中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

ヒラマサよ、もう一度…

2013-05-25 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■あの感動をもう一度…■

 今年は春先のメダイも少なかったことから、「渓流に向かうのも早めになるだろう」と思っていたのだが、4月の中旬以降に大型のヒラマサが白石グリで釣れ始めたことから、計画は大きく狂い、未だに沖釣りから離れられていない。
 そのため、前回の釣行に引き続いてMAYUMI丸さんに乗り込んで白石グリを目指すことになった。

●養老港に入港するMAYUMI丸●

 しかし、打ち合わせ中に船長から悲しい知らせがもたらされた。
 船長曰く、「先に白石グリに入った根魚狙いの船から、『白石はぶっ飛び潮で釣りにならない』という情報が入った。」とのことである。
 完全フカセ釣りは船上からマキエサをするため、あまりに潮の流れが速いと、撒いたエサが遠方まで流される上、仕掛の流れと同調させることができず、実行不能になるのだ。その場合、カゴをつけた仕掛にするなど、対策方もあるにはあるのだが、あまりに速い場合はそれも不能になることがあるのだ。
 その為、船長から「リスクを避けて、冠島に向かっては?」との提案があった。同船者と協議をしたが、結局その提案を受け入れることになって、冠島周囲のポイントを目指すことになってしまった。
 ボク自身は冠島での成績はふるわず、イイ思いをしたことがないので不安になったが、メーター級のヒラマサは諦めなくてはならないものの、75cm級であれば各船が釣っているを知っているだけに、その分に関しての僅かな期待を持ちつつ、乗船した。 


■大グリ周辺■

 冠島の周囲には多数の天然魚礁があるが、その最も北部にある大グリの周辺(そのものではない)に投錨し、この日の実釣が始まった。

●今回はハリス6号でスタートした●

 周囲には、いつもは白石グリで見かける船が散在していたが、やはり潮流の速さを懸念してこちらに向かってきたに違いなく、今回の判断が正解だったことがこれで理解できた。
 まずは、マキエサを打って、大雑把な状況を確認する。
 潮流はやや速めだが、釣り辛いことはなく、ほぼベストに近い流速であったのだが、本命とは反対の南東方向から流れてくる潮であり、それに加えて風も東からのモノであったことから、少しの不安が芽生えた。と言うのも、東風は不漁の風、反対からの潮も不漁の潮なのだそうだ。東風に関してはボクが育った瀬戸内でもそう言われているから、全国的に調べてもその傾向があるのかも知れない。海中の魚が風向きを知ることには不思議さを感じてしまうが、それは事実であり、海と、そこに暮らす生き物の大きな謎の一つだ。

 のっけから不安なスタートであったが、ベストを尽くすしかなく、仕掛の投入を繰り返す。実際に仕掛を流しても、上~底潮にかけての流速は申し分のない速さなのだが、エサの取られ具合から考えても活性が低い感が漂っていた。
 何投目かで目で追っていたスプールの逆転に変化があった。だがいつもの「プシューッ!」という感覚ではなくて「ヌルヌルッ」という感覚であった。
 アワセを入れると、竿がクンッとしなるのだが、底から更に絞り込まれるという雰囲気でもない。

●引きは強くない●

 そして、さしたる抵抗もなく上がってきたのは35cm級のイサギだった。 

●イサギはウマいが、ファイトしないので好きじゃない●


■活性を感じない海■

 イサギが釣れてくれたことで、とりあえず「魚は居る」ということが確認できたのだが、後が続かない。
 明らかに海中では魚達の活性を下げる要素が働いており、ようやく次のアタリをとっても、アワセた瞬間にハリから外れる有様で、食い渋りを感じざるを得なかった。
 そんな中ようやくハリに乗せることに成功する。途中でコツンッと頭を振る様子から、中~小型のマダイだとすぐに判ったが、食い込みが浅いことは理解できていたので、慎重に巻き上げに入る。

●この時点で正体は判っていた●


 そして無事にゲットする。玉網から取り出して確認すると、口の皮一枚に外側から掛かっている状態であり、もう少し引っ張れば取れてしまうような状況だった。

●掛かりが浅い●

 普通、このサイズのマダイであればエサを丸呑みして反転するので、がっちりとハリ掛かりするものだが、当日の状況だと、「目の前に流れてきたエサに近寄ったら、たまたま針先に触れて掛かってしまった」ような掛かり具合であり、海中が何か異常な状況であった証拠でもあるような気がした。

 その後も、ポツポツとアタリを拾って、上記と道サイズのマダイの他、小型のヒラマサやツバスを追加していったが、掛かる魚の倍以上の割合でハリ外れが起こっていた。

 
■夕マヅメ■

 少しでも状況の良い場所を探して船長は移動を繰り返すが、一帯の潮流は同じであり、ここぞという場所はない。そこで、浅場へと移動し、日中はエサ取りが多い場所=本命は兎も角、魚全体でいうと、少しは活性の高い場所で、夕刻以降に「暗くなると住処に戻る」習性のあるエサ取り達が減るタイミングに掛けることになった。
 しばらくは発泡ウキを使ってエサ取りをかわす作業に明け暮れていたが、太陽が赤みを帯び出す頃にようやくアタリが出た。一発目は中型の青物らしい大きなアタリだったのだが、この日の悪例と同様に竿を持った瞬間にハリが外れてしまった。
 さしたる対策もとれないままに投入を繰り返すが、ようやく次なるアタリを捉えてやり取りに入る。
 今度はマダイらしく、この日一番の手応えだったのだが、サイズに関しては大きくはなさそうだ。それでもこの日の状況下では贅沢も言えず、楽しむようにやり取りをして、無事にゲットする。

●これが精一杯の50cm弱●

 その後もアタリは2度取ったが、内一回はハリ外れ、そしてもう一回は40cmチョイのマダイをゲットしてこの日の釣りが終わった。


■一日を終えて■

 「柳の下の二匹目のドジョウは居ない。」とは、釣りに限らず何度も言われているが、「8年ぶりのヒラマサの大回遊」は、「ここで味わいつくさねば、次は何年先になるのかも判らない」と、ボクの心を惑わす事象であることは間違いない。そのため、「もう一度、もう一度」と、ズルズルと釣行を重ねてしまうことにも成りかねず、もしそうなった場合は既にハイ・シーズンに入っている渓流釣行にも差し障ってくる。
 「こんなことを考えていると、休みがいくらあっても足りない」と思いつつ、薄くなった財布と、家族の顔が目に浮かぶ今日この頃なのだ。
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マキエサの話

2013-05-18 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
■マキエサ論争■

 実は、前回の釣行時に乗り合わせた隣の爺さんの口から、クレームの言葉が発せられていた。
 爺さん曰く「マキエサを多く(爺さんにとっての)撒くと、エサ取りが沸くから止めてくれ」とのことだった。しかし、この論争には一過言あるため、その場ですぐに反論させてもらったのだが…。

 爺さん理論では、「マキエサを止めればエサ取りが減ってサシエサが残る」ということなのかも知れないが、果たしてそうなのだろうか?。もしそうであるのなら、マキエサをせずに狙うカワハギ釣りは成立しないであろう。(奇しくも、この日のエサ取りはウマズラハギがメイン)マキエサを撒かなければそこに始めからカワハギはいないからだ。
 結局、マキエサをしようが、しまいが、エサ取り達は執拗であり、自分たちにとっての条件が良ければ、そこに居座って流れてくるエサを待ち構えている。であるからこそ、エサ取り対策は、そんなに甘くはないのだ。
 ただし、唯一の例外はアジ、サバ、イワシといった、回遊性のある魚がエサを取る場合だ。これらは、マキエサを中止すると、どこかに消えてしまうことを実際に磯釣りで経験したことがある。しかし、これはグレを狙っている最中のことだ。船で狙う本命魚=マダイや青物は、”フィッシュ・イーター”という側面を持っているから、アジ、サバ、イワシは恰好のエサになるワケであり、本命魚達が近くにいる場合は、悠長に流れてくるオキアミのエサを拾っているヒマはないから、その条件下ではエサ取りになり得ない。
 また、本命魚のエサとはなり難いカワハギ類であっても、自分より大きな本命魚が行動し始めると、蹴散らされて恐怖を感じるのか、岩の間に隠れたり、下層に沈んだりするのだ。
 つまりは、「本命魚達に活性があれば、エサ取り達を凌駕する」ということだ。だから極端な話、本命魚に食う気がないからエサ取り達が高活性化しているのだから、潮流の変化その他で本命魚の食い気が上がるのを待てばよいということになる。
 仮に、もし爺さん理論を採用し、マキエサを中止してサシエサだけを流している最中に、潮流が変わる等の理由で再び本命魚の活性が上がった場合には、それをどうやって判断すれば良いのだろうか?。その際にマキエサが届いていなければ、本命魚に気付いてもらえず、それらが安定してエサの流れてくる、他船の後ろに着いてしまう可能性もあるのだ。

 ただし、いつも本命魚が高活性化している状況で竿出しできるとは限らない。更に量的な優位関係があって、いくら本命魚に活性があっても、エサ取り達があまりに多量で他を圧倒した場合は、動きが大胆になって我々釣り人を悩ませる。
 では、「そんなとき、どうすればよいのか?。」
 実はエサ取りをある程度かわす方法があるのだが、それについて、一番研究が進んでいるのは、磯からのグレ釣りである。だからそこから学ぶのが一番の方法だと思う。グレ釣りのステップアップを目指すには、マキエ術(マキエ・ワーク)とサシエサの投入術を覚えることが必須になるからだ。
 エサ取りをかわしてグレを釣るには、多種多様な方法がとられているが、①.「足の遅いエサ取りを潮筋から外した位置に多量のマキエサを打って足止めし、潮の本筋に少量のマキエサを打って、そこに足の速いグレを集める(=平面で分ける)」、②.「マキエサを打った位置を変えず、エサ取りの層を割って浮上するグレのタイミングにあわせて仕掛けを投入する(=立体的に分ける)」といった「完全ではないものの、エサ取りと本命をどう分離させるか」が基本になる。(その方法全部を書くと長大な文章になるので省略する。)
 また、③.「グレの量が多く、エサが容易に食べられる場合はマキエサの全体の量を減らし、エサ取りの量が多く、グレにエサが行き渡らない場合は全体の量を増やす」という原則があることも頭に入れておかなくてはならない。

 船から釣る場合に上記を当てはめてみると、仕掛けを遠投することはできず、投入点は常に竿下のため、上記「①」は実行不可能となるから、エサ取りが多い場合は「②」の方法を演出すれば良いことになる。
 そこで発泡シモリウキという浮力体をサルカン部に入れることで仕掛の沈み具合を調整し、マキエサの上層を通過するようにして、エサ取りの層を割って浮上する本命魚を狙うのが、その手段の一つとなる。発泡シモリウキには番手があって、大きくなるほど浮力が増すので、大きさや個数で調整を繰り返してエサがギリギリ残る浮力に調整してやると良い。発泡ウキは場合によっては2~3個付けることもあり、これだけ浮力が強くなると、かなり道糸を送り出しても海面に浮かんでいるが、フロロカーボンの道糸のマイナス浮力に負けて、いずれは沈んでゆくので全く気にすることはない。

●ボクが釣り場に持参する、発泡ウキの数々●


 この方式(釣法?)については、福井県鷹巣~玄達沖では徹底されているが、何故か隣の海域の舞鶴周辺で見かけることはほとんどない。舞鶴の釣りで見かける「仕掛を浮かせる工夫」は、せいぜいサルカンを外して直結することと、スプールの回転に抵抗を加えて糸を張り気味にすることくらいであり、福井側のようなシステマチックさはないように思う。

 考えてみれば、天秤ズボ仕掛で狙う場合であっても、カゴから撒かれたエサに反応したエサ取りの層のやや上を狙う=エサが残るギリギリの水深を狙うのが鉄則であり、これと同様のことを実践しているだけのことだ。
 もちろん、前回釣行時の状況はエサ取りが多い=エサが本命に行き渡っていないと予測されるため、上述「③」の鉄則どおり、マキエサを減らす訳にはいかないのだ。

 
 と、爺さんに全てを説明したかったのだが、「考え方の違いでしょ?、エサ取りの上を狙うのが鉄則だからマキエサを途切れさせることはできない。」とだけ言って、それでもため息と共にブツブツと言っている爺さんを以降は無視して釣り続けていた。

■マキエサの量■

 舞鶴や宮津から出船する乗合船に乗船する場合、ほとんどの釣り船に於いて料金に含まれるエサの量はいわゆる3kg板が2枚になっているが、これは、潮流によっては天秤ズボになることを見越しての量だと思う。また、現場で余ると、客から「値引きしろ」だの「返品させろ」だのと、クレームが出ることも考えられるからこの判断になったのかも知れない。
 しかし、完全フカセ釣りが専門の福井県鷹巣~玄達沖では6時間のコースに斡旋店が1セットとして用意するマキエサは、仕立て船の場合であれば3枚のところがほとんどで、その上「追加は要らないのか?」と必ず聞いてくる。何もこれは商売熱心であるために聞いているのではなく、キッチリと撒き続けるのなら、それでは足らないことを知っているからだ。
 因みに前回の釣行では、ボクは標準セット分2枚に、持ち込み分の3枚を合わせて全5枚を用意し、そのほとんどを撒いた。これでも当日の潮流が遅かったために、この消費量で納まったのだが、潮流が速くて流す回数が増えていれば、もう少しセーブをしなければ一日もたなかったかも知れない。因みにボクが若狭湾で竿を出す場合は、通常の状況下であれば一日あたり5~6枚の計算だが、潮流が速いことの多い福井県の玄達瀬でヒラマサを狙う場合は実釣11時間で、一日あたり10~12枚を用意する。(勿論、一人あたりで、実際は×乗船人数分)

 マキエサとサシエサの関係と言えば、以前に、
 「一人の人間に『甲子園球場のグランドにパチンコ玉一個を投げ入れて、それを見つけ出せ。』というと至難の業だが、その玉の周囲にある程度の玉数を撒いておいても良いのなら、的の範囲が広がり、それが目安になって発見する確率はかなり上昇するし、探す人数を増やして良いとなると、人数に比例して発見する確率が上昇する。」これと同じで「広い海の中にマキエサを入れ、その中、あるいはその周囲にサシエサがあるということであれば、ある程度の塊になるため、目に付く確率が上がるし、臭いも広がる。」そして「それらに反応した周囲のエサ取り達の動きが活発になることで“気配”という要素が加わって本命魚が、よりエサの存在を察知しやすくなる。」
 と、ある磯釣り名人がボクに語ってくれたことを思い出す。

 これまでの説明でマキエサの量がある程度必要であることを理解してもらえたであろうか?。もし、それでも沖釣りで「少量のマキエサで釣ったという経験がある」と反論したい釣り人が居るのなら、それは同船の誰かが撒いたマキエサの流れるラインで釣ったのかも知れず、胸に手を当ててその点を振り返ってみるべきだと思う。

 「マキエサの切れ目が縁の切れ目」と、その昔に、グレ釣りの記事で誰かが書いているのを読んだことがあるが、これは、マキエサで魚を寄せて釣る釣り全般に言えることだとボクは思う。ボクの拙い説明に納得してもらえたのなら、「次回からはセッセと撒きましょう!。」
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白石グリのヒラマサ

2013-05-11 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■またもや白石グリへ■

 今から10年ほど前、若狭湾にヒラマサの回遊がほぼ確実にあった頃は、秋が本格化し始める頃に70cm前後の中型が冠島や白石グリの周辺に回遊し、一旦それが納まった後は、春本番になると、経ヶ岬沖の白石グリで1m前後の大型ヒラマサが回遊するというパターンがあったように記憶している。
 しかしその回遊量が減って久しく、ここ数年(船長の話では8年間ほど)の若狭湾では、ほとんど姿を見ることはなかったようだ。実のところ、ヒラマサが釣りたくて沖釣りを始めたボクにとってこの状況は、この釣りに対する興味までもが減退することに直結し、それがここ数年沖釣りから遠ざかっていた本当の理由だ。
 それが、どうしたことか昨秋、若狭湾周辺では70cm前後の中型ヒラマサが大量に回遊し、突然好調に釣れ始めたのだ。そしてそれ以降、一昔前の釣果パターンと同様に年明けてから下火となったので、「もしかすると春本番の大型も…。」と、密かに期待していたのだが、それに応えてくれたのか、4月の中旬以降、正体不明の魚にマダイ釣りの仕掛けが切られる事態が発生したのを皮切りに、下旬に入ると大型のヒラマサがチラホラとゲットされる様子が、各釣り船店の、ホームページの釣果欄に載るようになっていた。
 こうなると腰が浮いて落ち着かず、慌てて各沖釣り店の予約状況を確認したが、生憎マダイの乗っ込み期と重なっており、乗合の募集は受け付け終了になっている店が多くてなかなか予約が取れない。方々をあれこれ掛け合った結果、運良く以前にもこのブログで紹介した養老港発のMAYUMI丸さんに乗船することになった。

■実釣スタート■

 ポイント海域に着くと、やはり好調なだけに船数が多く、船長の位置取りのセンスが問われる場面だが、船長は無事浅場のラインに船を落ち着かせることに成功した。

●白石グリの周囲に集まる船団●

 当日の、ボクの釣法は当然?完全フカセ仕掛だ。セッティングした仕掛は、道糸がフロロカーボン製の6号。これに結んだ仕掛は8号ハリスの2本バリで、メーター級のヒラマサ対応としては細めに感じるかも知れないが、この時期の白石グリのヒラマサは他地域、他時期で釣るヒラマサに比べて何故か引きが弱いから、この太さを選んだ。
 道糸よりもハリスが太いが、6号→8号の差であれば引っ張り合いをすれば切れるのはハリスの方だから、これでバランスがとれている。(ハリスが10号の場合はバランスが逆転するので、道糸を太くした方がイイ。)
 ボクが使用する仕掛の全長は6mだが、これは12~15mの3本バリを使う釣り人が多い京都府下の若狭湾仕様の中では短い部類に入る。
 「長いハリスに本数の多いハリがついた仕掛は、投入直後の段階の馴染みがよい」と言われるが、短いハリスの2本バリ仕掛であっても、流し始めにリールから糸を強制的にたぐり出す=送り出しの量を多めにすることで、初期段階での馴染みの差をカバーできると思っているし、実際、並んだ釣り人に仕掛の長さが直接の原因で釣り負けたことは無いように記憶している。
 恐らく若狭湾では、天秤ズボ仕掛と併用しながら完全フカセ釣りが発達したことと、今やフロロカーボンの道糸を使う人がほとんどだが、初期段階ではナイロンの道糸を使う人が居たことが、仕掛が長くなった経緯だと思う。天秤ズボ釣りでは潮が速い場合やエサ取りとの関係で仕掛の全長を長くする必要があるし、比重が軽いナイロンの道糸を使った場合、比重の重いフロロカーボン製のハリス部を長くした方が馴染みがよくなるからだ。
 だが、隣の海域にある、福井県鷹巣~玄達沖の完全フカセ釣りでは、仕掛の長さは6mが標準だ。ここではオキアミエサを使う日中釣りの場合は、100%近い確率で完全フカセ釣りになるため、天秤ズボと併用せず、単独で発展してきたからこうなったのかも知れない。そしてそこでは、同じような水深という条件の中、6m、あるいはもっと短い仕掛を使ってヒラマサやマダイといった若狭湾と同じ魚種をバンバン釣っているのだ。
 何よりも短い仕掛はさばきが良く、取り込み=玉網への誘導が楽であるうえに、オマツリした際もほどき易い。また、仕掛を自作するボクにとってはコストダウンになることが有り難いので、完全フカセ釣りに於いては、この長さ以外の仕掛を使うつもりはない。

●ボクのタックル●


■まさかの一投目■

 アンカーを入れた直後の船の振れが納まって、マキエサの投入をする。すると、真下方向に落ちてゆくようで、ほとんど動きがないように見えた。なるべく早く仕掛を馴染ませたいが、水深は45mほどだと聞いていたので、最初の送り出しを25mとし、様子を伺うことにした。
 僅か25m仕掛けが馴染むのに7分近くもかかるという、ほとんど動かない潮であったが、幸いにも底潮には動きがあるようで、リールのカウンターで30mほどを過ぎたあたりから徐々にではあるが、流れるスピードが上がるようであった。
 そして40m付近を過ぎたあたりで突然リールが急速逆転を始め、同時にアラームが鳴った。まさかの、一投目からのアタリだった。
 アタリの出具合と初期の引きから想像して中型青物と確信する。

 
●まさしく青物の引き!●

 ハリスは太いので余裕はあるが、最初の一匹だけに、慎重に、自分の感覚を確認しながらのやり取りを開始した。
 船の下で執拗に締め込む様子からヒラマサと確信したが、そこでの攻防も難なくクリアして無事にゲットする。

 
●75cm級のヒラマサ●

 何とも幸先の良い、初っ端から中型ヒラマサの登場に俄然テンションもアップする。
 そして驚くことに、続いての2投目にもほぼ同じ距離でアタリが出て、65cm級のヒラマサを連続ゲットし、あまりの滑り出しの良さにほくそ笑んでいたのだが…。

■潮緩む中■

 その後、潮が緩み、エサ取りが増えてアタリが出なくなった。そこで、サルカンのすぐ上に発泡ウキという浮力体を装着して仕掛がエサ取りの上層を流れるようにして、35cmほどのイサギを追加するが、それ以降はアタリが途絶えた。そして、しばらくの間は、キビシイ時間帯が続いていた。
 そんな中、キャビン横の釣り人がアタリをキャッチし、大きく竿を曲げることになった。

●格闘中の釣り人●

 そして、ビックリ!。この釣り人がゲットしたのは1m近い大ヒラマサだったのだ。

 こうなると、「俺も!」との思いが強くなって、マキエサを打つ手にも力が入る。そして潮が動けばアタリが出て、動かなければアタリが止まるという、“ポツポツ”の状況ながら釣果が増えてゆくが、その中に待望の大型ヒラマサの姿はなかった。

●50cmほどのマダイ●

 一匹目から、かなり間が開いたが、次なる大型ヒラマサも先ほどの釣り人の手に落ちた。今度は90cmほどのサイズだ。

■夕刻に迫る中■

 時刻は夕方の4時になり、船長からも「ヒラマサは明るい内の勝負。」と聞かされていただけに、焦りはとうに過ぎて、諦めの境地に入っていた。
 「今日は、大型のヒラマサには縁がないのか…。」と、それを実際に、口に出してボヤいた瞬間、偶然と言うべきか、運命的と言うべきか、リールの急速逆転と共にアラームが鳴り響いたのだ。
 逆転するスプールを指で押さえてから(クラッチ保護のため、ボクはいつもそうしている)、クラッチをオン!。それと同時に80号の竿が根元から大きく絞り込まれていった。

●まさしくこれは…●

 強烈な走りに大型ヒラマサの引きと確信し、慎重にやり取りを開始する。
 掛かった距離は40m付近。水深は45mほどだから、少しは糸を出せるが、パニックになったヒラマサは水中の沈み岩の直近を走る習性があるので、長い距離を走られると糸が岩に擦れて飛んでしまう。そこで、道糸の伸びによるクッション吸収を考慮して、強めのドラグ設定で、まずは相手の弱りを待つことにする。
 そうしつつ、徐々に距離を詰めていったが、その分だけ道糸の伸び量が減るので、今度は少しずつドラグを緩めてのやり取りに移行する。しかし、相手はそれを見破ったのか、それとも船影を確認して恐怖を感じたのか、今度は船の下を抜けて釣り座と反対方向に走り出す。そのままでやり取りをするとスクリューや舵に触れて仕掛が飛んでしまうので、海中に竿を突っ込むことで回避し、そこから後も更に慎重なやり取りで相手との更に距離を詰めてゆく。
 そしてようやくゲット。久しぶりの大型ヒラマサとのご対面だ。

●8年ぶりの大型ヒラマサ●

●96cm!●

 大ヒラマサを釣ってから後も、ポツポツながらマダイが釣れて退屈はしなかった。しかし、目的が達成されているだけに、さしたる感動はなかったが、最後の一投までアタリがあって楽しい一日が終わった。


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今回は、休刊です。

2013-05-04 12:30:00 | その他
只今、連休の真っ最中。
そのため、記事の作成や更新が間に合わず、更新することができません。
次回は5月11日になりますので、それまでの間、ご猶予を。
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