■激流続き■
遅れての開幕以来、各船の釣果欄を見る限り、そこそこのペースでヒラマサは上がっているようだが、実際は日ムラ、ポイント・ムラが多く、その主原因は白石グリを直撃している急潮流だと思われる。
4月中旬以降から現地では、いわゆるブッ飛び潮が続いており、例年だと2~3日続いたら収まる傾向にあるはずが、今年は違うようだ。ブッ飛びがメインで、やや緩む日がポツンとあっても、それでも速いなと思わせる潮で、普通に釣れそうな潮の日が少ないのだ。そのため、マキエサの効きがボケたり、ポイントそのものに幅がなくタイトになって、ムラが生まれているのだと思う。
今回お世話になったのは、西舞鶴(和田)から出船している、大海丸さん。熱きヒラマサ野郎(一部には、野郎以外の人も)が集まる船だ。
●停泊中の大海丸さん●
従って「乗る船としては間違いは無く、大船(実際大き目)に乗ったつもり」なのだが、とある潮流観測サイトでは、前日に「1年で9日程度しか起こらないほどの急潮流」と示された、超ブッ飛び潮が流れていたため、現地までの航海中は不安を抱えていた…。
■奇跡の潮■
いつもの通り、定刻の午前11時にスタートし、まずは一流し。驚く事に、日ごろ運の無いボクとしては奇跡的な釣りごろの潮が流れていたのだ。
●100mあたり、4分強!●
「まずはノーマルで流そう。」と、BB入りの0号サルカンのみの状態で150m流していた仕掛けに変化はなかった。次いで2投目はサシエサが盗られたので発泡ウキ7番を入れてやや浮かせてみることにした。しかし、それでも盗られたので次いで8番に交換と、普通の攻め(越前スタイル)をエサが残るタナを割り出そうとしていた矢先、隣で玄達仲間の清水さんが大きく竿を曲げた。
●清水さん、白石での初ヒラマサ●
そして80cmのヒラマサをゲット。
アタった距離を聞くと「140m、それもしばらく止めていて。」との事だったので、上潮と底潮に潮流差が出ていると判断。以後それを意識した攻めに転ずる事にした。
■初ヒラマサ■
だんだんと潮が緩んでいったので、まずは発泡ウキを8番のままで送り出しをそれまでの30mから20mに減らした。そして、それが馴染んで40mまで出た時点でスプール回転に変化が出たため、30秒間止めて仕掛けに張りを持たせてみた。そこからフリーで流し始めたのだが、サシエサが盗られてしまった。
そこで、次の流しでは清水さんがアタった140mの手前=120mで再び仕掛けを張る為に一旦停止=30秒というパターンを組んでみた。
このパターンでの2流し目(ボクの場合はヒラマサが掛からなければ、同じパターンで流すのは2回までと決めている)に130mでラインが走ってクラッチ・オン。アワセを入れた瞬間にそこそこサイズと判断し、いつもの要領で距離を詰めていった。
●今年初の、ヒラマサとの攻防●
今年の初物だけに慎重になりすぎた面もあったが、無事にゲット。
●89cmのヒラマサ●
続いての流しにも期待したが、同じ仕掛けに掛かるヒラマサは無かった。
■緩む潮■
気付けば潮は更に緩んでトロトロ状態になっていた。そうなると、エサ盗りが増えてくるので、それなりの対策が必要になる。
そこで、いつものエサ盗り対策として、発泡ウキのサイズ&個数を増やして、かろうじてサシエサの残る層を狙ってみる事にした。初めは8番+6番でスタートし8+7まではサシエサが盗られた。次いで8+8と増やしてやると、45mという近距離で道糸が走った。
あまりに近いので、ブリ族かと思ったが、途中から下へ下へと締めこむ様子に本物と確信。とは言え、春のそこそこサイズなので、余裕のやり取りを展開する。そして難なくゲット。
●80cmのヒラマサ●
狙いが当たって大満足の魚だが、サイズ的にはダウン。まだまだ次が来るかもしれないのでテンションを上げつつ、攻めていった。
■イサギの上■
残念と言うか、今年の傾向からすれば当然と言うか、続くヒラマサはなく、逆にエサ盗りたちが行動範囲を広げ、ついには発泡ウキのサイズが8+8+7になっても盗られてしまうという展開になった。
そこで逆の発想として、「もっと手前の深めに入れて探り直してみようかな?。」という策が思い浮かんだ。そして仕掛は道糸のサルカン際にガン玉Bを打ち、仕掛を張ってからタナズレがおき難いよう、水中ウキをその上にヨージ止めしたモノに交換してみる事にした。この仕掛では相手がマダイになる事が多いのだが…。
●装着した水中ウキ(グレ釣り用LLサイズ=キザクラ社製)●
送り出しを20mとして、その後はフリーで流し、40mの時点で30秒のストップを入れた後は、再びフリーで流し、80m流したら更に30秒のストップを入れるパターンを組んでみると、道糸が90mほど出たあたりでイサギがWで掛かってきた。
このアタリでピンと来るモノがあった。
実を言うと、この釣行の近辺で「急潮流対策を早急に練らねば。」と考えていた際に、「日本海41さん」のホームページ内にあった、船長の「速い潮流の中、胴付き仕掛けでヒラマサをゲット」という記事に目が行った。そして当日が乗船予定日でもないのに、厚かましくも質問をしてヒントを得ようと連絡したボクに船長は優しく?答えてくれたが、それによると、「胴付き10本バリの上から3本めにヒラマサが、それから4本下にイサギが掛かっていた。」という事だった。
それを脳内にインプットしていた事から「イサギの上を狙えばもしかすると…。」というイメージが沸き、要らないイサギを無視してタナを少しずつ上げてゆくことにしたのだ。
この頃から徐々に潮流のスピードが上がり、条件が変わり始めていた事が気がかりだったが、次の流しではガン玉を外してみる事にした。そしてこれでも90mラインで道糸が走ったが、またまたイサギが掛かってきた。
次いでの流しでは水中ウキを外して変わりに発泡ウキの7番を入れたが、またイサギ。そのまた次は8番を入れてみたが、これまたイサギが続いた。
■ようやくの一発■
8番を入れた時点では、上述の40&80mの二箇所止めのみのパターンだったが、さらに変更を加える。次の流しでは2度目の止めの後はメカニカルブレーキのつまみを絞って、フリーから比べると2/3程度の回転に抑制してみる事にした。
潮流は流速を上げ、釣り開始時と同じスピードになっていたが、かまわず流していく。恐らく抵抗を受けてかなり仕掛けは浮いているだろう。
このパターンで90m、100mと過ぎてゆき110mに指しかかる頃、ついに急速逆転が始まった。
あわせた瞬間のドスンッ!とした衝撃は大型の証。その後の締め込みでリールの巻上げが停止しているのは更なる裏付けだ。
●久し振りの強引を味わう●
ファーストランをしのいだ時点では、それでも「95cmクラスかな?。」と思っていた。足下の水深は70mほどと聞いていたので、「そこまでくれば一安心。」と思って距離を詰めていくが、車で言うところの「高回転型のスピード感」と言うよりは「トルク型の重量感」という感じの締め込みが続いた。
特に、水深分の距離を切る頃にはグイグイと下に締め込んで道糸を引きずり出すため、一定の層から、なかなか上がって来る様子が無かった。
それでも何とか船下の攻防をしのぎ、残り40m程になった時点でモーターが加熱し過ぎの感があった事と相手の大きさから、手巻きとした。(突然止まって慌てるのなら、自分で判断した方が良い)
残り数mで姿が見え隠れしたが、メーターを越えている事がはっきりしたため、更に慎重にやり取りを繰り返す。だが、春のためか、船際の攻防は大したことはなく、この区間も無事に通過して無事にネットイン。思ったよりも大きかったので、船に上がってからの方が興奮するという、不思議なヒラマサだったが、とにもかくにもボクにとっては今期最長寸、歴代3番目のヒラマサだった。
●104cm!の大マサ●
■終戦はアイツ■
撮影等を済ませてすぐに再開したが、しばらく経つと、小魚を追ったボイルが始まった。そしてそれを境に状況が変わり、潮流も更に流速を上げた。それに合わせてメカニカルブレーキのつまみの絞りを止めた。
すると、120mラインでまたもや急速逆転が始まった。アワセてみると、そんなに抵抗感がないが、青物には間違いなく、「中マサ・クラスか?。」と思わせる場面もあったが、船下に来ると横走りが始まった。それもかなりのスピードを伴って…。
案の定、正体は80cm級のブリだった。そしてこれが合図となって全く気配がなくなり、それでも流す事数回、結局以後は何も起こらず納竿時間がやってきた。
夕刻から上がった流速は翌日も衰えるどころか更に増し、釣行前日までと同様の状態になったので、当日は奇跡的に潮が緩んだ1日となった。この奇跡があって当日は3本のヒラマサをゲットできたが、不思議なのは全てが普段はほとんど掛かってくる事の無い枝バリに掛かっていた事だ。裏を返せばこの事実は「釣れ出しが2週間遅れ」、「激流続き」という、今年の海の様子を表しているように思える。
「エサ盗りや外道を手がかりに上層を狙う等の判断では、いつまでもサシエサ盗られ続けたりで基準がボヤケて判断が難しい。」とはボク自身も感じている事だし、大海丸の船長も同様のことを言っていた。
で、あるから、これからこの方面へ釣行を考えている方は、「いつものパターン以外に何か工夫が必要だ。」と、思っていた方がイイだろう。
残すところ、白石グリ方面は2回、それ以外に但馬海岸も2回予定しているが、ブッ飛び潮の多いこの春の潮流が少しでも落ち着いてくれる事を祈るばかりだ。