■二週連続で■
先週の出来事で心中に沸いたモヤモヤを解消すべく、二週連続で京都府経ヶ岬沖の白石グリへと向かった。
今回は、いつもの日本海41は予約で埋まっていたため、同じ京都府内でも宮津市の獅子(ちし)港から出船している、栄航丸さんにお世話になった。と言っても初めてではなく、かれこれ3年ぶりの乗船だった。
●栄航丸さん●
■寒~い釣果■
少し早めに出船して、途中の魚礁でメダイの残り物を狙ったが、天秤ズボ用の道具を汚しただけの、全くの不発状態ですぐに白石グリの入漁時間の11時を迎えたので移動開始。
白石グリに到着後に魚探で探った結果、船長は船団から少し南に離れた位置でアンカーを入れ、ここで完全フカセ釣りを開始した。
当初の状況は、この地域では厄介な、北東からの風がそこそこ吹いていたが、西からの本潮かやや速めのスピードで流れているので船位は安定しており、仕掛も右舷方向にウマく流れてくれたため、障害があるような感じはなかった。
久しぶりの“食いがよいとされる本潮”に期待を込めて仕掛を流し始めたが、200m流しても250mと、何度流してもエサが盗られない。その様子を見た船長が「魚探で確認すると根回りに魚が浮上せず、べったり気味に着いており、こういう傾向は、2枚潮の際の起こる」との見解を下す。
その実、上潮の層をオモリを使って突破させてみると、エサが盗られ始めた。
しかし、オモリの重さを変えたり、リールのメカニカルブレーキの調整を繰り返しても“ウマくいかない感”がずっと漂い、な~にも起こらない時間が刻々と過ぎていった。
そして目に入るのは潜水艦
●大物?の潜水艦●
と、手に入るのは、小さなガシラ
●小物のガシラ●
という、先週に引き続いての悲惨な時間が過ぎていった。
それでも孤軍奮闘し、諦め気味の同船者が寝込んでいる間も懸命にマキエサを撒きながら釣り続けていたが、全く傾向は変わらなかった。
■好転■
そうこうしているうちに早、午後3時を過ぎ、この日最後の移動を決意した船長は北側の船団方向に船を走らせた。ここにははいつもの日本海41がアンカーを降ろしていて、どうやら釣り客が竿を曲げているようだった。その様子から潮の変化を察知し、お裾分けをいただこうと、我が栄航丸も、この南側にアンカーを降ろすことになった。
●隣の日本海41●
ボクは船上から、日本海41の船長に挨拶。情報を聞くと、たった今食い始めたそうで、70cm台のヒラマサを仕留めたそうだ。こちらも早速準備し、実釣を開始するが、こちら側からは200mほど流してもエサが盗られる様子はなかった。
そんな中、、またもや隣の日本海41で大きく竿を曲げているシーンが目に入った。それは船首で助っ人として竿出していた船長だった。かなりの大物のようであり、しかも手巻きのタックルを使用していたため、やり取りにかなり時間がかかっていた。結果、残念ながら取り込みには至らなかったようだが、大声を掛け、情報収集のために魚が食った距離を聞いてみると、「230m!」との返答があった。
その情報から、隣との30~40mほどのズレとリールの違いによる誤差を考慮して、とりあえず次の投入では280mまで道糸とハリスの間に小型のサルカン1個のみのを装着した仕掛を流すことにした。
潮通しが良い状況だったが、280mまではそれなりの時間がかかる。この距離の間でエサが残っているというあてもなく、不安が募る中、イラチな性格を押さえて耐えていると、読み?通り、ものの見事に280mでリールのラインが急速逆転を始めた。そして待ちに待った魚とのやりとりが始まった。
■本年第一号■
掛けた距離が距離だけに道糸の伸びが多い分だけ感触がダイレクトではなく、相手が何だか判断が付かないままに徐々に距離を詰めてゆく。竿を叩く様子がないだけにマダイではなくて青物のようだが、重量感があるが、強烈な引きがないので、「ブリ系だったら嫌だな。」なんて、ここまでの釣果を考えれば贅沢なことを思いながら、足下の水深分近くまで引き寄せるに至った。
だが、ここから相手が本領発揮し、その強烈な引きから大型のヒラマサとの確信を得た。
●手前に来てからの締め込み●
ドラグの調整を駆使して、一旦は、サルカンの見える距離まで詰めたが、ここでまたもや強烈な走りが始まった。
道糸が短くなってショック吸収性が減っている、こんな時に船影や玉網に驚いたヒラマサが疾走することが多く、ハリスを切られる可能性が高まるので注意が必要だ。
その対策としてボクは、船際まで寄せた時点で、右手に竿を持ち替えてリール前の、竿のフォアグリップを握り、“チヌ釣りのタイコリール”の操作法と同じく、リールのクラッチをオフにし、左手の親指でスプールを押さえて急な走りに備えている。そして、相手が潜り始めたら、竿を前に付き出すか、走る方向によっては海中に突っ込んでまで舵やスクリューに道糸が絡まないようにかわしつつ、左手親指の押さえの強弱で道糸の出し具合を調整して、相手の走りをコントロールするようにしている。
この方法はドラグを調整するよりも瞬時に細かく対応できるため、船際の攻防では欠かせないと思い、ボクは常に実行していて、今回も、それが決まって何とか玉網までの誘導に成功した。
網にハリが引っ掛かって、ウマく入らずヒヤリとしたが、頭が入ったのと同時に手を伸ばして尾ビレを掴んで無事にゲット。正体はこの地域では大型と言って良いサイズのヒラマサだった。
●94cm!●
ヒラマサゲットの後も、続きそうな雰囲気はあったが、実際は小型のマダイが来たのみで、同船者が79cmのヒラマサを釣ったのを最後に火が消えたようになった。
そして、最後の最後まで粘ってみたが、それに応えてくれる魚がないままにこの日の釣りが終わった。
■本格化■
一日を振り返って痛感したことは、他船からの情報を得ることの重要性だ。
普段であれば、隣で食わせた仕掛を横目で見て観察したり、「何mで食いましたか?。」などと、実際に確認するといった、自船内の情報収集は当たり前のようにしているが、今回のように全員が頭を抱えている状況下では、ままならない。まさにそれは「にっちもさっちも行かない」状況だが、そんな時でもふと回りに目をやると、他船で竿を曲げるシーンに出くわすことがある。いつもであれば、それでも「うらやまし~な~。」なんて思いがするだけであったが、今回は隣でよく知る船長が実際に魚を掛けていたことが幸運だった。「今度会ったら冷やかしてやろう。」との思い?から、自然と注視できたのだ。そして、たまたまやり取りの時間がかかっていることから「あれっ、遠くで掛けたのかな?。」と気付くことができ、実際に声を掛けることで正確な距離を把握した。その甲斐あって、ようやく1本モノにできた次第である。
「もし、あの時、流した距離を聞いていなければ…。」と考えるとゾッとするが、これを教訓に、これからは違った目で他船を見ることができるだろう。たとえそれが知り合いでなくても、やり取りの時間や竿の角度から、食わせた距離を推測できる他、得られる情報は多いと思う。
そんなこんなで、なんとか1本ゲットしたが、アレコレ考えると片目が開いた状態程度の喜びで、決して全開の雰囲気ではない。先週あたりからぼつぼつ顔を見せ始めた白石グリの春ヒラマサは、どうやら本格的なシーズンに入った模様だ。今後もボクのチャレンジは続くが、チャンスはあと1~2回だろう。その短い間に納得のゆく釣りが展開できて、心の全開に至るのだろうか?。