中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

念願の大マサ!

2014-06-28 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■玄達瀬の解禁■

 毎年ボクが楽しみにしている、福井県沖にある天然魚礁「玄達瀬」が今年も6月16日から2ヶ月間の解禁期に入った。
 思い起こすと、この瀬に通い始めたのは今から16年前のことだった。初挑戦の際に、80cm級ヒラマサの入れ食いを体験したことで、その底力を思い知り、その後は年に一、二度程度だが、通うようになっていた。
 しかし、数年経つと日本海沿岸全体の、ヒラマサの回遊量の減少し始め、それに正比例して玄達瀬の釣果が落ちていき、80cmクラスを良くて数本、ヘタするとメジロやブリそしてマダイが数匹しかないといった釣果で終わるようになっていった。元々がヒラマサ目当てだったボクにとって、果たしてそれが「投資額に見合うだけの釣果なのか?」という疑問も沸いたために、以降8年も釣行しなくなり、いつしか船釣り自体からも遠ざかるようになっていった。
 そして月日が経ち、2010年からポツポツと自身の船釣り自体は再開していたが、再び本気モードに入ったのが2012年。勿論その理由は日本海側のヒラマサの回遊量が大きく回復し始めたからだ。
 ここ近年の玄達瀬では、2012年の「小型ヒラマサ(55cm級)が、多ければ1船あたり40~50本という、数釣り」が起こったあたりから大きく様子が変わり始め、翌2013年には「平均で70~80cmほどの中型ヒラマサが、1船あたり10~20本という、安定した釣果が記録されるまでに至っていた。
 そして今シーズンだが、これは別格だ。何しろ解禁以降の10日間の段階では、メーター前後は連日当たり前のように登場し、更には、ほぼ”2日に1本ペース!”で、どこかの船が130cm級を獲るという、脅威の釣果が続いているのだ。


■危ぶまれた出船■

 今シーズンが開幕してからの釣果情報をキャッチして以降、出船までの数日間は、自ずとボクのテンションは上がりっぱなしだったが、それに水を差すかのように釣行前日の天気確認時には出船が危ぶまれるような予報が届いていた。諦めきれずに吉報を待っていると、念のために数隻で船団を組み、「途中での引き返しもあり得る」という条件付きながら出船可能となって一安心。しかし、こういった際にはいつもツキがないボクのことだから途中で引き返す確率は低くはなく、漁場に到着するまでは勿論のこと、帰港するまで正直言ってヒヤヒヤの連続だった。
 乗船したのは、越前フィッシングセンター(℡0776-22-1095)が斡旋する、”晴海丸”さん。鷹巣沖~玄達瀬の釣りではボクが絶大な信頼を寄せる船長の操船する船だけに、当日の天候とは逆に、実釣に関しての不安はなく、頼もしい限りだ。

●今年もお世話になった”晴海丸”さん●


■滑り出し■

 到着して一流し。潮流は「ブッ飛び」と呼ばれる超スピードで流れるモノで、100mを流すのに2分程度しか掛からない状態だった。
 「こりゃ、しょーもない魚やったらアタリが判らへんで。」とか何とか同行の兄と話していた数投目、ビュンッ!と、道糸がちゃんと走ってくれた。

●幸先良い滑り出し●

 しかし、この日に備えて用意したタックル(後日紹介)の敵ではなく、舞鶴あたりのライト~ミディアム・タックルだと、楽しめるサイズであっても、まるでハマチ感覚でのゲットだった。

●70cm前後のレギュラーサイズ級●

 そして、あまり間隔を開けずに同クラスを3本ゲットする。
 実は、ここまでリールのドラグセッティングはフルドラグのままで、緩めることなく巻き上げていた。この辺りの判断は「大きいのが来たら、水深分を切ったあたりで対応しようかな?」なんて余裕をこいた心理が作用してのことだった。
 そんな流れの中、続く4本目のアタリをとったが、これもまた、大した感触がなく、船下付近までは簡単に寄ってきたことから、「またもや同寸か?」と、これまでと同様に対処していた。
 しかし、「そろそろ船下あたりか?」と、思った矢先に急な突っ込みが始まって、一瞬のうちに文字通り「足下を掬われ(本当にコケそうになった。)」て、竿が伸されたためにドラグ操作をする間もなく、枝ハリスという不利な条件ながら、12号のハリスが一発で飛んでしまった。
 これを見ていた船長の口から、「今のは多分、メーターオーバ-。」との言葉がこぼれ、それを受けてボクは「かれこれ一年もかけて準備をしていたのに…。」と悔やみ、半ば放心していた。


■時合い■

 このバラしに続いてのアタリは兄がとったのだが、これは逆に慎重になりすぎてヒラマサに主導権を奪われて根に突っ込まれた挙げ句、根ズレでバラしてしまう。

●船長の助太刀もむなしく…●

 そしてその後の流しで、兄は再びアタリをとって、やや大きめの80cm級をゲットする。

●87cm●

 その間のボクは、外道の石鯛やグレのみで、ヒラマサのアタリはとれていなかった。もっともこれは、ボクの仕掛が一回り太いせいで流れるタナが違うためだ。

●石鯛(サンバソウクラス)35cm●

 勿論、アタリがなければ常に浮力を調整するという努力には怠りはなかったが、この日の激流の中でボクの頭は混乱気味だった。
 太い仕掛は、より抵抗を受けて浮き上がっているハズなのに、そんな状態であっても妙なことに、これまで掛かったヒラマサは全て枝バリのエサを食っていた。ここで船長のアドバイスがあった。
 その「更にもう少し浮かせてみたら先バリに掛かるかも?」との意見に耳を傾け、それまで何も着けていなかった仕掛けに発泡ウキの6番を装着して、様子を伺うことにした。
 なるほどその通りで、次のアタリではヒラマサは先バリに掛かってくれたが、これまた70cm前後のレギュラーサイズだった。しかし贅沢だが、もうこのクラスに用はないのだ。
 その後もしばらく浮かせる方向で攻めてみたが、「このタナは雰囲気が違う。」といった曖昧な感覚が脳裏をかすめたので、結局は4本目をバラした、「ハリスと道糸の継ぎ目にサルカン1個のみ」の仕掛に戻してみることにした。
 そして、数投目、この日のボクの勘は冴えていたのか、「ブシューッ!」というリールの急速逆転音を伴う見事なまでの大型ヒラマサのアタリを捉えることに成功した。


■9年ぶりの記録更新■

 初っ端の締め込みで、型が良いことは確認できたが、さりとて猛烈な引きに襲われているわけでもなく、相手がどのくらいのモノなのか見当が付かなかった。そして正直なところ、上述した4本目のバラシでかなり弱気になっていたので、ボクの心には迷いが出ていた。この相手を「だましだましに寄せた方」が良いのか、「水深分を切るまでは、あくまでも強引気味に寄せた方」が良いのかの判断がつかなかったのだ。
 こんな時に頼りになるのが船長のアドバイスだ。この際もドラグの滑り具合と相手との距離を計算し、手取り足取りで的確な指示が飛んでいた。その甲斐あって船下まで何とか引き寄せに成功したが、そこから先も一進一退の展開で、かなりのやり取りがあった。そこを必死でしのぎ、どうにかハリスを手繰る間合いまで詰めたのだが、この時点で海中をのぞき込むとビックリ仰天!。これまでのやり取りからメーター・チョイのクラスを予想し、「ギリギリで自己記録の更新か?」と思っていたのだが、その予想を遙かに超えていたのだ。
 そこから先は「目の前で外れんといてくれ~。」と心中で祈るしかったが、無事にネットイン!。ハラハラドキドキでフィニッシュの瞬間を迎えた。
 ドサッという音と共に船内に取り込まれた魚体は偉容を誇り、9年前の前記録を15cmも越える”一生の記憶に残る”魚となった。

●118cm(拓寸)の大マサ!●



■続くヒラマサ■

 記録魚を釣った後は潮流の角度が変わり、ほどなく時合いが終わった。ヒラマサがうろつかなくなったせいで恐れを無くしたエサ盗り達の行動が活発になり、エサが盗られる一方になった。それでも何とか食わそうと発泡ウキの調整を繰り返し、ついには8番×2個+6番という高浮力な仕掛になっていた。そして、これにレギュラーサイズが久しぶりにアタッてきたが、後が続かない。
 以降も相変わらずエサばかりが盗られるので、今度は逆にオモリを装着することで手前側から仕掛を沈め、流す距離を短くする作戦に変更する。そしてこれにもアタリが出て80cm級をゲットするに至る。

●88cm!●

 それにしても、午前の時合いと違って、アタリが出るタナはバラバラなので、サシエサのチェックをしつつ、常に流すタナを変えて積極的にヒラマサの居場所を探し当てる必要があった。この時点での、このアプローチ方は、同じ仕掛に続いて釣れることが無かったことから「正解だった。」と言えるだろう。

●ポツポツながら曲がる竿●

 そして、そうやって探り当てたこの日最後のヒラマサは、納得のサイズだった。

●最後は98cm!●

 以後はウネリが大きくなったうえ、マキエサも無くなったために早上がりとなったが、”自己記録更新”に成功した身としては、文句を付ける気もなく、万事が無事に、この日の航海を終えるに至った。


■尽き果てぬ夢■

 当日を振り返ってみれば、前半のバラシを未だに悔やんでいる。
 冷静に考えてみると、あの魚は以前にこのブログで書いた「春の経ヶ岬(白石グリ)でメーター前後のヒラマサをハリス8号で獲る方法」と同じパターンで、しかも「先手を打って」攻めていれば良かったのだ。
 少し説明すると「相手との距離がある場合は、足下の水深分を切るまではドラグはキツ目で、道糸の伸びによるショック吸収を信じて強気で巻き上げ」、「水深分を切った以降は、道糸の距離も短くなっているため、少しドラグを緩めて相手を充分に弱らせる」、「さりとて走らせすぎると、沈み根に向かうため、勝負所ではサミング(親指でスプールを押さえること)、もしくはドラグを少し締めて走りを止める」、「船縁では、手で手繰っている最中の、急な走りに対応するため、リールのクラッチはオフ、スプールをサミングで押さえた状態で、いつでも糸が出せる状態で構えておく」といった流れだが、当日のボクはハリス12号という太さに過信し、後半に入っても強引に寄せようとしたために後手に回って、しっぺ返しを喰らったのだ。
 結果、我を失う場面があったのだが、もし、そのままであれば118cmは恐らく獲れていなかったであろう。上段でも触れたが、基本を思い起こさせてくれた船長に「感謝!感謝!」である。要はヒラマサの大小に合わせてハリスの太さが変わっているだけで、やり取りの基本や気構えは同じだということを胸に刻んでおくべきだったのだ。


 何しろ、今年の玄達は”130cm級の巨マサ来襲”という、嬉しい意味での異常事態となっている。”上には上があるモノ”で、ボクがゲットした“大マサ”クラスでは、ぬか喜びはしていられない状況なのだ。普通に行けば、ボクに残されたチャンスはあと1回なのだが、更なる大型を仕留める準備だけはできている。
 「かかって来んか~い!」

●左向きが全てヒラマサ●

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休刊日

2014-06-21 12:30:00 | 釣り一般
 先週はネタになる行動は特にしておらず、残念ながら今週は休刊日。

 明日は16日に解禁となった大型ヒラマサの聖地である、福井県沖玄達瀬への今年初の釣行日となる。果たして数年越しの悲願である、メーターオーバーゲットとなるか?。
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’14 渓流初釣行

2014-06-14 12:30:00 | 渓流&管理釣り場での釣り
■梅雨入りを待って■

 今年も春先からメダイとヒラマサに惑わされ、スタートが遅れてしまった渓流釣り。遅れたこの時期にスタートするのであれば、切っ掛けは「雪代が落ち着いた後の1回目の増水後」ということになるのだろうけど、5月に入って殆ど雨が降らず、そのまま梅雨入りとなってしまった。しかしその期待の梅雨入り後も太平洋側が局地的に降る傾向が強く、ボクが好きなヤマメが釣れる河川=日本海側に注ぐ河川にその影響は殆ど無い状態だった。
 今回の釣行先は、スケジュールの調整がつかず、減ってしまった渓流への釣行回数の中にあっても絶対に外せない河川である、いつもの久婦須川。自ずとここばっかりになっていることを許して欲しいが、この河川の水位計も渇水傾向となっており、行く前から厳しさを感じる状況だった。

 そして、現地に到着。夜明けを待って河原に降り立ったが、水位計で示された数値以上の渇水に驚かされた。

●好況時よりも20cm以上も減水した河原●

 そう言えば昨秋に、この川の水位計はリニューアルされたと聞いているが、もしかすると設置位置や設定が変わっているのかも知れない。恐らく、夏の渇水時を含めて今までで一番水の少ない状況下、「食い渋りとアタリの小ささ」を予測し、好場所では粘ることを念頭に置いて、この日の釣りをスタートさせた。

■食い渋るも、何とか■

 まずは早朝にエサを取りに出てくるはずの瀬の区間を攻めたが、やはり渇水の影響で多くは出ておらず、今期初渓魚である20cmほどのヤマメが1匹のみだった。しかも予想通り食いは渋く小アタリを何度か捉え損ねた末の1匹であった。

●20cmほどのヤマメ●

 「いつもなら素直に食うはず」と思うポイントを普通に攻めても反応は殆ど無い。しかし「居るならここに違いない。」という、信念?の下、エサのローテーションを繰り返して執拗に攻めていった。すると、ポツポツではあるが、アタリを捉える機会が増えるようになった。例えて言うのなら、入浴中にシャンプーが切れていることに気付いたが、今更風呂外に出るのも億劫な時に、「出尽くしたはずのシャンプーのボトルのポンプをシツコク押していると、1回分が出てきた」ような感覚?だ。

●25cm級の登場●

 しかし、前日にも、そしてそれ以前にも高確率で入渓者が居たであろうから、散々叩かれた後では当たり前の大場所ポイントではアタリは無く、全ては小場所での展開だ。
 そして、ギリギリではあるが、尺イワナも登場する。

●やせ気味だが、30cmチョイのイワナ●


■度重なる悪条件の中■

 2時間程が経ち、それまで曇っていた空が晴れ上がってくるという、最悪の状態になってきた。釣りの経験が浅いと、「快晴=絶好の釣り日和」となるのかも知れないが、渓流を始め、海でも沿岸部のような浅いところに棲む魚は「外敵から見れば、水中が見透し易くなる」ことを知っているため、警戒心が強くなって食いが悪くなる。

●明るくなった渓●

 従って、ここから先は更なる粘りが必要になった。しかも「何だか歩きにくい」と思っていたら、足下が…

●パカッ!●

 最悪の事態になっていた。
 しかし、歩くペースが落ちたことが、粘りに関しては貢献したのか?ポツポツながらも釣果は伸びていった。

●これまた25cm級●

 しかし捉えるアタリはずっと渋く、「何か変化を感じれば、即アワセ」と、「じっくり食い込むまでの送り込み」とを、と言っても分析してパターンを掴んだワケではなく、何となくだがその場で感じた「野生の勘」を頼りに使い分けながら攻めていった。
 上述したような状況が重なっていたため、ハリに掛けることができない魚も結構あって、その中にはヒラを返した姿から想像すると尺級ヤマメも居ただけにストレスが溜まる展開が続いた。
 だが、努力の甲斐はあった。チビチビと貯めていった釣果は意外と伸びており、脱渓点までに得た数はイワナを含めて20近くになっていたのだ。サイズはギリギリ尺のイワナの例外を除けば25cm止まりだが、小さい方も18cm以上あったため、そこそこ粒は揃っていたが、このことが逆に心配になった。と言うのも、例年ならウルサくつつく小ヤマメの姿が殆ど無かったからだ。もしかすると稚魚放流の時期がズレていただけなのかも知れないが、漁協の予算がカットされた影響であるのなら、来年以降の資源量にも関わるだけに、喜んでイイ結果ではない。

●脱渓時点では、25cm級止まり●

 一端の脱渓後は車ですぐに入れるところだけを様子伺いしながら下流へと向かったが、ふと橋の上から川を覗いていると気になる淵があった。そこで少し粘ってみると、何と当日最長寸のヤマメが登場し、それを機にこの日の釣りが終わった。

●最後にチョイ出しで釣れた28cm●


■梅雨後期に期待■

 当日は典型的な渇水による影響下で、それこそ胃の痛くなるような展開だった。しかし「手を変え、品を変え」という展開は、言わば、自分にしか出せない魚を釣った気分になる(気分だけで実際にそうなのかは疑問)ので、入れ食いでただただ数が釣れたという展開よりは好きな方だ。ただし、頼りにしている久婦須川では、資源量が減っているようにも思えるだけに今後が心配だ。
 ただし、1度増水して落ち着くとまた違った展開にもなるだろうから、今度はそのチャンスに賭けてみよう。夏場は雨の日が多そうな長期予報も出ていることから、これからチャンスも増えることだろう。釣行機会が減っているボクの渓流釣りだが、これから先にしばらく釣っていない尺オーバーのヤマメが出てくれれば幸いだ。
 と、その前に、靴底自体が外れたために修理不能かも知れないウェーディングシューズをどうにかしなければならないが…。
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幸か不幸か

2014-06-07 12:30:00 | 音楽
 齢50を迎えると、覚える(られる)ことよりも思い出すことの方が得意になっているような気がしないでもない。今年になって、特に昔を振り返り懐かしむ機会が増えており、何だか急に、いつものVドラム(電気仕掛け)ではなく、本物のドラム(生)が叩きたくなっていた。
 そんな中、「引っ張り出して、チョッと叩いてみるか」と意気込んではみたが、ボクの所有するドラムセットは、何しろ80年代前半の製品なので、メッキのサビ浮きを始めとする、腐食が進んで往時を見る影もない状態になっている。
 ならば、スネアドラムだけでもレストアしてみようと、メッキ磨きを片手にゴシゴシと磨き上げてみた。ツヤ具合は7割方回復させるのが限界だったが、新品のヘッドを装着してチューニングを施し、スタンドに乗せて叩いてみた。
 ボクのヘタなスティック・ワークでもイイ音かつ結構なヴォリュームで鳴ってくれるので、気持ちがイイ。それもそのはず、ボクのスネアドラムはPearl社の往年の名器”ジュピター・6 1/2インチ”であり、これはその昔、KISSのピーター・クリス等が愛用していたモデルなのだ。

 
●往年の名器”ジュピター”●


 スネアドラムでの練習は、ドラム練習の基礎。なので、基礎練習を30年振りに再開してみる。
 普段遊んでいるのはVドラムという、言わば電子楽器なので、そとは全く違う感触に驚くばかりだ。Vドラムがセンサーを操作する感覚が必要なのに対して、生ドラムは自分のパワー&スティックのコントロールでダイレクトに鳴らさなくてはならないため、違いは当然と言えば当然だ。
 まずはシングル(片手で1回ずつ打つ奏法)とダブルストローク(片手で2回ずつ打つ奏法)のコンビネーションあたりから手をつけたのだが、シングルは兎も角ダブルの方は、衰えた腕では2発目のボリュームが出ず、どうもウマくいかない。「何かイイ練習方法はないものか?」とyoutubeを検索すると、過去のボクには知りようが無かった、あらゆる練習法が画像でアップされていることに気付かされた。

 思い起こせばボクが中高生だった頃は、ドラム演奏を上達させるには有償でドラムレッスンを受けるか、さもなくばブラスバンド部などに入部するのが一番の方法だった。だが、ボクのような独学派は僅かな数の教則本の、付録のようなカセットテープを聴いてひたすら想像するしか方法がなく、練習法は実にいい加減な状態だった。そう言えば、ボクの周りのギターやベースを弾くメンバーの殆ども独学で練習をしていたが、ドラムと同様に当時は基礎となる練習法を教わる機会も少なかったので苦労をしていたことを記憶している。
 ついでに言えば、バンドメンバーとの間で演奏する曲目を決めようにも、バンド用の譜面集の数は少なく高価だったし、明らかに誤記をしている部分もあったので、殆どの場合、カセットテープを部分的に何回も「キュルキュル」と巻き戻し再生して一音一音を拾いながらコピーするという、努力を重ねていた。
 その点、現代は上述したように、youtubeを検索するだけで、一方通行とは言えドラムその他の講師のレッスンがタダで受けられるし、タブやコード譜の無料配信もかなりあるので、ボク達がやっていた苦労はしなくても済む場合が多いようだ。

 と言った次第で「今の人達は幸せだな~。」と言いたいところだが、簡単にそうとは言えない。何故ならボク達の世代は時間が掛かり苦労する分だけ、その他大勢から抜け出した先にライバルは少なかったハズであり、反面、今の世代は平均レベルが底上げされているために、そこから抜け出すのは至難の業だと思うからだ。また、始めから多くの答えが出揃っている分だけオリジナリティーを持ったスタイルになるのは、想像力に頼るしかない部分が多かったボクらの世代よりも苦労が多いようにも思える。

 「内向きで守りに入る若者世代」と簡単に批判する人がいるが、出尽くした感のある中で光る存在になることの難しさは、今回の音楽の例を見ても納得できるし、他に思い当たるフシも相当数あるから、一様に責めることは難しい。以前ならボクも責める側であったが、歳を重ねたせいか観点が変わって「情報過多の現代が便利であることには間違いないが、ある意味では不幸だ。」と、思うようになった今日この頃なのである。

 で、肝心のドラム練習の方はと言うと、そもそもの腕前自体が大したことがないうえに、練習をしたところで30年以上前の出来になるはずもない。だから、ただのボケ防止と言ったところだ。
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