍い日があっただけに、不安は膨らんでいた。
 そんな状況を嫌って90cm台前半クラスのヒラマサなら堅調で、それと共にマダイやイサギのお土産が一杯付く冠島周辺にほとんどの船が向かう中であっても、「狙いはメーターオーバー!」の一発狙い.。そんな思いに応えてくれる、いつもの日本海41さんに乗船して現地へと向かった。

■出足は好調?■

 現着し、早速潮流を計ってみると、ボク的にはベストの速さで流れていた。

●100mあたり5分15秒ほど●

 投入後、周囲ですぐにイサギが釣れ始め、しばらく経つと船首で80cm台前半のヒラマサが登場した事から「今日は高活性でイケルかも?」という印象だった。しかし、イサギらしき魚が当たったものの、ハリ外れ。それ以外ボクには全くアタリが出ないままに、開始1時間半ほどで周囲のアタリも沈黙し始めた。
 この状況に「デカいのが周囲に居るのかも?」と思い、ここでそれに合わせた仕掛の浮力を調整しようと、一思案。「少し沖のエサが盗られる層の上か、手前の下層か?。」との判断に迷ったが、ここまでの活性感から「上」と判断してまずは100mで40秒の停止。そこから先は仕掛の張りを強めて流してみた。とりあえず180mまで流してみたが、エサが盗られたので発泡ウキの7番、それでも同じだったので8番にして流していた。
 「これでダメなら、手前の深いところかな?」なんて考えていると、右隣りでアタリ・アラームが鳴って、目をやると物凄い勢いでスプールが逆転していた。そしてこれでゲットしたのが1m5cm。話を聞くと浮力体は装着せずに送り出しを多めにとったという事で、どうやらボクの判断とは反対の「手前の下層」に仕掛けが入っての結果だったようだ。自身が狙っていいるつもりだったサイズだけに判断のマズさを悔やんだが、後の祭り。以後は潮流の流速が落ち、角度も変わってイサギすらアタらない、沈黙の時間がやって来た。

■最後っ屁■

 角度が変わり、エサが盗られるだけでほとんどなにも掛からない状況下、船長が移動を決意したがそこもダメ。次いで潮流の角度が変わったのを受けて全範囲調子のよかった位置に戻る事になった。
 再々スタート後はポツンとイサギやマダイを周りで喰わせていたが、ボクはここまで外道すら手にしていなかった。「せめてイサギでも掛かれば手掛かりになるのに…。」と思っていたが、それすら得られない状況が続き、残り時間は数回流せるかどうかとなり、完全丸ボーズを覚悟していた。
 この時点ではヒラマサは手前に居るのだろうと予測していたが、B~4Bのガン玉を打っての探りでは答えが得られなかったので、「ここはシンプルに」と、小型の水中帆とサルカンのみとして送り出し量の調整と張り具合での調整に変更した。
 最初の流しは送り出しが30m、この頃になると緩み始めていた潮流に対しては100mで40秒の張りを入れて150mで回収したが、これも空振り。残り時間は3投程度。エサが盗られていたので、送り出しは15mとし、同じ位置で張ってやろうと流し始めたが、その前の78mでリールが「ブィーンッ!」と急速逆転を開始したの受け、この日初めてのやり取りを開始した。
 しかしながら、この日のヒラマサが喰ってきた距離よりもかなり短い点と、殆ど掛けた実績のない時間帯という事から、当初は「正体はブリ族?」と、思わなくもなかったが、その後の走りからヒラマサと確信する。

●ウレシイ、真下方向への引き●

 求めていたキョーレツな引きではなかったが、贅沢を言えるハズもなく、味わいながらも慎重に距離を詰めて無事にネットイン。

●86cmのヒラマサ●

 ようやくの一本に安堵したが、満足したワケではない。更にサイズアップすべく残り2投を行ったが、続く魚はないままに、この日の釣りが終わった。


■今後の展開は?■

 当日のヒラマサは限りなくマグレに近い状態で得た結果だが、それを含めて全てのヒラマサが手前の深い層で喰って来た事と、隣の1m5cmが船上で、かなりの数のイワシを吐いていたのを目撃した事もあって、最上段で記した「パッとしない状況」は「かも?」の域を超えて現実となりつつある。但し、これは昨年から続く傾向であるため、そこからの経験から「数は出ないが、最小限をひねり出す」ための方策は頭に浮かんでいる。今後はそんな攻めを実践してゆくつもりだが、果たして結果はどうなる事やら…。
 ではあるが、苦労してひねり出すより「スカッ」と好釣果を得た方が気持ちも晴れる。ネット情報では但馬海岸や、すぐ隣の中浜では、ようやく中~小型の回遊が本格化したようなので、少しは良い兆しが白石グリにも伝播し始めるだろう。とにかく残り少ない白石グリへの釣行と、その後に続く玄達瀬への釣行のどこかで状況が好転する事を祈るばかりだ。
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「初動対応の遅れ」の話

2022-05-07 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 良い話ではないが、「初動対応の遅れ」とは、緊急事態等の有事にニュース等で流れる事が多く、その結果、後手後手に回って、以後に悪影響を及ぼし続ける様に繋がる。
 こんな話はコロナ禍での報道や、その後迷宮入りした犯罪捜査の報道等で溢れかえっていたので、ボクがわざわざ説明しなくてもイイのだが、ヒラマサの完全フカセ釣りでもこの「初動対応の遅れ」は以後の展開が不利になって、「結果はバラシ。」という率が高まる。
 で、今回はそれにまつわる話。


■ヒラマサは磯魚?■

 これはこのブログで何度もした話だが、同じ回遊魚であってもブリ族とヒラマサは習性が違う。ハリ掛かりして危機を感じた際に、海中に沈み根等の障害物の上を走るのがブリ族で、障害物の間に突っ込むのがヒラマサだ。だからブリ族への対応は多少遅れても何とかなるし、やり取りの最中にドラグやその他の操作でラインを放出できるので、ボクが磯釣り師だった頃は周りを含めて1.5号~2号のハリスでブリクラスを当たり前のように仕留めている。
 これに対してヒラマサは障害物の際や間に走り込むのでそうは行かない。大型になればなるほど掛けた地点から取り込みまでの間にある根周りを見つけてはその度に突っ込むので、執拗かつ傾向は顕著になる。よって、回遊魚でありながらグレやイシダイと同じタイプの磯魚の性質をもった魚だから、安易にドラグを使ってラインを送り出すと、根ズレでアウトになる。


■勝負の30秒■

 「アタリが出た後にモタつく」釣り人を現場でよく見かける。例としては、オートで掛かるフカセクラッチが付いたリール以外を使用していて、バックラッシュを起こしてそれをほどく間にサヨナラされる人、クラッチを入れたまでは良いが、その後すぐスロットルをフルにしない、あるいは全く入れないままでアワセの動作をしている人がそれにあたるが、それらの無駄、あるいは緩慢な動作が、いかに釣り人側を不利に導くかを説明する。

 船上から撒かれたオキアミは当然ながら潮上から流れて来る。これを喰うためにヒラマサも当然潮上に向かって喰い上がって来る。(低活性時は別)そしてマキエサの流れる筋に紛れ込んだサシエサを口にした後に反転して元の位置に戻ろうとするが、この時の動きがアタリとなってリールに現れる。従ってモタモタしていると刺さったハリやハリス&ラインの違和感を感じて反転&加速し、根周りに突っ込んでしまうのだ。
 従ってヒラマサとのやり取りで一番大事なのは、サシエサが相手の口に入ってから30秒以内の攻防で、ここで遅れをとると、ゲット率はグンと下がり、大型になればなるほど顕著になる事を肝に銘じて欲しい。

 スピードに乗った魚は急な方向転換は出来ないが、中でもヒラマサは器用な部類に入ると思うので、反転するまでの時間は短い。だから、こちら側にスキがあってはならない。
 よくこのブログに「30秒止めて」や「10m巻き戻して」と記しているが、これは糸フケを嫌っての事だ。ラインを出しっぱなしにして二枚や三枚潮の中、S字やW字状に糸フケが出た状態になっている時は狙った魚にサシエサが届く率が下がる上、運良くアタリがリールに出ても、タイムラグが出てしまい、違和感を感じたヒラマサに、相当な距離を既に稼がれているために即根ズレとなる確率が高まるからだ。従って、この糸フケの処理が前段階での準備になる。そして続くアタリが出てからが、この先の初動対応になる。


■初動対応■

 ヒラマサに対峙する釣り人が極力スキを作らない事が大切だが、その為に一連の動作を習得するのが早道となろう。以下はボクのパターンなので参考になれば幸いだ。
 まずアタリが出たらスプールを指で押さえてクラッチ・オン。(フカセクラッチ付きモデルは不要)次いでアクセルレバーをフルスロットルにしてからロッドをキーパーから外す。そしてラインの糸フケが取れて魚の重みを感じた時点で大アワセを入れるが、不足を感じた場合は二度アワセ、三度アワセを行う。
 ラインとの角度を90度付近になるよう、ロッドを上段に構えてリールの巻き上げ状態を確認する。そして巻き込みが十分でなければ左手でロッドを保持したままで、右手でラインを掴んで糸を抜いてリールに送り込むか、ポンピングで距離を詰めてゆく。
 ここまで書くと強引なやり取りに思えるかも知れないが、初動対応のキモは相手に反転するスキを与えない事に尽きる。上段で記したように、殆ど場合でサシエサを咥えた瞬間のヒラマサはこちらの方を向いているので、理想を言えば、そこから反転するチャンスを与えないよう、「頭をコッチに向けたまま」にするのだ。どうしても出てしまう糸フケ等の影響で頭がコッチに向き切っていなくても完全な疾走状態になる前であれば、ラインのプレッシャーを掛けていると、魚体に横方向の力が掛かるので、多少手こずっても、やがてはそれに負けて頭をコッチに向ける事も多い。よって「勝負の30秒」という理由はここにあるのだ。

 ボクの場合は、春の白石グリ釣行ではファイト開始時のドラグ値を4~
6kg辺りに設定して微調整を行っているが、これを支えるのが太ハリスだ。ハリス=8~10号&ライン=6~7号の組み合わせであれば、1mを超えるサイズであっても充分対応可能になる。(魚体にパワーが付く初夏以降の玄達瀬では更に太くなる。)
 また、ボクが電動リール、それも分速200m以上のハイスピードタイプを使うのは、この最初の30秒に、どう対応し、如何に大型ヒラマサに対して優位に立つかを考えているからであり、逆の意味では手巻きリールでは追いつかない(と、思っている)サイズを狙っているからだ。

 自分にアタリが出ないヘボさをさて置いて、他人の釣りを眺めていると、アタッた際の対応のマズさでバラすシーンを見るにつけ「モッタイナイ」と心中でつぶやき続けている。
 完全フカセ釣りはルアー系や生きエサ系と違って、マキエサの流れる筋に仕掛けを流し込まなくてはならないので、ラインとのバランスを考えると12号ハリス辺りが限界の釣りだが、最初の30秒を適切に対処する事で随分と有利な展開が可能になるのだ。要はモタモタして「防御?」している間にヒラマサに好き放題されてバラすのなら、「最初から攻めに徹した方が結果は上向く」という話だ。
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