■消化不良■
前週に初釣りが済んだのだが、何となく消化不良気味だった。特に本命のメダイは1匹のみで、アフターに「メダイ三昧」を当て込んでいた我が家では少量の刺身と鍋物を食したのみで、西京漬けその他までには至らず、その意味でも消化不良だった。普段のボクであれば食いたいが為に狙う魚はほとんど無いが、このメダイは別であり、「なんとか数匹を」と、早速再挑戦することになった。
今回乗船したのは滝ヶ浦遊船という船で、東舞鶴から出港している。
以前にどこかの記述で「サービスも良い船」と読んだが、そのとおりであり、船長は気さくなタイプの人柄だから初めての場合でも安心して乗船できると思う。また、今回、乗合希望者は少人数だったが、それでも出船に応じてもらえたことも有り難い点だ。
■魚礁周り■
同船したもう一人の釣り人も「メダイが欲しい」とのことだったので、まずは魚礁周りで天秤ズボ仕掛を用いてそれを狙うことになった。
ところで、今シーズンのメダイは出遅れなのか、個体数が少ないのか判らないが、釣果は伸びていないようだ。つい数年前までは専門に狙うと一船30本なんて釣果はザラにあったそうなのだが、昨シーズンは二桁がやっと、今シーズンに至っては良くて数匹という釣果が若狭湾一帯で続いているそうだ。
ボクがメダイに興味を持ったのは昨シーズン、つまり一昨年の10月だったから、言わば全体に下降線をたどっている釣果をトレースしながら釣行を繰り返していたことになる。欲しくなればなるほど遠退く釣果だが、それでこそ意地になるわけであり、簡単に釣れるのならもう飽きていたのかも知れない。同船したベテラン釣り師も同意見で、昔は近所にお裾分けしても食い飽きて「もう要らない。」と言われるほど釣れていたのが、ここ近年では「メダイの西京漬けが食べたい」と、逆にリクエストを受けるほどに変化しているそうだ。
で、そのメダイ狙いだが、一つ目の魚礁でそれらしき反応が魚探に出たのだが、仕掛を投入しても一向にアタらず、エサの取られ具合から判断しても反応の鈍さが感じられる中、ハリに掛かるのは少量の外道のみだった。結局ここを諦めて移動をすることになった。
船は途実績のあるポイントで魚探をかけつつも、経ヶ岬沖方面へと向かったが、途中の魚礁ではほとんど良い反応はなかった。
■白石グリへ■
良い感度を得られないまま、結局、通常の航程では最西端になる白石グリに到達した。聞けばこの近辺は前週に漁船団が網を入れたことから、全般に食いは落ちているようで、その実、途中の魚礁と同様に魚探に写る感度は低く、魚の気配を強く感じるところは少なかった。
それでも船長は丹念に魚探を掛け続け、瀬の落ち込み部分にある小さな反応を見つけ出した。そしてアンカリング。そこを完全フカセで狙い、ダメだったらまた他を探すつもりのようだった。
2~3投目だったであろうか、マキエサが効き始めた途端に同船者の竿が大きく曲がった。何とそれは本命のメダイだった。しかし、仕掛は完全フカセではなく、カゴと小型のオモリを使った“カゴフカセ”仕掛だった。
それでも最初のうちは「マキエサがもっと効けば魚のタナが上がってボクにアタるだろう。」と、高を括っていた。
しかし、続いてのアタリは、船長の竿だった。それは中型のマダイだったが、続いてダブルと船長の釣果は順調に伸びてゆく。「今度はボクの番」と思ったら、右側の同船者にアタリと、ボク一人が蚊帳の外だった。
■蚊帳の外からの一匹■
不調は、自分の仕掛のどこかが周囲と違ってサシエサの流れるタナが合っていないことが原因だ。そしてこういった場合は周囲に「どんな仕掛を使っているか?」を素直に聞くことが釣果を得る近道だ。
聞けば、基本のタックルからして違いがあった。それはボクの道糸だけが7号で、他の二人は6号だったことだ。完全フカセでは比重の重いフロロカーボン製の道糸を使うが、当然号数が大きいとそれだけ沈みが早くなる。だから気付いて以降は発泡ウキをサルカン部に入れて浮力を上げたのだが、それだけの工夫ではアタリが出る気配はなかった。
「となれば、仕掛の本体だろう。」ということで確認すると、船長は3本バリで全長が12mの仕掛を使っているそうだ。ボクの使っていたのは2本バリ、6mの仕掛だったが、船長の仕掛の方がハリ数が多い分だけ潮流の抵抗をより多く受けて潮乗りが良くなる。ハリ数については一概に「多いほど良い」とは言えない部分があるのだが、少なくとも釣果が出ている以上は当日の潮に合っていたということだろう。
また、送り出しという、流し始めに手たぐりで無抵抗に繰り出す道糸の量が船長の30mに対してボクが20mと、随分少なかったので、その分初期段階での馴染みが悪く潮乗りも減殺されていた。そこで、これらの違いを元に頭の中で以降の展開を組み立て直すことにした。
「沈み具合は発泡ウキで調整済みだが、船長の仕掛に対してこちらの仕掛は短い。」ということは、「送り出しで船長よりも更に多く繰り出せば、馴染みの悪さが挽回できるかも?」と思い、思い切って送り出しの量を40mとしてみることにした。
そして、そうやって流した仕掛に魚が応えてくれ、船長達が掛けた140mあたりで一気にスプールが急速回転し、ラインがはじけ飛んでいった。
引き具合からして中型のマダイと判断できたが、時間を掛けてようやく掛けた魚だけに緊張しながらのやり取りを繰り返す。そして無事に玉網へと導き、ようやくこの日の一匹目をゲットした。
■続く魚は…■
完全フカセの場合は「一度仕掛けが合えば釣果が続く」と言われているので、慌てて次の魚を得るべく仕掛の投入を再開する。
しかし、ようやくの一匹を釣った時からイヤな予感があった。それは船が風に振られて大きく移動し、やり取りの途中から、魚が船首の方向からやって来ることに気付いたからだ。そしていつものようにボクの場合は、イヤな予感がどうにもこうにも当たってしまうのだ。
次の流しからは船首方向、つまりは釣り人が言うところの”アンカー潮”になっていた。勿論、完全フカセ釣りでは最悪の潮だ。
状況改善のため船長はアンカーロープの取り回しを変えたり、アンカーそのものを打ち替えてて何とか修正を試みるが、ハリに刺したエサが残ることが多くなり、明らかに食いが落ちた状態になっていった。
しかし、船長やボクの努力の甲斐もなく、以後は灯が消えたようにこの日の釣りが終わってしまった。勿論、目当てのメダイはボクにはゼロで、惨憺たる結果となった。
■この日を振り返って…■
魚のタナを探すには、例えば磯のグレ釣りの場合だと、サシエサが取られるまでウキ下を1ヒロ(約1.5m)単位で深くしてゆき、取られたら30cmずつ上げてゆくという方法がある。しかし、沖釣りの場合は水深が深いだけに、そんなチビチビとした単位でやっていると時間がいくらあっても足りない。
後悔先に立たずではあるが、思い返せば「早い段階で、思い切って送り出し量を40mにしていれば展開が変わっていたかも?。」であり、失敗の原因は、その前にチビチビをやってしまったが為の時間切れだった。
今ある状態から大きく変える方が正解なのか、少しずつ変える方が正解なのかは、その日その日の条件次第であり、判断が難しいが、「その辺の勘所が早く掴めるようにならねば。」と今更ながらに再確認した釣行だった。
前週に初釣りが済んだのだが、何となく消化不良気味だった。特に本命のメダイは1匹のみで、アフターに「メダイ三昧」を当て込んでいた我が家では少量の刺身と鍋物を食したのみで、西京漬けその他までには至らず、その意味でも消化不良だった。普段のボクであれば食いたいが為に狙う魚はほとんど無いが、このメダイは別であり、「なんとか数匹を」と、早速再挑戦することになった。
今回乗船したのは滝ヶ浦遊船という船で、東舞鶴から出港している。
●滝ヶ浦遊船の日本海41●
以前にどこかの記述で「サービスも良い船」と読んだが、そのとおりであり、船長は気さくなタイプの人柄だから初めての場合でも安心して乗船できると思う。また、今回、乗合希望者は少人数だったが、それでも出船に応じてもらえたことも有り難い点だ。
■魚礁周り■
同船したもう一人の釣り人も「メダイが欲しい」とのことだったので、まずは魚礁周りで天秤ズボ仕掛を用いてそれを狙うことになった。
ところで、今シーズンのメダイは出遅れなのか、個体数が少ないのか判らないが、釣果は伸びていないようだ。つい数年前までは専門に狙うと一船30本なんて釣果はザラにあったそうなのだが、昨シーズンは二桁がやっと、今シーズンに至っては良くて数匹という釣果が若狭湾一帯で続いているそうだ。
ボクがメダイに興味を持ったのは昨シーズン、つまり一昨年の10月だったから、言わば全体に下降線をたどっている釣果をトレースしながら釣行を繰り返していたことになる。欲しくなればなるほど遠退く釣果だが、それでこそ意地になるわけであり、簡単に釣れるのならもう飽きていたのかも知れない。同船したベテラン釣り師も同意見で、昔は近所にお裾分けしても食い飽きて「もう要らない。」と言われるほど釣れていたのが、ここ近年では「メダイの西京漬けが食べたい」と、逆にリクエストを受けるほどに変化しているそうだ。
で、そのメダイ狙いだが、一つ目の魚礁でそれらしき反応が魚探に出たのだが、仕掛を投入しても一向にアタらず、エサの取られ具合から判断しても反応の鈍さが感じられる中、ハリに掛かるのは少量の外道のみだった。結局ここを諦めて移動をすることになった。
船は途実績のあるポイントで魚探をかけつつも、経ヶ岬沖方面へと向かったが、途中の魚礁ではほとんど良い反応はなかった。
●どこも感度が鈍い●
■白石グリへ■
良い感度を得られないまま、結局、通常の航程では最西端になる白石グリに到達した。聞けばこの近辺は前週に漁船団が網を入れたことから、全般に食いは落ちているようで、その実、途中の魚礁と同様に魚探に写る感度は低く、魚の気配を強く感じるところは少なかった。
●経ヶ岬付近の様子●
それでも船長は丹念に魚探を掛け続け、瀬の落ち込み部分にある小さな反応を見つけ出した。そしてアンカリング。そこを完全フカセで狙い、ダメだったらまた他を探すつもりのようだった。
●完全フカセ仕掛で再チャレンジ●
2~3投目だったであろうか、マキエサが効き始めた途端に同船者の竿が大きく曲がった。何とそれは本命のメダイだった。しかし、仕掛は完全フカセではなく、カゴと小型のオモリを使った“カゴフカセ”仕掛だった。
それでも最初のうちは「マキエサがもっと効けば魚のタナが上がってボクにアタるだろう。」と、高を括っていた。
しかし、続いてのアタリは、船長の竿だった。それは中型のマダイだったが、続いてダブルと船長の釣果は順調に伸びてゆく。「今度はボクの番」と思ったら、右側の同船者にアタリと、ボク一人が蚊帳の外だった。
■蚊帳の外からの一匹■
不調は、自分の仕掛のどこかが周囲と違ってサシエサの流れるタナが合っていないことが原因だ。そしてこういった場合は周囲に「どんな仕掛を使っているか?」を素直に聞くことが釣果を得る近道だ。
聞けば、基本のタックルからして違いがあった。それはボクの道糸だけが7号で、他の二人は6号だったことだ。完全フカセでは比重の重いフロロカーボン製の道糸を使うが、当然号数が大きいとそれだけ沈みが早くなる。だから気付いて以降は発泡ウキをサルカン部に入れて浮力を上げたのだが、それだけの工夫ではアタリが出る気配はなかった。
「となれば、仕掛の本体だろう。」ということで確認すると、船長は3本バリで全長が12mの仕掛を使っているそうだ。ボクの使っていたのは2本バリ、6mの仕掛だったが、船長の仕掛の方がハリ数が多い分だけ潮流の抵抗をより多く受けて潮乗りが良くなる。ハリ数については一概に「多いほど良い」とは言えない部分があるのだが、少なくとも釣果が出ている以上は当日の潮に合っていたということだろう。
また、送り出しという、流し始めに手たぐりで無抵抗に繰り出す道糸の量が船長の30mに対してボクが20mと、随分少なかったので、その分初期段階での馴染みが悪く潮乗りも減殺されていた。そこで、これらの違いを元に頭の中で以降の展開を組み立て直すことにした。
「沈み具合は発泡ウキで調整済みだが、船長の仕掛に対してこちらの仕掛は短い。」ということは、「送り出しで船長よりも更に多く繰り出せば、馴染みの悪さが挽回できるかも?」と思い、思い切って送り出しの量を40mとしてみることにした。
そして、そうやって流した仕掛に魚が応えてくれ、船長達が掛けた140mあたりで一気にスプールが急速回転し、ラインがはじけ飛んでいった。
●ようやくのアタリを捉えた●
引き具合からして中型のマダイと判断できたが、時間を掛けてようやく掛けた魚だけに緊張しながらのやり取りを繰り返す。そして無事に玉網へと導き、ようやくこの日の一匹目をゲットした。
●65cmのマダイ●
■続く魚は…■
完全フカセの場合は「一度仕掛けが合えば釣果が続く」と言われているので、慌てて次の魚を得るべく仕掛の投入を再開する。
しかし、ようやくの一匹を釣った時からイヤな予感があった。それは船が風に振られて大きく移動し、やり取りの途中から、魚が船首の方向からやって来ることに気付いたからだ。そしていつものようにボクの場合は、イヤな予感がどうにもこうにも当たってしまうのだ。
次の流しからは船首方向、つまりは釣り人が言うところの”アンカー潮”になっていた。勿論、完全フカセ釣りでは最悪の潮だ。
状況改善のため船長はアンカーロープの取り回しを変えたり、アンカーそのものを打ち替えてて何とか修正を試みるが、ハリに刺したエサが残ることが多くなり、明らかに食いが落ちた状態になっていった。
しかし、船長やボクの努力の甲斐もなく、以後は灯が消えたようにこの日の釣りが終わってしまった。勿論、目当てのメダイはボクにはゼロで、惨憺たる結果となった。
■この日を振り返って…■
魚のタナを探すには、例えば磯のグレ釣りの場合だと、サシエサが取られるまでウキ下を1ヒロ(約1.5m)単位で深くしてゆき、取られたら30cmずつ上げてゆくという方法がある。しかし、沖釣りの場合は水深が深いだけに、そんなチビチビとした単位でやっていると時間がいくらあっても足りない。
後悔先に立たずではあるが、思い返せば「早い段階で、思い切って送り出し量を40mにしていれば展開が変わっていたかも?。」であり、失敗の原因は、その前にチビチビをやってしまったが為の時間切れだった。
今ある状態から大きく変える方が正解なのか、少しずつ変える方が正解なのかは、その日その日の条件次第であり、判断が難しいが、「その辺の勘所が早く掴めるようにならねば。」と今更ながらに再確認した釣行だった。