■中途半端なこの時期に■
ボクが近年凝っている渓流釣りは9月一杯で漁期が終わり、来年3月頃までの禁漁期間に入っている。
そこで海に向かうのだが、「実りの秋」とは言うけれども、例えば磯釣りの多くのポイントではまだ水温が高く、水中はエサとりの雑魚達が支配しており、良型のグレを狙うには望み薄だ。だからボクの場合、この時期は、落ちのシーズンに入ったマダイと、回遊を始めるメジロ(ブリの若魚=70cm前後のサイズ)を狙って沖釣りの船に乗ることが多くなる。
昨年の同時期は福井県の鷹巣沖に釣行していたのだが、今年はマダイが好調ではあるものの、まだメジロの回遊量がまだ少ない。「マダイだけならもっと近いところでも…。」と思い立ったのが、和歌山県の印南沖への釣行だった。
和歌山県印南は乗合船の基地として関西の沖釣りファンに名を知られているが、ここの釣り船は、イサギをメインに釣らせるところと、マダイをメインに釣らせるところに2分されている。勿論「引きの強い魚が大好き」で「人混みの嫌いな」ボクは、マダイ狙いだ。(イサギ釣りは人を多く乗せる)
各ホームページを覗いてみると、好成績を持続しているのが、今回お世話になった「せいゆう丸」さん(http://seiyuumaru.com/)だった。釣行時の釣況は、中~小型のマダイがメインだが、稀に大型が出るというもので、更にはイサギのおまけ付きといった感じだった。
■6番目■
出船当日は凪だったので客数が多かったために2船体勢で、せいゆう丸さんは出港した。ここでの「席順」は予約順となっている。かなり遅めに予約を入れてしまった関係上、船中7人中の6番目となり、舳先側左舷の釣り座になってしまった。
オキアミを撒いて釣る釣りの場合、マキエサが流れて行く方向である「トモ(=船尾側)」が有利な釣り座となるが、致し方ない。後は不利な舳先側でどう対処して成績を上げるかだ。
■天秤ズボ■
ここでのマダイ釣りは「天秤ズボ」という釣りスタイルで狙うことが多い。仕掛は全長6mの2本バリで使用ハリスが5~6号といったあたりが標準的なモノだが、潮流が早い際にはトモの釣り座であれば、もう少し全長を伸ばすことも可能だ。しかし、それ以外の釣り座は長い仕掛だと、どうしてもお隣と絡み易くなってしまうから、6mという全長が推奨されている。従って、この日のボクも当然ながら全長6mの仕掛を使った。
道糸と仕掛の間には天秤と、ハリス切れ防止用のクッションゴムが入る。使用するオモリは100号前後と重いが、これも隣との絡み防止のためには仕方のない選択だ。
天秤の下に装着する、マキエサを入れるためのカゴは、プラスチック製の出方が調整できる物を使用したが、これは自分より潮下の人達が使用するカゴを見てセレクトした。つまりは潮下の人達が使っているカゴが一気に出そうなタイプであったために、同じタイプのカゴを使うと、マキエサが潮下方向にドンドン流れていってしまい、潮上の不利が解消できそうにないと思ったからだ。
流れ出るマキエサにつられて一旦潮下に向かったマダイ達が、マキエサを食い尽くして船下に戻って来た頃に、更に潮上側の放出量を調整したプラスチック・カゴからマキエサがポロポロとこぼれ落ちてくるというイメージがボクの作戦だ。
勿論、実際の海中ではそんなにウマくはいかないのかも知れないが、こういうことを想像し、イメージを膨らませることは、人より勝る釣果を得たい人にとっては大切なことなのだ。
船長の指定棚の3m下でマキエサを軽く降り出した後に3m巻き上げてタナとりが完了する。そして竿は竿受けにセットして、船の揺れに任せてみる。
ここから先はアタリが竿に出ないままに、ハリに刺したエサだけが取られた場合は、タナを3mずつ上げてゆき、逆にエサが残った場合はタナを3m下げてゆくことでタナ調整を繰り返す。
何度かの調整の後、胴調子の竿が一気に絞り込まれる。引き自体は大したことはなかったが、貴重な一匹をゲットする。狙い通りの、しかも船中で最初の一匹だった。
しばらく間隔が空くが、ポツリポツリとアタリを拾って、数を増やしてゆく。
■不利さは克服できず■
その後も順調に釣果を伸ばしてゆく。船全体でアタる状況は同じように思えたが、開始後2時間も経つと、ピタリと止まった。そこで小移動。ここでもポツポツとマダイをゲットする。
しかし、なかなか大型は釣れてはくれず、この日の最大魚も大したことはなかった。
2度目の移動先は水深が90m程の深場で、ここではイサギも結構アタってくる。
釣果の堅いイサギのポイントに移動するのは、恐らくここまでで釣果の少ない人に対して、「お土産確保」をするためのようである。これも乗合船ならではの船頭の計らいだ。
しかし、結局移動先でも大型マダイは確保できずにこの日の釣りが終わった。
港に戻った後に確認してみると、トモの釣り座に居た2人がそれぞれ数的にはボクとほぼ同数で、その中には60cm近いサイズが何枚か混じっていた。「いつの間に?」といった感じの釣果だったが、自分では善戦していたように思えても、やはり上には上が居た。釣り座の不利さは克服できず、ボクの腕も足りなかったようだが、それでも充実した6時間を過ごせて何となく幸せな気分だった。
■お手軽だが、奥は深い■
ボクの自宅のある西宮市内からだと、1時間半ほどで着いてしまう距離だから、出船当日朝の3時に目覚めても出船時間には充分間に合う。大阪市内辺りからだと更に近く、1時間強というあっけない距離にある。しかも、高速の印南出口を出た後は一般道を走って5分とかからない距離に出港地があるのだ。
チョイッと出掛けて、6時間ほど釣りを楽しみ、うまく行けばその日の夕食時に獲れたての刺身やその他の魚料理が味わえる。これが格別にウレシい。
若い時は「船釣りなんて、釣果を得る要素の半分以上が船頭の腕だ。」とばかりに、やや安直な釣りと捉えていたが、人よりも大きい魚や数多くを釣りたければ発想力を始めとする「知識」や「自分の腕」も必要になることが理解でき、近頃では結構楽しんでいる。
これもまたオッサンになった証拠なのだろうが、暮れの忙しくなる前に何度か通いたくなる印南のマダイ釣りだった。
ボクが近年凝っている渓流釣りは9月一杯で漁期が終わり、来年3月頃までの禁漁期間に入っている。
そこで海に向かうのだが、「実りの秋」とは言うけれども、例えば磯釣りの多くのポイントではまだ水温が高く、水中はエサとりの雑魚達が支配しており、良型のグレを狙うには望み薄だ。だからボクの場合、この時期は、落ちのシーズンに入ったマダイと、回遊を始めるメジロ(ブリの若魚=70cm前後のサイズ)を狙って沖釣りの船に乗ることが多くなる。
昨年の同時期は福井県の鷹巣沖に釣行していたのだが、今年はマダイが好調ではあるものの、まだメジロの回遊量がまだ少ない。「マダイだけならもっと近いところでも…。」と思い立ったのが、和歌山県の印南沖への釣行だった。
和歌山県印南は乗合船の基地として関西の沖釣りファンに名を知られているが、ここの釣り船は、イサギをメインに釣らせるところと、マダイをメインに釣らせるところに2分されている。勿論「引きの強い魚が大好き」で「人混みの嫌いな」ボクは、マダイ狙いだ。(イサギ釣りは人を多く乗せる)
各ホームページを覗いてみると、好成績を持続しているのが、今回お世話になった「せいゆう丸」さん(http://seiyuumaru.com/)だった。釣行時の釣況は、中~小型のマダイがメインだが、稀に大型が出るというもので、更にはイサギのおまけ付きといった感じだった。
■6番目■
出船当日は凪だったので客数が多かったために2船体勢で、せいゆう丸さんは出港した。ここでの「席順」は予約順となっている。かなり遅めに予約を入れてしまった関係上、船中7人中の6番目となり、舳先側左舷の釣り座になってしまった。
オキアミを撒いて釣る釣りの場合、マキエサが流れて行く方向である「トモ(=船尾側)」が有利な釣り座となるが、致し方ない。後は不利な舳先側でどう対処して成績を上げるかだ。
●船上の釣り人は7人●
■天秤ズボ■
ここでのマダイ釣りは「天秤ズボ」という釣りスタイルで狙うことが多い。仕掛は全長6mの2本バリで使用ハリスが5~6号といったあたりが標準的なモノだが、潮流が早い際にはトモの釣り座であれば、もう少し全長を伸ばすことも可能だ。しかし、それ以外の釣り座は長い仕掛だと、どうしてもお隣と絡み易くなってしまうから、6mという全長が推奨されている。従って、この日のボクも当然ながら全長6mの仕掛を使った。
道糸と仕掛の間には天秤と、ハリス切れ防止用のクッションゴムが入る。使用するオモリは100号前後と重いが、これも隣との絡み防止のためには仕方のない選択だ。
天秤の下に装着する、マキエサを入れるためのカゴは、プラスチック製の出方が調整できる物を使用したが、これは自分より潮下の人達が使用するカゴを見てセレクトした。つまりは潮下の人達が使っているカゴが一気に出そうなタイプであったために、同じタイプのカゴを使うと、マキエサが潮下方向にドンドン流れていってしまい、潮上の不利が解消できそうにないと思ったからだ。
流れ出るマキエサにつられて一旦潮下に向かったマダイ達が、マキエサを食い尽くして船下に戻って来た頃に、更に潮上側の放出量を調整したプラスチック・カゴからマキエサがポロポロとこぼれ落ちてくるというイメージがボクの作戦だ。
勿論、実際の海中ではそんなにウマくはいかないのかも知れないが、こういうことを想像し、イメージを膨らませることは、人より勝る釣果を得たい人にとっては大切なことなのだ。
●竿は食い込みの良い、胴調子の竿を使用する●
船長の指定棚の3m下でマキエサを軽く降り出した後に3m巻き上げてタナとりが完了する。そして竿は竿受けにセットして、船の揺れに任せてみる。
ここから先はアタリが竿に出ないままに、ハリに刺したエサだけが取られた場合は、タナを3mずつ上げてゆき、逆にエサが残った場合はタナを3m下げてゆくことでタナ調整を繰り返す。
何度かの調整の後、胴調子の竿が一気に絞り込まれる。引き自体は大したことはなかったが、貴重な一匹をゲットする。狙い通りの、しかも船中で最初の一匹だった。
●40cm程のマダイ●
しばらく間隔が空くが、ポツリポツリとアタリを拾って、数を増やしてゆく。
●小型だが、ダブルゲットもあり●
■不利さは克服できず■
その後も順調に釣果を伸ばしてゆく。船全体でアタる状況は同じように思えたが、開始後2時間も経つと、ピタリと止まった。そこで小移動。ここでもポツポツとマダイをゲットする。
●45cm級●
しかし、なかなか大型は釣れてはくれず、この日の最大魚も大したことはなかった。
●この日最大魚の40cm台後半●
2度目の移動先は水深が90m程の深場で、ここではイサギも結構アタってくる。
釣果の堅いイサギのポイントに移動するのは、恐らくここまでで釣果の少ない人に対して、「お土産確保」をするためのようである。これも乗合船ならではの船頭の計らいだ。
しかし、結局移動先でも大型マダイは確保できずにこの日の釣りが終わった。
港に戻った後に確認してみると、トモの釣り座に居た2人がそれぞれ数的にはボクとほぼ同数で、その中には60cm近いサイズが何枚か混じっていた。「いつの間に?」といった感じの釣果だったが、自分では善戦していたように思えても、やはり上には上が居た。釣り座の不利さは克服できず、ボクの腕も足りなかったようだが、それでも充実した6時間を過ごせて何となく幸せな気分だった。
●ボクの釣果。これだけあれば、夕食は”お魚づくし”だ。●
■お手軽だが、奥は深い■
ボクの自宅のある西宮市内からだと、1時間半ほどで着いてしまう距離だから、出船当日朝の3時に目覚めても出船時間には充分間に合う。大阪市内辺りからだと更に近く、1時間強というあっけない距離にある。しかも、高速の印南出口を出た後は一般道を走って5分とかからない距離に出港地があるのだ。
チョイッと出掛けて、6時間ほど釣りを楽しみ、うまく行けばその日の夕食時に獲れたての刺身やその他の魚料理が味わえる。これが格別にウレシい。
若い時は「船釣りなんて、釣果を得る要素の半分以上が船頭の腕だ。」とばかりに、やや安直な釣りと捉えていたが、人よりも大きい魚や数多くを釣りたければ発想力を始めとする「知識」や「自分の腕」も必要になることが理解でき、近頃では結構楽しんでいる。
これもまたオッサンになった証拠なのだろうが、暮れの忙しくなる前に何度か通いたくなる印南のマダイ釣りだった。