中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

ガス燃焼器具の話 ~バーナー編

2011-07-02 12:30:00 | アウトドア・ギア
■数々のバーナー(ストーブもしくはコンロ)■

 思い起こせば、中学時代の釣行時に携行していた「固形アルコール・缶入り携帯燃料」から始まり、途中でオークションに手放したモノを含めて、現在までにかなりの数のバーナーを所有している。
 いくらボクの体がおデブだからといっても、一度に何個も持ち込んで使用することはなく、適材適所で使い分けているが、必要性だけではなく、そのスタイルや機能に惚れ込んでしまって衝動買いしたモデルもある。
 今回はそんなストーブ達について紹介してゆく。ランタン編と同じで紹介するものの中には廃盤モデルもあるが、モデルチェンジしても材質や周辺の補器類が変わっても心臓部が変わっていなかったり、共通思想の下で製作しているモノがほとんどなので、最新モデルを購入する際の参考にしてもらってイイと思う。



■今は無きバーナー達■

 手放したモノの中で最も印象深いのは、20年前にランタンと一緒に購入した、かの有名なコールマンのガソリン・バーナー「413H パワーハウス ツーバーナー」だ。
 多くのガス器機で額面通りの火力とはいかない中、このバーナーはガソリン燃料を使用するので定評通り、悪条件でも安定した強力な火力を発揮するが、反面、調子に乗って強火を続けていると、すぐにポンピングで再加圧しなければならなくなる。
 ただでさえ、最初の儀式としてかなりのポンピング回数をこなさなくてはならないから、これがかなりジャマ臭いのだ。(ランタンに比べるとポンピング回数は多い)
 更には燃料タンクを収納できるスペースを本体内部にとっているため、図体が大きい割には内部スペースがスカスカで、火口周りの天板(汁受け)もない。したがって噴きこぼれが起こると、内部スペースの角にそれが貯まり、ソコからすぐに錆びるという欠点があった。
 それでも、このモデルの大きな魅力は認めるし、実際に愛好家も多く、今でも定番として販売され続けているが、ボクの場合はジャマ臭さに負けたことと、ガス燃料タイプであってもブースター装着器機&ガスの使い分けで対抗できると踏んだので、結局はお蔵入りとなって最終的には手放してしまったのだ。

 その他、高級品を装いながら実は格安海外製品のOEM製品だったという、とあるバーナーは、その不誠実さに嫌気が差してすぐに売り払ったという経緯があるが、このあたりの話はほどほどにしておこう。


■ユニフレーム US-1800(廃盤モデル)■

 ボクが所有しているUS-1800は'07年末までのモデルで、現行モデルはモデルチェンジしたUS-1900に変わっている。
 新型になって改良された点は、ボディ材質が鉄板だったのがアルミに変更されて、4.5㎏から3.9㎏に軽量化されている点だが、両モデルとも「3900Kcalのハイパワー」「錆びにくいステンレス製の天板(汁受け)」「ブースター搭載」の基本性能は同じだから、1800への感想は1900を購入する際の参考にして欲しい。

 「気化促進装置編」でも書いたが、カセット缶仕様+ブースターの搭載によってガスの特性に合わせた使い分けが可能になり、コストダウンが図れるのがウレシイ。
 ボクの場合は片方のバーナーにユニフレームのプレミアムガスを装着し、大火力用とし、もう片方のバーナーに通常は安売りカセット缶、寒い日はイワタニのオレンジ缶をセットしてトロ火や煮込み用として使い分けている。(これまた自己責任の世界だが…。)
 「3900Kcalのハイパワー」については少々疑問が残るが、それでもガスバーナーの中ではハイパワーな方だということは間違いなく、基本性能がしっかりしているので使いやすいツーバーナーであることは間違いない。


●ユニフレーム US-1800●


■EPI BPSA(廃盤モデル)■

 今から20年ほど前、EPIがイングランド製だった時代のシングルバーナーだ。オートイグナイター搭載モデルなのだが、時々火が着かなくなるのは購入当時からの症状。しかし、ラジオペンチでスパークが飛ぶ距離を調整してやれば、すぐに着くようになる。鉄のパーツが多く、結構サビが出るが、如何にも「古いイギリス製」といったところだろうか?。後継、最新モデルのBPSA-Ⅲではステンレスが多用されているので、そのような心配はないから御安心を。
 BPSシリーズは細かな改良点はあるものの、基本性能は大きく変わっていないので、完成されたモデルなのだろう。
 小型ながら火力は額面通りに強力であり、このメーカーでは「チャージャー」と呼んでいる、ブースターも別売対応だが装着可能だ。
 このメーカーは本来、登山者向けが中心の商品展開なので、純正アウトドア缶の種類が豊富なうえ、他メーカー比でも少し価格が安い。しかも一部商品では、缶内の構造を工夫してドロップダウンを防いでいる。その中から最適なガスをセレクトすることにより、極寒でも使用できるのは有り難いが、このモデルに限っては折りたためる箇所が一つもなく、決して携行しやすいタイプではない。


●EPI BPSA●


■SOTO(新富士バーナー) ST-300(廃盤モデル)■

 缶本体と火口&ゴトクが分離し、その間をホースで繋いだ「セパレート・タイプ」のバーナーで、現行モデルは風防が付いたST-301にバージョンアップされている。
 セパレートタイプが欲しくて物色中に近所のホームセンターで旧モデル扱いの特売品を発見し、驚きの¥3000以下という価格に衝動買いをした結果、手元にやってきた。
 新型のST-301には風防が装着されているが、セパレートタイプの場合は、重心が低くゴトク周りを物陰に隠しやすいので、風防無しのST-300でも結構使える。但し、折りたたみ式のゴトクは3本足なので、フライパンのように初めからバランスの悪いモノは手を添えていないとコケることもあるので、注意が必要だ。
 シングルなので軽量さも期待したいところだが、640gもあるので、折りたたんだ形こそコンパクトだが、その点では不満が残る。

 こういったセパレートタイプには裏技があって、「火口周囲や輻射熱などの熱源とボンベの距離を調節することによって『疑似ブースター効果』が狙える。」との記述がH.P.などの一部に見られるが、どのくらい暖めるのかが判っていないと加熱しすぎて爆発の危険があるので、それは究極の事故責任の世界であり、「よい子はマネしないように!」と言うしかない。


●SOTO ST-300●


■ユニフレーム US-D(現行モデル)■

 ダッチ・オーブンの導入に合わせて購入。総重量が10kgを越えるという、ダッチ・オーブンを乗せるように設計しているだけに、質実剛健なセパレートタイプのバーナーだ。
 火口(バーナーヘッド)はUS-1900や1800と同じなので、当然火力も同じだから能力もそこそこ高いので、ダッチー・オーブンでの調理の際に下火として使えば、後は上火の分だけでイイから、大量に炭を起こす必要が無くなって手間が省けるのが有り難い。
 ツーバーナーで二つ並べて調理している場合、片方で大きなフライパンなどを使うと、もう1方のスペースが狭くなる。そんな時には大型の鍋やフライパンをこのバーナーに担当させることでスペースに余裕ができるし、当然、3つの調理が必要になっても割り振りが可能だ。また、簡単に持ち運びできるので、朝にコーヒーやお茶を沸かす際にテーブル上に移動させて使用することも多く、その意味でも重宝するバーナーだ。


●ユニフレーム US-D●


■SOTO レギュレーターストーブ ST-310(現行モデル)■

 SOTO(新富士バーナー)が開発したマイクロレギュレーターによって、ガスを選ばず、低温での使用が可能になったバーナー。勿論、カセット缶仕様だ。
 火力は純正のパワー・ガスを使っても2500kcal/hなので、大火力とはいかないが、公称通りのパワーがあるので、そんなに心配は要らない。
 以前にも触れたが、ボクの場合は、瀬泊まりをする夜釣の他、渓流釣行の際に車に積み込んでおき、温かいモノを食べる際に、写真下の「ジェットボイル社の1.5Lクッキング・ポット」とのコンビで使用している。この組合せだと、バーナーの経済性に加えて燃料消費も押さえられるので、2重のメリットがあるのだ。


●ジェットボイル 1.5Lクッキング・ポットとの組合せ●

 一応、ソロ用なのでコンパクトに折りたためるが、重量が350gなので軽量モデルというワケではない。しかし、その分、パーツにステンレスを多用し、太目の4本足ゴトクを採用するなど、作りはしっかりしているから、登山よりも極端な軽量化が必要でないバイクツーリングに最適だと思う。特に、移動中に立ち寄ったコンビニ等で手に入れたカセット缶が安定して使えるのは特筆すべき点だ。


●SOTO ST-310●


■PRIMUS P-113(廃盤モデル)■

 できうる限り小型軽量のバーナーを探していた際に購入。当時、点火装置付きとしては世界最軽量の76gを誇っていたモデルだ。
 現在は廃盤品となって新型のP-114と交代しているが、大きな違いはゴトクになる。113のゴトクは硬質ステンレス製ムク棒が曲げられた3本支持タイプだが、114では羽根状3枚プレートの折りたたみ式で113よりも少し大きな鍋底にも対応しているのにもかかわらず、113よりも更に軽量化された結果、64gと超軽量だ。収納袋は両モデルとも名刺サイズほどの大きさなので、たたんだ際の大きさはさほど変わりがないだろう。
 両モデルともバーナーヘッドは共通のMFMM(マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ)、2300kcal/hが搭載されているので、能力の違いはない。このMFMMとは、メーカーの説明では

マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ(Micro Fiber Metal Mesh)太さわずか22ミクロンのメタルファイバーを織り込むことで、非常に多孔性のあるメッシュ状のバーナー孔を実現したMFMM。空気と混合されたガスを、より好ましい状態でバーナー部へ送ることで、バーナーヘッド表面での燃焼に成功しました。

とある。
 その特徴は炎が横に広がらず、垂直方向に伸びる事だ。この方式だと、小さなカップや、底面積が小さい鍋をゴトクに乗せた場合により高効率に熱を伝えられ、燃料消費も押さえられるそうだ。だから、ソロユースでの選択がベストだ。

 ボクの場合は、更に進化させてジェットボイルの「コンパニオンカップ(1.0L)と組み合わせて使用している。


●PRIMUS P-113●


●ジェットボイルのコンパニオンカップとの組合せ●


 この組合せだと、強風時に煽られた炎が枠の外側に出て、カップ外側のネオプレーンゴム製カバーを溶かしてしまうことがあるが、ジェットボイル社の純正同士の組合せでもこうなるそうだから、組合せの悪さからくる不都合ではないようだ。
 ジェットボイル純正のバーナーも実はPRIMUS社のOEM商品の、MFMM方式なので、相性は自体は悪くないハズだ。


●カバーの焦げ跡●

 ただし、そのままではP-113は入らないので、下の写真のようにヤスリで少し削る必要がある。


●右がコンパニオンカップの底部(左はPRIMUS Eta Express)●


■PRIMUS P-132(エクスプレス・メッシュ・ストーブ)(日本のみ廃盤モデル)■

 このバーナー、実は単体で購入したものではない。プリムス社ではEta(イータ)シリーズという、熱効率の高い鍋類とバーナーをセットで販売しているのだが、このP-132は、その中の「Eta Express(イータエクスプレス)」という、セットに組み込まれているモノだ。
 このセット内容では日本で販売されず、バーナーのみで単体販売されていたが、現在では廃盤になっているようだ。後継機種もないので、ここではバーナー単体では話を進めないが、スペックが、2700kcal/h、MFMM方式の炎が垂直方向に伸びるタイプということだけを記しておく。

 

●PRIMUS P-132●


●Eta Express(イータエクスプレス)のセット●

 日本未発売のセットなので、アメリカAMAZONのアウトドア用品内(http://www.amazon.com/Outdoor-Recreation/b/ref=sa_menu_outrec15?ie=UTF8&node=706814011)のモノを個人輸入で手に入れた。AMAZONと言っても、代理店との契約からか、そのままでは日本に向けて輸出してくれないモノもあるが、そういった商品の場合は転送サービスというルートを使えば手に入るようになる。その手続きも至って簡単で、ボクの場合はスピアネット(http://www.spearnet-us.com/)というところを使っている。この業者のサイト内ではAMAZONでの購入手順そのものを詳しく紹介しているし、全て日本語のやり取りでOKなのがウレシイ。
 イータエクスプレスの購入価格は送料と手数料と商品代の全てを含めて、約8700円で購入できたが、ザックその他のアウトドア用品も日本の代理店経由より安くなることも多いし、そもそも日本未発売のモデルも手に入るので興味のある方は覗いてみるとイイだろう。

 話が横道に逸れたが、上述したジェットボイルと同様に高効率システムのイータエクスプレスを更に購入した動機は、調理の際に内部が焦げ付きにくいようにノンスティック加工(いわゆるテフロン加工)されている点を買ってのことだ。ジェットボイルの場合はノンスティック加工がないうえ、縦長構造のため、湯沸かし以外の料理をした場合、焦がしてしまうと後の掃除が大変だからだ。
 加えて、イータエクスプレスでは蓋の部分がフライパンになるように工夫されているのと、風防が同梱されている点も、今までは別に用意していただけに高い評価ができる。しかもそれらが全てポット内に収納できるのも嬉しい限りだ。


●フライパン使用時のセッティング●



■まだ尽きぬ趣味■

 何週にも渡り、こうやって数々の燃焼器具を紹介してきた。少々オタッキーな内容だったが、皆さんがアウトドアグッズを購入する際の目安程度に役立ってくれれば有り難いと思う。
 かく言うボクは今でも飽きずに各社のH.P.を眺めては、「アーでもない、コーでもない」と思いは巡る。まだまだコレクションは増えそうだ。
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ガス燃焼器具の話 ~ランタン編

2011-06-18 12:30:00 | アウトドア・ギア
■数々のランタン■

 今まで、様々な灯火式ランタンを所有してきた。乾電池式のランタンや蛍光灯とは違って「火を灯す」必要のあるガスやガソリン式のランタンの灯は、揺らぐ炎にほのかな暖かさが感じられ、キャンプの夜や夜釣りの休息時に文字通り心に火を灯してくれる。
 しかし、一言でランタンと言ってもメーカー間、あるいは機種間に明るさや能力の違いがあって、それぞれ狙いが違う。ボクの場合はそれぞれを適材適所で使用しているが、今回はそのあたりについて書いてゆく。
 紹介するものの中には廃盤モデルもあるが、モデルチェンジしても材質や周辺の補器類が変わっても心臓部が変わっていなかったり、共通思想の下で製作しているモノがほとんどなので、最新モデルを購入する際の参考にしてもらってイイと思う。


■大~中型ランタン■

 大光量のランタンはキャンプサイトの外周部に設置することが多いが、これは重要な設置法だ。
 外周部からサイト全体に光が散り、足元がほんのりと照らされることによって安全が確保されることも重要だが、それに加えて夏場のキャンプでは夜に付き物の、蛾を中心とした昆虫の飛来対策にもなる。
 光に集まるタイプの虫は、その習性上一番明るい部分に集まり易いので、手持ちの中で一番明るい、それもなるべく大光量のランタンをサイトの周囲から離して設置すれば、そこに昆虫たちが集中するので、タープ内に蛾が舞って女房&子供(はたまた自分も?)がパニックになったり、夕食の際に「スープに虫が混入!」というようなトラブルがある程度避けられるからだ。

 しかし、大型のランタンは、光量に比例して燃費が悪くなる。特にガス燃料を使う大光量タイプは大食いだ。そんな時に助かるのがガソリン燃料を使用するタイプだ。
 いくらガソリンが安いといっても基本的には「ホワイトガソリン」という燃料が必要なので、自動車用のようにリッターあたり150円という具合にはならない。しかし、ホワイトガソリンであってもメーカーによって価格差があるので、ホームセンター等で探してみると意外に安いモノに巡り会うことがある。今、ボクはリッターあたり500円程度のモノを使用しているが、他メーカー間での組合せは、これまた事故や故障があった際には自己責任の世界ということらしいので注意が必要だ。

 比較してみると、ガスランタンの最大=240Wクラスをフルパワーで使えば1時間あたり220円。純正のホワイトガソリンを入れたガソリンランタンの最大=230Wクラスをフルパワーで使うと1時間あたり107円ほどになるので、ガソリンランタンの方が圧倒的に燃料費が安い。
 ただし、器機の価格が対ガス器機の1.5倍ほどするので、初期投資の差をどう考えるかは使用頻度によるだろう。
 それにガソリンランタンは「ポンピング」という、手動による加圧作業が必要になってくる。これを説明書の手順通りに50回ほど「シュポシュポ」と往復作業を繰り返す必要がある。作業自体はそんなに力は要らないのだが、着火後に炎が安定するまでは様子を見ながら追加のポンピングも必要だから、これら一連の作業に手間がかかる。
 更には夕暮れに点灯すると、食事が済んで酔っぱらい始める頃にエア量が減って光力が落ち始めるので、2回目以降が特にジャマ臭くなることを覚悟?しなければならない。
 また、器機が冷えている時に着火する場合には生ガスに対して点火しなければならないので、「ボンッ!」という音と共にオレンジ色の火柱が大きく上がるが、これに慣れるまでは毎回ビックリすることだろう。

 
■コールマン パワーハウス・ツーマントルランタン 290A(現行モデル)■

 このランタンは今からちょうど20年前に買ったモノで、現在に至るまでボクにとっては唯一のガソリンランタンだ。モチロン今でも現役で使用しているが、驚くことにボクが所有する以前から、現在に至るまでカタログ(紙ではなくてホームページ内のカタログの方)に載る現行モデルであり続けている。購入当時は一番明るいガソリンランタンであったが、今では「ノーススター」にその座を譲っている。
 ランタンやバーナーを問わず、コールマンのガソリン燃焼器具は、ほとんどが長年ほぼ同じ構造で販売し続けているから、メンテナンスパーツも豊富だ。しかし、ボクの所有する290Aはポンプ部に時折注油していることと、タンクの塗装の剥がれを補修したこと以外は全くメンテ知らずで、新品で購入して以来、一度もパーツ交換をせずに使用を続行している。だから、変な使い方をしない限り、かなりタフなようだ。
 燃費も当然良く、940cc満タン状態で上述したように初めにポンピング50回程度、追加のポンピングを2~3度行いつつ使用しているが、夕暮れから就寝時間までの間で給油の必要はない。
 明るさは、気温の変動に対して作動が安定しているせいか、ポンピングさえちゃんとしてやれば同ワット数のガス燃料タイプよりも明るく感じるから不思議だ。
 


●91年製290A●



■ユニフレーム UL-X(現行モデル)■

 数年前に旧モデルUL-Gからモデルチェンジした際に即購入。発売当初は「ハーフクリアガラス」という、半分が、すりガラスになっているホヤが装着されていた。ボクの場合はその後オプションとして追加された全周がクリアガラスになったホヤを購入して換装したが、現行モデルは逆転してそのクリアガラスの方が標準装備品になっている。
 公称240W(プレミアムガス使用時)となっているが、公称値よりもやや暗く感じる。
 収納時はガス缶を外すと、ホヤ部が下側のアルミ外皮内に沈み込んで破損を防ぐとともにコンパクトになる。
 しかし、このランタンの最大のメリットはカセット缶仕様+ブースター標準装備というところにある。詳しくは以前の記載を読んで欲しいが、自己責任ながらガスを選ばなくなっているメリットは大きい。このおかげでコストダウンが計れることはモチロンのこと、もしもの「ガス欠」の際は、コンビニでも買えるカセット缶が使用できるのは嬉しい限りだ。
 ボクのサイトレイアウトの場合は、このランタンをキッチン周りで使用している。その際、気温があまり低くない状況であれば、ワザとノーマルブタン100%缶を使用して少し光量を落とし、外周部にあるコールマン290Aとのバランスをとるのがちょうど良い加減だ。
 荷物を小さくまとめて小規模で使う場合は、このランタンをメインに使うが、その際はプレミアムガスを使ってパワーアップを図るようにしている。こういった使い分けができるのも有り難い。


●ユニフレーム UL-X●



■小型ランタン■

 小型のランタンはスクリーンタープという、蚊帳のように全周を囲んだリビングスペースで使用する際は、テーブルの上に直接置いて照らすタイプや、ポールを立てて上から吊して照らすタイプを使い分けている。
 その他、男女群島などでの夜釣りにはこのサイズのモノを単体で持ち込んで使用している。


■EPI ランタン LFA(廃盤モデル)■

 これもコールマン290Aと同時期の、今から20年くらい前に購入したランタンだ。
 今では日本企業の傘下になって日本製として販売しているEPIだが、このモデルはそれ以前のイングランド製だ。そのせいか、基本的にはタフなのだが、天蓋にサビが浮いたり、オート仕様のハズなのにオートで火が着かなかったこともあったりで、細かな心遣いに欠けているところがある。しかし、反面、シンプルな道具をメンテしながら長く使い続ける国民性が反映されてるから、たとえモデルチェンジしても基本パーツが同じで、いつまで経っても補修できるという良さもある。
 ボクのランタンも最初は、すりガラスのホヤが装備されていたのだが、ある日不注意でそれが割れてしまった。それでも数年間はその割れたカケラをエポキシボンドで接着して使用したいたのだが、それから12年ほど経って、より明るいクリアのホヤが欲しくなった際も、換装するパーツがあって見事に復活した経緯がある。また、飛ばなかったオートイグナイター(着火装置)は、ラジオペンチを使い、電気火花が飛ぶ距離を調整してやるだけで復旧した。
 このランタンは公称値以上に明るいのが特徴であり、このメーカーの純正ガスはアウトドア缶の中では価格が安い方なので、ランニングコストは低い部類に入る。
 EPIの製品展開は登山用の機種がほとんどだが、昔ながらの良さが今でも引き継がれながらも、日本製になった今は更に高性能かつ高精度になっているようだ。


●91年製 EPI ランタン LFA●



■ユニフレーム UL-C(廃盤モデル)■

 リビングスペースでのテーブルトップ用として購入。ユニフレーム共通のカセット缶仕様だが、ブースターなどの気化促進装置は付いていないので、寒さには弱い。従って低温時はプレミアム缶の方が安心して使用できる。
 収納時にはホヤ部が倒れ込んでガス缶装着部内に格納できるが、それでもカセット缶の一回り大きなサイズにしかならない。したがって、小型ランタンとしてはそんなにコンパクトな方ではないが、明るさは公称以上のモノを感じるほどに明るい。
 ただし、現在は廃盤となり、ホヤ部が首振り可変タイプになって、テープルトップ&吊り下げの両方で使用できる後継のUL-Tというモデルに変わっているが、W数やホヤのサイズ、そしてマントルも共通なことから、基本性能は同じようであるから、上記の特徴はUL-Tを買う際の参考にして欲しい。


●ユニフレーム UL-C●


■SOTO(新富士バーナー) ST-260(現行モデル)■

 低温時にも安定した炎を出す「マイクロレギュレーター」搭載のモデル。
 youtube内には、-10℃に冷やした缶、それもホームセンターの特売カセット缶での実験画像があるが、そんな条件でも安定して明るく照らす様子が映し出されている。
 事実、ボクが使用した感触でもその通りの性能であるし、いつでもどこでも格安カセット缶が使用可能な事は心強く、またフトコロに優しくて有り難い。
 カタログ値では150ルクス(70W程度)しかないようであるし、搭載されているホヤはステンレスメッシュ製なので、フィルタリングされて明るさ的には不利なのだが、マイクロレギュレーターによって作動が安定するのか、データ以上に明るく感じる。
 当たり前の話だけと、ガラス製のホヤのように現地で「ケースから取り出すと割れていた。」ということもないから、ハードケースに収納する必要はなく、その分だけ軽量なのだが、残念ながら本体が247gもある。
 ボクの場合は手持ちの中でこのランタンが一番タフな仕様であることから、男女群島や冬場の夜釣りなどには専らこれを持ち込んでいるが、上記の「ガスを選ばない」、「低温に強い」という2点から、ファミーリーキャンプ派はモチロンのこと、バイクツーリング等のソロ派にもお薦めできるランタンだと思う。
 


●SOTO ST-260●



 以下、バーナー編に続く。
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ガス燃焼器具の話 ~気化促進装置編

2011-06-04 12:30:00 | アウトドア・ギア
■ガス本来の性能を引き出す装置■

 前回のガス編でも触れたが、沸点が高いノーマルブタンが多く配合されている低価格帯のガスであっても、性能を引き出す方法がある。今回はその「ガス本来の性能を引き出す装置」を紹介していこう。

 「ガスの種類によって温度は異なるが、低温で火が着かなく」なり、「使い続ければ使い続けるほど気化熱が奪われ、缶内が更に冷えて悪循環が起こる」のは前回の説明で記したとおりだが、特に後者は「ドロップダウン」という言葉が使われている。
 各社から販売されている燃焼器具の一部にはその低温&ドロップダウン対策が施され、その結果、低温下であっても価格の安いノーマルブタン100%缶が使用可能になっているモデルがあるから、「知らなきゃ損」の話なのだ。


■ブースター(ヒートパネル)を装備した器機■

 低温&ドロップダウン対策で一般的なのはイワタニ製を始め、各社が販売する家庭用のカセットコンロの多くでも採用している「ヒートパネル」がある。
 その機能と効果はイワタニの説明によると、

「ガスの気化を促進し、ガスを最後まで使い切るようにヒートパネル方式等の加温装置を採用しています。 」
「ヒートパネルやバーナーからの熱や輻射熱により、ボンベの上面は熱くなります(60℃から70℃位)が、容器(ボンベ)の下面はそれほど熱くはなりません。(ボンベの下面は液体のガスがあるため)」

とあるが、つまりこの装置は、火口から出る炎の熱を金属パネルを通じてボンベに伝える装置だ。その装置の有無は、「カセットコンロ」と呼ばれる、家庭用のコンロの場合はボンベ室を覗いてみるとすぐに判る。ボンベを抱き込むように金属板が配置され、その金属板をたどれば火口まで続いていることで存在が確認できるだろう。

 同様の装置が「ブースター」などと呼ばれてアウトドア用の燃焼器具の一部にも採用されており、例えばランタンだと下の写真


●ユニフレームUL-Xのブースター●


のように、火口とボンベ室を繋ぐ銅製、もしくは真鍮製のパネルが装着されていることで確認できる。
 しかし、ランタンでは中~大型の3機種、「ユニフレームのUL-X」と「SOTO(新富士バーナー)のST-233(虫の寄りにくいランタン)」、そして新富士バーナーがアルペングループ用にOEM供給している「ランタンCB-550」にしか装着されていないようだ。
 機種は限られるが、ウレシいことに、この3機種は全てカセット缶規格だ。したがって、気温が下がっていても最初に火さえ着けば、このブースターが缶を暖めてくれるおかげで、ノーマルブタン100%の格安缶であっても、火力の低下が少ないままでの使用が可能になる。但しその場合は、イソブタンが高濃度に配合されている、例えばユニフレームのプレミアムガスを装着した時よりも少し明るさが落ちることと、器具とガス缶のメーカーが別になるので、あくまでも自己責任での使用になることを理解しておいて欲しいが…。

 残念ながら、アウトドア缶を採用したモデルのランタンにブースターを装着した機種は見あたらない。したがってアウトドア缶仕様のランタンを手にした場合は、現状ではそれがハイパワー(=明るい)であればあるほど比例的に気化熱が奪われるので、低温時には純正品の割高なハイグレード(寒冷地対応)ガスを使わざるを得ないことになる。

 目をバーナー(ストーブもしくはコンロ)に向けると、もう少しブースター採用機種が増えてくる。


●ユニフレームUS-1800のブースター(1900と共通仕様)●


 上段で触れたイワタニ社製の家庭用カセットコンロ「カセットフー」シリーズは、ほとんどの機種でヒートパネル(ブースター)を採用しているし、それをマネてか、他社でもブースター類を装備する製品は多い。更に、家庭用のカセットコンロには法律上、ボンベの圧力が4~6kg/平方cmになると自動的に火が止まる安全装置の取付が義務化されているから、そう言った意味では安全で基本性能の高いモデルが多いのだ。
 また、家庭用のスタイルをとりながら、初めからアウトドアユースを想定したモデルもあるので、それらであればそのまま内外兼用で使うこともできる。しかし、特別にアウトドアユースをうたった製品でなくても、防風対策をすればアウトドアでの使用も基本的に可能だ。(「雰囲気」は無いけど…。)
 
 目をアウトドア用品メーカー製に向けると、カセット缶対応機種では2バーナーの「ユニフレームUS-1900(USシリーズの最新モデル)」のみがブースターを標準装備している。
 別売りで対応しているのは、「SOTOのツーバーナー及び3バーナー」の3機種だ。特にSOTOでは「ガスシンクロナス・システム」(http://www.shinfuji.co.jp/contents/products/soto/burner.html#st525 を参照)も同時に採用しているので、ドロップダウン対策としては更に強力だ。(ボク自身が実際に使用したことはないので「受け売り」だけど…。)
 アウトドア缶対応のツーバーナーでは新富士バーナーがOEM供給している、「アルペングループ用2バーナーのD-X 2バーナー11000」の1機種しか販売されていないようだ。
 また、アウトドア缶対応のシングルバーナーではEPIが別売りで対応しているが、このメーカーは、シングルバーナーのみの展開であるし、プロパンを高濃度に配合した高性能ガス缶や、缶自体に気化促進機能を付けたモノも合わせて販売していることから、その狙いの中心は冬山での性能向上にあると思う。


■缶の使い分け■

 ガスの適応温度が広がるブースター機能についての理解があれば、低温時であっても様々な配合率が存在するガスの中から、「自己責任」ではあるものの、最適なモノを段階的に選ぶことによってコストダウンがはかれるようになる。
 例えばイワタニのオレンジ缶は前回に示したようにノーマルブタンが70%、イソブタンが30%の構成比だが、外気温が低くなって、それまで使っていたノーマルブタン100%の格安缶では火がほとんど付かない状況になっても、このオレンジ缶だと30%入っているイソブタンがまず先に着火し、その熱がブースターを伝って缶を暖めることによって、残り70%のノーマルブタンにも継続して火が着くようになる。現在オレンジ缶は250gあたり約182円だが、ブースター無しの器機では低温下だと、より高価なガスを使わざるを得ない。しかも配合具合によっては、沸点の高いガスが缶内に気化せず残ってしまうだけに、その価格差がかなり大きくなるのだ。
 ただし、バーナーように点火、消火を繰り返す器機よりも、継続して燃焼させることの多いランタンの方が熱循環の途切れが少ないので、よりブースターの効果が高くなるということは理解しておいて欲しい。


■ブースターを使わない低温対策■

 技術は進歩し、ブースターを装備しなくても低温時に安定して燃焼するよう、工夫している製品も一部にある。
 SOTO(新富士バーナー)では、「マイクロレギュレター」というシステムを導入した結果、かなりの低温下であってもノーマルブタンに火が着くようになっている。
 ボクが実際に使用していて、その効果を実感しているが、「youtube」でもこのシリーズのランタンに、-10℃に冷やした格安カセット缶を装着して燃焼させる実験がアップされているから、その効果を確認してみるとイイだろう。(http://www.youtube.com/watch?v=y3oWpYYjOLg)
 その他、このレギュレーターを搭載したSOTO製アウトドア缶対応モデル「SOD-300」の対比実験も面白く、効果が判りやすいので見て欲しい。(http://www.shinfuji.co.jp/ECweb.html (「下段の●『マイクロレギュレーターの効果』を動画で見る。」を参照)
 ちなみに、このSOD-300は厳しい目を持つと言われている、アメリカ、ドイツ等のアウトドア専門誌から表彰されているから、ある種のお墨付きだ。


●マイクロレギュレーター搭載のランタン「SOTO ST-260」●



●マイクロレギュレーター搭載のバーナー「SOTO ST-310」●


 「youtube」内の、-10℃に冷やしたノーマルブタン100%缶を装着&燃焼させた実験で見比べてみると、大量のガスを出して燃焼させるバーナーよりも、一定量を燃焼させ続けることの多いランタンの方が、より効果が大きいようにもとれる。(ブースターと同じ結果のようだが、意味は違う。)
 しかし、一般的なキャンプでは氷点下の気温の中で1日を過ごすことは少ないだろうから、極限に近い話はさて置いて、バーナー、ランタン共に未対策の器機との組合せだと失火し始める10℃以下の温度帯であっても、ノーマルブタン100%の格安ガス缶が普通に使えるメリットの方が計り知れないことだと思う。

 上記の他には「液出しタイプ」というシステムがある。これは缶を通常とは逆さまに(倒立)セッティングすることでガス化していない燃料を直接液体のままで取り出し、ガソリンバーナーのように火口の熱で強制気化させて燃焼させるシステムだそうだが、缶内の気化状況には影響されないので当然低温には強くなる。
 しかし、液出しとガス出しの両方に対応したタイプでは「作動が不安定になるから、通常はガス出しで」と説明している場合もあるし、同一モデルであっても海外では液出しOKでも日本国内では不可という場合もあるので、一般的ではなく、緊急的な場合のみに対応しているともとれる。
 その他、一部に液出し専用タイプもあるにはあるが、今のところ品数が少なく、器機そのものがベラボーに高価だし、その特性から、専用缶の指定をより厳しく守る必要があるので、高いランニングコストが更にのしかかってくることを覚悟しなければならない。


■番外として■

 ここまで、「ガスの能力を引き出してコストを下げる方法」について説明してきたが、ここで更に番外として「熱を効率よく拾う鍋」を紹介したいと思う。

 実は、バーナーの火口から出た熱の多くは、鍋の底に当たった後は外周から逃げて大気へと放出されてしまうそうだ。その逃げる熱を効率よく拾う鍋が数社から販売されており、ボクも3種類を所有している。
 高効率の鍋を使用すると燃料消費が押さえられるので、持ち込む燃料が少なくて済むから、少しでも荷物の重量や体積を減らしたいという、登山者のニーズがあって開発されたようだ。だから初めのうちはソロユース(個人用)のサイズが中心だったが、日本では未発売であるものの、今では容量2.9L程度までがラインナップされている。


●右端がプリムス、それ以外はジェットボイルの製品●


 コノ手の鍋の湯沸かしの早さは特筆すべきモノがある。例えばカップ麺用に湯を沸かす場合、ストーブに水を張った鍋を乗せ、箸を用意し、カップの袋をフタをはがし終わった頃には既に沸いているといった感じだ。(要するに猛スピードということ)
 こういった鍋はバーナーとのセット販売が多いのだが、ボクの場合は鍋だけ単体で買ったモノとセットで買ったモノが混在している。


●このヒダが集熱してくれる●


 所有物の中からボクは最速の湯沸かし装置になる組合せを探っているが、今のところ上述のSOTO-ST310とジェットボイル1.5Lクッキングポットの組合せが好感触だ。


●SOTO ST-310との組合せ●


 このあたりは、さほどこだわらなくても火口から出る炎の拡散具合と、鍋の面積のバランスさえ合えばかなりのスピードで湯が沸く=熱効率が格段に高くなることを頭に入れておくだけでイイと思う。

 しかし、高効率な鍋を見てつくづく思うことは、パテントの問題等はあろうかと思うが、家庭用のヤカンや鍋などに導入すれば省エネ効果間違いなしなのに、「ナゼどこもやらないのか?」ということだ。
「でも、それが元で鍋類が高くなるのなら、結局アウトドアマン以外は買わんだろうな…。」それが結論なのかも?。

 以下、ランタン編に続く。



※前回の「ガス缶編」と今回の「気化促進装置編」で、バーナーとはメーカーの違うガス缶を使用する際は「自己責任で」と書き続けているが、カセット缶対応の燃焼器具をメインに販売する新富士バーナーのH.P.内で下記のような記述を見付けた。

”災害時にはカセットボンベが役立ちます”

 ライフラインが寸断され電力やガスの供給が停止した時、カセットボンベを燃料とした器具が役立ちます。カセットボンベはホームセンターなどで手軽に準備しておくことをおすすめします。また、災害時の支援物資としても比較的手にいれやすい燃料です。同じ規格であれば1本のカセットボンベを調理バーナーやランタンなどに使いまわすことが可能ですから無駄なく燃料を使うことができます。

 前回でも「最近では語気が弱められている」と書いたが、メーカー自身でも上記のようにカセット缶の流用を容認する姿勢が示されているのはウレシイ限りだ。

 付け加えれば、1998年以降に生産され、JISに適合したガス缶は、全長の寸法差が0.8mm以下に抑えられて互換性があるそうだ。その結果、1999年3月に液化石油ガス法が改正されて、ガス缶に「同一メーカー同士でないと使用不可」という表示義務は無くなったということだ。現在でもJIS適合製品でありながら、一部の製品にその表示が残っているのは、「組み合わせでガスが出にくいことがまれにある」としたメーカー側の”自主的”な行為なのだそうだ。
 シロートのボクが言うのもナンなので、詳しくは京都府消費センターのH.P.内「http://www.pref.kyoto.jp/shohise/15400109.html」を参照のこと。
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ガス燃焼器具の話 ~ガス缶編

2011-05-21 12:30:00 | アウトドア・ギア
■「機能美」大好き■

 ボクだけの傾向ではないとは思うが、贅肉を切り落とし、必然から生まれた「機能美溢れる」デザインが大好きだ。例えば究極を言うと日本刀がソレにあたる。
 道具としての便利さから言えば、刀は峰と刃に分けず、直刀のように真っ直ぐで両側が切れる両刀にした方が片方の刃が欠けても使えるし、どちらに振り込んでも刃が対象物に向くので利点が多いように思う。
 しかし、ご存じの通り日本刀は片方にしか刃が付いていない。これには東北の騎馬武者が使っていたのをマネした等、諸説あるそうだが、ボク的には対象物に当たった後に力が逃げて刃が滑り、より深く切り込んでゆくようにするため、独特の湾曲した反りが必要になったことと、軽量化による取り回しの良さと強度の両立のために片刃を採用したという説を信じている。だからあの独特のデザインの美しさは「敵を切る」ということに特化したために生まれてきたものだろうと思っている。しかも他国の刀に比べると工程数が多く、更には折れにくくなるようにと不純物が少ない良質の鋼を使っているから独特の輝きを放っている。正にこれこそが必然から生まれた「機能美」なのだと思う。

 そういったモノに出逢うと、ボクはついつい手が出て購入してしまいがちになる。対象は高機能な道具や器機類などに存在するが、デジタル器機の中にはほとんど存在しない。ただし、これを日本刀の世界でやってしまうと「銃刀法違反」になるし、自動車や時計のような世界でやってしまうとお金がいくらあっても足りない。そこはそこ、次元は全く違うが、お手軽価格帯の中にある工業生産品での話だ。そんな感じで集めてしまうモノ中にアウトドア用のバーナー(ストーブ)やランタンがある。「高効率さに感心して一品」、「機能美に感心して一品」、「収納性の高さに感心して一品」と買ってゆく内に、気付けば随分と数が増えている。


●現在所有中の「ランタン」の数々●


 同様の趣味を持つ「お仲間」は少なからず居るみたいで、Googleで検索すると結構な量の情報が流れているが、それらを参考にし、自分でも経験する内に知識の集積が進んでいる。
 「食うこと」と「暗がりに明かりをともすこと」は瀬泊まりをする釣りやキャンプ等では欠かせない作業となるので、これから数度にわたって皆さんにボクなりの燃焼器具に対するノウハウを伝えていきたいと思う。


●現在所有中の「バーナー(ストーブ)」の数々●


 以前に触れた話であり、少し内容がカブってしまうが、まず第1回目は、本題の器機の話に入る前に避けては通れない、使用するガスの話から。


■ガスボンベの種類■

 アウトドアで使う缶入りガスは、ずんぐりした形の「アウトドア缶」と呼ばれるモノと、ややスリムで鍋物用コンロでお馴染みの「カセット缶」の2タイプの缶に充填されたモノが一般に流通している。しかし、一般向けにボンベ内に充填できるガスの種類は決まっており、アウトドア缶だからといっても特別なモノが入っているワケではない。ただし、缶強度の差から混合するガスの比率には違いがある。


●カセット缶の数々●


 家庭用で鍋物をする際は、問題なく装着できればメーカーにはこだわらないで、ホームセンターやディスカウントショップで売っている1本(250g)¥100以下のカセット缶を使用する人が多いが、アウトドアユースでは燃焼器具のメーカー(ブランド)とボンベのメーカーを合わせる人がナゼか多い。缶内にある弁を押し下げるためのピンの長短による相性の善し悪しが少しはあるものの、基本的には装着に互換性があるハズなのにである。
 これは器具やボンベに「専用の物同士で使用すること」と大きく記入してあるからだと思うが、家庭用コンロ等であってもこの記述がほとんどの場合でなされているのに不思議な現象だ。
 実は、万一の事故があった際にボンベと燃焼器具のメーカー(ブランド)が違うと、責任がどちらにあるかがハッキリとしない場合は「生産物賠償責任保険=PL保険」の適応がし辛くなるからこの記述があるということらしい。
 だから、このブログを読んでいる人々にも「他社間での缶の流用はあくまでも自己責任で!」ということをボクとしてはまず最初に示しておきたい。(万一の事故の責任は自分でとること!)


●缶にある「生産物賠償責任保険付」の表示●


 しかし、このあたりは管理する役所によって判断が違っており、最近では語気が弱められている様子だが、そんなことは初めから気にしない海外の人達はレポート等を見る限り、メーカーにこだわらず装着できるモノを適当に選んでいる人が多いようだ。


●アウトドア缶の数々●



■ガスの種類■

 ボンベに充填されるガスは「プロパン」「イソブタン」「ノーマル(ノルマルとも)ブタン」の3種類で、それぞれ価格と性能が違う。

 ホームセンター等で売られているカセット缶は、価格を抑えるためにノーマルブタンを100%充填したモノがほとんどだ。因みにアウトドア・ブランドから販売されているノーマルタイプにも同じノーマルブタン100%充填モノがあるが、なぜ中身が同じガスなのに、あれだけの価格差があるのかはボクには理解できないのだが…。
 ノーマルブタンの特徴は上述した「安価であること」以外に、3種の中で一番暑さに強いという点が挙げられる。
 したがって夏場のキャンプに向かう際でも安心して車で運べるが、これは裏返すと寒さに弱いということなのだ。沸点が-0.5度と一番高いから低い温度では管内でガス化しにくくなるうえ、蒸気圧が低いために気温が10度以下になると確実に火力が落ちてくる。そして使えば使うほど気化する際に気化熱を奪うので、悪循環が始まって、ついには火が消えてしまうことになるのだ。

 その点、イソブタンは沸点が-11.7度なのでノーマルブタンよりも低く、蒸気圧もそこそこ高いので実用上は氷点下チョイまでなら火が着いてくれるが、それ以下になるとノーマルブタンと同じ状態になる。高濃度に充填された缶の価格はノーマルブタン100%モノの3倍ほどする。

 残るはプロパンだ。このガスは更に高価だが一番低温に強く、極寒の冬山登山での使用に耐えるくらいだそうだが、その分沸点が-42.1度と低く、蒸気圧がかなり高いので缶の強度を考えると単体での100%充填は不可能だ。したがって、どうしても他のガスとの混合充填になってしまうのだ。当然暑さにも弱く、強度を上げたアウトドア缶に高濃度ブレンドしているメーカーもあるが、冬場に使用を限定して販売しているほどだ。

 3種のガスを燃やした際の、同じ重量単位あたりの熱量にはあまり差がないが、上述したようにガスの沸点と蒸気圧が違う。
 蒸気圧の高いガスは火口から吹き出す時間あたりのガス量が多くなるので、高回転型自動車エンジンの馬力と同じように、見かけ上(時間単位の)火力が強くなるという特性がある。しかし、これまた高回転型自動車エンジンの馬力と同じで、時間あたりのガス消費量が増え、燃費が悪くなるのだ。


■混合ガス■

 上で少し触れた寒冷地仕様ガス缶の他、各メーカー(ブランド)が販売しているハイパワータイプと呼ばれるガス缶は、ノーマルブタンの割合を減らして、イソブタンを混合したもの、あるいはイソブタンそのものを主成分にしたモノや、更にはプロパンを加えてその割合を増やしたモノまで、各社の狙いや思惑があってその混合比は多彩だ。


●イソブタン95%のユニフレーム・プレミアムガス●


 例を挙げると、カセット缶(250g入)の場合は最安のホームセンター製=100%ノーマルブタン(1本あたり¥100円前後)から始まり、イワタニ製のカセット缶=「オレンジ缶」がノーマルブタン70%+イソブタン30%(1本=250gあたり¥185前後)、ユニフレームの「プレミアムガス」はイソブタン95%+プロパン5%(1本=250gあたり¥320前後)、それに加えてプロパンが配合されたモノまで存在するが、JIS規格カセット缶の場合は缶内に充填するプロパンは5%までと決められているので、カセット缶に対するプロパン配合はメリットは少ないように思う。

 アウトドア缶(大=470g前後入)の場合は缶の耐圧強度が高いようで、それに合わせて充填の割合も多岐にわたっている。一般的なイソブタン+ノーマルブタンを始め、具体例を挙げると、スノーピークの「プロイソ(金缶)」はプロパン35%+イソブタン65%(1本=450gあたり¥914前後)、EPIの寒冷地仕様の「エクスペディション」はノーマルブタン42%+イソブタン18%+プロパン40%(1本=190gあたり¥720前後)、ユーザーの多いコールマンに関しては古いデータしかないが、「レギュラー」はノーマルブタン56%+イソブタン24%+プロパン20%(1本=470gあたり¥820前後)、「イソブタン450T」がイソブタン95%+プロパン5%(1本=470gあたり¥980前後)といったところのようだ。


●イソブタンが30%のイワタニ・オレンジ缶●


 各社がブレンドを工夫しているガスだが、缶内のガスは、蒸気圧の高いものから順番に燃えていくことをまず頭に入れておかなくてはならない。
 実は、缶内に混合充填されたガスは混合比通りに噴出されるのではなく、蒸気圧が高い順に徐々に入れ替わりつつ噴出されるのだ。
 例えばイソブタンとノーマルブタンを混合したイワタニのカセット缶「オレンジ缶」の場合だと、先にイソブタンから燃え始め、それが無くなり始めたら徐々にノーマルブタンが混じり始め、最終的にはノーマルブタンだけで燃えるといった具合だ。
 それでも気温が高ければ全てのガスが気化して噴出されるので、そう問題を感じない。しかし、10℃以下の気温になると、イソブタンが燃え尽きた後は沸点が高いノーマルブタンは缶内に残り始め、さらに気化熱が奪われて缶内の温度が5℃を切る頃になると顕著に気化しなくなって「ガス欠状態」となり、やがて火が消えてしまうようになるのだ。
 同様に気温が氷点下5℃の時に例えばスノーピークのプロイソ(金缶)を使用していても、プロパンが燃え尽きた後に残ったイソブタンは気化せず、その分は缶内に残ったままになる。

 このような特性から、寒い日に気化せず缶内に残った沸点の高い方のガスを同じ条件の日に使おうとしても、結局は使えずにずっと残ったままになることが理解できるだろう。

 では、「混合は無意味なのか?」と聞かれれば、何も工夫できないそのままの状態であるのなら「そうだ。」とも言え、「缶の強度上、仕方がないから有効なガスだけ使って、気化せずに火が着かなかった分は気温の高い日にでも…。」と答えざるを得ない。
 だからこそ本気で冬山登山をするような人達はガス燃料のバーナーを敬遠し、ポンピングという少々ジャマ臭い作業が付き物なうえ、機材自体も多少かさばる「ガソリン・バーナー」、もしくは、火力は低いがコンパクトな「アルコール・バーナー」を携行することが多いのだ。
 但し、「工夫できない」のであればと言ったのは、実は例外があって「燃焼器具側に、対策装置があれば有効」とも答えられるし、使う側の努力によっても何とかなる場合もあるからだ。その装置等については追々紹介する。


■ガス優先で選ぶ燃焼器具■

 結局、中途半端にガスが混合されていても条件によっては缶内に沸点の高いガスが残ってしまうので、割高になるだけだ。だからボクの場合は同じカセット缶規格の中で、一番安いホームセンターモノと、ユニフレームのプレミアムガスを使い分け、微妙な気温の場合は、燃焼器具に上述した、とある装置が着いているという前提の下でその中間価格帯であるイワタニのオレンジ缶を使うことにしている。
 特に、イソブタンが95%でありながら250g入缶が320円前後のユニフレーム・プレミアムガスが秀逸であることは間違いない。通常のファミリーキャンプや釣りにおいては氷点下の冷え込みの中で長時間居続けることはないだろうから、冬場はこのガスさえあれば事足りてしまうだろう。
 価格を他社製品と比較してみると、例えばアウトドア缶の中ではコールマンのイソブタン450Tが同じ混合比であるが、こちらは内容量470gで980円前後もするから、価格差がかなりある。
 たかがガスと言ってもその価格差はバカには出来ない。2~3泊のキャンプで複数のランタンとツーバーナーなどを使用するのであれば、その差がかなりついてしまうのだ。

 何度も言うが、ガス缶と燃焼器具を同じメーカー(ブランド)にしないことは、自己責任での使用になることを理解して欲しいが、もし、万一の際のPL保険の適用を考えて同じメーカー製にこだわる場合は、当然コスト・パフォーマンス性の高いプレミアムガスが純正で使える「ユニフレーム社製」の燃焼器具を文句なくお薦めする。ただし、このメーカーのレギュラーガスは混合比がプロパン他2%+イソブタン28%+ノーマルブタン70%でありながら、1本あたり¥270もするから、プレミアムガスとの価格差に違和感を覚えるが…。
 しかし、それはホームセンター等で販売されている安売りのカセット缶と比べた結果であって、他社のアウトドアブランドのカセット缶やアウトドア缶のノーマルガスより性能が同等以上でありながら、割安であるのは確かだ。

 これからアウトドア用の燃焼器機を購入しようと思うのなら、これまでに書いてきたように「ガス側の事情」を最初から考慮しておけば、コストパフォーマンス性の高い選択ができるということを頭に入れておいて欲しい。


 以下、気化促進装置編に続く。



※最近の原油高に加え、震災後の需給バランスの崩れが重なり、各社、特にアウトドア・ブランドのガスボンベに品不足と価格高騰が起こっているようだ。例えばユニフレームのプレミアムガスは、ここ1年ほどの間で250g入が1缶250円だったのが、最高値では320円くらいになっている。従って文中の価格は流動的な中の一時を捉えているに過ぎないのだ。その点にご理解を。
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