中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

ヒラマサのタナ談義

2016-05-28 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
釣行予定は6/5まで入っていないため、最近、思い巡らせていることを…。

■タナ論議■

 このブログをつぶさに見ている人は気付いていると思うが、コメント内で少しばかり「タナ論議」があったので、今回はそのあたりの話を書いて行こうと思う。

 ボクの場合、ヒラマサ狙いの第一投目のタナ設定は2パターンある。積極的に発泡ウキを使う福井県・鷹巣沖~玄達瀬釣行時の場合は、まず、直近の釣行でアタリの多かった発泡ウキの号数を船長に確認する。そして当日の潮況を加味し、最初の送り出し量を潮が遅ければ短く、早ければ長くといった具合に、20~40mの間で変化させてスタートすることが多い。これは乗合船であっても仕掛の特徴が揃い易い地区であることと、船長とボクの考えに大差がないために出来ることだ。しかし、全長は6~20m超、ハリスの号数は5~8号、ハリ数が2~4本と各自がバラバラな京都府・冠島~白石グリへの釣行時では、他人のデータは当てにはならない。したがって、小型BB入りサルカンだけでハリス&道糸を連結した状態で最初の送り出し量を潮の遅速に合わせて、とりあえずはスタートさせている。
 その後、エサの盗られ具合や、アタリの出具合で発泡ウキやガン玉で沈ませ具合=タナを調整してゆくのだが、前々回の、白石グリ釣行時はこんな感じで展開していった。当日は南からの潮流だったため、この時期の本命である浅場ではなく、この潮に強いと言われている南側のポイントに入っていた。そしてその結果は同船者に計2本のヒラマサが出ていたにも関わらず、ご存じの通りボクの釣果にヒラマサは無しで、イサギとマダイが数匹という結果に終わった。
 この日の釣行記を見た、とある有名船長からコメント内で「狙うのはイサギやマダイより、もっと上」というアドバイスをもらい、そこから論議が少し展開した次第だ。

 「ヒラマサは上層まで浮く」ということを前提にしているのは、完全フカセ以外の、他の釣りスタイルでもうかがい知れる。
 例えば、山陰~九州の五島列島にかけての一帯では、磯からカゴ釣りでヒラマサを狙っているが、その基本仕掛は、ウキとカゴが一緒になった、タルカゴや上カゴと言われる器具を使って、水面直下でマキエサを振り出すスタイルだ。一般的な道糸とサルカンの連結部にマキエカゴを取り付け、オモリで沈めてからマキエサを降り出すタイプの仕掛は、ヒラマサがどうしても浮いてこなかった場合にのみ使用し、通常はマダイを狙う際に使用することが多いようだ。
 興味を惹くのは、このスタイルで釣る場合、一般に生のオキアミに比べて比重が軽く、上層を漂い易いと言われているボイル・オキアミをマキエ、サシエ共に使用することが多い点だ。
 更に進んで、グレ釣り界の鬼才と言われている、松田稔氏がヒラマサを磯から狙っているシーン「http://www.fishing-v.jp/denshin/?pcd=8414740」も興味深い。この中で氏は、足踏み式の遠心力脱水機を現場に持ち込んで、ボイル・オキアミの水分を更に飛ばし、殆ど浮いてしまうような状態にしてからカゴに詰めてポイントに投入している。そしてそのうえに同じマキエサをマキエ杓で上撒きをしているのだ。磯の近くをヒラマサが回遊して来るのは、高活性でエサを求めているからであり、その場合は浮いたエサをついばむために、かなりの上層まで浮いてくるということの証明になる。
 話変わって、ルアー船でも近年はジギングでの釣果に目立ったヒラマサは少なく、殆どが誘い出しというテクニックを使った表層狙いの釣りでヒラマサの釣果を得ているようだ。

 知っている人には「何を今更…。」の話で恐縮だが、上述点からエサを求めている=高活性のヒラマサは、“はかなり浮いている、”もしくは“かなり上層のエサを狙っている”ということがこれで確認できるだろう。


■振り返れば…■

 自身の、「ヒラマサを数釣った日」の状況を振り返ってみると、「今日は浮いている。」と感じながら、浅場の周辺を攻めている日の釣果には外道にマダイやブリ族は少なく、イサギやグレが混じる割合が増える。」といった傾向があることに今更ながら気付かされた次第で、その典型例が下写真になる。

●2014年6月・玄達瀬での釣果(二人分)●

 イサギ、特にグレ類は潮が良ければマキエサにつられて浮き上がることの多いため、それが外道のメインになるのは、その日に釣ったヒラマサはエサを求めて上層まで食い上がってきていたという事になる。

 逆に、活性が低く「ようやくの1本を獲った日」には同じ産卵前でもマダイやブリ族が殆どになる傾向があるので、浮いてこないヒラマサのタナをアレコレと探った結果という事になり、その典型例が下写真になる。

●2015年6月・玄達瀬での釣果(二人分)●

 この日は、潮流が止まったり、トロトロと動いたりの一日で、単発のアタリが殆どだった。

 面白いのは下写真で、この日は、前半の潮況は良かったものの、後の変化で活性が急降下して、後半は深く探らざるを得なかったのだ。

●2013年6月・玄達瀬での釣果(二人分)●

 釣果は正直で、前半はヒラマサばかりだったが、後半はマダイばかりで二分されている点が面白い。
 また、写真はないが、白石グリの釣行で何度かやらかしている、「自分だけヒラマサ・ボーズの日」である、5月8日のような日は、ボクだけがマダイやブリ族の釣果のみに終わっていることが多い。これは仕掛をヒラマサのタナよりも深く入れすぎていた結果ということになるのだと思う。

 秋の場合も白石グリでは下写真

●2013年11月・白石グリでの釣果(二人分)●

で解るように同様の傾向がある。
 しかし、鷹巣沖ではイサギが殆ど棲息しておらず、グレには深すぎるところを攻めることが多いため、むしろマダイと同じようなタナで釣れてくるようだ。従って、この地区ではパターンが当てはまらないように思う。

●2012年11月・鷹巣沖での釣果(二人分)●


■実釣に反映させてみると…■

 自分なりに得たヒラマサの習性に対する知識や、いただいたコメントを実釣時に反映させてみると…。
 前々回の白石グリ釣行では、まず初期の自分の仕掛にイサギが釣れていた時点では、アタリの出方が明確ではなかったので、オモリを打って沈めた後に張る方法を採ったが、「そのまま、もしくは、それよりもやや上を狙う。」が正解。中盤のブリ族やマダイが釣れていた時点でのボクは、そのタナでアタリを待ち続けていたが、「無視して更にもっと上を狙う。」が正解だったように思える。
 それらを実践していれば、もう少しヒラマサのアタリがとれて結果が変わっていたのかも知れない。但し、後半に活性が下がった時点では、「ボクがやっていた方法でも良かったのかな?」といった感じだ。
 また、前回の柴山沖釣行では、「グレ類が潮具合にかなり敏感であるうえ、よりマキエサに上ずってくるタイプ。」ということを考慮して、同じようなタナで狙うのが正解で、その実、その近辺のタナでヒラマサが釣れた。それ以降の流しではマダイが続いたが、釣った時点で即座にもっと上を狙うことを心掛けていれば、短い時合いの間にもう一度くらいヒラマサのアタリをとっていたのかも知れない。

 その他、研究ついでに考えていることがある。それは、「どうせ浮いてくるのなら、磯の上物釣りスタイルのようなフカセ釣りの方が効率的では?。」という点だ。フロロカーボン製の沈む道糸を基本にして浮かせる方向に攻める以外に、ナイロン製のサスペンド系道糸を使い、浮いた物を沈めて行く方向に(=上から下に)攻めを展開する方法があるような気もするのだ。だが、誰も試さないようだし、ボクにもそんな勇気はない…。従って、以下は妄想の域だが…。

 まずは磯釣り用円錐ウキの中で離島用と言われる、大型の0号負荷をナイロン道糸(風が強い日はフロロカーボン)に装着するのが基本形。激流でタナがとりにくい場合は3~5号負荷の円錐ウキを使い、それに合わせた丸玉オモリを入れる。どっちのウキを使った場合でも基本的にハリスには何も打たないでおく。その際、使用するエサはボイルのオキアミを使った方がより効果的かも知れない。
 これでサシエサが残ったらハリスと道糸の継ぎ目にオモリを足して、マイナス負荷の方向へ持って行く。そしてオモリを更に増やすことでタナを下げて行き、サシエサが盗られた時点で少しオモリを減らし、外道が掛かればその種類に合わせた=ヒラマサが浮く層との差に応じたタナ調整を行う。仕掛を張れば潮の抵抗を受けて浮上し、緩めれば沈むという性質を利用して誘いを加えながら流してゆけば、そのうちにアタリが「ドカンッ!」と…。
 これって、足場とタックルは違えどボクが大好きな離島で大型尾長グレを狙う本流釣りの世界なのだ!。

 そんなこんなを反省したり、思い巡らせていたのだが、とにもかくにもせっかくの研究が、「獲らぬヒラマサのカマ(ここの塩焼きが一番オイシイ!)算用。」に終わらないことを祈りたい。
 

 
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京都の敵を兵庫で討つ

2016-05-21 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■初めての海域■

 前回で触れたように、失意のうちに白石グリを後にしてからは、悶々とする日々を過ごしていたが、それが癒え始めた一週間後、ボクにとって初めて海域に向かった。

 向かったのは兵庫県北部の但馬海岸にある、柴山という地区だ。ここを知ったのは数年前で、情報源はインターネットの釣果欄だったが、春~初夏はオキアミエサの完全フカセで、初秋~秋本番は落とし込みで80cmオーバーのヒラマサが狙え、釣果もコンスタントに出るようだった。しかしながら、この地区の遊漁船は数が少なく、乗船者側の競争率が高いため、基本的にカレンダーの赤いところしか釣行できないボクの場合は、予約が全くとれない状況で数年間待っていた。
 今回、第三豊洋丸さんに、たまたまキャンセルが出たようだったので、急遽予約を入れて釣り座を確保した次第だ。

●待機中の第三豊洋丸●


■好スタート■

 出航後に、「あっちの方が、その昔、釣りサンデーの取材で行った三尾の磯か…。」、「あっちの方が、一昨年にメダイを狙いに行った津居山の方か…。」と、思いを馳せていたが、アッという間にポイントの到着。ものの10分もかかっていないため、何となく拍子抜けするようなしないような…。とにかく近ければ、実釣時間も増えるので有り難い。

●出港地が丸見えの近さ●

 時間に余裕がなかったので、慌てて準備開始。潮は南東から北西へ、100m流すのに10分の速さで流れており、ほぼ理想の流速だったが、風が西方向から吹いていた。開始時は風・潮の微妙なバランスで船尾は北に向いていたが、バランスが崩れると“恐怖のアンカー潮”になるため、そうならないよう祈るばかりの状況だった。
 
●今シーズンのタックルセッティングで●

 仕掛は、いつもと同じ、道糸7号に、ハリス8号6mの2本バリをBB入りスイベルの0号で連結しただけのシンプルなモノ。これをまずは25mの送り出しで流し始めた。
 すると、85mで道糸が軽く走る。さほどの抵抗感はなかったが、一投目からのアタリに気を良くしつつ、難なくゲット。正体は何と尾長グレだった。

●41cmの尾長グレ●

 「2号以下のハリスで磯から釣ると面白いサイズやなぁ。」と思いつつ、磯釣りの経験から、「この魚は、潮具合が悪ければ全く口を使わない魚だ。」と解っていたから、次の流しにも俄然、力が入る。そして続いての流しでもほぼ同寸の尾長グレをゲットする。
 やや潮流が速まったような気がしたので、送り出しを35mにしてみると、大きく道糸が走って、アワセを入れると、それまでよりは多少大きめに竿が曲がり込んでいった。

●心地良い曲がり●

 コンコンと竿を叩く様子から、そこそこサイズのマダイと判断。そしてその通りにゲットした。

●58cmのマダイ●

 続いて同じセッティングで、小型のマダイをゲットする。

 狙っている瀬の水深は27mほどだった。マキエサに反応して浮いてくるグレ類の方か、マダイの方かどちらのタナに大本命のヒラマサが突っ込んで来るのか迷ったが、優柔不断にも「中間かな?。」と思い、送り出しの量を30mにしてみることにした。
 そしてこの状態で流し始めた仕掛が102mに差し掛かった時に、「ブーンッ!」と、道糸がはじけ飛んでいった。続いてのキョーレツな引きから良型のヒラマサと判断し、前回の教訓から「心して」の、やり取りの体勢に入った。 

●大きく曲がる竿●

 ボクの釣り座から90m先あたりに何かあるらしく、相手はそこで執拗に締め込んでくる。いつものように道糸を引き抜いてリール側に送り込んで対処するが、引きもさることながら重量感が半端ではないため、「何か様子がおかしい?。」と、思っていたが、約80mまで寄せた段階で「クチュンッ」という、何かが抜けるような感触が伝わってきた。そしてそこからは重量感は減るが、走りの距離が増える傾向になったため、どうやら当初はダブルで掛かっていたのが、口切れを起こして1本外れたかのようだ。しかし、それでも強い引きであることは変わらないので、慎重に相手との距離を詰めていく。
 やがて足下の水深分である50mを切るに至ったが、前回の教訓から、ここからはドラグを少し緩めて更に距離を詰めていった。そして、電動巻き上げが停止してからはドラグセッティングを更に緩めて「指でスプールを押さえて竿を持ち上げる→竿先を下げながら巻き取る」手順でポンピングをし、前回の失敗区間を無事に通過して、玉網内に導入することに成功した。

●スケール計測で90cm!のヒラマサ●

 そして、続いての流しでは小型のマダイをゲットするに至る。


■アンカー潮に■

 ここまで空くじ無しの6連発。出来過ぎのスタートダッシュだったが、気付けば懸念していたように徐々に船位が変化して、朝一番からの勢いは無くなった。そして、左側に並ぶ人達とオマツリするようになってきた。
 こうなるとボクの釣り座からは流すのも遠慮気味になって、アタリを取ることが難しくなってくる。そんな中、最左列に入った釣り人が81cmのヒラマサをゲットしたが、しばらく間を置いてもう一度その釣り人が掛け、それをバラしてからは全くアタリが途絶えるようになった。
 そして、船位は更に変化して、とうとうアンカー潮になってしまい、我慢の時間帯に入っていった。
 そんな中、船長は船位と潮のバランスが変わると、瀬から近付けたり、遠ざけたり、何とかウマく流せるよう調整してくれたが、ポツンとボクが中小型のマダイのアタリを取っても他に続くアタリはほとんど無く、“一アンカー投入で一魚”状態でで刻々と時間が過ぎていった。

●ポツポツとアタる、中小型マダイ●


■更に酷くなる状況■

 そうこうするうちに潮が北からの流れに変わり始め、何とかウマく流せるようにはなってはきたが、エサはほとんど盗られず、どうも様子がおかしい。どうやら底潮が止まっているようだ。
 試しに重めのオモリを入れて沈ませて強制的に底潮に馴染ませてみると、時折エサが盗られるので、そこを中心に探っていくと、一度だけポツンとアタリを取ることに成功したが、これまた小型のマダイだった。
 「かくなる上は。」と、カゴを取り出して“カゴフカセ”仕掛に変更して底潮でマキエサを振ってみたが、エサが盗られるだけで何も起こらず、尻すぼみのままで納竿時間となってしまった。


■攻めたいポイントの一つに■

 当日は気まぐれな潮のため、実質は2時間以内で終わった感のある釣りだったが、それでも魚影の濃さを感じた一日だった。船長に確認してみると、例年の最長寸は95cmほどということだったが、バラす人も多いようなので実際のポテンシャルはもう少し上のようにも思える。
 そんなこんなでボク的には、「潮さえ合えば、メーターオーバーのように“超”は付かないものの、そこそこの大型が堅実に出てくれる地区」として、今後も竿出ししてゆきたい地区の一つになった。
 “京都の敵を兵庫で討つ”カタチとなって、前週の失敗を多少は取り戻した気にはなっているが、1本出た程度では、充実感を得るほどに心は晴れていはない。
 帽子を車内に忘れたために、日焼けでヒリヒリと痛む頭の皮を撫でつつ、「スカッと痛快な一日」が来ることを願って今後もチャレンジは続けてゆく。
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最後の“一伸し”

2016-05-14 12:30:00 | 船釣り・釣行記
■一月ぶりに■

 4月は17日と29日に乗船予約を入れていたのだが、発達しながら通過した低気圧の影響で両日ともアウト。よって約一月振りの釣行になった5月8日に、いつもの日本海41(滝ヶ浦遊船)に乗って白石グリへと向かった。
 日々の解禁時間である、午前11時にスタートダッシュが決まって、想定していたポイントをキープしたが、前日までの西からとは違って南からの潮流に変わっていたため、数投で移動になった。
 移動先は、船がひしめき合っていた先程のポイントとは違ってノーマークだったようで、他船を気にすることなく釣りが出来そうだった。

●ノーマークだったポイント●


 期待を込めて流し始めると、早くも一投目でボクを交えたダブルヒットがあって、イサギをゲットする。
 しばらく間を置いて左横で大型魚のヒットがあったが、アンカーロープ方向に走られてアウト。どうやら気配はあるようだが、一旦は後方に流れた後、底潮に乗ると船首やや右舷方向に向きを変える二枚潮になっているので、掛かってからが厄介な展開になりそうだった。

 そんな中で「俺にも来てくれ!。」と願っていたら、二枚潮時特有の明確ではない道糸の走りだったが、何とかアタリを捉えることに成功した。

●ヒットしたが…●

 しかし、相手の引きは大したことはなく、レギュラーサイズのハマチをゲットする。

●いつものハマチ●

 アタリの出方が明確ではなかったため、続いての流し以降は、サルカン上にガン玉のBサイズを打って早めに沈め、道糸が40m出た時点で一旦クラッチを入れて1分間待ち、底潮に馴染ませてから再び流すというイメージで攻めることにした。しかしながら、このパターンや、もう少し止める時間や距離を変えたパターンでは、時たまイサギが来るくらいで、明確な効果があったようには思えなかった。
 その間、ボクの左横では90cmのヒラマサがオマツリして団子になったラインと共に上がっていたが…。

■アンカー潮から■

 昼過ぎからは、とうとうアンカー方向に流れる“アンカー潮”になってしまった。そのため乗り合わせた各人が苦労する時間帯が続いたが、次第に風向が東寄りになってきたため、何とか流せるようになってきた。それと同時にエサが頻繁に盗られるようになったので、発泡ウキの番手を上げてゆき、仕掛を浮かせる方向に調整を開始した。
 6番から始まって、それが8番になった時点で大きく道糸が走って、これまでで一番の引きがボクの竿を襲った。時折リールの巻き取りが止まる様子から青物の引きと判るモノだった。

●道糸を引き抜いて対処●

 多少の抵抗は受けたものの、無事に足下の水深分の距離を切ったので、ここからは余裕のやり取りだった。この段階でも横方向に走らなかったため、「本物か?。」と思っていた頃、船首でも大きく竿が曲がった。いわゆるダブルヒットだ。
 しかし、ボクの方は手手繰りの段階に入ってガックリ。目に入ったのは「まだメジロ?、もうブリ?」といったサイズのブリ族だった。


●80cmのメジロ(ブリ?)●

 続いて玉網に入った船首の釣り人の魚は88cmのヒラマサだったので、ボクの方には大運が向いていないようだった。但し、小運はあったようで、ここからボクにアタリが集中し、それが6連続。しかし、結果は小運なりで本命は1本もなかった。


■運が良いのか悪いのか…■

 夕刻が迫り、エサが残るようになったので、発泡ウキを外してみることにした。そしてしばらく間が空いた後に、この日2枚目の、食べ頃サイズのマダイをゲットする。

●45cmのマダイ●

 夕刻以降、周りではあまりアタリが出ていなかったようなので、ボクの小運はまだ続いていたようだった。しかしながら、本命を得ぬままに、ついに最終段階に差し掛かった。

 最後の数投で、残りエサをドカ撒きした際に、周囲をウロついていた大型のヒラマサがそれに反応して“一発逆転”があったことは一度や二度ではない。福井県の鷹巣沖や玄達瀬でもそうだったが、記憶に残る範囲で5度経験している。そしてこの日も…。
 流している最中に「ラストの一投!。」の声が掛かったので、一旦は回収にかかった。残ったマキエサは2kg(袋の2/3)程度だったので、それを三等分することにした。そしてサシエサを付ける直前に一回目、仕掛けを投入してハリスが張った頃に二回目、手たぐりで道糸を10m引き出した後に三回目をドカドカと撒き、そのに後もう10m(計20m)道糸を引き出してから竿受けにセットした。
 トロトロと潮が流れる中、60mほど流した頃に明確ではないものの、ついにアタリが出るに至った。巻き上げ開始時は大した引きではなかったので、「マダイの60cm級かな?。」と思っていたのだが、付近の水深を切るであろう、50mほどになった瞬間に突然暴れ出した。走り出した距離は10mほど。「オッとこれは…。」と考えを改め、ドラグワークと引き抜きを駆使して寄せに掛かる。そうこうしていると残り40m前後になったので、やや余裕が持てる状態になった。だが、ここでも3~5秒はドラグが滑りっぱなしになることがあったので、「慎重に、慎重に!。」と言い聞かせながら更に距離を詰めた。しばしの中間点でのやり取りがあったが、残り5mで電動巻き上げが停止し、更に距離を詰めるための、手巻きの段階に入る。
 相手は確実にヘバり始めていたようだった。この段階ではそれを十分に確認できれば、針穴が広がり、首を振った瞬間にハリ外れが起こることを警戒して、早めに浮かせてしまうのだが、判断を誤ると、船影に驚いた相手が最後の力を振り絞って抵抗をし、失敗することがある。その判断は難しいが、この時のボクは早めに浮かせる方を選択した。
 この時点では、道糸やハリスが船底のスクリューや舵に擦れることを警戒したいので、それらと道糸との距離をとるため、あまり竿を立てることは出来ない。しかも道糸の距離が減っている分だけショック吸収性が減るので、ドラグの調整はこれまでよりは少し緩めにした方が良い。この日もその通りにしたのだが…。

 次の瞬間である。緩めにしたつもりがやり過ぎたのか、滑って手巻きが出来なくなったドラグを締める方向に回したのだが、その際に締めすぎたのか、はたまたその一連の動作がぎこちなかったのか、こちらが隙を見せた瞬間に相手が走って竿先が跳ねてしまったのだ。ハリス切れである。
 最後の引きは経験したことのないような強烈なモノではなかったし、使用するハリスの点検や交換はマメにする方だから、傷んでいたワケではない。白石グリでの釣りでは根ズレ以外の理由で8号ハリスが飛んだ経験は記憶にないため、チェックしてみたが、スレてささくれたような痕はなかったし、結び目の不具合箇所も無かった。また、船底に触れたワケでもなく、切れた箇所はハリのやや上で、鋭くはないモノに擦れた感じでブツリと切れていたのだ。
 「鈍いが硬い歯で擦り切れたのなら、超大型のマダイだったのかも知れないが、6号以上のハリスを切られることはマズないし、引き方が違うような気がする…。」、「執拗に真下に走る範囲はヒラマサのようだが、コイツの歯はザラザラだけど、ハリスを切る程エッジが立っていないし、そもそもハリを飲み込む確率は低いし…。」、等々、色んなことが浮かんでは消えたが、正体を見ていないので断言は出来ない。頭の中は「???」。せっかくのチャンスを“最後の最後”に逃し、失意のうちに納竿となった。
 

■今後に生かす■

 「どうにもならなかったヤツを、次はどうにかしようとアレコレ考えてみたものの、結局はどうにもならなかった。」というのを、年に何度か体験するのが、大型ヒラマサを狙う完全フカセ釣りだ。しかし、それがボクらの心を燃え上がらせる源なのだ。
 で、あるから、「ゲット率(ほぼ)100%ならブリ族相手と一緒やで。」と、強がりを言いたいところだが、このブログの読者の方から「シーボーグ500Jは、ドラグにクセがあるから、締め付けすぎに要注意!」との貴重なコメントをいただいていたし、そもそも「あの時ドラグ設定を変えず、スプールを指で押さえてポンピングする方法を何故採らなかったのか?。」と、ボク自身も考えていたことを船長にも指摘されており、「慌てず、いつもの対処をしていれば…。」と考えると、失敗のショックは大きかった。そのため、いつもは爆睡しているハズの、帰りの航海では全く眠れなかった。
 「今回の経験を生かして次回で挽回」と言いたくても、今春の白石グリへの釣行チャンスは一度しか残っていないため、可能性が低い。もしかすると、このモヤモヤは来月から始まる玄達瀬への釣行で、自己記録の更新級の出来事でも起こらない限り吹き飛ばすのは難しいのかも知れない。そんな日が来ることを夢見て今後もチャレンジは続く。
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電源まわりの話 ~その3

2016-05-07 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
「電源まわりの話 ~その2」から

■電動リールをパワーアップ■

 電動リールの持てるパワーをフルに引き出すためには、搭載されたモーターの許容範囲内において、電圧が高くて下がり難い電源が必要になる。(「当然の知識」と思っている人には、つまらない説明だけど…。)
 調べてみると、12V(定格)の鉛畜バッテリーは、ベスト・コンディションであれば、満充電時の電圧が「13Vチョイ」程度で、40~50%使用した時点で12Vあたりまで下がるのだそうだ。因みに、それ以上使用すると電極がダメージを受け始め、ヘタをすると充電しても回復し辛くなくなるそうだから、容量に関しては使用する電動リールに合わせ、余裕を持たせて選択する必要があるということになる。そして、段々と電圧が下がるということは、実釣中に、徐々に巻き上げ力が落ちているということになる。
 ダイワ製電動リールの説明書を見ると、対応電圧が12~16.8Vで、シマノの場合は表示が違って使用電源保証範囲が12~14.8Vとなっている。シマノの純正電源の電力丸の電圧は定格で14.8V表示だが、実釣時の、実際の電圧はそれ以上あるはずだから、数値が合わないので、念のためシマノお客様相談窓口で問い合わせてみた。そこでの説明で、シマノの指定電圧は定格であって、実際の対応電圧範囲はダイワと同等だということが確認できた。
 上記のバッテリー電圧と電動リールの対応電圧を照らし合わせてみると、「12V(定格)鉛畜バッテリー使用下では、最下限やや上~最下限に向かってのパワーしか出ていない。」ということになる。そして、その反対が実用電圧で16.8~14.8V(4セルタイプ)という、リチウム系電池だということになるのだ。
 このリチウム系電池はご存じのように軽量でもあるので電源の理想型に近いが、大変高価であるし、過充電や過放電等、扱いを間違えると寿命が極端に短くなるのが難点だ。
 「他に方法はないモノか?」と模索するうちに出会ったのが、サンヨーテクニカ社のハイパーレギュレターという商品だった。

●サンヨーテクニカ社のハイパーレギュレター●

 このレギュレターは12V(定格)の電源を15Vまで昇圧し、安定出力させるユニットで、これ自体が電力を出すわけではない。従って何らかの電源とリールとの間に挟み入れて使用するのだが、供給元の電源は12Vであれば、船内電源でもバッテリーでも構わない。ボクの場合はタックルボックス(VW-2055)内の、自前のバッテリーにつなげているが、これは、「防水構造とは言え、機器を濡らしたくない。」や、「大型ヒラマサとのやり取り等で、釣り座の移動が必要な際にはボックス一つを持てば移動できる」といった理由からそうしている。
 残念ながらこの商品、現在は廃盤となっているので、中古品やデッドストック物をヤフオク等で探さなければならないが、ボクの場合は新品が保証無しという条件ながら、¥5000円という、驚きの価格で手に入ったため、ラッキーだった。
 15V級電源と12V級電源との差は歴然で、乗合船で隣り合わせた釣り人が、ボクが使うリールの巻き上げ力や回収スピードを見て、「何でそんなにパワーがあるの(早いの)?。」と、よく聞いてくるほどだ。手に入り辛いレギュレターではなく、(価格は高いが)現在市販されている14.8V(定格)のリチウム系電池が電源であれば、初期電圧がもっと高いので、これ以上に差がつく。
 だが、「昇圧トランスを入れて、リチウム系電池に近い電圧にしている。」と説明してもピンと来る人は少ない。関東の、深場のスルメイカ釣りファンの間では当たり前の話になっているようだが、僕の乗る関西圏の乗合船では船内電源派が圧倒的で、電源に対する意識は低いので、仕方のない話なのだが…。
 実際に、ダイワの電動リールのカタログには14.8V(定格)のリチウム系電池を使用した際の、パワーアップした数値が()内に表示されているし、シマノでも控えめながら、自社が販売する電力丸というリチウム系電池の説明欄に「今、お使いの電動リールのパワーが約20%アップ(鉛バッテリーに対して)」と表示されているので、メーカーとしては効果を認めているのは事実だ。しかしながら「何故、大々的に謳わないのか?」というところに疑問が残る。恐らくそのあたりの消極さが原因で15V級電源の効果が全国的に認知されない理由なのかも知れないし、ハイパーレギュレターの終売も、その効果の周知徹底不足が原因だと思う。
 また、よく言われる「高価だから。」という理由は、最上級クラスのリールを何台も導入できる釣り人であっても、何故か船内電源を利用している釣り人が多いので、普及しない理由の本筋ではないように思う。
 回収時のスピードアップは手返しの増加につながり、パワーアップはやり取りに余裕を与えてくれる。一度味わえばその差は歴然なのに、もったいない話だ。バッテリーも釣具の一つなのに…。

●電源系が納まった、VW-2055のメイン収納庫●


■まだまだ模索中■

 これまでに書いた電源ボックス兼タックルボックスを一応は気に入って実釣時には足下に置いているが、まだまだ不満があるのは確かだ。その第一は、バッテリーが20Ahクラスの玄達仕様だと10kgを軽く越えてしまう総重量だが、これを軽量化するにはリチウム系電池の導入しか道は無いようだ。ここまでかかった経費をトータルしてみると、バカな話だが、初めっからそれを購入しておいてもそんなに大差はなかった。「『あーでもない、こーでもない。』と、遊べただけイイじゃないか。」と、自分を納得させてはみたものの、「思いはすでにリチウム系電池へ…。」となって、既に研究も開始している。だがそれは、メーカー指定品を含めて一筋縄とはいかない世界のようだ。そのあたりは、いずれ導入した際に書こうと思っている。

 最後に当然の話だが、「電動リール用電源は、自己責任で選択すること!。」と、ことわっておく。
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