■仕切り直しの舞鶴沖■
メダイを深追いし、兵庫県北に目を向けていた隙に、舞鶴沖では平均サイズが80cmという大型ヒラマサの、春の回遊が始まっており、見事に復活していた。勿論、不運続きのボクが行かなくなったことが最大の要因かも知れないが…。(ただし、メダイは復活しないままに終わったようだ。)
こうなると現金なモノで、空きが多かったハズの予約状況が気付けば一変していた。そして、いつもの空き船探しが始まったのだが、”ブンブン丸”さんに運良く空きがあり、滑り込みで乗船できることになった。
思えば、この船には2年近く乗っていなかったが、舞鶴では「最有力船の一つ」とボクが考える、腕が立つ船頭なので、今回も安心感をもっての釣行であり、「乗っていなかった」のは、人気船となったために予約が取れなかっただけのことだ。
■白石グリへ■
「いざ、白石グリへ!」と航行していたブンブン丸だが、舞鶴湾口手前で海上自衛隊の今は練習艦となっている、護衛艦”せとゆき”と併走する。
艦上では、これから練習航海に望むであろう若い自衛官が、上官からの指示を受けている様子が見られたが、これからの国の護りを担う彼らの頼もしい姿をこの目で確認したことでボクの日本人魂にスイッチが入り、背筋がシャンと伸びるような思いがした。
そして、護衛艦に護られたブンブン丸は無事に経ヶ岬沖にある天然魚礁=白石グリに到着した。
■逆潮の中■
午前11時、この時間が1日の解禁時間になるため、漁場近くで構えていた釣り船群が一斉にスタートし、思い思いの場所取りを目指す。我がブンブン丸は浅場のてっぺん近くを目指し、無事に確保できたが、思った以上に速い逆潮(東からの潮流)がきており、更に言えば、南東方向から吹く風が時折角度を変えて船位を狂わせていたために流す筋が安定しない。
それを感じた船長はすぐに位置取りを修正した。
本来、白石グリでは対馬暖流の影響を受けて西からやって来る潮が“本潮”とされており、その方が魚の食いが立つ。しかし、上述のように当日は逆潮のため、初っ端から苦戦が予想された。
船の位置取りが安定したのと並行して、こちらの仕掛け投入にも熱が入る。数投流した時点で、エサが残ることがほとんどだったので、サルカン一つのみのままで、流す距離を伸ばしてゆく。すると、160m付近で流速が速まることが確認できたので、そこでリールのメカニカルブレーキ(回転抑制用のつまみ)を絞って、わざとスプールの回転を遅め仕掛けに張りを持たせてみた。そして、180m。ここでスプールの急速逆転が始まった。
リールのクラッチを入れてモーターをオン。そして糸フケをとった後に大アワセを入れると、竿が大きく絞り込まれていった。
ハリスの強度を信じ、竿の反発力とリールの巻き上げ力を使って締め上げてゆく感覚でやり取りを開始する。このあたりの強引さはヒラマサ釣りでは必須だ。と言うのも、モタモタしていて自由に走らせた際のヒラマサは、最大パワーを発揮して周囲の根周りに向かうため、根ズレ等を引き起こして簡単にハリスや道糸が飛んでしまうからだ。
ここで語っておく。
ヒラマサとの駆け引きでは、常に相手の頭をこちらに向けておくこと意識せねばならない。それを忘れ(知らず)、弱気になってドラッグを緩めてしまうと、走りが止まらなくなることがよくあるのだ。だから、強気で勝負し、相手が最大パワーを発揮した「一のし」の際に「ギリギリ出る程度のキツ目ドラッグ設定」で強引にやり取りした方が、ボクの経験上では取り込める率が上がっている。また、完全フカセ釣りでは、掛かった相手との距離が遠いことも多く、必然的に出ているフロロカーボンラインの全長が長くなるために、急な走りに対するショック吸収性が高いから、せめて船の直下の水深分を切るまでは「やや強引かな?」と思うくらいで丁度イイと思う。ゆっくりやり取りをするのは、相手との距離が詰まった足下からだ。
しかし、そんなやり取りの大前提として、ハリスは8号前後を使わなくてはならない。「マダイも欲しいから6号」というのが一番危険だと思うから、「中~大型のヒラマサが釣れている」と聞けば、それなりの準備をしておいて欲しい。
何だかんだと語りつつも、実釣では夏のピーク時よりも控えめな春ヒラマサのパワーは8号ハリスの強度に対抗するほどではなかったために、意外にすんなりと距離を詰めることができ、船下の攻防も大したこともないまま、無事に取り込みに成功した。
その後は、しばらく粘るも風向きの変化と潮流の角度の変化で船位がズレてしまい、続く魚は無くいままに、次なるポイントへの小移動が始まった。
■2本目■
ブンブン丸はそれまでのポイントからほど近いエリアで探索を開始した。どうやら、移動と言うよりは、掛ける位置の修正といった方が正しいのかも知れない。いままで乗った船の中には「一度食ったら動かず、潮が良くなるまで待ちましょう。」というタイプの船長も居るが、そういった船に乗船した場合、ボクはどうしてもフラストレーションが溜まってしまう。対してブンブン丸の船長は、釣り人の様子をリサーチしながら常にこういった修正を行うタイプであり、ボクの釣りも常に修正するスタイルだから、リズムが掴み易く、釣りに集中できるので助かる。
移動後当初はやや上潮が速くなったことで、2枚潮気味になって糸フケが出過ぎたためか、恥ずかしながらアタリを捉えることなく65cmのマダイをゲットする。
2枚潮に対抗しつつ、仕掛けに張りを加えたりしながら何とかアタリを取る努力を続けたが、たまに釣れてくるのはハマチやイサギのみで、本命のヒラマサは出なかった。
そうこうしているうちに潮流のスピードは更に増してきた。それと同時に2枚潮は解消されたように感じたが、東からの逆潮のままであり、食いが上向くような気配はなかった。
エサ盗りの仕業で時折無くなるサシエをチェックしつつ、発泡ウキの番手を交換しながら細かにタナ調整を繰り返す。すると隣の釣り人がアタリを捉えた。様子を見ていると、どうやらヒラマサのようだ。
「イイな~」なんて思った矢先、ボクのリールも急速逆転し、同時にアラームが鳴り響いた。
今度の魚は、1本目以上にそんなに抵抗なく引き寄せることができたために、「メジロか?」との思いがよぎったが、船縁までやって来た時点で急にスイッチが入ったかのように、下へ下へと潜り込んでいったことからヒラマサとの確信を持ち、ここからは慎重に且つ確実に取り込みへと導いた。
しかし、2本目のヒラマサを獲った後は上潮の流速が増し、2枚潮のような状況に戻ってしまった。そのため再びアタリが取り辛い状況になる中、懸命の努力を行う。普通の仕掛けでは上潮に飛ばされてしまうため、オモリを重くし、早めに底潮に入れた後にリールのスプールの回転を押さえて「仕掛けの張り」を加える作戦を試みたが、イサギやハマチがポロポロと仕掛けに「付いてくる」ことはあっても、釣った魚を出せないままに納竿時間を迎えた。
当日は逆潮という条件の中であっても船中では5本のヒラマサが掛かり、ボクの釣果を含めて3本ゲットされた(同船者にバラしが2本)。これが「西からくる本命潮が適度な速さ」、「ライバル船が少ない」という好条件の日であれば、20本前後の釣果も出ていることから、今年のヒラマサが豊漁サイクルに入っていることは確実のようだ。
まさに「チャンスは今」なのだが、上段で記したように今回のブンブン丸を始めとする有力船の予約表は既に一杯になっている。釣る前からの競争を勝ち抜かなければならないのが難点なのだが…。
メダイを深追いし、兵庫県北に目を向けていた隙に、舞鶴沖では平均サイズが80cmという大型ヒラマサの、春の回遊が始まっており、見事に復活していた。勿論、不運続きのボクが行かなくなったことが最大の要因かも知れないが…。(ただし、メダイは復活しないままに終わったようだ。)
こうなると現金なモノで、空きが多かったハズの予約状況が気付けば一変していた。そして、いつもの空き船探しが始まったのだが、”ブンブン丸”さんに運良く空きがあり、滑り込みで乗船できることになった。
●ブンブン丸●
思えば、この船には2年近く乗っていなかったが、舞鶴では「最有力船の一つ」とボクが考える、腕が立つ船頭なので、今回も安心感をもっての釣行であり、「乗っていなかった」のは、人気船となったために予約が取れなかっただけのことだ。
■白石グリへ■
「いざ、白石グリへ!」と航行していたブンブン丸だが、舞鶴湾口手前で海上自衛隊の今は練習艦となっている、護衛艦”せとゆき”と併走する。
●右舷側を航行する”せとゆき”●
艦上では、これから練習航海に望むであろう若い自衛官が、上官からの指示を受けている様子が見られたが、これからの国の護りを担う彼らの頼もしい姿をこの目で確認したことでボクの日本人魂にスイッチが入り、背筋がシャンと伸びるような思いがした。
●艦名は不明だが、左舷側にも護衛艦の姿が●
そして、護衛艦に護られたブンブン丸は無事に経ヶ岬沖にある天然魚礁=白石グリに到着した。
■逆潮の中■
午前11時、この時間が1日の解禁時間になるため、漁場近くで構えていた釣り船群が一斉にスタートし、思い思いの場所取りを目指す。我がブンブン丸は浅場のてっぺん近くを目指し、無事に確保できたが、思った以上に速い逆潮(東からの潮流)がきており、更に言えば、南東方向から吹く風が時折角度を変えて船位を狂わせていたために流す筋が安定しない。
それを感じた船長はすぐに位置取りを修正した。
●当日のタックル●
本来、白石グリでは対馬暖流の影響を受けて西からやって来る潮が“本潮”とされており、その方が魚の食いが立つ。しかし、上述のように当日は逆潮のため、初っ端から苦戦が予想された。
船の位置取りが安定したのと並行して、こちらの仕掛け投入にも熱が入る。数投流した時点で、エサが残ることがほとんどだったので、サルカン一つのみのままで、流す距離を伸ばしてゆく。すると、160m付近で流速が速まることが確認できたので、そこでリールのメカニカルブレーキ(回転抑制用のつまみ)を絞って、わざとスプールの回転を遅め仕掛けに張りを持たせてみた。そして、180m。ここでスプールの急速逆転が始まった。
リールのクラッチを入れてモーターをオン。そして糸フケをとった後に大アワセを入れると、竿が大きく絞り込まれていった。
●大きく曲がる竿●
ハリスの強度を信じ、竿の反発力とリールの巻き上げ力を使って締め上げてゆく感覚でやり取りを開始する。このあたりの強引さはヒラマサ釣りでは必須だ。と言うのも、モタモタしていて自由に走らせた際のヒラマサは、最大パワーを発揮して周囲の根周りに向かうため、根ズレ等を引き起こして簡単にハリスや道糸が飛んでしまうからだ。
ここで語っておく。
ヒラマサとの駆け引きでは、常に相手の頭をこちらに向けておくこと意識せねばならない。それを忘れ(知らず)、弱気になってドラッグを緩めてしまうと、走りが止まらなくなることがよくあるのだ。だから、強気で勝負し、相手が最大パワーを発揮した「一のし」の際に「ギリギリ出る程度のキツ目ドラッグ設定」で強引にやり取りした方が、ボクの経験上では取り込める率が上がっている。また、完全フカセ釣りでは、掛かった相手との距離が遠いことも多く、必然的に出ているフロロカーボンラインの全長が長くなるために、急な走りに対するショック吸収性が高いから、せめて船の直下の水深分を切るまでは「やや強引かな?」と思うくらいで丁度イイと思う。ゆっくりやり取りをするのは、相手との距離が詰まった足下からだ。
しかし、そんなやり取りの大前提として、ハリスは8号前後を使わなくてはならない。「マダイも欲しいから6号」というのが一番危険だと思うから、「中~大型のヒラマサが釣れている」と聞けば、それなりの準備をしておいて欲しい。
何だかんだと語りつつも、実釣では夏のピーク時よりも控えめな春ヒラマサのパワーは8号ハリスの強度に対抗するほどではなかったために、意外にすんなりと距離を詰めることができ、船下の攻防も大したこともないまま、無事に取り込みに成功した。
●80cmジャストのヒラマサ●
その後は、しばらく粘るも風向きの変化と潮流の角度の変化で船位がズレてしまい、続く魚は無くいままに、次なるポイントへの小移動が始まった。
■2本目■
ブンブン丸はそれまでのポイントからほど近いエリアで探索を開始した。どうやら、移動と言うよりは、掛ける位置の修正といった方が正しいのかも知れない。いままで乗った船の中には「一度食ったら動かず、潮が良くなるまで待ちましょう。」というタイプの船長も居るが、そういった船に乗船した場合、ボクはどうしてもフラストレーションが溜まってしまう。対してブンブン丸の船長は、釣り人の様子をリサーチしながら常にこういった修正を行うタイプであり、ボクの釣りも常に修正するスタイルだから、リズムが掴み易く、釣りに集中できるので助かる。
移動後当初はやや上潮が速くなったことで、2枚潮気味になって糸フケが出過ぎたためか、恥ずかしながらアタリを捉えることなく65cmのマダイをゲットする。
●釣れていた65cmのマダイ●
2枚潮に対抗しつつ、仕掛けに張りを加えたりしながら何とかアタリを取る努力を続けたが、たまに釣れてくるのはハマチやイサギのみで、本命のヒラマサは出なかった。
そうこうしているうちに潮流のスピードは更に増してきた。それと同時に2枚潮は解消されたように感じたが、東からの逆潮のままであり、食いが上向くような気配はなかった。
エサ盗りの仕業で時折無くなるサシエをチェックしつつ、発泡ウキの番手を交換しながら細かにタナ調整を繰り返す。すると隣の釣り人がアタリを捉えた。様子を見ていると、どうやらヒラマサのようだ。
「イイな~」なんて思った矢先、ボクのリールも急速逆転し、同時にアラームが鳴り響いた。
●久しぶりに曲がる竿●
今度の魚は、1本目以上にそんなに抵抗なく引き寄せることができたために、「メジロか?」との思いがよぎったが、船縁までやって来た時点で急にスイッチが入ったかのように、下へ下へと潜り込んでいったことからヒラマサとの確信を持ち、ここからは慎重に且つ確実に取り込みへと導いた。
●全く同寸の80cmジャスト●
しかし、2本目のヒラマサを獲った後は上潮の流速が増し、2枚潮のような状況に戻ってしまった。そのため再びアタリが取り辛い状況になる中、懸命の努力を行う。普通の仕掛けでは上潮に飛ばされてしまうため、オモリを重くし、早めに底潮に入れた後にリールのスプールの回転を押さえて「仕掛けの張り」を加える作戦を試みたが、イサギやハマチがポロポロと仕掛けに「付いてくる」ことはあっても、釣った魚を出せないままに納竿時間を迎えた。
当日は逆潮という条件の中であっても船中では5本のヒラマサが掛かり、ボクの釣果を含めて3本ゲットされた(同船者にバラしが2本)。これが「西からくる本命潮が適度な速さ」、「ライバル船が少ない」という好条件の日であれば、20本前後の釣果も出ていることから、今年のヒラマサが豊漁サイクルに入っていることは確実のようだ。
まさに「チャンスは今」なのだが、上段で記したように今回のブンブン丸を始めとする有力船の予約表は既に一杯になっている。釣る前からの競争を勝ち抜かなければならないのが難点なのだが…。