~その1から
今回はリポバッテリー本体を納め、電動リールのケーブルへ電力を供給するための、ユニット制作について記して行く。
■周辺パーツ■
リポバッテリーと電動リールを直接繋ぐと、ショートを始めとするトラブル時に思わぬ被害を被る可能性があるので、回線のプラス側にヒューズを入れる必要がある。その際に便利なのが、自動車パーツ市場でメジャーなエーモン社の製品だ。
ヒューズを挿入する器具をその名の通りヒューズホルダーと言うのだが、種類がいくつかある。管ヒューズタイプ、平型ミニヒューズタイプ、平型(通常)タイプとあるのだが、高電流に耐える仕様の方が一応は安心出来る。その視点から言えば、30Aタイプがある平型もしくは平型ミニヒューズホルダーのどちらかを選べば良く、ボクの自作品は実際に、それらホルダーに30Aヒューズの組み合わせで装着している。
だが、実のところ「本当に30Aまでが必要なのか?」という疑問がある。と言うのも電動リールのコードは断面積が1.25㎟となっているし、ダイワの修理子会社=SLPでも「シーボーグ系電動リールの、80号ビシの空巻きHiで、およそ5A前後の電流が流れます。」と記しているから、「20Aタイプホルダー&20Aヒューズで充分なのでは?」と思わないでもない。
プラス側にヒューズホルダーを挟むので、マイナス側にも同じ長さのリード線が必要になる。基本的にプラス側と同じ径が必要になるので、30Aの場合だと3.5㎟クラス、20Aの場合だと2.0㎟クラスになるが、3.5㎟クラスのリード線は入手し辛いので、製作し易さで考えると20Aホルダーを使った方が有利なる。
必須アイテムで次に必要なのが、リポバッテリーと接続するT型(Deans T)コネクター(オス)になる。
これをハンダ付けするのだが、長手方向に平行なのがマイナス端子で反対側がプラス端子になる。勿論ハンダ付けをした後は、熱収縮チューブや、ビニールテープでの絶縁を怠ってはならない。
■電圧計■
前回で「リポバッテリーには使用下限電圧があり、それを下回ると壊れる。」と記したが、それを回避するため、電圧をモニターする器具が必要になる。これには2パターンがあって、一つ目は、単に電圧計を入れる方法だ。
これはAMAZONほかの通販で簡単に入手出来て、¥300程度と安価だ。配線はリポバッテリーを繋ぐ、オス端子より先のどこかに並列で接続するだけなのだが、リード線が細いため、フタを開け閉めした際に断線した経験があるので、リード線が直接引っ張られないようにする工夫が必要だ。
しかし二つ目に紹介するのが本命で、その名をリポバッテリー・チェッカーと言う。
これは、各セルの電圧とトータルの電圧をローテーションしながら表示してくれる上、どれか1セルでも設定した電圧まで下がったら、アラームを鳴らす機能までもが備わっている。
このアラームを例えば3.7V(トータル14.8V)に設定すると、危険域まで達しつつある事が判るし、3.8V(トータル15.2V)に設定すると、保管用電圧迄に下がった事が判断出来る。
一日の釣りで5000mAh~6000mAh容量のリポバッテリーを2本使用するパターンなら、この保管電圧迄下がった時点で鳴らす設定がオススメだ。アラームが鳴った時点で新しいリポバッテリーに入れ替えれば、使用済みのリポバッテリーに関しては帰宅後、保管電圧に調整する必要が無くなるからだ。
配線は不要で、リポバッテリーのバランス充電端子に繋ぐだけでOK。アラームは端子と反対側にある小さなボタンを押す回数で設定するだけだが、元々はドローンが電池切れで墜落することを防ぐ目的で制作されているだけに、アラームはかなりの音量になる。但し、それが幸いしてケース内で鳴っているのを聞き逃す事はないのだが…。
■ケース■
リポバッテリーや配線を海水で濡らさないようにするには、それらを納めるケースを防水仕様にしなければならない。商品としては、通販サイト、釣具店やホームセンターで簡単に手に入る、MEIHOのウォーターガード・シリーズがピッタリだ。
使用サイズは、リポバッテリー・メーカーのサイズ表記に合わせるのが一番だが、目安として6000mAhサイズまでを一本納めるのなら、ウォーターガード400、6000mAhサイズまでを2本納めて並列接続するのなら、ウォーターガード800、そして10000mAhクラスを一本納めるのなら、ウォーターガード18といったあたりの選択になる。
■出力端子■
電動リールのワニグチクリップを使用してバッテリーケースに接続するには出力端子が必要になる。
これは電極になるプラス・マイナスの金属棒をケース本体から2本突出させるのだが、簡単なのはボルト&ナットを使用する方法だ。径としては8mmないし10mmが適切だが、問題は素材だ。
当然、海水にさらされる中での通電なので、錆に強い素材が求められるが、明確に錆が発生していなくても表面が酸化して変色し始めた途端に導通性が落ちて来るから厄介だ。
防錆性が高いのはステンレスだが、導通性が悪い。銅やアルミ、真鍮は導通性が良いが、錆び易かったり高価だったりで使い辛く流通量も少ない。よってボクの場合は亜鉛メッキ製の鉄ボルトを使用し、表面の亜鉛が剥がれ出したら使い捨てで交換する方法を長らく採用していた。
これを水道用品のパッキン
を挟んでバッテリーケースに固定するのだが、これとて気付けば錆が出てくるのが不満で、最近ではスピーカー用の金メッキ端子を使用している。
だが、錆びないと言われるのは24金だ。8個で¥1000を切る商品に24金メッキが施されているとは思えないし、そもそもメッキが剥がれれば急激に錆びるだろうから、端子に関してはいつも悩みの種になっている。
但し、シマノ純正のコード端に付いているワニグチクリップはステンレス製なので、ステンレスの導電性の悪さは、さほど気にしなくても良いレベルなのかも知れない。
因みに、出力端子が外部に出ているタイプのバッテリーケースは、過去に腐食で通電不良になった経験と、ショートへの恐怖から、警戒心のあまりバッテリーケースを更にEVA素材のケースに入れて使用している。だが、「だったら接続部全体を防水ケース内に入れてみては?」との構想が沸き、最近になって制作したのが、コードがダイレクトにケースから出るタイプで、これを2種類制作した。詳細は次回の「~その3」で紹介する。
「くどい!」と思われるかも知れないが、バッテリーユニットの制作、使用、管理等、全て自己責任で行う事。
以下、~その3へ続く