中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

’20年版 完全フカセ・タックル 〜大型電動リール編

2020-01-25 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 前々回の中型に続き、今回は大型電動リール編。

 130cmオーバーが出る福井県玄達瀬では、ボクたちのグループはダイワで言うところの600番サイズ以上、シマノで言うところの4000番以上のリールに10号ラインを300m以上巻いた電動リールを持ち込んでいるが、このスタイルでチャレンジする釣り人は、まだまだ少数派なのが現実。恐らく、釣具店で尋ねてもピンとくる店員さんもほとんど居ないだろうから、近々導入を検討している釣り人の参考になれば幸いだ。


■存在しない上に…■

 理想の大型電動リールも、「滑らかなフリー回転」、「強力かつ速い巻き上げスピード」、「スムーズなドラグ」の、三つを兼ね備えた物が理想なのは中型と同じなのだが、それが存在しないの点も同じだ。
 但し、さすがにガタイが大きいモデル揃いだけあって、全てが大型のモーターを搭載しているため、特別大型のヒラマサに対峙した時以外であれば、パワーに関しての不足感はそれほど感じないので、その面では一応の安心感が全てのモデルにある。
 で、今回は、前回の中型編とは違ったアプローチで紹介して行こうと思うのだが、残念な事に、このクラスの電動リールは昨年末までに販売終了となったモデルが多いのが現状で、新品に選択肢がある中での購入のチャンスは、店舗に在庫が残っている今年が限度である事を最初にお伝えしておく。


■ダイワ・ハイパータナコン 600FE■

 中型の500Fシリーズと同様に構造がシンプルなためか、フリー回転性能はクラス最高で、その意味では「アタリに最も近い電動リール」だと思う。巻き上げスピードは 空巻き175m/分なので、このクラスとしてはそこそこ速い。パワーもそこそこあって、ボク自身このリールを実際に使って118cmのヒラマサを、兄が105cmのクエを釣っている事から実証済みだ。
 しかし弱点があり、それはドラグの耐久性になる。ドラグワッシャーの構成は5枚なので、ある程度の大物対策は施されている。だが、材質が非カーボンの、部品単価¥200のワッシャーなので、大型ヒラマサが掛かって「ラインを出すまい。」と、強く締め込んでのやり取りを繰り返していると、早い段階でワッシャーが潰れてしまうのだ。そうなると、少し締め込むと完全ストップし、少し緩めると出っ放しになり、やがて異音が出たり、最悪の場合は煙が出ることもあるる。だから、メーターオーバーを掛けてハードなやり取りの後は、オーバーホールに出してワッシャーを交換する事をオススメするが、とにかくドラグの潰れには注意を払う必要がある。
 とは言うものの、充分なスペックを備えているので、玄達デビューする釣り人や、年に少数回しか釣行しない釣り人にはオススメのリールだが、残念ながら昨年末でメーカーのカタログから落ちている。

●ハイパータナコン 600FE●



■ダイワ・750MT(シーボーグ&レオブリッツ)■

 750MTには'06年発売の、メタリック・ブラウンの初代シーボーグと、'14年発売の、メタリック・レッドの二代目シーボーグ、それに少し廉価版で初代と二代目の間に発売されていた、シルバー・カラーのレオブリッツを含めると3タイプあるが、最新だった二代目も昨年末をもってカタログ落ちしている。
 シリーズ全てがメガツインという、2段ギヤ式になっているが、その機構に差はない。通常だと、シーボーグとレオブリッツではモーターが違うのだが、パーツリストで調べると、初代が品番の違う単価¥4500のモーターを搭載しているのに対して、レオブリッツと二代目は同じ品番の単価¥3500のモーターを搭載している。ボク自身の経験上でも、レオブリッツ→初代→二代目→初代と乗り継いだ(?)が、モーター自体のパワー差は感じなかったから、モーター単体の性能は、ほぼ同じなのだろう。
 但し、ギヤ比が違っていて、初代が空巻き「ハイ=200m/分、ロー=75m/分」なのに対しレオブリッツが「ハイ=200m/分、ロー=90m/分」、そして二代目が「ハイ=150m/分、ロー=65m/分」になっている。二代目でスピードが落ちたのは、恐らく基本構造を変えずに巻き上げ力が上がるよう、ギヤ比を落とした影響だと思うが、スピード重視派のボクにとっては改悪と感じていた。
 因みに、ボクの場合、実釣時は常にハイ側のギヤを選択していて、自分からローに落とす事は殆どない。従ってリールが高負荷を感知して勝手にギヤを落とすだけなので、トラブルフリーの観点からもシングルスピードである方が有難いのだが…。
 フリー回転性能が一番良いのは初代だ。だが、極低速回転時に癖があって、カウンター計測時に使われるマグネットの影響だと思うが、それが回転する度に磁力によって「コクン、コクン」と振動を伴ってぎこちなく回るのだ。これは初代のみに感じられるモノで、他の釣り人が持ち込んでいるのも同様の動きをしている。

●初代750MT●


 次いでフリー回転性能が良いのは二代目になるが、これはマグシールドベアリングが入っているので、そこにパーツクリーナーを吹きかけるワケにはいかず、中型リール編で述べた「グリス抜き」ができないための2位だ。但し「当たり・外れ」があって、当たりを引いた釣友達は初代と同等に回るリールを快適に使用している。
 なお、レオブリッツに関しても本来は差がないと思うのだが、ボクが所有していた物は、スプールに何らかのトラブルを抱えていたため、判断のしようがない。
 750MTシリーズは全て5枚構成のドラグワッシャーを採用している。但し初代は非カーボンの単価¥300の物で、上述の600FE程ではないものの、耐久性に欠けるが、レオブリッツ以降はカーボン製の単価¥600の物を採用して改善している。
 以前に記したが、初代の弱点を補うために、ボクの場合はドラグをCCMという店で「ドライ・カーボンドラグ仕様」にチューニングしているが、残念ながら現在その店は休店している。そのため、自分でオーバーホールして減り具合をチェックしながら大事に使用しているが、限界が来た際には以前に一度試したことのある、二代目仕様のカーボン製を移植する予定だ。
 ここまで3機の差異を書き出してきたが、メーカー発表の展開図では上記以外は部品番号が共通の物が多いし、部品点数もほぼ同じなので、玄達瀬で130cmオーバーのヒラマサを完全フカセで狙うのなら、どれを選んでも良いと思うが、初代やレオブリッツを手に入れるのなら中古市場で探すしかない。二代目はノーマル状態でもドラグの性能が、そこそこ良い印象であるし、廃盤とは言え、それは昨年末の話だ。まだ新品が手に入る可能性があるので、それをオススメする。

●二代目750MT●


■シマノ・ビーストマスター6000■

 ご存じ?キハダマグロ狙いでは定番の電動リールだ。強力なブラシレスモーターと、レベルワインドにジルコニアを採用するなど、パーツの全てが吟味されている。基本は同じだが、’19年にはモーターのコントロールを改善した結果、さらにパワーアップしている。但し、パワー重視のため最大巻き上げ速度を140m/分としているので、かなり遅めなのが気になる。
 元来、ドラグ設計がウマいメーカーなので、ボク的には中間位置での微妙な調整がし易い。その上、サーモアジャスト・ドラグという、高負荷を感知すると、巻き上げ回転を落とすプログラムが組み込まれているので、「巻き上げトルクがかかる中でドラグを滑らせる」という、電動リール独自のハードなドラグ使いであっても、熱ダレし難い機能が備わっている。
 ボクがこのリールを玄達瀬に持ち込んでいたのは’16年だったが、所有していた個体特有の現象だとは思うが、何らかのトラブルを抱えていたようで、完全フカセで使用するには全く通用しないフリー回転性能だった。しかし、このリールで釣果を順調に得ている人も居るというから、今思えばそのトラブルさえなければ、糸送り機能を使いこなすなどの工夫で何とかなっていたと思うし、そもそもが、ボクの努力不足が原因だったのかも知れない。

●ビーストマスター6000●


■その他の電動リール■

 上記以外に手に取ったり、隣で釣る人のをじっくり観察した電動リールも紹介しておく。

 シマノにはビーストマスターより廉価なフォースマスターシリーズがあるが、玄達瀬の10号道糸での釣りとなると、4000番、もしくは6000番になる。
 実際に同船していた釣り人が、この4000番を持ち込んでいるのを観察したことがあるが、当時フリー回転不良に悩んでいたボクのレオブリッツ750MTよりも、格段スムーズに回転していて、釣果においてもボクの負けだった。因みに、この経験がビーストマスター6000導入のきっかけだったのだが…。
 不思議なのは3000番での経験でもそうだったが、ビーストマスターとはモーターの違い以外はほぼ同じ構造なのに、「どうしてフォースマスターの方が、フリー回転性能が良いのか?」という事だ。
 もしフォースマスターの中から選ぶのであれば、「シマノの中型サイズ以上はスプールイン・モーター仕様なので、大型になればなるほど慣性重量が大きくなって初動時の抵抗が大きくなり、逆に船の揺れ等で強く回りだすと停止するのが遅れてバックラッシュしやすくなる。」という事を考慮して軸の細い6000番になる。これに下巻きせず、ラインを300m程度巻いてやるのがイイと思うが、元々巻き上げスピードが最大で135m/分しかないうえに、嵩の減ったラインでは更に巻き上げスピードが落ちてしまう点が気になるが…。

 次いでダイワのシーボーグ800Jについてだが、実はこのリール、一旦手にしたものの未使用の状態で手放してしまった経験がある。手放した最大の理由は電源コード径が750MT以下のサイズよりも一周り太くなって、所有する電源システムに合わない事が判明したからだが、それ以外にも気になる点があった。それはやはり、フリー回転性能が悪い点だった。このリールもマグシールド仕様なので、グリス抜きはし難く、釣果に近づくフリー回転を得るには何らかの工夫が必要に思えた。

■今後の展開■

 おそらく、このクラスのリールのメインターゲットはキハダマグロになるであろうから、現行ではそれに適したモデルばかりが占めるようになり、少数派の中の少数派である10号ラインの完全フカセ釣りで使用するには、一工夫や二工夫が必要になる物ばかりになっている。
 今年のカタログに掲載されているモデルでサイズ的に合致するのはシマノのビーストマスター6000、同フォースマスター6000&4000。そしてダイワのシーボーグ800MJ&MJSと800Jになる。サイズ上では少し廉価なタナコン750が使えると思うかも知れないが、そちらはPEライン専用とメーカーが指定している。因みにPEライン専用リールにフロロラインやナイロンラインを巻いてしまうと、その伸縮でスプールが歪んでしまうのだ。ボク自身、PEライン専用リールでもないのに「フロロカーボン・ラインをきつく巻き過ぎた結果、スプールが歪んで回らなくなった」は、過去に2度経験しているから、「メーカーが表記していない物でも歪みは発生するのだから、表記している物は尚更ヤメた方がイイ。」と断言しておく。

 現在はかろうじて初代750MTでボクは乗り切っているが、これは発売開始から14年も経っているので、プラスチック部品の加水分解が進んでの強度低下も心配だし、トラブルに遭遇した際に修理不能になる日も近い。従って、もしそうなった場合は上述したモデルの中から選ばざるを得ない状況になっている。という事は、今後は「フリーであまり回らない」事を前提に釣り人側のスタイルを変えていかなくてはならないと思っている。
 差し当たっては糸送り機能を使いこなす事だが、そのためには大型リールの、ポイントまでを往復させ続けるだけの電力が必要になる。また、逆転の発想として、今後に記す予定で研究中の「高比重=沈むPEラインの導入で、リールをサイズダウンさせる方法」も有効になってくるのかも知れない。
 これからの完全フカセ釣り(特に玄達瀬の太仕掛)では、「単に釣り人にあったリールを使うのではなく、釣り人がリールの特性に合わせていかなくてはならない時代がやって来る。」そんな気がしている。
 
 以上はボク個人の主観。「ボクには合わないリールを使いこなして好釣果を得ている人はたくさん存在する。」という事実を忘れずに読んで欲しい。
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’20年版 完全フカセ・タックル 〜中型電動リール編

2020-01-11 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 一口に電動リールと言っても、近頃ではサイズ展開が豊富になっているが、今回は京都府経ヶ岬沖の白石グリや福井県鷹巣沖といった、特別ラッキーな場合を除いて、ヒラマサの最大サイズが1m前後と想定するポイントで使用する、中型クラスの電動リール編。以前に書いた事とダブる部分もあるので、適当に飛ばして読んでもらって結構だ。
 また、手巻きリールを除外したのは、ヒラマサを引き寄せる際に「なるべくポンピングしたくない。」事と「仕掛の回収に時間がかかる」事による手返しの減少を嫌って近頃ほとんど使用していないせいであって、つまりは現在のボクのスタイルに合わないからだ。したがって、内容の全てが当然、ボクの主観から来るモノであり、他人のスタイルを否定するワケではない事をことわっておく。

 これまでに完全フカセ用に導入したリールは27機種になる。内、手巻きが6機種になり、メーカー比で言うと、シマノ製が16に対してダイワ製が11になる。
 こうやって数えてみると、自分でも「随分コロコロと…。」と思わなくもないが、昔とは違ってオークションの発展により、個人で下取り(?)に出せるので、気に入らない部分があると手放し、他を試すチャンスが増えているからだ。
 手にしたリールには一発で「こりゃダメだ。」というのもあったが、ノーマル状態ではダメでも、工夫によって何とかなる物もあって、一台一台が思い出深い。そんなリール達を「ヒラマサ狙いがメイン」の、ボクなりの解釈で書いてみようと思う。


■完全フカセ用電動リールに不可欠な要素■

 完全フカセ釣り用リールに不可欠な要素は、①「フリー回転が滑らか」、②「巻き上げスピードが速く、かつ強力」、③「スムーズなドラグ」だと思う。だが、それら全てを備えたリールは残念ながら存在しない。 で、あるから、結局はどこかで妥協するしかない事を頭に入れておいて欲しい。
 ①の条件が必要なのは、回転抵抗が大きいと仕掛が浮いてしまって、マキエサが通る筋から完全に離れてしまうからであり、これは急潮時になると更に顕著になって、お手上げとなるからだ。②の条件が必要なのは、アタリが出た際に素早く糸フケを巻き取って、がっちりとフッキングさせたい事と、やり取りの初期段階で先手を取りたい事、そしてアタリが無い時に少しでも速く仕掛を回収して手返しを増やしたい事からだ。また、③に関しては「言わずもがな」だろう。
 最近ではパワータイプとスピードタイプが選べる機種もある。こういった機種内の選択であれば、ボクの場合、スピードタイプになる。その理由は、ある程度のヒラマサの疾走に遭遇すると、どの道、巻上げが停止してしまうので、「だったら、手手繰り(てたぐり=道糸を手で掴み、強制的にリールに道糸を送り込む作業)を駆使して出来る限り早く巻き取ってやろう。」がボクのスタイルだからである。


■必須条件①の観点から■

 必須条件①の、「フリー回転の滑らかさ」の観点から言うと、中型クラスでは、最高値のダイワ・シーボーグ500ATが多数のボールベアリング支持の恩恵を受けて、それこそ売り文句の「ウルトラ・フリー」を実現しているのでトップに入る。
 次点は同社、クラス最安値の500Fシリーズ(現レオブリッツS500と同等)になるが、これは構造のシンプルさ故だろうと思う。
 そして3位は500Jシリーズになるのだが、これは500ATと同じマグシールド・ベアリング搭載であっても、ベルト駆動を採用するなど基本構造が全く異なるためか、500ATや500Fには及ばない。また、モーターやベアリングが普及タイプのレオブリッツ500Jも、回転性能に関しては、シーボーグ500Jとほとんど変わらない。
 (注:ダイワのシーボーグ・シリーズに、新たに500MJが加わっている。これはまだ手に取った事すら無いのでハッキリとは言えないが、展開図を確認するとベルト駆動を廃しているので期待が持てる。)

 残念ながらシマノ製品は全般的に回ってくれないのだが、実のところ、その昔はそうではなかった。と言うのも、完全フカセ釣りに電動リールが導入された初期段階ではシマノ製=97年式の電動丸3000XHが圧倒的に回っていた。40年以上前からのシマノ党を自負するボクもそれを導入し、数世代後のモデルまで使用していた。但し、ノーマル状態ではなく、リールの右サイドを分解して内部のギヤとベアリング周りと、レベルワインドのウォームギヤ周りに付着した多量のグリスを抜いた後にオイル&グリスを薄く再塗布して使用していた。
 だがこの「グリス抜き」が通用したのは2010年式の完全フカセスペシャルというモデルまでだった。それより後に発売されたフォースマスター・シリーズは内部構造が大きく変わったのか、それ以降、代を重ねるごとに回らなくなってしまった。
 また、同じハウジングを使用しているはずのビーストマスター・シリーズの方が、何故か回らない傾向にある。大きな違いと言えばモーターだけなのだが…。試しに所有中の3000XPをグリス抜き後に完全フカセで使用してみた事があるが、やはり思うように回ってはくれなかった。

●ビーストマスター3000XP●


 しかし、回らないリールであっても、魚が浮いて来る春なんかだと、逆にそれが功を奏して好釣果を得る場合がある。また、対策もあって、モーターの力で強制的に逆転させる「糸送り機構」を使うと、ある程度は対応可能だ。但し、電力消費が心配なのと、自然な回転とは感覚が違う為、ボクはほとんど使用した事がない。

■必須条件②の観点から■

 「巻き上げスピード&パワー」に入るが、ここではシマノのビーストマスター3000シリーズが1位になる。
 なんと言っても搭載されているモーターの格が違う。メーカーがGIGA-MAXと呼ぶモーターはブラシレス構造になっているが、この種のモーターは以前から電動工具の世界でも上位機種で展開されており、搭載、非搭載のパワーの違いや耐久性等の優位性は実証済みだ。
 データ上で最強なのは、同じビーストマスターでもギヤ比が低い3000XPの方で、ボク自身も所有しているが、これは天秤ズボか落とし込み用としている。このリールは8号ハリス程度の釣りだと「不必要では?。」と思うほどのパワーを備えている。「だったら、ギヤ比を上げたXSの方が完全フカセ向き。」としたい。但し、あまり良くないフリー回転性能を「どう克服するか?」という課題が付きまとうが…。
 次いで同じシマノのフォースマスター3000が、ブラシレスではないものの、旧ビーストマスターにも搭載されていたMUTEKIモーターの採用で2位に入ってくる。だが、ダイワ・シーボーグ500J&500ATも同位としたい。それは、旧フォースマスターMK→現行フォースマスター→シーボーグ500J→シーボーグ500ATと、連続して4台をボクがメインとして使用していた際に、実使用時のパワー差はほとんど感じなかった為だ。何しろ1位のビーストマスターがダントツなので、今となっては2位以下での差は極僅かに感じてしまうのかもしれない。


■必須条件③の観点から■

 「ドラグのスムーズさ」から言うと、これもシマノ製品が上位になる。何しろカーボンディスク・ドラグの採用は古くからであり、構成するドラグワッシャーの枚数も4枚以上になって久しい。
 で、1位はビーストマスター&フォースマスターになる。何故同位かというと、同じグレード(単価¥550)のカーボンドラグワッシャーが6枚で構成され、構造も同じになっているからだ。
 シマノ製品の嬉しい点は、最大ドラグ値とワッシャー枚数の違いはあれど、ハイエンドモデルから普及モデルまで、中間値での調整幅が広い点にある。
 次いで2位がダイワ・シーボーグ500Jになる。このリールのドラグは5枚のカーボンドラグワッシャーで構成されているが、中間位置での調整時にスムーズさに欠ける、クセのようなモノがあった。
 また、余談になるが、ダイワのハイエンドモデルである500ATは、旧モデルのZ500MMと部品単価が同じ3枚構成のカーボンドラグワッシャー仕様であり、設計に古さを感じる上に、ボク自身、中間位置での調整時にいつも苦労している。

 (注:ドラグに関しては釣り人側のクセや好みがあるので、「自分に合わないからダメ。」というワケではない。)


■理想の完全フカセ用電動リール■

 以上、解説してきたように、必須条件全てが上位の電動リールは存在しないので、「行きはダイワ、帰りはシマノ」なんて話を船上でよくしているのだが、現行モデル中に「これを発展させてくれれば…。」と思う機種がある。
 まず一つ目。シマノ製品の中に、ビーストマスター2000というモデルがある。このリールは、巻き上げ力とスピードが一回り大きい3000XSと、ほとんど変わらない。しかもフリー回転性能はかなりのモノになるハズだ。と言うのは、以前に、この原点にあたるフォースマスター2000MKを所有していたのだが、これが今までの経験中、フリー回転性能がダントツの一番だったのだ。このリールはクラッチをオフにするとレベルワインドが電磁力で中央に戻って固定される。この時点でレベルワインドのギヤ駆動はキャンセルされるが、この状態ではレベルワインドのリングを通る抵抗はあるものの、回転系では恐らくスプール軸と両サイドのベアリングのみの抵抗しか掛かっていない=手巻きのイシダイリールと近い状態になっているのだと思う。
 この回転性能とモーターがブラシレスになってパワーアップした魅力、そして実績のあるドラグ構成で導入を検討中なのだが、フロロカーボンラインだと、6号が250mしか巻けない点と、スプール軸が細いので、ラインの糸グセがきつくなる点が残念だ。
 ここで力無い一個人のリクエストだが、出来ればこの、2000の機構のままでスプール軸を太くした3000番の販売をシマノさんにお願いしたい。(残念ながら、MD3000はフロロカーボンライン向きではない。)
 次いで、ダイワさんには、ドラグの再構築が必須条件になるが、超音波仕様ではないライン入力法を採用したシーボーグ500FTの、復刻版の販売をお願いしたい。
 だが、釣り人口の減る中、少数派の完全フカセ釣り師の為に新型リールの開発は、両メーカー共に厳しいだろうな…。

 以上、改めて記すが、全てはボクの主観であって、他の釣り人から観れば違った意見が出てくるのは当たり前の話。その辺をサジ加減して読んでいただきたい。
 また、この記事は’20年初頭での話。以降、事情が変わっているので、秋に記した「’20年版 完全フカセ・タックル 〜中型電動リール漂流記」も併せて読んでいただきたい。

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