中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

印南の乗合船

2011-10-29 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■中途半端なこの時期に■

 ボクが近年凝っている渓流釣りは9月一杯で漁期が終わり、来年3月頃までの禁漁期間に入っている。
 そこで海に向かうのだが、「実りの秋」とは言うけれども、例えば磯釣りの多くのポイントではまだ水温が高く、水中はエサとりの雑魚達が支配しており、良型のグレを狙うには望み薄だ。だからボクの場合、この時期は、落ちのシーズンに入ったマダイと、回遊を始めるメジロ(ブリの若魚=70cm前後のサイズ)を狙って沖釣りの船に乗ることが多くなる。
 昨年の同時期は福井県の鷹巣沖に釣行していたのだが、今年はマダイが好調ではあるものの、まだメジロの回遊量がまだ少ない。「マダイだけならもっと近いところでも…。」と思い立ったのが、和歌山県の印南沖への釣行だった。
 和歌山県印南は乗合船の基地として関西の沖釣りファンに名を知られているが、ここの釣り船は、イサギをメインに釣らせるところと、マダイをメインに釣らせるところに2分されている。勿論「引きの強い魚が大好き」で「人混みの嫌いな」ボクは、マダイ狙いだ。(イサギ釣りは人を多く乗せる)
 各ホームページを覗いてみると、好成績を持続しているのが、今回お世話になった「せいゆう丸」さん(http://seiyuumaru.com/)だった。釣行時の釣況は、中~小型のマダイがメインだが、稀に大型が出るというもので、更にはイサギのおまけ付きといった感じだった。


■6番目■


 出船当日は凪だったので客数が多かったために2船体勢で、せいゆう丸さんは出港した。ここでの「席順」は予約順となっている。かなり遅めに予約を入れてしまった関係上、船中7人中の6番目となり、舳先側左舷の釣り座になってしまった。
 オキアミを撒いて釣る釣りの場合、マキエサが流れて行く方向である「トモ(=船尾側)」が有利な釣り座となるが、致し方ない。後は不利な舳先側でどう対処して成績を上げるかだ。

●船上の釣り人は7人●


■天秤ズボ■

 ここでのマダイ釣りは「天秤ズボ」という釣りスタイルで狙うことが多い。仕掛は全長6mの2本バリで使用ハリスが5~6号といったあたりが標準的なモノだが、潮流が早い際にはトモの釣り座であれば、もう少し全長を伸ばすことも可能だ。しかし、それ以外の釣り座は長い仕掛だと、どうしてもお隣と絡み易くなってしまうから、6mという全長が推奨されている。従って、この日のボクも当然ながら全長6mの仕掛を使った。
 道糸と仕掛の間には天秤と、ハリス切れ防止用のクッションゴムが入る。使用するオモリは100号前後と重いが、これも隣との絡み防止のためには仕方のない選択だ。
 天秤の下に装着する、マキエサを入れるためのカゴは、プラスチック製の出方が調整できる物を使用したが、これは自分より潮下の人達が使用するカゴを見てセレクトした。つまりは潮下の人達が使っているカゴが一気に出そうなタイプであったために、同じタイプのカゴを使うと、マキエサが潮下方向にドンドン流れていってしまい、潮上の不利が解消できそうにないと思ったからだ。
 流れ出るマキエサにつられて一旦潮下に向かったマダイ達が、マキエサを食い尽くして船下に戻って来た頃に、更に潮上側の放出量を調整したプラスチック・カゴからマキエサがポロポロとこぼれ落ちてくるというイメージがボクの作戦だ。
 勿論、実際の海中ではそんなにウマくはいかないのかも知れないが、こういうことを想像し、イメージを膨らませることは、人より勝る釣果を得たい人にとっては大切なことなのだ。

●竿は食い込みの良い、胴調子の竿を使用する●


 船長の指定棚の3m下でマキエサを軽く降り出した後に3m巻き上げてタナとりが完了する。そして竿は竿受けにセットして、船の揺れに任せてみる。
 ここから先はアタリが竿に出ないままに、ハリに刺したエサだけが取られた場合は、タナを3mずつ上げてゆき、逆にエサが残った場合はタナを3m下げてゆくことでタナ調整を繰り返す。
 何度かの調整の後、胴調子の竿が一気に絞り込まれる。引き自体は大したことはなかったが、貴重な一匹をゲットする。狙い通りの、しかも船中で最初の一匹だった。

●40cm程のマダイ●

 しばらく間隔が空くが、ポツリポツリとアタリを拾って、数を増やしてゆく。

●小型だが、ダブルゲットもあり●



■不利さは克服できず■

 その後も順調に釣果を伸ばしてゆく。船全体でアタる状況は同じように思えたが、開始後2時間も経つと、ピタリと止まった。そこで小移動。ここでもポツポツとマダイをゲットする。

●45cm級●


 しかし、なかなか大型は釣れてはくれず、この日の最大魚も大したことはなかった。

●この日最大魚の40cm台後半●

 2度目の移動先は水深が90m程の深場で、ここではイサギも結構アタってくる。
 釣果の堅いイサギのポイントに移動するのは、恐らくここまでで釣果の少ない人に対して、「お土産確保」をするためのようである。これも乗合船ならではの船頭の計らいだ。
 しかし、結局移動先でも大型マダイは確保できずにこの日の釣りが終わった。

 港に戻った後に確認してみると、トモの釣り座に居た2人がそれぞれ数的にはボクとほぼ同数で、その中には60cm近いサイズが何枚か混じっていた。「いつの間に?」といった感じの釣果だったが、自分では善戦していたように思えても、やはり上には上が居た。釣り座の不利さは克服できず、ボクの腕も足りなかったようだが、それでも充実した6時間を過ごせて何となく幸せな気分だった。

●ボクの釣果。これだけあれば、夕食は”お魚づくし”だ。●


■お手軽だが、奥は深い■

 ボクの自宅のある西宮市内からだと、1時間半ほどで着いてしまう距離だから、出船当日朝の3時に目覚めても出船時間には充分間に合う。大阪市内辺りからだと更に近く、1時間強というあっけない距離にある。しかも、高速の印南出口を出た後は一般道を走って5分とかからない距離に出港地があるのだ。
 チョイッと出掛けて、6時間ほど釣りを楽しみ、うまく行けばその日の夕食時に獲れたての刺身やその他の魚料理が味わえる。これが格別にウレシい。

 若い時は「船釣りなんて、釣果を得る要素の半分以上が船頭の腕だ。」とばかりに、やや安直な釣りと捉えていたが、人よりも大きい魚や数多くを釣りたければ発想力を始めとする「知識」や「自分の腕」も必要になることが理解でき、近頃では結構楽しんでいる。
 これもまたオッサンになった証拠なのだろうが、暮れの忙しくなる前に何度か通いたくなる印南のマダイ釣りだった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の長野旅行 ~その2

2011-10-22 12:30:00 | 旅行
■念願だったうずら家■

 雨が強まる中、戸隠キャンプ場のコテージで一泊した翌朝は、開店と同時にそば屋の「うずら家」に向かう。
 ご存じの人も多いとは思うが、ここ「うずら家」は、戸隠神社・中社の門前にある超人気そば店だ。ボクたち家族は、これまで何度もこの店を訪れていたのだが、都合で日曜祝日の訪問しかできなかったためか、その度に2時間以上の”待ち”のために挫折してばかりで、結局入れず仕舞いの状況が続いていた。
 しかし、今回は平日、それも雨降りの開店直後ということで、待ち時間ゼロで入店することができた。ただし、この時点で駐車場は既に満車の状態だったことから人気の程がうかがえる。

●うずら家●

 入店後はモチロン、ざるそばを注文する。

●手前が、ざるそば”大盛”(奥は普通盛)●

 その味は評判通りのモノで、季節的に新蕎麦が出る間際の一番不利な状況(=挽いてから時間の経ったそば粉)でありながら、風味、のど越し共ハイレベルであり、これまでボクが食してきた、数々のそばの中でも最上位にランク付けできる味だった。

 面白いのは、こだわりの本わさびだ。おろし金を使って自分でおろすのは良くあることだが、ここでは手順があって、まずおろし金の上に薄く砂糖を乗せた後に、わさびを摺り下ろし、つゆに溶くのではなくて、麺に乗せて食べる方法を推奨している。試しにダイレクトに摺り下ろす方法と比較してみたが、推奨パターンの方が、渋みがとれてまろやかになり、味に深みが増すことが確認できた。

●こだわりの本わさび●

 うずら家を出た後は、所用のある長野市内に立ち寄ったうえで、そこから更に北上する。


■サンクゼール■

 ジャムやパスタソースなどを販売するショップを全国のショッピングモールなどに展開する「サンクゼール」。その拠点が長野市の北東、飯綱町芋川にある。ここも社長が長野に移住して成功した会社の一つということだ。
 社史を覗いてみると…。

 東京でパスタソースなどの食材を販売する外食産業専門商社の子息が、長野のペンション群を営業で廻るうちに、この地の魅力に取り憑かれ、やがて親から独立してペンション経営に乗り出すところからこの会社がスタートする。過酷なペンション経営の最中、朝食で出していた奥様手作りのジャムが大好評になったことから転業し、それが、発展したのが今のサンクゼールなのだそうだ。
 企業の成長の裏には苦労話があるようだが、今では丘が丸ごとぶどう園とワイナリー、レストランやチャペルといった施設が集まった「サンクゼールの丘」として開発されている。
 施設の全てが統一イメージで開発され、(行ったことはないが)まるで、フランスの片田舎にでも迷い込んだ気分になる。

●サンクゼールの丘・レストラン棟●

●サンクゼールの丘・チャペル●

●サンクゼールの丘・ワイナリー入口●

 当然、全国に展開する店舗の「総本山」なので、ここの売店で販売される商品はショールームのようなイメージで陳列されている。そして、ジャムやパスタ・ソースといった主力商品は、ほぼ全種類で試食可能になっている。

●数々のジャム●

●数々のパスタ・ソース●

 当日はツアーに参加しなかったが、農場やワイナリーの見学も可能だ。

●自社及び協力ワイナリー製のワイン●

 何点か購入した後は、休憩に付設のデリカテッセンで軽い食事をする。

●喫茶~軽食まで、ここでOK●

●自家製ソーセージの盛り合わせ●

●雨で中庭探訪は断念する。●

 ソーセージの味も絶品で、文句のつけようがない。

 このサンクゼールが今回の長野旅行の終着点。長野県内で充実の時間を過ごした後は帰途に就く。
 そして現実社会が待っている、兵庫県西宮市に向かってひた走るのであった。


■ボクにはとても…■

 長野に魅力を感じ、移住を決意してここに来た人は数多く居る。そんな人達が興す事業=レストランや宿等は、その地で生まれ育った地元の人が感じるものとは違った、言わば「よそ者から見た長野イメージ」で出来ていることが多い。その点ではボクのような「長野が大好きなよそ者」との価値観が合うことが多いから、自ずとそんなところに惹き付けられる。
 文中でも触れたが、今回訪れた「美麻珈琲」や「サンクゼール」も、そんな、いわゆるIターン組の人達によってつくられた、ボクにとっては魅力はタップリの施設だった。

 高原の広大な土地の上にポツンと一件だけ、それも客単価の低い珈琲店が営業できたり、逆に一大拠点としての、丘の斜面丸ごとの開発は、今回訪れた長野の高原地帯のような土地単価が低いところでしか成し得ないことだとは思うが、いくら土地代が安いといっても大きな資金が必要なことは確かだ。
 その資金を生み出すことを始め、そこでの経営を軌道に乗せることは、当然、経営センスに長けた人でないと難しい事業だ。
 そんな資金やセンスも無い一般人のボクとしては、到底そんな事業を興せるハズはないから、成功者が実現した夢の施設を訪問し、見て触れて夢の一部をお裾分けをしてもらうしかないのが現実だ。だからボクにとっては、この先もずっと、いつになっても手の届かない、「憧れの長野」のままであることは間違いなさそうだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋の長野旅行 ~その1

2011-10-15 12:30:00 | 旅行
■大好きな長野■

 以前に、このブログでも触れた、我が家の「長野好き」は相変わらずであり、今でも年に3~4回は、この地を旅行などで訪問している。
 その尽きない魅力は、街~郊外~2000m超の山とが、カラーリングで言えばグラデーションをつけたような繋がりで違和感なくリンクし、それらがハッキリと区別できる四季の中で表情を変えてゆくこと、そしてそこで育まれた幸に恵まれていることなど、ボク的には色々とある。
 そんな長野に、またもや旅する我ら夫婦であった…。


■安曇野のパン屋さん■

 2011年春からNHKで放送されていたドラマ「おひさま」の舞台になった安曇野。この近辺は豊富な湧水を利用したわさび園を始めとして、見るべきスポットも多い。

●安曇野近辺の秋風景●

 今回は宿泊地がキャンプ場のコテージなので、まずは翌朝の朝食分のパンを買いに辺りをウロつく。途中で買ったガイドブックを手がかりに立ち寄ったのが、「あづみ野の朝」というパン屋さんだった。

●あづみ野の朝●

 車を駐車場に止めている最中に気付いたのだが、目前にガラス細工で有名な「安曇野アートヒルズミュージアム」があった。町全体が統一された感のあるイメージが流れているので、ガラス・ミュージアムの前にパン屋さんがあっても全く違和感がないところが安曇野らしいところだ。
 中に入ってパンを選んでいる最中に客がドンドン来店する。どうやらここは人気店らしく、”売り”は、パンと共に食べるスープだそうだ。

●店内に並ぶパン●

 ボクらは翌朝にここのパンを食べたワケだが、その味は時間が経っているにもかかわらず、かなりイケる味だった。しかもその上そんなに価格が高くないところがウレシい。
 しかし、人気があるパン屋さんが、週に4日=金~月曜しか営業していない。そんなところも安曇野らしいところだ。


■美麻珈琲■

 安曇野を北に抜け、大町の市街地を過ぎた先に仁科三湖(青木湖、中綱湖、木崎湖)という湖がある。そこから東に向かった中山高原というところに「美麻珈琲(みあさコーヒー)」という珈琲店がある。ここは今回の旅行中、訪問先のメインとして、事前にチェックを入れていたところだ。

●中山高原にある美麻珈琲●

 ここの珈琲は「うまい」と評判が高く、併売されるケーキ類も絶品と賞賛されている。それもそのハズで、この店は僕が住む兵庫県西宮市の隣にある、三田市というところを拠点に展開する「サント・アン」という有名洋菓子店のオーナーが経営しているからだ。
 なんでも、このオーナーの若い頃の夢が、信州での田舎暮らしであったそうだ。
 20歳代からケーキ修行に明け暮れ、30歳代で独立したオーナーが、3人の子供達をこの地へ山村留学に送り出したことが縁となって、50歳代になった数年前に、念願の珈琲店をこの美麻の地でオープンさせたそうだ。

●厨房の様子●

 ここの建築構造は「ストロー・ベイル・ハウス」(藁の家)という構造だそうだ。これは芯材に藁束を使い、それを漆喰で固めたもので、保温性が高くなっているそうだが、その白い外観とデコボコ感が何とも良い味を醸し出しており、正に「お菓子の家」のようだ。

●自宅用に購入したイタリアン・ブレンド●

 店内のテラス部分でボクは美麻ブレンド、妻はイタリアン・ブレンドを飲む。
 ここのように自然風景にウマく溶け込んだ喫茶店と言えば、北海道・富良野旅行の際に訪れた、倉本聰氏プロデュースの喫茶店「森の時計」もそうだが、その店内に掲げてある倉本聰氏直筆の書「森の時計はゆっくり時を刻む」の如く、こういったタイプの喫茶店では、ゆったりとした時間が流れている。その流れの中で「こだわり」の香り高い珈琲と共に過ごす時間は、極上である。よって、ワザワザ珈琲だけを飲みに訪れる価値があるのだ。


■中山高原キャンプ場■

 この美麻地区を訪れた理由はもう一つある。バイク・ツーリストなどのワイルド系キャンパーがよく参考にしている「オレら流キャンプ術」(http://www.oreraryu.com/)というサイトがあるのだが、その中で知ったのが「中山高原キャンプ場」というところだった。
 それが美麻珈琲の近くにあると聞いて、今後のキャンンプのための下見をしようと考えていたのだが、美麻珈琲に行ってみるとビックリ!。何と同じ敷地内にあったのだ。

 平地が少ない区画無しのサイトに設備は水場とポットン便所のみということなので、軟弱キャンパーが来ない条件が揃っているのから、サイトでの紹介では穴場のキャンプ場ということになっている。

●キャンプサイトの様子●

●水場の様子●

 事実その通りのキャンプ場だと思うが、美麻珈琲と、それに加えて横に並ぶ同系列経営の美麻キッチンというオシャレなレストランとの前景として広がる草原に、シーズンになるとテントが並ぶ姿は不似合いだと思うし、逆に高原の静かなキャンプ場として考えると、テントやタープ以外に不似合いな建物はない方がイイ。何となくその点がお互いにプラスになっていないような気がするのだが…。
 お茶を飲んだ後に散歩をしながら「両雄並び立たず」とは、このことを指すのではないか?と思っていた。だとすれば、今後どちらかが淘汰されてしまうのだろうか?。もしそうなるのであれば、単体であればどちらも雰囲気がイイだけに勿体ない話だ。

 ~その2へ続く
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今期最終釣行

2011-10-08 12:30:00 | 渓流&管理釣り場での釣り
■久婦須川での再挑戦■

 日本列島に多大な被害をもたらした台風15号。多くの河川でもその影響をまともに受けており、今シーズンはおろか、来シーズンにかけても多大な影響を及ぼしそうな気配だ。
 今期最終の釣行は、前回にボクが大バラシをやらかしてしまった久婦須川に行って再挑戦を図ろうと思っていたのだが、ここでも一時は水位が1.6m近くにまで増水し、「どうなることやら。」と心配していた。何とかそれが禁漁日までの間に落ち着くことを願っていたのだが、最終の日曜日が目前に迫る頃、ようやく下がる気配が見え始めた。
 とは言っても、釣行予定日の前日にはボクがベストだと思う水位から20cmも高い状況だった。しかし、もう時間は無い。そこで「たとえピンポイントになったとしても、釣りが可能な部分だけでもやってみよう。」と、決行することにしたのだが…。


■冷え込む朝■

 前回の釣行時は残暑の中の釣行であり、夏の虫が支配する渓では、日中は蝉時雨が鳴り響き、いつも恐怖に感じているオロロ(吸血性のアブ)が大量と言わないまでも、まだかなりの数がまとわりつくような状況だった。それが僅か2週間後の、台風一過の渓は一転して秋の虫の音で埋め尽くされるまでに季節は進んでいた。

●明け方、外気温は13度を指していた●


 周囲が薄明るくなる中、太陽と競争しながら準備を進めるが、夏の軽装ではブルッとふるえが来るような冷え込みだ。適水温の低い渓魚にとって夏の照り込みは活性を下げる要因になるが、この日の状況であればそんな心配は無さそうだ。
 ただし、気になることが…。それは渓に響く水流音が大きいことだ。その音は重みと厚みを持った「ゴーッ!」という音であり、水量の多さをうかがい知るには充分な音質であった。

●三日月が山に入り、太陽と交代する●



■水位が高い!■

 準備が整ったところで、河原に向かうが、やはり水位が高い。普段ならポイントになりそうなところも水勢のために潰れており、過去にイイ思いをしたポイント群での経験は役立ちそうになかった。

●実感では前回よりも30cm近く水位が高い●

 ただし、救いはある。それは濁りが減って、水質的には回復に向かいつつあることだ。だから、この日は「キツイ流れの中から逃れた魚が、何処にいるのか?」ということを考えれば答えが出せそうだあった。

 しかし、条件の整うポイントの数は限られていた。それでも何とか探し出して仕掛を投入すると、幸いなことに、そんなところに魚が溜まっているのか、1箇所でのアタリは多く拾える。そして簡単に「つ抜け(一つ、二つといった「つ」の付く数ではない=2ケタの意)」に成功する。
 嬉しいことに、この日は泳ぎの下手な小さな型のヤマメ達は水勢に流されたのか、ほとんどアタらず、20cm以上の、この時期としてはマズマズの型ばかりだった。
 

■消えたポイント■

 そうこうする内に、前回大きな渓魚をバラした区間に差し掛かる。しかし、その光景は無惨なモノだった。まるで上から覆い被さるかの如く流れが押し寄せて、ポイントの呈を成していない。試しに仕掛を流してみるが、オモリの重さを換えようが、立ち位置を変えようがどうにもならず、手の打ちようがなかった。

●写真で見る以上に水勢は強い●


 「どうせ同じところに居るはずはなかった」と自分で自分を言い聞かせつつ、更に釣り上がる。
 居るところと居ないところがハッキリとしているので、釣り方が単調になるが、前回に失敗しているだけに油断はならない。
 20cmクラスの引きにやや飽きつつも、何とか途中の淵と岩陰でこの日の1、2位のヤマメを獲ることに成功するが、堰堤下を含めて入るポイントが無くなってしまい、この日の釣りがあっさりと終わってしまった。結局期待の尺オーバーのヤマメは出ずじまいだった。

●この日2位のヤマメ=25cm●

●この日1位のヤマメ=28cm●


■今シーズンを終えて■

 10月1日をもって、ほとんどの河川では禁漁日を迎えた。そしてこの日の釣りで、今シーズンのボクの渓流釣りが終わった。
 振り返ってみると、尺オーバーはヤマメ、イワナがギリギリの条件だが、各1,それに準ずるサイズが数匹という結果だった。例年、初期にメインとして釣っている高原川が絶不調だったことを考えれば、ソコソコの結果だとは思うが、最終局面に入っての大バラシがかなり痛かった。
 獲れなかった原因は何となく解っている。それは、ついアタリ欲しさのスケベ根性が出て通年で同じタイプの仕掛と竿を使っていたことだ。
 例年、秋口になると、生き残った大型と、活発にエサをとる小型に二分化される傾向があることは判っていたハズだ。だったら、どうせ釣ってもツマラナイ小型は相手にせず、たとえアタリの数が少なくなっても大型を獲るためには、「食う」と信じてそれに対応した強い竿と強い仕掛を使用するべきだったのだ。
 通常だと、渓流竿は年末を前にして新製品の発表があるので、それを踏まえ、今年のオフは十分に吟味して対大型用の竿を追加する予定だ。そのためには、今から懐具合を改善しておかなくては…。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

渇水の久婦須川

2011-10-01 12:30:00 | 渓流&管理釣り場での釣り
■水位計■

 最終局面を迎えた’11シーズンの渓流釣り。ボク自身は一度木曽川本流に向かったものの、大増水のために18cm級が2匹という貧果に終わることを経験し、残り時間から考えると、ほとんど後がない状態になっていた。
 しかも、頼みの岐阜県北部では既に10日以降に禁漁を迎えていた。残るところボクの実績からいって「久婦須川」しか思い浮かばず、釣行チャンスをうかがっていたのだが、日頃から頼りにしている「国土交通省 川の防災情報」内の、久婦須川の水位計が、釣行前の1ヶ月以上の間で0.89mで固定されていた。
 何だか様子が変なので、H.P.上に載っている管理者である「富山土木センター」に問い合わせてみた。
 すると、係の方がチェックに向かうとのこと。そして、調査した結果をワザワザ電話で報告して下さることになった。そして2日後、「故障していたので直した。」との連絡をいただいた。
 それから釣行日までの間は、動き始めた水位計とのにらめっこが始まったのだが、釣行予定日までに何とか増水してくれないかとの願いは虚しくも届かずに時間切れし、更にはぶり返す残暑の中という、いわゆる「望み薄」の状況下での出発となった。しかし、この「望み薄」という思い込みが後々悲劇?をもたらすのであった…。

●まだ日中の気温は高かったが、付近の里では実りの秋を迎えつつある●
 

■入渓点■

 入渓点についてはもうアレコレ迷っているヒマはなかった。「いつもメインにしている場所から…。」と考えていたが、今回はパターンを変えて、とりあえず、大場所である堰堤付近を一通り攻略してから、一度退渓して下流に移動、その後は再び釣り上がるパターンで攻めることにした。
 まずは堰堤付近から…。

●朝靄に煙る堰堤付近●

 やはり、水位が低い。当日の天気予報では、昼過ぎから曇り始め、夕刻から一時雨が降る予報だったので、晴天の悪影響は受け難いものと考えていた。しかし、霞が消えた後はド・ピーカンの気配が漂っていた。
 「時合いは谷に日が差し込むまでか…。」との予想の下、徐々に釣り上がってゆく。
 しかし、晴天続きで連日のように責め立てられているのか、有望そうなポイントでは小型しか出てこない。

●好ポイントなのだが…●

●出るのは17cm級●

 そして、何も得ないまま堰堤直下に差し掛かる。

●水勢が無く、堰堤直下の流れは緩い●


 「先に押さえる」という意味もあって最初に入ってみた堰堤下は、狙いに反して結果は惨敗であった。そして得るモノはほとんど無いままに一度目の退渓を決意した。

●トホホな15cm級●


■いつもの区間へ■

 少し下って、いつもの区間から入渓し直す。しかし、盛りを過ぎたとはいえ、夏の一部であることは変わらず、入渓点へと続く踏み跡は生い茂る草木で覆い隠されていた。したがって完全藪こぎ状態で入らねばならず、「暑さ」と「草いきれ」でギブアップしそうになりながらも、何とか河原に降り立つことが出来たが、そこには夏同様の日差しが渓に向かって容赦なく差し込んでいた。
 竿を振り始めるが、予測通りの食い渋りに遭う。ここぞという箇所で何度もシツコク粘るといくらかアタってくるが、全てが小型からのものだった。

●15cm級…●


■エサの傾向■

 当日は4種類のエサを使い分けていた。いわゆる市販エサの「ミミズ(キヂ)」、「ブドウ虫」と、川虫の「ヒラタ」と「クロカワムシ」だったが、全ての場面において「この日基準の」良型がアタるのは、「秋の大型」を見込んで持ち込んでいた太いタイプのミミズ(キヂ)だった。ただし、エサの太さとハリ掛かりを考慮して、ミミズ通しを使ってキッチリと装餌することを心掛けていた。
 次いで、成績が良かったのがブドウ虫だったが、ヒラタに関しては、アタリの数が段違いに増えるものの、ほとんどが小型と、ウグイなどの外道だった。ヒラタはワザワザ遠回りまでして岐阜県の郡上で仕入れてきただけに、この結果に無念さが残る。

●ヒラタ●

●ミミズ(キヂ)●

●ブドウ虫●


■この日の最大魚■

 瀬からの流れが収束するポイントで、それらしき良型魚のアタリがあったものの、アワせた瞬間に、アッという間に仕掛が高切れして逃してしまった。
 何となく、気配が残っているような気がしたので、そのポイントで粘ろうかと思ったが、ここで大失敗に気付く。この日メインで使っていたミミズの予備パックを車内のクーラーに置き忘れていたのだ。
 えさ箱を覗いてみると、ミミズの数は残り7本。残りポイントの数から逆算すると、ギリギリの数だった。そこで、1箇所であまり粘らず、ここぞという要所のみでミミズを使ってアタリを拾っていく「一撃必殺」の作戦をとることにした。
 そして、次なるポイントは日陰になった淵に滝が流れ込むというロケーションだった。
 「絶対に居るはずだ。」との予想の下、色々と手を変えて流してみたが、アタリが出ない。ここで、「流れてくるエサ」に反応しないのなら、「ほとんど動かないエサだったらどうだろう?」という疑問が湧いてきた。「だったら…」とばかりに仕掛を回収する。そして0.5号を二つハリから60cmほど離して打った超ヘビーな仕掛に変えて流れの底をズルズルとブレーキを掛けながら流してみることにした。

●この下には絶対に居るはずだ…。●


 幸い底質は砂混じりだったので、根掛かりは少なそうだった。何投目かのズルズルで「フッ」と竿先にかかっていた重みが軽くなり、抜けたような感触になった。「アタリかな?」と思った瞬間に反射的に手首が返る。
 「ズンッ!」と竿に乗った感触はこの日、これまでで一番のものだが、超大型ではないことも同時に理解ができた。
 半ばこのクラスを諦めていただけに、じっくりと引き味を充分に楽しむ。そして無事玉網の中に誘導できたのは、良型と言っても良いサイズのヤマメだった。

●♀ヤマメの28cm●


■フライ・インジケーター■

 次なる区間は左岸に樹木が茂るポイント群だ。この区間は本来手前の底石の周囲もポイントなのだが、この日は全くの無反応。どうやら渓魚達は日差しを恐れて樹木の覆い被さる部分のエグレに入り込んで、出てこない様子であった。

●枝の下や、岸のエグレの影に渓魚は居る●

 事前にそのことは予測済みだったので、今回はその対策にある小物を用意していた。その名を「フライ・インジケーター」という。
 コレはフライで釣る際に、どうしてもアタリが見にくい場合に目印とする、言わばウキのようなものだ。様々なタイプがあるらしいが、ボクが選んだのは粘土のように自在に形が変わり、どんな位置にでも装着できるタイプだ。

●「フライ・インジケーター」のパッケージ●

●「フライ・インジケーター」を装着した様子●

 大豆が三粒ほどの大きさで、ガン玉G4程度の浮力があったので、G4のオモリをハリ上40cmのところに打ち、あらかじめ、水深を予想してウキ下を決定する。その仕掛を対岸ギリギリに投入してみると、普通の脈釣り仕掛ならオモリの重みで手前に寄ってくるところだが、インジケーター仕掛だとキレイに対岸の流れの際をトレースしてくれる。と、思ったらすぐにアタリがあって、この日ではソコソコの渓魚が連続ゲットできた。

●22cmのヤマメ●

●23cmのイワナ●

●22cmのヤマメ●

 渓流釣りの諸先輩方からは「邪道だ!」と叱られてしまいそうだが、「釣れないより釣れた方が楽しいのは間違いのないところなので、その点はご理解のほどを。


■諦めきれずに…■

 インジケーターの釣りを試した後、少し釣り上がると、そう時間が掛からないうちに、朝一に入った堰堤が見渡せる位置まで到達した。それとほぼ同じタイミングで、ミミズの餌が尽きたので「このまま脱渓しようか?」とも思ったが、ちょっと気になる部分があった。良型らしき魚を高切れでバラした瀬から落ち込むポイントのことだ。幸いブドウ虫が10粒ほど残っていた。
 「あそこで、このエサを使い切ったら今日の釣りを終えよう。」と思い、そのポイントに戻って攻め直すことにした。

 まずは瀬の上部の石裏にある流れの影を狙ってみる。先程は残り少ないミミズのせいであまり時間が掛けられなかったが、じっくり攻め直してみると自分自身で竿抜けをつくっているようだ。そんな数カ所の小さなスポットで小型ながらヤマメを数匹ゲットすることができた。
 残るブドウ虫は4粒。少し小さいので、2粒刺して小さな瀬脇に投入した。コレに反応があって、良型が掛かるが、一気に瀬を下られてハリ上から仕掛が飛んでしまった。

 唖然とする中、しばらく立ちすくんでいたが、残ったエサを2つハリに刺すと、エサを使い切ることになる。だから、このエサがハリから落ちたら辞めようと思いつつ、ハリを結び直して、今度は1時間ほど前にミミズエサで高切れをさせてバラしたのと全く同じスポット=この区間では本命だと思われる部分そのものに投入を再開する。
 一投目から数頭目にかけて何も起こらず、エサが着いたままの状態で手元に返ってくるが、諦めずに仕掛を打ち返す。
 だが、この区間では渓魚をバラしてばかりだし、昼の日中、それもド・ピーカンの中、「まさか、もうイイ魚は残っていないだろう」と、高を括っていたし、ほぼ諦めていた。しかし、そんな時に限ってトンでもないことが起こるものだ。
 バラしてから何分経ったであろうか、流れの中に仕掛が馴染み、動きが落ち着いたかに見えた目印が視界から一瞬にして消え、それと同時に「ズドンッ!」という衝撃がボクの持つ竿を襲った。

 何とか足場を固めてその場で踏ん張ってみる。すると、根本から悲鳴を上げつつ曲がっている竿の反発力に負けたのか、相手は表層まで浮かび上がり、背中で水面を切るかのように飛び出して一旦は上流方向へと泳ぎ始めた。
 「獲れるかも?」と思ったその瞬間、今までに見たこともない魚影が目に飛び込んできた。それは今まで見た秋色の♂渓魚のどれよりも茶色く、鼻は遡上する鮭のように曲がっていた。しかも目測で軽く40cmは超えている。

 はっきり言ってその姿を見てビビってしまった。仕掛の太さは0.3号だから、その場で止まってタメ切れる相手でないことは、この時点で理解できた。しかも、一度切られて1mほど短くなった仕掛である。だから無理は全くきかない。
 辺りのロケーションは魚の居る位置のすぐ上流に1段上がって幅の広い瀬がある。逆の下流側は一旦流れが集まった後に岩の間から吹き出す早い瀬を創り出している。すなわちワザワザ泳ぎにくい上流に向かってくれることはないし、「下流に走られれば地獄」が待っており、安全圏は今魚が定位している前後の3mほどの間にしかない。

 「こうなりゃ、魚に自分から近付くしかない。」とばかりに、竿を上流に倒したままで接近してゆくが、その瞬間に、こちらの作戦に気付いたかの如く魚は反転して猛ダッシュを開始し、岩の間を抜けて下流側の瀬に入り込んでゆく。こうなると滑る底石の上をボクが下流に向かって走るしかないのだが、動こうにも魚の動きにはとうていついて行けず、竿の確度を保てなかった。
 「万事休す。」次の瞬間、竿先が跳ね上がった。竿からは、もう生命感が伝わってこない。それと共にボクの生命感も抜けたかのように「ふぬけ」となった。「茫然自失」とはこのことである。

 結局、その後は後悔の中、トボトボと重い足取りで退渓するのみであった。


■禁漁期が迫る中…■

 あの渓魚は見た目では大型の♂ヤマメに見えたが、一瞬だったので確証はない。もしかすると出足のスピードが遅かったので大イワナだったのかも?…。それを確かめに「再挑戦!」といきたいところだが、悪いことに禁漁までの残り少ない時間に、台風15号が北上していた。その影響を考慮すれば、チャンスは極僅かしかないようだ。しかしそれよりも、あの渓魚が待っててくれることが先決なのだが…。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする