■玄達瀬の解禁■
毎年ボクが楽しみにしている、福井県沖にある天然魚礁「玄達瀬」が今年も6月16日から2ヶ月間の解禁期に入った。
思い起こすと、この瀬に通い始めたのは今から16年前のことだった。初挑戦の際に、80cm級ヒラマサの入れ食いを体験したことで、その底力を思い知り、その後は年に一、二度程度だが、通うようになっていた。
しかし、数年経つと日本海沿岸全体の、ヒラマサの回遊量の減少し始め、それに正比例して玄達瀬の釣果が落ちていき、80cmクラスを良くて数本、ヘタするとメジロやブリそしてマダイが数匹しかないといった釣果で終わるようになっていった。元々がヒラマサ目当てだったボクにとって、果たしてそれが「投資額に見合うだけの釣果なのか?」という疑問も沸いたために、以降8年も釣行しなくなり、いつしか船釣り自体からも遠ざかるようになっていった。
そして月日が経ち、2010年からポツポツと自身の船釣り自体は再開していたが、再び本気モードに入ったのが2012年。勿論その理由は日本海側のヒラマサの回遊量が大きく回復し始めたからだ。
ここ近年の玄達瀬では、2012年の「小型ヒラマサ(55cm級)が、多ければ1船あたり40~50本という、数釣り」が起こったあたりから大きく様子が変わり始め、翌2013年には「平均で70~80cmほどの中型ヒラマサが、1船あたり10~20本という、安定した釣果が記録されるまでに至っていた。
そして今シーズンだが、これは別格だ。何しろ解禁以降の10日間の段階では、メーター前後は連日当たり前のように登場し、更には、ほぼ”2日に1本ペース!”で、どこかの船が130cm級を獲るという、脅威の釣果が続いているのだ。
■危ぶまれた出船■
今シーズンが開幕してからの釣果情報をキャッチして以降、出船までの数日間は、自ずとボクのテンションは上がりっぱなしだったが、それに水を差すかのように釣行前日の天気確認時には出船が危ぶまれるような予報が届いていた。諦めきれずに吉報を待っていると、念のために数隻で船団を組み、「途中での引き返しもあり得る」という条件付きながら出船可能となって一安心。しかし、こういった際にはいつもツキがないボクのことだから途中で引き返す確率は低くはなく、漁場に到着するまでは勿論のこと、帰港するまで正直言ってヒヤヒヤの連続だった。
乗船したのは、越前フィッシングセンター(℡0776-22-1095)が斡旋する、”晴海丸”さん。鷹巣沖~玄達瀬の釣りではボクが絶大な信頼を寄せる船長の操船する船だけに、当日の天候とは逆に、実釣に関しての不安はなく、頼もしい限りだ。
■滑り出し■
到着して一流し。潮流は「ブッ飛び」と呼ばれる超スピードで流れるモノで、100mを流すのに2分程度しか掛からない状態だった。
「こりゃ、しょーもない魚やったらアタリが判らへんで。」とか何とか同行の兄と話していた数投目、ビュンッ!と、道糸がちゃんと走ってくれた。
しかし、この日に備えて用意したタックル(後日紹介)の敵ではなく、舞鶴あたりのライト~ミディアム・タックルだと、楽しめるサイズであっても、まるでハマチ感覚でのゲットだった。
そして、あまり間隔を開けずに同クラスを3本ゲットする。
実は、ここまでリールのドラグセッティングはフルドラグのままで、緩めることなく巻き上げていた。この辺りの判断は「大きいのが来たら、水深分を切ったあたりで対応しようかな?」なんて余裕をこいた心理が作用してのことだった。
そんな流れの中、続く4本目のアタリをとったが、これもまた、大した感触がなく、船下付近までは簡単に寄ってきたことから、「またもや同寸か?」と、これまでと同様に対処していた。
しかし、「そろそろ船下あたりか?」と、思った矢先に急な突っ込みが始まって、一瞬のうちに文字通り「足下を掬われ(本当にコケそうになった。)」て、竿が伸されたためにドラグ操作をする間もなく、枝ハリスという不利な条件ながら、12号のハリスが一発で飛んでしまった。
これを見ていた船長の口から、「今のは多分、メーターオーバ-。」との言葉がこぼれ、それを受けてボクは「かれこれ一年もかけて準備をしていたのに…。」と悔やみ、半ば放心していた。
■時合い■
このバラしに続いてのアタリは兄がとったのだが、これは逆に慎重になりすぎてヒラマサに主導権を奪われて根に突っ込まれた挙げ句、根ズレでバラしてしまう。
そしてその後の流しで、兄は再びアタリをとって、やや大きめの80cm級をゲットする。
その間のボクは、外道の石鯛やグレのみで、ヒラマサのアタリはとれていなかった。もっともこれは、ボクの仕掛が一回り太いせいで流れるタナが違うためだ。
勿論、アタリがなければ常に浮力を調整するという努力には怠りはなかったが、この日の激流の中でボクの頭は混乱気味だった。
太い仕掛は、より抵抗を受けて浮き上がっているハズなのに、そんな状態であっても妙なことに、これまで掛かったヒラマサは全て枝バリのエサを食っていた。ここで船長のアドバイスがあった。
その「更にもう少し浮かせてみたら先バリに掛かるかも?」との意見に耳を傾け、それまで何も着けていなかった仕掛けに発泡ウキの6番を装着して、様子を伺うことにした。
なるほどその通りで、次のアタリではヒラマサは先バリに掛かってくれたが、これまた70cm前後のレギュラーサイズだった。しかし贅沢だが、もうこのクラスに用はないのだ。
その後もしばらく浮かせる方向で攻めてみたが、「このタナは雰囲気が違う。」といった曖昧な感覚が脳裏をかすめたので、結局は4本目をバラした、「ハリスと道糸の継ぎ目にサルカン1個のみ」の仕掛に戻してみることにした。
そして、数投目、この日のボクの勘は冴えていたのか、「ブシューッ!」というリールの急速逆転音を伴う見事なまでの大型ヒラマサのアタリを捉えることに成功した。
■9年ぶりの記録更新■
初っ端の締め込みで、型が良いことは確認できたが、さりとて猛烈な引きに襲われているわけでもなく、相手がどのくらいのモノなのか見当が付かなかった。そして正直なところ、上述した4本目のバラシでかなり弱気になっていたので、ボクの心には迷いが出ていた。この相手を「だましだましに寄せた方」が良いのか、「水深分を切るまでは、あくまでも強引気味に寄せた方」が良いのかの判断がつかなかったのだ。
こんな時に頼りになるのが船長のアドバイスだ。この際もドラグの滑り具合と相手との距離を計算し、手取り足取りで的確な指示が飛んでいた。その甲斐あって船下まで何とか引き寄せに成功したが、そこから先も一進一退の展開で、かなりのやり取りがあった。そこを必死でしのぎ、どうにかハリスを手繰る間合いまで詰めたのだが、この時点で海中をのぞき込むとビックリ仰天!。これまでのやり取りからメーター・チョイのクラスを予想し、「ギリギリで自己記録の更新か?」と思っていたのだが、その予想を遙かに超えていたのだ。
そこから先は「目の前で外れんといてくれ~。」と心中で祈るしかったが、無事にネットイン!。ハラハラドキドキでフィニッシュの瞬間を迎えた。
ドサッという音と共に船内に取り込まれた魚体は偉容を誇り、9年前の前記録を15cmも越える”一生の記憶に残る”魚となった。
■続くヒラマサ■
記録魚を釣った後は潮流の角度が変わり、ほどなく時合いが終わった。ヒラマサがうろつかなくなったせいで恐れを無くしたエサ盗り達の行動が活発になり、エサが盗られる一方になった。それでも何とか食わそうと発泡ウキの調整を繰り返し、ついには8番×2個+6番という高浮力な仕掛になっていた。そして、これにレギュラーサイズが久しぶりにアタッてきたが、後が続かない。
以降も相変わらずエサばかりが盗られるので、今度は逆にオモリを装着することで手前側から仕掛を沈め、流す距離を短くする作戦に変更する。そしてこれにもアタリが出て80cm級をゲットするに至る。
それにしても、午前の時合いと違って、アタリが出るタナはバラバラなので、サシエサのチェックをしつつ、常に流すタナを変えて積極的にヒラマサの居場所を探し当てる必要があった。この時点での、このアプローチ方は、同じ仕掛に続いて釣れることが無かったことから「正解だった。」と言えるだろう。
そして、そうやって探り当てたこの日最後のヒラマサは、納得のサイズだった。
以後はウネリが大きくなったうえ、マキエサも無くなったために早上がりとなったが、”自己記録更新”に成功した身としては、文句を付ける気もなく、万事が無事に、この日の航海を終えるに至った。
■尽き果てぬ夢■
当日を振り返ってみれば、前半のバラシを未だに悔やんでいる。
冷静に考えてみると、あの魚は以前にこのブログで書いた「春の経ヶ岬(白石グリ)でメーター前後のヒラマサをハリス8号で獲る方法」と同じパターンで、しかも「先手を打って」攻めていれば良かったのだ。
少し説明すると「相手との距離がある場合は、足下の水深分を切るまではドラグはキツ目で、道糸の伸びによるショック吸収を信じて強気で巻き上げ」、「水深分を切った以降は、道糸の距離も短くなっているため、少しドラグを緩めて相手を充分に弱らせる」、「さりとて走らせすぎると、沈み根に向かうため、勝負所ではサミング(親指でスプールを押さえること)、もしくはドラグを少し締めて走りを止める」、「船縁では、手で手繰っている最中の、急な走りに対応するため、リールのクラッチはオフ、スプールをサミングで押さえた状態で、いつでも糸が出せる状態で構えておく」といった流れだが、当日のボクはハリス12号という太さに過信し、後半に入っても強引に寄せようとしたために後手に回って、しっぺ返しを喰らったのだ。
結果、我を失う場面があったのだが、もし、そのままであれば118cmは恐らく獲れていなかったであろう。上段でも触れたが、基本を思い起こさせてくれた船長に「感謝!感謝!」である。要はヒラマサの大小に合わせてハリスの太さが変わっているだけで、やり取りの基本や気構えは同じだということを胸に刻んでおくべきだったのだ。
何しろ、今年の玄達は”130cm級の巨マサ来襲”という、嬉しい意味での異常事態となっている。”上には上があるモノ”で、ボクがゲットした“大マサ”クラスでは、ぬか喜びはしていられない状況なのだ。普通に行けば、ボクに残されたチャンスはあと1回なのだが、更なる大型を仕留める準備だけはできている。
「かかって来んか~い!」
毎年ボクが楽しみにしている、福井県沖にある天然魚礁「玄達瀬」が今年も6月16日から2ヶ月間の解禁期に入った。
思い起こすと、この瀬に通い始めたのは今から16年前のことだった。初挑戦の際に、80cm級ヒラマサの入れ食いを体験したことで、その底力を思い知り、その後は年に一、二度程度だが、通うようになっていた。
しかし、数年経つと日本海沿岸全体の、ヒラマサの回遊量の減少し始め、それに正比例して玄達瀬の釣果が落ちていき、80cmクラスを良くて数本、ヘタするとメジロやブリそしてマダイが数匹しかないといった釣果で終わるようになっていった。元々がヒラマサ目当てだったボクにとって、果たしてそれが「投資額に見合うだけの釣果なのか?」という疑問も沸いたために、以降8年も釣行しなくなり、いつしか船釣り自体からも遠ざかるようになっていった。
そして月日が経ち、2010年からポツポツと自身の船釣り自体は再開していたが、再び本気モードに入ったのが2012年。勿論その理由は日本海側のヒラマサの回遊量が大きく回復し始めたからだ。
ここ近年の玄達瀬では、2012年の「小型ヒラマサ(55cm級)が、多ければ1船あたり40~50本という、数釣り」が起こったあたりから大きく様子が変わり始め、翌2013年には「平均で70~80cmほどの中型ヒラマサが、1船あたり10~20本という、安定した釣果が記録されるまでに至っていた。
そして今シーズンだが、これは別格だ。何しろ解禁以降の10日間の段階では、メーター前後は連日当たり前のように登場し、更には、ほぼ”2日に1本ペース!”で、どこかの船が130cm級を獲るという、脅威の釣果が続いているのだ。
■危ぶまれた出船■
今シーズンが開幕してからの釣果情報をキャッチして以降、出船までの数日間は、自ずとボクのテンションは上がりっぱなしだったが、それに水を差すかのように釣行前日の天気確認時には出船が危ぶまれるような予報が届いていた。諦めきれずに吉報を待っていると、念のために数隻で船団を組み、「途中での引き返しもあり得る」という条件付きながら出船可能となって一安心。しかし、こういった際にはいつもツキがないボクのことだから途中で引き返す確率は低くはなく、漁場に到着するまでは勿論のこと、帰港するまで正直言ってヒヤヒヤの連続だった。
乗船したのは、越前フィッシングセンター(℡0776-22-1095)が斡旋する、”晴海丸”さん。鷹巣沖~玄達瀬の釣りではボクが絶大な信頼を寄せる船長の操船する船だけに、当日の天候とは逆に、実釣に関しての不安はなく、頼もしい限りだ。
●今年もお世話になった”晴海丸”さん●
■滑り出し■
到着して一流し。潮流は「ブッ飛び」と呼ばれる超スピードで流れるモノで、100mを流すのに2分程度しか掛からない状態だった。
「こりゃ、しょーもない魚やったらアタリが判らへんで。」とか何とか同行の兄と話していた数投目、ビュンッ!と、道糸がちゃんと走ってくれた。
●幸先良い滑り出し●
しかし、この日に備えて用意したタックル(後日紹介)の敵ではなく、舞鶴あたりのライト~ミディアム・タックルだと、楽しめるサイズであっても、まるでハマチ感覚でのゲットだった。
●70cm前後のレギュラーサイズ級●
そして、あまり間隔を開けずに同クラスを3本ゲットする。
実は、ここまでリールのドラグセッティングはフルドラグのままで、緩めることなく巻き上げていた。この辺りの判断は「大きいのが来たら、水深分を切ったあたりで対応しようかな?」なんて余裕をこいた心理が作用してのことだった。
そんな流れの中、続く4本目のアタリをとったが、これもまた、大した感触がなく、船下付近までは簡単に寄ってきたことから、「またもや同寸か?」と、これまでと同様に対処していた。
しかし、「そろそろ船下あたりか?」と、思った矢先に急な突っ込みが始まって、一瞬のうちに文字通り「足下を掬われ(本当にコケそうになった。)」て、竿が伸されたためにドラグ操作をする間もなく、枝ハリスという不利な条件ながら、12号のハリスが一発で飛んでしまった。
これを見ていた船長の口から、「今のは多分、メーターオーバ-。」との言葉がこぼれ、それを受けてボクは「かれこれ一年もかけて準備をしていたのに…。」と悔やみ、半ば放心していた。
■時合い■
このバラしに続いてのアタリは兄がとったのだが、これは逆に慎重になりすぎてヒラマサに主導権を奪われて根に突っ込まれた挙げ句、根ズレでバラしてしまう。
●船長の助太刀もむなしく…●
そしてその後の流しで、兄は再びアタリをとって、やや大きめの80cm級をゲットする。
●87cm●
その間のボクは、外道の石鯛やグレのみで、ヒラマサのアタリはとれていなかった。もっともこれは、ボクの仕掛が一回り太いせいで流れるタナが違うためだ。
●石鯛(サンバソウクラス)35cm●
勿論、アタリがなければ常に浮力を調整するという努力には怠りはなかったが、この日の激流の中でボクの頭は混乱気味だった。
太い仕掛は、より抵抗を受けて浮き上がっているハズなのに、そんな状態であっても妙なことに、これまで掛かったヒラマサは全て枝バリのエサを食っていた。ここで船長のアドバイスがあった。
その「更にもう少し浮かせてみたら先バリに掛かるかも?」との意見に耳を傾け、それまで何も着けていなかった仕掛けに発泡ウキの6番を装着して、様子を伺うことにした。
なるほどその通りで、次のアタリではヒラマサは先バリに掛かってくれたが、これまた70cm前後のレギュラーサイズだった。しかし贅沢だが、もうこのクラスに用はないのだ。
その後もしばらく浮かせる方向で攻めてみたが、「このタナは雰囲気が違う。」といった曖昧な感覚が脳裏をかすめたので、結局は4本目をバラした、「ハリスと道糸の継ぎ目にサルカン1個のみ」の仕掛に戻してみることにした。
そして、数投目、この日のボクの勘は冴えていたのか、「ブシューッ!」というリールの急速逆転音を伴う見事なまでの大型ヒラマサのアタリを捉えることに成功した。
■9年ぶりの記録更新■
初っ端の締め込みで、型が良いことは確認できたが、さりとて猛烈な引きに襲われているわけでもなく、相手がどのくらいのモノなのか見当が付かなかった。そして正直なところ、上述した4本目のバラシでかなり弱気になっていたので、ボクの心には迷いが出ていた。この相手を「だましだましに寄せた方」が良いのか、「水深分を切るまでは、あくまでも強引気味に寄せた方」が良いのかの判断がつかなかったのだ。
こんな時に頼りになるのが船長のアドバイスだ。この際もドラグの滑り具合と相手との距離を計算し、手取り足取りで的確な指示が飛んでいた。その甲斐あって船下まで何とか引き寄せに成功したが、そこから先も一進一退の展開で、かなりのやり取りがあった。そこを必死でしのぎ、どうにかハリスを手繰る間合いまで詰めたのだが、この時点で海中をのぞき込むとビックリ仰天!。これまでのやり取りからメーター・チョイのクラスを予想し、「ギリギリで自己記録の更新か?」と思っていたのだが、その予想を遙かに超えていたのだ。
そこから先は「目の前で外れんといてくれ~。」と心中で祈るしかったが、無事にネットイン!。ハラハラドキドキでフィニッシュの瞬間を迎えた。
ドサッという音と共に船内に取り込まれた魚体は偉容を誇り、9年前の前記録を15cmも越える”一生の記憶に残る”魚となった。
●118cm(拓寸)の大マサ!●
■続くヒラマサ■
記録魚を釣った後は潮流の角度が変わり、ほどなく時合いが終わった。ヒラマサがうろつかなくなったせいで恐れを無くしたエサ盗り達の行動が活発になり、エサが盗られる一方になった。それでも何とか食わそうと発泡ウキの調整を繰り返し、ついには8番×2個+6番という高浮力な仕掛になっていた。そして、これにレギュラーサイズが久しぶりにアタッてきたが、後が続かない。
以降も相変わらずエサばかりが盗られるので、今度は逆にオモリを装着することで手前側から仕掛を沈め、流す距離を短くする作戦に変更する。そしてこれにもアタリが出て80cm級をゲットするに至る。
●88cm!●
それにしても、午前の時合いと違って、アタリが出るタナはバラバラなので、サシエサのチェックをしつつ、常に流すタナを変えて積極的にヒラマサの居場所を探し当てる必要があった。この時点での、このアプローチ方は、同じ仕掛に続いて釣れることが無かったことから「正解だった。」と言えるだろう。
●ポツポツながら曲がる竿●
そして、そうやって探り当てたこの日最後のヒラマサは、納得のサイズだった。
●最後は98cm!●
以後はウネリが大きくなったうえ、マキエサも無くなったために早上がりとなったが、”自己記録更新”に成功した身としては、文句を付ける気もなく、万事が無事に、この日の航海を終えるに至った。
■尽き果てぬ夢■
当日を振り返ってみれば、前半のバラシを未だに悔やんでいる。
冷静に考えてみると、あの魚は以前にこのブログで書いた「春の経ヶ岬(白石グリ)でメーター前後のヒラマサをハリス8号で獲る方法」と同じパターンで、しかも「先手を打って」攻めていれば良かったのだ。
少し説明すると「相手との距離がある場合は、足下の水深分を切るまではドラグはキツ目で、道糸の伸びによるショック吸収を信じて強気で巻き上げ」、「水深分を切った以降は、道糸の距離も短くなっているため、少しドラグを緩めて相手を充分に弱らせる」、「さりとて走らせすぎると、沈み根に向かうため、勝負所ではサミング(親指でスプールを押さえること)、もしくはドラグを少し締めて走りを止める」、「船縁では、手で手繰っている最中の、急な走りに対応するため、リールのクラッチはオフ、スプールをサミングで押さえた状態で、いつでも糸が出せる状態で構えておく」といった流れだが、当日のボクはハリス12号という太さに過信し、後半に入っても強引に寄せようとしたために後手に回って、しっぺ返しを喰らったのだ。
結果、我を失う場面があったのだが、もし、そのままであれば118cmは恐らく獲れていなかったであろう。上段でも触れたが、基本を思い起こさせてくれた船長に「感謝!感謝!」である。要はヒラマサの大小に合わせてハリスの太さが変わっているだけで、やり取りの基本や気構えは同じだということを胸に刻んでおくべきだったのだ。
何しろ、今年の玄達は”130cm級の巨マサ来襲”という、嬉しい意味での異常事態となっている。”上には上があるモノ”で、ボクがゲットした“大マサ”クラスでは、ぬか喜びはしていられない状況なのだ。普通に行けば、ボクに残されたチャンスはあと1回なのだが、更なる大型を仕留める準備だけはできている。
「かかって来んか~い!」
●左向きが全てヒラマサ●