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中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

'15 男女群島釣行 ~その2

2015-06-06 12:30:00 | 磯釣り
■初日の夕マヅメ■

 さて、青木瀬の西に渡礁したのだが、この釣り座からは西方向に流れる上げ潮でなければ殆ど釣りが成立しないので、潮待ちの間に夕マヅメ用のタックル(=2.5号竿に、道糸&ハリスが5号の通し)と夜釣り用のタックル(=4号竿に、道糸&ハリスが8号の通し)の両方を準備し、軽く食事を済ませておいた。
 そして午後6時頃、待ちに待った満ちの本流が水道筋に差し込み始めた。初めの内は日中と同程度の口太グレがポツリポツリとアタってきた。
 だが、周囲が薄暗くなり始め、同時に潮切れが良くなってくると、本流と、それに引かれる“引かれ潮”が発生し、その潮壁を攻めていると、45cmほどの尾長グレが登場する。

●45cmほどの尾長グレ●

 「いよいよ時合いか?。」と思いつつ、集中して流していたが、前アタリの後、電光石火の如く視界からウキが消えていった。すかさずアワセを入れたが、次いで竿が絞り込まれる様子から、大型の尾長グレだと直感して体勢を整えた。そこから数度の締め込みに耐えて走りを止め、そろそろ反撃開始をしようとした瞬間にフッと感触が消えてしまった。ハリ外れである。
 「次があるさ。」と、気を取り直した頃には日没を迎えたので、そのまま夜釣りに持ち替えて次なる攻めに入った。しかし、口太グレが一度アタったきりで、それ以降、本流の流速が上がってからは全く気配が無くなった。しかも、潮のヨレた部分でウキ下を深くとっていると、ガシラ(カサゴ)が食ってくる始末で、異様な雰囲気になっていった。
 結局、潮止まりまで粘ってみたが、ガシラ以降はずっとエサが残ったまま、そして全くアタリがないままだった。


■二日目の朝■

 下げ潮の間は睡眠をとり、翌朝の潮止まり時間に合わせて起床。満ち潮の本流がやってくるのを待ったが、待てども待てどもそれが差してこない。水道筋では潮時表よりも1時間程度遅れることはあるが、やっとのことで流れ始めたのは3時間程後だった。
 満ちの潮流に合わせてマキエサを入れ始め、様子を伺ったが、見えるのは大型のサンノジ、中型のイズスミとタカベ、その下に中型の口太グレという組み合わせだった。
 手前から攻めてみると、サンノジやイズスミとタカベがウルサく、それをかわしても中型の口太グレが掛かるという、「見たまんまの展開」だったので、沖側の本流筋を攻めることにする。しかし、全く反応がないので、ふと足下に目をやると、タカベ以外の、魚が全く消えていた。
 この状況や前日の夕マヅメ以降の展開と同じで、どうやら満ちの本流に何らかの原因があるように思えた。
 隣で石鯛を狙っていた中出クンも、「通常のタナではアタリが無く、深いタナで赤貝のムキ身を食わせるのがやっと。」と話していた。しかしそんな中にあっても、中型の石鯛を3枚ゲットするあたりはさすがであった。

●翌朝の満ち潮では、口太グレが1枚のみ●

 その後もアレコレと手を尽くしたが、その後も状況は変わらず、何もドラマは起こらず、タカベ以外の釣果がないままに、満ち潮の時間帯が去っていった。


■二日目の夕マヅメ■

 昼の見回りの時点で磯替わりも考えたが、週末の土曜日とあって見えていただけでも3~4隻の他船がウロついていた。そんな状況下では中ノ島の南側にある中ノ瀬戸周辺の良い磯に替われる保証はなく、結局は留まる決意をした。
 昼過ぎからの下げ潮で仮眠をとるつもりだったが、眠れないままに冒険的に竿を出してみると、口太グレのレギュラーサイズと、小型の尾長グレがポツポツとアタってきたが、単なる暇つぶしで終わってしまう。そうこうしているうちに夕刻、前日から1時間遅れで満ち潮がやってきた。
 日没までの時間が短かかったが、夕マヅメ用タックルでは48cmの尾長グレと口太グレをゲットする。そしてすぐに剛竿での力勝負の時間帯がやってきた。
 漆黒の暗闇の中、2時間程アタリが続いて散発的に電気ウキの光が海中に吸い込まれていったが、全てが口太グレだった。「男女群島に来た上は、せめて50cmオーバーの尾長グレを。」と、負けずに根気よく続けていくうちに、ようやく前アタリの後に流星の如く消えていく本アタリを捉えることに成功した。
 良型だとは確信したが、剛竿の敵ではなく、腰を落として踏ん張っていくだけで浮かせられそうだった。そして何度かの締め込みをかわしてネットイン。無事に取り込めたのは51cmの尾長グレだった。

●なんとか51cmを…●


 その後もアタリが続いたが、再び散発的に口太グレがアタってきた。しかし、日没から3時間ほど経過し、流れが速くなると、昨夜と同様の状態になってピタリとアタリが止まり、海からは何の気配も感じられなくなっていった。
 昨夜の経験から、これ以上粘っても無駄に思え、朝~日中用のタックル(=2号竿に、道糸&ハリスが4号通し)を準備した後に寝袋の中に入り込むことにした。


■三日目の朝マヅメ■

 最終日の午前4時、迎えの船に乗り込んで瀬替わりを行ったが、有望磯に空きがないらしく、殆ど潮の動きがない磯(恐らく男島の南側)に乗る羽目になった。
 「こんなところに魚がおるんかいな?。」という感が漂っていたが、ヘラブナ釣り場の様に、風に押されて流れる程度の中、口太グレの35cm級が入れ食いとなった。しかし、和歌山あたりの磯であれば少しは嬉しさも感じるだろうが、ここは男女群島。日中仕様とは言え、離島タックルの敵ではなく、アッという間の取り込みで感動がないままに撤収の午前9時がやった来た。


■撤収時間■

 撤収の1番手はボクだったから、各磯に散らばったメンバーの撤収を手伝いつつ、各磯の状況確認を行ったが、ここで驚くべき情報が入った。何と、前週に20度を超えていた水温が18度まで下がっていたのだそうだ。これで、本命潮であっても潮止まりから本格的に流れが強まるまでの数時間しか食いが立たなかったり、潮時表から異常なまでに遅れた理由が理解できた。
  全体の釣果を振り返ると、尾長グレの大型はラッキーにも帆立岩に上がれたメンバーの一人が“日没寸前の一発”で、50cm台後半サイズを1枚のみ仕留めていたようだが、本当に“その一発”だけだったそうで、それ以外は殆ど全てが口太グレだったようだ。
 底物狙いでは、私たちのグループのメンバーが仕留めた72cmの石鯛が光っていたが、全体的に数は少なく、パッとしない状況だったようだ。

●渡礁したかった、中ノ瀬戸の磯群●

 久しぶりの磯釣りであったが、ポイント設定から攻め方、それに最終段階のネットインに至るまで全てを自分でこなさなければならない磯釣りは、タダ釣るだけの“楽チン”な船釣りとは違う、難易度の違いを痛感するばかりだった。この釣りから遠ざかって普段、楽している分だけ、現地では、ある程度の鈍りを感じる場面もあったが、体が覚えているらしく、時間と共に勘を取り戻し、「どうにかこうにか」ではあるが、最終的にはある一定の段階までこなすことはできた。とは言え、尾長グレの記録更新はならず、それどころか50cm台の前半止まりだったことは残念でならない。
 今後も、口太グレを狙って釣行することはないだろうが、この悔しさを胸に、“尾長グレ狙い”の男女群島ツアーには来年以降も参加していきたいと思っている。
 「目指せ65cmオーバー!。」だ。

●来年こそは…●




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'15 男女群島釣行 ~その1

2015-05-30 12:30:00 | 磯釣り
■5年ぶりの男女群島■

 今回は5年ぶりの男女群島釣行であると同時に、2011年1月以来の、磯釣りのレポートだ。
 ここまで磯釣りから遠ざかっていたのは、齢を重ねた結果、いわゆる「夜討ち・朝駆け」と言われる、「土曜の夜に自宅を出て、翌日曜の早朝から釣りをし、その日の夜のうちに帰宅するパターン」が年々辛くなってくる中にあって、磯の上物釣り(ウキ等を使って上層を狙う釣り)での目標値である、尾長グレの60cmオーバーと口太グレの50cmオーバーの獲得を達成してしまったたことが大きな理由だ。言わば「一種の燃え尽き症候群」にかかっていたのだと思う。それに加えて、自宅から2時間と掛からない舞鶴周辺で、近年では回遊量が安定している大型のヒラマサが毎年のように狙えるようになったことも大きな影響があった。
 実は今回の釣行も「溜まっていた遠征道具の消費ついでに」といった消極的な理由が大きなモノだった。しかし現金なモノで、釣行日が近付くにつれて楽しかった頃を思い出してワクワクと心がときめき始め、「これはこれで、なかなかイイモンだ。」と思うようになっていった。

 一旦行く気になると、毎年同時期に釣行している、いつものメンバーに紛れ込むだけで済むのだが、その中メンバーの心的な人物が今やシマノ・石鯛部門のインストラクターである、三重県在住の中出一也クンだ。彼と知り合って以来20年以上が経過したが、その中で様々な磯に向かい、一緒に渡礁した。特に神津島=銭洲から男女群島にかけての離島遠征で、数々のドラマに遭遇したことを思い出す。そしてその中心にあったのが、毎年恒例の、5月の男女群島釣行だった。

 何はともあれ、福岡市内の某釣具店に集合し、5年ぶりだとは言え、ほぼ同じ顔触れのメンバーに歓迎され、すぐに溶け込むことができた。
 利用した渡船はイカで有名な、呼子港から出船している日の出丸。前回同様の渡船だ。

●日の出丸●


■一日目■

 呼子港から約6時間の航海を経て、男女群島北端の男島(おじま)周辺の海域に到着した。まず、底物(石鯛)狙いの人達の何人かが有田瀬付近で降りた後がボクの番。聞けばマルタ瀬に降ろしてくれるという。
 マルタ瀬は六畳分もない小さな単独礁で、しかも平らな部分は畳一畳程。更には岩ノリが生えていて滑り易いことこの上ない。そんな磯だから、勿論ベタ凪の日にしか釣り人を降ろさない。「よって期待は大きい。」と言いたいところだが、当初からボクの脳裏にはイヤな予感が漂っていた。


●マルタ瀬●

 と言うのも、この時期の男女群島では日中に尾長グレを狙うとなると、各島間の水道部にある、潮流の速い部分にしか有望ポイントが無いことを過去の経験で得ていたからだ。
 実釣開始後は予想通り、釣れてくるのは30~45cmの口太グレばかりだった。そんな中で、仕掛けを馴染ませる位置や、マキエサを入れる位置を変えることでようやく40cmチョイの尾長グレを得たが、写真撮影のため、クーラーの上に乗せた瞬間に、跳ね上がって海にドボン。以降はまたまた口太地獄のままで、瀬替わりの時間を迎えた。

 「次こそは水道部へ!。」と、淡い期待を持ったが、意に反してすぐ向かいにある上の赤瀬に降りることになった。

●上の赤瀬●

 恐らく他に空き磯がなかったからだろうが、あまりの近さに大きく状況が変わることは期待できず、半ば失意の中での竿出しだった。オマケに本来なら差して来るハズの、下げ潮の本流がなかなかやって来ないので、潮流はフラフラと流れる状態になり、どう見ても尾長グレは期待できそうになかった。
 そして、展開は予想通りになった。付近に4頭ものウミガメがうろつく中、マルタ瀬と同サイズの口太グレが釣れ続けるのみだった。

●頭を出すウミガメ(右下)●

 潮時表が指す時刻から2時間半も遅れて、ようやく本流が差し始めた。そしてその勢いが増して以降は、ブチ当たった潮流が沖まで突き抜けるようになったが、その中に仕掛けを馴染ませることでようやく待望の尾長グレをゲットするに至った。

●42cmほどの尾長グレ●

 しかし、その1枚のみで後が続かず、以降は口太グレしか出なくなって、この日2回目の磯替わり時間を迎えてしまった。
 初日、日中の釣果は42cmの尾長グレが2枚、30~45cmの口太グレが20枚程(全てリリース)。外道は中小型のイズスミだったが、口太グレの半量ほどだったので、恐れていた「閉口する程の状態」でなかったことは幸いだった。

 次なる磯は、瀬泊まりするために集合場所としてグループ内の数人で予め打ち合わせていた磯で、青木瀬という名の磯だ。

●青木瀬(西側)●

 ここまで、ほとんど気配のなかった尾長グレだったが、夕マヅメ~夜になると磯の近くまで回遊する可能性が高く、嫌が上でも期待が高まる。しかも、この青木瀬は苦路岐(クロキ)島と中ノ島の間にある鍋瀬戸に鎮座するため、条件的には好都合なのだ。

 ~その2へ続く
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ようやく初釣り

2011-01-29 12:30:18 | 磯釣り
■今期の寒グレ状況■

 年内は仕事で身動きの取れないボクにとって、寒グレシーズンの開幕は年明け以降になることがほとんどになる。勿論、それまでのシーズン序盤の状況はインターネット等で確認してはいるものの、それらは指をくわえつつ見るしかないワケだ。
 ここ近年、特にシーズン序~中盤に関しては愛媛県の宇和島市沖に浮かぶ「日振島(ひぶりしま)」に目が行くことが多く、実際に好釣果が連続しているのだが、今シーズンも例外ではなく、好スタートを切っている。
 ようやく準備が整い、そんな日振島に鼻息も荒く兄と二人で初釣りに出掛けたのは1月の後半。しかし、「運がイイ方」とは決して言えないボクのことだから、甘い汁はそう簡単には吸えないだろう。案の定、出発1週間前くらいから釣果の勢いに陰りが見え始め、釣果のムラが大きくなってきたのだ。ソレもコレも寒波が押し寄せたのが原因だったが…。


■最新情報■

 今回も例年通り、宇和島市内の赤松という場所から出船している「渡船よしだ屋(http://www.yoshida-tosen.jp/)」さんを利用した。実は、このよしだ屋の船長=吉田英二さんのお父さんは宇和島市内で古くから釣具店を経営(吉田釣具=℡0895-22-6610)されており、ボクもちょくちょく利用しているのだが、今回の釣行でも事前にエサ購入と情報収集を兼ねて店を訪問した。そこで確認した最新情報は「寒波の到来以来、水温が14度代前半に急降下し、オマケに冷水塊のようなモノが形成されてアッチこっちに移動していてる。」といったものだった。特にその冷水塊が目の前に来るとお手上げで、一船中全員で数匹という惨憺たる結果になるそうだ。

                   
                            ●「渡船よしだ屋」の天吉丸●


■実釣スタート■

 午前6時過ぎ、予定通り赤松を出発し、天吉丸は日振島へと向かう。途中で他船との抽選を経て、当日の割り当てが決定し、ボクらの降り立つ磯は日振2番という磯に決定した。
                   
                                 ●日振2番●


                   
                  ●日の出と同時にスタート。どんなドラマが待っているのか…●

 「ウキ下は3ヒロ前後でスタートし、食い始めると少し浅くした方がイイ。」という船長のアドバイスの下、スタートした。
 風がやや強いことから2B負荷のウキを装着し、ウキ下分が海中にキッチリと入るようにするが、しばらく探り続けても水温低下の影響なのか、エサ取りを含めて海から返ってくる生命反応は鈍い。
 潮流はやや速めのスピードで流れてゆくが、この日の水温下ではグレの体力は乏しく、流れの中には入って来られないだろうから、本流脇を重点的に攻めるが、何をやってもダメで、ハリに刺したエサはほとんどそのままで返ってきていた。

 2時間ほど正攻法で攻めた後、ボクは「グレはほとんど無理かも…。」という判断に至り、1号オモリ負荷のウキを装着し、思い切って竿1本半(7m位)のウキ下から、より深い方へと探りを入れ始めた。そう、この仕掛は「マダイが出れば儲けモノ」の仕掛だ。
 それから小一時間立った頃だろうか、生き物が糸の先に付いているような感覚があって、試しにアワセを入れてみると、中型のイサギが掛かってきた。しかし、通常であれば相手がイサギの場合はビックリするくらいの大アタリがウキはおろか手元にまで来るハズなのだが、この日の不活性さは、このイサギにも及んでおり、そのアタリは「仕掛の流れより少し速く引っ張られた」程度であった。

                   
                              ●35cm級のイサギ●


■下げ潮に変わるも…■

 午前10時前に満潮を迎え、その後は下げ潮に転ずる。船長の話ではグレの食い始める時間は遅いということだったので、ほんの少しの期待を込めて仕掛を流していた。
 しかし相変わらず生命観は乏しいので仕掛は深場を探るモノのままだ。横で釣っている兄の仕掛は軽いモノのようであったので、勿論、そっちに何らかの気配があればボクも軽い仕掛に変更しようと思っていたのだが…。

 潮変わり以降もまた何も起こらないまま時間だけが経過し、唯一の喜び?と言えば、何時間か後に前回と同じような反応でイサギが付いてきたことだけだった。

                   
                             ●今度は45cm近いサイズ●


■その結末は…■

 その後は案の定、何も起こらなかった。そしてその結果ボクはボーズ、軽めの仕掛で粘っていたに至っては他魚も無い丸ボーズという惨憺たるモノだった。
 撤収の船に乗り込み、船長に水温を確認すると、14~14.1℃ということだった。この水温は本来なら2月後半に記録する低さだそうで、釣り客の8割以上がボーズという結果のようであった。しかし、釣りとは解らないモノだ。こんな中であっても釣る人は釣っているのである。この日の竿頭は50~36cmの口太グレが19匹!というものであったし、46cmを頭に4~5匹釣っている人も2~3人は居たようである。やはり日振島!魚影は濃いのだ。

                   
                  ●沖に見える御五神(おいつかみ)も釣れているのだろうか?●

 今回の釣行は「残念な釣果」であり、このままでは気が済まないのは事実である。「次回の釣行は…。」と早速考えているのだが、今週末は再び寒波、しかもこの冬一番クラスがやって来ているようだ。そのうえ所用があって釣行可能な日数が限られている。開始早々から「暗雲立ち込める」今期の寒グレ釣行なのだ。 
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’10 男女群島遠征 ~第2部

2010-06-12 12:30:00 | 磯釣り
 帆立岩に乗る直前に、平戸から来ているお客さんから声を掛けられた。
「今日はお兄さんと一緒ではないの?…」
 話を聞けば磯釣りスペシャルの読者であるらしく、以前に書いていたボクの記事をよく読んでいたということだ。そして最後に「頑張ってください」と、励ましの言葉をもらった。ボクがレポートの連載を書かなくなって久しいが、意外なところで声を掛けられるのは嬉しいものだ。だが、逆の見方をすれば「アイツ、帆立岩に上がったのにその程度の釣果かよ?」と言われて恥をかくわけにはいかず、プレッシャーが掛かる。ハテさてこの後の展開はどうなるのだろうか…?。


■夕マズメの帆立岩■

 渡礁の2時間ほど前に潮が変わっており、満潮へと向かう満ち潮がゴウゴウと音を立てるが如く流れていた。この帆立岩は満ち潮が本命で、正にこれから午後9時の潮止まりまでの間がゴールデンタイムになる。

                  
                         ●満ち潮が走る花栗島向きの水道●

 仕掛は前回の立神で説明したように、ボク流?の本流釣りだ。まずは杓で多目のマキエサを打つ。効き始めるまでは、しばらくマキエサのみを続けていたが、この磯名物である70cm近い特大サンノジが動き出すのを確認して、仕掛の投入を開始する。
 流すこと数回、いつものようにエサが取られるまで、道糸との結び目を最上部にしてハリスを等分した3ヶ所のオモリを徐々に重くしてゆく。そのオモリが上から4B、3B、3Bになった頃に、スプールを押さえていた指をハジキ飛ばす待望のアタリがボクのロッドを襲った。

                  
                         ●激流の中、尾長の引きを味わう●
                  
                             ●まずは43cm●

 決して大型の引きではないが、待望だった尾長グレの引きを味わいつつ、難なくソレを取り込んだ後は、連発が始まった。

                  
                            ●続いて40cm台後半●

 何匹か連続ゲットの後、気付けば夕闇が迫るのと同時に徐々に水勢が衰え始める。それに合わせて今度はオモリを軽くして仕掛が深く入りすぎないように注意してゆく。
 この磯にはこれまでトータル48時間以上乗っているが、潮がゆるみ始めた本流ではアタリが遠退き始める傾向にあるようだ。そしてこの日も例外ではなかった。
 食いが落ちているので、更に神経を集中しつつ仕掛を流していると、「コンコンッ」という小アタリが竿先を通じて伝わった。
 すかさず竿先を送り込んだ後に大アワセをお見舞いしてやると、相手はそれまでにないスピードで海中深くに突っ込んでいった。
 「リールを逆転させて糸は絶対に出さない」との決意の元、これまで魚を取り込んできたが、その決意が揺らぐほどの引きだ。「切られるかも知れない?」という迷いに負けて何度かレバーブレーキを押さえる指を解放しようとするが、その度に「糸を出して獲れた試しはない!」と、心に言い聞かせて踏ん張ってみる。腰を落として耐えてはいるが、竿先が海中に突っ込むほどの勢いだ。
 何度か耐えていると主導権がこちらに移った手応えを感じ始める。そうなればこっちの物で、相手の動きを察知し、先回りをして頭を引っ張り上げてゆく。
 少しこちらに余裕が出来たのを機に、一気に勝負に出るとようやく水面から頭を出した。そして充分に空気を吸わせて弱らせた後、玉網に誘導する。
 何とか無事にゲットできたのは今回の最低目標でもあった50cm級の尾長グレだ。

                  
                                ●54cm!●

 この魚を最後に夕マズメの時間が終わった。続いて残りの満ち潮を夜釣り用のタックルで攻め始めるが、ここで、中出君も参戦する。ボクのタックルは4号竿に8号ハリスといった夜釣りでは標準的なモノだが、彼はイシダイ釣りの専門家であるので、尾長グレ専用のタックルを持ち合わせていない。そこで道糸の20号を始め、イシダイ釣りのタックルをそのままに、電気ウキを無理矢理通してハリスは12号という極太タックルでのチャレンジだ。
 そして1時間が経った頃、彼から「来ました~!」との声が掛かる。極太仕掛特有の有無を言わせないやり取りの後、「ドサッ」という音と共に磯上にゴボー抜きされた魚体は紛れもない尾長グレだった。聞けば夜釣りでグレを狙って釣ったのは初めてらしく、「よう~引きますね~」と上機嫌だ。

                  
                            ●「初尾長オメデトウ!」●

 対するボクに釣果はなく、やがて潮が止まりの時間を経て引き潮の時間帯を突入する。同時に魚の気配が無くなったのを確認して一旦竿を置くことにする。


■ビッグ・ワン■

 疲労困憊の中、4時間ほど仮眠をとるが、3時には起床して次の満ち潮に向けての準備を始めた。まだゆっくりと引き潮が流れいたが、待ってても仕方がないので、3時半には夜釣りタックルのままで釣りを再開していた。
 「マキエサが効き始めたかな?」と思った頃、釣り座から20mほど先を流れていたウキが静止し、ゆっくりと海中に入って行く。夜釣りでは早アワセをすると失敗することが多いのは経験済みだ。そこで魚が走ってその引きが竿を曲げ込むまで待ってみると、数秒後「ズドンッ」という衝撃が竿を持つ手に伝わった。
 以後は8号ハリスというタックルの強度を信じて竿尻を腰に付けて耐えてゆく。何度かの強い締め込みも両手で竿を押さえ込み、腰を落として耐えていると、意外に早く浮いてくる。しかし相手が大きいうえ、暗くて自分で掬えそうにもない。そこで中出君に助太刀を頼むことにした。
 それでもなかなか網の中に誘導できずに何度かのヒヤヒヤを味わっていた。
 しばらく後、ようやく彼から「入りました~」との声が掛かったので玉網に収まったことは確認できたが、今度は重くてなかなか引き上げられないようだ。上には持ち上げられずに磯際に何度も引っかかるという苦労の末に磯上に引きずり上げたのは60cmあるかどうか、ギリギリサイズの尾長グレだ。
 「ヤッタ~」と叫びつつ、持参していたメジャーで検寸を開始する。

  
                           ●大型の尾長グレだ!●

 「う~ん…残念!」どう計っても59cmで、自己記録更新には1cmと数mm足りない…。

 気を取り直して、その後は更なるサイズアップを目指して仕掛を投入を繰り返すが、夜釣りの仕掛にアタる魚はもう無くて、気付けば辺りが白み始めていた。


■朝マズメ■

 続いて朝マズメ用の5号ハリスを用いたタックルを準備するが、用意の完了と共に満ち潮が走り始めていた。そうなると、大好きな本流釣りが始まる。
 前日の夕マズメ同様、オモリの重さが潮と合えば、アタリが出て、順調にゲット数を伸ばしてゆくが、しばらくすると潮の角度が北寄りに変わり始める。
 これもこの磯のクセなのだろうか?真西から北西方向に流れている間は好調であっても、流れが北寄りに変わるとアタリの数が激減するのだ。その影響で、その後はポツリポツリと極タマにアタる程度に変わってゆく。

 やや潮が緩んだこともあって、隣では、中出君が本業のイシダイ釣りで順調にアタリを捉え始めていた。

                  
               ●男女群島でのイシダイ釣りは竿を手持ちで釣るスタイルが標準だ。●
                  
                          ●50cm近いイシダイをゲット●

 やがて潮が更に緩んでゆく。と言っても紀伊半島などの近場よりも早いのだが、そんな流れになると帆立岩では口太グレの闊歩が始まる。

                   
                   
                       ●口太は、ほとんどが45cm前後のサイズ●


■夢の時間は短くて…■ 

 やがて、9時に潮止まりの時間を迎える。そして午前10時、最終的な撤収のために日之出丸がやって来た。ここまで、潮の緩んでいる間には尾長グレの登場はとうとう皆無であった。 
 帆立岩に乗ってから撤収までは約16時間。内、引き潮がマトモにぶつかって釣果が望めない時間帯以外の約10時間は、興奮してアドレナリンが出っぱなしの状態だから、アッという間に過ぎ去っていった。
 「精根尽き果てる」とはこんなことを言うのだろうか、渡船内へと、へたり込むように乗り込んだ後は、深い眠りの世界をさまよいつつ九州本土へと向かうのであった。


                   
                ●戦いが済み、それぞれの釣果に合った表情で帰りの航海に臨む●
                   
                      ●本土では幻のクエだが、ここでは幻ではない●


■男女群島への思い■

 実は今回、前半の辛い釣果から、ヤル気が失せて「今回で男女群島釣行は最後にしようか?」と考えるほどに気分は落ち込んでいたが、さすがは帆立岩だ。惜しくも自己記録更新は実らなかったが、59cmを頭に50cmオーバーが3枚、それ以下である40cm級の尾長グレの数は13枚、そして退屈なく釣れ続く口太グレが多数という結果に…。この磯だけがボクの要求には充分過ぎるほどに応えてくれた。
 その結果、現金なもので今は再びフツフツと闘志が湧き上がり、もう来年のことを考えている始末だ。

 「『最後の大逆転』これがあるから釣りはヤメられないのだ。」と、釣りの中毒性?を痛切に感じている今日この頃なのである。
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’10 男女群島遠征 ~第1部

2010-06-05 12:31:22 | 磯釣り
■季節外れの寒気■

 毎年5月の半ば過ぎにやって来る、恒例の男女群島遠征が始まった。

 男女群島とは五島列島の南西端である大瀬崎から、更に70kmほど南西に向かった東シナ海にある絶海の孤島で、モチロン無人島でもある。その名はメインになる5つの島の内、最大の物を男島(おじま)、2位の物を女島(めしま)と呼ぶことが由来であろう。
 魚種は豊富で、石鯛狙いの人達の憧れであるクチジロ石鯛の80cm級や、グレ狙いの人達の憧れである60cm級の尾長グレのゲット率の高さでは全国でも3本の指に入るほどなので、この群島を目指して釣り人が全国各地からやって来る。
 当然ボクはグレ釣り師なので、狙いは尾長グレだ。それも前々回で出した、自己記録の60cmジャストを越えるサイズを狙っての釣行だ。
 直前の情報では、そんなにパッとした状況ではないようだ。しかも季節外れの寒気がしばらく居座る最中でもあった。
「気圧配置が季節通りに推移していないときは往々にして潮流の動きが悪く、食いが悪いことが多い」と、昔、漁師をしていた福井の船頭から聞いたことがあるが、ボクの場合、嫌な予感はよく当たる方だ。更には寒気の吹き出しによる強風と高波のため、本来は初日に予定していた男女群島よりも更に西に浮かぶ、尾長グレに関しては更に有望と言われる「肥前鳥島」(ボクは全くイイ目をしたことがない)への釣行は早々と中止になり、今回もとりあえず風裏の磯を目指すことになりそうだ。
 「『暗雲たれ込める』とは正しくこの状況を言うのだろう。」と変に納得しながらも、出港地との中継地点にある、福岡市内へと向かう新幹線に飛び乗った。


■いつものうどん■

 福岡市内の釣具店でいつものメンバーと再会し、エサを仕込んだ後はレンタカーで出港地である、佐賀県呼子へと向かう。
 途中で、この遠征名物の「牧のうどん」で夕食をとる。この店に入ると「今年もやって来たんだな~。」と実感が湧いてくる。

                  
                       ●九州北部各所にあるうどん屋チェーン●

 以前にも書いたが、ここのうどんは不思議なうどんで、油断も隙もない。湯がき具合を硬めに指定してさっさと食べてしまわないと、ドンドン伸びてエライ目に合うのだ。その様子は丼から溢れるが如くだ。

                  
                                ●鴨うどん●

 食事を済ませ、しばらく走ると呼子港に到着する。しばらくの猶予の後、これから現地2泊3日の間、お世話になる「日之出丸」が到着する。
                  
                          ●荷物を積み込み中の日之出丸●

■いざ男女群島へ■

 午後10時過ぎ、荷物を積み終えたと同時に出港した。普段なら到着は午前3時前になるはずだが、北東からの強風に煽られて時間が結構掛かり、到着は午前4時半を回ろうとする頃になった。ほぼ夜明けと同時に各所へ釣り人が降りて行く。ボクに対する指示はないままにフロントデッキで待機していると、渡礁の手伝いをするポーターさんから、
「次、上物(グレ狙い)の人、用意して」と言われ、準備を進めていると、一昨年に自己記録を釣ったあの「帆立岩(ほたていわ)」が眼前に迫っている。
「ラッキー!」と思ったのも束の間、この日の朝釣りはボク一人で降りる予定だったことから、
「一人か~、この風ではね~。」という船長の判断で、3人組みのパーティーが降りることとなり、断念せざるを得なくなってしまった。
 その3人が降りた時点で船内に残る釣り人はボク一人。
「ハテさてどこに行くのやら?」と思った矢先、「捨てる神あれば拾う神あり」で、男女群島の中では帆立岩と並んで3本の指に入ると言われる「立神」という磯に渡礁することと相成ったのである。

■満ち潮の立神にて■

 釣りをしない人には解らないことだが、海の魚(雑魚を除く)は潮流が流れている時間でないと基本的には口を使わない。これは潮が動かないとエサが流れてこないことを魚が知っているからだとも言われている。更には磯釣りの場合は、満潮に向かう満ち潮でしか釣れないポイントや逆に干潮に向かう引き潮でしか釣れないポイントもある。グレ釣りなどのウキを流して広範囲を探る釣りの場合は、基本的に自分の立ち位置から離れて行く方向に流れる潮流を釣るのだが、その流れの行く先々に魚の隠れ家や、魚がエサを食べやすい流れがないと魚が極端に少なくなってしまう。この立神という磯は満ち潮では潮が足元でぶつかった後に弾けて流れて行くのだが、その方向に魚の居る要素が少ないのか、引き潮で10の力を発揮するとすれば、満ち潮では3以下の実力しかない。渡礁直後はその悪い方の満ち潮だった。

                  
                     ●足元に当たって弾け、南西方向に流れる潮●

 潮は理想の状態ではないものの、何とかしなければならない。そこで、足元右にある本流へと引かれる潮に一旦仕掛を入れて馴染ませた後に本流方向にへ入れ込んで行く方法で攻め始めた。
 数投目、「マキエサが効き始めたか?」と思った頃に待望の初アタリがロッドを直撃し、それと同時に道糸がリールからバリバリと音を立てながら出ていった。
 「1匹目から尾長グレか?」と喜んだのも束の間。強烈な引きの割には中層をひた走りに走り、底方向へは行こうとしない。やがて姿を現したのは案の定、スマガツオだった。

                  
                         ●60cm級なので、引きは強烈だ。●

 気を取り直して何投かしていく内にポツリポツリとアタリは拾えるものの、尾長は全く当たらず、口太グレや外道ばかりでウンザリしてしまう。

                  
                        ●口太グレは、ほとんどが45cm級●

                  
                 ●「ヒェ~!」ボクには毎度お馴染みの60cm近い特大サンノジ●
             (サンノジは標準和名をニザダイと呼ぶが、磯臭くてマトモには食えないのだ。)

■本流釣り■

 グレ類にアプローチするには様々な方法があるが、ボクが好きなのはブッ飛ぶ潮の中を釣る「本流釣り」というスタイルだ。その中でも特に潮が速い地域=伊豆諸島や四国の南西部、五島列島、それに今回の男女群島のようにウキをマトモに流せば普通の人間が全速力で走っても追いつけないほどの早さの本流が突き抜ける地域での本流釣りがボクは大好きだ。このような地域では尾長グレが釣れる確率が高いので尚更だ。
 一口に本流釣りと言っても釣り人によってスタイルも様々で、多様性がある。ボクが好きなのはM~Lサイズ、オモリ負荷は00、4B、1号の3種くらいのウキを狙う深さによって使い分けて装着し、その負荷以上のオモリを打ってゆくスタイルだ。
 当然、ウキはオモリに負けてすぐに沈み、「浮き」ではなく「沈み」になっているのでアタリ(魚信)は竿の穂先でとることになる。
 よく「尾長グレはハリスに打ったオモリを嫌う」と言われているが、それはある程度の早さまでの話であってブッ飛ぶ潮の中では関係ない。2段3段は当たり前で、「4Bを4つ」なんてこともある。そんな仕掛をサシエサが時折取られるタナに到達するまでオモリをドンドン増やして流してゆくのだ。

                  
            ●Lサイズ、0号負荷クラスのウキの下に3Bと2B、ハリスにも2Bを2ヶ所打ち●

■初尾長■

 結局、満ち潮ではロクな釣果を得ないまま、潮変わりし、今度は本命の下げ潮へと変わる。

                  
                    ●今度は向かいの重箱めがけてまっしぐらの潮だ。●

 まずは、足元左側にある、本流へと引かれる潮で馴染ませてから本流へと仕掛を沈ませていったが、45cm級の口太グレが連発し、5匹目を釣ったところで作戦変更。今度は足元右側の本流へと直接仕掛を入れる戦法に切り替えた。
 これが功を奏したのか、それまでとは違う引きで今航海初の尾長グレが登場する。

                  
                              ●初尾長は43cm●

しかし、サイズは物足りない。2発目以降を狙うが、何故か単発で後が続かないので、試行錯誤の繰り返しが始まる。試しにもう一度本流の左を狙うと、良型口太グレが再び連発するものの、尾長グレは一向に姿を見せなかった。
 そして夕刻になると、潮止まりの時間を迎え、それと同時に撤収時間がやって来た。この後は夜釣りのポイントへと移動だ。


■夜釣りポイントへ■

 「さて、さて、どこに流れて行くのやら…。」超A級磯に渡礁出来たにもかかわらず、尾長グレが貧果に終わったボクは、ある意味「予想通り」の展開に苦笑しつつ、次なるポイントへと向かった。
 日之出丸が舳先を向けたのは男島方面だった。ポーターさんが説明するには、前回の航海で良型尾長グレを連発した夜釣りのポイントがこの方面にあるそうだ。その言葉を聞いたボクの苦笑が少々の「ニヤけ」に変化する頃には、真浦(まうら)という大きなワンドの中心部に到着していた。
 到着直後は、それまでマトモに飯を食っていなかったことから、とりあえず夕食の支度を開始する。男女群島の遠征では、到着日の夕食時以降に「弁当」と賞する物が渡船店から支給される。とは言ってもこの弁当は白飯にたくあんが3切添えてあるだけなので、おかずは各自が用意することになる。

                  
                               ●遠征ディナー●

 ヒマのある人達は食材を持ち込んで、焼肉や鍋を楽しんでいるようだが、以前にも書いた通り釣行時は粗食派のボクなので、レトルト食品が精一杯だ。この日も、ハッシュドビーフとカップスープ、野菜不足になる部分はジュースで補うという、いつものパターンでサッサと済ませることにした。

   
                            ●夕闇迫る真浦の風景●

■夜尾長■

 釣りを再開した後は、これまた予想通りの展開で夜釣りタイムが過ぎてゆく。夜のエサ取りであるミナミハタンポなどが釣れ続き、時折それが消えるとグレ類が来るものの、それは40cm級の口太グレであったり、30cm級の尾長グレであったりで、パッとした釣果は得られない。アレコレと工夫はするものの、欲しいサイズの尾長グレは全く無反応。そうこうしている内に策も尽き、珍しく眠気に襲われ始めた。
「ヤ~めた。」と、竿を置いて寝袋に入るが、時折吹き抜ける風が冷たすぎて寝られない。
 1時間ほどウトウトしただろうか?最終的には震えるほどの寒さに耐えかねて寝袋を飛び出していた。その後は体を温めるつもりで無理矢理竿を降り続けたが、結局明け方に40cmに満たない尾長グレを2枚追加するに留まった。
 明るくなればなったで、このような湾奥のポイントは小魚天国と化してしまう。太陽が上がったことも手伝って、やや気温が上がったのを良いことに、遂にボクは2時間ほどフテ寝を決め込んでしまった。

                  
                 ●「マキエサに 寄るのはカモメ ばかりなり」 詠み人知らず●

■真浦立神1番へ■

 目覚めると約2時間を経過しており、慌てて荷物を片付けて10時に迎えにくるであろう、日之出丸を待つ。
 10時過ぎ、船に飛び乗ると、すぐにポーターさんから声が掛かり、先程の磯からは、すぐ沖合にある「真浦立神(まうらたてがみ)の1番」という磯に降り立つことになった。
 ここでは緩い引き潮が流れていたので、本流釣りは出来そうにない。そこでB負荷の普通の仕掛けを装着して普通にウキでアタリをとるようにする。
 そして、その仕掛けは40cm前後の口太グレに取り囲まれて、投入後はほぼ入れ食い状態になってしまう。
 途中、またもやスマガツオが掛かってしまい、そのキョーレツな引きに度肝を抜かされたが、ハリを飲み込んで暴れ回ったので、そこら中が血まみれになってしまった。
 この血がイケなかったのだろうか?…。しばらく経つと、口太グレの入れ食いがピタッと止み、急に魚が磯際に集まり始めた。
「変だな~?」と思いながらも再び磯際で口太グレのアタリを捉えたが、引き寄せる途中に魚突然変身したかのように猛烈な馬力で沖合めがけて走り始めた。次の瞬間水面が盛り上がり、背ビレが見えたかと思うと、体をくねらせ、「ドッバーン!」と水シブキを上げた。
「出た~。」心で叫びつつ確認したのは体長2mくらいのサメの姿だ。どうやら先程まき散らしたスマガツオの血の臭いに寄ってきたサメが、掛かった口太グレに食いついたらしい。
 滅多にない機会なので写真が撮れる位置まで引き寄せてやろうとボクは少しの時間やり取りをしたが、冷静に考えると高切れして道糸が減るのはイヤなので、糸が出すぎる前に無理に止めてやることにした。そしてサメはいとも簡単にハリスをブチ切っていくのであった。(その後に、もう1匹掛かったが、今度はハリを折られてしまった。)
 その後はポイントを休め、サメが居なくなるのを確認した後に釣りを再開したが、良型口太グレは出るものの、全く尾長グレの気配はないまま、夕刻の移動時間を迎えるに至った。

■船長への直訴■

 この時点で尾長グレのキープ数は1枚。それも大型とは呼べないサイズだった。この状況下、真浦立神を去る際にボクは心に決めていたことが一つあったが、それは「『帆立岩』が空いていれば、乗せて欲しい。」と船長に直訴することだった。幸い風が収まり、海は凪ぐ方向へと向かっており、渡礁の確率も高そうだ。もし、それがダメなら今回の航海全体の展望を修正して「家へのお土産釣りに徹しよう」と考えるほどの決意であった。
 そしてボクは船に乗り込むと、途端に船長に直訴をした。だが、意外にも簡単に快諾してもらうことが出来たのだ。但し、「一人ではダメ」との指示が…。
 その時、シマノ石鯛インストラクターの中出一也クンから同礁O.K.との助け船が出たのである。そして程なくボクの眼前には、あの「帆立岩」が迫り来るのであった。


   
               ●あれに見えるは「ホ・タ・テ・イ・ワ!」、2年振りに帰って来たのだ!●

  「’10 男女群島遠征 ~第2部」に続く。
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大型ゲットのテクニック?

2010-02-20 12:27:31 | 磯釣り
 先週、「口太グレの『取り込み』に対しては、ここ近年で、ある程度の自信がついている」と書いたが、コレは何もカッコをつけて書いたワケではなく、「こんなボクでも経験と工夫によって、大型口太グレの取り込み率が上がっている」という意味で書いたつもりだ。そこで今回は、そのテクニック?(そんな大袈裟なものでもないけど…)について書いていこうと思う。

                   

 以前は多くの皆さんと同じようにボクも大きなグレはよくバラしていた。そんな釣りが変わったのは、やはり遠征釣行での経験が大きなキッカケだと思う。
 近頃では遠征をしても「入れ食い」になる機会はかなり減っているが、それでもタマに出くわすことがある。そんな時は調子に乗って「切れても構わない」とばかりに、色々と試すことができるのだが、そうなると何となく見えてくるモノがあって、それが判ってから後は早かった。

 そこで得た具体的なポイントを挙げてみると

1.竿はやや胴にかかり、全体的にキレイな円を描くように曲がる竿を使う
2.ハリスは50cm級が出る状態なら2号、45cm級が中心のところなら1.7号以上を使う
3.リールはレバーブレーキタイプの場合はドラグ付きを使う
4.糸は出さないと心掛ける。
5.竿を立てず、水平よりやや上の状態を保つ
6.魚の走る方向に竿を回す。

といった感じだ。

 各個に説明していこう。

 1.「操作性が良い先調子」と言われる竿とは反対側にある、いわゆる「胴にかかる調子」で、魚が掛かると竿が円を描くように大きく曲がり込んでいき、全体でグレの突進を受け止めた後は、ゆっくりと竿自体の反発力でその曲がりが起きてくるような竿を使うのが、こと取り込みだけを考えるとベストな選択だと思う。そんな竿は自重が重く、持った感じがダルに感じることが多いのだが、極端な話、このタイプの竿は角度を保持して、引きに耐えているだけで、取り込みの大事な部分を竿が勝手にこなしてくれるのだ。
(つまりは竿任せってこと!)

 2.のハリスに関しての意見は「名人さん」から言えば、まだ太ハリスの部類なのかも知れないが、実際そのサイズの口太グレに対して引っ張り合いをしても、根ズレ等の外的要因を除けば「絶対に切られない」という、安全圏にあるハリスを使うという意味だ。それが自信に繋がって、強気のやり取りが可能になってくるのだ。
(自分の腕に合った保険をかけろっ!てこと)

 3.4.は、カブるので同時に説明を。
 以前のボクであれば、「竿の角度が悪ければ糸を出し…」というやり取りをしていたのだが、近年のドラグ&レバーブレーキ付きリールに出会ってからはスタイルが変わった。それは、少々角度が悪くてもリールを逆転させて糸を出すのではなく、そのままでレバーを握りしめて踏ん張り、「キチンと調整したドラグに任せた方が好結果を産む」ということに気が付いたからだ。以前に、どこかの名人さんが、「糸を出して獲れたためしがない」と言っていたのを思い出すが、まさしくその通りだと思う。
 過去の、自分のバラシ・シーンを思い出してみても、「糸を出したが獲れなかった魚」は「糸を出さなければ獲れている」可能性が高く、「糸を出して獲った魚」も、実は「糸を出さなくても獲れていた」と、近頃では思えるようになっている。
 「じゃー、レバーは要らないの?」と言うことにもなるのだろうけど、相手が口太グレだけだとすると、よそ見中に掛かって瞬間的にノされたような場合を除いては「無くても構わないのでは?」とも思っている。レバーブレーキは尾長グレやマダイ、そして青物のようにもっと足が速く、その時に使っているハリスに対して相手のパワーが上回っている場合には役立つので、装着している方がイイとは思うのだが…。
(強気の勝利なのだ!)

 5.6.は連携した動きになるので、これも一緒に説明しよう。
 必死のパッチでやり取りしていた頃は、ボクも竿を立て気味にしてやり取りをしていた。そして名人が「魚は引っ張られる方向とは逆に走る」と言っているのを聞いても「そんな余裕があるものか!」と思っていたのだが、離島での入れ食い時に「モノは試しに」とばかり、元竿部分の角度を水平より少し上(20~30度)の位置に保持することをイメージしつつ、「タメる向き」を横方向にしてみると、よく言われているように、魚がそんなに深く潜らないことを実体験した。そして、それからは意見が変わっていった。
 それでも最初の内は途中まではそういったやり取りをしていても、魚が磯際に来てからは早く魚を上層に引き揚げようとするばかり、竿を立てすぎてしまい、それが逆効果となって突っ込まれ、バラすこともよくあった。しかし、試行錯誤の結果、沖での操作と同様の角度を保持したままで磯際で踏ん張っていれば、多くの場合で竿のパワーに負けた魚は磯際から離れてゆくことに気付くようになった。
 そうなると逃げ場を失った魚は左右のどちらかに行くことが多くなるのだが、その動きを理解してからは、今度は竿の角度を保ったままで動いた方向に竿をワイパーのように回し、回し終えたら魚の頭を持ち上げるつもりで、それまでよりもやや竿を持ち上げ、テンションを強めながら同時にリールを巻いてやることで、より簡単に魚を上層に持ち上げることができるようになっていった。後は魚が反転したら竿をそれまでとは反対に回し、同じ作業を繰り返せば、ついには表層まで魚を持ってくることが出来るのだ。
 ただし、一連の動作の間に相手にスキを見せるような時間=「何もしない時間」を作ってはイケナイ。相手の突っ込みが弱まれば、先回りするつもりですぐに次のアクションを起こさなくてはならないことを心掛けて欲しい。
(先手必勝なのだ!)

                   

 以上、文章で説明や表現をするのは難しいが、1.~6.の、言わば語り尽くされたような感もあるテクニック?を取り入れ、落ち着いて実行できるようになったおかげで、近年ではボクの中~大型口太グレ「バラシ率」は格段に下がっているのだ。勿論、今でも「ドーしようもないヤツ」に出会い、バラすこともあるので万全とは言えないし、磯のポイントは、それぞれが水深やシモリとの距離が違うので通用しない場面もあるだろう。しかし、同じことを繰り返していて「バラシしてばかり」が現状なら、「モノは試しだ!」とばかりに取り組む価値はあると思うのだが、どうだろうか?…。

 文章ではイメージできなかった人のために前回掲載した、50.5cmを釣った際の実釣パターンを例にとって、紹介しておく。

 足元の約2m先まで張り出したタナの3mあたり沖を流していたウキが、前アタリの後、ゆっくりとウキが沈んでゆく。
→アワセを入れると強烈な締め込みと同時に足元のタナ下に突っ込んできた。
→竿を水平より約20~30度上に保持して、レバーブレーキを握りしめたままで耐える。
→ジリッジリッとドラグが数回スピンする。
→竿に負けて行き場を失った口太グレがタナ沿いを左に向かって泳ぎ出す。
→竿の保持角度はそのままで、リールを巻ながらワイパーのごとく左へ竿を回す。
→それまでより竿をやや起こし、上方へのプレッシャーを掛けながら更にリールを巻く。
→それまでよりも上層に上がった口太グレが反転をする。
→今度は逆方向で先程と同じ作業を繰り返す。
→更に口太グレが上層に上がり、反転。
→作業を繰り返していると張り出したタナの上、水深30cmほどのところに口太グレが出てくる。
→ここからは竿をいっそう持ち上げて口太グレの頭を海面に出し、空気を吸わせて更に弱らせる。
→後ろに置いていた玉網を掴んで、そのまま「ネット・イン!」。
(この間、一回もリールを逆転させて、糸を出すことはなかった。)

 と、こんな感じだった。イメージできたかな?。
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日振島で一発勝負(の、つもり?)

2010-02-13 12:28:03 | 磯釣り
 やや、遅きに失する感もあるが、ボクにとっての「寒グレシーズン」が、やっとの事で開幕した。しかし、もう2月に入っているので、チャンスはそう多くはない。そこで早速、愛媛県の宇和島市沖に浮かぶ日振島へ兄と二人で向かった。

 ボクや兄が日振釣行でよくお世話になっている、吉田英二船長の操船する、渡船よしだ屋さんの天吉丸

                    
                                   (天吉丸)

に乗船し、日振6番という磯に二人で降り立った。

                    
                                   (日振6番)

 日振島は宇和島市内から渡船で西へ40分程度走った位置にあり、晴れた日なら写真のように九州の大分県の海岸線が目に入る。

                    
                             (対岸に見える大分県方面)

 今回使った仕掛は、ロッド=極翔Limited PRO 1.5号(シマノ)、リール=BB-X Type2 3000番(シマノ)、道糸=ファイアブラッド。ZEROサスペンド2号(シマノ)、ハリス=シーガー・グランドマックス2号、ウキは阿波SP・Sサイズの2B、ハリはがまかつのふかせグレの6号、という、ボクが寒グレの大型を狙う際に使用する、標準的なモノだ。

                    
                                 (当日の仕掛)


 ボイル&生のオキアミと、添加剤をブレンドし、マキエサ作りが終わると、実釣開始。すると、ドラマはいきなり始まった。

 なんと第一投目、しかも仕掛が馴染んで30秒も経たない間に、ウキに前アタリが…!?。
 慎重に沈んでゆくウキの動きを見極め、アワセを入れると、いきなりスーパー・サイズ級の引きがボクのロッドを絞り込んでいくのであった!。
 掛けたと同時に、足元の磯際に張り出したタナに向かって突っ込む強烈な締め込みを繰り返す。
 「頑張れハリス!」
 と、心で叫びつつ、それをイナして耐えている内に、やや抵抗が弱まり、なんとか魚体をタナの上、水深約30cmのところに引き上げることに成功した。
 後はをそこを左右に動くだけの抵抗に変わったので、ボクの目と魚の距離が縮まり、その姿が確認出来るようになった。
 「デカイ!」
 それでも焦らず、落ち着いて魚の頭を持ち上げ、空気を吸わせて更に弱らせてから、自ら掴んだ玉網の中へと誘導し終えたのであった。

          
              (あいにくイキナリのことなので、竿を曲げるシーンは撮っていないけれども…。)

  

                    

 ゲットした口太グレのサイズは50.5cm。自身の記録では2003年10月以来の50cmオーバーであった。
 この間、48.5~49cmは5枚、47cmであれば2ケタ以上は確実に釣っているが、僅か1~2cmを越えるのに6年4ヶ月もかかってしまった計算になる。「喜びもひとしお」と言いたいところだが、生意気(そんな歳でもないか?)だが口太グレの「取り込み」に対しては、ここ近年で、ある程度の自信がついているので、そんなに浮かれてもいない。
 それよりも、この時点では良すぎるスタートに対して、後の展開にイヤな予感めいたものの方が心を支配していた。そして、そういった悪い方の予感は、ボクの場合はよく当たるのである。

 魚をクーラーに入れた後、釣り座に戻ると、それまで西へゆっくりながら動いていた潮が止まったり、逆に動くようにな流れに変わっていった。
 多くの釣り人が経験していることだと思うが、本来行くべき方向と違う潮流になると、魚が口を使わないことが多い。この日の状況はまさしくその通りで、それから元の流れに変わるまで約2時間を費やしたのだが、その間のアタリはゼロ。しかし現金なもので、潮流が本来の流れに戻るとアタリが復活して竿は曲がるものだ。

                    

 ただし、それは朝一番の魚の半分サイズである、25cmクラスであった。

                    

 それからは、また同じ展開で、アタリも何もない状態が続くが、25cmクラスを釣った後、また2時間ほど経ってまた流れとアタリが復活した。

                    
                    

 ココで、40cmジャストの口太グレをゲット。
 その後は12時半頃の潮止まり直前に、兄貴が43cmを釣る。


                    

 その後は、何をやっても無駄。釣れてもこんなモノ止まり

                    
                                  (ウマズラハゲ)

で、タイムアウトの2時半を迎えたのであった。

                    



 今回は幸運にも50.5cmをゲットしたものの、その後は食う時間と食わない時間がハッキリとしていた。しかも、そのインターバルが長く、それは磯上から潮流を見ているだけで判断できるので、「何をやっても無駄」と感じる時間が長かった。そんな展開だったせいか、何だか気持ちが「スカッとスッキリ」としない。よって、書き始めではタイトルを「一発勝負」としたが、結果として後で(のつもり?)と付け加えた次第だ。
 「そんなこんな」で、その「スカッとスッキリ」」を求めてもう一度、シーズン最終釣行?を思案中のボクである。寒グレシーズンが最終段階に入っていく中、チャンスは確実に減ってゆくが、果たして「有終の美」を飾ることは出来るのだろうか?…。
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’09男女群島ツアー ~その2

2009-05-30 10:09:16 | 磯釣り
 前回からの続き。

 北西からの強風はややマシになったものの、ウネリは収まらず、使用できる磯は限られていた。日の出丸が向かったのはクロキ島と中の島の水道近辺だ。ワタシを含め、同グループ内の3人で降りたのが、前回でも触れた「シケシラズ」↓
                 
だった。
 この磯には大昔に降りたことがあるし、向かいの「オッチャン瀬」には毎回降りていて、そこからの眺めでどこを釣ればよいかは大体の予想がついている。クロキ島向きの水道部と南東先端に他の2人が入り、ワタシはオッチャン瀬側の水道に突き出た畳一枚半(平らな部分は半畳ほど)ほどの足場↓
                 
に乗って投入開始だ。

 程なく夕マズメのゴールデンタイムを、この磯では本命の下げ潮で迎えることになった。この磯の付近は激流とは言わないまでも本来はある程度潮が通るハズなのだが、この航海でワタシにつきまとっている潮流ブレイク傾向はココでも続き、ほんのゆっくり、トロッと流れているだけだ。

 アタリはスローでまるで産卵期の口太グレのようだったが、予想に反して1匹目は割と簡単に出てくれた。途中まで浮かせて姿を見ると45cm級の尾長グレだったが、玉網を持とうとした瞬間に「クチュッ」と身切れしたような感触?が手に伝わり、ハリが外れてしまった。
 勢いのない潮流のせいか、続くアタリは無く、エサは時折取られる程度だし、先程のアタリ~ハリハズレの様子からも判るように明らかに食い渋り傾向だ。尾長グレ狙いではハリを飲み込まれるのが怖いが、この場はとりあえずアタリが欲しい。そこでウキ止めを外した「スルスル仕掛」に変更してしばらく様子をうかがった。すると、ようやくアタリをウキが捉えた。
 ハリスは大型に狙いではギリギリの太さの3号に落としていたのと、久しぶりのアタリに緊張したが、糸を出すまでもない。竿のサバキのみで無事玉網に収まったのは46cmの尾長グレ↓
                 
だった。
 しかし、後が続かない。夜釣りタイムに入ると極太仕掛に交換して下げ潮が続く間は流し続ける。だが、少数のイズスミがアタッたのみで、やがて潮止まりを迎える。
 諦めきれず、満ち潮になっても同じ釣り座から竿を出してみるが、本来なら下げ潮とは逆に流れるはずが下げ潮と同じ方向に動いている。その様子に「これじゃ~ダメだ。」と諦め、翌朝に備えて眠りに就いた。

 明けて最終日(18日)。撤収は朝8時と聞いていたので、そんなに時間がない。気持ちがはやり、午前3時にはもう寝袋から飛び出していた。
 再開当初の暗い時間帯は、下げ潮の動き始めを狙うつもりで夜釣りタックルを流していたが、またもや極緩の潮流の中、少数のイズスミに遊んでもらうのみに終わる。
 夜明け以降も潮流の傾向は変わらない。そこで昨夕と同じライト気味のタックルを取り出し、仕掛も同じスルスル仕掛で流し始める。全く何もアタらない時間の中、マキエサを続けていると、その中に65cmもあろうかというサンノジ(ニザダイ)がウロつき始める。まさにその瞬間、ウキがサンノジらしからぬアタリを表現した。
 ドロ~ンと沈んでいくアタリを合わせると、サンノジとは違って引きがシャープかつ上品?だ。瀬際へのツッ込みをかわすと浮上し始めたので、玉網に誘導する。コイツが今航海では最大の尾長グレで、サイズは47cmだった。↓
                 
                 
 続いて同じサンノジ後のアタリ・パターンでもう一枚。やや小振りの43cm↓
                 
を追加するが、その後は何も起こらず、キープ数が、たった3枚の釣果という現実に直面し、失意の中での撤収になった。

 今回の男女群島ツアーは上物、底物共に不調で、みんなそれぞれに苦労をしていたようだ。打ちヒシがれたワタシには「こんなトコ2度と来てやるもんか!」と言いたい気分も無いではなかったが、冷静になってみると「あの時ああすれば…。」なんてことが後から後から湧いてくる。だから釣りは止められないのだ。気が付けば「来年は65cmオーバーの尾長グレを釣って記録更新だ。」と決意も新たにしているバカなワタシなのであった。
 
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’09男女群島ツアー ~その1

2009-05-23 17:38:21 | 磯釣り
 前回に書いたとおり、’09男女群島ツアーから帰ってきた。ある程度天候が悪いことは最初から予想しており、何やら予感めいたモノはあったが、まさかこんな展開になろうとは…。

 今年から出港地が肥前名古屋港から呼子港に変更された「日の出丸」↓
                  
は予定通り入港しており、我々を出迎えてくれた。
 当初は初日に肥前鳥島へ向かう予定だったが、雨は降らないものの既に強風が吹いており、釣行は不可能との船長判断から、行き先を男女群島本島(長崎県五島列島、福江島の南南西約60km沖)周りに変更して夜10時過ぎに港を後にした。

 荒れ気味の東シナ海をバウンドを繰り返しつつ航行し、予定よりも時間を掛けて男女群島に到着する。やはり南からの強風は収まらず、男島(おしま)の最北部でしか竿が出せそうにはない。選択の余地は少なく、南風泊付近の風裏
                  
から磯着けが始まった。
 16日朝、私が最初に乗ったのは北村瀬の西端辺り↓
                  
だった。
 この磯には以前にも乗ったことがあるが、昼間は魚が小さく、40cm前半が精一杯といった感じであまり期待は持てない。この日の状況は以前に乗った際よりも更に潮の動きが悪い。「少し潮の動きがマシになったかな?」 と思ったときに尾長グレが連発したものの、30cm前後のサイズ↓
                  
ばかりなので、次の見回りでの移動を決意した。

 移動する…と言っても、同じ天候のままでは大きく移動出来るワケもなく、大した所があるわけでもない。次に降り立ったのは湾奥やや東にある名前も知らない磯だ。先程の北村瀬よりも潮が動かないのは当然で、竿を出してもイズスミがガタガタと下品な引きを繰り返すだけで時間が過ぎていく。同礁の方も上物竿を出そうと一緒に乗っていたのだが、ワタシの状況を見てやる気を無くし、底物竿を取り出すことに…。これが功を奏し、マズマズの型の石鯛をゲットした。↓
                  
                  
                  
 「エ~ッこんなとこにも石鯛が居たの?」といった感じだったが、続いてアカハタなどをゲットし、イイ土産はキープできたようだ。
 対するワタシはココでは30cm級の口太グレを釣っただけに終わる。そしてここから更なる暗雲がたれ込めていくのであった。

 16日夕刻には瀬泊まり(磯の上で夜釣りをしつつ、寝泊まりすること)のために移動。天候の更なる悪化が予想されたので危険防止のため、湾内の最奥へ向かう。やはり「予想通り」と言うべきか、そんなところだから潮がほとんど動かず釣果はイズスミのみ。しかも夜10時を回ると海中からの生命感は消え、エサすら取られない状況になってしまう。「これ以上粘っても無駄」と判断し、初日の釣りが終わった。

 明けて17日早朝。磯から撤収し、船に乗り込むと船長からついに「風向きが変わるまで、このまま船上で待機。」との指示が船内放送を通じて発表された。
 待つこと約2時間。ようやく風向きが変わり、移動を開始。どうやら最南の女島(めしま)に向かうらしい。船内では「男島はもうこりごり」という声も多かったので、それぞれの表情も少しは明るくなっていた。
 しかしながら、到着したのは女島「大敷」周辺の、またもや湾内だ。
 名前も知らない磯に降り、釣りを再開するが、途中で青物らしき正体不明の魚に暴走された挙げ句、4号ハリスを切られるシーンはあったものの、それ以外にはイズスミがポツリとアタッただけに終わり、またもや移動が始まった。

 次なる磯はどこなのか?と期待もせずに船上で揺られていると、磯着けされたのは意外や意外、女島の北側ではA級の部類に入る「重箱」だった。降り立った後、低場をチェックするが、時折波が駆け上がっている。↓
                   
そこで高場にあるサラシ↓
                   
を利用して仕掛を流すことにした。
 マキエサを入れるとサラシの中はイズスミに支配されており、その沖を釣るしかなさそうだ。水道筋にあたるこの一帯は本来なら強い流れが期待できそうなのだが、右へと流れる下げ潮は全く勢いが無く、僅かにトロッと流れる程度だ。オマケに強風が左から吹き付けて道糸を煽るので、マキエサの筋から仕掛が離れてしまう。ウキを高負荷の物に替えたり大型の物に替えても状況は同じだった。
 高場の東にある夜釣りで有名なワンドでも様子をみたが、本来ならグルグルとワンド内を回るはずの潮はなく、溜め池のようになっている。
 結局この状況は夕刻の移動まで変わらず、失意のままこの重箱を去ることになった。

 残り時間は15時間ほど。ここまでマトモな魚は全く手にしていない。少しは天候が回復傾向にあるので今度は最後の望みの中、逆転を掛けての最終移動だ。向かった先はクロキ島の南、鍋瀬戸の東口付近に位置する「シケシラズ」だ。
 「このままでは終われない!」最後の逆転はあったのだろうか?この続きは来週末掲載の「’09男女群島ツアー ~その2」に続く…。
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肥前鳥島~男女群島

2009-05-16 14:53:01 | 磯釣り
 只今毎年恒例の男女群島ツアーの真っ最中。今回もシマノ・インストラクターの「中出クン」と磯釣りスペシャルの「四元編集長」という、いつもの遠征メンバーでのチャレンジだ。日程は初日の16日が鳥島↓
              
で、夕刻までの釣り。それ以降の18日までが男女群島という予定だけど、あいにくだが、雨の予報だ。鳥島は東シナ海にある大陸棚の上にポツンと3つ浮かんでいるだけの島なので、風波に対して非常に弱い。普通の人から言えば非常にラッキーなのかも知れないが、実はワタシ、ココへ2度も乗っいる。だが、釣った尾長グレの最大サイズは40cmチョイという情けない状況なので、どちらかと言えば男女群島本島周りの方が相性がイイのであまり気にはしていない。
 しかしながら、この時期は口太グレの産卵がほぼ終わっているので、普通の口太ポイントに入ってしまうとイズスミ地獄になってしまう。だから尾長グレ一本狙いで水道筋、特に中ノ瀬戸という、一帯で一番早い潮流が渦を巻いて走り、ハマッて流されると、死を覚悟しなければならない程に流れるところ↓
              
もしくは南端のサメ瀬周りに乗れないと状況はキビシイ。この時期は上物狙いの人は少ないが、今回の日程は九州本土発が金曜の夜だからライバルは少ないながらも居るとは思うので、釣果は運任せだ。

 はてさて、今年の釣果はどうなるのやら…。詳しいレポートは来週にお届けするので、それまでしばらくの間お待ちを…。
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