中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

ブルースの世界

2010-09-25 12:30:42 | 音楽
■1970年代の音楽■

 久しぶりに音楽の話を…。

 ボクが好きな音楽のジャンルは多岐にわたる。以前にも触れたことがあるが、中でも一番好きなのはリズム&ブルースやブルースといったジャンルだ。近頃、中学~高校の頃を思い出し、急に聞きたくなって日本の70年代に活躍した人達のモノを集め始めている。

                   
                      ●定番の「憂歌団」や「サウス トゥ サウス」等々●

 今の若い人達には想像もつかないだろうけど、ボクの思春期の頃のロック界は、それ以前の「不良が聴く音楽」というイメージからは脱却していたものの、まだミュージシャンそれぞれに反骨精神のような空気が漂っており、テレビの出演を拒否する人も多く、歌謡曲や流行歌といったテレビ番組で流される音楽とは線引きされていた。もっとも、歌詞そのものにドギツイ風刺や表現や放送禁止用語が含まれるモノもあって、したくても出来ない部分もあったのだが…。
 地方色もあって、関西ではロックの真ん中「ど・ストライク」よりも、その流れの根底にある、特にリズム&ブルースを中心にソウルっぽいモノや、完全なブルースのような黒人系の音楽を志すミュージシャンが多かったように記憶している。東京ではもう少しスッキリした(オシャレな?)音楽が多かったけれど、これも土地柄なのか?。そして関西に産まれた身のボクとしては、これらの音楽から受ける影響も大きかった。


■ブルースの世界■

 特にブルースの世界はハッピーな展開の歌詞も一部にはあるものの、本来はアメリカ南部の黒人労働者階級から産まれた音楽だけにドロドロとした歌詞がその多くを占める。
 簡単に説明すると、「いつまで経っても、どん底から這い出られないオレの嘆き」や、逆に、自虐的になって「こんなオレを笑ってくれ」という心の叫び、「故郷への思い」、そして「日常の小さな喜び」などがテーマになっていることが多い。
 勿論、恋愛に関する曲もあるが、刹那的であったり、フラれて腐っていたり、逆に相手を恨んだりで、ある意味では現実的なモノが多い。
 これはアメリカのブルースだけでなく、国産のブルースでも同様だ。だから、幸せなこともあったが、辛かったことも沢山あるオジサンとしては、それらの世界からのメッセージが今でも、いや、今だからこそ、より深く心に沁み入ってくるのだ。

 目を転じて、近頃TVやラジオから聞こえてくる音楽を聞いていると、一部の例外を除いてほとんどが恋愛に関する詩で、「素晴らしい貴方に出会えて良かった」的なモノ、「別れてしまったけど、素晴らしい貴方と過ごした日々の思い出」的なモノが多いように思う。それ以外では「家族に感謝」的なモノや「貴方を応援しています」的な応援歌系のモノもチラホラと聞こえてくる。
 これらはボクが積極的に聞かずに鈍感になって、たまたま流れてくる曲を耳にするだけだからそう聞こえるだけなのかも知れないが、いずれにせよボクにはそう聞こえてしまう。
 しかし、ボクのように人生50年近くも過ごしてしまうと、(一応、妻以外と定義しておくが、)恋愛することも無い者にとっては、恋愛的歌詞はドラマの世界であって現実離れしている。
 喩える曲が古くて申し訳ないが、「負けないで元気出して頑張れ」と言われても、頑張れないから負けて元気がないワケで、また、「ナンバーワンでなくても貴方はオンリーワンなんだよ。」と応援されても、オンリーワンだとしてもナンバーワンになるほどの努力をしないと豊かな暮らしが送れないのは解り過ぎているワケで…。それらは絵空事であって一向に心に沁みてこないのだ。
 これら流行りの歌を耳にする度に「若者は現状に満足し、幸せを感じているのだろう。」と思うことにしているが、もしかしたら「本当は夢を見ているだけなのか?」と思うこともある。だが、もし、「そうでも思わなけりゃ、やってられない…。」と思っているのなら、「正にそれがブルースの世界なのだ。」とボクは思うのだが、今の若い人達は本当のところ、今の現実社会をどう捉えているのだろうか…。
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秋色の久婦須川

2010-09-18 12:30:08 | 渓流&管理釣り場での釣り
■秋はそぐそこに■

 クソ暑い毎日が続き、ウンザリしつつも9月を迎えたが、ここに来てようやくマシになってきたようだ。ただし「夏のようだ。」と思っていたのは人間だけのことなのか、山々の木々は日照時間の減少を捉えて一歩前へ確実に進んでいる。


                         ●里山の麓では稲刈りの真っ只中●

 そして台風の通過時に久しぶりの雨が降った渓流部でも、秋への変化が始まっていた。


■久婦須川へ■

 今は河川の水位情報が国土交通省「川の防災情報」(http://www.river.go.jp/)に代表されるサイトで簡単に見られる時代だから、水位の変化はすぐに判る。
 渓流魚狙いは、一度水位が上がった後、その濁りが落ち着きつつも減水し、平水時よりもやや高い状態がベストとされているが、今回訪れた久婦須川では70cm台前半が自分なりの判断ではそれにあたると思う。台風9号による増水の後、当日は60cm台まで下がっていて、やや下がりすぎの感も無いではないが、それまでの間の渇水時よりはまだマシとの判断で釣行を決意したワケである。


■入渓地点■

 久婦須川を訪れる際に、よく入る区間の入渓点へ到着し、準備をし、河原へと降りて行く。富山県下の河川では地元でオロロと呼ばれるメジロアブの大発生が、毎年お盆前後に起こる。それがあってか、夏場に、この川を訪れる人が減るせいで河原へと続く踏み跡が消えて降りるのに苦労する。
 何とか降りたって投入を開始するが、すぐには答えが出てくれない。朝一番だというのに魚は餌をとるために動き回っているような感じはなく、川の中は、まだ盛夏を引きずっているかのようで、タフな雰囲気が漂っていた。
 どうやら、解禁以来釣り続けられて魚の数が減り、生き残った者が条件の良い一等地に一匹ずつが居座っているような感じがした。そこで、「ここは…。」と思ったポイントで粘る作戦をとるようにした。


■一匹目■

 何も反応がないまま、以前に尺イワナを獲った、幅の広い浅瀬から落ち込むポイントへと差し掛かった。

                     
                         ●瀬から落ちてくるエサを獲りやすい地形●

 まず、周辺部から攻めてみるが無反応。徐々に本命スポットへと近付いてゆく。そして以前にイワナを掛けたのと全く同じところに仕掛を入れた途端に目印が引き込まれていった。
 瀬の向こうはもう一段下がっており、そっちへ行かれると厄介だが、こちらの意思に反して相手はそちらへそちらへと走って行く。しかもこの時期のヤマメは最大限に成長しており、フルパワーでこちらに挑んでくる。
 「弱気は禁物」と、竿を持つ手を引き絞り、やや強引にタメてやり取りを繰り返して何とか玉網に誘導した。確認すると婚姻色で秋色に色付いた雄のヤマメだ。

                     
                             ●一匹目は26cmの♂ヤマメ●

 しかし、続くアタリはなく、予想通り「一箇所一匹の狙い撃ち」の展開だ。


■二匹目以降■

 次のポイントからは、「そこに居るハズ」と信じて、じっくりと時間を掛けて攻めることを心掛けた。

                     
                               ●「如何にも」のポイント●
                     
                              ●じっくり攻めると答えは出る●
                     
                                   ●ここも…●
                     
                                  ●秋色の26cm●


■エサについて■

 ここまで、持参したミミズとブドウ虫、そして現地採取のクロカワムシを使用したが、アタリがあるのはクロカワムシのみだった。しかし、採取しても小型の物がほとんどで、ハリに刺し辛い。そこで、クロカワムシのサイズに合わせてハリを小さくするという、逆の発想で対処した。

                     
                    ●クロカワムシのサイズは15mm以下の小型ばかりだった●


■この日の最大魚■

 そろそろ堰堤が確認出来る位置になり、最終地点が迫ってきた。気になる大石絡みのポイントがあったのでそこを丹念に攻めてゆく。

                     
                              ●気になる大石裏ポイント●

 セオリー通りに周りから攻め手ゆくが、ここでもやはり無反応だった。そして残るは、石裏直下の、このただ一箇所というポイントにやや重めの2Bのオモリを打った仕掛を入れてみる。
 答えはすぐに出た。しかし、掛けた瞬間にいきなり先手をとられ、相手の疾走からやり取りが始まった。
 竿のタメだけではついて行くそうにもない。そこで下流へ向かう動きに合わせてこちらもついて行く。相手の走る部分は淵のようになっていて水深があるものの、ボクの足元は膝上くらいであるから、比較的容易に移動できた。やがて淵尻部に到達すると、幾分相手の走りも弱まっていた。後は竿を引き絞って浮かせにかかる岳だ。そしてネットイン!。残念ながら尺には少し届かなかったが、この日の最大サイズのオスヤマメであった。

                     
                               ●この日最大の29cm!●

 その後は堰堤の手前の区間に入ったが、20cmくらいのを一匹追加するに留まった。

 ここまでの成績は、25~29cmの山女魚が六匹+20cmが一匹という成績だった。数は出なかったが、粒揃いの結果に一応の満足をしてこの区間から脱渓した。


■予想外の結末■

 時間もまだ充分に残っていたものの、途中で日差しが照り込み、気温が上がって状況は最悪に近い。そこで、もう一箇所「お試しポイント」として竿を出し、良い結果が出なければ諦めようと、前回アタリが多かった下流部のポイントに入ってみることにした。

                     
                           ●淵に流れ込む流芯の周囲がポイント●

 しかし、アノ手コノ手で何度攻めてもアタリはなく、「これで最期だ」と決め込んだラスト一投でようやく目印が引き込まれていった。しかし、何とこれがスレでかかってきたアユでビックリした。
 釣りをしない人は判らないだろうから説明しておくが、成魚になったアユは川底の石に付着した藻類を食べるので、エサを使っていても口に針がかかることはない。釣ろうと思うのなら、友釣りという、縄張りに進入してきた他のアユを追い払う習性を利用して引っかけて釣る方法をとるのが普通だ。だから、この日ボクが釣った?アユは、たまたまハリが流れてきたところに居ただけで運悪く引っかかっただけというこになる。

 運が良いのか悪いのか、何が何だか判らないラスト一投の結末に苦笑いをしながらの退渓になった。

                     
                                ●20cmチョイのアユ●


 10月1日からの禁漁を控え、時間はあと僅かしか残っていないが、「あと一回行けるだろうか?」と思案し続ける日々である。「行くか、このまま終えるか?」いずれにせよ今シーズンは「尺上クラスをゲットする」という目標を達成しており、余裕を持って迎えられそうな幸せなシーズンの最終局面である。
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車がアウトに!

2010-09-11 12:30:55 | その他
■とうとう逝ってしまった■

 以前にもこのブログで紹介した走行距離21万kmを越えて、まだ健在だった愛車の「平成12年式エルグランド・3000ccディーゼルターボ」のエンジンがとうとう壊れてしまった。
 壊れたと言っても、ブーストを掛けなければ実走可能な状態だったので、エンジン本体には不都合はない状態であったが、一度ブーストがかかると黒煙が上がる状態でパワーがかからず、ノンターボ状態なのだ。
 恐らくタービンがダメになっているので、修理をすれば15~20万円は確実だが、この車は都市部の規制の対象車であるがゆえに、ボクの住む地域では使用期限があと1年しかない。それに加えて、昨今世間を賑わしているエコカー減税&補助金の内、補助金分10万円のバックが9月一杯となっており、「今買い換えないと、修理代を含めたトータルで30万円の損失になる。」ということで、この際思い切っての買い換えを決意したのである。

                 
                    ●別れの朝、オドメーターは21万kmを越えていた●  


■最新ディーゼル事情■

 ボクはディーゼルターボエンジンのRV車における「エンジントルク特性」と「合理性」、そしてある意味での「低公害性」を支持しているので、当然候補に挙がるのはそれを積んだ車になるのだが、残念ながら現在のところ国産車では「エクストレイル/日産」「パジェロ/三菱」の2車しか設定がない。
 両車ともアウトドア遊びを基本とするボクの車選びでは大切な要素である「しっかりとした四駆のメカニズム」を搭載した車ではあるが、パジェロはエコカー減税の対象にはなっておらず、一種の特殊な車のようであり、実質は選択しにくい状態だった。
 ただし、残るエクストレイルを選択するには、これまでミニバン3列シートばかり乗り継いできた立場から言うと、5人乗りになることに対しての決意が必要になってくる。
 しかし、現実には既に足が無く、いつまでも嫁に車を借りたままの状態でいられない。そこで意を決し、エクストレイルのディーゼルエンジン搭載車をメインとして、値引き交渉用に2、3の競合他車(ガソリンエンジンだけど)候補を挙げて購入交渉を開始したのである。

 ボクのように平均的ドライバーよりも1年間の走行距離が長く、一つの車を乗り潰すまで確実に乗り続けるタイプの人間が、ディーゼルエンジン車を考える時、いつも頭に浮かべるのは、そのコストの低さだ。
 試算してみると、エクストレイルの場合、ガソリンエンジンの排気量2Lの燃費が7.5km/L、ディーゼルエンジンの排気量2Lの燃費が10km/Lが妥当な線だというから、15万kmまで走ると、それぞれ20000Lのガソリン、もしくは15000Lの軽油が必要になる。レギュラーガソリンの価格を130円、軽油を110円とすると、最終的に燃料代はガソリン車が260万円、ディーゼル車が165万円となり、価格差は95万円にもなるのだ。
 しかし、現代のディーゼル車はガソリン車よりもはるかに高度なエンジンコントロールがなされており、それが価格に反映されるため、ガソリン車に対して約64万円も価格が上昇している。しかもこれはディーゼルエンジン車がマニュアルシフトの場合であり、AT同士になると69万円の差になってしまう。(個人的にはマニュアル・シフト車は大好きなんだけど…。)
 これだけで済めば、まだおつりが来るが、ボクの運転パターンだと10万km前後に必ずターボが壊れてしまうから、その交換は避けられない。更には最新ディーゼルエンジンに付き物の、DPFという、ススを焼いて除去する装置も15万kmを走る内の、どこかで交換しなくてはならないと聞いた。この部品代&工賃は結構かかり、各20万円とすると、計40万円の出費になる。そして全てを差し引きすれば14万円の赤字になってしまう。幸いクリーンディーゼルと称するこのディーゼルエンジン搭載車はハイブリッド車と同様に取得税と重量税がゼロになるのだが、それを更に差し引きしても両車の価格差はあと4万ほどしか縮まない。

 エルグランドクラスの場合、3500ccガソリンエンジン車と、3000ccディーゼルターボ車の燃費格差は220万円以上にもなっていて、ディーゼル車の方が割高な新車時の価格差を差し引いても200万円近いおつりが出たハズだが、いつの間にかの、この現実に、「ディーゼル乗用車イジメここに極まれり」と、ガックリ肩を落としてしまうのであった。


■結局は…■

 で、結局は実質の価格差が赤字であることに加えて、その真意は書かないが、ガソリンエンジンが国産で、ディーゼルエンジンはフランス産だということが最終の決定打となり、2Lのガソリン車を選択するという顛末になってしまった。

 しかし、この交渉の最中に各社の営業マンから紹介されたエコカー減税と補助金の内、古い車からの買い換えに対する補助金についてはまだ理解ができたものの、エコカー減税というシステムの方はとっても不可解だった。
 普通、車というものは同じエンジンとボディならば低いグレードの方が、装備品が少ない分だけより軽量になり、燃費が良くなるのは当たり前の話であり、燃費が良い=同じ距離を走るにも排出するガスが少なくなって環境に対するダメージが減るのだが、実際は低いグレードの方が減税額が少なく、高いグレードの方が減税額が多くなっている車種が結構な割合で存在していた。そしてその結果、税金を含めた総計ではグレード間での価格差がほとんど無い状態のものまでが存在していたのだ。
 更に、ある車種に至っては、より燃費の悪いターボ搭載モデルの方が減税率がかなり高く、自然吸気エンジン搭載の最軽量であるハズのベースモデルは減税なしというケースまであったのだ。
 これは「○○kg~○○kgまでの車の場合、大体の燃費はこれくらいだから、それに対して○○%燃費向上したから基準達成!」という「重量ランク内での燃費基準に対する向上率」で区分けされたのが原因だ。すなわちメーカーオプションなどを付けて重くなると重量ランクが上がって、適応される燃費基準が甘くなるからだ。
 このような現実に則さないエコカー減税のルールと言い、上述のディーゼルエンジンイジメと言い、「いったいこの国は本気で『エコ』に取り組む気があるのか?」という疑いさえ持たざるを得なかった今回の車選びであった。

 何はともあれ、日本人であるボクにとってのこの選択は、結果的に日本のGNP上昇させることになり、それが微量ながらデフレ解消にも繋がって「少しは社会に貢献した。」と喜んでいたワケだが、
「あっ、でもこの会社はフランス企業に半分近くも株を保有されているんだったんだ。」ということを思い出して苦笑してしまうのであった。


■追伸■

 何と、アテにしていた補助金10万円が、資金が底をついたために9月7日で打ち切りとなった。商談中の報道では23日頃までは大丈夫なハズだったので、納車の9月20日前後はギリギリのタイミングでセーフだと思っていたのだが…。
 途中で9万3000台もの持ち越し?の追加登録があって、一挙に資金が減るなどの不手際は、「如何にも日本のお役所仕事だな。」と、苦笑いをしてしまったが、こればかりはどうしようもない。何ともツイていない顛末だが、諦めるしかない。


■追伸の追伸■

 この記事を書いた時は知らなかったが、クリーンディーゼル第2弾として、「パジェロ・ディーゼル」が認可を受け、9月2日から販売開始になったようだ。しかし、廉価版でも360万円…。いずれにせよボクには買えない…。
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木曽路の渓流

2010-09-04 12:30:19 | 渓流&管理釣り場での釣り
■奈良井川■

 中山道に沿って北上し続けて木曽路の最奥部に向かうと、右手にそびえる中央アルプスの北端あたりに分水嶺がある。
 とは言っても、この辺りは複雑なので、平たく言えば国道19号が峠山を貫く新鳥居トンネルを越えた先にある奈良井川(ならいがわ)水系は犀川、信濃川等を経て日本海側に注いでおり、トンネル手前の木曽川は伊勢湾=太平洋側に注いでいる。
 従って同じ木曽路の北端部であっても、奈良井川はヤマメの生息域であり、木曽川はアマゴの生息域ということだ。昔のことはよく知らないが、漁協もその辺はわきまえているらしく、奈良井川にはヤマメを木曽川にはアマゴを放流し分けているそうだ。
 今回最初に訪れたのは、奈良井川だ。昨年少しだけ立ち寄って様子を伺った際に「一度本格的に攻めてみよう。」と思っていたのが実現した次第だ。


■贄川付近■

 まず最初に入ったのは贄川(にえかわ)という地区だ。
 実は、全然予備知識がなかったので、「何処に入ろうか?」と散々迷った末に、小さな沢が流れ込むところをピックアップし、カーナビを駆使して入経路を見付けた結果だ。ボクの皮算用では「沢沿いを降りれば何とか本流に出られるだろう。」ということと、「最低でも沢との合流点がポイントになる。」ということの2点があった。


■綺麗な川だが…■

 沢自体は釣りになりそうにもないので、奈良井川との合流部から初めて竿を出すことにした。
 開始直後、辺りは木々の陰の中で、まだ薄暗くて目印が確認し辛くて苦労する。3投目を流し終えてピックアップしようとしたところ、何と仕掛に魚が着いていた。しかし、ちゃんとアワセが出来ておらず、ハリハズレでバラしてしまう。
 続いて魚を狙うが、全くアタリがないので周囲の石をひっくり返しつつ、川虫を採取する。
 ここ奈良井川の水質はクリアで底石も綺麗だが、そこが問題でもあるようだ。何しろひっくり返そうが、足でゴソゴソやろうが、ほとんど川虫が獲れないのだ。底石の綺麗さはヒラタなどが食う底生藻類が少ないと言うことに繋がり、それを食するヤマメにも影響があるかも知れないと、不安要素にもなった。
 ようやく獲れたのはカワムカデとオニチョロが少しという結果で、クロカワムシは巣の跡すら発見できなかった。
 ボク的に言わせてもらうと、カワムカデとオニチョロでの釣果実績はほぼゼロ。同時にクロカワムシやキンパクを使って比較すると、アタリの数自体がかなり少ないことも経験済みなので、持参したミミズとブドウ虫があるものの、先行きが思いやられた。

                   
                            ●ようやく捕まえたオニチョロ●

 
■ポイント選定■

 入った区間は平瀬がメインで、時折変化があるものの、やや単調気味な区間であった。その事が魚の着き場を限定させることになって、絞り込みやすくはなるのだが、誰もが狙うであろうから、その分プレッシャーが高そうだったので、ゼロ竿に0.15号の通し仕掛を使って、慎重に攻めていった。
 そしてやがて誰でも判りそうなポイントに差し掛かった。

                   
                            ●典型的なポイントなのだが…●

 しかしながら、夏場特有の小型ばかりに悩まされる。

                   
                            ●1匹目は10cm足らず…●

 持参分と採取分のエサをローテーションさせても結果は同じなので、見切りを付けて更に上流へと向かう。


■キープサイズ1号■

 どうも、流れの緩いところは小型ばかりの様子なので、そういったところはサッサと流して、より強い流れの中にある変化を求めて移動を繰り返していった。そして「ここは…。」というポイントに差し掛かった。

                   
                   ●川がクランクし、流れが強く当たる部分に大石が見える●

 まず周囲を探るが、アタリは少なく、釣れても小型ばかりだ。そこで本命の石裏のヨレと本流に巻き込まれる部分を攻めてみた。エサはオニチョロを装着して投入すると、すぐにアタって、ようやく本日キープ第1号をゲットできた。

                   
                              ●約20cmのヤマメ●

■橋桁ポイント■

 同じポイントで続くアタリはなく、更に上流へと向かう。そして橋桁部分に流れがぶつかり、渦巻くポイントに到達した。

                   
                      ●ポントは橋桁左端の本流に巻き込まれる渦部●

 エサをローテーションさせつつ、渦の中をシツコく攻めている内に今度はミミズのエサに反応したアタリを捉えて、先程よりも一回り大きなサイズのヤマメをゲットした。

                   
                               ●23cmのヤマメ●

 しかし、続くアタリはなく、移動を余儀なくされてしまった。


■下流部へ■

 ここまでの時点でキープ数はたったの2匹だったが、それよりも何処を探しても川虫が少ないことに不安を感じていた。やはりエサの少ない区間は、魚も少ないようだ。
 ここで浮かんだ考えは
 「エサが少ないのは水温のせいかも?」というものであった。従って、下流に行けば幾分水温も高く、状況が変わるだろうとの考えで、思い切ってかなり離れた下流部へと向かうことにした。
 しかし、ここでも結果は同じで、アタリの無さに加え、拭うことの出来ないエサ不足感とが重なって、再びの大移動を決意した。


■トンネルを抜けて木曽川へ■

 逆に奈良井川の上流部も確認したが、めぼしいところには人が入っており、車を降りて尋ねても、釣っている様子は無い。そこで、一大決心をして鳥居トンネルを抜けた先にある木曽川上流部へと向かうことにした。便利なことに、この一帯では付近の漁協の入漁証がコンビニで購入できるので、こういう際には有り難い。

                   
                         ●奈良井川、木曽川両漁協の1日券●

■木曽川上流部■

 木曽川上流部に到着すると、鮎釣師が撤収するところであった。声を掛けてからその上流部に入らせてもらい、釣り上がっていった。
 奈良井川と違って石にはヒラタなどのエサになる藻も生えていた。試しに底石をひっくり返して手に取ってみると、小さくてハリにはさせないものの、クロカワムシも棲息しており、期待は充分だ。
 しかし、残された時間は2時間ほどしかなく、その意味では安心は出来ない。
 そして程なく、奈良井川では見掛けなかったタイプの、力強い流れが狭められて作り出す典型的な渓流魚ポイントへと差し掛かった。

                   
                        ●如何にも渓流魚が着きそうなポイント●


■今年初アマゴ■

 竿はゼロのままで、0.15号の糸を使っていたのだが、22、3cmあったであろう1匹目は、抜く際に切れてしまい、取り逃がす。そして続いた今年初対面のアマゴはド派手なチビアマゴであった。

                   
                         ●この派手さは養殖物の稚魚だろう●

■木曽のタナビラ■

 同じポイントを攻めている内に、それまでのアタリとは違う鋭さで目印が引き込まれていった。
 ハリスは0.15号のままなので、慎重にやり取りを繰り返す。竿のしなりを最大限に活用しつつ、相手との距離を詰めて行き、時間を掛けて無事に取り込んだのは、本日最大魚であるアマゴだった。

                   
                               ●25cmのアマゴ●

 木曽地方では、アマゴのことをタナビラと言う。これは諸説あるようだが、ボクは「太い刀=段平(ダンビラ)から来ているのでは?」と思っている。
 鋼色をベースに研いだ際に出来る文様が散らばっている様子は正しく日本刀のそれであり、朱点と呼ばれる赤い点は、差詰め付着した血痕であろうか?。今回ゲットしたこのアマゴの美しさは「タナビラ」にふさわしい姿であった。

 その後は、更に釣り上がり、20cm級のアマゴを追加したが、そこで時間切れである日没を迎えてこの日の釣りが終わった。


■川質の違い■

 この日は川質の違いに気付かされた1日であった。違いは、川虫などエサの豊富な木曽川に比べて、それの少ない奈良井川は小型の稚魚を含めて明らかに「魚影感が薄い」ということろにある。
 水中での渓流魚は食物連鎖では上位にあるが、底辺にある川虫類が少なければ頂点の割合も変わってくるのは当然の話である。
 よくよく考えてみると、同じ川であっても川虫の少ない区間の魚影は極端に少ない。これが川全体となると…。答えは寂しいものとなるだろう。
 奈良井川は決して人気のない河川ではないことだけは確かなので、一時的な現象か、ただ単に入った場所が悪かっただけの可能性もある。実際に奈良井川の、事前のルアーでの釣り情報では釣れているようではあった。しかし、これはエサが少なくてフィッシュ・イーターになるのが早いせいなのかも知れない。いずれにせよ素人のボクには判断できず、
 「もしかして、ボクの腕がヘボなだけ?」と言えなくもないが、砂の堆積量も少なく、川全体が綺麗で、ローケーションも良かっただけに残念な結果であった。
 反面、木曽川上流部は、エサ、魚影とも濃くてその面では申し分は無さそうなのだが、いかんせん周囲に民家や人工物が多くてあまりにも開け過ぎで、ロケーション的にヤル気を起こさせるような雰囲気が少ない点が引っかかった。
「アチラを立てればコチラが立たず。」性質の全く違う河川での釣りに、やや戸惑った1日であった。
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