中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

’11 北海道旅行 ~その2

2011-07-30 12:30:00 | 旅行
■道東観光へ■

 カントのオーナーさんは、前回に紹介した北海道フードマイスターに加えて北海道観光マスターでもある。従って道東地区の観光にも当然詳しい。そこで2日目の朝は、ボクがあらかじめ練ってきたプランに、オーナーさんに教えてもらった「『るるぶ』等に載る機会が少ない箇所」を加えたルートを想定して出発する。まず、目指すは世界自然遺産の知床半島だ。


■知床半島へ■

 大空町を出発し、一度国道344号線に出てしまえば、あとは道なりで知床半島へ到着する。前日降った雨もこの日には上がり、曇り空の間から時折日が差す天候に回復していた。
 国道を進んで行くが、停滞とは言えないまでも時折観光バスが連なって流れが悪くなることがある。そんな時、ボクは裏道へ逸れることが多いのだが、ここ北海道は裏道と言ってもメインの幹線と並行して走る道が多く、多少の起伏があったりするが、基本的に路面は舗装されて幅広なモノが多い。そしてそんなところには国道とは違った風景が広がるので退屈しない。

●樹木のトンネル●

 当初はダイレクトに知床5湖方面に向かうつもりであったが、前方の国道脇に見える壮大な滝の姿に目を奪われ、吸い寄せられるように車を駐めた。これがかの有名な「オシンコシンの滝」だった。

●オシンコシンの滝●

●滝の説明板●


 滝のシブキを浴びて体がクールダウンした後は再び国道を走る。「ウトロ」という名の知床観光のベース・タウンを抜けた頃から、道の両サイドは原生林っぽくなってくる。そしてそのあたりからは野生動物の姿がチラホラと見え始める。

●エゾジカ●

 主な野生動物はエゾジカだ。彼らはそこら中で見掛けるが、人に対しては我関せずで、悠々と道端の草々をはみ、ほほえましい姿を見せてくれる。
そんなエゾジカとは違って、とあるカーブを曲がった先にフラッと出てきたキタキツネには少々問題があった。本来キタキツネは夜行性であるはずなのだが、真っ昼間にウロついているのは様子が変だ。車の前に出てこようとするので、こちらも慌てて車を駐めたが、何の警戒心もなくこちらに対して物欲しそうに近付いてくるのだ。様子を見ると、去年に見掛けた多くの個体とは大違いで、かなり痩せている。どうやら観光客がエサをやったために、それがクセになって自分でエサをとることが出来なくなった、あるいはその気がなくなっているようだ。

●問題のキタキツネ●

 こういった問題は、ここに限らず、飼いきれなくなった飼い主が野に放したがために繁殖しているアライグマやカミツキガメ、餌付けされて増え続けるヌートリア、魚類の無秩序な放流等々も同根であり、全国各地に広がっている。それに関連した人間の無責任きわまりない偽善行為によって破壊されてゆく生態系と滅びゆく固有種に対して、本来の姿に戻す努力はされてはいるものの、それに伴うコスト(=人手と我々の税負担等)は高く付くうえ、もはや手遅れになっている事象も多いのだ。だから、こういった野生動物に出逢った場合もエサをやる善意=偽善よりも、エサをやらない善を選択して欲しいものだ。(でも、そのことが解っていたら初めっからエサはやらないワケであり…。)

 そんなキタキツネに複雑な心境に陥りつつも、車は知床5湖の玄関へと到着した。


■知床5湖■

 知床5湖巡りは知床観光の定番コースだが、今年からルールが変わって、ヒグマの活動期である5月中旬から7月末まではプロの引率者(有料)無しでの地上散策は不可となり、一般客のみでの散策は1湖付近まで伸びている高架木道を使ったコースのみに絞られている。
 上記の時期以外=ヒグマの危険性が減る時期にも規制はある。規制内容を見れば判るが、これは無秩序に観光客を入れた後の影響を恐れての規制だと思われる。
 これ以上の規制が出来て、入場禁止に近い状態にならないようにするためにも、こういった自然公園に入る際には自分の都合で行動するのではなく、「自然環境の中に自分達がお邪魔している」という感覚を忘れずに行動して欲しいものだ。

●木道の入り口●

●丘の上を縫う木道●

 高架木道を進みつつ、ベストショットが撮れるポイントを探す。そしてパチリ!。

●これが知床1湖のベストショット●


 知床1湖への高架木道散策が終わると、次なる目的地である羅臼(らうす)へと向かう。


■羅臼へ■

 羅臼へ向かうには知床半島を横断する国道334号線に入って知床峠を抜ける必要がある。その途中にある展望スポットから眺める羅臼岳はこの地の素晴らしい景観の一つだそうだが、当日はガスが上部にかかって見渡せず、残念な風景だった。

●これで精一杯の風景●

 羅臼町内に入ると倉本聰氏のドラマ「北の国から」の大ファンである我が家一行は、「純の番屋」なる施設へ向かう。
 余談だが、BSフジでは「ドラマ 北の国から」の放送開始30周年を記念して、一番最初のドラマシリーズ全24話を毎週月曜日午後10時スタートで再放送している。第1話は7月18日だから、既に放送済みだが、8月1日は第3話なので、見たことがない人や内容を忘れた人(そんな人いるのかな?)は必見だ。

●純の番屋●

 「番屋」は、2002年に放送された最終話の「遺言」で、富良野を追われた純が流れ着いた先として登場するのだが、実際にロケをした本物の番屋は個人の持ち物なので、公開はされていないそうだ。そこで、有志が集まって新たに建て直したのだそうだが、内部は食堂になっており、商売っ気タップリのおばさん達が我々を出迎えてくれた。

●番屋の内部●

 もとよりその点は行く前から調査済みだったので、素直に昼食をとる。そしてフンパツして鮭児とぶどうエビの入った豪華海鮮丼を注文する。

●豪華海鮮丼●

 食事の後は北上し、ロケ地巡りを続行する。

 次は、ドラマでは純と結ちゃんがデートした「ヒカリゴケ」の自生地へ。しかしながら、2年前に崩落があった模様で、広く分布している上部には入れず、手前の部分にしか入れなかった。結果は惨憺たるもので、表示板の方がよく光っていて何が何だか判らなかった。

●看板の下には自生しているハズなのだが…●


 続いては瀬石温泉。ドラマでは結ちゃんの義父に呼び出された純が、強制的に入らされる露天風呂として登場する。我々が訪れた際はタイミングが良く、干潮になって全体が露出していた。

●石のサークル内に湧き出す温泉●

●案内板●


 羅臼に向かったのは、もう一つ理由があった。この目で北方領土を見ておきたかったのだ。
 約30km沖に浮かぶ国後島はガスがかかっており、肉眼ではかろうじてボンヤリ輪郭が見える程度で、写真には写らないのが残念だった。
 江戸時代後期から戦前に、日本とロシア(及びソ連)との間で結ばれた数々の条約を知れば、誰もが完全に「我が国固有の領土である」ということが理解できるのだが、にも関わらず、全くもって帰ってくる気配のないことには、一日本人として大いに苛立つ。個人の力が及ぶ問題ではないのかも知れないが、せめてもの抵抗として、かすかに見える国後島の、山の稜線に向かって「返せ~!」と叫ぶ、我が家の3人であった。


■さくらの滝■

 羅臼を巡った後は知床半島を後にして一路、清里町方面に向かう。ここにはカントさんで教えてもらった「さくらの滝」がある。

●さくらの滝●

 この滝は名前の通り、海から遡上したサクラマスが「鯉の滝登り」よろしく、滝壺からジャンプし、乗り越えていく姿が見られるスポットだ。時期として7月中旬は良いタイミングだそうだが、日ムラや時間ムラがあるとのこと。この日は、訪問が夕刻だったことに加えて増水直後と曇り気味だったせいか、ベストに近い状態のようで、30秒に1回はジャンプするサクラマスの姿が確認できた。

●ジャンプする50cm級のサクラマス●


 一説には子孫を残すために遡上するサクラマスの約75%がメスだと聞くが、子を残すために何度も失敗を繰り返しつつ、こんなに大きな滝を越えてゆくなんて「母は強し」といったところだろうか?。そんな説明を家族にしていたのだが、「釣り師の性」からか、心中は釣りのことを考えていた。しかし、残念ながら北海道内において川を遡上するサクラマスは全面禁漁となっているそうなので、狙うことは不可能だ。だが不思議なことにヤマメを狙うのはOKだそうなので、これだけのサクラマスが遡上する川であるのなら、ヤマメの量もうかがい知れるところであり、「今度は竿を持って…。」との思いが募るばかりであった。


■大空町へ■

 のどから出てくる手を無理矢理引っ込めつつ、サクラマスを観察した後は、カントさんへ戻る。帰る途中、と言ってもカントさんのすぐ近くなのだが、「メルヘンの丘」なる、この地の名物スポットで記念撮影。晴れていれば夕暮れに染まる時間帯であっただけに残念。今回の天候では精一杯の風景をカメラに収めた。

●7本の木立がキュートなメルヘンの丘●

 帰着すると、そこでは昨日に引き続いて美味しい夕食が待っていた。

●2日目の夕食メニュー●


~以下、その3に続く
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’11 北海道旅行 ~その1

2011-07-23 12:30:00 | 旅行
■二度目の北海道旅行■

 昨年に引き続いて家族揃っての北海道旅行だ。今年も格安航空路線であるスカイマークを利用してのアプローチだったが、ネット予約の争奪戦に敗れた結果、最安チケットは逃したものの、往路は大人一人あたり¥9800という、ビックリ料金。復路は連休に入ってしまうために¥19800だったが、それでも大手各社とは比較にならない格安料金には、大いに助けられる。
 ただし、今年は神戸発の旭川便が就航していないので、道内のスタート地点が札幌からの行程となった。従って3泊4日の全行程は約1400kmにも及ぶ。

●今年も安いスカイマーク●

 今回は道東方面を中心に周遊することが目的だったが、我が家にとって思い出深い「富良野の地」を通らずには居られない。家族の意見が全会一致の結果、「チョッと寄り道気分(と言っても150kmあるが…)」で富良野に立ち寄ることにした。


■忘れられない味■

 立ち寄った理由の一つとして、そこに「忘れられない味」があるからだ。まずはハンバーグが超ウマイ麦秋(ばくしゅう)さんに立ち寄ってみる。
 ここは人気点なので、来店前に予約を入れておいた方がイイ。だから我が家も途中で目途が付いた時点で電話を入れたが、当日は連休前の雨天だったせいか、すんなり予約がとれた。

●人気店の麦秋●

 店舗に入って席に案内されると、思い出の味の数々を注文する。

●ハンバーグの「能書き書」●

●ボクの注文した「チーズハンバーグステーキ」●

●「興部(おこっぺ)牛乳モツァレラチーズ」のピザ●

●妻の注文した「チーズハンバーグカレー」●

 今年も「あの味」を確認出来たことに喜び感じつつ、次なる「思い出の味」であるフラノデリスさんに向かう。
 時間が許せば富良野市内を観光し、適当な時間が空いた後に訪れたいところだが、今回はそんなヒマがない。半ば「強引に食べる」といった感じだ。

●「ふらの牛乳プリン」で全国的に有名な「フラノデリス」●

●各種のケーキ●

●来客は途切れない●

 ここのケーキ(何となくスウィ-ツとは呼びたくない)はクオリティが高いのに、価格が良心的に設定され、ボクの地元である西宮~神戸方面の有名洋菓子店に比べると¥100~¥200ほど安いのがウレシイ。

 富良野市内で詰め込むだけ詰め込んだ後は、去年訪れた際に見た風景を楽しみつつも、足早に富良野市内を抜けてゆく。

●よく倉本聰氏のドラマの舞台になる喫茶店「北時計」●


 次なるは、今回富良野に立ち寄ったもう一つの大きな理由である、倉本聰氏のドラマ「優しい時間」の舞台になった「皆空窯(かいくうがま)」へ向かう。


■「優しい時間」■

●皆空窯(かいくうがま)●


 到着後は、工房に併設されるギャラリーを訪問する。

 「優しい時間」というドラマは、妻(母)の死が原因で身も心も離ればなれになった父子の葛藤と関係の修復を描いたストーリーだが、その中に親子の絆の象徴であるマグカップが登場する。今回の訪問は「ドラマのロケ地」としてはモチロンのこと、そのマグカップを家族3人分揃えるためでもあった。

●3人が選んだマグカップ●

 普段であれば「ミーハー」なことは一切拒否するボクではあるが、どうにも倉本聰氏の描くドラマには滅法弱い。だからこうやってワザワザ遠くのロケ地を訪れるのであるが、感心するのは、バーチャルだとは知りつつも、まるでそこにドラマの登場人物達が今も暮らしているように感じてしまう点だ。
 やはりそれは「リアリズムに徹する」ことをいつも念頭に置いてストーリーが展開しているからなのだろうか?。そうやって氏によって描かれてゆく世界には、いつも感銘を受けるボクと家族であるが、残念ながら「風のガーデン」以降、家族をテーマにした倉本作品は途切れている。とにかく、何らかのかたちで登場するよう、切に願う我々3人なのである。

 そして、ギャラリーの出入り口付近にあった、ドラマでは父=湧井勇吉(寺尾聰さん)が、今は会えない息子=拓郎(二宮和也さん)のために買った「お守り」をそっと入れていった「オブジェ」に見入る。

●筒の中にお守りを入れるシーンが思い出される●


 ギャラリー内は撮影不可ということなので写真はないが、芸術音痴のボクが見ても魅力溢れる陶器類の数々に触れながら充実した時間を過ごす。
 そして皆空窯を出た後は、一路道東の大空町へと向かう。今回の旅行のメインイベントの一つである、このブログにもリンクしている「ノーザンロッジ・カント」さんで宿泊するためだ。


■大空町へ■

●道の傍らに立つ「カント」さんの案内板●


 カントさんのオーナー婦人がボクの血縁者なのだが、この地にたどり着くまでの経緯はボクのオジサンである彼女の父親からよく話を聞いていた。
 ボクを含めてアウトドア好きの人なら多くが憧れるであろう、「大地に根ざし、自然と共存しつつ生きる」生活様式だが、いざ実践となると多くの者が不安を抱き躊躇することだろう。たとえそれが実現できたとしても、定年後に第二の人生を送ろうとする組や定年の少し前に脱サラした組、往年の観光ブームに乗った残党組が多いのが現実だ。
 そんな中、安定した収入を得ていた会社を30歳台で退職し、夫婦で学生時代からの夢である北海道での小さな宿経営に踏み切った2人の意気込みは、簡単に見習えるものではない。ボクだったら、それこそ「口先だけで済んでしまう話」で終わってしまうであろう。だからこそ夢を実現した2人を、ボクは大いに応援したいと思っている。
 更にオーナーさんに至っては退職後に道東の職業訓練学校に通いつつ、大工仕事を覚え、地元の大工さんに混じって自らこの宿兼自宅を建てていったというから、どう賞賛してイイか判らないほどだ。

 賛辞はともかく「ノーザンロッジ・カント」の「カント」とはアイヌの言葉で「大空」を指すとのこと。カントさんの建つ辺りは町村合併の結果、今は大空町という。それに因んだ命名だとは思うが、そんなことはともかく、広々としてよく手入れが施された芝生の敷地、夕闇を思わせるブルーブラックに染められた建物といったところから醸し出てくる全てがクールなイメージでカッコイイのだ。

●カントさんの全景●


 到着後は荷物の搬入もソコソコに夕食タイムへと突入する。オーナーさんは北海道フードマイスターということだから、地元の素材にこだわった内容の料理が「売り」だ。
 その内容は、量、質とも申し分なく、妻子共々大絶賛するほどであり、我が家の「忘れられない味」の一つになった。何もこれは自分の親戚だから言うのではない。その証拠に某有名宿・ホテル予約サイトのクチコミでもほとんどの人が5つ星を付けているのだ。

●一日目の夕食メニュー●


~以下、その2に続く
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またもや久婦須川へ

2011-07-16 12:30:00 | 渓流&管理釣り場での釣り
■釣り場の条件■

 釣行計画をたてる時、磯釣りの場合だと渡船店のホームページなどを見れば釣果が一目瞭然で現況が判断できるが、渓流釣りの場合は地元に詳しい釣具店のホームページを見たり、実際に電話で問い合わせても、店に立ち寄った釣り人から得た極一部の情報か、概要程度しか解らない。さりとて「行き当たりばったり」で釣り場に向かったところでそれはバクチになってしまうだろう。
 そんな時キャリアが豊富な釣り人であれば「いつ何時」といった釣り場に向かうタイミングが経験上ある程度判断できるし、釣り人同士のネットワークからリアルタイム、もしくはそれに近い情報を得ることができるので失敗は減ると思うが、経験の浅い釣り人の場合はそうはいかない。だから釣果を伸ばすには自分でデータを探して確度を上げることが大事になってくる。
 この釣りを初めて僅か3年目のボクの場合は、川の水況を知ることで、「ある程度確度が上がるのでは?」と考え、釣行前に調べている。そのために利用しているのが、国土交通省が発信している「川の防災情報」(http://www.river.go.jp/)だ。
 このサイトでは、「全ての河川を網羅」とは言えないものの、釣り場になりうるであろう多くの河川の水位とその周辺の雨量が、3日前からの推移で目にすることが出来るのだ。

 渓流釣りの場合、基本的に「増水後、平水に向かって落ち着き始める頃」に釣果が伸びると言われている。それに適合する川はないものかと、今回の釣行前に色々と調べたところ、岐阜県の最北部一帯の川では雨後の増水からの回復が早く、前日の土曜なら狙い目だったかも知れないが、日曜日は期待薄に思えた。更には鮎釣りが解禁されて渓流釣りを気楽に楽しめる川自体の数が減っていた。
 そこで浮上したのがいつもの久婦須川だ。鮎釣り客に占拠されることが無いこの川は、釣行2日前に1m台に近付いた水位がゆっくりと下がり初め、前日には80cmに入っていた。この水位は今年最初に訪れた際と同じ状況下なので、こと水位面だけに限っては期待が持てるようであったが…。


■増水の川■

 家を出る時間が遅かったせいか、現地に着くと想定していた箇所にまたもや車が止まっており、結局三回連続でいつもの入渓点からのスタートになってしまった。
 川に降りる準備をしていると、ボクが車で向かう際に雷雨でもあったのか、山から道路に小川のように流れている部分が何カ所もあり、最初から嫌な予感がつきまとっていた。更には季節が進んだせいか河原へと通じる踏み跡には草が生い茂り、ジャングル状態になっており、「完全藪こぎ状態」で進まなくてはならない状況だった。

●河原へは藪こぎが強いられる●

 草いきれと雨後と朝露による湿度とクモの巣にウンザリとしながらもようやく河原に到達する。そこでこの日の釣果が予想される光景が目に入ってきた。
 「思ったよりも濁りがキツイ…」

●水位は何とかなるレベルだが、濁りがキツイ●

 そして、ボクの場合、悪い方の予想はいつも当たるから、困ったものだ。

■最初の一匹■

 水位的には釣りに支障が出るギリギリの線だった。更には直感だが、川が流れる流筋がどことなく悪く見え、前回、前々回に比べてポイントになる部分が潰れて確実に減っている。スタート地点から全く無反応のまま釣り上がって行くが、どうやら魚は流れの筋には出てこず、物陰に隠れている様子だ。

●ポイントを潰すようなグチャグチャな流れ●

 そこで、いつもならメインになるポイントよりもアシ際にある、流れの落ち着いているところへ向けて重点的に打ち込んでいく。しばらく無反応の区間が続いたが、諦めずに投入を繰り返す内に、モゾッともたれるような感覚で目印の動きがとまった。すかさずアワセると、アタリの弱さとは反対に結構締め込む。貴重な魚の引きを味わいながら、落ち着いて玉網に誘導し、無事にゲット。この日初のヤマメとご対面だ。

●26cmのヤマメ●


 このヤマメから導き出した答えは、予想通りではあるが、「流れの中には出てこない。」だった。

 ここからはヤマメの気持ちになって「ハードな状況から逃れられるポイント」を見付けると、時間を掛けて丹念に探るように努めた。

 そして淵部の流れの影でまたもやモゾッとしたアタリを捉えてもう一匹追加する。

●23cm級●

 一匹目はクロカワムシのエサでの釣果だったが、この淵部で色々と試行錯誤を繰り返す内、小さなサイズを含めてミミズのアタリの方が極端に反応が良いことに気が付いた。上記のヤマメもミミズに反応した一匹だったので以後は、ミミズのエサをメインに切り替えた。

●「濁った時のミミズ」の定説は本当かも?●



■思い切って堰堤へ■

 更に釣り上がる内に、少ないアタリを捉えつつもソコソコのサイズを数匹追加できたが、いつもの安定感は無く、しんどい展開が続く。そして、そうこうしている内にあっという間に堰堤部に到達した。

●かなり増水している堰堤手前の区間●

 これまでの釣行で好印象だった堰堤手前のポイントは潰れ、何も出ないままだった。こうなりゃ何としても堰堤下に入りたいが、増水のために普通のルートでは到達できそうにない。そこで一端下流に戻って右岸に渡り直し、途中でまたもやの藪こぎをしながら苦労の末に何とか堰堤直下に到達する。

●堰堤直下の流れ●

 ようやく到達したものの、水量が多くて釣り辛いうえに濁りもキツイ。諦めずに投入を繰り返したが、苦労の甲斐無く反応するのは中~小型のみで期待はずれに終わった。

●23cm級●


■激戦区へ■

 堰堤から退渓した後は一端車に乗り、少し下流へと向かった。するとこの川では数少ない、河原に車が直付け出来る区間=いつも誰かが入っているところに車が駐車されていないことに気付いた。
 「多分、誰かが入った後だろうな…。」と思いつつも、正午過ぎの暑さに負け、「藪こぎはもうイヤだ。」とばかりにこの区間から「誰かの残り物」を狙って釣り上がることにした。

●誰もが入る激戦区●

 最初の内は明るい日差しが差し込んでいて、望み薄なので適当に飛ばして進んで行く。川の様子を見ると午前中に攻めた区間よりも濁りが薄いようだ。 

 やがて周りに木々が迫り、日陰になるポイント群に到達する。

●途中から日陰が多くなる●

 しかし、「誰かの残り物」はほとんど無かった。反応するのは小型がメインで苦労の連続だったが、物陰の中の物陰のような箇所へ仕掛のロストを覚悟しつつ、一か八かでキャストした仕掛にようやく小マシなサイズが反応する。

●ようやくの20cm級●


 しかし、上向いたかに見えた兆しもすぐ下降線を辿っていった。そして更には最悪の事態が発生した。
 ここまで底石がヌルヌルとしているのに注意しつつ釣り上がってきたのだが、遂に足を滑らせて転倒し、全身ズブ濡れになってしまったのだ。オマケに掴んでいたメインロッドを真っ二つにする「体たらくさ」を伴って…。


■不幸中の幸い■

 大トラブルにも負けず、ロッドを予備のモノに交換するが、その竿はいわゆるゼロ・ロッドという、極細糸対応の竿であった。
 「ヤマメの喰いは悪いし、細目の仕掛でちょうど良いか?」と自分を納得させつつ、糸をこの竿では限界に近い太仕掛の0.2号に交換する。しかし、努力の甲斐無く何も反応がないままこの区間の最終局面へと到達した。

●一応の区間最終部●


■この日一番■

 区間最終部とは言うものの、実はその先に「奥の院」とも言うべき一帯がある。しかし、そこへ到達するには入り口に立ちふさがる放水口からの水の量が運命を左右するのだ。残念ながらこの日は吹き出す水の量が多く、「奥の院」へのアプローチは無理である。そこで吹き出し口周囲にある淵を丹念に探ってみることにした。

 この淵には大石が一箇所デンッ!と座っていて、「誰が見ても」それこそ見るからにそこがポイントだと判断できる。その周囲を下流側から丹念に探って行くが無反応。やはり誰もが狙うからだろうか魚影は薄いようだ。
 連日のように攻められて魚が減っているのか、石裏では反応が全くないので、石に水流が当たる面=いわゆる「ウケ」の部分で仕掛が馴染むように投入し、流してみる。
 3投目、石の直前で目印の動きが止まったと同時に、それまでピンッと張っていた糸がフケた。
 「アタリか?それとも根掛かりか?」と半信半疑のままでアワセを入れると、それと同時に軟竿がグニャリと曲がり込んでゆく。
 相手に対して糸が細目だから慎重にならざるを得ないが、柔らかい竿でバランスをとっているので、ウマく衝撃を吸収してくれているようだ。それを上回る引きが時折ロッドを襲った場合は竿を上流側に倒したままで自分が下流へと下ることで仕掛全体に架かるテンションを逃がしてやることで対処してゆく。
 徐々に相手の引きが弱まり、玉網へと誘導したいと思うが、柔らかい竿はここ一番で魚を浮かせるパワーが出てこない。そこで上流に竿を倒したままで、こちらから魚に近付くイメージで誘導してみると、何とか取り込みに成功した。見れば、背中の張りが強いオス、それも本日最長寸のヤマメだった。

●尺には足らないが、♂ヤマメの29cm●


 その後は粘ってみたが、この淵では続く魚はとうとう出ずじまいだった。
 
 その後、見えているのに行けないジレンマに耐えきれずに「放水口を超える方法はないものか?」と、アプローチを試みたが、間近で見る放水の勢いは強烈そのものだった。無理をすれば吹き飛ばされて危険にさらされそうだし、これ以上ズブ濡れになるのはもうゴメンだ。イイ魚もゲットしたことであるし、キリのいいところでもある。ここで退渓を決意するに至り、この日の釣りが終了した。

●越すに越されぬ放水口●


■ケガの功名■

 夏本番に入り、どの渓でも厳しい状況下に入っている。しかし、そんな中でも20cm以上のヤマメが何とか一日楽しめるほど釣れ続いてくれたのは、ベストとは言えないまでも、
 「『増水から平水へと向かい、落ち着き始める』際の、恩恵の一部と捉えるべきなのだろうか?。」とも思えてくる。
 今回の釣果は、決定的な判断材料になるほどの釣れっ振りではなく、そうだと言い切れないのが苦しいところだが、少なくとも「川の防災情報」がある程度の目安になることだけは言えると思う。
 今回は車で移動している時間帯での雷雨の影響が出て濁りがキツくなったようだが、それに対処するには、携帯電話版の「川の防災情報」を利用し、現地に向かう途中で再確認することが必要になってくるだろう。今後はそれを利用することで更なる確度アップを図ってゆきたいと思う。

 それにしても、この日の最大魚のことである。これは細仕掛に喰ってきた魚だ。直前に転倒していなければ、竿を交換していなかっただろうから、もしかするといつもの0.3号では喰ってくれなかった魚かも知れない。そうだとすると、正しく「ケガの功名」と言ったところだろう。しかし、ケガの代償は大きい。家に帰って調べると、折れた部分の他に、割れも発見し、交換が必要なパーツは2ヶ所に渡っていた。これから修理費の捻出に苦労しなければならないのだ。
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永遠の 0 (ゼロ)

2011-07-09 12:30:00 | その他
■暑い夏の最中に■

 西日本では梅雨も明け、暑い夏の真っ盛りに入っているが、毎年この時期になるとTVで大東亜戦争(太平洋戦争)についてのドラマ等が放送される。
 「戦争があったことを風化させず、今日、未来へ伝えよう」という努力は大切なことだ。しかし、ノンフィクション物以外の、特にドラマでは「現代人に解りやすく」を前面に押し出し、過度の演出をするあまりに曲解気味になっていたり、過去に放送したモノをリメイクする際にストーリーを書き換えすぎて、荒唐無稽になってしまっているモノすら存在する。
 
 このように戦時中を題材にしたドラマの中に不満が残る作品が多く存在するのは、携わる人間が多いTVでは伺う意見が多すぎて、どうしても方向性がボケてしまうからなのかも知れない。
 だから、ボクのように数多くノンフィクション物を読んでいたり、色々な手だてでこの時代を調べている身にとっては、小説の世界の方がシックリとくることが多いのだ。そんな中で出逢ったのが百田尚樹氏著「永遠の 0 (ゼロ)」という小説だった。

●永遠の 0 (ゼロ)●


 「何を今更…。」と言われるくらい、この本は以前から話題になっていたし、文庫本化や漫画化されるくらいにメジャーな作品であるうえ、これから読む人のためにストーリーに関しては多くは語らないが、あえて大筋を言うと…。

 すぐ目の前にある死と向き合いつつ、戦争が続く限り「死ぬまで跳び続けなくてはならない」戦闘機乗りの中にあって「娘に会うまでは死ねない」と言い続け、生き延びることをひたすら目指した男が居た。
 懸命に生き延び続ける彼であったが、思いとは逆方向に歯車は回り始め、遂に終戦の夏、特攻隊の一員となって散る運命に導かれてゆく。
 それから60年目の夏、その孫達が生き残りの戦闘機乗り達を通して死んだ祖父の生涯を調べていく。そこで得た生前の祖父像と、何故彼が死ななければならなかったのか?ということが浮き彫りになった瞬間に、明らかになる男の友情と家族愛を描いた作品。
 
 といった感じだが、付け加えるのなら、文庫版の帯に書かれている通りに不覚にも涙無しでは読めない作品だ。

 詳しく考証した上でのストーリー展開だから、生き残りとして登場する元パイロット達が語る戦闘や海戦の流れやその顛末も、概ね一般に言われている史実通りであるし、実際に撃墜王だった坂井三郎氏著「大空のサムライ」を始め、他の戦闘機乗り達のホンモノのエピソードをベースにした話も登場するので、「ノンフィクション上に描かれたフィクション」というのがこの小説に対する正確な表現なのかも知れない。
 予備知識が無い人にも非常に読み易いストーリーの中に、「あの時代に何があったのか」や、現代に生きる我々にとって重く受け止めてゆかなくてはならないハズの、「特攻隊員を含む多くの戦死者が何を思って死んでいったか」が解り易く表現されているから、終戦記念日である8月15日を前に、何かを考えるための良いキッカケを与えてくれる内容だと思う。

 著者の百田さんは、この作品がデビュー作だそうだが、関西発の人気TV番組である「探偵!ナイトスクープ」の放送作家をしていた人ということであるし、更に遡ればボクら世代なら知っている関西ローカル?の人気TV番組「ラブアタック」の「みじめアタッカー」の常連だった「あの百田さん」だということだから、人を楽しませ惹き付けるということに長けているのかも知れない。そのせいか、一度素直に読み始めるとすぐにのめり込んでゆく展開は見事だ。何もこれはボクだけの意見ではない。その証拠に、R40本屋さん大賞第1位になっているし、この作品以降も名著を発表し続け人気作家の一人に数えられているようだ。
 因みに、文庫本の巻末解説は先日亡くなられた児玉清さんだ。
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ガス燃焼器具の話 ~バーナー編

2011-07-02 12:30:00 | アウトドア・ギア
■数々のバーナー(ストーブもしくはコンロ)■

 思い起こせば、中学時代の釣行時に携行していた「固形アルコール・缶入り携帯燃料」から始まり、途中でオークションに手放したモノを含めて、現在までにかなりの数のバーナーを所有している。
 いくらボクの体がおデブだからといっても、一度に何個も持ち込んで使用することはなく、適材適所で使い分けているが、必要性だけではなく、そのスタイルや機能に惚れ込んでしまって衝動買いしたモデルもある。
 今回はそんなストーブ達について紹介してゆく。ランタン編と同じで紹介するものの中には廃盤モデルもあるが、モデルチェンジしても材質や周辺の補器類が変わっても心臓部が変わっていなかったり、共通思想の下で製作しているモノがほとんどなので、最新モデルを購入する際の参考にしてもらってイイと思う。



■今は無きバーナー達■

 手放したモノの中で最も印象深いのは、20年前にランタンと一緒に購入した、かの有名なコールマンのガソリン・バーナー「413H パワーハウス ツーバーナー」だ。
 多くのガス器機で額面通りの火力とはいかない中、このバーナーはガソリン燃料を使用するので定評通り、悪条件でも安定した強力な火力を発揮するが、反面、調子に乗って強火を続けていると、すぐにポンピングで再加圧しなければならなくなる。
 ただでさえ、最初の儀式としてかなりのポンピング回数をこなさなくてはならないから、これがかなりジャマ臭いのだ。(ランタンに比べるとポンピング回数は多い)
 更には燃料タンクを収納できるスペースを本体内部にとっているため、図体が大きい割には内部スペースがスカスカで、火口周りの天板(汁受け)もない。したがって噴きこぼれが起こると、内部スペースの角にそれが貯まり、ソコからすぐに錆びるという欠点があった。
 それでも、このモデルの大きな魅力は認めるし、実際に愛好家も多く、今でも定番として販売され続けているが、ボクの場合はジャマ臭さに負けたことと、ガス燃料タイプであってもブースター装着器機&ガスの使い分けで対抗できると踏んだので、結局はお蔵入りとなって最終的には手放してしまったのだ。

 その他、高級品を装いながら実は格安海外製品のOEM製品だったという、とあるバーナーは、その不誠実さに嫌気が差してすぐに売り払ったという経緯があるが、このあたりの話はほどほどにしておこう。


■ユニフレーム US-1800(廃盤モデル)■

 ボクが所有しているUS-1800は'07年末までのモデルで、現行モデルはモデルチェンジしたUS-1900に変わっている。
 新型になって改良された点は、ボディ材質が鉄板だったのがアルミに変更されて、4.5㎏から3.9㎏に軽量化されている点だが、両モデルとも「3900Kcalのハイパワー」「錆びにくいステンレス製の天板(汁受け)」「ブースター搭載」の基本性能は同じだから、1800への感想は1900を購入する際の参考にして欲しい。

 「気化促進装置編」でも書いたが、カセット缶仕様+ブースターの搭載によってガスの特性に合わせた使い分けが可能になり、コストダウンが図れるのがウレシイ。
 ボクの場合は片方のバーナーにユニフレームのプレミアムガスを装着し、大火力用とし、もう片方のバーナーに通常は安売りカセット缶、寒い日はイワタニのオレンジ缶をセットしてトロ火や煮込み用として使い分けている。(これまた自己責任の世界だが…。)
 「3900Kcalのハイパワー」については少々疑問が残るが、それでもガスバーナーの中ではハイパワーな方だということは間違いなく、基本性能がしっかりしているので使いやすいツーバーナーであることは間違いない。


●ユニフレーム US-1800●


■EPI BPSA(廃盤モデル)■

 今から20年ほど前、EPIがイングランド製だった時代のシングルバーナーだ。オートイグナイター搭載モデルなのだが、時々火が着かなくなるのは購入当時からの症状。しかし、ラジオペンチでスパークが飛ぶ距離を調整してやれば、すぐに着くようになる。鉄のパーツが多く、結構サビが出るが、如何にも「古いイギリス製」といったところだろうか?。後継、最新モデルのBPSA-Ⅲではステンレスが多用されているので、そのような心配はないから御安心を。
 BPSシリーズは細かな改良点はあるものの、基本性能は大きく変わっていないので、完成されたモデルなのだろう。
 小型ながら火力は額面通りに強力であり、このメーカーでは「チャージャー」と呼んでいる、ブースターも別売対応だが装着可能だ。
 このメーカーは本来、登山者向けが中心の商品展開なので、純正アウトドア缶の種類が豊富なうえ、他メーカー比でも少し価格が安い。しかも一部商品では、缶内の構造を工夫してドロップダウンを防いでいる。その中から最適なガスをセレクトすることにより、極寒でも使用できるのは有り難いが、このモデルに限っては折りたためる箇所が一つもなく、決して携行しやすいタイプではない。


●EPI BPSA●


■SOTO(新富士バーナー) ST-300(廃盤モデル)■

 缶本体と火口&ゴトクが分離し、その間をホースで繋いだ「セパレート・タイプ」のバーナーで、現行モデルは風防が付いたST-301にバージョンアップされている。
 セパレートタイプが欲しくて物色中に近所のホームセンターで旧モデル扱いの特売品を発見し、驚きの¥3000以下という価格に衝動買いをした結果、手元にやってきた。
 新型のST-301には風防が装着されているが、セパレートタイプの場合は、重心が低くゴトク周りを物陰に隠しやすいので、風防無しのST-300でも結構使える。但し、折りたたみ式のゴトクは3本足なので、フライパンのように初めからバランスの悪いモノは手を添えていないとコケることもあるので、注意が必要だ。
 シングルなので軽量さも期待したいところだが、640gもあるので、折りたたんだ形こそコンパクトだが、その点では不満が残る。

 こういったセパレートタイプには裏技があって、「火口周囲や輻射熱などの熱源とボンベの距離を調節することによって『疑似ブースター効果』が狙える。」との記述がH.P.などの一部に見られるが、どのくらい暖めるのかが判っていないと加熱しすぎて爆発の危険があるので、それは究極の事故責任の世界であり、「よい子はマネしないように!」と言うしかない。


●SOTO ST-300●


■ユニフレーム US-D(現行モデル)■

 ダッチ・オーブンの導入に合わせて購入。総重量が10kgを越えるという、ダッチ・オーブンを乗せるように設計しているだけに、質実剛健なセパレートタイプのバーナーだ。
 火口(バーナーヘッド)はUS-1900や1800と同じなので、当然火力も同じだから能力もそこそこ高いので、ダッチー・オーブンでの調理の際に下火として使えば、後は上火の分だけでイイから、大量に炭を起こす必要が無くなって手間が省けるのが有り難い。
 ツーバーナーで二つ並べて調理している場合、片方で大きなフライパンなどを使うと、もう1方のスペースが狭くなる。そんな時には大型の鍋やフライパンをこのバーナーに担当させることでスペースに余裕ができるし、当然、3つの調理が必要になっても割り振りが可能だ。また、簡単に持ち運びできるので、朝にコーヒーやお茶を沸かす際にテーブル上に移動させて使用することも多く、その意味でも重宝するバーナーだ。


●ユニフレーム US-D●


■SOTO レギュレーターストーブ ST-310(現行モデル)■

 SOTO(新富士バーナー)が開発したマイクロレギュレーターによって、ガスを選ばず、低温での使用が可能になったバーナー。勿論、カセット缶仕様だ。
 火力は純正のパワー・ガスを使っても2500kcal/hなので、大火力とはいかないが、公称通りのパワーがあるので、そんなに心配は要らない。
 以前にも触れたが、ボクの場合は、瀬泊まりをする夜釣の他、渓流釣行の際に車に積み込んでおき、温かいモノを食べる際に、写真下の「ジェットボイル社の1.5Lクッキング・ポット」とのコンビで使用している。この組合せだと、バーナーの経済性に加えて燃料消費も押さえられるので、2重のメリットがあるのだ。


●ジェットボイル 1.5Lクッキング・ポットとの組合せ●

 一応、ソロ用なのでコンパクトに折りたためるが、重量が350gなので軽量モデルというワケではない。しかし、その分、パーツにステンレスを多用し、太目の4本足ゴトクを採用するなど、作りはしっかりしているから、登山よりも極端な軽量化が必要でないバイクツーリングに最適だと思う。特に、移動中に立ち寄ったコンビニ等で手に入れたカセット缶が安定して使えるのは特筆すべき点だ。


●SOTO ST-310●


■PRIMUS P-113(廃盤モデル)■

 できうる限り小型軽量のバーナーを探していた際に購入。当時、点火装置付きとしては世界最軽量の76gを誇っていたモデルだ。
 現在は廃盤品となって新型のP-114と交代しているが、大きな違いはゴトクになる。113のゴトクは硬質ステンレス製ムク棒が曲げられた3本支持タイプだが、114では羽根状3枚プレートの折りたたみ式で113よりも少し大きな鍋底にも対応しているのにもかかわらず、113よりも更に軽量化された結果、64gと超軽量だ。収納袋は両モデルとも名刺サイズほどの大きさなので、たたんだ際の大きさはさほど変わりがないだろう。
 両モデルともバーナーヘッドは共通のMFMM(マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ)、2300kcal/hが搭載されているので、能力の違いはない。このMFMMとは、メーカーの説明では

マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ(Micro Fiber Metal Mesh)太さわずか22ミクロンのメタルファイバーを織り込むことで、非常に多孔性のあるメッシュ状のバーナー孔を実現したMFMM。空気と混合されたガスを、より好ましい状態でバーナー部へ送ることで、バーナーヘッド表面での燃焼に成功しました。

とある。
 その特徴は炎が横に広がらず、垂直方向に伸びる事だ。この方式だと、小さなカップや、底面積が小さい鍋をゴトクに乗せた場合により高効率に熱を伝えられ、燃料消費も押さえられるそうだ。だから、ソロユースでの選択がベストだ。

 ボクの場合は、更に進化させてジェットボイルの「コンパニオンカップ(1.0L)と組み合わせて使用している。


●PRIMUS P-113●


●ジェットボイルのコンパニオンカップとの組合せ●


 この組合せだと、強風時に煽られた炎が枠の外側に出て、カップ外側のネオプレーンゴム製カバーを溶かしてしまうことがあるが、ジェットボイル社の純正同士の組合せでもこうなるそうだから、組合せの悪さからくる不都合ではないようだ。
 ジェットボイル純正のバーナーも実はPRIMUS社のOEM商品の、MFMM方式なので、相性は自体は悪くないハズだ。


●カバーの焦げ跡●

 ただし、そのままではP-113は入らないので、下の写真のようにヤスリで少し削る必要がある。


●右がコンパニオンカップの底部(左はPRIMUS Eta Express)●


■PRIMUS P-132(エクスプレス・メッシュ・ストーブ)(日本のみ廃盤モデル)■

 このバーナー、実は単体で購入したものではない。プリムス社ではEta(イータ)シリーズという、熱効率の高い鍋類とバーナーをセットで販売しているのだが、このP-132は、その中の「Eta Express(イータエクスプレス)」という、セットに組み込まれているモノだ。
 このセット内容では日本で販売されず、バーナーのみで単体販売されていたが、現在では廃盤になっているようだ。後継機種もないので、ここではバーナー単体では話を進めないが、スペックが、2700kcal/h、MFMM方式の炎が垂直方向に伸びるタイプということだけを記しておく。

 

●PRIMUS P-132●


●Eta Express(イータエクスプレス)のセット●

 日本未発売のセットなので、アメリカAMAZONのアウトドア用品内(http://www.amazon.com/Outdoor-Recreation/b/ref=sa_menu_outrec15?ie=UTF8&node=706814011)のモノを個人輸入で手に入れた。AMAZONと言っても、代理店との契約からか、そのままでは日本に向けて輸出してくれないモノもあるが、そういった商品の場合は転送サービスというルートを使えば手に入るようになる。その手続きも至って簡単で、ボクの場合はスピアネット(http://www.spearnet-us.com/)というところを使っている。この業者のサイト内ではAMAZONでの購入手順そのものを詳しく紹介しているし、全て日本語のやり取りでOKなのがウレシイ。
 イータエクスプレスの購入価格は送料と手数料と商品代の全てを含めて、約8700円で購入できたが、ザックその他のアウトドア用品も日本の代理店経由より安くなることも多いし、そもそも日本未発売のモデルも手に入るので興味のある方は覗いてみるとイイだろう。

 話が横道に逸れたが、上述したジェットボイルと同様に高効率システムのイータエクスプレスを更に購入した動機は、調理の際に内部が焦げ付きにくいようにノンスティック加工(いわゆるテフロン加工)されている点を買ってのことだ。ジェットボイルの場合はノンスティック加工がないうえ、縦長構造のため、湯沸かし以外の料理をした場合、焦がしてしまうと後の掃除が大変だからだ。
 加えて、イータエクスプレスでは蓋の部分がフライパンになるように工夫されているのと、風防が同梱されている点も、今までは別に用意していただけに高い評価ができる。しかもそれらが全てポット内に収納できるのも嬉しい限りだ。


●フライパン使用時のセッティング●



■まだ尽きぬ趣味■

 何週にも渡り、こうやって数々の燃焼器具を紹介してきた。少々オタッキーな内容だったが、皆さんがアウトドアグッズを購入する際の目安程度に役立ってくれれば有り難いと思う。
 かく言うボクは今でも飽きずに各社のH.P.を眺めては、「アーでもない、コーでもない」と思いは巡る。まだまだコレクションは増えそうだ。
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