中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

'22 玄達瀬釣行 ~1回目

2022-06-25 12:30:00 | 船釣り・釣行記

 とうとう解禁した玄達瀬の釣り。例年、経ヶ岬沖の傾向を受け継ぐ事が多いので、白石グリの後半の状況から「安心して良いだろう。」と思っていたのだが、フタを開けるとその通りで釣果は好調に推移しているようだ。

 

■スタートから堅調■

 

 待ちに待った本年の初回釣行。いつもの晴海丸さんに乗って約1時間の航海で現着した。気になる潮流速は適度であり、やや深場のポイントでもOKな状況なので一安心。早速ラインが10号、ハリスが12号の完全フカセ釣りでは最太クラスの仕掛けを組んで、投入が始まった。

 

●100mあたり7分と少々●

 足下の水深が60mとチョイ。流速との加減から発泡ウキの7番を通し、送り出しは30mとして、流す距離200mとの関係から100mで30秒の停止を入れて流してみる事にした。

 第一投目では同行していた兄が中型のマダイを掛けたので、一安心。と言うのも、後はマダイのタナにヒラマサが入って来るのを待つだけだからだ。

 だが、意に反してボクにはアタリは出ず、サシエサが残ってきたので、二投目は30秒の停止位置を120mにずらしてみた。するとこれにアタリが出た。

 

●今期の初曲がり●

 引き具合から80cm級と判断して、余裕のやり取り。そしてその通りのヒラマサをゲットする。

 

●89cm●

 「これでスイッチが入った!」思ったのも束の間、その後は連発しなかった。

 エサが残る事も多かったので、送り出しを40mに増やし、120mでの停止中にコンコンと竿先が叩かれた後にズドンと曲がったので、合わせると、75cm程の中型メダイが登場する。

 

●玄達瀬のメダイは初めて●

 

 そんなこんなで、エサの盗られ具合を見ながら調整していると、2本目をゲットする。

 

●85cm程●

 

■後半戦■

 

 その後はブリ族がポツンとアタッただけでパッとせず、正午も近づいた事から、船長が移動を決意。ここまでとは違った、玄達瀬のポイントとしては中間的な水深の35mラインにアンカーが入った。

 ここでは、船長から「浅いくて地形が複雑だから気を付けて。」との忠告があったのだが…。

 

 「マキエサが効き始めたかな?」と思った3投目、兄のラインが走って85cm級のヒラマサをゲット。続いて来たのも兄の方で、今度はデカいようで、電動巻き上げがストップしているようだった。

 「あのままでは…。」と思った瞬間、根に入られてアウトになった。

 当初は兄にアタリが集中し、バラシながらも85cmクラスを連発するので、心中で「バカ者、こっちに来い!」とつぶやいていた。そしてそれがようやく現実のモノとなった。 

 発泡ウキ8+7号を通し、送り出しが30m、70mで30秒の停止を入れて、メカニカルブレーキを絞るパターンで流していると120m付近で大きくラインが走った。

 アワセるとズドンと来る衝撃と共にロッドが絞り込まれていった。最初は道糸を引き抜きながら応戦し、第一関門はクリア。ズンズンとトルク感あふれる引きだったので、「メーターとチョイはあるやろう。」と思っていた。次いで中間区間は電動巻き上げについて来たので、「ほぼ大丈夫だろう。」と思っていたのだが、大した突っ込みが無いままに70m付近まで引き寄せると「ゴリゴリ」といった感触が伝わった。そして次の瞬間にピクリとも動かなくなった。

 恐らくだが、素直について来ていたタイミングでは大きく底を切った状態になっておらず、底層でヒラマサは次に突っ込む根に狙いを定めていたようだ。そして目標に近づいた瞬間に、根際にスッと入って、喰ってなかった方の枝バリが根掛かりしてしまったようだ。

 

 その後も発砲ウキの調整のみでポツポツと兄はアタリを拾っていたが、ボクは攻め方が違っていて、アタリは遠かった。でもこれには計算があった。と言うのも、ポイント一帯は根が荒く、糸フケが出た状態でアタリを取ると釣り人側が不利になると思ったので、ラインを張りながらアタリダナを探していたのだ。

 その為、兄よりは発砲ウキの浮力が少し落ちた状態とし、ラインの張りを加えていた。

 しかし、次の大アタリはそんな事はお構いなしにボクのロッドを襲った。

 

■ひどい仕打ち■

 

 この時、送り出しは20m、一回目の停止距離を70mとしていたのだが、30秒の停止を開放した次の瞬間、物凄い勢いでラインが弾け飛んで行った。

 アワセた瞬間の衝撃は過去最高クラスであり、バラした根周りに近い距離のため、「ラインは絶対に出せない!」と判断し、腰を落として猛烈な引きに耐えようとした次の瞬間、「バチンッ!」と言う大音響の下、10号ラインが吹っ飛んでしまった。

 「瞬殺」とはこの事であり、その様子は凄まじく、横で見ていた兄が「怖いくらいだった。」と、口から漏らしていたほどだった。この時、ロッドのフォアグリップを握っていた左手に痛みを感じたのだが、切れた際にラインに鞭打たれてしまったのだ。因みに、このブログを書いている2日後になってもミミズ腫れが引いていない。

 

●やり取りの勲章?●

 

 これが他地区、例えば6~7号のラインで勝負になる白石グリではこんな目に遭う事は、まずは無い。これぞ玄達瀬の、ヒラマサの異次元パワーを身をもって知った瞬間だった。

 

■後半、喰い渋るも■

 

 午後2時半を過ぎると、アタリは遠退いた。それでも「いつかはスイッチが入るだろう。」と思っていたが、虚しく時間だけが過ぎて行った。

 そのため船長が、アンカー位置の調整を行ったが、その最中にヒラマサが突っ込んだ位置を魚探で確認するとビックリ仰天。ボクの釣り座からだと左斜め方向(右舷側)に、道路に並ぶ三角コーン状の根が付近よりも5m以上の高さで突き出していたのだ。

 「これじゃぁ、デカいヤツが突っ込むのは当然やな。」と、船上の3人が変に納得した瞬間だった。

 

 そして最終局面に入った。

 帰ってくる仕掛の様子から、ジアイ間の一休みではなく、明らかな喰い渋りと判断して、攻める方法を変えていった。

 発泡ウキを取り外し、送り出しを20mとして70mで30秒の停止を入れ、以降はメカニカルブレーキを絞ると、120m付近でイサギが連発した。「ヒラマサの活性は低いだろう。」との判断から「イサギの手前の深み」を攻めようと、送り出しを30mに変更。100mで30秒の停止を行った後はメカニカルブレーキを絞らずに流していると、同じ120m付近で中型マダイが喰って来た。

 先のマダイが掛かった際に糸フケを感じていたので、続く流しは同じパターンで組んだ後、110mで10mの巻き戻しを行ったが、その途中でコンコンと穂先を叩くのでアワセてみると、大きくロッドが絞り込まれたので、一瞬は「オヤッ?」と思ったが、82cmのマダイでガックリだった。

 

 玄達では「マダイの御縁はヒラマサの御縁」なので、その後はマダイが掛かったタナを中心に、エサの残り具合やイサギの掛かり具合を加味して、「送り出し量を15m~30m」、「30秒の停止を70~120m」で毎回調整していった。すると、ラスト一投で85cm級のヒラマサをゲットする迄ほとんどの流しでヒラマサ他のアタリを捉える事に成功した。

 その間に通常の発泡ウキでの調整を繰り返していた兄の方は、稀にイサギが掛かる他はアタリは出なかったので、喰い渋り時には「送り出し」と「停止」、それに「スプールの回転制御」を組み合わせた攻めが有効なのは明らかだった。

 

●大は94cmで、二人分の釣果●

 

■今期は有望■

 

 玄達瀬への初釣行を終え、その後の各船動きも追っているが、その状況から今年は今のところアベレージが85cm程度のようで、数も結構出ている。そんな年はメーターオーバーの確率が高くなる傾向があるので「当たり年」と言っても過言ではないように思う。その実100cmはおろか130cm近いサイズも解禁数日で出ているから、ボクの予想も大外れになる確率は低いだろう。

 今後の釣行への期待も増々膨らんでいるが、近ごろの釣行体験から新たな問題に気付いている。それはハイパワー電動リールの弊害だ。だが、それは後日に語りたいと思っている。

 

 

 

 

 

 

 

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転進!

2022-06-18 12:30:00 | 船釣り・釣行記

 4月中旬から6月の初旬まで続いた経ヶ岬釣行。スタートが遅れて大いに心配したが、本調子が出て以降は好調さを持続していたように見え、悪かった昨年よりは随分とマシだったように思う。

 しかしながら、その好調さを享受するには、ある種の「チャレンジ精神」が必要だった。好調になり始めた頃には急潮が差している日が多く、それを嫌って冠島方面へと向かう船が多い中、「それでも狙い続ける」との思いで白石グリへと向かった船だけが納得サイズを手にしていた。

 以前から「玄達瀬ではかなりの急潮でも釣れてくるのに、白石グリでは何で釣り人が逃げるんやろう?。」と思っていた。実際、今期は最速時で100m/2分30秒を切りそうな勢いの中でも竿出ししたが、それでもウマく狙えば喰ってきたので、「ヒラマサはヒラマサ」という事が証明できたように思う。

 

 個人の春期成績としては最大が1mジャストで、この原稿を書いている時点では5位程度のサイズ(各船のH.P.調べ)となり、数では小マサ3本を含めると総数が20本、一日当たりの最大数が10本という結果だった。

 嬉しいのはヒラマサを全く手にしていない日はゼロで、ヒラマサ・ボーズが無かった事だ。反対に悔しいのはゲットできた1mジャスト以上であろう引きに遭遇した際に、縞フグやラインの食い込みよる高切れで逃した事だ。

 

 兎にも角にも次回からは玄達瀬へ転進する。夢の130cmまで、あと7cmの壁を超せずに3年の月日が経ったが、「今年こそ!」の意気込みでチャレンジを続けてゆく。

 

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'22 春の経ヶ岬 ~春期最終釣行

2022-06-11 12:30:00 | 船釣り・釣行記

 4月からチャレンジしてきた春の経ヶ岬沖釣行。6/16からの玄達瀬解禁を目前にして区切りの時期かやって来た。

■最後の望みが…■

 今回は倉丸さんに乗って、シーズン後半になっても、まだまだ期待充分な経ヶ岬沖の白石グリへと向かった。気象庁の予報では「風は北東から、潮は南から」といった当日の予報だったので、「厳しいかも…。」と不安になりながらの航海だったが、現着するとビックリ。2日前まで「速すぎ」と言われた潮が殆ど動いていなかったのだ。

●自然落下で40mあたり7分20秒ほど●


 その様子から、船長がアンカー位置を数か所変更したが、後ろに出てから戻る「行って来い」の潮流のため、仕掛が真下から上がって来る状態に変化がないので、ここでの釣りを断念。一路中浜沖を目指す事になった。
 白石グリとは違って、中浜沖はヒラマサのアベレージが下がり、メーターオーバーもほとんど出ない事から、「勢いに乗って、メーター・ジャストではなく、確実にメーターオーバーと言えるサイズを釣って、有終の美を飾る」との目論見が、もろくも崩れた瞬間だった。
 「それでも、ボーズよりはマシだから、気持ちを切り替えて1日を楽しもう。」と、自分に言い聞かせつつ、転進する船に身をゆだねた。

■逆潮だが…■

 仕切り直しで船長が中浜沖のポイントで魚探をかけるが、本命とされる西からの潮ではなく、東からの潮流がやや速めに差していたので、メインのポイントは断念し、過去の実績から東の潮でも大丈夫とされるポイントに投錨した。

●東からの潮流が100mあたり4分チョイ●


 魚探に映る魚影が薄かった事もあってあまり期待はしていなかったが、撒きエサが効き始めた2投目でハマチが掛かり、以後はハズレになるのは5投に一回程度で、アタリが出続けた。そしてヒラマサ登場。だが隣の話。こちらはマダイやイサギとハマチの大小ばかりだった。

■修正後■

 ここまで送り出し量を20m、80mを流した時点で30秒の停止を入れて、そこから先は120m~150mの間のどこかで10mの巻き戻しを入れてタナ調整をしていたが、どうやってもヒラマサが出ないので、隣の様子をうかがう事にした。
 「30mの送り出しで100mで30秒ほどの止め」といった流しのようだったが、もう一つの違いがあって、こっちの仕掛けが6mに対してあっちは10mだった。
 「そうだったのね。」と、送り出しを40m、100mで30秒の止めを入れてみると、一発で中マサが喰ってきた。

●ようやく…●



■ワザとズラす■

 そこから先は一旦喰いが止む時間帯を挟んだ後、イサギばかりが連発するようになった。そんな時でも高活性時だとそのイサギの層に割って入るヒラマサも居るので狙い続けるが、何らかの条件が悪い場合は、ヒラマサは違うタナに居る事も多い。当日も本命潮ではなく、そんな感があったので、タナをワザとズラすアプローチと採ってみた。これはイサギが掛かる地点を基準に、その手前の深みに入れる、もしくはその沖に入れる方法だ。
 この時点では「送り出し30m」「100mで30秒の停止」を入れてから流していると、150m付近で喰ってくるのはイサギばかりだった。そこで「送り出し量を40m~55m」、「120~140mの間に一回の30秒停止」というパターンを組んで手前の深い層に仕掛を入れてみると、そこに居る中マサ他が登場した。しかし、しばらく経つとイサギに見破られてしまう。
 そうなると今度は逆に「送り出し量を減らす」「停止位置を手前にする」「停止した後にリールのメカニカル・ブレーキを絞る」パターンを組んで潮下側に入れる調整をしていった。
 隣にイサギが集中する中、他魚が掛かる率はボクの方が高く、位置的には「手前の深み」でアタる割合が多かった。但しヒラマサは少なかったが…。
 そんな中「これは?!」と思った真下に突っ込むような引きにも遭遇したのだが、

●結構強い引き●


 正体はブリ族親子?のダブルでガッカリだった。

●すっかり騙される●



 結局魚が掛かるペースは最後の最後まで変わらず、「5打数4安打」程度で続いていたが、イサギ、マダイやブリ族が多く、ヒラマサのサイズは中マサクラスが精一杯だった。

●「中浜サイズ」の中マサ止まり(計4本)●




 「大マサが出なかった」という残念さも無くはないが、自然相手の事なのでどうしようもない。そんな事よりも機転を利かせ、高い燃料を使って中浜に走り、一日を楽しませてくれた船長に「感謝!感謝!」である。

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シーボーグ 500MJ-AT

2022-06-04 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 今回は気になっている人も多いかと思われる、新発売の「DAIWA シーボーグ 500MJ-AT」のインプレッションの一回目。まだ届いたばかりで実釣には導入していないから、あくまでも「陸の上からの観点」なのはお許しいただきたい。

●届いたばかり●


■超音波センサー非搭載■

 このモデルはアタリが出るとオートでクラッチが掛かる=フカセクラッチが搭載されているので品番の最後にーATが付いている。
 youtubeなんかを見ていると、このクラッチが付いた、シーボーグZ500FT、Z500MM、500ATを「超音波センサーが付いているからオートでクラッチが掛かる。」と勘違いしている人も居る。しかし、そのセンサーは糸巻プログラムに関与するモノで、それが証拠に「Z」が付かない500FTは普通の糸巻プログラム機だったし、今回のMJ-ATも普通の糸巻プログラム機だ。
 実は、この超音波センサーが入ったICモジュールがクセ者で、よく壊れる。ボク自身も500ATで2回、Z500MMで1回壊れているし、同船者でアウトになっている人も時折見かけるので、全く信用していなかった。
 しかも交換修理が¥50000前後にもなるので、ボクの場合、新品購入した500ATを保証が切れる前に売却して次を購入していたほどだ。
 そんな事までして使用していたのは、このシリーズのフリー回転性能が「使える電動リール」の中ではダントツだったためで、「まずは喰わせてから」でないと、その後の展開は無いワケだから、言わば「苦肉の策」で使用していた次第だ。特にマグシールド・ベアリング非搭載のため、自分で注油&メンテが出来るZ500MMのフリー回転は圧倒的だった。
 とにかく500MJのAT化にあたって、超音波センサーが搭載されなかった点は大歓迎だ.


■手持ち3機の比較■

 完全フカセ用電動リールとしての必須条件は、ボク的には「1にフリー回転の良さ、2にスムースなドラグ、3.が巻き上げスピード」とボクは考えているが、その3つ全てを備えた電動リールを手にした覚えは一度もない。だから「実用には充分だが、何かが欠けて理想ではない」リールを使っているので、いつもモヤモヤしている。

 では、直近では使用率の高い3機種の重量比較から。

●左からZ500MM、500MJ-AT、600MJ●


 重量は、Z500MMが最軽量で、


816g。

次いで600MJが


974g。

一番重いのが500MJ-ATで


1014gもある。

 ボクの場合は通常、ロッドは重い600gオーバーの、マッドバイパー・スティングと組み合わせるので軽いほど助かる。これだけ重いと「何とかならんモノか…。」と、つい思ってしまう。

 補足だが、Z500MMと、つい最近カタログ落ちした500ATの比較をしておく。
 金属パーツが増えたので、30g重くなって500ATは公称840gとなり、210m/分に対して500ATでは230m/分にスピードアップしているが、パーツリストで確認する限り、2機種の構造はほとんど同じだ。最大巻き上げ力はZ500MMの30kgに対して500ATは72kgになっているが、実使用感に違いはないのでデータの基準や取り方が違うのだと思う。
 また、500ATはドラグ力を10kgから13kgに上げている。だが、ボクの苦手なドラグ・フィーリングを生み出す分厚いカーボン・ドラグ・ワッシャーも同一価格品であり、枚数も同じ3枚構成になっているし、周辺パーツの構成も変わらない。手に取ってみてもカーボン・ドラグ・ワッシャーのザラツキ度にも違いを感じないから、実釣時のバージョンアップ感はボク的には実感できていないので、これまた謎だ。


■MJ3兄弟の比較■

 見た目で解るが、500MJ-ATと600MJは、大まかに言えば同一ボディで、ボク自身は所有していないが、ノーマルの500MJも外観は勿論、パーツも含めてほぼ共通であり、兄弟機になる。で、その3兄弟の比較をしてみる。

●左が500MJ-AT、右が600MJ●

●左が600MJ、右が500MJ-AT●

 機械的な能力差の第一は最大スピードだ。500MJ-ATが230m/分で、500MJと600MJが210m/分になる。完全フカセ釣り、特にヒラマサ狙いではハイスピードの方が獲り易いとボクは考えているので、ハイスピード化は大歓迎だし、回収スピードも当然上がって手返しが速くなる点も有難い。

 第二は最大巻き上げ力で、500MJ-ATが90kg、500MJが96kg、600MJが101kgになる。ATはギヤのハイスピード化の影響で落ちているが、実釣に影響は無いだろう。同じギヤ構成でありながら、500MJと600MJに違いが出るのは、巻き糸量を増やす為にスプール軸が細くなったので、恐らく軸付近で計測した結果だと思われる。(自転車のチェーンホイールの小径化と同じ理屈)
 ただ、軸が細くなると「歪んだりしないのか?」と、不安に思うが、今まで完全フカセで100時間使ってトラブルは起こっていない。

●スプール軸の違い(左が500MJ-AT)●


 第三はドラグ力になる。500MJ-ATと500MJがが23kg、600MJが28kgとカタログに掲載されていて、500番台は単価¥600の薄いカーボンドラグワッシャーが5枚構成としている。実は、一つ下位の500Jシリーズも同じ23kgで5枚構成で、こちらは単価¥500の薄いカーボンドラグワッシャーを使用している。その差がどう響くかは判らないが、500Jシリーズを過去に使用した印象では緩め気味に使うと、やや引っ掛かりがあって好ましいフィーリングではなかっただけに心配だ。
 但し、600MJは格上で、単価¥600の薄いカーボンドラグワッシャーが7枚構成になっている。実際、過去に所有したDAIWA製電動リールの中では若干の引っ掛かりはあるものの、一番フィーリングが良い。

 3機種共にスプール回転を抑制するためのメカニカルブレーキがパワーアップされ、強力かつクリック入りでポジションを固定できる「フォールブレーキダイヤル」を装備している。これは落とし込み等、重いオモリを背負わせながら制御をする場合は便利だが、完全フカセ釣りユースでは効き過ぎで、1クリック締めると完全停止し、1クリック緩めると回り過ぎるので、「間は無いんか~い!」と、いつもツッ込みながら慎重にクリックの山?に掛かる位置で留めている。自分で解除する方法を探ろうにも分解が難しい左サイドに配置されているので、簡単にはいかない。500MJ-ATは完全フカセ・ユースであるがために下で記す、落とし込みで便利なハズのクラッチ・オンのスイッチを廃しているのだから、同時にこっちも廃して欲しかったのが本音だ。
 この辺りを知ると、「DAIWAさんには完全フカセ釣りに精通したスタッフが居ないのかな?」と、勘繰ってしまうのだが…。


■フカセクラッチと裏ワザ■

 外観上の、カラーリングとスプール軸径以外で大きな違いは、クラッチ・オンの、スイッチの有無になる。

●左が600MJ、右はスイッチが省かれた500MJ-AT●

 先日までのメイン機であった600MJでも全く問題は無かったが、「新しモン好き」の性格と「最大スピードが上がった」事、それに「よそ見をしていた際の保険」が導入のポイントだった。だが、クラッチ・オンの手動スイッチが無いのは痛い。
 潮速が速い時の送り出しはサッサと出したいので、フル回転でラインを手繰る事が多いのだが、この際の誤作動でクラッチがオンになる事を嫌って、ボクは感度を20台に下げていたのだが、そうなると、弱いアタリが捉えられないので、そんなアタリが出ると手動で対応していた。
 メーカーの説明では「ハンドルを回してオンにする」と記しているが、ボクの場合は左の指でスプールを押さえてから右手指でクラッチをオンにして、次いでアクセル・レバーを入れるのがアタリが出た際の、一連の流れとしている。ハンドルに手をやるのは導線から外れるので、とっさの時に迷うのは目に見えているのだ。
 そこで、「あの裏ワザが使えるかも?」と購入前から考えていたのが、クラッチをオフにするサム・バーを持ち上げる方法で、到着後試してみたが、これが使える事が解って一安心した。

●サム・バー下に親指を入れて持ち上げる●

 メーカーとしては電動でクラッチを上げる電動カムを収納せねばならず、スイッチを配置するスペースが無かったのが廃止の理由かも知れないが、この裏ワザが可能ならサム・バーの縁をもう少し延長して、上げ易くする等の対策が低コストで出来たハズだ。その点が惜しまれる。


 と、ここまで長々と机上論を記してきたが、その範囲で3兄弟をセレクトするのなら、玄達瀬釣行を視野に入れ、大型狙いの取り込み重視であれば10号が300m近く巻けてドラグ性能の良い600MJ。但馬海岸~白石グリ、鷹巣沖での完全フカセ釣り専用なら、フカセクラッチ搭載の500MJ-AT。落とし込みと兼用するのなら、クラッチ・オンの手動スイッチが付いた500MJといったところかな?…。
 だがコロナ禍による電子部品不足の影響か、リールの流通量が減っている。昨年5月発売の600MJだと、通販サイトでの動きをみていると、販売開始直後を逃すと、年間で2~3回程度しかメーカーから出荷されていないように思える。
 「適正価格で販売されていれば、買い時」と言っておくが、何しろ高額過ぎるのが難点だ。

 後は実戦投入を待つのみだが、実際の使用感等のレポートは、この先掲載予定の実釣編でお伝えする。
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