玄達明けでどこにも釣行しておらず、今回は道具ネタ。このブログではよく閲覧上位に上がるクーラーボックスの改造についての続編だ。
以前にも紹介した価格がリーズナブルでサイズはピッタリだが、保冷力がイマイチな、伸和製の「ホリデーランドクーラー76H」の保冷力強化法に新たな展開、と言っても恐ろしく簡単な保冷力強化法を思い付いたのでそれを記してゆく。(誰でも思い付くレベルだが…)
保冷力を強化する方法は断熱材の性能を上げるか、厚みを増すかの二通りになるが、昨年の11月の記事
https://blog.goo.ne.jp/tsurigadaisuki/e/197e01d97d546f74bbbe55dd8ed68020
では、アルミ付き発泡ポリエチレン断熱シートを躯体内に挿入して、内部の、断熱層の厚みを増す方法を記した。これはこれで効果があって良かったのだが、更に性能を上げるために思い付いたのが、クーラー内壁にも断熱材を入れる方法だ。
ホームセンターの建材コーナーで売られている断熱パネルにカネライトフォームというのがある。他メーカーでスタイロフォームやミラフォームという名の断熱パネルもあるが、色は違っても、どれも同じ素材のポリスチレン樹脂製で、ほぼ同じと考えて良いようだ。(以下、総称としてフォームパネルと記す。)
ポリスチレン樹脂という素材は、実は、いわゆる発泡スチロールを作る素材と同じなのだが、製法が違い、普通の発泡スチロールがビーズ法ポリスチレンフォームに分類されるのに対し、フォームパネルは押出法ポリスチレンフォームに分類される。
製法の違いから強度や断熱性能に違いが出て、フォームパネルの方がそれぞれの性能が高く、逆に吸水率が低いので、クーラーボックス用断熱材に向いている。
同じ押出法製品にもグレードがあって、当然上位になるにつれて性能も上がるが、ホームセンターの在庫品は一番低いグレードになるので、今回は普通に手に入るカネライトフォーム・スーパーE-Ⅰを使ってクーラーボックスの性能をアップする事にした。
釣り用として販売されている各メーカー製のクーラーボックスにもグレードがあるのは誰もが知るところだが、例えば最高級モデルでは全面に真空パネルが採用されていて、最高の断熱&保冷性能を誇る。そして、その次のグレードは底面が真空パネルとなり、その他の面がウレタンやポリスチレンパネルになる。これは地熱が伝わる側を当然優先するからだ。
再強化にあたって、「どこまでやるか?」を検討したが、ボクのホリデーランドクーラー76Hは既に保冷力強化済みなのなのと、なるべく容量を減らしたくない観点から、今回はメーカー製品と同理由で底面と、直射日光の影響を受ける上面を強化する事にした。上下面だけなら、長手方向のサイズが減らない点でも好都合になる。
ホームセンターでフォームパネルが並ぶコーナーを覗くと、厚みが何種もある事に気付かされる。性能上昇と容量減の妥協点を探る必要があって思案したが、ボクの場合は上、底面に入れるのみだったので、20mm厚を採用した。
まずはクーラー底部をきっちり採寸し、フォームパネルをそれに合わせてカットするが、普通のカッターナイフ(出来れば幅広の方)で簡単にカット出来る。クーラーボックスの内側面には強化のリブが入っているが、押し込めば入るのでその部分のクリアランスは取る必要は無い。
出来るだけ隙間なく挿入した方が当然保冷力が上がる。だが、そうすると後に取り外しが困難になり、実釣で使用後、洗浄する際に外れず、生臭い汁が溜まって後にドエライ事になる。そこで、取り外しし易くなるよう真ん中の二か所に切れ込みを入れ、PPバンドを通して取手を制作した。
後はパネルを押し込めば底部の保冷力強化が完成する。
恒久的に底部への設置を行う方法もあるが、その場合は水抜き栓への導水クリアランスを取った上で、水分が回り込まないよう、周囲にコーキング剤を打って防水する必要がある。
次いで上面に取り掛かろうとしたが、カネライトフォームでフタをすると保冷力は増すが、内部へアクセスする際はその都度一気に外す必要があって、やや使い辛い事に気付いた。
その為、2分割してみたが、カットした後にフタ側のリブにぴったりと収まる事が判明した。
カットしたのは後の祭りだったが、本体のフタ裏にはめ込み、開けた際に一緒に開く方法を採用した。.
フタとフォームパネルと連動するのは便利だが、オープン時に冷気が一気に抜けるのは良くないので、いわゆる銀マットで落しブタも制作した。
銀マットは発泡ポリエチレン+アルミ蒸着シートで構成されている。発泡ポリエチレンの断熱性は発泡スチロール並みだがアルミが輻射熱を反射するという事なので、合わせ技で「発泡スチロールより、やや上」の性能になると思われる。
これの便利な点は折りたためるよう切れ目が入っている事で、それを短辺方向にする事で、チョイ開きが出来るようになる。但し、購入時に注意が必要だ。銀マットにはロールタイプと折り畳みタイプがあり、後者を選択しないとチョイ開きは成立しない。また、厚みも何種類かあるが、近くのホームセンターでは最厚の8mmを選んだ。
因みに銀マットは、アルミが張り付けてある側を外側に向けるのが正解だ。
という事で、最後に銀マットをカットしてアッという間に完成させた。
ボクの場合は既に内部の保冷力を強化させた上での再強化なので、これで充分だと思うが、同じパターンで強化するのは昨年11月の記事のように、パネルを外して断熱材を張り巡らせる必要があるので、結構面倒な作業になる。
最上段で記した「恐ろしく簡単な保冷力強化法」で行くのなら、全く手を加えていないノーマル・クーラーの内側全面を採寸してにフォームパネルをカットし、それをピッタリとハメ込むだけで良い。もし恒久的に設置するのなら、コーキング剤を使ってキッチリとシーリングをすれば良い。フォームパネルは加工が容易で、両面テープやコーキグもしっかりと効くから、お手軽に性能アップ出来る。
勿論、取り寄せ等でグレードの高いフォームパネルを手に入れて制作した方が「薄くて効率的」になるが、低グレードのまま、保冷力重視で厚みを増やす方法も採れる。他に上面&底面と側面の厚みを変える等、アレンジ法は沢山ある。
フォームパネルはカネライトフォーム・スーパーE-Ⅰであれば、15mmなら¥627、20mmなら¥836で販売されている。(コーナン調べ)サイズは1820mm×910mmなので、全周を仕上げても、1枚あれば十分に足りてしまう。1本あたり¥272のコーキング剤を購入して完璧に仕上げても千円札一枚程度で済んでしまうのだ。
たったこれだけの投資で性能アップできるのだから、後々、氷の消費量が減る事で充分元が取れてしまうだろう。その上魚も傷まないから有難味は更に増す。デメリットは容量が少し減る事だが、それさえ妥協できるのなら、皆さんにオススメ出来る方法だと思う。
追伸
8月28日に、実用デビューさせたところ、効果は絶大で、フタを開けると、冷気で湯気?が出るほどだった。