■初めての瑞翔さん■
今回お世話になった釣り船は瑞翔(ずいしょう)さん。ここも「少人数でフカセ釣りをさせてもらえる」、「白石グリ方面がメイン」、そして「舞鶴ではよく釣らせる船」として、ボクは前々からチェックしていた船の一つだ。
実は、予約を入れたのは今回が3回目だ。ただし過去の2度は予約を入れたものの、荒天で流れていたから乗船が実現したのは今回が初めて。果たして結果はどうなるのだろうか…。
出港地は東舞鶴地区の市役所近くにあり、明治の歴史的な建造物である赤レンガ倉庫群を抜けた先が出港地だ。
出航後はイージス艦の「みょうこう」と「あたご」、対空・対潜強化タイプの護衛艦「ふゆづき」に見守られながら一路白石グリを目指した。
■緩い本潮■
午前11時、毎朝の解禁時間となって一斉にポイントを目指すが、日曜日であるにも関わらず、ライバル船は少なくて、ポイント確保に伴う困難はなかった。どうやら多くの船は、やや沖合にある深場でマダイを狙っているらしく、青物が多い浅場には入ってこないようだ。もとよりマダイには興味がないボクにとってはその方が好都合で、内心ほくそ笑んでいたのだが…。
潮は西方向からやって来る本潮ではあるが、開始当初はスピードが遅くて一流しに時間が掛かる状況だった。ただし、遅いながらも底潮にも動きがあるようなので、悲観するような状況ではない。
そして予想通りと言うべきか数投目、マキエサが効き始めた頃に道糸がビュンッ!と走った。
抵抗感はそこそこ。走り具合からして中小型の青物と予想したが、やって来たのはメジロだった。
メジロとは言え、早めに答えが出たので、「今日は楽勝か?」との思いがよぎった。しかし、同じセッティングのままの、次の流しではエサが盗られるのみで、アタリは出なかった。したがって、その次の流しでは仕掛のセッティングを変えることとした。
具体的には道糸に着ける発泡ウキの大小で道糸の沈み具合を調整する「福井県鷹巣&玄達スタイル」でタナを変えていったのだが、この日全般を通して続けて同じタナで釣れることは希だったために、常に仕掛けを調整し続けている感覚だった。もっとも、こういった展開は磯釣り師だった頃から馴れているから平気だ。よくグレ釣り名人は「同じ仕掛けで3回流さない。」と言うが、実際そういった心構えでドンドン攻めてゆく方がアタリの数が増えることが多いような気がする。ただし、「逆も真なり」も無いワケではない。1度釣れたらなかなか動かさないタイプの釣り人が同船し、その方が釣果が伸びることがタマにある。そういった場合、ボクは、「何処が悪いのか?」と、迷いに迷い、頭を抱えている間に1日が過ぎてしまうことが多いのだが…。
どうやら、この日はボクのスタイルが状況にハマッていたようで、メジロを始め、ハマチ~ツバスクラスと、イサギ、
小型のマダイ
等、アタリの殆ど出ない周りと比較すればダントツで釣果は伸びていったが、大本命のヒラマサはボクのハリには一向に掛からなかった。
そうこうしているうちにミヨシで竿を出していた釣り人が大きく竿を曲げた。見れば油断していたらしく、道糸をバックラッシュさせている。そこで船長とボクが駆け寄り、船長が竿を保持し、ボクがバックラッシュをほどく係となって助太刀に入った。バックラッシュの対処法をボクはバス釣り時代に会得していて、よほどでない限りほどく自信がある。この際もサッとほどいてあげて、その釣り人はやり取りを再開。ラッキーにも魚は仕掛けに着いたままだったので、その後に続く何度かの締め込みに「リールが巻けない」と声を上げながらも何とか踏ん張っている。しばらく後にもう一度目をやれば、無事にゲットできたようだ。そしてそれが80cmほどのヒラマサだった。
■大型魚の締め込み■
うらやましさが込み上げる中、ボクも気合いを入れ直したが、見ればヒラマサをゲットした釣り人は、朝からサルカン一個のみの3本バリ仕掛けを流し続けているようだ。対するボクは2本バリ仕掛けであり、馴染み方が違う。それは解ってはいながらも、同じタナを攻めようとしてアレコレ迷いながら数投流したが、結局はウマくいかなかった。
そこで、いつもの攻め切るスタイルに戻し、エサの残り具合を根拠に、「最初のリールから無抵抗で送り出す量」、「発泡ウキの大小」、「オモリの大小」、「流す距離の長短」を頻繁に調整しつつ流すことでヒラマサのアタリを待ち続けた。
経験上、小型を除くブリ類のやや上の層でヒラマサがアタることが多いので、メジロクラスが釣れた次の流しではワザとその上を狙うことを心掛けていたが、そうやっている内に、それまでとは明らかに違うアタリを伴ってボクの竿が強烈に絞り込まれる、待望の瞬間が訪れた。
竿を手にとって踏ん張るが、相手はかなりの大きさだとすぐに理解できた。
とりあえず水深分の距離を切るまでは巻き取ることを優先して、やや強引なやり取りを心掛ける。相手がヒラマサの場合はこれが重要だ。
そのため、道糸の出ている距離が長い初期は強め、距離が詰まればやや緩めと、こまめにドラッグ調整を繰り返しながら徐々に距離を詰めてゆく。その間何度もの強引に襲われ、その都度ヒヤヒヤしながら耐えていると、やがて船下までの引き寄せに成功する。
ここでもかなりの攻防があったが、多少は余裕のできたボクの心中に「もしや?」の感が漂うようになった。それは、引き具合がイメージ的に「下へ下へ突っ込む」の動きではなく、「同じ層を横へ横へ走る」の動きのように感じられたからだ。
それでも、大型ヒラマサであることを祈りつつ、慎重にフィニッシュへと導いた。ハリスを手繰っている段階では既に気付いてはいたが、大型魚の正体はブリだった。
■ブリ・ファミリー■
ブリをゲットした後も続くのはメジロのみで、気付けば出世魚であるこの魚の、小はツバスから、ハマチ、メジロ、ブリの4世代を釣り、釣果はブリ・ファミリーだけで既に2桁に入っていた。だが、同船の釣り人がヒラマサの60cm台を各1本ずつ釣ったのに対して、ボクはゼロ。次第に本命潮の流速が上がる中、どうしても大型ヒラマサを釣って春のシーズンを終えたいボクは仕掛けの調整を繰り返しながら焦りに焦っていた。
■最後の一流し■
願いが叶わないまま、いくら釣ってもハマチかメジロで終盤を迎えたが、とうとう「あと一流しで終了」との声が船長から上がる時間となった。
この時、ボクは仕掛けを流している最中だったので、「この次で終わりにする。」と一声掛けた後に一旦回収にかかった。サシエサを確認すると盗られていたので、3Bのガン玉が2つ着いていた仕掛からオモリを外そうと考えた。その際、1個外すか2個外すか迷ったが、根拠はないものの、「初心に戻ろう。」との思いがよぎって、結局は道糸とハリスの継ぎ目にサルカン1個のみのシンプル仕掛を流すことにした。
そしてこの仕掛を65m流したところで、リールから猛烈な勢いで道糸を引き出すアタリを捉えた。
グイグイと引き込む走りは、大型青物に間違いなく、慎重なやりとりを心掛けて応戦を開始する。
これまた何度もドラッグを滑らせ、「巻いては引き出され」を繰り返しながらも徐々に距離を詰めてゆくが、船下に来てからもしつこい走りが続くので、「どうかヒラマサであってくれ!」と祈りながら耐えていた。そして、ようやくハリスを手繰り寄せる距離に到達した。
海中を覗くと、意外に小さなメジロが付いていたので、「???」だったが、その下にも青物が付いているのが確認したことで、これまでの経緯が納得できた。しかし、まだまだ油断は禁物。「下バリの魚がヒラマサであってくれれば万々歳」と、祈るような思いで慎重にたぐり寄せたが、これがまたもやブリであった。
そして納竿。結局はヒラマサを手にすることは叶わぬ1日だった。
■春のシーズンを終えて■
白石グリでの春の大型ヒラマサ・シーズンは釣行時点で既にポツポツ状態になっており、6月に入る頃には終了となっている感が強い。したがって、今回の釣行で一旦はオフ宣言をすることにしよう。
結局ボクの釣果は80cm台前半が3本で終わったが、気合いを入れて釣行回数を増やした割には数、型共に満足のいく結果ではなく、消化不良気味の春ヒラマサ・シーズンだった。
反省点は、この間に7号ハリスを2回飛ばしていることで、その原因は何らかの都合でドラッグを触った後の調整を忘れていたことだ。
次なるは超大型ヒラマサが潜伏するであろう、福井沖の玄達瀬への釣行が1ヶ月先に控えているため、その反省を生かして「今年こそはモンスター・クラスをゲット!」と気合いの入る今日この頃なのだ。
それまでの間はサボっていた渓流釣りを再開する予定。仕様するハリスが8号前後から0.3号前後へ、そしてその次は12号前後と感覚が狂ってしまいそうな1ヶ月だが、ハリスは変われど「常に大型ゲット」の姿勢で挑んでゆくとしよう。
今回お世話になった釣り船は瑞翔(ずいしょう)さん。ここも「少人数でフカセ釣りをさせてもらえる」、「白石グリ方面がメイン」、そして「舞鶴ではよく釣らせる船」として、ボクは前々からチェックしていた船の一つだ。
実は、予約を入れたのは今回が3回目だ。ただし過去の2度は予約を入れたものの、荒天で流れていたから乗船が実現したのは今回が初めて。果たして結果はどうなるのだろうか…。
●瑞翔(帰港時)●
出港地は東舞鶴地区の市役所近くにあり、明治の歴史的な建造物である赤レンガ倉庫群を抜けた先が出港地だ。
●赤レンガ倉庫群●
出航後はイージス艦の「みょうこう」と「あたご」、対空・対潜強化タイプの護衛艦「ふゆづき」に見守られながら一路白石グリを目指した。
●175=みょうこう、118=ふゆづき、177=あたご●
■緩い本潮■
午前11時、毎朝の解禁時間となって一斉にポイントを目指すが、日曜日であるにも関わらず、ライバル船は少なくて、ポイント確保に伴う困難はなかった。どうやら多くの船は、やや沖合にある深場でマダイを狙っているらしく、青物が多い浅場には入ってこないようだ。もとよりマダイには興味がないボクにとってはその方が好都合で、内心ほくそ笑んでいたのだが…。
潮は西方向からやって来る本潮ではあるが、開始当初はスピードが遅くて一流しに時間が掛かる状況だった。ただし、遅いながらも底潮にも動きがあるようなので、悲観するような状況ではない。
そして予想通りと言うべきか数投目、マキエサが効き始めた頃に道糸がビュンッ!と走った。
●やり取り開始●
抵抗感はそこそこ。走り具合からして中小型の青物と予想したが、やって来たのはメジロだった。
●65cmほどのメジロ●
メジロとは言え、早めに答えが出たので、「今日は楽勝か?」との思いがよぎった。しかし、同じセッティングのままの、次の流しではエサが盗られるのみで、アタリは出なかった。したがって、その次の流しでは仕掛のセッティングを変えることとした。
具体的には道糸に着ける発泡ウキの大小で道糸の沈み具合を調整する「福井県鷹巣&玄達スタイル」でタナを変えていったのだが、この日全般を通して続けて同じタナで釣れることは希だったために、常に仕掛けを調整し続けている感覚だった。もっとも、こういった展開は磯釣り師だった頃から馴れているから平気だ。よくグレ釣り名人は「同じ仕掛けで3回流さない。」と言うが、実際そういった心構えでドンドン攻めてゆく方がアタリの数が増えることが多いような気がする。ただし、「逆も真なり」も無いワケではない。1度釣れたらなかなか動かさないタイプの釣り人が同船し、その方が釣果が伸びることがタマにある。そういった場合、ボクは、「何処が悪いのか?」と、迷いに迷い、頭を抱えている間に1日が過ぎてしまうことが多いのだが…。
どうやら、この日はボクのスタイルが状況にハマッていたようで、メジロを始め、ハマチ~ツバスクラスと、イサギ、
●40cm弱のイサギ●
小型のマダイ
●35cm級のマダイ●
等、アタリの殆ど出ない周りと比較すればダントツで釣果は伸びていったが、大本命のヒラマサはボクのハリには一向に掛からなかった。
そうこうしているうちにミヨシで竿を出していた釣り人が大きく竿を曲げた。見れば油断していたらしく、道糸をバックラッシュさせている。そこで船長とボクが駆け寄り、船長が竿を保持し、ボクがバックラッシュをほどく係となって助太刀に入った。バックラッシュの対処法をボクはバス釣り時代に会得していて、よほどでない限りほどく自信がある。この際もサッとほどいてあげて、その釣り人はやり取りを再開。ラッキーにも魚は仕掛けに着いたままだったので、その後に続く何度かの締め込みに「リールが巻けない」と声を上げながらも何とか踏ん張っている。しばらく後にもう一度目をやれば、無事にゲットできたようだ。そしてそれが80cmほどのヒラマサだった。
■大型魚の締め込み■
うらやましさが込み上げる中、ボクも気合いを入れ直したが、見ればヒラマサをゲットした釣り人は、朝からサルカン一個のみの3本バリ仕掛けを流し続けているようだ。対するボクは2本バリ仕掛けであり、馴染み方が違う。それは解ってはいながらも、同じタナを攻めようとしてアレコレ迷いながら数投流したが、結局はウマくいかなかった。
そこで、いつもの攻め切るスタイルに戻し、エサの残り具合を根拠に、「最初のリールから無抵抗で送り出す量」、「発泡ウキの大小」、「オモリの大小」、「流す距離の長短」を頻繁に調整しつつ流すことでヒラマサのアタリを待ち続けた。
経験上、小型を除くブリ類のやや上の層でヒラマサがアタることが多いので、メジロクラスが釣れた次の流しではワザとその上を狙うことを心掛けていたが、そうやっている内に、それまでとは明らかに違うアタリを伴ってボクの竿が強烈に絞り込まれる、待望の瞬間が訪れた。
●強烈に曲がるLV H375●
竿を手にとって踏ん張るが、相手はかなりの大きさだとすぐに理解できた。
とりあえず水深分の距離を切るまでは巻き取ることを優先して、やや強引なやり取りを心掛ける。相手がヒラマサの場合はこれが重要だ。
そのため、道糸の出ている距離が長い初期は強め、距離が詰まればやや緩めと、こまめにドラッグ調整を繰り返しながら徐々に距離を詰めてゆく。その間何度もの強引に襲われ、その都度ヒヤヒヤしながら耐えていると、やがて船下までの引き寄せに成功する。
ここでもかなりの攻防があったが、多少は余裕のできたボクの心中に「もしや?」の感が漂うようになった。それは、引き具合がイメージ的に「下へ下へ突っ込む」の動きではなく、「同じ層を横へ横へ走る」の動きのように感じられたからだ。
それでも、大型ヒラマサであることを祈りつつ、慎重にフィニッシュへと導いた。ハリスを手繰っている段階では既に気付いてはいたが、大型魚の正体はブリだった。
●半分笑って、半分トホホ●
●93cm!●
■ブリ・ファミリー■
ブリをゲットした後も続くのはメジロのみで、気付けば出世魚であるこの魚の、小はツバスから、ハマチ、メジロ、ブリの4世代を釣り、釣果はブリ・ファミリーだけで既に2桁に入っていた。だが、同船の釣り人がヒラマサの60cm台を各1本ずつ釣ったのに対して、ボクはゼロ。次第に本命潮の流速が上がる中、どうしても大型ヒラマサを釣って春のシーズンを終えたいボクは仕掛けの調整を繰り返しながら焦りに焦っていた。
●途中経過(ブリは別箱に)●
■最後の一流し■
願いが叶わないまま、いくら釣ってもハマチかメジロで終盤を迎えたが、とうとう「あと一流しで終了」との声が船長から上がる時間となった。
この時、ボクは仕掛けを流している最中だったので、「この次で終わりにする。」と一声掛けた後に一旦回収にかかった。サシエサを確認すると盗られていたので、3Bのガン玉が2つ着いていた仕掛からオモリを外そうと考えた。その際、1個外すか2個外すか迷ったが、根拠はないものの、「初心に戻ろう。」との思いがよぎって、結局は道糸とハリスの継ぎ目にサルカン1個のみのシンプル仕掛を流すことにした。
そしてこの仕掛を65m流したところで、リールから猛烈な勢いで道糸を引き出すアタリを捉えた。
グイグイと引き込む走りは、大型青物に間違いなく、慎重なやりとりを心掛けて応戦を開始する。
●今度こそは!?●
これまた何度もドラッグを滑らせ、「巻いては引き出され」を繰り返しながらも徐々に距離を詰めてゆくが、船下に来てからもしつこい走りが続くので、「どうかヒラマサであってくれ!」と祈りながら耐えていた。そして、ようやくハリスを手繰り寄せる距離に到達した。
海中を覗くと、意外に小さなメジロが付いていたので、「???」だったが、その下にも青物が付いているのが確認したことで、これまでの経緯が納得できた。しかし、まだまだ油断は禁物。「下バリの魚がヒラマサであってくれれば万々歳」と、祈るような思いで慎重にたぐり寄せたが、これがまたもやブリであった。
●左手に持つブリは、85cmあったが…●
そして納竿。結局はヒラマサを手にすることは叶わぬ1日だった。
■春のシーズンを終えて■
白石グリでの春の大型ヒラマサ・シーズンは釣行時点で既にポツポツ状態になっており、6月に入る頃には終了となっている感が強い。したがって、今回の釣行で一旦はオフ宣言をすることにしよう。
結局ボクの釣果は80cm台前半が3本で終わったが、気合いを入れて釣行回数を増やした割には数、型共に満足のいく結果ではなく、消化不良気味の春ヒラマサ・シーズンだった。
反省点は、この間に7号ハリスを2回飛ばしていることで、その原因は何らかの都合でドラッグを触った後の調整を忘れていたことだ。
次なるは超大型ヒラマサが潜伏するであろう、福井沖の玄達瀬への釣行が1ヶ月先に控えているため、その反省を生かして「今年こそはモンスター・クラスをゲット!」と気合いの入る今日この頃なのだ。
それまでの間はサボっていた渓流釣りを再開する予定。仕様するハリスが8号前後から0.3号前後へ、そしてその次は12号前後と感覚が狂ってしまいそうな1ヶ月だが、ハリスは変われど「常に大型ゲット」の姿勢で挑んでゆくとしよう。