とうとう解禁した玄達瀬の釣り。例年、経ヶ岬沖の傾向を受け継ぐ事が多いので、白石グリの後半の状況から「安心して良いだろう。」と思っていたのだが、フタを開けるとその通りで釣果は好調に推移しているようだ。
■スタートから堅調■
待ちに待った本年の初回釣行。いつもの晴海丸さんに乗って約1時間の航海で現着した。気になる潮流速は適度であり、やや深場のポイントでもOKな状況なので一安心。早速ラインが10号、ハリスが12号の完全フカセ釣りでは最太クラスの仕掛けを組んで、投入が始まった。
●100mあたり7分と少々●
足下の水深が60mとチョイ。流速との加減から発泡ウキの7番を通し、送り出しは30mとして、流す距離200mとの関係から100mで30秒の停止を入れて流してみる事にした。
第一投目では同行していた兄が中型のマダイを掛けたので、一安心。と言うのも、後はマダイのタナにヒラマサが入って来るのを待つだけだからだ。
だが、意に反してボクにはアタリは出ず、サシエサが残ってきたので、二投目は30秒の停止位置を120mにずらしてみた。するとこれにアタリが出た。
●今期の初曲がり●
引き具合から80cm級と判断して、余裕のやり取り。そしてその通りのヒラマサをゲットする。
●89cm●
「これでスイッチが入った!」思ったのも束の間、その後は連発しなかった。
エサが残る事も多かったので、送り出しを40mに増やし、120mでの停止中にコンコンと竿先が叩かれた後にズドンと曲がったので、合わせると、75cm程の中型メダイが登場する。
●玄達瀬のメダイは初めて●
そんなこんなで、エサの盗られ具合を見ながら調整していると、2本目をゲットする。
●85cm程●
■後半戦■
その後はブリ族がポツンとアタッただけでパッとせず、正午も近づいた事から、船長が移動を決意。ここまでとは違った、玄達瀬のポイントとしては中間的な水深の35mラインにアンカーが入った。
ここでは、船長から「浅いくて地形が複雑だから気を付けて。」との忠告があったのだが…。
「マキエサが効き始めたかな?」と思った3投目、兄のラインが走って85cm級のヒラマサをゲット。続いて来たのも兄の方で、今度はデカいようで、電動巻き上げがストップしているようだった。
「あのままでは…。」と思った瞬間、根に入られてアウトになった。
当初は兄にアタリが集中し、バラシながらも85cmクラスを連発するので、心中で「バカ者、こっちに来い!」とつぶやいていた。そしてそれがようやく現実のモノとなった。
発泡ウキ8+7号を通し、送り出しが30m、70mで30秒の停止を入れて、メカニカルブレーキを絞るパターンで流していると120m付近で大きくラインが走った。
アワセるとズドンと来る衝撃と共にロッドが絞り込まれていった。最初は道糸を引き抜きながら応戦し、第一関門はクリア。ズンズンとトルク感あふれる引きだったので、「メーターとチョイはあるやろう。」と思っていた。次いで中間区間は電動巻き上げについて来たので、「ほぼ大丈夫だろう。」と思っていたのだが、大した突っ込みが無いままに70m付近まで引き寄せると「ゴリゴリ」といった感触が伝わった。そして次の瞬間にピクリとも動かなくなった。
恐らくだが、素直について来ていたタイミングでは大きく底を切った状態になっておらず、底層でヒラマサは次に突っ込む根に狙いを定めていたようだ。そして目標に近づいた瞬間に、根際にスッと入って、喰ってなかった方の枝バリが根掛かりしてしまったようだ。
その後も発砲ウキの調整のみでポツポツと兄はアタリを拾っていたが、ボクは攻め方が違っていて、アタリは遠かった。でもこれには計算があった。と言うのも、ポイント一帯は根が荒く、糸フケが出た状態でアタリを取ると釣り人側が不利になると思ったので、ラインを張りながらアタリダナを探していたのだ。
その為、兄よりは発砲ウキの浮力が少し落ちた状態とし、ラインの張りを加えていた。
しかし、次の大アタリはそんな事はお構いなしにボクのロッドを襲った。
■ひどい仕打ち■
この時、送り出しは20m、一回目の停止距離を70mとしていたのだが、30秒の停止を開放した次の瞬間、物凄い勢いでラインが弾け飛んで行った。
アワセた瞬間の衝撃は過去最高クラスであり、バラした根周りに近い距離のため、「ラインは絶対に出せない!」と判断し、腰を落として猛烈な引きに耐えようとした次の瞬間、「バチンッ!」と言う大音響の下、10号ラインが吹っ飛んでしまった。
「瞬殺」とはこの事であり、その様子は凄まじく、横で見ていた兄が「怖いくらいだった。」と、口から漏らしていたほどだった。この時、ロッドのフォアグリップを握っていた左手に痛みを感じたのだが、切れた際にラインに鞭打たれてしまったのだ。因みに、このブログを書いている2日後になってもミミズ腫れが引いていない。
●やり取りの勲章?●
これが他地区、例えば6~7号のラインで勝負になる白石グリではこんな目に遭う事は、まずは無い。これぞ玄達瀬の、ヒラマサの異次元パワーを身をもって知った瞬間だった。
■後半、喰い渋るも■
午後2時半を過ぎると、アタリは遠退いた。それでも「いつかはスイッチが入るだろう。」と思っていたが、虚しく時間だけが過ぎて行った。
そのため船長が、アンカー位置の調整を行ったが、その最中にヒラマサが突っ込んだ位置を魚探で確認するとビックリ仰天。ボクの釣り座からだと左斜め方向(右舷側)に、道路に並ぶ三角コーン状の根が付近よりも5m以上の高さで突き出していたのだ。
「これじゃぁ、デカいヤツが突っ込むのは当然やな。」と、船上の3人が変に納得した瞬間だった。
そして最終局面に入った。
帰ってくる仕掛の様子から、ジアイ間の一休みではなく、明らかな喰い渋りと判断して、攻める方法を変えていった。
発泡ウキを取り外し、送り出しを20mとして70mで30秒の停止を入れ、以降はメカニカルブレーキを絞ると、120m付近でイサギが連発した。「ヒラマサの活性は低いだろう。」との判断から「イサギの手前の深み」を攻めようと、送り出しを30mに変更。100mで30秒の停止を行った後はメカニカルブレーキを絞らずに流していると、同じ120m付近で中型マダイが喰って来た。
先のマダイが掛かった際に糸フケを感じていたので、続く流しは同じパターンで組んだ後、110mで10mの巻き戻しを行ったが、その途中でコンコンと穂先を叩くのでアワセてみると、大きくロッドが絞り込まれたので、一瞬は「オヤッ?」と思ったが、82cmのマダイでガックリだった。
玄達では「マダイの御縁はヒラマサの御縁」なので、その後はマダイが掛かったタナを中心に、エサの残り具合やイサギの掛かり具合を加味して、「送り出し量を15m~30m」、「30秒の停止を70~120m」で毎回調整していった。すると、ラスト一投で85cm級のヒラマサをゲットする迄ほとんどの流しでヒラマサ他のアタリを捉える事に成功した。
その間に通常の発泡ウキでの調整を繰り返していた兄の方は、稀にイサギが掛かる他はアタリは出なかったので、喰い渋り時には「送り出し」と「停止」、それに「スプールの回転制御」を組み合わせた攻めが有効なのは明らかだった。
●大は94cmで、二人分の釣果●
■今期は有望■
玄達瀬への初釣行を終え、その後の各船動きも追っているが、その状況から今年は今のところアベレージが85cm程度のようで、数も結構出ている。そんな年はメーターオーバーの確率が高くなる傾向があるので「当たり年」と言っても過言ではないように思う。その実100cmはおろか130cm近いサイズも解禁数日で出ているから、ボクの予想も大外れになる確率は低いだろう。
今後の釣行への期待も増々膨らんでいるが、近ごろの釣行体験から新たな問題に気付いている。それはハイパワー電動リールの弊害だ。だが、それは後日に語りたいと思っている。