中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

’20年版 完全フカセ・タックル 〜クーラーボックス改造編

2020-11-28 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 〜中型電動リール漂流記・その3「ダイワをイジる編」は、まだ現場での実験を終えていないので、掲載出来ない。従って今回は番外編の「クーラーボックス改造編」。


 ボクは今迄にクーラーボックスは保冷力が高くてコストパフォーマンスが優秀なIgloo(イグルー、昔の呼び名ははイグロー)社製を多く愛用?してきたが、「アオモノがスッポリ入る」が謳い文句の国内メーカー製品とは縦横高さ比が違い、長手方向を確保すると、かなり背が高くなってしまうという欠点があったので、車載時に苦労する場面があった。
 とは言え国内メーカー製品で保冷力の高いモデルは高価なので、なかなか買う気にはなれずにいたのだが、保冷力が下がる事に目をつむるのなら、安価で手に入る製品もあって、その代表格が伸和のホリデーランドクーラー76Hだ。

●ホリデーランドクーラー76H●



 かく言うボクも一つ所有していて、一時期は使用していた事もあるのだが、夏場の、例えば玄達瀬への釣行時だと「水氷(みずごおり)」と呼ばれる、海水を注ぎ入れる方法で釣魚を冷やすので、保冷力の低いこのクーラーボックスでは氷の消費が激しい。それこそ「いくら氷があっても足りない。」事になるので、釣行では僅かしか使わず、殆どBBQ時のビール冷やし専用になっていた。
 だが最近、何気にクーラーボックスについてのネット情報を調べていた際に、このホリデーランドクーラーの改造方法が紹介れている事に気付かされた。それも結構な数の人がそれにチャレンジしているようだ。
 このクーラーはプラスチック製の外壁と内壁の間に普通の発泡スチロール(発泡ポリスチレン素材)が挿入された構造になっているが、ぎっしりと入っているワケではなく、やや隙間があって、断熱素材自体の性能と、その隙間が保冷力が引き出せない原因のようだ。
 数あるサイトを調べると、改造方法には何種類かあるのだが、代表的なのは純正のポリスチレンを取り去ってウレタンフォームを注入する方法と断熱シートを貼る方法だった。
 一般的な断熱素材の中では熱伝導率が最も低いウレタンフォーム(発砲ウレタン)が最優秀だが、これを素人が隅々までムラなく注入するのは難しく、入れすぎると膨らむ際の圧力でクーラーボックスの内外壁が変形してしまうようだ。そのため、今回は失敗の少ない断熱シートを貼る方法を採用した。
 但し、ただ入れるだけなら他の人の紹介しているのと代り映えしないので、取り立てて紹介する迄もない話になってしまう。だからボク流として、他の人が試していないような、分厚く、高性能を謳っている断熱シートの挿入にこだわって制作する事にした。

 まずは用意する物から。

●断熱シート他●



 用意の第一は断熱シートになるが、これは様々なルートで販売されている。だが基本構造は、断熱層となる発砲ポリエチレン等の、シートの上に、反射材となるアルミのシートを貼り付けたモノなので、ほぼ同じになる。
 但し、厚みにはかなりの開きがある。普通に購入出来る中で最厚なのば、キャンプコーナーで売られている、いわゆる「銀マット」で、8mm以上あるが、これらはクーラーボックス内の、既存の断熱材との隙間に入る厚みではないため、使用不可となる。
 最薄は100均物で、1~2mm程度、厚みがはっきりしないのは発砲ポリエチレン層の密度が低く、簡単に押しつぶされてしまうからだ。そして中間がホームセンターで販売されている物で、これは暖房用品コーナーや風呂用品コーナーに並んでいる。
 散々迷ったが、ホームセンターの風呂用品コーナーで見つけた物が厚み=4mm、しかも断熱層がしっかりしていて潰れ難く、謳い文句も高性能なため、これを採用した。
 その他は、断熱シートを貼るためのアルミテープくらいだが、画像に写るウレタンフォームは、「どこかに、シートか貼り付け難い箇所があれば使うつもりだったが、結局は使わずじまいだったので、除外してイイ。

■手順■

 改造の手順だが、まずは、各所に打たれている、タッピングスクリューを外す事から始まる。



 パッキンの裏にもタッピングスクリューは隠れているから、パッキンを引き抜いてから外す。



 使用上の注意事項が書かれたステッカー裏にもタッピングスクリューが隠れているから、それを剥がして外す。



 バックルを留めているタッピングスクリューを外す。



 水抜き栓は開栓して脱落防止索を外し、栓本体は内側方向に押し出して外す。



 フタの内壁を外す。



 本体から断熱材を抜き取る。



 断熱材には、6か所脚部に入る突起が出ているので、カッターで削って、あらかじめ本体側に入れてアルミテープで止めておく。〈そうしないと、元に戻す際に入り切らず、苦労する。〉

 断熱シートはアルミ側を外側に向けて敷き詰めて、タッピングスクリューで留め直す。



 本体の断熱材にアルミシートを外側にした断熱シートをアルミテープで貼ってゆく。



 すべて貼り終わったら、元に戻してタッピングスクリューで留め直す。

 貼り付け作業までは、簡単だったが、本体に戻す作業は4mm厚の断熱シートではスペースに余裕がなく、かなり苦労した。何とかギリギリで押し込む事に成功したものの、楽に詰め戻したいのなら、普通に各サイトで紹介されている2mm厚程度に抑えた方が良かったのかも知れない。だが、厚みは氷の持ちと正比例するので、頑張って詰め戻した甲斐はあると思う。
 各サイトで確認すると、100均で揃えた断熱シートでも3割ほど氷の持ちがよくなるようだから、4mm厚バージョンの期待は大きい。但し、ボクの場合、このクーラーボックスは真夏の玄達瀬釣行では使用しないので、極限時の能力は判らずじまいになる。しかし、性能が上がった分だけ持ち込む氷の量が減らせるのは有難いし、サイズ的には白石グリや鷹巣沖釣行時にはジャストだから、2軍行きだったこのクーラーもこれから1軍へと復帰する事になる。

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柴山沖の落とし込み釣り

2020-11-21 12:30:00 | 船釣り・釣行記
 時間がないので…。

 予約していた日が荒天で飛んでしまい、久しぶりとなった兵庫県北にある柴山沖への釣行。勿論、お世話になったのは第三豊洋丸さん。この季節は落とし込み釣りがメインで出港しているが、毎年かなりの成績を納めているから期待を持っての釣行だった。

 目指したポイントは90mライン。他地域とは違ってかなり深いポジションだった。
 期待を込めて第一投。すぐにベイトが乗って落とし込みが始まった。するとすぐにアタリがあったので、十分に送り込んでからアワセを入れてみたが、少々焦っていたのかスッポ抜け。
 続く落とし込みではもう一段送り込み量を増やしてからアワセてみたが、これがうまくいって今度はちゃんとハリ掛かりしてくれた。

●久しぶりに曲がる落とし込み専用ロッド●

 抵抗感からヒラメと判断し、「すっぽ抜けしないでくれ。」と不安になりながら、距離を詰めてゆき、無事にネットイン。そこそこサイズだったから喜びも大きかった。

●65cmのヒラメ●


 続いて中マサがアタッてきて、それを2連続ゲット。
 だが、時たまハズレもあって、その際にベイトを確認すると、程よいサイズのイワシなので、「これさえ掛かり続けてくれれば、この日の釣果は安泰。」と、早くも皮算用を始める好調ぶりだった。

●ベイトのイワシ●


 しかし、掛かる魚種が変わって、ハマチになった後は全くベイトが掛からなくなり、ジアイは1時間と少ししか続かなかった。
 どうやら、潮がほとんど動いておらず、朝のマヅメ時が過ぎるとベイトが底に沈んで、落とし込むサビキ仕掛けには反応しなくなったようだった。

 結局マヅメ時を過ぎた後の6時間で、ベイトが掛かった回数は1~2回、そして掛かった本命魚?はマトウダイが一匹という有様だった。

●唯一相手をしてくれたマトウダイ●



 ラスト一時間を切ろうとした頃、船長は思い切って浅い40mラインに船を走らせた。その甲斐あってここではベイトがポツポツと掛かるようになった。だが、サイズが小さいのか、せっかく掛かっても底まで下す間に外れる事が多かった。そこでハリの小さいサイズの仕掛けに交換し、ベイトが掛かれば慎重にゆっくりと下す事に注意してやると、久しぶりの本アタリを捉える事に成功した。
 締め込みの様子から、そこそこサイズのヒラマサと判断。時間的に恐らくラストの魚になるだろうから、いつもより慎重にやり取りを開始する。

●久しぶりの曲がり●

 そして無事にゲット。正体は予想通りの、中マサの大きめサイズだった。

●78cmの中マサ●

 やっとベイトが掛かる感覚を掴み始めたのだが、その後すぐに納竿時間となった。

 ここ近年イワシベイトの回遊が極端に少なく不調な白石グリや鷹巣沖とは違って、柴山沖には安定してイワシベイトが入っており、釣果も毎年好調をキープし続けているが、この釣りは季節的には12月初旬が限度となる。だが、これと並行してメダイがやって来ており、そちらの期待も大きいので、ここでの楽しみはまだまだ続く。
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’20年版 完全フカセ・タックル 〜中型電動リール漂流記・その2「シマノをイジる編」

2020-11-14 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 その1から続く

■理想のリールを求めて~シマノ編■

 きっかけはシマノセールスがyoutubeで公開している「電動リールグリスアップ」という、動画だった。
https://www.youtube.com/watch?v=rECSftqLM3M&t=506s
 そこでは’13 ビーストマスターの分解&グリスアップ法が紹介されている。

 ボク自身は一時、旧型フォースマスター3000MKや現行フォースマスター3000、そして’16ビーストマスター3000XPを所有していたが、これらは「ハンドル周りを外し、見えているネジを緩めるだけ」といった従来の方法では右サイドパネルが外れず、分解メンテナンス等は諦めていた。
 そのため、レベルワインド機構のウォームギヤ周りと、スプールの隙間からパーツクリーナーとオイルを吹き入れるといった、簡易的なグリス落としと潤滑で我慢していたが、これではフリー回転性能を高める効果は僅かだった。
 だが、この動画のおかげで、フォースマスター3000MK発売以降のシマノ製電動リールの分解法が、ようやく判明した。これにより確実なグリス抜きと潤滑が出來るようになったのだ。
 そして、タイミングが良い事に使用少の’13ビーストマスター(中古)が手に入ったのを機に、その「本格的なグリス抜きと潤滑」に挑戦し、「これでダメなら、シマノ製電動リールでの完全フカセ釣りは諦めよう。」と考えた。

●メンテ用品●

 手順としては動画通りに分解を進め、スプールを支えている両サイドのベアリングを外して、パーツクリーナーで洗浄し、それが乾いたら純正のオイル(ザルス リールオイルスプレーSP-015L)をベアリング内部に注入するのが第一。
 後はレベルワインド機構を駆動させる、プラスチックギヤ周りとウォームギヤに着いたグリスを拭き取り、同オイルを注入して組み戻せばOKとなる。

●バラした画像●

●左の大径ベアリングが左サイド用●

 要注意点として、「スタードラグ周りのハンドル軸に入っている四角ナットやワッシャーには、それぞれに裏表があるので、その向きを間違えないようにしなくてはならない」というのがある。そのためドライバーのシャフトなどに一枚ずつ、入っていた向きのまま順番通りに差してゆく方法をオススメする。
 グリス抜きの結果は素晴らしく、驚く事にあの「回らない」で有名なシマノ製スプールインモータータイプが劇的に回り始めたのだ。

●’13ビーストマスター3000●

 このグリス抜きは「抵抗はあるが高負荷に強く、耐久性のあるグリス」を抜いて、「抵抗は少ないが高負荷に弱く、耐久性のないオイル」を注入するので、メンテナンスの頻度を上げねばならない。
 また、難しくはないが、分解&組み立ての知識がないと実行出来ないので、一般的ではないのかもしれないが、「買ったが回らず後悔したリール」を再生できる可能性がある。
 但し、不思議な事に右側=ハンドル側に傾けた方が、よりスムーズに回転し、反対側に傾けると抵抗が掛かってしまう事が判明した。
 これはボクの所有物固有の事象かも知れないが、恐らく左サイドのどこかにスプールエッジが擦っているのが原因だと思われたため、内径30mm、外径35mm、厚さ0.1mmのシムリングをAMAZONで購入し、外周を少しカットして32mmほどにしてから左サイドのベアリングの左に挿入してみると、抵抗は解消した。
 だが、わざわざ挿入しなくても、竿受けにセットする際に、右に傾けておけば問題は起こらないのだが…。

●シムリング●

 因みに’13ビーストマスター3000と旧フォースマスター3000MKは構造が同じだ。従ってこれも動画通りに分解出来る。
 また、’13モデルよりも更にドラグ&モーター性能の上がった現行の’16ビーストマスター3000XS&XPも、ほとんど同じ手順で分解出来そうなので、いずれ手に入れ直して、このグリス抜きを試みたいと思っているが、その後のパフォーマンスが楽しみだ。


■実釣インプレ■

 ’20年秋から連続使用したが、横に並ぶシーボーグ500ATに引けを取らないスムーズなフリー回転はずっと続いていた。
 92cmのヒラマサとのやり取りではシマノ製品特有の「引っ掛かりの無い」ウルトラスムーズなドラグフィーリングと、「もう少しだけ締めたい、あるいは緩めたい」と思った際の、調整幅の的確さも味わえた。
 これまで同社の電動リールは多数販売され、多数使用してきたが、その中で完全フカセ釣り用としては総合的に一番の出来だと思えるのが完全フカセスペシャルだった。
 だが、グリス抜き後の’13ビーストマスター3000は、それを超えるどころか、他社を含めて全ての中型電動リールの中であっても、まさに「最高クラスの完全フカセリール感」だった。
 それに加えて、一回目の使用後、二回目の使用後共に全部を抜いてラインの総チェックを実行したが、潰れや傷の具合は全く問題がないレベルだった。元来、スプールインモーター方式で糸潰れや食い込みが気になった事は一度もなかったので、これは当たり前の事なのかもしれないが…。

●’13ビーストマスター3000の糸巻状態●



■大前提の…■

 今迄、特に緩潮時だと隣の良く回るダイワ・ユーザーに差をつけられる事が多かったシマノ・ユーザーだが、これで指をくわえて釣果を眺める事は無くなるはずなので、分解と日頃のメンテナンスに自信のある方であれば、グリス抜きにチャレンジするのは大有りだと思う。

 しかしながら、この手の話の常ではあるが、「改造後はメーカー保証が受けられないので、自己責任で行う事!」これは大前提だ。

 と、ここまでいつものように長々と記してきたが、ホンネは「ユーザーが、そんな苦労をしなくてもイイように、フリー回転性能を高めた完全フカセ仕様をメーカーが作るべき。」と、言いたいところだ。ポテンシャルは充分過ぎるほど高いのだから、勿体ない話だ。

 以下、その3「ダイワをイジる編」に続く
コメント (4)
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’20年版 完全フカセ・タックル 〜中型電動リール漂流記・その1

2020-11-07 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
■「ベストがない」中型電動リール■

 ボクの記事で掲載している画像を見れば解ると思うが、こと中型電動リールに関しては昨年春ごろまではダイワ・シーボーグ500ATをメインに、その予備として中古のシーボーグ500FT(超音波タイプでない方)をヤフオクで手に入れて2台体制をとっていた。だが、今では随分と陣容が変わっている。
 以前に書いた記事にも中型電動リールに「ベストの機種はない」と記したが、ボク的には現在でもその状況は変わらない。そんな状況だから「少しでも良い物を」と、現行~絶版モデルの中でずっと漂流し続けている。
 そして、その漂流度合いは激しく、また悲し過ぎるため、今春に掲載した中型電動リールに関する記事に責任がとれなくなって、不掲載とせざるを得ない状況に陥っている。


■不運?■

 ボクが「ハズレくじ」を引く名人なのか、ここ数年間に見舞われたトラブルは、かなりの数になる。
 まず初めに新品購入したシーボーグ500ATが使用開始2回目でICモジュールに雨水が侵入し、保証修理でICモジュールが丸ごと交換になった。
 次いで同じリールの電磁クラッチが切れなくなって配線修理となり、その修理後も同じトラブルに見舞われたので、結局2度目のICモジュール交換になった。
 すると今度は予備で使っていた500FTのフリー回転が悪くなる。修理に出すと、トラブルの原因は「巻いたフロロカーボンラインのテンションで、スプールが横方向に伸びてサイドプレートに当たった事」で、「一度抜いてから巻き直すと元に戻った。」と聞いてビックリ。「このまま使うのは怖い。」と判断し、これは手放すに至った。

●シーボーグ500AT(手前)と500FT(奥)●

 次いでシーボーグZ500MMを予備機として手に入れた。これを白石グリまでの航行中に、ロッドにセットした状態でホルダーに差していたのだが、ポイントに到着後、数投で液晶表示の半分が見えなくなった。どうやら船の振動でICモジュールのどこかにヒビ等が入って海水が浸入したのが原因のようだった。
 この出来事のすぐ後にSLP(ダイワの修理会社)のコラム
https://slpplus.jp/column/today.repair.seaborgltd
を読んでいると、「袋やバッグに入れてあっての破損もある。」との記述があった。これには「じゃあ、精密機器扱いで釣り場に持って行けと言うの?」と、ツッコミを入れたくなったが、保証書もないので、仕方なく「ジャンク品扱い」としてヤフオクでの処分に至った。

●シーボーグZ500MM●

 因みに500ATやZ500MMのICモジュール交換は一発で¥50000クラスの修理になる。従って、使っているうちに保証期限が切れてしまった500ATは「もしも」の際に多大な出費になる事を懸念して、不本意だが手放してしまった。
 そして同じ頃にZ500MMをヤフオクで再び手に入れたが、これは当たりだったようで現在まで無事だが、ロッドホルダーには刺さず、釣り場に到着するまでバッグ内に納めて持ち込んでいるのは言うまでもない話だ。


■続くトラブル■

 そうこうしている間に、シマノからビーストマスターMD3000が発売になった。元々ボク自身が〝シマノ党”だった事と、ドラグ・フィーリングの良いシマノ製品が「回らない」と定評のあるスプールインモーターを廃した事を受けてMD3000を購入。次いでPEライン専用で使用していたビーストマスター3000XPを手放してビーストマスター2000EJを導入した。

●ビーストマスターMD3000●

 ドラグ性能の良いシマノがフリー回転性能を得た事で「喜び勇んで」MD3000を実戦投入した。初回は小マサばかりで実力は発揮出来なかったが、2回目の釣行での、ブリが掛かった際の余裕度には感激するほどだった。
 だが半面、気になる事が実釣時に起こっていた。レベルワインド機構が装備されるリールでは、多少の凹凸は出来るものの、巻かれたラインは割とキレイに巻かれてゆくのだが、MD3000の場合は(あくまでも他モデルとの比較だが)スプールのサイドプレート際のラインの「なで肩度」が大きい。
 そしてその両サイド部にラインが食い込み、放出と負荷のかかった巻取りを繰り返す内に、それがドンドン激しくなってゆくのだ。ついには食い込んだラインは指でつまみ出せるレベルではなく、拳で握りこんでから引っ張らないと出てこない状態に陥った。
 また、どのリールでもスプール軸に近く巻かれた部分ではラインの潰れが発生するが、このリールは中間位置から既に潰れが酷く、もうそれは傷に近い状態だった。
 その状況に「マズイな…。」と思っていた矢先にアタリが出て、ラインが走った途端にスプールに食い込んだまま固着して、糸の潰れた部分で高切れが起こってしまった。
 ここで「もう使えない。」と判断し、予備で持ち込んでいた2000EJにフロロカーボンラインを巻いた物に交換してその日をしのぎ、それ以降はフリー回転性能が中型クラス最高の2000EJを使うようになった。
 しかし、その2000EJでもトラブルが発生した。新品から数えて使用2回目で6号ラインの食い込み&糸潰れが酷くなり始め、良型ヒラマサらしきアタリが出た直後にスプール軸上で高切れを起こしてしまったのだ。

●ビーストマスター2000EJ●

 PEラインと違ってフロロカーボンラインやナイロンラインは伸び縮みの幅が大きい事は当然知られている。しかし、この伸び縮みが想像以上の圧となってスプールを締め付けている事はそんなに知られていないと思う。
 だが、例えばダイワだと、タナコン750ではカタログに、わざわざ「本製品はPE専用です。スプール破損の恐れがありますので、ナイロン・フロロラインはご使用にならないでください。」と書いているほどに要注意事項なのだ。
 更にはそれに収まらず、そう謳っていないリール=上述した500FTのようにメーカーが「完全フカセ向き」としているモデルであっても、テンションの掛けようによってはスプールを歪ませてしまうほどの圧が掛かるのだ。
 素人考えかも知れないが、ボクの分析では…。
 シマノのMD3000と2000番シリーズは、スプールインモーターを廃してコンパクト化した結果、スプール軸の径が細いタイプになっているが、その分だけ単位距離あたりの軸に巻かれる回数が増える。
 その上に、クラスを超越した大パワー・モーターで巻き上げられたラインには強烈なトルクが掛かって強く引き伸ばされながら巻き込まれるが、当然その分だけ縮む際の力も強くなる。
 だが、幸い(?)にもシマノのスプール軸剛性は高いので、スプールは歪んだり伸びたりせず、テンションの全てをラインが背負う事になってしまう。
 特にエッジ際ではラインが行き渡ったり、行き渡らなかったりで、なで肩状になりつつ、テンションに疎と密が生まれ、疎になった部分に後から強烈なトルクの掛かったラインが巻き込まれ、その後に強烈に縮んで、この部分で食い込みと糸潰れが特に激しくなる。
 この辺りが原因なのだと思う。
 この件に関してはメーカーにも問い合わせをしたのだが、「糸巻の際にボビンとの距離が近かったり、ロッドの元ガイドとの距離が近いとラインがサイドに行きわたらなくなる事がある。」との見解だった。
 だが、ボビンは出来得る範囲内で最大に離しても状態は変わらなかった。また、ガイドとの距離の件も使用ロッドが同社のアオモノリミテッドなので、原因とされても困る話だ。

●ビーストマスターMD3000のスプールエッジ際●

 結局、上記の経緯でMD3000は手放す事になり、完全フカセはダイワのZ500MM、天秤&落とし込みのPEラインを使う際はシマノの2000EJとして使い分けするしかないと思っていたのだが、ここでボクのへそ曲がりと言うべきか、そんないつものヤツが心中でザワつき始めた。

 以下、その2「シマノをイジる編」へ続く

 上記はボクが体験した事実と、それに対する見解だ。だが、どんな工業製品であっても当たり外れはあるのは当然の事だし、例えばドラグフィールだと使う釣り人によっても感じ方が違うので、意見の相違も出て来る。また、フロロカーボンライン使用時では不都合があっても、PEライン使用時であれば、全く問題なく使用出来るので、一概に良し悪しの決めつけは出来ない。よって、今回の記事は「完全フカセでの限定使用時」の個人的な参考意見として読んでいただきたい。

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