中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

釣り味・食い味 ~その4(渓流魚編)

2013-07-27 12:30:00 | 釣り一般
■「一挙数得」の釣り■

 渓流釣りに本気で取り組み初めて早5年。諸先輩方には「知った風に言うな!」とお叱りを受けるかも知れないが、今までに様々な釣りをしてきたボクの目から見た渓魚達についての評価なので、その辺はお手柔らかに…。

 そもそもこの釣りを始めた切っ掛けは、グレ釣りがオフになる3月に解禁され、禁漁になる10月になれば再びグレ釣りがシーズンインするという、誠に都合の良いタイミングでできる釣りであることが大きかった。他に、副次的なことだが、暑くなっても高地の涼しい場所で釣りができるし、夢中になって楽しみつつも「流水を遡る」という、ハードな運動は日頃の運動不足が解消できるので、一挙両得どころか「一挙数得」にもなることは、この釣りを続ける要素にもなっている。
 また、釣れてくるヤマメ、アマゴ、イワナといった魚達は姿形、色合い共に美しく、自然が作り出す美に触れる喜びがある。

●美人なヤマメ●


 そんな感じで、今やメインの年間釣りスケジュールの中で一角を占めるようになった渓流釣りだが、始める前には大きな誤解があった。
 関西のTV釣り番組で、この釣りをとり上げるのは大抵、解禁時の頃であり、20cmそこそこのアマゴを水面から引き抜き、空中を飛んでくるのを受け玉でキャッチするという映像がほとんどだった。そして、その様子を見た結果、「こんな小物を釣って楽しいのかな?」というのが、正直な感想だった。
 その評価が変わったのが、細山長司さんを始めとする「本流釣り」をする釣り人達の映像や文献を見たことだった。小物だと思っていた渓魚は、環境が整えば普通で40cm近くに、降海型などの場合であれば70cmオーバーにまで育つということをこの映像などで知ったことは衝撃的だったのだ。


■渓魚の釣り味■

 「同じ魚であっても釣り方が変われば、難易度が変わる。」これは当然だが、エサ釣りに限って言うと、「延べ竿で釣る」というスタイルがこの釣りを難しくしているように思う。
 ボクの釣り歴中では一番長いグレ釣りでの経験から言うと、糸強度の限界まで竿を絞り込んでも更に締め込み、走ろうとする魚には、レバーブレーキ付きのリールであればレバーを解放し、ドラグ付きのリールであればドラグを滑らしてリールから糸を出して、再び竿を立てて踏ん張ることを、または、それを繰り返すことが獲るために有効な手段であると認識している。
 しかし、延べ竿には当然リールが付いていないためにそれができない。だから、竿をタメても止まらず、更に走る大型渓魚が掛かると、「滑る川底と水流抵抗」という人間にとって不利な条件の中で、相手が上流に向かおうが、下流に向かおうが、動きに合わせて同じ方向に釣り人自体が走らなくてはならないのだ。しかもその判断は瞬時に行わなくてはならず、釣り人のセンスと運動能力が問われることになる。
 また、他の魚と比較しても渓魚達は警戒心がかなり強い部類に入るので、この釣りは、細糸の効果が他の釣りに比べて大きく、糸が細ければ細いほどアタリが増える傾向にある。しかし、細ければ細いほど仕掛の強度が落ちるのは当然として、上述した「糸を出せない」という構造的な問題も加わって、食いを良くしようと思えば、仕掛を切られる確率がかなり上がるというジレンマを抱えている。
 その結果、ある程度の腕がないと、大きな渓魚をバラしてしまい、中小型しかゲットできないこともあるのだが、そんな様子を見かけるせいか、ルアーで渓魚を狙う釣り人の中には、エサで狙う釣り人を「小さな魚の数釣りをする人達」と思い込み、「エッサマン」と、半ばバカにしたように呼ぶ人を見かける。しかし、それは知らぬが故の勘違いしているように思える。
 これは海の場合でもそうだが、オキアミなどのプランクトン系やゴカイやミミズといったエサと小魚の両方を捕食する魚を狙う場合は、エサで釣る場合よりも、小魚で釣る方が仕掛を太くしても食いがあまり変わらないという傾向があるのだ。小魚を擬したルアーも同様に、狙う範囲への飛距離が確保できた上で、動きが不自然にならない範囲であればある程度糸を太くしても構わず、それはエサで狙う人の仕掛けに対して、こと強度という面ではかなり有利になる。
 だから、疑似餌を食わせるテクニックという難しさがあっても、ドラグを使ってリールから糸を出せる上に糸が太くできるというアドバンテージが自分たちにあるということを忘れないでいて欲しい。勿論、渓魚がフィッシュ・イーター化するのはある程度の大きさに成長してからになるため、ルアーで狙う場合は初めから小型が少ないのは当たり前のことだ。
 つまりは、「ルアーで狙う場合は、(エサ釣りよりも)アタリの数は少ないものの、大型のゲット率が上がるが、エサ釣りの場合はその逆」ということであり、「疑似エサを使って食わせる」のも腕前が必要であるのなら、「細糸を使って良型以上をゲットする」のにも腕前が必要なのだ。であるから、アプローチに違いがあるだけで「釣り自体に優劣はない」ということを理解して欲しい。

●現時点の自己記録33cmのヤマメ●


 と、話が横道に逸れてしまったが、ボクにとっては延べ竿と、それに装着される細仕掛の不合理さによって起こるハラハラ・ドキドキがたまらず、それがこの釣りの面白さとなっている。
 渓流ではヤマメ、アマゴ、イワナと、一部に外来魚のニジマスやブラウントラウトが狙われているが、ボク自身は外来魚否定派なので、釣り味の評価はヤマメ、アマゴ、イワナのみとしたい。
 ヤマメは海に下り、サクラマスとなって遡上すると、最大で70cmオーバーに育ち、アマゴも同様に遡上型は50cmオーバーに育つこともあるようだが、ボクはそのタイプを狙わないため、それらは別格としておく。それ以外の、普通の渓流に生息している40cmまでのタイプを狙うのなら、ヤマメ、アマゴに難易度の差はほとんど無いと思うので、釣り味は同評価の10段階で8としておく。
 イワナの場合もダム湖や海から遡上した物の中には最大で80cmクラスになるそうだが、そのサイズは極希であり、一般的に釣れる最大クラスは50cmまでだろう。
 同サイズのヤマメ、アマゴと比較するとスピード、パワー共に劣っているうえ、エサに対する執着が強いようだ。そのため、実釣ではヤマメ、アマゴはアワせ損ねると、二回目のチャンスはほとんどないが、イワナの場合はハリ先が刺さらない限り、同じ場所で何度かチャンスがあるように思う。またボクの釣りレポートでも尺オーバーのイワナは毎年のように釣っているが、ヤマメ、アマゴに関しては尺オーバーが極端に少ないことからも難易度に差が有ることが理解できるだろう。よってイワナの評価は10段階で6.5としたい。

●現時点の自己記録40cmのイワナ●


■渓魚の食い味■

 渓魚は養殖物であっても水温が低い清らかな水でしか育ち辛い。そのため、食材としての供給地が必然的に山間部となるため、TVの旅番組のレポートでは秘境的な地域の紹介とリンクすることが多く、そこで味わう珍品として、串に刺して焼いた渓魚をウマイ、ウマイとほおばるシーンを見かける。但し、それがイワナ、ヤマメ、アマゴ、ニジマスであっても同じような感想を言う場合がほとんどだが、実際にはかなり味が違うのだ。
 順位をつけるとヤマメ、アマゴには釣り味と同様に、食い味の違いを見つけ辛いため、同格の1位となり、以下イワナ、ニジマスと続く。何と言っても1位の2種は身の中に寿司屋でよく味わうサーモン系の脂と同様の甘みがあって、実にウマイ。その旨味は、川魚の中では一定の評価を受けているアユよりも確実に上だと思う。そして料理は天ぷらを始めとして、フライに塩焼き、何でもイケる。
 これがイワナとなると、身にサーモン系の脂分が少なく、かなり淡泊な味になる。そのため、味わう際は、塩焼きにするのならキツめに塩を振るか、いっそのこと強制的に味を入れる料理にした方がイイと思う。その他に、源流に棲むイワナを刺身にするという記事を読んだことがあるが、ボクには川魚を生食する勇気がないので、どうにも評価できない。
 余談だが、ニジマスはどうかというと、これまた身にサーモン系の脂分が少なくてイワナよりも大味な印象の上に、分厚く硬い臭みのある皮があるため、ランクはかなり下がってしまう。
 
 そんなこんなで、渓魚の食い味はヤマメ、アマゴが10段階の8、イワナは10段階の6.5としたい。釣り味と同じ評価になってしまったが、ボク的にはそんなところだ。


■総合評価■

 総合評価は釣り味、食い味とも同評価だったためにヤマメ、アマゴが10段階の8、イワナは10段階の6.5となる。
 経験が浅く、大したサイズの魚を釣っていないにも関わらず、ヤマメ、アマゴに関しては高いポイントを与えたが、ボクにとってはこれから先も更にサイズアップが狙えそうな、夢が広がる釣りの一つであることが、この評価を後押しした理由なのかも知れない。
 聞くところによると、渓魚もサイズによる味の評価に違いがあるそうで、大型を連発した暁には食い味の評価が下がることもあり得る。そんな起きもしない将来の出来事はどうでも良いが、現実的に心配なことがある。それはこの釣りに衰退感を感じてしまうことだ。
 実際、内水面の漁業従事者は減少し、現在行われている放流事業も一部を除いて衰退傾向にあるようだ。成魚であれ稚魚であれ卵であれ、放流がなければ成り立たないのがこの釣りの現実であるが、「放流量が減る→釣れにくくなる→釣り人が減る→入漁料収入が減る→そしてまた放流量が減る」といった負のスパイラルが各地で始まっているようだ。そのアオリを受けて釣具店の渓流用品コーナーは年々減少し、釣具メーカーは極力在庫を作らない方向に進んで、買い時を逃した道具は手に入り辛くなっている。この釣りが過去のモノとならないよう、何か手立ては無いものか?と思案する今日この頃である。
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ハイキング 黒菱ライン(八方アルペンライン)~八方池

2013-07-20 12:30:00 | アウトドア・スポーツ
■白馬八方池へ■

 昨年の同時期は、長野県北部にあるスキー場で有名な栂池高原(つがいけこうげん)のさらに上部にある、回廊式の庭園=栂池自然園を巡ったのだが、その際に出会った、とあるご夫婦から「八方池の周辺も絶景だ」という話を聞いていた。そのため、「次回は八方へ」と思っていたのだが、天候に恵まれず、日程が延び延びになっていた。
 そして今回、ようやくアプローチする機会が巡ってきたのだが、自宅のある西宮を出る頃になって天気予報が大きく変わり、またもや暗雲立ち込める中でのスタートとなった。

●ルートガイド・パンフレット●

 上図で判るよう、上部の散策路が八方尾根自然研究路と呼ばれ、ベース地が八方池山荘になる。そして、そこにアプローチするルートが、八方アルペンラインと黒菱ラインと呼ばれている。
 2ルートは、冬場にスキー場のリフトとして利用される物がそのまま利用されており、リフトとしては最上部のグラートクワッドが共通となる以外は異なる地点からのスタートになる。
 メジャーなのは麓からゴンドラリフトに乗り込んで向かう八方アルペンラインなのだが、もう一方、車で黒菱(くろびし)林道を登り、ゴンドラ一本分をパスして黒菱リフトに乗り込む方法が、黒菱ラインだ。
 料金は八方アルペンラインが往復で¥2600(大人料金)で、黒菱ラインは往復¥1000(大人料金)なので、黒菱ラインの方が断然お得となるが、ゴンドラから見下ろす景観を考えると意見は人それぞれであり、甲乙はつけられないのかも知れない。
 ゴンドラからの風景は見飽きているし、コストパフォーマンス追求派の我が家は当然ながら黒菱ラインを選択してのアプローチになった。


●グラートクワッドの終点(左)と、八方池山荘(右)●



■コース・イン■

 朝方に降った雨は黒菱林道に入る前に止み、ガスによる視界の悪さも最小限に抑えられていた。
 駐車場からリフト2本を乗り継いで八方池山荘前に到着。山荘脇を抜け、左手に遠見山周辺の山々を、右手に乗鞍岳?方面の山々を見ながら八方池へのアプローチが始まった。

●左手の遠見山方面●


●右手の乗鞍岳?方面●


■易しいコース■

 コースに入ると、ゴロ石が転がる緩やかな登りになる。つい2時間ほど前に雨が上がったばかりなので、所々に浅い泥溜まりがあって、その泥が靴底に付くとゴロ石の上で滑りやすくなる。実際に転倒する人を何人も見かけたので注意が必要だ。
 ここはハイカーと観光ついでに登る人が混在するが、ハイカーが履くトレッキング・シューズでも滑るのに、観光客の一部の人は普通の平底の革靴で登っていたので、這うように登らざるを得ない状態だった。全般を通してハードなコースではなかったが、危険防止のために、最低限スニーカー程度に履き替えて登って欲しいモノだ。

●ゴロ石の転がる登り●


●下りの滑り易い部分は木道になっている●

 ある程度標高が上がると、雪渓も姿を現し、雰囲気を盛り上げてくれる。

●途中にある雪渓●


 面白かったのは、豊富に揃うケルンで、一定の距離ごとにあるため、自然と足が止まる休憩スポットになっている。

●ケルン群●

 滑り易いこと以外は難易度は低く、ケルン群や景観ポイントが豊富なため、全く疲れの出ないコースだ。

●途中の台地状の箇所からの景観●


 そして程なく八方池に到着した。

●八方池を見下ろす●

 残念ながら、雲がかかって北アルプスの稜線は見えなかったが、それでも景観は素晴らしく、それを眺めながら池の畔で昼食をとることになった。

●晴れた日の八方池(パンフレットより)●

 高地のハイキングコースでは高山性植物を見ることも楽しみの一つであるが、季節が悪かったのか、その種類や量も少なめで、「和ませてくれる」ほどではなかった。

●途中で出会った”貴重な”高山性植物●


■家族連れに最適■

 隣にある栂池自然園と並び称される八方尾根自然研究路。ボクの個人的意見としては、湿原に咲くミズバショウと豊富な高山性植物、正面に見える白馬大雪渓、冷気の吹き出す風穴等々、見るべきスポットの数が多く、コースレイアウトも巧みな栂池自然園の方にどうしても軍配を上げてしまう。しかし、どちらを選んでもハードさはないので、チョっとした登山気分を味わうにはもってこいのコースには違いなく、健脚なお年寄りから幼児まで、年齢を問わず自分で歩いて北アルプスの景観が楽しめるところが有り難く、貴重な存在であることは確かだ。

 とにもかくにも、白馬方面にある二つのハイキングコースを歩いた。しかし、本当のところは八方池から更に登った先にある唐松岳や、栂池自然園から更に登った先にある白馬乗鞍や白馬岳に足を伸ばしてみたいのだが、経験はもちろんのこと、衰えた脚力とオーバーウェイトのために二の足を踏んでいるのが現実だ。
 「思い切ってダイエットに挑戦してみるか?」と、出来もしないことを考えている今日この頃だ。
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短時間勝負の久婦須川

2013-07-13 12:30:00 | 渓流&管理釣り場での釣り
■梅雨末期■

 ヒラマサに惑わされ、なかなか向かうことが出来なかった今シーズンの渓流釣り。6月初旬にようやく自身の開幕を向かえたが、その後は空梅雨気味の中、予定日近くになると雨が降らず、渇水気味となり、なかなか釣行タイミングが掴めなかった。
 そしてその梅雨も末期を迎え、ボクがよく釣行する中部北陸地方では釣行前々日に大雨が降るという、ベストのタイミングがようやく巡ってきた。
 釣行先についてはアレコレと散々迷った。当初の計画では釣行先の第一候補は岐阜県奥飛騨の高原川だったのだが、ここでは逆に雨が降り過ぎて大増水した模様で、早々に候補から外れてしまった。しかも前日になって雷雨が各地で発生したため、予測がつけ辛い状況になり、困り果てていた。
 こんな時に助け船となるのが、「国土交通省・川の防災情報」だが、確認してみると、やはり各地の水位計は上昇し、かなり高い様子だった。「では、今やホームグランドとなっている久婦須川はどうか?」と覗いてみたが、ここの水位計はよく故障するため、前日の段階でも欠測続きで、時折数値が入っているという状態だった。
 その間引きされた測定値では水位が落ち着く方向のように思えたし、雨雲レーダーでも雷雲は富山湾から離れた位置に発生していること、更には、「勝手知ったる」ということで、結局はいつもの久婦須川に釣行先は絞られた。しかし、曇りだった予報は修正され、釣行当日は雨量は少ないものの、雨模様となっていたことが気がかりだったのだが…。

■降り出す雨の中■

 釣行当日の朝は曇天であった。河原に降りて状況確認すると、水位は見た感じでは20cmほど高いが、「下がる傾向」というのはこの時点では正しい判断のように思えた。しかし、川の濁りは泥っぽく、もうこれ以上ひどくなると魚が口を使わなくなるような感じが漂っていた。

●泥っぽく、流速が速い●

 今回持ち込んだエサは市販エサのミミズとブドウ虫だが、それに加えて現地採取した川虫類を使用する予定だったので、竿を出す前にとりあえずは採取に励んでみた。
 前月と比較すると川虫の生息密度が下がって、なかな数が揃わず苦労し、思いの外時間が掛かってしまった。そのため、朝一の時合い狙いにロスが出てしまった。そしてようやく竿を出せる頃になると、ポツリポツリと雨が降り出す始末。先が思いやられるスタートだった。
 最初に入ったポイントは平瀬に大きめの底石がポツポツとが点在するだけなので、スタートが遅れた分だけ出てきている魚が少なかったのか、アタリがあってもチビサイズしか出ない。そのために、実釣開始から早くも焦りが出ていた。しかも、それに拍車を掛けるように雨粒が大きくなり始めた。

●しばらくはチビばかり●

 雨模様を眺めつつ、「このままでは更に水位が上がって、釣りどころではなくなるかも知れない」との思いが巡っていた。従って、脱渓できる場所を常に念頭に置きながら、効率良く釣れそうなポイントのみをピックアップし、そこに仕掛を打ち込んでゆくという作戦に切り替えざるを得なくなった。勿論、魚の活性は低そうなので「ここは…」というポイントでの、ある程度の粘りは必要だが、そこで時間を掛ける分だけポイント間の移動はサッサと行い、いつもなら試しに仕掛を打ち込むような”念のためポイント”は、あえて無視することとした。
 そして、そんな狙いを繰り返す内に、ようやくマトモ・サイズをゲットすることができた。

●ようやく釣れた20cm前半サイズ●

 このヤマメが出たのは普段であれば入っていそうなポイントそのものではなく、「A級スポット脇にある比較的静かなところ」だった。
 この結果、以下の推論を立ててみた。
 普段なら仕掛を打ち込まない”竿抜け”と表現するところかも知れないが、前日までの、水位の様子からすると他人が散々叩いた後であるはずはなく、当日の濁りと水流の加減で条件が悪化し、「渓魚にとって普段のA級がA級でなくなったために、そこに定位せざるを得なかったのであろう。」と…。
 そして、その推論はあながち外れではなかったようで、次のヤマメも淵尻脇の陰になった部分から出てきた。

●当日としては良型になる、25cmのヤマメ●


■当日最大魚■

 その後も、普段なら狙う大場所そのものではなく、その近くにある渓魚の待避場所となるようなところに仕掛を打つことでポツリポツリながらアタリをとってゆく。しかし、一区間で一匹が出る程度で、複数が同一区間で出ることはなかった。
 エサに関しては「濁った時のミミズ」のセオリー通り、ミミズに出るアタリがほとんどで、川虫ではオニチョロに少々アタリが出るのだが、クロカワムシには全く反応がなかった。

 不調さを感じつつも、差し掛かった区間は、上流側がひな壇のように段々と落ち込んでくるところだった。
 普段であれば、段々の落ち込みや岩陰とその裏にできる流筋脇等を狙うのだが、この日の流勢では、やはり不発。そして気になったのが、段々が終わった先のやや開けたところにある下写真のようなポイントだった。

●気になったポイント●

 写真手前にある、流筋の脇は当日のパターンとしては当然のように不発だった。
 「それなら対岸のブッシュ際はどうだろうか?。」と、仕掛を打ち込んだ。何度か投入するのだが、引っ掛かるのが嫌なので、どうしても手前を仕掛が流れてしまってアタリが出ない。
 そして「最後の一投」とばかり、引っ掛かるのを覚悟しながら投入した仕掛が、ウマイことにブッシュ際ギリギリのラインを流れてくれた。
 これにアタリが出た。それも当日としては良型の渓魚ようで、アワせた瞬間に、ゴンッ!という手応えがあった。やはり本命場所ではなく、待避場所に潜んでいたようだ。
 流筋を越えて手前へ寄せなくてはならず、その意味では多少ヒヤッとしたが、とはいうものの、尺越えではないのは確かなので、引き味を楽しみながらのやり取りなった。そして、無事にゲット。当日としては最大魚のヤマメであった。

●27cmのヤマメ●


■半ば逃げ帰る■

 良型ヤマメを釣った後は、竿出しできる区間も残り少なくなっていた。また、この時点での増水具合から推測すると、普段なら最終地点になる大堰堤の周囲には近付けそうにもない。
 しかし、最終地点を諦めて脱渓地点に向かうにも、その手前で瀬を渡って対岸に向かわなくてはならない。そこで急いで渡河地点に向かったが、危険に感じることはなく無事に通過でき、もう危険箇所はなくなったのでホッとして胸を撫で下ろす。ただし、この時点で竿出しできるポイントは2箇所しか残っていなかった。
 そして、その一つでもブッシュ際作戦が成功してなんとか一匹を追加する。

●最後は25cmのヤマメ●

 このヤマメをもって「キリが良し」とし、この日の釣りが呆気なく終わった。

●堰堤の周囲は釣り不能●


■増水の中で■

 この日の釣りで濁り+増水時の、釣りパターンの一つが読み解けたためか、渓魚の食い渋りにもある程度対応できて、そこそこサイズ(22~27cm)の、ヤマメの釣果はなんとか”ツ抜け(二桁)”に届いた。
 しかし、渓魚の中ではイワナの姿は消えて泳ぎが得意な渓魚のヤマメのみ、しかもそれが待避場所に移動している中で釣りをするということは危険信号が渓魚から発せられているワケであり、ボクとしては常に脱渓を意識しての釣りだった。やはり精神衛生上良くない釣りは、内容的に満足できるモノではない。そのため、なんとかやり直しを計りたいところだが、もう既に各地で梅雨明けが始まり、北陸の渓流では恐ろしいアブの季節を迎えつつある。今年はタイミングが悪く、渓流への釣行機会が極端に減っているが、北陸を攻める以上は”アブ明け”の9月に期待するしかないため、今後は行き先について検討する必要がある。いずれにせよ、夏場は雨待ちとなるのだが…。
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Dear Sara.

2013-07-06 12:30:00 | 音楽
■流行遅れ■

 自分が若い頃、周囲のオッサン達が半年遅れで言うところの、「最近、こんなのが流行っているんやろ?。」といった話に対しては、「何を古いことを言うてんねん。」とバカにすることがよくあった。
 しかし、いざ自分がオッサン世代の中心になってみると、流行なんてモノから縁遠くなり、あの頃のオッサン達と同じようなモノであることに気付かされる。
 好きで聞き続けている音楽に関しても同様で、玉石混淆の、沢山の曲の中から、玉(良いモノ)だけを探し出す気力は萎え、近年の、あちらこちらで往年の名バンドなどの再結成が頻繁に行われる流れに「自身の居心地の良さ」のために取り込まれて、新しいモノに触れる機会が極端に減っている。
 また、昔、多量に聞きすぎたせいか、どこかから流れ聞いた「新しいと言われる曲」に対して、「コピーや盗作とまでは言わないが、誰々のあの曲と似ている。」と思った瞬間にサッと気持ちが引いてしまうことがあって、受け付けなくなることもよくある。
 こんな状態であることから、流れに取り残され、「ん、これは!」と思ったミュージシャン(アーチストとは言いたくない)が歌い演奏する音楽に出会った際には、既に発売から数年も経っていることがよくある。
 そんな中、今年に入って契約したWOWOWを見ていて久しぶりに魂を揺さぶられる歌声の持ち主に出会った。それが「サラ・バレリス(Sara Bareilles)」だった。


■ロックンロール・ホール・オブ・フェイム■

 WOWOWの放送で彼女を見たのは「ロックンロール・ホール・オブ・フェイム」という、日本語で言うところの”ロックの殿堂”の、2012年度の表彰式の様子だった。
 ロックンロール・ホール・オブ・フェイムとは、演奏者自身はもちろんのこと、その裏方を含めて、ロックの進歩と発展に貢献をした人々を讃えるために創られたアメリカ、オハイオ州クリーブランド市にある博物館のことで、殿堂入りするということは、その人の足跡が博物館に収蔵されるということである。
 この中に、この年新たに殿堂入りしたのがローラ・ニーロ(故人)だったのだが、この人の音楽はキャロル・キングやジャニス・イアンに代表されるいわゆる”ピアノ弾き語り”のジャンルに入る。
 このジャンルは演奏よりも歌がメインになるし、ポップスのみならず、ジャズボーカルもこなせる人も多いことから、かなりの歌唱力と表現力、それも日本の基準よりも遙かに高いレベルを持った人が、洋楽界の、このジャンルには伝統的に多い。

 実際の表彰式では本人が何らかの事情で歌えない場合や故人の場合は、ゲストとして呼ばれた他の誰かが、その人の曲をカバーして演奏し、歌うようになっている。そしてこの時、ローラ・ニーロの代表曲である、「Stoney End」をピアノを弾きながら歌ったのがサラ・バレリスだった。
 「Stoney End」という曲は今までにバーブラ・ストライザンド、ダイアナ・ロスというアメリカを代表する女性シンガーがレコーディングした名曲なのだが、その大先輩達を上回るパワーと表現力で彼女はこの曲を堂々と歌いこなしていた。
 その歌声は、ズシリと地を這うような凄味さえ感じる低音部から、透き通るようなファルセット部まで、レンジの広さは洋楽のレベルの中でも最上級クラスであるうえ、音域の全てにおいてパワーが衰えないところが実に素晴らしい。また、声質は少しハスキーでもあるが、枯れすぎず、個性が光りながら、クセがあり過ぎて好き嫌いのハッキリ出るタイプではなく、女性ロック&ポップの王道をゆく種類の声にも思える。
 こんな声に出会ったのは久しぶりのことであり、感動の内にその録画を何度となく見ていた…。


■アノ人だったのか…■

 そんなサラ・バレリスの声に魅せられて早速AMAZONのサイト内で色々と物色を始め、スタジオ版が2枚と、ライブDVD+CDのセットを「今更ながら」の購入に至る。
 メジャー・デビューが2007年ということなので、デビュー・アルバム「Little Voice」の発売はもう6年も前のことだが、その中からシングル・カットされた「Love Song(邦題は何故か「こんなハズじゃなかったラヴ・ソング 」)」はビルボードのPOPチャートで一位を獲得した他、全世界22カ国で1位を獲得しているそうだ。
 しかし、この曲だけであれば、POP過ぎて恐らくファンにはならなかったであろうとも思えたが、ブルージーな曲が好みのボクにとって、次の「Vegas」という曲は「Stoney End」の感動をよみがえらすには十分な曲だった。
 また、その次のアルバム「Kaleidoscope Heart」は、少しイギリスっぽさを感じさせるモノであり、これまた味わいが変わって歌声が生きる内容になっている。

●メジャー・デビュー作の「Little Voice」●


 彼女の作る曲は「Aメロ」「Bメロ」と「サビ」で形容される単純なモノではなく、サビの先にもう一つ「サビの“奥の院”」があるような展開であり、そこが聞かせどころにもなっている。
 また、ライブDVDとCDでも歌唱力の秀逸さが光り、パフォーマンスはスタジオ版よりも上回っているようにも思える。持っているアルバム全ての中で一番好きなのは、ライブCD(音源はDVDと同じだが、DVDは別収録と編集している部分がある)に収録されている「Vegas」と「Morningside」と続くところだ。
 他に、彼女のライブ映像はyoutubeでも多くを見ることができるが、世界中のチャートで一位獲得を連発したり、グラミー賞に連続ノミネートされたりする、言葉はキライだが、いわゆる“超セレブ”であるにも関わらず、電子ピアノ一つだけを持ってアメリカ各地の小さなホールを巡ってライブ演奏をしているようであるし、映像を見る限り、ライブ会場のほとんどで、ファンに対して陽気に、かつ気さくに語りかけている点も好感が持てる。

●セカンド・アルバムの「Kaleidoscope Heart」●


■来日時のエピソード■

 そんなこんなで、同時に大ファンとなった妻と共々に「一度ライブを見たいものだ。」と調べていたある日、「サラ バレリス 来日」と検索ワードを入れてみたところ、2011年5月、既に初来日していた模様であった。しかし、この来日時の様子が、にわかファンのボクに更なる感動を与えてくれたのだ。

 2011年と言えば言わずと知れた東北大震災の年である。かの震災では、まさにその直後に来日して予定通りコンサートを開き、チャリティー活動をした、シンディ・ローパーのエピソードが知られているが、サラ・バレリスも震災二ヶ月後「この時期に日本での来日公演があるのは何かの運命。日本の為に何かをしないと、いてもたってもいられなかった。多くの海外アーティストが日本公演をキャンセルしている中、『日本に来ても大丈夫なんだよ』と、みんなに本当の現状を伝えていきたい」と語り、予定通り公演を行っている。
 しかし驚くのはこの後の行動だ。何と、公演後、アジア・ツアーの最中であるにも関わらず、一週間の時間を割いて被災地である東北地方を訪れ、大船渡市内でバンドのメンバーやスタッフと共にがれきの撤去作業などのボランティア活動を行っていたのだ。
 その様子はyoutubeで今も見られる(http://www.youtube.com/watch?v=5Bz4RRWF7f0)が、自費で東北に向かい、ボランティア要員のために用意されたTシャツを着て現地の避難施設に泊まり込んで復旧・撤去作業にあたっている。その際の、バールを持って家の内装を解体する姿や、泥を浴びながらシャベルで一日あたり7時間以上もドブをさらい、それを一輪車でひたすら運んでいる姿が映像に残っている。そして、東北の現実を世界に知らせるために、この映像を本来はミュージック・ビデオおよびエンターテインメントのウェブサイトである「VEVO (ヴィーヴォ)」を通じて世界に配信しているのだ。
 それ以外にもチャリティーアルバム「ダウンロード・トゥ・ドネート:ツナミ・リリーフ」に参加し、「Song For A Soldier」という未発表曲を提供している。また、2011年夏から始まった自身のツアーにおいても、チケット1枚につき1ドルを寄付するなどの活動も行っているそうだ。
 ビルボード・チャートのトップに入るほどのミュージシャンでありながら、お金だけではなく、これほどまでに体を使って東北大震災の復興ボランティア活動をした人は、恐らく彼女以外に居ないと思う。


■ニュー・アルバム■

 ボクが興味を持った時点で、フル・アルバムの発売は2010年。その後にミニ・アルバムがあったものの、新作の発表が待たれていたが、7月16日(日本版は7月24日)ついに、ニュー・アルバム「Blessed Unrest」が発売されることになった。
 これに先行してyoutube内で、シングル・カット曲「Brave」のプロモーション映像が流されている。このBraveの詩は「言いたいことは勇気をもって言おう!(英語の解る妻の訳)」って内容らしく、妻と二人で「今の日本の状況に対する応援歌なのか?」と、勝手に解釈しているが、その真偽は別として、日本の恩人の一人であることは間違いなく、この曲を含めてアルバム発売が成功するように祈っているし、ボク自身もこれからも応援し、聞き続けていきたいと思っている。
 個人的な好みがあって、誰もが同じ音楽を好きになれるワケではないが、こと彼女の「歌唱力」に関しては第一級であるから、「ウマい女性ヴォーカルが聞きたい」という人には間違いはなく彼女の歌をお薦めできるので、ボクと同様に知らなかった人に対しては、とりあえず、youtube等で確認することをお薦めする。聞けば多くの人に気に入ってもらえるだろう。

 そんな彼女を恥ずかしながら6年間も知らなかった。これは、上述したようにボクが年を食って鈍感になったせいもあるかも知れないし、音楽が流れてくる空間に出向くことがほとんどなくなっていることが原因なのかも知れないが、近頃の邦楽偏重傾向の影響も大きいように思う。特にボランティアの件は以前であれば、もっと大きくとり上げられてもおかしくはない話なのだが…。
 「歌詞が理解できない」という、大きな理由はあるが、それを差し引いても世界中にイイ音楽はたくさんあるのに、それらが生活空間に流れ出て、自然と耳に入る機会は確実に減っているように思う。「ケータイと同様に音楽もガラパゴス化しているのでは…。」とオジサンは心配している次第だが、真相はどうなんだろうか?…。
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