■ナビの刷新■
車の買い換えと同時に、旧車に取り付けていたナビを売り、最新型のナビを導入したのだが、このナビはいわゆるオーディオ付きメモリー・ナビというタイプだった。
最新型のオーディオ付きというから「音」に期待をしたのだが、どうもボクにはしっくり来ない。まぁ、音に関しての意見は個人差がかなりあり、好みもあるのだろうけど、ボクが好きなタイプは情報量があって、粒だちのハッキリした中高音と引き締まった低音だ。但し、こんな音をカー・オーディオに求めるのは少し酷な話であることは重々承知なのだが…。
■カーオーディオの世界■
その昔、ピュアオーディオの世界を囓っていた「オーディオ小僧」の頃は、スピーカー・エンクロージャー(箱のこと)の自作を楽しんでいたこともあったのだが、その時の経験で、例えば「低音のキッチリ鳴らそうと思えば、スピーカー・ユニット(スピーカーの振動部本体のこと)の、能率などの特性を公式に当てはめて計算した容量を導き出し、それに合わせたエンクロージャーを作らなくてはならない。」ということは理解している。だから、搭載する車種が違えば、スピーカーを埋め込む先のドアなどの容量やパネルの材質がそれぞれ違ってくるカーオーディオの世界では、同じスピーカー・ユニットでも鳴り方はそれぞれ別状態になるのだ。したがって、そのスピーカー・ユニットを開発する際に目指した音が出ることはほとんど無いということになる。結局のところ、それぞれがイイ音だと自負していても、それは自己満足の世界になってしまう。まぁ、本人が気に入っていれば、それでもイイのだけれど…。
加えて、車に進入してくるノイズに加えて車室内の環境も個人で違うから、イイ音を得ようとしても障害がかなり多いので、カーオーディオの世界では究極は不可能の中で、最良を目指すしかないのが実情だ。で、あるからこそボクの場合、モノ選びに関しては慎重になる。
■一体機と専用機■
近頃はカー・ナビを搭載する車が増えている。従ってスペースの限られる車室内へナビとオーディオを同時に取り付けるのは困難なので、当然オーディオ&ナビの一体機が主流になっているのだが、これはやはり妥協の産物に近く、最上段で述べたようにボクの好きな情報量溢れる音になってはいないように思う。
新しくエクストレイルがやって来た時点で、スピーカーを好みのモノに入れ替え、ドアの制振(デッドニング)を済ませた時点で、新たに購入した一体機の音とそれまでに使っていたカーオーディオのヘッドユニット=専用機の音を同じCDを使って交互に聞き比べてみると、メーカーの音作りの方向性を越えた違いが明らかになった。
一体機の方は最高域と最低域の手前にピークを付けたいわゆる「ドン・シャリ」系統にやや近く、反対に専用機の方は帯域のピーク感が少ない素直で質感の高い、ボク好みの音が出ていた。ただし、コレはボクの耳での判断だし、人それぞれに好みもあるうえ、同じ条件で2台を聞き比べしない限り違いが明確には解らないだろうから、フツーの場合であれば一体機の方を購入しても全く問題ないレベルであることは間違いないところなのだが…。
しかしながら、試聴に持ち出したヘッドユニットはもう使用5年目を迎えており、今後のことを思って、最新型のカタログを物色し始めたのだが、そこで新たな事実を知ってしまった。
■カーオーディオの現状■
パイオニアやアルパイン、そしてケンウッド等の主要メーカーのカタログを取り寄せ、中を見るとビックリする。アイテム数が極端に減っているのだ。中でも健闘しているのはパイオニアだが、それでもNEWモデルは少数の低価格帯が中心だ。各メーカーのカタログに載っている極僅かな高級モデルは継続販売モデルであるし、ケンウッドに関しては高級品はもう既にカタログからは消えている。
他業界でも同様だと思うが、商品が売れて勢いがある場合には各メーカーが競合他社に勝つために、採算を度外視した「戦略モデル」というモノがあって、それは主に中間価格帯の、一般的に手を出し易い価格帯に投入されることが多い。例えば、地デジ化とエコポイント獲得で盛況だったデジタルTV界を見れば明らかだ。しかし、カーオーディオ界には定価が8万円以上する高額機がポツンと少数あって、それ以外は、ほとんどが2万円以下の低額機の展開だ。だからボクのような「持ち金は少ないけれど、凝りたい人間」にとっては、ほとんど選択の余地が残っていない。
仕方なくボクは、オークションで売りさばくことを考えていた旧車に搭載していたヘッドユニットを急遽エクストレイルに移植することを決意し、CDのみだがヘッドユニットからアンプへダイレクトに信号を送り込むように設定し、カーナビの中にあるTV、FM&AM、DVD、そしてメモリー系のオーディオといったソースはヘッドユニットのAUX端子を介して信号を送り込むかたちに配線をすることにした。幸いエクストレイルのコンソールはDIN規格2段分に加えてもう1段、更にパネルを交換すれば更にもう1段のスペースがあるので取付場所には困らなかった。
●試行錯誤の結果、この構成に落ち着いた●
■メモリーオーディオ■
話は元に戻るが、今回購入したナビにはメモリーオーディオと呼ばれる、圧縮技術を使ってSDカードに録音できる機能が搭載されている。ボクの場合、この手の圧縮度の高い音はどうも好きはなれない。例えばウチの息子を含めて今誰もが持っている小型の音楽プレイヤーなんぞで、自分が思うところのイイ音に出くわしたことがないのだ。以前にも書いたが、ドラムのシンバルのように倍音の多い音が変に聞こえるからだ。このナビに搭載されているメモリーオーディオも同様で、情報量が減っているような感があり、聞きたい音ではない。ただし、何曲も入ってしまうという便利さと引き替えだと思えば納得できるレベルであり、対決姿勢で聞かないと解らないレベルまで技術的には向上しているので、フツーに聞く分には全く問題はないのだが…。
■サブ・ウーハー■
ロードノイズが進入する車内では、ノイズと低音が干渉して思ったように低音が出てくれないことがある。その対策にはトーンコントロールやイコライザーを使ってブーストしてやる方法もあるのだが、ピュア・オーディオでのクセがあってブーストさせるのは好きではない。だから、低音部の増強には昔からサブ・ウーハーの導入で解決している。旧車から引き継いだ三菱製(懐かしのダイヤトーン)のシート下には入らない、やや大きめのサイズのモノだが、とりあえず導入してみた。このモデルは共鳴管理論を使ったスロートを通した低音を出すタイプなので、解像度はイマイチ。但し、低音の量感は充分という印象だった。
コレをエクストレイルのトランクに設置して試聴を繰り返したが、位相スイッチを正相にしても逆相にしても、やや遅れて聞こえるようになってしまった。そのままではキモチワルイので、ここはシート下に入るモノの中から候補を絞り、結局ダイナクエスト製のサブウーハーを導入することになった。
ダイナクエストはオートバックスのオリジナルブランドだが、定評のあるμ DiMENSiON社製の「GLOW8100SW」のOEM化商品だから、信頼性は高い。(しかも本家より価格が安い)
シート下の取付自体は、とあるホームページ内の写真で可能であることは知っていた。その写真を見ると助手席への取付だったが、ボクの車の場合は既に外部パワーアンプが入れてあるので、運転席側に取り付けることになった。
運転席にはシートリフターがあるので、助手席下よりややスペースが狭くて位置決めにやや手間取ったものの、ホームセンターで購入したU字ボルトとステーを使って取付自体はスムーズに完了した。
●こんな感じで取付完了●
クロスオーバーを80Hzにとって調整を繰り返していると、正相の方が解像感が上がり、逆相の方が量感が出るといった感じになるので、ここは迷わず正相にすることにした。それよりも面白いのが、運転席側に取り付けたことにより、思わぬ副産物が現れたことだ。
このサブウーハーは小型の割には結構鳴ってくれるので、その振動が座席に伝わり、昔懐かしいボディソニック(パイオニアから発売されていた低音感を味わうために、振動を体に伝える器機)の効果が現れたのだ。ピュアオーディオの世界ではスピーカー以外の周りを共振させてはいけないのだが、やや何でも有りの感のあるカーオーディオの世界なので、オモシロがって味わうことにしている。
■ここ数年で消え去ったモノ■
今回、カーオーディオの世界を久しぶりに覗き込んでみたが、この世界でも需要が減り、生産量&機種が減って低価格帯に偏るという、デフレスパイラルのような状況が続いているようだ。見渡してみるとSONYやパナソニックなどは、とうの昔に撤退しているから、現在生産しているメーカーでも、単体のカーオーディオ需要を、もう既に「風前の灯火」と捉えているのかも知れない。
振り返ればピュアオーディオ世界ではもっと早くに、そんな流れになっていて、高解像度&高性能を誇るDSシリーズが好評だった国産スピーカーのダイヤトーン(三菱)は大昔に姿を消しているし、他メーカーでも規模はドンドン縮小している。そんな流れをみていると、「音を聞く」ということに関しては、もう本気で「イイ音」を聞こうとする、あるいは見付けようとする心が現代に生きる多くの日本人達には無くなりつつあるのだろうと思ってしまう。
しかも、より良いモノを求めず、「そこそこのモノで良い」といった風潮は、エレクトロニクスの世界の話だけではない。食の世界なども「そこそこのモノ」に押されっぱなしだ。
このまま我々日本人がモノに対する「こだわり」を捨て、元々持っている「感覚」の修練を怠っていけば、「Made in Japan」の魅力は下がり続けてゆくように思えてならない。資源の少ない日本は、より良い製品を輸出し続けないと食ってはいけないことは小学生でも知っている。かの事業仕分けの初期にあった「1番でなきゃダメなんですか?」の論議と同じように、頂点を目指すから良いモノが出来上がるのではないのだろうか?。
このまま我々日本人の鈍感化が進んで「微に入り細をうがつ心」を忘れてしまえば、自らの首を絞めることになると思えてならないのだ。低価格帯の中で及第点の性能しかないモノで勝負を続けてゆくと、やがては人件費の安い国にシェアを奪われてしまうのは当然の流れなのだ。と、「気に入ったモデルが手に入らないカーオーディオ」に対するもどかしさを前にして思い巡らせるのであった。
車の買い換えと同時に、旧車に取り付けていたナビを売り、最新型のナビを導入したのだが、このナビはいわゆるオーディオ付きメモリー・ナビというタイプだった。
最新型のオーディオ付きというから「音」に期待をしたのだが、どうもボクにはしっくり来ない。まぁ、音に関しての意見は個人差がかなりあり、好みもあるのだろうけど、ボクが好きなタイプは情報量があって、粒だちのハッキリした中高音と引き締まった低音だ。但し、こんな音をカー・オーディオに求めるのは少し酷な話であることは重々承知なのだが…。
■カーオーディオの世界■
その昔、ピュアオーディオの世界を囓っていた「オーディオ小僧」の頃は、スピーカー・エンクロージャー(箱のこと)の自作を楽しんでいたこともあったのだが、その時の経験で、例えば「低音のキッチリ鳴らそうと思えば、スピーカー・ユニット(スピーカーの振動部本体のこと)の、能率などの特性を公式に当てはめて計算した容量を導き出し、それに合わせたエンクロージャーを作らなくてはならない。」ということは理解している。だから、搭載する車種が違えば、スピーカーを埋め込む先のドアなどの容量やパネルの材質がそれぞれ違ってくるカーオーディオの世界では、同じスピーカー・ユニットでも鳴り方はそれぞれ別状態になるのだ。したがって、そのスピーカー・ユニットを開発する際に目指した音が出ることはほとんど無いということになる。結局のところ、それぞれがイイ音だと自負していても、それは自己満足の世界になってしまう。まぁ、本人が気に入っていれば、それでもイイのだけれど…。
加えて、車に進入してくるノイズに加えて車室内の環境も個人で違うから、イイ音を得ようとしても障害がかなり多いので、カーオーディオの世界では究極は不可能の中で、最良を目指すしかないのが実情だ。で、あるからこそボクの場合、モノ選びに関しては慎重になる。
■一体機と専用機■
近頃はカー・ナビを搭載する車が増えている。従ってスペースの限られる車室内へナビとオーディオを同時に取り付けるのは困難なので、当然オーディオ&ナビの一体機が主流になっているのだが、これはやはり妥協の産物に近く、最上段で述べたようにボクの好きな情報量溢れる音になってはいないように思う。
新しくエクストレイルがやって来た時点で、スピーカーを好みのモノに入れ替え、ドアの制振(デッドニング)を済ませた時点で、新たに購入した一体機の音とそれまでに使っていたカーオーディオのヘッドユニット=専用機の音を同じCDを使って交互に聞き比べてみると、メーカーの音作りの方向性を越えた違いが明らかになった。
一体機の方は最高域と最低域の手前にピークを付けたいわゆる「ドン・シャリ」系統にやや近く、反対に専用機の方は帯域のピーク感が少ない素直で質感の高い、ボク好みの音が出ていた。ただし、コレはボクの耳での判断だし、人それぞれに好みもあるうえ、同じ条件で2台を聞き比べしない限り違いが明確には解らないだろうから、フツーの場合であれば一体機の方を購入しても全く問題ないレベルであることは間違いないところなのだが…。
しかしながら、試聴に持ち出したヘッドユニットはもう使用5年目を迎えており、今後のことを思って、最新型のカタログを物色し始めたのだが、そこで新たな事実を知ってしまった。
■カーオーディオの現状■
パイオニアやアルパイン、そしてケンウッド等の主要メーカーのカタログを取り寄せ、中を見るとビックリする。アイテム数が極端に減っているのだ。中でも健闘しているのはパイオニアだが、それでもNEWモデルは少数の低価格帯が中心だ。各メーカーのカタログに載っている極僅かな高級モデルは継続販売モデルであるし、ケンウッドに関しては高級品はもう既にカタログからは消えている。
他業界でも同様だと思うが、商品が売れて勢いがある場合には各メーカーが競合他社に勝つために、採算を度外視した「戦略モデル」というモノがあって、それは主に中間価格帯の、一般的に手を出し易い価格帯に投入されることが多い。例えば、地デジ化とエコポイント獲得で盛況だったデジタルTV界を見れば明らかだ。しかし、カーオーディオ界には定価が8万円以上する高額機がポツンと少数あって、それ以外は、ほとんどが2万円以下の低額機の展開だ。だからボクのような「持ち金は少ないけれど、凝りたい人間」にとっては、ほとんど選択の余地が残っていない。
仕方なくボクは、オークションで売りさばくことを考えていた旧車に搭載していたヘッドユニットを急遽エクストレイルに移植することを決意し、CDのみだがヘッドユニットからアンプへダイレクトに信号を送り込むように設定し、カーナビの中にあるTV、FM&AM、DVD、そしてメモリー系のオーディオといったソースはヘッドユニットのAUX端子を介して信号を送り込むかたちに配線をすることにした。幸いエクストレイルのコンソールはDIN規格2段分に加えてもう1段、更にパネルを交換すれば更にもう1段のスペースがあるので取付場所には困らなかった。
●試行錯誤の結果、この構成に落ち着いた●
■メモリーオーディオ■
話は元に戻るが、今回購入したナビにはメモリーオーディオと呼ばれる、圧縮技術を使ってSDカードに録音できる機能が搭載されている。ボクの場合、この手の圧縮度の高い音はどうも好きはなれない。例えばウチの息子を含めて今誰もが持っている小型の音楽プレイヤーなんぞで、自分が思うところのイイ音に出くわしたことがないのだ。以前にも書いたが、ドラムのシンバルのように倍音の多い音が変に聞こえるからだ。このナビに搭載されているメモリーオーディオも同様で、情報量が減っているような感があり、聞きたい音ではない。ただし、何曲も入ってしまうという便利さと引き替えだと思えば納得できるレベルであり、対決姿勢で聞かないと解らないレベルまで技術的には向上しているので、フツーに聞く分には全く問題はないのだが…。
■サブ・ウーハー■
ロードノイズが進入する車内では、ノイズと低音が干渉して思ったように低音が出てくれないことがある。その対策にはトーンコントロールやイコライザーを使ってブーストしてやる方法もあるのだが、ピュア・オーディオでのクセがあってブーストさせるのは好きではない。だから、低音部の増強には昔からサブ・ウーハーの導入で解決している。旧車から引き継いだ三菱製(懐かしのダイヤトーン)のシート下には入らない、やや大きめのサイズのモノだが、とりあえず導入してみた。このモデルは共鳴管理論を使ったスロートを通した低音を出すタイプなので、解像度はイマイチ。但し、低音の量感は充分という印象だった。
コレをエクストレイルのトランクに設置して試聴を繰り返したが、位相スイッチを正相にしても逆相にしても、やや遅れて聞こえるようになってしまった。そのままではキモチワルイので、ここはシート下に入るモノの中から候補を絞り、結局ダイナクエスト製のサブウーハーを導入することになった。
ダイナクエストはオートバックスのオリジナルブランドだが、定評のあるμ DiMENSiON社製の「GLOW8100SW」のOEM化商品だから、信頼性は高い。(しかも本家より価格が安い)
シート下の取付自体は、とあるホームページ内の写真で可能であることは知っていた。その写真を見ると助手席への取付だったが、ボクの車の場合は既に外部パワーアンプが入れてあるので、運転席側に取り付けることになった。
運転席にはシートリフターがあるので、助手席下よりややスペースが狭くて位置決めにやや手間取ったものの、ホームセンターで購入したU字ボルトとステーを使って取付自体はスムーズに完了した。
●こんな感じで取付完了●
クロスオーバーを80Hzにとって調整を繰り返していると、正相の方が解像感が上がり、逆相の方が量感が出るといった感じになるので、ここは迷わず正相にすることにした。それよりも面白いのが、運転席側に取り付けたことにより、思わぬ副産物が現れたことだ。
このサブウーハーは小型の割には結構鳴ってくれるので、その振動が座席に伝わり、昔懐かしいボディソニック(パイオニアから発売されていた低音感を味わうために、振動を体に伝える器機)の効果が現れたのだ。ピュアオーディオの世界ではスピーカー以外の周りを共振させてはいけないのだが、やや何でも有りの感のあるカーオーディオの世界なので、オモシロがって味わうことにしている。
■ここ数年で消え去ったモノ■
今回、カーオーディオの世界を久しぶりに覗き込んでみたが、この世界でも需要が減り、生産量&機種が減って低価格帯に偏るという、デフレスパイラルのような状況が続いているようだ。見渡してみるとSONYやパナソニックなどは、とうの昔に撤退しているから、現在生産しているメーカーでも、単体のカーオーディオ需要を、もう既に「風前の灯火」と捉えているのかも知れない。
振り返ればピュアオーディオ世界ではもっと早くに、そんな流れになっていて、高解像度&高性能を誇るDSシリーズが好評だった国産スピーカーのダイヤトーン(三菱)は大昔に姿を消しているし、他メーカーでも規模はドンドン縮小している。そんな流れをみていると、「音を聞く」ということに関しては、もう本気で「イイ音」を聞こうとする、あるいは見付けようとする心が現代に生きる多くの日本人達には無くなりつつあるのだろうと思ってしまう。
しかも、より良いモノを求めず、「そこそこのモノで良い」といった風潮は、エレクトロニクスの世界の話だけではない。食の世界なども「そこそこのモノ」に押されっぱなしだ。
このまま我々日本人がモノに対する「こだわり」を捨て、元々持っている「感覚」の修練を怠っていけば、「Made in Japan」の魅力は下がり続けてゆくように思えてならない。資源の少ない日本は、より良い製品を輸出し続けないと食ってはいけないことは小学生でも知っている。かの事業仕分けの初期にあった「1番でなきゃダメなんですか?」の論議と同じように、頂点を目指すから良いモノが出来上がるのではないのだろうか?。
このまま我々日本人の鈍感化が進んで「微に入り細をうがつ心」を忘れてしまえば、自らの首を絞めることになると思えてならないのだ。低価格帯の中で及第点の性能しかないモノで勝負を続けてゆくと、やがては人件費の安い国にシェアを奪われてしまうのは当然の流れなのだ。と、「気に入ったモデルが手に入らないカーオーディオ」に対するもどかしさを前にして思い巡らせるのであった。