■栂池自然園へのアプローチ■
今を去ること数年前、山歩きを始めた頃から気になっていたことがあった。「どうやら、スキーで有名な栂池高原(長野県北部)の、その又上に、見所溢れるハイキングコースがあるらしい。」と…。
今回の長野旅行では「晴れれば」という条件ながら、このコースへのアプローチを当初から計画していたが、運良く梅雨明けのタイミングと重なり、多少雲は沸いていて快晴とは行かないまでも、まずまずの天気になったことをうけて、決行となった。
普段、スキーで訪れる際には、ゴンドラ「イヴ」の終点から1本リフトを乗り継いだ栂の森ゲレンデが最上部になるのだが、雪解け以降のグリーンシーズンには、イヴの終点裏から更にロープウェイが運行されている。そしてその先にあるのが栂池自然園ということになる。
所要時間については、ゴンドラ約20分+乗換200m+ロープウェイ約7分で、料金は大人往復3000円、子供往復1500円となっているが、これに加えて入園料300円が必要になる。
栂池自然園には日本でも有数の高層湿原があり、様々な動植物を観察することが出来る。園内一周は約5.5km、高低差は150mで、所要時間は単に歩くだけでも約3時間半ほどかかる。従って、全長1200mのロープウエイ区間はともかく、ほぼ直線距離で全長4120mもあるゴンドラ区間を基点から歩いてアプローチするには、トータルで相当の時間がかかることを覚悟しなくてはならない。
時間の余裕がない我が家一行は、勿論ゴンドラ&ロープウェイを乗り継いで、自然園入り口にあるビジター・センターを目指した。
■園内へ■
園内のほとんどには木道が通っている。これは植物保護の観点から整備したとのことだそうだ。つまり、植物に対するダメージは人間の踏み跡によるものが、一番の原因ということらしい。
園内に入ってまず目を惹かれるのが、水芭蕉の群生だろう。実のところ、もうシーズンは過ぎていたのだが、今冬の大雪の影響か、開花(実は花ではないのだが)が遅れ、7月中旬の訪問時であっても、まだ日陰の部分を中心に結構な数が残っていたし、こらから先に本格化するであろう夏の花も咲き始めて両方が楽しめる状況だった。
木道を進み更に奥へと進んでゆくが、途中で綺麗な花があるとつい立ち止まってしまうので、滞在時間の計算には余裕を持つ必要があるだろう。
途中、ビジター・センターから歩いて約15分ほどの距離に珍しい風穴がある。風穴とは「洞窟の内外で生じる温度差や風圧差により、早い風の通り抜けが起こるところ」という天然の構造物だが、ここの風穴は根雪か氷が洞内にあるのか、風穴を通り抜けてきた空気は周囲よりもかなり温度が低く、水蒸気を伴って、まるでエアコンの吹き出し口のようになっている。
これがほてった体を冷やしてくれるのだが、辺りは周遊コースになっているので、ここへは後半に廻るようにするのが、ボク的にはおすすめだ。
コースの中間、やや手前にあるのが、「銀命水」が流れる水場だ。ビジター・センターで補給した水が切れてもここで給水可能になるので、位置的にはベストに近い。
水そのものは湧き出てくるタイプではなく、沢の水だが、ミネラル豊富な雪解けの水なので味も甘みがあるモノであり、水質は良いから安心して飲める。
そして、取水場前の広いスペースで食事をとることにする。
■白馬大雪渓■
コースが奥へと向かうにつれ、向かいの白馬岳方面にある「白馬大雪渓」が見え隠れし始める。それにつれて、園内にも小規模の雪渓が現れ始めて足下にも雰囲気が出てくる。
少しの間で登りが続き、それが終わると急に視界が開ける。そこが自然園の最西端にある「展望湿原」だ。
ここでは、邪魔するモノがほとんど無い状態で白馬大雪渓を見渡すことができる。
当日は、ガスがかかり気味で、全貌がスッキリと見渡せたわけではないが、待つうちにうっすらと白馬岳が顔を出す瞬間もあって、他のハイカー共々歓声を上げることもあった。
展望湿原を過ぎると、もう一カ所展望台があったが、こちらは残念ながら手前の木が邪魔をして雪渓全体を見渡すことができなかった。
展望湿原から先は帰路コースになるのだが、周遊するようになっているから、同じコースは辿らず、植生の違いから咲く花々も変化して歩く者を飽きさせない。
■散策を終えて■
あの栂池の上に、こんな施設があるとは思いもよらなかった。開園時の残雪風景に始まり、水芭蕉~夏の花々~夏の終わりのイワショウブまで、花々の咲くタイミングはリンクし、ラストは圧巻の紅葉まで、季節が変わってもコースの魅力は変わらない。その証拠に年間パスまでが発行され、それを利用する人も多いという。
又、最奥に一番のビューポイントを置いているあたり、レイアウトは完璧で、歩きがいのあるコースになっている。とは言っても歩くことに関してはハードさは全くなく、特に前半の一部はバリア・フリー化されているから、老若男女、様々な人々の利用が可能になっているから誰にでもお勧めできるコースだ。
かくいう我が家も秋の紅葉時にも、一度は訪れてみたいと思っている。その日がくることが今から待ち遠しい今日この頃なのである。
■帰りにチョっと■
疲れた足を癒すには、温泉が一番。麓のゴンドラ乗り場にも温泉施設があり、急ぐ場合はその利用もアリだが、我が家の場合は帰り道に隣町の白馬に立ち寄り、そこにある「小日向の湯(おびなたのゆ)」を利用した。ここは閉まるのが午後6時と早いが、ぬめりの強いpH11.1という強アルカリ性の温泉が、掛け流しで注がれる、野趣あふれる雰囲気のイイ温泉だった。
その他、白馬地区にはタイプの違う温泉が散在しており、歩いた帰りに”好みの温泉”に立ち寄ることをお勧めしておこう。
今を去ること数年前、山歩きを始めた頃から気になっていたことがあった。「どうやら、スキーで有名な栂池高原(長野県北部)の、その又上に、見所溢れるハイキングコースがあるらしい。」と…。
今回の長野旅行では「晴れれば」という条件ながら、このコースへのアプローチを当初から計画していたが、運良く梅雨明けのタイミングと重なり、多少雲は沸いていて快晴とは行かないまでも、まずまずの天気になったことをうけて、決行となった。
●栂池自然園の全体マップ●
普段、スキーで訪れる際には、ゴンドラ「イヴ」の終点から1本リフトを乗り継いだ栂の森ゲレンデが最上部になるのだが、雪解け以降のグリーンシーズンには、イヴの終点裏から更にロープウェイが運行されている。そしてその先にあるのが栂池自然園ということになる。
●グリーンシーズンも運行するイヴ●
所要時間については、ゴンドラ約20分+乗換200m+ロープウェイ約7分で、料金は大人往復3000円、子供往復1500円となっているが、これに加えて入園料300円が必要になる。
●ロープウェイ乗り場●
栂池自然園には日本でも有数の高層湿原があり、様々な動植物を観察することが出来る。園内一周は約5.5km、高低差は150mで、所要時間は単に歩くだけでも約3時間半ほどかかる。従って、全長1200mのロープウエイ区間はともかく、ほぼ直線距離で全長4120mもあるゴンドラ区間を基点から歩いてアプローチするには、トータルで相当の時間がかかることを覚悟しなくてはならない。
時間の余裕がない我が家一行は、勿論ゴンドラ&ロープウェイを乗り継いで、自然園入り口にあるビジター・センターを目指した。
●自然園入り口前の山荘等●
●ビジター・センター内にある熊の剥製●
■園内へ■
園内のほとんどには木道が通っている。これは植物保護の観点から整備したとのことだそうだ。つまり、植物に対するダメージは人間の踏み跡によるものが、一番の原因ということらしい。
●園内を縫って走る木道●
園内に入ってまず目を惹かれるのが、水芭蕉の群生だろう。実のところ、もうシーズンは過ぎていたのだが、今冬の大雪の影響か、開花(実は花ではないのだが)が遅れ、7月中旬の訪問時であっても、まだ日陰の部分を中心に結構な数が残っていたし、こらから先に本格化するであろう夏の花も咲き始めて両方が楽しめる状況だった。
●園内の花々~その1●
木道を進み更に奥へと進んでゆくが、途中で綺麗な花があるとつい立ち止まってしまうので、滞在時間の計算には余裕を持つ必要があるだろう。
●園内の花々~その2●
途中、ビジター・センターから歩いて約15分ほどの距離に珍しい風穴がある。風穴とは「洞窟の内外で生じる温度差や風圧差により、早い風の通り抜けが起こるところ」という天然の構造物だが、ここの風穴は根雪か氷が洞内にあるのか、風穴を通り抜けてきた空気は周囲よりもかなり温度が低く、水蒸気を伴って、まるでエアコンの吹き出し口のようになっている。
これがほてった体を冷やしてくれるのだが、辺りは周遊コースになっているので、ここへは後半に廻るようにするのが、ボク的にはおすすめだ。
●冷気に煙る風穴周辺●
コースの中間、やや手前にあるのが、「銀命水」が流れる水場だ。ビジター・センターで補給した水が切れてもここで給水可能になるので、位置的にはベストに近い。
水そのものは湧き出てくるタイプではなく、沢の水だが、ミネラル豊富な雪解けの水なので味も甘みがあるモノであり、水質は良いから安心して飲める。
●銀命水の取水場●
そして、取水場前の広いスペースで食事をとることにする。
●銀命水でつくるカップ麺達●
■白馬大雪渓■
コースが奥へと向かうにつれ、向かいの白馬岳方面にある「白馬大雪渓」が見え隠れし始める。それにつれて、園内にも小規模の雪渓が現れ始めて足下にも雰囲気が出てくる。
●園内の雪渓●
少しの間で登りが続き、それが終わると急に視界が開ける。そこが自然園の最西端にある「展望湿原」だ。
ここでは、邪魔するモノがほとんど無い状態で白馬大雪渓を見渡すことができる。
●絶景ポイントから望む「白馬大雪渓」●
当日は、ガスがかかり気味で、全貌がスッキリと見渡せたわけではないが、待つうちにうっすらと白馬岳が顔を出す瞬間もあって、他のハイカー共々歓声を上げることもあった。
展望湿原を過ぎると、もう一カ所展望台があったが、こちらは残念ながら手前の木が邪魔をして雪渓全体を見渡すことができなかった。
展望湿原から先は帰路コースになるのだが、周遊するようになっているから、同じコースは辿らず、植生の違いから咲く花々も変化して歩く者を飽きさせない。
●帰路は続く●
■散策を終えて■
あの栂池の上に、こんな施設があるとは思いもよらなかった。開園時の残雪風景に始まり、水芭蕉~夏の花々~夏の終わりのイワショウブまで、花々の咲くタイミングはリンクし、ラストは圧巻の紅葉まで、季節が変わってもコースの魅力は変わらない。その証拠に年間パスまでが発行され、それを利用する人も多いという。
又、最奥に一番のビューポイントを置いているあたり、レイアウトは完璧で、歩きがいのあるコースになっている。とは言っても歩くことに関してはハードさは全くなく、特に前半の一部はバリア・フリー化されているから、老若男女、様々な人々の利用が可能になっているから誰にでもお勧めできるコースだ。
かくいう我が家も秋の紅葉時にも、一度は訪れてみたいと思っている。その日がくることが今から待ち遠しい今日この頃なのである。
■帰りにチョっと■
疲れた足を癒すには、温泉が一番。麓のゴンドラ乗り場にも温泉施設があり、急ぐ場合はその利用もアリだが、我が家の場合は帰り道に隣町の白馬に立ち寄り、そこにある「小日向の湯(おびなたのゆ)」を利用した。ここは閉まるのが午後6時と早いが、ぬめりの強いpH11.1という強アルカリ性の温泉が、掛け流しで注がれる、野趣あふれる雰囲気のイイ温泉だった。
●小日向の湯(おびなたのゆ)」●
その他、白馬地区にはタイプの違う温泉が散在しており、歩いた帰りに”好みの温泉”に立ち寄ることをお勧めしておこう。