■あの感動をもう一度…■
今年は春先のメダイも少なかったことから、「渓流に向かうのも早めになるだろう」と思っていたのだが、4月の中旬以降に大型のヒラマサが白石グリで釣れ始めたことから、計画は大きく狂い、未だに沖釣りから離れられていない。
そのため、前回の釣行に引き続いてMAYUMI丸さんに乗り込んで白石グリを目指すことになった。
しかし、打ち合わせ中に船長から悲しい知らせがもたらされた。
船長曰く、「先に白石グリに入った根魚狙いの船から、『白石はぶっ飛び潮で釣りにならない』という情報が入った。」とのことである。
完全フカセ釣りは船上からマキエサをするため、あまりに潮の流れが速いと、撒いたエサが遠方まで流される上、仕掛の流れと同調させることができず、実行不能になるのだ。その場合、カゴをつけた仕掛にするなど、対策方もあるにはあるのだが、あまりに速い場合はそれも不能になることがあるのだ。
その為、船長から「リスクを避けて、冠島に向かっては?」との提案があった。同船者と協議をしたが、結局その提案を受け入れることになって、冠島周囲のポイントを目指すことになってしまった。
ボク自身は冠島での成績はふるわず、イイ思いをしたことがないので不安になったが、メーター級のヒラマサは諦めなくてはならないものの、75cm級であれば各船が釣っているを知っているだけに、その分に関しての僅かな期待を持ちつつ、乗船した。
■大グリ周辺■
冠島の周囲には多数の天然魚礁があるが、その最も北部にある大グリの周辺(そのものではない)に投錨し、この日の実釣が始まった。
周囲には、いつもは白石グリで見かける船が散在していたが、やはり潮流の速さを懸念してこちらに向かってきたに違いなく、今回の判断が正解だったことがこれで理解できた。
まずは、マキエサを打って、大雑把な状況を確認する。
潮流はやや速めだが、釣り辛いことはなく、ほぼベストに近い流速であったのだが、本命とは反対の南東方向から流れてくる潮であり、それに加えて風も東からのモノであったことから、少しの不安が芽生えた。と言うのも、東風は不漁の風、反対からの潮も不漁の潮なのだそうだ。東風に関してはボクが育った瀬戸内でもそう言われているから、全国的に調べてもその傾向があるのかも知れない。海中の魚が風向きを知ることには不思議さを感じてしまうが、それは事実であり、海と、そこに暮らす生き物の大きな謎の一つだ。
のっけから不安なスタートであったが、ベストを尽くすしかなく、仕掛の投入を繰り返す。実際に仕掛を流しても、上~底潮にかけての流速は申し分のない速さなのだが、エサの取られ具合から考えても活性が低い感が漂っていた。
何投目かで目で追っていたスプールの逆転に変化があった。だがいつもの「プシューッ!」という感覚ではなくて「ヌルヌルッ」という感覚であった。
アワセを入れると、竿がクンッとしなるのだが、底から更に絞り込まれるという雰囲気でもない。
そして、さしたる抵抗もなく上がってきたのは35cm級のイサギだった。
■活性を感じない海■
イサギが釣れてくれたことで、とりあえず「魚は居る」ということが確認できたのだが、後が続かない。
明らかに海中では魚達の活性を下げる要素が働いており、ようやく次のアタリをとっても、アワセた瞬間にハリから外れる有様で、食い渋りを感じざるを得なかった。
そんな中ようやくハリに乗せることに成功する。途中でコツンッと頭を振る様子から、中~小型のマダイだとすぐに判ったが、食い込みが浅いことは理解できていたので、慎重に巻き上げに入る。
そして無事にゲットする。玉網から取り出して確認すると、口の皮一枚に外側から掛かっている状態であり、もう少し引っ張れば取れてしまうような状況だった。
普通、このサイズのマダイであればエサを丸呑みして反転するので、がっちりとハリ掛かりするものだが、当日の状況だと、「目の前に流れてきたエサに近寄ったら、たまたま針先に触れて掛かってしまった」ような掛かり具合であり、海中が何か異常な状況であった証拠でもあるような気がした。
その後も、ポツポツとアタリを拾って、上記と道サイズのマダイの他、小型のヒラマサやツバスを追加していったが、掛かる魚の倍以上の割合でハリ外れが起こっていた。
■夕マヅメ■
少しでも状況の良い場所を探して船長は移動を繰り返すが、一帯の潮流は同じであり、ここぞという場所はない。そこで、浅場へと移動し、日中はエサ取りが多い場所=本命は兎も角、魚全体でいうと、少しは活性の高い場所で、夕刻以降に「暗くなると住処に戻る」習性のあるエサ取り達が減るタイミングに掛けることになった。
しばらくは発泡ウキを使ってエサ取りをかわす作業に明け暮れていたが、太陽が赤みを帯び出す頃にようやくアタリが出た。一発目は中型の青物らしい大きなアタリだったのだが、この日の悪例と同様に竿を持った瞬間にハリが外れてしまった。
さしたる対策もとれないままに投入を繰り返すが、ようやく次なるアタリを捉えてやり取りに入る。
今度はマダイらしく、この日一番の手応えだったのだが、サイズに関しては大きくはなさそうだ。それでもこの日の状況下では贅沢も言えず、楽しむようにやり取りをして、無事にゲットする。
その後もアタリは2度取ったが、内一回はハリ外れ、そしてもう一回は40cmチョイのマダイをゲットしてこの日の釣りが終わった。
■一日を終えて■
「柳の下の二匹目のドジョウは居ない。」とは、釣りに限らず何度も言われているが、「8年ぶりのヒラマサの大回遊」は、「ここで味わいつくさねば、次は何年先になるのかも判らない」と、ボクの心を惑わす事象であることは間違いない。そのため、「もう一度、もう一度」と、ズルズルと釣行を重ねてしまうことにも成りかねず、もしそうなった場合は既にハイ・シーズンに入っている渓流釣行にも差し障ってくる。
「こんなことを考えていると、休みがいくらあっても足りない」と思いつつ、薄くなった財布と、家族の顔が目に浮かぶ今日この頃なのだ。
今年は春先のメダイも少なかったことから、「渓流に向かうのも早めになるだろう」と思っていたのだが、4月の中旬以降に大型のヒラマサが白石グリで釣れ始めたことから、計画は大きく狂い、未だに沖釣りから離れられていない。
そのため、前回の釣行に引き続いてMAYUMI丸さんに乗り込んで白石グリを目指すことになった。
●養老港に入港するMAYUMI丸●
しかし、打ち合わせ中に船長から悲しい知らせがもたらされた。
船長曰く、「先に白石グリに入った根魚狙いの船から、『白石はぶっ飛び潮で釣りにならない』という情報が入った。」とのことである。
完全フカセ釣りは船上からマキエサをするため、あまりに潮の流れが速いと、撒いたエサが遠方まで流される上、仕掛の流れと同調させることができず、実行不能になるのだ。その場合、カゴをつけた仕掛にするなど、対策方もあるにはあるのだが、あまりに速い場合はそれも不能になることがあるのだ。
その為、船長から「リスクを避けて、冠島に向かっては?」との提案があった。同船者と協議をしたが、結局その提案を受け入れることになって、冠島周囲のポイントを目指すことになってしまった。
ボク自身は冠島での成績はふるわず、イイ思いをしたことがないので不安になったが、メーター級のヒラマサは諦めなくてはならないものの、75cm級であれば各船が釣っているを知っているだけに、その分に関しての僅かな期待を持ちつつ、乗船した。
■大グリ周辺■
冠島の周囲には多数の天然魚礁があるが、その最も北部にある大グリの周辺(そのものではない)に投錨し、この日の実釣が始まった。
●今回はハリス6号でスタートした●
周囲には、いつもは白石グリで見かける船が散在していたが、やはり潮流の速さを懸念してこちらに向かってきたに違いなく、今回の判断が正解だったことがこれで理解できた。
まずは、マキエサを打って、大雑把な状況を確認する。
潮流はやや速めだが、釣り辛いことはなく、ほぼベストに近い流速であったのだが、本命とは反対の南東方向から流れてくる潮であり、それに加えて風も東からのモノであったことから、少しの不安が芽生えた。と言うのも、東風は不漁の風、反対からの潮も不漁の潮なのだそうだ。東風に関してはボクが育った瀬戸内でもそう言われているから、全国的に調べてもその傾向があるのかも知れない。海中の魚が風向きを知ることには不思議さを感じてしまうが、それは事実であり、海と、そこに暮らす生き物の大きな謎の一つだ。
のっけから不安なスタートであったが、ベストを尽くすしかなく、仕掛の投入を繰り返す。実際に仕掛を流しても、上~底潮にかけての流速は申し分のない速さなのだが、エサの取られ具合から考えても活性が低い感が漂っていた。
何投目かで目で追っていたスプールの逆転に変化があった。だがいつもの「プシューッ!」という感覚ではなくて「ヌルヌルッ」という感覚であった。
アワセを入れると、竿がクンッとしなるのだが、底から更に絞り込まれるという雰囲気でもない。
●引きは強くない●
そして、さしたる抵抗もなく上がってきたのは35cm級のイサギだった。
●イサギはウマいが、ファイトしないので好きじゃない●
■活性を感じない海■
イサギが釣れてくれたことで、とりあえず「魚は居る」ということが確認できたのだが、後が続かない。
明らかに海中では魚達の活性を下げる要素が働いており、ようやく次のアタリをとっても、アワセた瞬間にハリから外れる有様で、食い渋りを感じざるを得なかった。
そんな中ようやくハリに乗せることに成功する。途中でコツンッと頭を振る様子から、中~小型のマダイだとすぐに判ったが、食い込みが浅いことは理解できていたので、慎重に巻き上げに入る。
●この時点で正体は判っていた●
そして無事にゲットする。玉網から取り出して確認すると、口の皮一枚に外側から掛かっている状態であり、もう少し引っ張れば取れてしまうような状況だった。
●掛かりが浅い●
普通、このサイズのマダイであればエサを丸呑みして反転するので、がっちりとハリ掛かりするものだが、当日の状況だと、「目の前に流れてきたエサに近寄ったら、たまたま針先に触れて掛かってしまった」ような掛かり具合であり、海中が何か異常な状況であった証拠でもあるような気がした。
その後も、ポツポツとアタリを拾って、上記と道サイズのマダイの他、小型のヒラマサやツバスを追加していったが、掛かる魚の倍以上の割合でハリ外れが起こっていた。
■夕マヅメ■
少しでも状況の良い場所を探して船長は移動を繰り返すが、一帯の潮流は同じであり、ここぞという場所はない。そこで、浅場へと移動し、日中はエサ取りが多い場所=本命は兎も角、魚全体でいうと、少しは活性の高い場所で、夕刻以降に「暗くなると住処に戻る」習性のあるエサ取り達が減るタイミングに掛けることになった。
しばらくは発泡ウキを使ってエサ取りをかわす作業に明け暮れていたが、太陽が赤みを帯び出す頃にようやくアタリが出た。一発目は中型の青物らしい大きなアタリだったのだが、この日の悪例と同様に竿を持った瞬間にハリが外れてしまった。
さしたる対策もとれないままに投入を繰り返すが、ようやく次なるアタリを捉えてやり取りに入る。
今度はマダイらしく、この日一番の手応えだったのだが、サイズに関しては大きくはなさそうだ。それでもこの日の状況下では贅沢も言えず、楽しむようにやり取りをして、無事にゲットする。
●これが精一杯の50cm弱●
その後もアタリは2度取ったが、内一回はハリ外れ、そしてもう一回は40cmチョイのマダイをゲットしてこの日の釣りが終わった。
■一日を終えて■
「柳の下の二匹目のドジョウは居ない。」とは、釣りに限らず何度も言われているが、「8年ぶりのヒラマサの大回遊」は、「ここで味わいつくさねば、次は何年先になるのかも判らない」と、ボクの心を惑わす事象であることは間違いない。そのため、「もう一度、もう一度」と、ズルズルと釣行を重ねてしまうことにも成りかねず、もしそうなった場合は既にハイ・シーズンに入っている渓流釣行にも差し障ってくる。
「こんなことを考えていると、休みがいくらあっても足りない」と思いつつ、薄くなった財布と、家族の顔が目に浮かぶ今日この頃なのだ。