中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

技あり、一本!

2022-07-30 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 またもやの荒天で、出船中止。よって釣行レポートは書けずで、仕掛ネタを。

 

■2本バリのデメリット■

 

 獲り易い白石グリとは違って、玄達瀬での釣りでは大~超大型のヒラマサを掛けた場合、そこかしこにある沈み根に何度も突っ込む事がほとんどだ。

 アタッた層が上層だった場合や根に到達する前に運よくタメ切れた場合、それにボーッとしたヒラマサが相手の場合は足下まで寄って来るが、そうではない場合も多く、どうにもならないままに根ズレでアウトになる確率は高い。

 だが、根ズレそのものでハリスやラインが飛んでしまう事以外に、実は2本バリ仕掛の枝バリに起因するバラシも一定の割合で発生する。先日も、アタリが出てすぐにテンションが軽くなったので、「ハリ外れか?。」と思いつつ仕掛けを回収すると、上バリが伸びて曲がり、先バリが結んであったやや上でブツリと切れていた。これはヒラマサが根周りに突っ込んだ際に、上バリが根掛かりしてロックされ、先バリ付近で引きちぎられたのが飛んだ理由だと推測できる。

 この例以外にも根周りに突っ込まれて動かなくなった仕掛を仕方なく切ると、枝バリが切れている事も多い。実際、ボクもそんな目に何度も遭っているのだが、これもヒラマサが根周りに突っ込んだ際に枝バリが根掛かりしたのが原因だ。

 振り返れば同様の、根に貼り付かれて動かない状態は磯のグレ釣りで何度も経験済みなのだが、テンションを掛けずに待っていると出て来る事も多かった。「にも関わらず、船からのヒラマサの場合は殆どダメなのはナゼ?」と思っていたが、これも枝バリが根掛かりしているのが原因だと思う。

 上述からの判断で、大型が根の近くでしか喰わない傾向だった先日は最終段階で試しに1本バリ仕掛を使用した。

 そして計算通りにこれで大型を掛けたが、普通に太刀打ちできるような引きではなかったので、惜しくも根に張り付かれてしまった。だが、慌てずテンションを緩めると、期待通り?に動き出してくれた。既にラインが根ズレでズタズタになっており、結果はバラシであったので、自慢できる話ではないが、「この手は使えるかも?」と判断出来たのは大きい。

 尚、「上バリのエサが残り、下バリのエサが盗られていれば、丁度イイ。」という説は、元よりボクにとっては「???」だ。

 また、そもそも論だが、完全フカセでヒラマサを釣っていると、「ほとんどの場合、特に良型は先バリの方に掛かる。」という事に誰もが気付いているハズだし、元よりダブル・ゲットを狙う魚ではない。実際ダブルで掛かってしまうと片方、あるいは両方が切れてしまう事もある。勿論、低い確率で枝バリのみに掛かる事もあるが、恐らくそれはライン管理が悪く、仕掛が弛んで「つの字」型になって流れていた結果だと思う。

 そこで行き着いた結論が、「枝バリ仕掛にはデメリットが多過ぎる」だった。

 

■1本バリのすすめ■

 

 現場で簡単に結べるので、1本バリの導入を考えた事は、これまでに随分とあったが、ボクがこれ迄2本バリ仕掛けを使用し続けていたのには理由があった。それは水流抵抗に関しての不安だった。枝バリのない1本バリだと、潮抜けが良すぎてウマく潮に乗らない気がしていたのだ。

 「イイ方法は無いものか?」と思い付いたのが、枝バリの出る位置=6m仕掛の3mの位置に透明の水中帆を入れ、ガン玉のG2サイズを打った仕掛けだった。つまりは、枝バリ部分のハリの重さと潮受け抵抗が加わった1本バリ仕掛という事だ。

 

●透明のキザクラ・クッション水中と、G2ガン玉●

 

 これまで記したメリット、デメリットを相殺するとメリットの方におつりがくるように思う。従って本当のところは2本バリは必要無かったのかも知れない。慣習とは恐ろしいモノで、使う勇気がなかっただけだと思う。

 現状では2本バリのストックが残っているので、通常はそれを使い、「地形の荒いポイント」や「水深の浅いポイント」では上記の「一工夫を入れた1本バリ仕掛」を導入しようと思っている。

 後は結果だが、それはもう少し釣り込んでから、お知らせするとしよう。

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ハイパワーリールの弊害

2022-07-23 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 釣行機会を荒天で逃したので、今回は戦略ネタ。

 

■高切れ連発■

 

 2大メーカーの上位機種では、電動リールのモーターがハイパワー化されると同時にドラグも強化され、DAIWAで言うなら500番台、SHIMANOで言うなら3000番台の中型であっても巻き糸量の問題はあるものの、対キハダマグロを謳うまでに至っている。

 ボクらが完全フカセで狙うヒラマサにもパワーアップは有効なのだが、フロロカーボン・ラインが最細で6号、最太で10号を巻く、この釣りにとっては、いささかハイパワー過ぎて、今までには起こらなかった問題が起きているように思える。

 

 シーボーグ600MJを導入するまでボクは、白石グリではダイワ・シーボーグ500ATかZ500MMをメインに、玄達瀬ではダイワ・シーボーグ750MTをメインに使用していた。

 以前の500番台は、ややモーターやドラグが非力なため、そこそこの大型ヒラマサが掛かるとモーターはウンウンと唸って、巻き上げがギリギリ、もしくは停止した状態になり、ある程度ドラグを締め込んでも滑る事が多かった。

 それを理解した上でラインの手繰りやポンピングを行ってカバーしたり、ドラグの強弱も魚の大きさやラインの出ている距離に合わせてその都度調整していて、その感覚はボクの体中に染みついていたが、トラブルの多いリールだけに常に「長くは使えないだろう。」と常に意識していた。

 一方の750番には、今はもう無いがCCMというカスタムショップで「ドライカーボン・ワッシャー」を装着してもらい、「滑らせながら巻き取る」電動リールに最適なフィーリングが気に入っていたので、これまたやり取りの感覚はそれ用で染みついていた。新品はもう入手できないので、ワッシャーがヘタリ気味になると、他のリールに着いていた物を移植して延命してきたが、それも尽きて最後の組も最終段階になってスムーズさを失っていた。

 こんな状態だったから、シーボーグ600MJの登場は大歓迎だった。実際、昨年の導入後すぐに119cmをゲットし、DAIWA製品の中では引っ掛かりの少ないドラグ・フィーリングに納得した次第だ。

 但し、これはラインを出す(緩める)側の話。使い込む内に、これまでに染みついた感覚やクセで操作しているとトラブルに見舞われるようになった。実は、今まで経験した事の無いペースで「ラインの巻き切れ」が起こっているのだ。

 

 「巻き切れ」とはリール側の強力な巻き上げ力でラインを引きちぎってしまう現象の事だが、下記の2つに起因するモノが殆どだ。

 1.実釣時にラインの出し入れを繰り返し、何度か魚を掛けるとラインが食い込んで、そこに糸潰れが発生し、それが酷くなるとキズに近い状態となって、やり取りの最中にそこで切れるというパターンで、これは海中に入った部分で高切れが起こる。

 2.大型魚の締め込みに遭った際、その力とリールの巻き上げ力でスプール上でラインが強烈に食い込み、同時にラインそのものが縮もうとする力が加わって、食い込んだ部分そのもので起こる高切れで、空中故に「バチンッ!」と大音響を伴って切れる。

 

 これまでも、上記に起因する高切れが起こる確率は0ではなかったが、主に根掛かりを切るためにドラグをフルロックにしてリールを強制的に巻き上げた際に発生した事が殆どだった。だが、強力なモーターと強力なドラグを搭載した600MJを使うようになってからはヒラマサを掛け、「いつもの感覚」で操作してたのにも関わらず、今シーズンだけでも、スプール上での高切れを白石グリで二度、玄達瀬では一度の計三度も経験している。

 その際、どのように操作したかは記憶しているが、全て「ドラグをもう少し効かそう。」と、いつもの感覚で数ノッチ分を増し締めした後の高切れだった。

 以前に比べると改善されているように思うが、ダイワのドラグは放出時に引っ掛かる傾向がある機種が多い。それに加え、恐らくドラグ設定がPEラインの6~8号でキハダマグロ等を釣る事を前提としているようなので、より強度の低いフロロカーボンライン使用時では、「美味しい部分」の帯域が狭くなるのだと思う。だから少し締めるだけで思った以上に強まり、フルロックに近い状態になるのだと思っている。従って、やり取りの最中で締めたくなった際は1ノッチずつ慎重に操作する事を心掛けねばならない。

 

■ドラグチェッカー■

 巻き切れを防ぐには正確なドラグ設定が必要になる。そこで不可欠なのがドラグチェッカーと言う器具になる。

 

●ドラグチェッカー(5kgタイプ)●

 以前の記事では「白石グリでは4~6kgに設定している。」としたが、今やそれはシーボーグZ500MMや500AT基準での話であり、この設定を600MJに適用すると、効き過ぎになる事が解って来た。Z500MMや500ATのドラグは、玄達瀬の大型ヒラマサが掛かると、全く止まらない事もあるので、チェッカー上ではその数値であっても「最初のとっつき」であり、滑り出して以降はだらしなく滑っていたように今では思える。

 ドラグ設定の基本はライン強度の1/3が基本とされている。フロロカーボンの強度は一般に、6号で9.9kg、7号で11.3kg、8号で13.6kg、10号で15.9kgと言われているから、1/3理論に基づく設定は、6号ライン=3.3kg、7号ライン=3.76kg、8号ライン=4.53kg、10号ライン=5.3kg程度となる。

 因みに実釣時にボクはラインより太いハリスを結んでいるが、それは耐衝撃と根ズレ対策なので、実際のヒラマサへの対応はラインが負担していると考えているから、ドラグ設定上はハリスの強度を考慮していない。

 また、自転車の後輪に付いている変速機付きのフリーホイルと同じ理由で、スプール上のラインの残量でドラグ値は変化する。スプール一杯のところに対して、アタリが出たところでは割増しになっている事を覚えておかなくてはならないから、ラインが出ていない状態での締め過ぎは注意が必要になる。

 ドラグチェッカーでの計測は本来、ガイドにラインを通した状態で計測した方が正確になる。だが、その場合二人がかりで計測せねばならず、船下の攻防で一旦緩めた後のやり直し作業は大変だ。従って作業のし易いリール前に引き出しての計測が現実的だが、基本的にラインを出すのは良くないヒラマサが相手であるし、フロロカーボンラインのショック吸収力はPEラインより上なので、やや締め気味としたい事もあって、ボクは今のところ、1/3値そのままを基準に「根が荒い」等、海底の地形に合わせて調整の試行錯誤を重ねている。

 但し、長いロッドは、より放出抵抗が大きくなるので、数%程緩めておいた方が良い。余談だが、近年、ボクが3m以上のロッドを使わなくなった理由は、ここにある。

 尚、ドラグ構成枚数が5枚の500MJ-AT(同じドラグの500MJを含む)が、600MJと同じ傾向になっているのかを各船長に聞くと、やはり不用意に締めた結果の高切れが多発しているそうだ。だが、ボク自身はまだ一度しか使用しておらず、また、大型を掛けていないので、これについての見解は追ってお伝えしたいと思う。

 

 まぁ、一人の完全フカセ釣り愛好者の声は届かないと思うが、「こんな神経を使わなくても良い完全フカセ専用リールの開発を!」というのがホンネだ。

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'22 玄達瀬釣行 ~3回目

2022-07-16 12:30:00 | 船釣り・釣行記

 これで3回目。「そろそろメーターオーバーを獲らねば…。」との思いでチャレンジした1日だったが…。

 

■やや下降気味■

 

 玄達瀬の解禁も1/3が過ぎ、釣果がやや下降線をたどるようになっていた。しかし今年はアベレージサイズが80cm台中盤なので、出ればそこそこ楽しめる点は有難い。

 とは言え、目指すサイズは当然130cmオーバーなので、ぬか喜びは出来ず、バラシもやらかしているので、気を引き締めて、いつもお世話になる晴海丸さんに乗船し、1時間の航海で玄達上の釣り人になった。

 潮流は玄達瀬としては若干緩めの攻めやすい潮流が差していた。

 

●100mあたり6分ほど●

 

■出足はそこそこ■

 

 ポイントまでの距離と水深から送り出しは20mとして、90mで30秒の停止を加えて以降はフリーで160mまで流して行った。

 アタリは無く、サシエサが残ってきたので、次の流しでは送り出しは30m、100mで30秒の停止を加えようと、カウントしている最中にスプールを押さえている左手親指が弾けて、玄達標準サイズ=65cm級のマダイをゲットする。

 

●まずはマダイ●

 

 玄達瀬ではマダイのタナにヒラマサが入って来る事が多いので、その後はそのままで流してみるが、エサが盗られがちなので、100mの止め以降はリールのメカニカルブレーキを絞って様子をうかがった。

 すると120mを過ぎた頃にラインが大きく走って、当日一本目をゲットする。

●87cm●

 以後はポツリポツリとブリ族メインで退屈しない程度にアタリは拾えたが、そこそこサイズ感のあるアタリは一度あったものの、もたついたワケでもないのに、巻き上げ最中の根ズレでバラしてしまった。

 

■不思議なバラシ■

 

 以降もポツポツ・ペースに変化はないままに、ヒラマサは2本で正午を折り返し、昼過ぎの時合に入った。しかし、ほとんどのアタリがブリ族とマダイからのモノだったが、一度だけ大きくラインが走るアタリを捉えたが、アワセた瞬間に抵抗感がなくなった。

 「喰い逃げか?」と思われたが、仕掛けのチェックをするとビックリ。根ズレの痕は全く無かったが、枝バリがへの字に伸びて下バリのハリ上あたりで切れていたのだ。恐らくは走った瞬間に上バリが根に掛かって固定された状態でハリスをブチ切ったのだと思うが、メジ・カツオ14号のハリを伸ばしつつ、12号ハリスを引きちぎっていく玄達瀬のヒラマサのパワーに驚かされた瞬間だった。

 そして以後は1本バリに換装して引き続き攻めていったが、51cmの尾長グレをゲットしたのを機に沈黙の時間がやって来た。

 

■終始ポツポツと■

 

 暫くの時間を経て「そろそろ動き出すかな?」と思っていると、予想通りにアタリが復活していったが、エサの盗られ具合で発泡ウキの浮力を調整するタナ探りでは外道ばかりだった。そこでセオリーとは逆に浮力を落とし、十分に仕掛けが底層に入ったと思った時点で張りを加えながら流してみると、大きなアタリを捉える事に成功した。

 結構な引き味だったので、「メーターはあるかも?」と思っていたのだが…。惜しくも2cm足らずだった。

 

●98cm● 

 

 傾向が変わらない事に業を煮やし、船長がアンカー位置の修正を行ったが、釣果の内容は変わらず、85cmクラスをもう一本追加した後、風向がクルリと回ってアンカー潮になったのを機に、この日の釣りが終わった。

 

 ヒラマサの数としては釣友が5に対してボクは4。半日を1本バリ仕掛で通したが、2本バリとの釣果差があったようには思えなかった。それが実証実験出来たのは良かったが、この解説は後日に譲る。しかし、またもやのバラシでメーターオーバーを手にする事が出来なかった点は悔いるばかりだ。

 この記事を書いている時点で、ヒラマサ・ボーズの船も続出しているようだ。初めの好調さとは真逆の、ウソのような展開だ。今後1か月の間でどれだけ回復するかは分らないが、これまでに獲り残した大型を残り3回の釣行でゲットするべくチャレンジは続く。

 

●当日の、二人分の釣果●

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'22 玄達瀬釣行 ~2回目

2022-07-09 12:30:00 | 船釣り・釣行記

■好調が続く玄達瀬■

 

 これで2回目。釣行日近辺ではメーターオーバーが続出し、最大が136cmと、絶好調だった2014年に次ぐ状態が続いていた。

 「来るなら来い!」「気合は充分!」で、いつもの晴海丸さんに乗って一路、玄達瀬へと向かった。

 

■初っ端から■

 

 現着して一流し。やや速めだが全く問題のない程度の流速が差していた。

 

●100mあたり4分弱●

 

 釣り開始から数投目に、まず釣友が80cm級のヒラマサをゲットする。「エエなぁ~。」なんて思っていると、またもや釣友が同寸をゲット。釣り方の違いが多少あるものの、コッチに来てもおかしくはないのに、何故かアタリが出ない。

 この時送り出しは20m、発泡ウキ7番を通した仕掛を100mで30秒停止してから後にフリーで流していたが、エサは盗られていなかった。なのに釣友の通していた発泡ウキを覗き見ると、ボクより浮力が高そうだった。

 そこで、70mで30秒停止してから後にメカニカルブレーキを絞って流し、100mで10mの巻き戻しを行うと、ようやくラインが走ってヒラマサをゲットする。しかし、何故か中マササイズの70cm級だった。

 「エサが残っていたのにタナを上げた方が喰うなんて、セオリーとは逆だな。」と、変に思っていたが、この時点では気付いていない事実があった。だが、その説明は最下段で。

 その後は隣で80cm級を5連発していたが、その間にボクはまたもやの中マサを1本ゲットするのがやっとだった。

 

●選んだワケでもないのに、中マサしか来ない●

 

 しかし、開始早々から「今日はイケルだろう。」と充分に予想できる状況だった。

 

■中盤に追いつく■

 

 序盤は釣友に差をつけられていたが、少し思い当たる事があったので、それを実践したみた。

 この時、潮流は船尾方向に対してやや左にカーブしていた。ボクの釣り座は左舷側=船尾に向かっては右側だったので、潮上側になるので、カーブの外周側にワザとマキエサをずらして撒いてみる事にしたのだ。

 すると、今度はボクの方にアタリが集中しだしたのだ。喰ってくるサイズも中マサを卒業し、85cm級に変わっていったが、仕掛けの張りや止めのパターンを調整し続けてはいたが、大きく変えたワケではなく、他に変えたと言えるのはマキエサの撒き方のみだった。それは気のせいなのか、はたまた事実なのかは解らないのだが、過去にも同じ経験をしたことが何度もある。

 

●ようやくヒラマサと呼べるサイズをゲットする●

 

■昼過ぎには■

 

 その後は、二人の内どちらかが2~3本連続して掛けると、その間、片方は沈黙するというパターンだが、止む間は無く釣れ続いた。

 

●釣れ続く!●

 

 やがて掛かるサイズもアップしてメーター迄に少し届かないサイズが混ざり始める。

●90cm級●

 時たまメジロ~ハマチのブリ族やマダイも、たまに掛かって来るが、過半数を軽く超える割合でヒラマサが釣れ続く。

 

●ドンドン釣れる●

 

●まだまだ釣れる●

 

●97cm!●

 

 そして昼過ぎには、持参したイグルーの156Lサイズが、多数のヒラマサと僅かなマダイだけでゲロを吐く寸前になった。(ブリ族はリリース)

 

●もう、ほとんど入らない!●

 

■最大サイズは…■

 

 贅沢な話だが、「あとはメーターオーバーさえゲット出来れば。」と思っていた矢先、釣友が大きくロッドを曲げ、結構シツコク突っ込まれていた。そのやり取りの様子から「メーターを超えている。」と思ったが、その実、この日初めてのメーターオーバーが登場した。

 

 ●自己記録更新おめでとう!(108cm)●

 

 そして、このメーターオーバーの登場をもって、一旦は喰い止みが訪れた。

 

■第二波■

 

 しばらくの間、落ち着いた時間が続き、それまであまり喰わなかったグレやマダイがポツポツと釣れてきたが、午後3時前になるとヒラマサの第二波がやって来た。ここからは送り出しを20~40m、30秒間の止めを80~120mで調整していると、アタリの連発が再開した。

 もうクーラーには入らないので、90cm級であろうが、リリースをしながら「何とかサイズアップを!」と二人で頑張っていたが、その数も10本を超える迄は覚えていたが、お互いに、もう何本釣って、何本リリースしたか判らないままに最終局面がやって来た。

 

■ラストの一投■ 

 

 ラスト2投となり、仕掛も傷んでいたので、ここまで使っていた2本バリに換えて、以前から試してみたかった1本バリ仕掛に換装した。(これには理由があるのだが、それは後日という事で…)

 1/2投目は送り出しを20mとし、100mで30秒の停止を加えた後にメカニカルブレーキを絞って160m迄流してみたが、夕刻になったのもあってか、エサが残って来た。

そしてラストの2/2投目、今度は送り出しを30mとし、30秒の止めを120m地点として、以後は同様に流していると、140mでこの日最速の急速逆転が始まった。

 アワセを入れると「ズドンッ」と衝撃が走り、ロッドがヒン曲がる。「これはデカい!」と思いつつも冷静にファーストランをしのぎ、徐々に距離が詰まっていったが、トルク&スピード感がハンパではなかった。

 残り80m付近になって、「あと20m程頑張れば獲れるかも?」と思ったが、ここで大逆襲が始まって、全くもって止める事が不可能となった。そしていつもの(?)「根に貼り付き」が起こって、ウンともスンも動かなくなってしまった。

 これも想定の範囲内だったので、慌てずテンション緩めて待ってみると、運よく相手が動き出してくれた。

 「何とかなるかも?」と思い、全力で巻き上げを再開したが、次の瞬間、全く抵抗感がなくなった。つまりはいつもの根ズレバラシだった。自宅に戻り、ラインのチェックをしたところ、30mにわたって、そこかしこに根ズレによるササクレが発生していたが、それは、またしても玄達瀬の大型ヒラマサのパワーと複雑な地形がボクに突き付けた現実だった。

 

 

■まだまだチャンスは続く■

 

 ボクがよく言う「白石グリと玄達瀬の連動」だが、その理論?によると、産卵が遅れているはずなので、玄達瀬の大~超大型ヒラマサの釣期は今後もしばらく続くと思われ、その分チャンスも続く。ボク自身の釣行もまだまだ続けてゆくが、前回と今回の教訓を生かす事が出来るのだろうか?。このところヤラレっぱなしなので、かなり落ち込んでいるのは確かだ。

 当日はリリース分を含めると、メーターオーバー1本を頭に90cm台が10本以上、釣果のほとんどが85cm前後で、70cm台は5~6本程度という、ボクにとっては初めてのハイアベレージ数釣り日だった。

 我々の乗船した晴海丸の後ろに着いたヒラマサの数が圧倒的だったのか、不思議な事に「サシエサが残ったら、次の流しではタナを深く」、「サシエサが盗られたら、次の流しではタナを浅く」といった、セオリー通りの、「エサ盗り基準」の攻めは有効的ではなかった。それよりもヒラマサがアタらなくなったら、次の流しでは同船者が「上下、どっちの方向を探っていてるのか?」を確認して、それとは逆の方向を攻めて答え合わせした方が、結果がすぐに出せて有効だった。

 だが、良型をこれだけ釣っても、「もっと上のサイズを」と、思ってしまうのが、この釣りの罪深いところだ。

 

 

●二人分の釣果(キープ分のみ19本)●

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'22版 「完全フカセ用中型電動リール」の話

2022-07-02 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他

 このブログの解析を確認すると、タックル系を見ている人が多い事に気付かされるので、今回はそのご要望(?)に応えるカタチで「理想の完全フカセ用電動リール」を語って行く。勿論「完全フカセ釣り限定」の話であり、PEラインを巻く場合とは事情がかなり異なるので、その点は留意して欲しい。

■理想のスペック■

 まずは「理想の完全フカセ用電動リールのスペック」のおさらいから。
 まず第一に来るのがフリー回転の良さで、クラッチオフ時にスプールの軸受け以外に負荷のかからないイシダイ用のリール並に回れば言う事はない.。しかし、電動リールにはレベルワインド(平行巻き機構)が付くため、をれを作動させるギヤを回す事が必要になるので、そこまでには至らない。僅かに、それに近いシステムを持つモデルもあるにはあるが、機種は少ないので、せめてクラッチオフ時にスプールの軸受けとレベルワインド駆動用ギヤがそれ以外のギヤと切り離されるシステムが必要になる。

 次いで、ドラグ性能。長年にわたってリールをバラしたり改良を試みてきた経験から言うと、同じカーボンラグワッシャーであっても、「分厚く構成枚数が少ない」タイプは、絶対値が低く、新しいうちは滑らかさに欠け、反対にヘタり始めるとすぐに滑り易くなるのでアウトになる。だから「薄く構成枚数が多い」タイプが必須になる。理想は6枚以上、及第点は4~5枚だが、枚数が多いほど絶対値が上がる方向に行くのは当然の事だが、緩めた際の滑らかさも出て来る傾向にある。

 3番目はスピードで、カラ巻き時の最高速が分速200m以上は欲しい。
 これは、アタリが出た際にフルスロットルで糸フケを取って負荷がかかった時点での大アワセの為と、やり取り開始時にヒラマサの頭を釣人側に向ける必要があるからで、初期段階でのスピードアップは以後の展開で有利に立てるかどうかの分かれ道になるからだ。
 逆にアタリが出なかった際は回収時間の短縮になり、手返しが増やせる。回収の際にフルスロットルにしない釣人を時折見かけるが、回収時に追い喰いする事があるのはブリ族が殆どで、それが欲しいのなら別だが、ヒラマサ狙いではゆっくり巻く必要はないだろう。

 また、エサの有無を確認したいのなら、ハリにしっかりと付ける方法を覚えるべきで、それさえ確実なら、230m/分級のフルスロットルでも落ちずに戻って来る。
 そのスピードを支えるのは強力なモーターだが、ラインが6~10号、ハリスが8~12号の、完全フカセでのヒラマサ釣りでは、超強力タイプは安心だが必須ではなく、「ある程度強力」であれば事足りるし、変速機構も必要なくシングルスピードで充分だ。

 尚、重量は軽いほど助かるが、800g台前半であれば嬉しい。

 と記してきたが、上記全てを備えたリールは残念ながら存在しない。よって「アチラを立てればコチラが立たず」な製品群の話を進めてゆきたい。

 

■電動リール・ランク■

 

 以下はボクが今まで所有し、実使用したモデル、もしくはそれと基本構造が同じの後継モデルや兄弟モデルで、現在販売中、もしくは在庫が残っているであろう物を個人的見解でランキングした表になる。

メーカー 機種名 フリー回転性能 ドラグ・フィーリング 最大巻上速度
DAIWA シーボーグ500MJ-AT A A- A+ (230m/分)
DAIWA シーボーグ500MJ A A- A (210m/分)
DAIWA シーボーグ600MJ A A A (210m/分)
DAIWA シーボーグ500AT A+ B A+ (230m/分)
DAIWA シーボーグ500JS B A- A (210m/分)
DAIWA レオブリッツ500J B B B (180m/分)
DAIWA レオブリッツS500 A C(非カーボン) B -(170m/分)
SHIMANO ビーストマスターMD3000 A- A+  A (215m/分)
SHIMANO ビーストマスター3000XS C A+  A (215m/分)
SHIMANO ’15フォースマスター3000 C A+  A (210m/分)
SHIMANO ビーストマスター2000(EJ) 特A+ A  A (215m/分)

 

 あくまでもボク個人の主観だが、ランキングを見れば一応、各機種の基本性能が理解できると思うが、各ランクの合計では高位にあっても、それ以外に固有の問題点を抱える機種もある。また、「ここを改良すれば良くなる!」という点もあるので、それを下に記してゆく。


■500~600MJ3兄弟■

 まずはDAIWA製品の中から、現行では最新鋭のシーボーグ500MJ-ATとその兄弟機から。

●シーボーグ500MJ-AT●


 オートで掛かるフカセクラッチが必須と思う人は、シーボーグ500MJ-ATの一択になるが、問題もあって、完全フカセ釣りでは2スピード化は不必要という点と、クラッチオンスイッチ無い点、それにDAIWA製品では一番スムーズな、600MJと同じ7枚構成のドラグではなく、5枚構成になっている点だ。

 2スピード化は負担金額と重量が増える。例えば一つ大型の800番シリーズだと、2速の800MJとシングルスピードの800Jは、同じモーターとドラグを搭載していながら800Jの方が¥37000も販売価格が低く、50g軽いのだ。

 クラッチオンスイッチはオフスイッチの先端を伸ばす等で対応出来たはずだし、ここまで販売価格が高額であるのなら、ドラグワッシャー&プレートを2枚足して、あと¥3000程度のアップなら許容範囲に思えてしまうだけに残念だ。

 尚、500MJ-ATと、ノーマルの500MJとの違いは実用上は問題のない程度の最高速差と上述のフカセクラッチの有無になる。フカセクラッチが不要の場合はこちらで充分であり、代わり(?)に搭載されているクラッチオンスイッチのおかげで、落とし込み釣りとの兼用では使い易くなると思う。

 

 そして、シーボーグ600MJだが、最高速は充分であり、7枚構成のドラグは、ボクが経験したDAIWA製電動リールの中では一番の出来だが、それは緩めて出す方で、締めて止める方にはピーキーさがあって、注意が必要だ。

 巻き糸量が10号/300m近いので玄達瀬の巨マサ狙いにも使用できる。ただ、それでも2スピード化は不要で、それを廃して廉価にしてもらえれば、言う事はない。

 

●シーボーグ600MJ●
 
 尚、完全フカセ・ユースとするのなら、3兄弟共通のフォールブレーキ・ダイヤルは効き過ぎて微調整がやり辛いので、ノーマルタイプに変更して欲しいのが本音だ



■シーボーグ500AT■

 続いて今年からカタログ落ちしたが、まだ店頭在庫があるかも知れないシーボーグ500AT。

●シーボーグ500AT●
 

 パーツリストを確認すれば解るが、500ATの前身モデルであるZ500MMと、そのひとつ前のZ500FTは最大巻上速度に違いはあるが、外装と材質のマイナーチェンジを繰り返しただけで、中身はほぼ同じように思う。

●シーボーグZ500MM●


 このシリーズは軽量であり、用途を完全フカセに限ればパワーは充分なので、まずはデリケートでトラブルが多く、それでいて修理が高額な超音波センサーから、通常のプログラム・タイプに変更する事だ。そうなると昔の「Z無し」の500FTの復刻版になるが、あちらは少しスピードが少し遅い。最高速は210m~230m/分で、せめて5枚構成のドラグが入っていれば合格点になるだろうが、そうやってドラグの強化をし過ぎるとボディが持たないのかも知れない。というのもこのシリーズを玄達瀬に持ち込んでボディを破壊された例はいくつもあるからだ。

●ヒラマサに破壊されたZ500FT●



■シーボーグ&レオブリッツ500Jシリーズ■

 シーボーグ500Jシリーズは、末尾がJSのスピードタイプが210m/分なので、その点では合格だ。だが、ドラグは薄めのカーボンワッシャーの5枚構成なのに、緩めた際に引っかかるので、イマイチだ。

●シーボーグ500J●


 このシリーズはFF構造を採用している。そのため、スプール軸のギヤとレベルワインドを駆動するギヤ、それにモーター軸のギヤの3つを駆動するベルトが掛かっている。クラッチをオフにするとワンウェイのベアリングを介してスプールがラインの放出方向にフリー回転するようになっているが、軸は回していないとは言え、ベルトは常にギヤを回しているので、その抵抗が大きいのか通常ギヤタイプよりもフリー回転性能が確実に落ちる。だからベルト駆動を廃して通常のギヤに戻して、フリー時の抵抗を減らす事がベスト機に近づく方法だが、そのためには大改造が必要なので、現実的ではないように思える。

 「回らない」とは言え、使用に耐えないレベルではない点は有難いが、条件によって、例えば潮流が速い時や魚が浮いてこない日は自分だけが蚊帳の外になる事もある。逆に二枚潮の日等はその抵抗が適度な張りになって自分だけに喰うパターンもあるが、基本は「回るリールはブレーキを掛けられる」が、「回らないリールを加速させるのは至難の業」と理解して欲しい。

 

 一つ下位のレオブリッツ500Jシリーズも同じFF構造なので、フリー回転はギリギリ許容範囲内にある程度。ワンランク低いモーターを採用しており、その巻き上げ力を上げたいのか、シーボーグよりもスピードを落としている。また、それと同時にドラグワッシャーの数も減っているので、不満が残る。

 

■レオブリッツS500■

 DAIWAでは最廉価のレオブリッツS500だが、シンプル構造故にフリー回転性能が高いので、こと魚へのアプローチ力は優秀だ。最高速はギリギリ許容範囲の170m/分で、ドラグは単価¥200のドラグワッシャーが3枚構成になっている。最廉価版なので多くは望めないが、このドラグワッシャーは紙を樹脂で固めたような感じなので、せめてカーボン化を図って4枚、出来れば5枚構成以上にしてもらえると有難く、その為の価格上昇が数千円なら妥当に思えるので、是非お願いしたい。

 とは言え、現状では初心者には最廉価のこれが一番のオススメとなる。但しモーターもやや非力なので、ある程度の良型魚が掛かると「ウンウン」と唸るだけでラインを巻き込めなくなる。従ってラインの引き抜きは必須となる。

 搭載されるドラグワッシャーは耐久性が低いので、そのオーバーホールが頻繁になる。特に大マサクラスを掛けてやり取りを何回か行った後は潰れて異音が出てくるので必須となる。ただし、交換方法を覚えて自分で交換すれば単価が¥200×3の投資で済むから、考えようによっては安価に回復出来るので、その面では有り難い。

 ドラグにしてもモーターにしても、それなりは仕方ないが、これが逆に電動リールを扱う基礎練習になるので、初心者にとってはかえって良いと思う。と言うのも、強力なモーターや高性能なドラグを搭載したリールであっても大~巨マサクラスを掛けると、ここ一番ではハリスの強度に合わせたドラグ調整が必要になり、滑っている時は巻き上げが停止する。その際はラインを手で掴んでリールへ送り込む「引き抜き」で調整しつつ対処しなければならないからだ。

 

 レオブリッツS500の非力なモーターをかばう方法があって、それはリチウムポリマー電池を導入する事だ。最初の内は船内電源の利用は仕方ないが、これは不安定な事が多く、いざという時に停止する事もあるから、早く卒業した方が良い。自分で導入する場合は最安が鉛蓄バッテリーだが、最近はリチウムポリマー電池が安価になっているので、いっその事、そちらを導入した方がイイ。リチウムポリマー電池の16.8V電圧が生み出すパワーやスピードは、ノーマルの10~15%アップになるので、下手に回らない中級モデルに投資して船内電源を使用するくらいなら、このリールとリチウムポリマー電池をセット購入した方が完全フカセ釣りにおいては有利になると思う。

 

■ビーストマスターMD3000■

 ここからはシマノ製品。このメーカーの電動リールは過去に10台以上の使用経験があるが、ことドラグ性能に関しては不満を持った事は一度もなかった。勿論時代に合わせて変化はしているのだろうが、一貫して緩めてからの微妙な位置で引っ掛かりを感じないフィーリングを持っている事を特筆しておきたい。

 まずはビーストマスターMD3000から。
 従来のシマノ3000番台はスプールインモーターと言って、スプールの中にモーターを内蔵していたのだが、このモデルはフロント側にモーターを置いたDAIWA製品と同じ構造になっている。但し、強力なブラシレス・モーターの巻き上げを支える各ベアリングに粘度の高いグリス、もしくはオイルを封入しているのか、同じ構造、同じランクのDAIWA製品よりも粘りを伴って回るので、フリー回転性能は落ちる。

 

●ビーストマスターMD3000●

 


 この傾向はシマノ製品全般に言えるのだが、ボクが自己責任でスプール支持ベアリングのグリス(硬めのオイル?)を抜いてオイル注油したビーストマスター3000は、ウソのようにビュンビュン回っていたので、粘度の高いオイルは封入せず、昔の「洗ってメンテ」時代ようにオイル注入口を装備して、ユーザー自身で注油とメンテがし易いようにしてもらうか、DAIWA製のマグシールド・ベアリングのような柔らか目のオイル封入タイプのベアリングにすれば解決すると思う。

 このリールを完全フカセ釣りで使用するには、別に少々の問題がある。これまでのスプールイン・モーター仕様では全く問題は無かったのだが、レベルワインドがスプールの端までラインを行きわたらす事が出来ず、中心付近は密なのに両サイド部分が疎になって「なで肩」になってしまうのだ。空巻き時はこれでも大丈夫なのだが、何らかのテンション変化で巻きの緩い肩部にラインが崩れ落ち、その状態で大型魚と引っ張り合いをすると、強く食い込んでしまう。

 

●なで肩のスプールエッジ際●

 更に言えば、全体の小型化も狙う中で巻糸量を確保するため、必然的にスプール軸が細くなっているのだが、これが問題を加速させているように思う。細い軸に最強クラスのモーターでラインを巻き込むからテンションはキツく、引き伸ばされつつ巻き込まれたラインがスプール上で縮もうとして更に食い込みが増す。そして最終段階になると、それを手で引き抜こうとすると、ラインブレイクするまでに至るのだ。恐らく伸び縮みの少ないPEラインでは問題がないのだろうが、フロロカーボンラインを巻く完全フカセでは問題が大きい。

 細いスプール軸には他にも弊害があって、同クラス比で巻き糸量が若干少ない。玄達瀬での釣行ではこのクラスに8号ラインを巻く事もあって、その場合、少しでも巻き糸量を確保したいので、困ってしまう。

 スペックが中型電動リール史上最強レベルだけに上記は是非とも改善して欲しい点だが、ボクが手にした初期ロットだけの問題なのかも知れない。

 

■ビーストマスター3000XS■

 

 ボクが所有していたのは同一構造でギヤ比だけが低いXPタイプだが、完全フカセではXSタイプの方が向いている。シマノ伝統のスプールイン・モーター仕様なので、MD3000のようなフロロカーボン‥ライン使用時のトラブルは無く、安心なのだが、グリス(オイル?)粘度が高いのか、いかんせん回らない。その為、クラッチオフ時にレバーを入れて強制的に送り出す、糸送り機構を使いたくなるが、やはり自然に回ってくれた方が魚の喰いがイイのは確かだし、大喰いのモーターが搭載されているので、電費?が心配になる。

 

●ビーストマスター3000XP●

 やはり、このリールも自分でメンテがし易くなるオイル注入口の装備か、柔らか目のオイルが封入されたベアリングに換装してくれれば有難い。

 

■’15フォースマスター3000■

 

 ビーストマスター3000XSとモーター以外は、ほぼ同じなので、解説点も同じだ。22年6月発売の最新モデルは遊星ギヤ軸のベアリング数を増やしたり、液晶をカラー化したりと、かなりバージョンアップしているが、スピードも落ちているし、完全フカセには関連しそうにない機能アップばかりだ。

 

■ビーストマスター2000(EJ)■

 

 現在販売されている電動リール中、フリー回転性能がダントツなのが、このビーストマスター2000だ。ボクが所有しているのは末尾にEJが付くタイプだが、こちらは電動ジギング用のプログラムが搭載されている点と、モーター周りの遊星ギヤ軸にベアリングが搭載されている点とカラーが異なるだけで、あとは同じだ。

 何しろ、クラッチオフにすれば電磁機構でレベルワインドが真ん中に来る、「eセンタリングシステム」が搭載され、フリー回転時は石鯛リールとはぼ同じ状態の、スプール両サイドのベアリングだけで支持されるという、ストレスフリーぶり。それこそ「ビュンビュン」と回ってくれる。

 糸巻量はやや少ないが、6号なら鷹巣沖等で充分勝負になる量なので、「これぞ近海の完全フカセ向き!」と高評価したいのだが、このリールもフロントモータータイプの為か、ビーストマスターMD3000と同じ理由で、フロロカーボンラインの食い込みが発生する。スプール軸が特に細いので、MD3000より巻きムラが強く、ボクの場合、現在は落とし込みや天秤ズボ釣り時にPEラインを巻いて使用しているが、「出しては巻き」を繰り返していると、正面からはM字型に見える程の巻きムラになる。

 

●ビーストマスター2000EJ●

 尚、同じ番手のフォースマスター2000は、モーターがブラシレスではなくなって、最高速が210m/分に落ちるが基本は同じだ。

 

■ベストオブ完全フカセ用電動リール■

 

 現行品中の個人的なベスト機種は「シーボーグ600MJ」で、どうしてもフカセクラッチが必要な場合は、少し落ちるドラグ性能に目をつむって「シーボーグ500MJ-AT」という事になる。

 だが、販売価格が高額過ぎる。どんな趣味でも使う道具は、最高級機種~トップ下(中間機種)~廉価版に分布されていて、事実ロッドでもそうなっているのだが、謳い文句は別として、実際に使って納得できる完全フカセ釣り向きの電動リールはトップ下に存在しないのだ。

 これでは完全フカセ釣りの裾野は広がらないので、メーカーさんには是非とも開発をお願いしたい。

 以前にも書いたが、ボクは本来がSHIMANO党なだけに現状を残念に思っている。SHIMANO製品は全般にドラグ性能が高く、そのフィーリングは過去に使用したどのモデルでも秀逸だった。その上、強力な「ブラシレスモーター」の採用や、「eセンタリングシステム」といった魅力的な機能もあるから、今一度、完全フカセユース面を見直して欲しい。

 

 現存しないが理想中の理想を言えば、「シマノ製品並みに滑らかな、カーボンドラグ・ワッシャーが6枚以上のドラグ」、「シマノのeセンタリングシステムと同機能」を搭載し、フォールブレーキダイヤルを廃した、シングルスピードのシーボーグ(型番からMを抜いた)600J。もしくは、「eセンタリングシステム」を搭載し、「マグシールド・ベアリングと同等品を搭載してフリー回転性能が格段にアップ」した、ビースト(もしくはフォースでも可)マスター3000XSあたりになる。そして、その実売価格が5~7万円台であれば申し分ない。

  こんなブログをメーカーさんは見てはくれないだろうが、そんな機種が存在すれば「買い」なのだが…。

 

 上記は、ボク個人の意見であり、使用条件や、個人のメンテナンス方法や頻度によって見解が左右されるのは当然だ。よって、あくまでも参考的に見ていただけると有難い。

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