■待ちに待った解禁■
本年度も6月16日に、福井県沖のスーパー天然魚礁“玄達瀬”での釣りが解禁になったが、今年もスーパーぶりを発揮している。ここでの大本命であるヒラマサについては、早くも解禁初日から111cmの大マサ級がゲットされているが、それ以上のサイズも回遊中で、つい先日も131cmという巨マサ級がゲットされているのだ。
今回の釣行に当たっても、お世話になったのは、越前フィッシングセンター(℡0776-22-1095)所属の、この海域ではボクが最も信頼を寄せる船長が操船する晴海丸さん。であるから、今年も“大船に乗った気分”でのチャレンジだ。
ただし、「夢の130cmクラスを!」との、ボク自身の入れ込みとは反比例して、現地は昨年よりも潮流がかなり遅い日々が続いているため、ゲット率は下がっているようだった。これを説明すると…。
速い潮の中で掛けたヒラマサは、自身のバランスを保つために、余分な力を使わなくてはならず、それに本来の引きが相殺された分だけ掛けた後のゲット率が上がると共に、食い気自体が上昇することが多くなるため、「何打数、何安打」と言われる、アタリの数とゲットの数が共に伸びる。しかし、逆の場合は食い気が落ちてチャンスが減る中、たとえアタリが出ても食い込みが浅くてハリ外れが起こったり、ウマく掛かっても持てるパワーを全て発揮し、好き放題に疾走された挙げ句の果てに、根ズレでバラすことが多くなるためだ。
このため、充分なシミュレーションを行って臨んだつもりだったったのだが…。
■行かない潮の中で■
福井新港から1時間ほどの航海で、玄達瀬に到着。アンカーリングを済ませた後は、マキエサを撒いて潮流を調べてみる。すると、超トロトロの遅い潮が流れていて、噂通りの展開に苦笑いが起こった。
船長の説明では、「昨日もこんな感じで、昼前から潮が動き始めてからの勝負になった。」とのことなので、様子を探りながら時合いを待つ想定で実釣がスタートした。
開始時点から、発泡ウキのセッティングは8+6からタナを探り始めた。普段であれば高浮力になるが、道糸10号、ハリス12号と、メジ・カツオ用バリの14号という、太く重い仕掛の影響で、これでも結構沈みは早い。
緩い潮のためか、一投目からエサが盗られたのを受けて、更に浮力を増してゆくが、何となくしっくりこない感じが漂っていた。
そんな中、遅れてスタートした兄のリールが、たった二投目で急速逆転し、大きく竿を曲げた。
兄は、必死のパッチでやり取りを開始するが、結構型は良さそうな感じだった。
それもそのはずで、無事玉網に収まったのは、良型ヒラマサのダブルだった。
■ようやくアタるが…■
早、時合い到来とコチラも気合いを入れる。こんな緩い潮の中でもアタリがすぐに出たことで「もう少し潮が速くなってくれれば、どんだけ釣れるの?」と、皮算用を始めたが、意に反してその緩い潮が更に緩んで、まるで池の鯉釣りをしているかのような状態になってしまった。
それと同時に勿論、アタリが途絶えたが、まだこの時点では心に余裕があった。
兄のダブルから2時間程経過した時点で、隣の船がヒラマサをゲットしたので、「コチラもそろそろ。」と考えていた矢先、今度は、ボクのリールが急速逆転し、すかさずアワせを入れると竿が大きく絞られていった。
昨年の、失敗時のように、良型程度の引きだと思って余裕でやり取りしていたのが、急にメーターオーバーの引きに変わることもあり得るので慎重にやりとりを開始したが、その心配?もむなしく、12号ハリスでは決して切られることのないサイズがすんなりとネットインした。
二度目の時合いが到来し、再び気合いを入れ直すが、またもや空振りで潮が止まってしまった。そして今度の潮止まりは長く続いた。
そんな中にあっては、攻めのパターンは限られてくるが、真下に沈んでゆくオキアミと同スピードで落ちるように演出するイメージで浮力の調整を繰り返していった。
そして、この努力が実って、殆ど潮止まり状態から、「心持ち動き出したか?」と思える状態に変わると、マキエサを拾いに船下をウロつき始めたマダイが反応を開始した。
掛かって来たのは、良型のマダイであったが、これまたハリス12号の敵ではなく、多少の抵抗感を味わうのみだった。
船長曰く「マダイの群れにヒラマサが突っ込んで来るのを我慢して待つべき。」とのことだったので、浮力を上げて真鯛をかわすような細工はせずに、同じタナ取りで攻め続けてゆく。そしてここから、(潮が緩いために一投ごとの時間が掛かるが、)入れ食いが始まった。
しかしそれは、大は75cm、小は55cmの、いわゆる“玄達の数釣りサイズ”のマダイばかりだった。結局この時合い?では、ボク一人で、途中でハリ外れで逃した分を含めると8投連続でアタリを捉え続けたが、またもや完全に潮が止まると、もうアタリはおろか、気配さえもが消えてしまった。そして残念ながら、この間にヒラマサの登場はなかった。
ここから、またもや忍耐の時間が続き、眠気を押さえながら、投入を繰り返していったが、時折間違って大バリに掛かるウマヅラハゲがクルクル回りながら上がってくるのみで、辛い時間帯が続いた。
■夕マヅメ■
何も起こらないままに早、午後3時を回ったが、漂流物の塊がやって来るのと同時に“やや”ではあるが、潮が動き始めた。
この潮に反応したのか、ボクはまたもや80cm弱のマダイを手にし、兄も同寸のマダイをゲットする。続いてボクは65cmほどのマダイをゲットしたが、ドラマが起こる程のことではなかった。
そして残すところ、1時間となった。最後の勝負をかけるため、残ったマキエサを多めに入れ始めると、待望の青物らしいアタリがボクのリールを急速逆転させてくれた。マダイの引きとは違うため、途中までは「中型のヒラマサか?」と期待したが、「引きが違うかな?」と思った瞬間に正体を現し、それが75cmのメジロだと判ってガックリとなる。
残り3投となった次の流しで、今度は兄のリールが「ブシューッ!」と、それまでにない、水煙が上がる勢いで急速逆転を開始し、ここから兄の人生で最大魚とのバトルが始まった。キツ目に設定したドラグから一気に道糸が引き出されたが、何とかファーストランをしのぎ、「ここからが勝負!」となった。
しかし、そこから数m巻いた時点で残念ながらここで竿がハネ上がってしまった。船長の判断では軽くメーター越えとの判断だったが、ハリ外れではどうしようもなかった。
そして、ラスト2投は何も起こらないままに、納竿時間がやってきた。
■フラフラ潮のお陰で■
6月に入ってしばらくの間、京都府経ヶ岬沖の白石グリからここ福井県沖の玄達にかけて、連日、本潮とは逆であったり、勢いのないフラフラ、ユルユルの潮流が続き、各船長が頭を抱える場面が多くなっているように思う。
振り返ってみると、このところボクの釣行でも食ってきたマダイのハリ外れが頻繁に起こっているし、無事に取り込んだ魚の中でも変な位置にハリが掛かっている個体を見かける機会が増えているが、これは、この頃の活性が上がらない潮の中で、魚が無理矢理口を使ったせいだと思っている。(当日の玄達でも4回もマダイのハリ外れが起こっている。)
このあたりを日本海洋気象センター(http://www.jma-net.go.jp/jsmarine/)の海流図で調べてみると、対馬暖流の支流が若狭湾の入り口から越前岬に向けてダイレクトに差していた昨年と違って、今年は6月に入って以降、大きく蛇行して殆ど潮が差していないことが判る。そんな状態であるから心配は残るが、今後における潮流の好転を期待したいところだ。
しかしながら驚かされるのは玄達瀬の持つポテンシャルだ。他地域であれば当日のような“風が吹く池の流れよりも遅い”潮流になってしまうと、ボーズを喰らってもおかしくなかったが、そんな状態であっても、“他地域であれば、そこそこ上出来の部類に入る釣果”が出るのだから恐れ入ってしまう。この日、ボクには大ヒラマサのアタリはなく残念だったが、そこそこ楽しむことができたという点で、玄達瀬の恵みを受け取ることができた。
この潮が続く限り苦労は続くだろうが、まだまだ解禁されたばかりである。次回以降に期待してこれからも釣行を続けていこうと思っている。「夢の130cmクラス!」は、まだまだ追い求めてゆくつもりだ。
本年度も6月16日に、福井県沖のスーパー天然魚礁“玄達瀬”での釣りが解禁になったが、今年もスーパーぶりを発揮している。ここでの大本命であるヒラマサについては、早くも解禁初日から111cmの大マサ級がゲットされているが、それ以上のサイズも回遊中で、つい先日も131cmという巨マサ級がゲットされているのだ。
今回の釣行に当たっても、お世話になったのは、越前フィッシングセンター(℡0776-22-1095)所属の、この海域ではボクが最も信頼を寄せる船長が操船する晴海丸さん。であるから、今年も“大船に乗った気分”でのチャレンジだ。
●洋上の晴海丸さん●
ただし、「夢の130cmクラスを!」との、ボク自身の入れ込みとは反比例して、現地は昨年よりも潮流がかなり遅い日々が続いているため、ゲット率は下がっているようだった。これを説明すると…。
速い潮の中で掛けたヒラマサは、自身のバランスを保つために、余分な力を使わなくてはならず、それに本来の引きが相殺された分だけ掛けた後のゲット率が上がると共に、食い気自体が上昇することが多くなるため、「何打数、何安打」と言われる、アタリの数とゲットの数が共に伸びる。しかし、逆の場合は食い気が落ちてチャンスが減る中、たとえアタリが出ても食い込みが浅くてハリ外れが起こったり、ウマく掛かっても持てるパワーを全て発揮し、好き放題に疾走された挙げ句の果てに、根ズレでバラすことが多くなるためだ。
このため、充分なシミュレーションを行って臨んだつもりだったったのだが…。
■行かない潮の中で■
福井新港から1時間ほどの航海で、玄達瀬に到着。アンカーリングを済ませた後は、マキエサを撒いて潮流を調べてみる。すると、超トロトロの遅い潮が流れていて、噂通りの展開に苦笑いが起こった。
船長の説明では、「昨日もこんな感じで、昼前から潮が動き始めてからの勝負になった。」とのことなので、様子を探りながら時合いを待つ想定で実釣がスタートした。
開始時点から、発泡ウキのセッティングは8+6からタナを探り始めた。普段であれば高浮力になるが、道糸10号、ハリス12号と、メジ・カツオ用バリの14号という、太く重い仕掛の影響で、これでも結構沈みは早い。
緩い潮のためか、一投目からエサが盗られたのを受けて、更に浮力を増してゆくが、何となくしっくりこない感じが漂っていた。
●緩い潮の中でのスタート●
そんな中、遅れてスタートした兄のリールが、たった二投目で急速逆転し、大きく竿を曲げた。
●大きく曲がる兄の竿●
兄は、必死のパッチでやり取りを開始するが、結構型は良さそうな感じだった。
それもそのはずで、無事玉網に収まったのは、良型ヒラマサのダブルだった。
●85cm&70cm●
■ようやくアタるが…■
早、時合い到来とコチラも気合いを入れる。こんな緩い潮の中でもアタリがすぐに出たことで「もう少し潮が速くなってくれれば、どんだけ釣れるの?」と、皮算用を始めたが、意に反してその緩い潮が更に緩んで、まるで池の鯉釣りをしているかのような状態になってしまった。
それと同時に勿論、アタリが途絶えたが、まだこの時点では心に余裕があった。
兄のダブルから2時間程経過した時点で、隣の船がヒラマサをゲットしたので、「コチラもそろそろ。」と考えていた矢先、今度は、ボクのリールが急速逆転し、すかさずアワせを入れると竿が大きく絞られていった。
●ようやくの良型ヒラマサ●
昨年の、失敗時のように、良型程度の引きだと思って余裕でやり取りしていたのが、急にメーターオーバーの引きに変わることもあり得るので慎重にやりとりを開始したが、その心配?もむなしく、12号ハリスでは決して切られることのないサイズがすんなりとネットインした。
●コチラはシングルだが85cm!●
二度目の時合いが到来し、再び気合いを入れ直すが、またもや空振りで潮が止まってしまった。そして今度の潮止まりは長く続いた。
そんな中にあっては、攻めのパターンは限られてくるが、真下に沈んでゆくオキアミと同スピードで落ちるように演出するイメージで浮力の調整を繰り返していった。
そして、この努力が実って、殆ど潮止まり状態から、「心持ち動き出したか?」と思える状態に変わると、マキエサを拾いに船下をウロつき始めたマダイが反応を開始した。
●マダイが竿を曲げる●
掛かって来たのは、良型のマダイであったが、これまたハリス12号の敵ではなく、多少の抵抗感を味わうのみだった。
●65cm級●
船長曰く「マダイの群れにヒラマサが突っ込んで来るのを我慢して待つべき。」とのことだったので、浮力を上げて真鯛をかわすような細工はせずに、同じタナ取りで攻め続けてゆく。そしてここから、(潮が緩いために一投ごとの時間が掛かるが、)入れ食いが始まった。
しかしそれは、大は75cm、小は55cmの、いわゆる“玄達の数釣りサイズ”のマダイばかりだった。結局この時合い?では、ボク一人で、途中でハリ外れで逃した分を含めると8投連続でアタリを捉え続けたが、またもや完全に潮が止まると、もうアタリはおろか、気配さえもが消えてしまった。そして残念ながら、この間にヒラマサの登場はなかった。
ここから、またもや忍耐の時間が続き、眠気を押さえながら、投入を繰り返していったが、時折間違って大バリに掛かるウマヅラハゲがクルクル回りながら上がってくるのみで、辛い時間帯が続いた。
■夕マヅメ■
何も起こらないままに早、午後3時を回ったが、漂流物の塊がやって来るのと同時に“やや”ではあるが、潮が動き始めた。
この潮に反応したのか、ボクはまたもや80cm弱のマダイを手にし、兄も同寸のマダイをゲットする。続いてボクは65cmほどのマダイをゲットしたが、ドラマが起こる程のことではなかった。
そして残すところ、1時間となった。最後の勝負をかけるため、残ったマキエサを多めに入れ始めると、待望の青物らしいアタリがボクのリールを急速逆転させてくれた。マダイの引きとは違うため、途中までは「中型のヒラマサか?」と期待したが、「引きが違うかな?」と思った瞬間に正体を現し、それが75cmのメジロだと判ってガックリとなる。
残り3投となった次の流しで、今度は兄のリールが「ブシューッ!」と、それまでにない、水煙が上がる勢いで急速逆転を開始し、ここから兄の人生で最大魚とのバトルが始まった。キツ目に設定したドラグから一気に道糸が引き出されたが、何とかファーストランをしのぎ、「ここからが勝負!」となった。
しかし、そこから数m巻いた時点で残念ながらここで竿がハネ上がってしまった。船長の判断では軽くメーター越えとの判断だったが、ハリ外れではどうしようもなかった。
そして、ラスト2投は何も起こらないままに、納竿時間がやってきた。
●全釣果●
■フラフラ潮のお陰で■
6月に入ってしばらくの間、京都府経ヶ岬沖の白石グリからここ福井県沖の玄達にかけて、連日、本潮とは逆であったり、勢いのないフラフラ、ユルユルの潮流が続き、各船長が頭を抱える場面が多くなっているように思う。
振り返ってみると、このところボクの釣行でも食ってきたマダイのハリ外れが頻繁に起こっているし、無事に取り込んだ魚の中でも変な位置にハリが掛かっている個体を見かける機会が増えているが、これは、この頃の活性が上がらない潮の中で、魚が無理矢理口を使ったせいだと思っている。(当日の玄達でも4回もマダイのハリ外れが起こっている。)
このあたりを日本海洋気象センター(http://www.jma-net.go.jp/jsmarine/)の海流図で調べてみると、対馬暖流の支流が若狭湾の入り口から越前岬に向けてダイレクトに差していた昨年と違って、今年は6月に入って以降、大きく蛇行して殆ど潮が差していないことが判る。そんな状態であるから心配は残るが、今後における潮流の好転を期待したいところだ。
しかしながら驚かされるのは玄達瀬の持つポテンシャルだ。他地域であれば当日のような“風が吹く池の流れよりも遅い”潮流になってしまうと、ボーズを喰らってもおかしくなかったが、そんな状態であっても、“他地域であれば、そこそこ上出来の部類に入る釣果”が出るのだから恐れ入ってしまう。この日、ボクには大ヒラマサのアタリはなく残念だったが、そこそこ楽しむことができたという点で、玄達瀬の恵みを受け取ることができた。
この潮が続く限り苦労は続くだろうが、まだまだ解禁されたばかりである。次回以降に期待してこれからも釣行を続けていこうと思っている。「夢の130cmクラス!」は、まだまだ追い求めてゆくつもりだ。