先週末は釣行機会がなく、ネタなしのため、休刊とします。
磯釣り師だった頃から、底物系のイシダイ釣りやクエ釣りにもチャレンジしていた。これらの釣りは手持ちで狙うイシダイの南方宙釣り以外はブッ込み系になり、基本的には待ちの釣りとなるのでフカセ釣系りと比較すると、やるべきことが少ないが、相手の引きが強烈なため「ドーンと構えて、来るなら来い!」の姿勢でなければダメだ。
しかし、生来からボクは吉本新喜劇での間寛平さんのギャグ同様「ワシャ、止まると死ぬんじゃ!」的な性格なので、間が持たないため、この手の釣りは長続きせず、数年やって目標サイズを釣ると自然消滅的に釣行機会が減っていった。
だがここ近年にチャレンジしている、経ヶ岬沖のクエ釣りは、夏季には半夜釣りになる事も多く、同時並行で剣先イカやアオリイカが狙えるので、ボクのようなタイプでも十分に間が持つので有難い。
但し、「待ちの釣り」とは言え、やるべき事があって、それらを疎かには出来ない。底取りとタナ調整の他、装着するオモリの大小による着底位置の調整やエサのチェックやローテーション等が挙げられるが、それらをさぼっていては自ずとクエからは遠ざかってしまう。
どんな魚でもそうだが、生まれながらにして産卵&放精する事を目的に行動している。日本海のヒラマサの場合は、それが7月初~中旬になり、今回のクエの場合は、それよりもやや遅れるように思う。
産卵&放精後、しばらくは行動半径が極端に小さくなって、目の前に来たエサのみを拾い、体力が回復するにつれ行動範囲が広がってゆくのが魚類の一般的な傾向なので「そろそろ回復基調かな?」って事で、いつもの第八十八大海丸さんに乗り込み、経ヶ岬沖を目指した。
現着すると、この夏からの傾向では考えられないほどの緩い潮が流れていたが、これが「釣り易い潮」になるのか、「魚の活性が下がる潮」になるのか、それは魚に聞いてみないと解らない。とにかく200号のオモリを背負わせた仕掛を投入して、この日の釣りがスタートした。
●竿はブチ曲がるのか?●
開始当初から仕掛けを2セット用意して、片方は魚系、片方はイカ系を装餌し、交互にローテーションさせていった。
当日は潮が西から、風が東北東からと、反対方向からだったので、しばらく経つとトモの釣り座の仕掛が胴部に座るボクの仕掛と絡むようになったので、着底位置をずらすためにオモリを150号に交換してみた。
このセッティングになって数投目、スルメイカを刺していた仕掛に反応があって、穂先がモゾモゾッと少しだけ動いた。「エサ盗りが出だしたのかな?」と思い、エサの有無が判るようにと、ここからはキーパーから竿を外して手持ちで対応していった。
少しの間をおいてもう一度、モゾッと動いたかと思うと、スゥーッと引き込む動きが出たので竿先を追従させて行き、重みが竿全体に乗ったのを確認してアワセを入れるとドンッ!といった衝撃と共に竿が絞り込まれていった。
「これは本物だろう!」と腰を落として竿をためようとしたが、それが必要なほどのサイズでもなさそうだった。以後はポンピングで順調に距離を詰めて行ったが、途中で「スローモーションで巻こうか?」なんて冗談を言うほど余裕のやり取りだった。そして自分でリーダーを掴んで手繰り寄せ、船長のギャフ掛けも決まって無事にゲット出来たのだが…。
そしてハリを外そうとしたところ、ここでビックリ仰天したのだ。
イカエサを使用する際、それが活きエサであっても死にエサであっても、ボクは孫バリ仕掛を使用する事が多い。これはエサを安定させるための、太地ムツ系のハリを頭部のエンペラ周辺に掛けて、クエの口に掛けるための大バリは水管周りに掛けてスッポ抜けを防止するのが目的だ。太いハリが急所付近に刺さらないので、活きエサ使用時だと負担が少なく長生きしてくれる点でもメリットがある。しかしこのクエはナ・ナ・何と!太地ムツの方が刺さっていたのだ。しかも不思議な事に外側から掛かっており、掛かって欲しかった方の大バリは口の外に出て、そこに装着していた冷凍スルメイカはもう一度使えそうな程、原形をとどめていたのだ…。
とにかく無事にゲット出来た事が不思議なくらいの状態だった。途中でのふざけたやり取りを反省し、「これからはどんなサイズであっても真摯な姿勢でやり取りせねば。」と強く思った瞬間だった。
●不幸にも逃げ切れなかったクエ(9.15kg)●
続いてサイズアップを狙うべく、投入を繰り返したが、ゲットした時と同様のモゾモゾと竿先を揺らすアタリはあったものの、食い込む事は無かった。
並行して狙ったアオリイカは見えるには見えていたのだが、エギのサイズやカラーを6回もチェンジさせて小型がようやく4ハイという結果だった事から、当日の潮況は魚類の活性を生み出すようなモノではなかったようだ。そんな中でようやく獲れた1本に満足しつつ家路についたのだが、翌日の釣果欄では、何と31kgがゲットされ、他にそれらしきアタリが4回もあった模様と伝えられていた。これを見た途端に喜びは吹き飛び「あのモゾモゾが30kgオーバーだったかも?」という思いが込み上げて、夜も眠れぬ状態に…。
「性格的に向いてない」とか何とか言っている割に、ドップリとこの釣りに(も!)ハマッている自分に呆れている今日この頃だ。
先週に引き続いての鷹巣沖釣行。先週よりも潮速は少しだけ速くてマシのように見えたけど…。
●50mあたり6分20秒台●
風向は朝一が東風。次いで南東~南西方向になったかと思ったら、気付けば北西風に。潮流もそれに遅れて北~南~西からと方向を変え、グルグルと船位が変わって Rock and Roll 状態に。特に最初の2時間ほどの間は竿出しがまともに出来なかった。何とか頑張って、ようやく真鯛のアタリを捉え「続いてヒラマサが…。」と思っていたら、同船者に96cmが来たものの、5分で状況が変わって時合は過ぎ、自然に翻弄されたままに納竿時間を迎えてしまった。
●寂しい釣果(大で50cm)●
よって、今回はお伝えすべき内容は薄く少なく、「申し訳ありません!」。
「今年の、鷹巣沖のヒラマサは、出れば型が良い。」という事だけをお伝えしておこう。
晩夏から秋本番までの鷹巣沖は回遊しているロットによって、チビマサが入れ食いになったり、良型がじっくり狙えたりで、実際に入ってみないと様子が掴めない部分があるものの、ヒラマサと出会える確率自体は高い。
この季節、運良く良型クラス以上に出会えたのなら、最高のバトル感が味わえる。と言うのは経験上、6~7月の産卵期から体力を回復させた秋季のヒラマサはコンディションが最高になるからだ。例えばボクの場合だと、春季の白石グリであれば、1mチョイ程度なら8号ハリスでゲットする自信はあるが、秋季の鷹巣沖ではの自信が10cm落ちた90cm台前半になるほどにパワーの差を実感しているのだ。
「玄達瀬が禁漁になっても落ち着いていられない!」そんな鷹巣沖へと例年通りに転進し、ボクのチャレンジが始まった。
■ドボン潮の中■
いつもの晴海丸さんに乗船し、現地へと向かった。前日も釣行しており、80cm級が出たらしいので、期待は持てそうだが、何しろ潮流が遅く、アタリが取り辛い状況だったそうだ。そして現着し第一投。船長の説明通り、計測するのもダルくなるようなドボン潮になっていた。
●60mあたり18分弱●
足下の水深は65m前後だったので、かなり焦れるが、それでもリールのカウンターで60mを超えたあたりから徐々に潮の動きがみられる様子だった。そこで、発砲ウキの6番を装着し、送り出しを15m、60mで30秒間の停止を行い、以後は30m出るごとに5mの巻き戻しを入れるパターンで流し始めた。
そして120mで回収すると、エサが残っていたので、一旦停止の位置を80mに変更すると、以後は残ったり、盗られたりを繰り返していたので、このパターンを中心に流し続けたが、アタリはなかなか出てくれなかった。
そうこうしている内に釣友が80cm前半サイズをゲット。何しろ一流しで30分ほどかかるので、序盤だというのに既に焦りはMAXに達していた。
時間が経過し、‶やや”の前置きが付くが、80m辺りで流速が上がり始めたのと同時にエサが盗られるばかりになった。それを受けて発砲ウキを7番に換装すると共に流すパターンを変更した。上潮にエサ盗りが出てくる様子はないので、送り出しは50mとして60mまでラインが出た時点で1分間の停止を行い、以後は20mごとに5mの巻き戻しを行って、120mまで流していった。
このパターンで流した2投目、115m付近で待望のアタリが出て、アワセを入れたが、結構なサイズ感を伴っていたので慎重にやり取りを開始した。しかし、極力ラインは出さず、ラインを引き抜いて頑張ってみたのだが、途中でフッと軽くなってしまった。回収して確認すると先バリの手前でスレ痕は無くブツリと切れていたので、根ズレではないように思える。例年通りこの地区にやって来るアレ=ボク自身はサメかも?と思っている正体不明魚か、ヒラマサであれば発揮されたフルパワーに完敗した瞬間だった。
■待望の1本!■
失意の中、アプローチを続けていると、事態は好転し、気付けば底層の流速がわずかだが、一段上がっていた。
●100mあたり15分と少し●
エサの盗られ具合から発砲ウキを8番に上げて、送り出しは40mとして50mまでラインが出た時点で1分間の停止を行い、以後は20mごとに5mの巻き戻しを行う事を想定していた。
すると、70mで5mの巻き戻しを入れた直後=68mでアタリが出てくれた。合わせた後の走りと重量感から良型と判断して慎重にやり取りを開始した。1本目のバラシではラインの引き抜きで失敗したため、その時よりもほんの少しドラグを緩めた状態で、竿を起こす時に右手の親指でスプールを押さえ、それを開放しながら竿先を下げる方法でポンピングを開始。すると、ファーストランをウマくしのぐ事が出来た。
この魚が掛かる直前にアンカー方向に潮が流れつつあったので、距離を取ろうと船尾方向に後ずさりしながらやり取りをしていたが、心配が現実になり、残り30mを切った辺りでウンともスンとも動かなくなってしまった。
そこですかさず、船長がアンカーロープをゆっくりと引き上げてくれた。すると、その動きにビックリしたのか、ラッキーにも魚が逆方向に走ったらしく、アンカーへの絡みが解消した。そこからやり取りを再開したのだが、「アンカーロープにハリスがスレて傷付いていないか?」と、ヒヤヒヤしながらのやり取りだった。そして何とか無事にネットイン。秋の鷹巣沖では、そこそこ大きめと言えるサイズをゲット出来て、ホッとした瞬間だった。
●90cm●
■続くもポツリポツリ■
その後は中小型のマダイのアタリをチョロッと拾う中、ようやく得た大きなアタリは仕掛の弛みを取る前に出てしまったので、ハリが外れてサヨナラとなった。
何しろ全般的に緩くなったり少し持ち直したりという潮流だけに、シビレが切れそうなタイミングになって、やっとアタリが出る程度だったので、張りを入れる等、仕掛操作のタイミングの取り方が難しく、途中でブリ族も顔を見せたが、次の1本は中々出なかった。
時は進み、送り出しを50m、80mラインが出た時点で1分の停止を入れている時だった。エサ盗りが穂先を揺らしたので、「次の流しでは10m手前の70mで停止させてみよう。」と考え、それを実践すると、ドンピシャでアタッてくれた。
だが、上がって来たのが、「ブリ族とのハイブリッド?」と思わせるような色ツヤだったため、一時はカウント外になったしまった。しかし、締めてからよく見ると正真正銘のヒラマサだと分かり、一安心した。(持ち帰って身もチェックしたがちゃんとしたヒラマサだった。)
●一瞬、ハイブリッド?と思わせられた中マサ●
そして最終段階になっての一発は無いままにこの日の釣りが終了した。
●左列が私の釣果●
若狭湾とその周辺部では今年、潮流が速い日が多かったため、ボク的にはそれに押されて鷹巣沖辺りに大型が入っているように予想している。まだシーズンインしたばかりのハシリの状態、しかも超ユルユルの潮流下で4回のアタリを得た事は今後に期待が持てる証になるだろう。今後もこの地でのボクの記録である、101cm超えを目指して釣行は続く。