本業が繁忙期の為、見出し無しで簡単に…。
落とし込みにクエ釣りと、アチコチに手を出している間に完全フカセ釣りでの釣行は随分と間が空いてしまったが、気付けば今年の最終釣行日を迎えつつあった。
丁度その頃、いつも玄達瀬&鷹巣沖釣行でお世話になっている晴海丸の船長から、「狙えば良型ヒラマサが出る状況。」との連絡が入り、急遽現地に向かった。
釣行前々日にもヒラマサの釣果が出ていたので、期待を持ってはいた。だがポイントに到着すると、その日とは潮向きが逆になっており、やや水温が下がっている兆候があったし、流速も超遅だったので、「苦戦するかも」と、当日の天気のように陰鬱な気持ちで実釣がスタートした。
●50m出すのに10分40秒ほど●
まずは船長の近日来からの状況判断を参考に、発泡ウキの8番を一つ通した状態で流し始めた。近辺の水深が、やや深めの65mで、上層の30mは殆ど潮の動きが無く、そこから先は底層に掛向かうにつれて、ほんの少し動きが増す潮況だった。
当初の戦法はエサ取りが少なそうな状況だったので、送り出しは動きの少ない上層をカットするため30mとし、50m出た時点で1分間の停止を入れて以後は20m出るごとに10mの巻き戻しを行うパターンを組んでみた。
すると数投目、1分間の停止直後にハマチのお兄さん級がアタったので、停止位置を10m縮めると40~50mの間でコンスタントにアタリが出始めた。しかしながら、その後は代り映えのない展開が続いた。
状況が変わらないので、送り出しの量を20mに減らし、40mでの1分停止の後、60mで10m巻き戻すと、大きくラインが走り、その後のパワー感から「オヤッ?」と思う場面に出くわしたが、船下に入ってから欽ちゃん走り(横走り)が始まったので、正体が判明。サイズはギリギリにブリと呼べなくもないメジロのお兄さん級だった。
●81cmだけど…●
しばらく経つと、ジアイが過ぎたのか、アタリが遠退いた。そこで船長がアンカー位置をずらし、より漁礁に近づいた位置に船を定位させた。
あまりに活性感が伝わってこないので、もう少し違う位置に仕掛を落とそうと思い、発砲ウキを外して水中帆(キザクラのクッション水中LL)に交換した。これは手前の深い位置からの攻めを想定したからで、30mの送り出しの後、50mで1分間の停止を加えて以後は15m出るごとに5mの巻き戻しを行ってみたが、一回目の巻き戻し直後にラインが走ったものの、ハリには掛からなかった。
「これは喰い渋ったマダイの仕業だろう。」と思い、もう少しラインの弛みを取ってやろうと、停止位置を40mに変更。55mでの巻き戻しの後にアタリを捉えると計算通りにマダイが掛かって来た。これでハマチとは違う層に仕掛けが入っていると判断し、「そこにヒラマサが入って来るかも?」と、期待したが、そのアタリが出る事は無かった。
最終段階に入り、船長は漁礁から離れてエサを拾うヒラマサは居ないと判断。よりダイレクトに漁礁を攻められるよう、船位をほぼ漁礁の真横に着けた。マキエサがダイレクトに上から降り注ぐことに事により、ヒラマサのスイッチが入り、エサ盗りを蹴散らしてサシエに喰いつく事を狙っての判断だった。
攻めるこちらも、低活性時によくある、「浮上せず、底層を横方向に小移動してマキエサをついばむヒラマサ」を想定してパターンを組み替えた。
まずは送り出しを30mで、50m出た時点で1分間の停止。その後はラインが10m出るごとに5mの巻き戻しを行った。相変わらず遅い潮流の中、水深65mの底層を誘いを掛けながら流してゆくイメージだった。
一投目はアタリは無しのまま、サシエサだけが盗られていたので送り出しを20mに減らしてみた。だが、これでもサシエサが盗られるのみだった。次いで停止位置を40mに変更。50mで一回目、60mで二回目、そして70mで3回目の巻き戻しを行った直後、65m過ぎで、これまでにないアタリを捉える事に成功した。その後のファーストランから「恐らく良型ヒラマサ!」と判断し、ドラグ&サミングを駆使して頭をコッチに向かせたのだが、底を切って安全圏に入る頃になって、フッと抵抗感が消えてしまった。
「ハリ外れか?」と思いつつ、仕掛を回収して確認すると、根ズレではなくチモトでブツリと切れていた。「それほどのバトル感でもなかったのに変だなぁ???」との思いがあったが、念のため次の流しでは10号ハリスにアップさせる事にした。
厳しい状況の中、「二度目のアタリなんて無いだろう…。」と悔やみながら流していたが、その後の2投目で何と、水中帆を止める為に結んでいたピンク色のウキ止め糸がかじられて、そこから先の仕掛けが丸ごと無くなってしまった。
「こんな状況下でフグかよ…。」と唖然とし、「らしき魚」に切られた原因を知リ、ヤル気が失せてしまいそうになったが、船長の「まだ出るかもしれない。」の一言に勇気づけられて、フグ対策の為に水中帆を蛍光イエローから透明に交換し、仕掛けを8号ハリスに戻して結び直した。
マキエサの残量と日没間近だった事から、残りは3投と判断。攻める方法は「それらしきアタリ」が出た方法のみに絞って流す事にした。そして、1/3投目の、70mでの5m巻き戻し(=3回目の巻き戻し)の後、再び70mに差し掛かろうとした頃に待望の急速逆転が始まった。
そこそこサイズの引きだったので、いつも通りのやり取りで無理なくファーストランを回避。
●がんばれ、ハリス!●
その後の走り具合から、ヒラマサと確信し、慎重に距離を詰めてゆく。相手が良型ヒラマサだけに、船下に入ってからは決して欽ちゃん走りせず、執拗に下方向に締め込み、船際での攻防では竿先を海中に突っ込んでスクリューを回避する場面もあった。そして充分に弱った頃合いに、船長の誘導で無事にネットインに至った。
サイズは自慢出来るほどではないが、釣果ゼロという絶望の淵からの出来過ぎた逆転劇に、取り込んだ直後は長野オリンピック・ジャンプ団体決勝での原田選手の名台詞(?)「ふ~な~き~…。」のように、声を震わせながら「やった~…」と、つぶやくような叫び(?)を発していた。
●92cm●
そして残りの2/3~3/3投は(当然?)何も起こらず、この日の釣りが終了した。
今年の残り2回の釣行チャンスはクエ狙いとメダイ狙いの予定だから、恐らく完全フカセ釣りとしては、これが今期最終の釣行だと思う。今期も様々な状況に出くわし、ハズレくじを引く事もありつつ、何とか釣果を得てきたが、当日の超激シブの状況下、ラスト間際で答えを出せたのは自分の釣りスタイルや判断が間違っていなかった事の裏付けの一つとなり、これからの自信になっていくと思う。だが、それよりも「ここにヒラマサが絶対に居る。」と判断し、その通りの結果に導く、晴海丸の船長に対しては「脱帽」の言葉しかなく、正直なところ「釣れた理由としては、そっちの方が大きいかも?」と思っている。(船長、来期もよろしくお願いします。)