中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

丹波紅葉三山+1

2012-11-24 12:30:00 | 旅行
■丹波紅葉三山へ■

 秋に入って以降、釣果が好調な日本海側の釣り船に何度も予約を入れていたのだが、初秋は週末を狙ったかのように台風が近付き、中秋以降、それが収まったかと思えば今度は冬型気圧配置となって、シケが続いて出船中止が相次いでいた。だから、ここ3ヶ月で2回しか竿を出していない。
 しかし、冬型であれば近畿中部以南では大概晴れになることが多いので、ただ家でジッとしているのももったいなく、週末ごとに日帰り小旅行を繰り返しているが、今回は前回の丹波地方への小旅行記事で触れていた、丹波三山へ向かった。この三山は別名「丹波紅葉三山」とも呼ばれるだけあって、紅葉の名所であるらしい。まさに晩秋の、「紅葉真っ盛り」を期待しての訪問になった。

■高源寺■

 今回訪問した三山の中で最北に位置する高源寺へと、まずは車を走らせた。しかし、いくら冬型とはいえ、北に行けば行くほどこの時期は天気が悪くなるわけで、舞鶴若狭道を走っていると、その様子は刻一刻と手に取るように判る。そして、春日インターチェンジから春日和田山道に入った頃からは明確に雨模様となった。
 そして、高源寺に到着するが、文字通り「足下の悪い中」での参拝になった。

 京都、滋賀その他にある、大寺院以外へ行くことは、これまでほとんど無かったのだが、この高源寺は規模が大きく、伽藍として一通りの施設が整っていることは意外だった。

●境内の略図●

 まずは惣門をくぐって奥へと向かう。

●惣門●

 前日来の雨に打たれ、散っているモミジの量が多くて心配されたが、奥へ向かうごとに色彩が増えてゆく。そして、多宝塔を見上げる位置まで来ると、素晴らしい景観が広がっていた。

●高源寺、多宝塔前に広がる紅葉風景●

 ガスがかかり気味、「散り初めし」という状態とが重なって、極彩色と言うほどではなかったのが残念だったが、それでも満足できる状態だった。


■園通寺■

 次なるは園通寺。高源寺からだと10分ほど車を走らせた位置にあるのだが、いかんせん駐車場が狭いため、近くに到達してから駐車場に入るまで、約30分の待ち時間があった。
 しかし、待った甲斐はあった。北向きに開ける高源寺に対してこちらは南向きのせいか、幾分遅く紅葉が始まっているようで、状態はこちらの方が良かったのだ。

●パンフレット●

 参道から色づいた木々が左右から迫り、高源寺で見た物よりも間近で見られるせいか、迫力すら感じる。中でも池の畔の景観は素晴らしかった。

●池の畔●

 規模は小さく、こぢんまりとした寺院だが、それが何となくキュートな雰囲気を醸し出していてなかなか好印象だった。

●落ち葉もまた美しい●


●境内の紅葉●


■石龕寺■

 園通寺を後にして向かったのは、石龕寺(せきがんじ)だった。ここへは、駐車場待ちによる渋滞防止のため、下部にあるJA関連の駐車場その他から出る、シャトルバスによるアプローチに限られている。
 他の二山とは少し離れた一番南に位置するだけに、ここも参道から紅葉はベストに近い状態であった。

●参道の様子●

●見上げても真っ赤●


 中でも、惣門をくぐったあたりの紅葉は見事だった。

●仁王門を抜けてすぐの紅葉●

 奥へ進むと更に密度が高まって紅葉感(?)はピークへと向かうのだが、少しばかり問題があった。
 実はこの石龕寺、室町将軍足利家、それも二代将軍義詮(よしあきら)に縁があるということなので、その解説が仁王門横にある大スピーカーから発せられるのだが、それのみならまだしも、そのBGMが”ド演歌調”のテーマソングであり、これが解説の終了と共に音量が増すのだ。その耳について離れないような曲調に乗って流れる珍妙な歌詞「よ~し~あ~き~ら~」は、大音響となって谷にこだまし、紅葉見物の雰囲気には全くそぐわない。

●本殿界隈の一角●

 残念な雰囲気の中、境内を巡り、その後山を下ったが、少し時間が余ったので、篠山方面にある、気になっていたもう一寺を訪ねることにした。


■+1の、洞光寺■

 篠山市内を抜け、しばらく東へ走ったところにあるのが、洞光寺(とうこうじ)という寺だ。
 時間は夕暮れに近くなっていたが、なんとか滑り込みで境内に入ることができた。

●中華風の惣門●

 惣門をくぐった後、目に飛び込んできたのが、これまでの人生で見た中では一番の紅葉風景だった。

●池畔の見事な紅葉●

 その、あまりの美しさに立ち尽くし、驚きと共に、ただただ見入るばかりであった。
 しばし呆然とした後、境内奥へと進む。この寺では訪ねたタイミングが良かったのか、落ち葉までもが美しい。

●切り株に落ち葉●

 残り福とはよく言った物で、時間が余ったついでに立ち寄った寺が、こんなに美しいとは思ってもみなかった。こぢんまりとした境内を隈無く散策し、あれこれ迷った挙げ句、最適の構図を探し出して、そこで納得の写真を撮影する。

●当日のベストショット●

 そして、その後は、見飽きるまで眺めを堪能して、この寺を後にした。


■三山+1を巡って■

 今まで、紅葉見物と言えば、誰もが知る「京都・滋賀・奈良」に向かうことが多かった。当然、そういったメジャー処は紅葉がピークになると、全国から押し寄せる観光客で大混雑は避けられない。そのため、「まだ早い」とは判っていても、ボクら夫婦は、言わば先取りして見ていたのだが、丹波路の古刹はそういった混雑感もなく、快適に鑑賞することができた。勿論、訪問当日は朝から時折パラつく雨模様の天気の影響があったかも知れないが、それでも京都市内などの有名どころと比較すれば雲泥の差だと思う。いずれにせよ「穴場か?」と人に聞かれれば、「その部類に入ると思う。」と応えるほどの人出でしかなかった。 
 大伽藍ではない分、一寺あたりで見る箇所は少ないが、参拝時間が掛からないことを逆利用して数を稼げば、それぞれの作りに違いを感じて楽しめる、そんな丹波路の寺院群であった。
 尚、今回訪問した四寺では、まだ青い葉が一部に残っていたから、12月初旬までなら鑑賞可能のように思えた。勿論これは素人判断なので、出発前の確認が必要になるが、もし散っていないとすれば、どなたにもお薦めしたい紅葉スポットだ。
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丹波路へ

2012-11-17 12:30:00 | 旅行
■丹波路へ■

 関西周辺では近年、秋になると枝ごと切り取られて花束のような状態で袋に入れられた、丹波産の黒豆をチョっとしたギフトなんかでもらう機会が増えている。もらった方は、これをサヤごとゆでてビールのつまみとしては定番の「枝豆」にしていただくのが最高なのだが、まだそんなにメジャーではなかった頃は、黒豆故に外から見るとサヤが黒ずんでいるから、「せっかくもらったんだけど、傷んでた」と、知らずに捨てた人が居たという、笑い話があったことが今では懐かしい。
 そんな黒豆が届き始めると、秋が深まりつつあることを感じるのだが、今年もそんな日があって、ふとしたイメージの連鎖から妻と二人で「丹波へ行こう」と思いついた次第である。

■篠山城趾■

 ボクを含めた兵庫県民の多くにとって、「丹波」と言って、まず始めに思い浮かべるのは、丹波篠山という町になると思う。まず最初は丹波旅行では定番の、この町を訪問した。
 篠山は篠山城の城下町として発展してきたそうだが、まずはその中心の篠山城趾から散策を開始した。

●篠山城趾の正面●


 この城の築城に竣工したのは1609年。その頃は徳川氏が政権を握ってはいたものの、まだ豊臣氏は秀頼の代ではあるが、健在だ。したがって、まだ情勢に不安要素があったためにその備えとして、徳川家の血筋である松平康重をこの地に移し、その命によって築城が開始されたという。
 縄張は藤堂高虎という、言わば当時の「城郭設計のトップ中のトップ」が担当し、普請総奉行を池田輝政っという、言わば「土木建築の大手」が務めたというから、構え自体は本格的なものだが、実際には乗せるための台は予め作られていたものの、天守閣は築かれなかったそうだ。
 以後明治維新後に大半が取り壊されるまで戦闘ではなく、治世のための城として使用されていたそうだ。
 昭和に入っても、大書院だけは残っていたのだが、これも失火により焼失している。だから、城郭内に現存するのは、再建された大書院ということになる。

●再建された大書院●

 訪問時は、まだ紅葉が始まったばかりの頃であり、もみじのみが色づき始めていた状態であったが、それでもグラデーションがついていて、これはこれで見事だった。

●書院裏のもみじ●


●落葉も、また綺麗●

 城郭内を散策し終えたあとは、城下の町をぶらぶらと歩いた。ここでは、旬の栗を使った菓子類、黒豆入りのソフトクリームなど、色々とあったが、秀逸は「栗おはぎ」であった。


■丹波ワイン■

 ”丹波地方”は、兵庫県だけではなく京都府にもまたがっていて、次に向かった”丹波ワイン”は京都府下にある。ワイナリーは、いわゆる山陰道の、国道9号線からほんの少し入ったところにあり、これで2回目の訪問になる。

●国道9号線に掲げられている、看板●

●店舗入り口●


 訪問時は丁度”ヌーボー”の発売時期に重なっていて、それを大々的に勧めていた。

●ヌーボーがズラリと並ぶ●

 店内に入ると、とりあえず取扱種類、在庫状況などを確認してまわる。
●ノンアルコール・ワインもある●

 一通り確認を終えると、テイスティング係の妻に託しての試飲が始まった。
 定番のシャルドネは残念ながら、高級タイプしか在庫がなく、チョイかじりワイン愛好家のウチでは予算外だったが、ちゃっかり試飲だけは済ませ、次に移行。数点を試飲し、あれこれ迷ったあげく、結局”丹波ワイン・ヌーボー2012”の白を購入する。

●丹波ワイン・ヌーボー2012”の白●

 自宅に帰って、ようやくボクもテイスティングに参加。やや甘めながらスッキリした味わいに、ほんのり樽の香りが漂う味を堪能した。ヌーボーだから安いのだが、税込¥1000でこの味なら高得点だと思う。


■奥深い丹波路■

 今まで丹波と言えば、日本海に抜ける際の、「立ち寄り地点」としての認識しかボクにはなく、ここだけを巡ったという経験はなかった。しかし、今回の日帰り小旅行をきっかけに、この地を調べてゆくと、丹波三山と呼ばれる高源寺・円通寺・石龕寺の三寺は伽藍も大きく紅葉で有名らしいし、その他にも訪ね歩きたい場所が結構ピックアップできた。今後の訪問が楽しみな丹波路だった。
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武奈ヶ岳へ

2012-11-10 12:30:00 | アウトドア・スポーツ
■恒例?の家族登山■

 子供が成長して、なんだかんだで忙しくなってくると、家族揃っての行動がどうしても減ってしまう。これは多くの家庭で同様だと思う。
 そんな中でも、我が家(と言ってもボクの声が大きいだけだが、)では、年末年始のスキーを始め、「決めごと」として、半ば強制参加のイベントを組んでいる。その一つが秋の紅葉期にチャレンジする登山だ。
 その季節が今年もやってきた。今期は、昨年の同時期に登った蓬莱山(びわ湖バレイ・スキー場のある山)と同じ比良山系の、武奈ヶ岳へのチャレンジだ。
 武奈ヶ岳は、比良山系では最高峰の、標高1214.4mとあって訪れる人も多く、名前の通り、付近にはブナの木を始めとする広葉樹が多いことから、特に紅葉期は人気のある山だという。
 主なコースは琵琶湖から一直線に入るコースと北東のガリバー青少年旅行村から入るコース、そして琵琶湖とは反対側の坊村から入るコースの3本がある。今回は時間の制約があったため、その中から、傾斜はキツいが最短時間で武奈ヶ岳に登頂できる、坊村から入るコースを選び、秋晴れの中、その登山口へと向かった。


■登山口周辺■

 登山口のある坊村へは路線バスも走っているので、それを利用する手もあるが、やはり便利なのは車によるアプローチだ。ボクら家族も車で坊村まで向かったが、幸い登山口近くの葛川市民センターには、無料駐車場があるので、そこを利用できる点が有り難かった。
 駐車場で準備を済ませると、まずは明王院(みょうおういん)という、寺院を目指す。

●国道沿いに明王院の表示板がある●

 赤い欄干の橋を渡り、明王院を右手に見ながらそのまま真っ直ぐ進む。

●明王院の境内●

 その先には、パトカーが駐まっていて、そこでお巡りさんに登山届けを提出するようになっている。近場の低山とナメてかかってはいけないらしく、事実遭難や死亡事故も過去に起きているということだから、「もしも」を考え、届けの提出には協力しておきたい。

●朝から「ご苦労さん」な、お巡りさん●

 届けを済ませると、お巡りさんから「最初の1時間はキツいから、無理せずにね。」とのアドバイスをもらい、こちらからも挨拶をして、コースに入る。

■急登坂■

 コースインした途端、いきなりの急坂の連続だ。
 ジグザグを繰り返してそれこそ縫うように登ってゆくのだが、これがかなりキツい。「お巡りさんの言う通りなら、これが1時間も続くのだから本当にゾッとする。」と思いながらも、心に鞭打って重くなってゆく足を運び続ける。

●途中で見下ろせば、坂はこんなに急だ●

 途中に分岐はなく、従って案内表示はほとんど無いが、そんな物は必要ないくらいの、単調なジグザグ坂をひたすら登り続けるのみなので、迷うことはない。
 苦節?1時間。それまでの植林された杉林を抜けると、植生が変わって広葉樹の自然林になると同時に上空が開け、景色と共に歩く側の気分も変わって足取りにも変化が現れる。

●ブナの実が足下に転がり始めたら、急坂は終わりに近い●


●紅葉風景に心も和む●


■御殿山へ■

 最初の1時間で体力を使いすぎたのか、小休止を挟んでも結構な疲れが蓄積される中、ようやく大休止ポイントに予定していた御殿山に到着する。ここは、武奈ヶ岳の手前にあって、今回のコースでは2番目の高さの山になる。

●御殿山の標識●

 何と言っても、ここからは、これから登る武奈ヶ岳への最後のアプローチ道が見渡せるうえに、眺めは素晴らしいの一言だから、「あと一踏ん張り」への気合いが自然と入る。

●御殿山から武奈ヶ岳を望む●


■武奈ヶ岳のピークへ■

 御殿山から先は、コースにハードさは更になくなって、西南稜という稜線を伝って歩くことになる。歩きながら左手に見る京都~若狭方面へと連なる山々と、右手に見る比良山などの山々の美しさと、吹き渡る風も心地良さも手伝って、軽快に歩くことができる。

●ピークはもうすぐ●

 そして、御殿山から20分強で、この日の目的地である、武奈ヶ岳山頂に到着した。

●賑わう山頂●


 頂上では、360度に広がる紅葉と、琵琶湖が見渡せる”絶景”に、「ここまで来た甲斐があった」と納得し、しばし、ボーッと眺めを楽しんでいた。

●見下ろす琵琶湖(近江八幡方面)●


●南側の奥には昨年登った蓬莱山方面がうっすらと見える●

 そして、休憩と共に恒例の、山頂での昼食会?が始まる。

●昼食は、定番のカップ麺&おにぎり●


■帰途へ■

 山頂での時間を堪能したあとは帰途へと就く。このまま琵琶湖方面へと抜けてゆくコースもあるのだが、当然我々は車まで戻らなくてはならないので、折り返すことになる。
 
●この分岐を東進すれば、琵琶湖方面●

 武奈ヶ岳から御殿山へと続く道程のボトム部付近にあるのが、ワサビ峠だ。ここを東進し、中峠を経由して渓谷沿いを降りて坊村へ戻るコースなどもあるのだが、この日は時間がないことから、そのまま直進して往路を引き返すことになった。

●ワサビ峠の標識●

 帰途では、夫婦共に足を痛めてしまい、そのお陰で、かなり時間が掛かってしまったが、無事日のある内に駐車場へと到着した。

 今回は、紅葉の素晴らしい時期だったので、頂上は別世界であった。聞くところによると、新緑の時期も素晴らしいということだ。もし、その機会に恵まれれば、別コースの、琵琶湖側からのチャレンジをしたいものだ。「登り甲斐があって、苦労が報われる」そんな武奈ヶ岳だった。
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西穂高独標へ

2012-11-03 12:30:00 | アウトドア・スポーツ
■手軽に北アルプスへ■

 ハイキングとは違って、本格登山へのチャレンジは危険が伴い、初心者同士では命に関わるトラブルが発生することがあるので、経験者の同伴が必要になる。とは言っても、「コースによりけり」ということなので、ガイドブックなどで確認すれば探せば結構な数のコースがあることに気付かされる。中でもお手軽と言えるのが、途中までロープウェイを使ったコースだろう。
 途中までを徒歩以外の手段を使うことを”登山”と言えば、登山に情熱を掛ける諸先輩方に怒られるかも知れないが、とにかくこの方法は、登山には向かない体型をしたボクのような人間であっても、確実に“高いところ”まで連れて行ってもらえるので、ありがたい存在だ。
 今回はそんなコースの一つである、新穂高ロープウェイを使ったコースに妻と二人でチャレンジしてきた。

●紅葉の中の新穂高ロープウェイ●

 このロープウェイは、ボクがよく渓流釣りで釣行する高原川の上流=蒲田川沿いの標高1305m(しらかば平駅)から、ボクらのような登山者気取りのハイカーや、穂高連峰を縦走をする本格登山者まで、あるいは全く歩く気のない展望台止まりの観光客を乗せて、標高2126mまで、僅か約7分で一気に運んでくれる。
 ボクら夫婦は紅葉シーズンの混雑を予想していたので、朝一の始発を狙って、午前8時前に到着したのだが、乗り場には既にたくさんの客が押し寄せており、121人乗りのロープウェイであっても、結局は2便目となってしまった。
 

■コースイン■

 山頂の駅を西穂高口駅と呼び、観光客は展望台へと向かい、登山~ハイカーはここから上部を目指す。既に2便目だということは、240人も降り立っていることだし、これから時間が経てば、ドンドン人が増えてコース上はドエライ混雑になるのかと思ったが、観光客が大半であったことは予想外であった。
 今回歩くコースは、西穂高口駅から歩き始め、途中で小休止をとりながら西穂山荘を目指し、そこで大休止。そしてそこから西穂高独標を目指すという、一般ハイカーにも安全かつ本格登山気分が味わえるコースだ。

●ピンクの丸間の往復が今回のコース●

 駅を降りて散策園を抜けたところが登山口になり、そこには登山届出所がある。そしてその横からコースインする。

●登山届出所●

 初めての北アルプスだけあって、やや興奮気味にスタートしたが、期待に反してほとんどの区間で景色は開けてこない。その様子は六甲山の麓辺りのコースと雰囲気は変わらないので心も晴れず、日頃の運動不足で鈍った足には堪える。

●西穂山荘までのコースは木道と土道●

 それでも、希に林間からチラッと見る笠ヶ岳方面の山容は「あの全景を見なくては…。」と、ヘタレなオジサンには励みとなり、約1時間半を歩き切ると、そこに西穂山荘がある。

●西穂山荘●

西穂山荘の名物はラーメンと言うことなので、それを昼食で食うことを帰りの楽しみにとっておき、この段階では予定通りにそのまま大休止をとる。


■丸山へ■

 大休止の後は、更に上部を目指す。ここから先は稜線に出るので、これまでとは打って変わり、360度の展望が広がってくる。
 まずは20分ほど登った先にある、丸山を目指す。

●山荘のすぐ上は大きなゴロ石が転がる●

 山荘までは、正直言って鈍った体にはキツかったのだが、視界が広がると俄然ヤル気が出てきて足取りが不思議と軽くなった。そして、程なく丸山に到着する。

●丸山は通称「お花畑」と言うらしいが、既に枯れていた。●


■独標へ■

 稜線に出てからは、今まで約50年間も生きた中で、全く見たことのない世界が広がり、今までのハイキングとは違う初めての感覚に、「これが登山の楽しさの一つなのか?」と、感動することしきりであった。


 特に左手に見る笠ヶ岳方面の景色が素晴らしく、時折足を止めて見入るほどだった。

●写真に写る山々の頂点が「笠ヶ岳」●

 丸山を過ぎて1時間弱で今回の最終到達予定地の「西穂高独標」が、間近に迫ってきた。ここからが本格登山のダイナミックさが少し味わえる区間になる。とは言ってもザイルやハーケン等の専用器具類が必要なわけではないので、諸先輩方に笑われてしまうかも知れないが…。

●最終局面は、この岩壁にとりつく●

 ここに来て初めて知ったことだが、手を掛けたり足を掛けても安全な部分には「○印」が、危険なところには「×印」が、白ペンキで描かれていた。恐らくこれはガイドさんのような方々が事故防止のために書いてくれているのだろうけど、当然それに従わないと崩れる可能性があるから、我々夫婦も、この区間は慎重に登った。

●途中で振り返れば…●



■西穂高独標■

 崩れる岩を掴むこともなく、無事に登頂が済んだ。次元の低い我々だから、達成後の感動も大きかった。

●「達成感に浸る」の図●

 独標頭頂部からのパノラマは素晴らしく、しばし見入っていた。

●西穂高の山頂方面●


●岳沢方面●


●焼岳(右上)と上高地方面●

 ここから先にチャレンジするグループもいたようだが、我々ヘタレな夫婦は、すぐ横にある次のピークまでの道のりを見た結果、精神的にも体力的にも不可能と判断して、ここで折り返すことを確認した。

●すぐ横の、次のピークへのルート●

 しばらくは、座り込んでいたが、後から来る人達のことを考えると狭い頭頂部に長居はできないので、堪能した後は速やかに下りの途についた。
 「登りよりも、下りの方が怖い」とよく言われるが、まさしくその通りであった。より慎重に岩壁の区間を降りた後は思わず「フーッ」と、一息が出てしまうほどだった。そしてその後、西穂山荘への道のりを戻っていった。
 山荘に戻って、「名物のラーメンを!」と楽しみにしていたのだが、残念ながら売り切れていた。がっくりしたが、既に口が「ラーメンのお口」になっていたので、ロープウェイ乗り場の食堂目指して一気に歩くことにした。


■コースを振り返って■

 ロープウェイ乗り場で遅めの昼食を済ませた後は、観光客で賑わう展望台へと向かう。
 紅葉シーズンまっただ中、しかもこの日は薄くモヤがかかりながらも、一日中晴れており、人はひっきりなしに出入りして大盛況だった。人の隙間を見つけて穂高を初めとする北アルプスの山々をバックに記念撮影を済ませた後は、歩いた区間の西穂山荘から西穂高独標までを目で辿り、しばし眺めていた。

  
●西穂山荘から先は、赤い矢印の間を歩いたことになる●

●展望台から見た西穂高独標●

 西穂高から左に目をやると、槍ヶ岳までもが明確に見えたので、「いつかあそこへ行ってみたい…」との思いも少しは沸いたが、「独標から先へ行けないようでは…」と、己の体力の無さに現実へと引き戻される。

●左端が槍ヶ岳●


 まぁ、ボクら夫婦のような”チョイかじり”のハイカーにとっては、今回のようなロープウェイを使ったお手軽ルートがお似合いなのだろう。とにかく、またいずれは登ってみたくなる。そんな西穂高独標だった。


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