今回は高速道路料金が値下げになったことを受けての遠征釣行だ。行き先は岐阜県の最奥部にあり、富山県との県境に近い高原川(たかはらがわ)だ。ここは上流部に北アルプスの穂高方面を望む↓
(中心部にうっすらと見えるのが、その北アルプスの一部)
位置にあり、温泉やキャンプ場なども豊富で、風光明媚な景勝地でもある。東京方面からも松本経由で安房トンネルを抜ければそんなに時間はかからないので、全国各地からの釣り人が訪れることでも有名だ。
この川に決める迄に色々と迷ったが、稚魚や成魚の放流事業を地元の漁協がしっかりと管理しており、魚影が濃いことと、流域が長くサンデーアングラーの私が訪れても入る場所に困らない、という条件を満たしていそうなのが決め手になった。しかしながら、事前の情報では「ヤマメの放流量は27万匹にも及び、数、型共に満足できる河川」という記述がある反面「マナー違反のオッサンが下流から追い越して目の前で釣り始めた。」だとか「先行者が多く居たのでB級ポイントにしか入れなかった。」との記述もあったので不安もあったのは確かだ。
しかし、ここは男らしく?腹をくくり「当たって砕けろ」の精神と「グレ釣りでいえば愛媛県の中泊くらいの雰囲気かな?」と勝手な想像で気持ちを落ち着かせながら、自宅のある兵庫県西宮からの出発を決意する。ここから現地まで4時間弱かけてのドライブだ。
岐阜県中~北部は全国にある「渓流釣り場の本山」の内の一つとも言える地域だが、郡上八幡あたりから北では特にそれを感じる。なにしろ入漁証(遊漁証)の他、シーズン中にはミミズやブドウ虫といった市販の渓流エサを常備するコンビニが存在するのは当たり前、更に驚くのはエサとしては本格的な、川虫(主にキンパク)を取り扱うコンビニまでがあるのだ。それらを24時間入手可能な体勢はワタシのような遠征組の「夜討ち朝駆け釣行者」にとっては本当に有り難く、先進性?すら感じてしまう。
ただし、この日はエサは事前に用意していたので、入漁証のみを飛騨市神岡町にあるコンビニで購入し、その後は高原川沿いを走る国道471号線を更に東へと向かった。
入渓ポイントは浅井田ダムより上流と決めていたので、そのあたりで河原に入れそうな道を物色していったが、そんな場所で自分以外の車を見かけたのはたった1台のみ。「これなら楽勝!」と思い、笹嶋という地区にある吊り橋の横↓
に車を止め、仮眠をとった。
夜明けと共に実釣開始。キンパクのエサ↓
をつけて投入すると早々にアタリがあり、20cmくらいのイワナ↓
をゲット。その後は退屈しない程度にアタリがあり、川沿いを歩くムードも軽快な足取りになりつつ、釣り上がって行けた。
しかしながら、イワナばかりでヤマメがアタらない。これは前日の土曜日に皆が叩いた後だからなのだろうか?。ここで作戦を練り直し、いわゆる竿抜けしていそうな場所を探すことにした。浅い瀬(チャラ瀬?)にある掘れた部分を攻めるが、無反応。次は逆の発想で周囲では一番深そうな瀬↓
を見付け、その頭の部分の最深部に潜り込ませるイメージで流し始めた。
オモリを重くしてゆくこと数度、深く仕掛が入ったと思った瞬間にアタリがあり、ようやく23cmのヤマメ↓
をゲットした。
その後はまたポツポツとリリースサイズを含めたイワナが当たるが、ココまでで型の良い魚は手にしていない。だが、良いペースで釣れているので、ある程度のパターンは読めるようになっていた。
仕掛の投入を繰り返す内、とある瀬脇にある石裏のタルミに目が行った。「大きなイワナが居そうだ。」という予感めいたものがあったので、タルミの中を仕掛が流れに沿ってグルグルと回るように仕掛を操作していく。数投目、目印の変化と共に「ゴンッ」という手応えが竿を持つ左手に伝わった。と同時にこの日一番の引きがロッドを襲った。ハリスは0.2号なので、無理は出来ない。しかしながらワタシには磯で培った経験があるので、慌ててはいなかった。場所的には開けており、ハリスが触れて切れそうな障害物は少ないので、慌てずに竿を操作していく。しばらくやり取りした後に御用となったのがこのイワナ↓
で、サイズは34cmの↓
いわゆる尺イワナというヤツだ。
(※このところ気付いたのだが、大きめの渓魚は磯釣りでいえば、青物を細ハリスで掛けた時のイメージで釣るとイイような気がしている。それは、走り出した相手に対して横からのプレッシャーを掛け続けて「常に泳がすことで疲れさせ、知らぬ間に向きを変えさせる」といった感じだ。この方法がどのタイプ、どのサイズの渓魚に有効なのかは今のところ判断できないが、しばらくはこのスタイルで通そうと思っている。)
その後、更に釣り上がりつつ上流を目指していったが、ヤマメ が1匹しか出ていない。そこで、ヤマメに良さそうなポイントを見付けて↓
じっくり攻めていくと、数は少ないものの、丸々と太った24cm↓
が最大ながら、あと3匹追加できた。
だが最大の山場はココにあった。
ヤマメを釣りつつ、前述した良型イワナをゲットした条件と同様のポイントを流芯脇に見付けたので、ソコに仕掛を投入すると、絵に描いた様なアタリが出た。引きから想像すると相手は更なる大型イワナのようだ。そこで慎重にやり取りを繰り返し、魚の動きに合わせて河原を移動する。ハラハラ・ドキドキしながらも何度かの締め込みをかわしてようやく玉網に収めたが、正体は玉枠からしっぽが大きくハミ出すほどのサイズ=40cm強のイワナだった。
が、しかしである。写真撮影のためにポケットを探っていた隙に、このイワナ君は、そのハミ出したしっぽを大きく振ってドッタン・バッタンを始めたらしく、ワタシが気付いた時には陸上でハリスを振り切ったうえ、既に水際に居たのである。慌てて取り押さえようとした瞬間、ワタシの殺気を感じたのか最後の力を振り絞って水中へ。勢い余ったワタシもつまずいて同様に右頭から水中にドボン!。幸いウェーダー内への水の進入はなかったが、右上半身はズブ濡れになったうえ、偏光サングラスを折るオマケまでが付いたのである。
この時点で正午を大きく回っていたので、ココであきらめがついて一旦車に戻り、昼食と共に午後からの戦略を練ることとした。
「もうイワナは充分釣ったので、あとは良型ヤマメを…」との思いで、とある釣り雑誌に載っていた下流部のポイントへと約15kmの大移動を行った。たどり着いたのは神岡町の市街地を抜けてすぐのところ↓
だった。ココでは日没まで粘ってヤマメ↓
を5匹追加追加したが、残念ながら中~小型が中心で、上流部での最大サイズを上回ることは出来ないまま納竿時間を迎えた。
さて、高原川の感想を…。
ここは前評判通り、数、型、魚のコンディションの全てが揃う川だった。オマケに心配された混雑もなく、思い切って竿を振ることが出来たので、気持ちの良い一日を過ごせて幸せな気分だった。混雑具合は時期やタイミングによって変わるだろうが、流域が長いので有名ポイントを外せば嫌な思いをせずに楽しむことが出来ると思う。
この日、ワタシが入ったのは高原川の本流部のみだったが、ソコでは河原に障害になる様な木々が少ないので長竿が有利のようだ。具体的には本流の浅井田ダムの上流部あたりでは6~7m、それよりも下流部では7~8mあればイイと思う。また、この日の当たりエサは「キンパク」だったが、他の川虫も含めてこの日の条件では現地調達が難しかったので、事前に入手した方が賢明だと思う。
今まで中国山地の渓流でさまよい、苦労をした原因が「自分の腕ではなく川の状況だった」と思えるくらいの釣果で高原川はワタシの期待に応えてくれた。何しろアタリの数は40を越え、魚のキープ数はイワナ&ヤマメのトータルで21匹という結果だったのだ。この日ですっかり味を占めたワタシ…。高速道路料金が安い間は、しばらく岐阜県下の川通いが続きそうな今日この頃である。
(中心部にうっすらと見えるのが、その北アルプスの一部)
位置にあり、温泉やキャンプ場なども豊富で、風光明媚な景勝地でもある。東京方面からも松本経由で安房トンネルを抜ければそんなに時間はかからないので、全国各地からの釣り人が訪れることでも有名だ。
この川に決める迄に色々と迷ったが、稚魚や成魚の放流事業を地元の漁協がしっかりと管理しており、魚影が濃いことと、流域が長くサンデーアングラーの私が訪れても入る場所に困らない、という条件を満たしていそうなのが決め手になった。しかしながら、事前の情報では「ヤマメの放流量は27万匹にも及び、数、型共に満足できる河川」という記述がある反面「マナー違反のオッサンが下流から追い越して目の前で釣り始めた。」だとか「先行者が多く居たのでB級ポイントにしか入れなかった。」との記述もあったので不安もあったのは確かだ。
しかし、ここは男らしく?腹をくくり「当たって砕けろ」の精神と「グレ釣りでいえば愛媛県の中泊くらいの雰囲気かな?」と勝手な想像で気持ちを落ち着かせながら、自宅のある兵庫県西宮からの出発を決意する。ここから現地まで4時間弱かけてのドライブだ。
岐阜県中~北部は全国にある「渓流釣り場の本山」の内の一つとも言える地域だが、郡上八幡あたりから北では特にそれを感じる。なにしろ入漁証(遊漁証)の他、シーズン中にはミミズやブドウ虫といった市販の渓流エサを常備するコンビニが存在するのは当たり前、更に驚くのはエサとしては本格的な、川虫(主にキンパク)を取り扱うコンビニまでがあるのだ。それらを24時間入手可能な体勢はワタシのような遠征組の「夜討ち朝駆け釣行者」にとっては本当に有り難く、先進性?すら感じてしまう。
ただし、この日はエサは事前に用意していたので、入漁証のみを飛騨市神岡町にあるコンビニで購入し、その後は高原川沿いを走る国道471号線を更に東へと向かった。
入渓ポイントは浅井田ダムより上流と決めていたので、そのあたりで河原に入れそうな道を物色していったが、そんな場所で自分以外の車を見かけたのはたった1台のみ。「これなら楽勝!」と思い、笹嶋という地区にある吊り橋の横↓
に車を止め、仮眠をとった。
夜明けと共に実釣開始。キンパクのエサ↓
をつけて投入すると早々にアタリがあり、20cmくらいのイワナ↓
をゲット。その後は退屈しない程度にアタリがあり、川沿いを歩くムードも軽快な足取りになりつつ、釣り上がって行けた。
しかしながら、イワナばかりでヤマメがアタらない。これは前日の土曜日に皆が叩いた後だからなのだろうか?。ここで作戦を練り直し、いわゆる竿抜けしていそうな場所を探すことにした。浅い瀬(チャラ瀬?)にある掘れた部分を攻めるが、無反応。次は逆の発想で周囲では一番深そうな瀬↓
を見付け、その頭の部分の最深部に潜り込ませるイメージで流し始めた。
オモリを重くしてゆくこと数度、深く仕掛が入ったと思った瞬間にアタリがあり、ようやく23cmのヤマメ↓
をゲットした。
その後はまたポツポツとリリースサイズを含めたイワナが当たるが、ココまでで型の良い魚は手にしていない。だが、良いペースで釣れているので、ある程度のパターンは読めるようになっていた。
仕掛の投入を繰り返す内、とある瀬脇にある石裏のタルミに目が行った。「大きなイワナが居そうだ。」という予感めいたものがあったので、タルミの中を仕掛が流れに沿ってグルグルと回るように仕掛を操作していく。数投目、目印の変化と共に「ゴンッ」という手応えが竿を持つ左手に伝わった。と同時にこの日一番の引きがロッドを襲った。ハリスは0.2号なので、無理は出来ない。しかしながらワタシには磯で培った経験があるので、慌ててはいなかった。場所的には開けており、ハリスが触れて切れそうな障害物は少ないので、慌てずに竿を操作していく。しばらくやり取りした後に御用となったのがこのイワナ↓
で、サイズは34cmの↓
いわゆる尺イワナというヤツだ。
(※このところ気付いたのだが、大きめの渓魚は磯釣りでいえば、青物を細ハリスで掛けた時のイメージで釣るとイイような気がしている。それは、走り出した相手に対して横からのプレッシャーを掛け続けて「常に泳がすことで疲れさせ、知らぬ間に向きを変えさせる」といった感じだ。この方法がどのタイプ、どのサイズの渓魚に有効なのかは今のところ判断できないが、しばらくはこのスタイルで通そうと思っている。)
その後、更に釣り上がりつつ上流を目指していったが、ヤマメ が1匹しか出ていない。そこで、ヤマメに良さそうなポイントを見付けて↓
じっくり攻めていくと、数は少ないものの、丸々と太った24cm↓
が最大ながら、あと3匹追加できた。
だが最大の山場はココにあった。
ヤマメを釣りつつ、前述した良型イワナをゲットした条件と同様のポイントを流芯脇に見付けたので、ソコに仕掛を投入すると、絵に描いた様なアタリが出た。引きから想像すると相手は更なる大型イワナのようだ。そこで慎重にやり取りを繰り返し、魚の動きに合わせて河原を移動する。ハラハラ・ドキドキしながらも何度かの締め込みをかわしてようやく玉網に収めたが、正体は玉枠からしっぽが大きくハミ出すほどのサイズ=40cm強のイワナだった。
が、しかしである。写真撮影のためにポケットを探っていた隙に、このイワナ君は、そのハミ出したしっぽを大きく振ってドッタン・バッタンを始めたらしく、ワタシが気付いた時には陸上でハリスを振り切ったうえ、既に水際に居たのである。慌てて取り押さえようとした瞬間、ワタシの殺気を感じたのか最後の力を振り絞って水中へ。勢い余ったワタシもつまずいて同様に右頭から水中にドボン!。幸いウェーダー内への水の進入はなかったが、右上半身はズブ濡れになったうえ、偏光サングラスを折るオマケまでが付いたのである。
この時点で正午を大きく回っていたので、ココであきらめがついて一旦車に戻り、昼食と共に午後からの戦略を練ることとした。
「もうイワナは充分釣ったので、あとは良型ヤマメを…」との思いで、とある釣り雑誌に載っていた下流部のポイントへと約15kmの大移動を行った。たどり着いたのは神岡町の市街地を抜けてすぐのところ↓
だった。ココでは日没まで粘ってヤマメ↓
を5匹追加追加したが、残念ながら中~小型が中心で、上流部での最大サイズを上回ることは出来ないまま納竿時間を迎えた。
さて、高原川の感想を…。
ここは前評判通り、数、型、魚のコンディションの全てが揃う川だった。オマケに心配された混雑もなく、思い切って竿を振ることが出来たので、気持ちの良い一日を過ごせて幸せな気分だった。混雑具合は時期やタイミングによって変わるだろうが、流域が長いので有名ポイントを外せば嫌な思いをせずに楽しむことが出来ると思う。
この日、ワタシが入ったのは高原川の本流部のみだったが、ソコでは河原に障害になる様な木々が少ないので長竿が有利のようだ。具体的には本流の浅井田ダムの上流部あたりでは6~7m、それよりも下流部では7~8mあればイイと思う。また、この日の当たりエサは「キンパク」だったが、他の川虫も含めてこの日の条件では現地調達が難しかったので、事前に入手した方が賢明だと思う。
今まで中国山地の渓流でさまよい、苦労をした原因が「自分の腕ではなく川の状況だった」と思えるくらいの釣果で高原川はワタシの期待に応えてくれた。何しろアタリの数は40を越え、魚のキープ数はイワナ&ヤマメのトータルで21匹という結果だったのだ。この日ですっかり味を占めたワタシ…。高速道路料金が安い間は、しばらく岐阜県下の川通いが続きそうな今日この頃である。