中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

ボクが大キライな言葉と、大好きな”釣りワールド”

2010-05-29 12:30:12 | 釣り一般
■嫌いな表現■

 「太公望達がノンビリと釣り糸を垂れている。」
これは新聞やテレビなど、報道機関で釣り風景を表現する言葉としてよく使われているフレーズだ。だが、ボクはこの表現が大キライだ。理由は後で解るが、「的を外している」と感じる釣り人は多と思う。
 また、CMやドラマで釣りをするシーンを採り上げていることがあるが、例えば「両軸受けリール」という、竿を持った場合に上側に装着するリールを反対向けにしていたり、変に端っこの部分を握ってバランスを崩していたりと、とても考証をしているとは思えないシーンに出会うと、本当にガッカリとしてしまう。
 かつてドラマ「北の国から」等の脚本で有名な倉本聰氏が
 「ドラマというフィクションの中の描写で細かい部分で『ごまかし』をやってしまうと、全体がウソっぽくなる。」と言っているのを見たことがあるが、正にその通りで、ボクも
 「何でやねん。」とツッ込んでチャンネルを変えたくなってしまう。

 釣りという趣味は様々な情報を元に次の一手を打つという「ゲーム的要素」、魚を掛けてからは糸をかばいつつ、切られないように操作する「スポーツ的要素」、釣りの種類によっては「山登りの要素」や「ボート操船の要素」まで含まれ、それぞれが複雑に絡み合っているからオモシロイのだ。そんな釣りを文章で表現し、その実際を想像してもらうのは非常に難しい。以前までは、磯なら磯、渓流なら渓流で釣りをする人に対する情報を流すつもりで時系列順の簡単なレポートを3年以上このブログを書き続けてきたが、ふと
「釣り人以外の人が見ても、そのおもしろさが伝わっているのだろうか?」と思う瞬間があったのは事実だ。
 そこで、大袈裟?な表現をすれば、釣りの魅力を後世に伝えなくてはならない年にもなってきたことでもあるし、釣り場での実際を伝えて、「その魅力を少しでも共感し、理解してくれる人が増えるならば」と、お気付きの人がいれば幸いだが、「高原川のレポート」を始めた辺りからスタイルを変えている。
 特に、頭の中で何を考え、それをどうやって実行に移しているかを以前よりも詳しく書いているつもりだ。


■釣り場での現実■

 釣りをしている最中、ボクの頭の中では四六時中、様々な思考がグルグルと巡っている。特にこれは性格が影響しているのか?疑り深さが支配することが多い。例えば、1匹の魚を釣ると普通であれば、しばらくはそのまま仕掛を触らずに流す人が多いものだが、ボクの場合は魚を釣った、そのすぐ後の1投目であっても、続くアタリがすぐに無ければ、「もう魚のタナ(泳いでいる深さ)が変わっているのでは?」と疑ってしまい、エサを流す層や距離を変えようとする。
 また、水面や地形を見る目は常に鋭く、得られる情報全体から魚の気配を感じ取ろうとしている。だから、格好つける訳ではないしレベルも全然違うが、プロ野球の打者がホームランを打った際の球種や球筋を覚えているのと同様に、釣りを本格的に始めてから、現在までの間で印象に残っている魚を釣った場所の風景や背景を映像で覚えている。そして「その場に行って、魚を釣った水面を指せ」と言われれば、確実に「ここだ!」とピンスポットで指し示す自信すらあるのだ。それくらい息つく暇もなくアレコレと集中して考えている訳だから当然、「ノンビリと釣り糸を垂らしている」ヒマなど皆無なのだ。もし、どうしても他人からそう見えてしまうのなら、それは集中しすぎて邪念が消えたことで逆に間の抜けた馬鹿面をしているせいではないのか?とも思ってしまう。
 現場では、こんな調子で常に釣りのことばかりを考えているから、それこそ周囲からは「そのまま飲み込んでいるのか?」言われるくらいのスピードで食事をとっている。そう言えばその昔、妻と釣りに行った最中に手作り弁当を食べていたのだが、鷲掴みで食べる様を見た彼女に叱られた経験があるくらいだ。今、凝っている渓流釣りでも途中で「河原に座って…」という余裕もなく、時間節約のため車の移動中に「次はどこに入ろうか?」と考えながらパンをかじっている次第だ。
 また、年に一度のペースで釣行している男女群島での磯釣りの場合、現地2泊3日の航海中には約58時間に渡って磯の上に居る計算になるが、その間の睡眠時間は合計でも8時間は確実に切っているだろう。もちろん起きている間は、短時間でとる粗末な食事タイムを除いて釣りっぱなしの状態だ。
 しかしながら、そこまでやっても大したことがない釣果も多いことが問題なのだが…。
 ここまで「根(こん)を詰めた釣り」を実践している人が、どのくらいの割合で居るのかは判断できないが、多かれ少なかれ、集中している時にはそうなっていることだろう。ボクが尊敬する釣り師である小里哲也さんは「釣りたければ魚になりなさい」と、よく書いておられるが、正しくその通りで、魚を釣りたければ人間の都合よりも魚の都合に合わせるしかない。そのためには考え抜き、実践するしかないのだ。


■様々な釣り■

 一口に釣りと言っても様々な種類があるのは皆さんもご存じだとは思うが、好みには当然個人差がある。ボクの場合は現在では「磯のグレ釣り」「渓流(特に本流での)釣り」「船から狙うマダイ&ヒラマサの”完全フカセ釣り”」の中から、その時にの気分や、釣れ具合でセレクトすることが多いが、これらの釣りに共通するのは、「引きが強いターゲットに対して繊細な方法でアプローチする」という、テクニカルな要素が多い部分だ。だから、今まで色々な釣りをこなしてきたが、大味に感じる釣りは長続きしなかった。考えることが多ければ多いほど、やることが多ければ多いほど楽しく感じるのだ。その意味ではトローリングのような、ある意味「船頭(キャプテン)任せ」の部分が多い釣りには全く興味が湧いてこない。

 
■Mの世界■

 ここまでボクが「如何に考え、如何に行動しているか」を書いてきたわけだが、振り返ってみるとホントに窮々と考えながら釣りをしていることが多い。モチロン、ボクも人間だから、ふと前方に見える景色に感動したりもすることもあるが、それは稀だ。また、人からは「よく一人で行くな~。」なんて言われることもある。モチロン、行き帰りくらいは人が居た方が「寂しくないかな?」と思うことも多少程度はあるが、いつもこんな調子だから釣り場に着いてからは一人でいることは全く平気で、むしろ孤独に一人で悩むことを楽しんでいるくらいだ。だから、もしかしたら釣りの最中にボクは「『Mの世界』をさまよっているのかも知れない?」とも思う。

 このブログを読んだ釣り人以外の人からは「そんな苦しそうな趣味の、どこが楽しいの?」と言われてしまいそうだが、ボクがこれまで30年以上に渡って釣り続けてこられたのは、こんな苦労をして導き出した先にある「大物との出会い」の味を何度か味わっており、そこで得た感動は苦労をして得た物ほど大きいことを知っているからだ。
 そう、「緊張と緩和の連続」これがボクの釣りの神髄だ。
 以前B・バス釣りに凝っていた頃に読んだ本の冒頭には、こう書いてあった。
 「悪魔の趣味にようこそ」
長らく悪魔に心を捕まれたままのボクなのである。




■追伸■

   

 このブログが公開された時間には、帰港のために九州本土近くを航行している最中だと思うが、実は26日夜からは恒例の「男女群島ツアー」に参加している。
 好敵手である「尾長グレ」という悪魔に魅入られ続けて、このツアーへの参加は今年で連続4年目に突入している。しかし、結果は2年目の一昨年にイイ目をした以外は思わしくない。今年はどうなっているのやら…。だが、相変わらず、ほとんど寝ずに考えて釣りをしてるんだろうな。ともあれ今回のツアーの内容については来週、このブログで報告だ。
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高原川 ’10 その3 ~第2部

2010-05-22 12:30:45 | 渓流&管理釣り場での釣り
■生命の終焉■

 3度目の退渓する直前、白骨化した鹿(多分)を発見した。渓流ではタマに見かける風景らしいが、僕自身が発見したのは初めてだ。これは冬場にエサを求めて雪の上を歩いていた鹿が、知らず知らずのうちに水際に近寄ってしまい、雪の下を流れている川に足を取られて脱出不能になった結果のようだ。自然は、時には残酷なまでに過酷な条件を我々生物に突きつけてくるが、その一端を垣間見たようで、心が引き締まる思いだ。そしてこの変わり果てた鹿の発見は
「自然に対してナメてかかってはイカン!、順応しなくては。」と、心に言い聞かせたくなるシーンであった。

●大きさからして、まだ若い鹿のようだ。●



■情報収集■

 宝フィッシングさんに到着すると、見回り監視員の情報として
「本流にはほとんど人は無く、支流の一部は賑わっている。」との連絡があったそうだ。具体的には本流が流れるところから一山越えたところにある、山之村(やまのむら)周辺が好調(但し人も多い)ということらしい。ここからの距離が近くて、すぐに入れるところにある支流では、下佐谷(しもさだに)にも何人か午前中に入っていたが、どこも思わしくなかったらしく、もう既に引き上げた後らしい。それに付け加えて蔵柱川(くらばしらかわ)には午前中に、ご主人自らは釣りをせず、娘さんのガイドとして向かったらしいが、小型のイワナと山女魚が各1匹に終わったということだった。
 「本流の下流部は?」との問いにも
 「連休前半は良かったらしいが、ここ近日は思わしくない。」との回答であった。そこで、
 「ベテランの通った後であれば、釣り残しは少ないが、小学生の後なら何とかなるかも?」との判断を下す。だが長時間粘ってもしょうがないので、1時間のタイム・リミットを設けて、その時点で結果が思わしくなければ、即、本流の下流部へ向かって
 「玉砕覚悟の一発狙いで散ってしまおう。」と心に決めてのアプローチとした。


■蔵柱川■

 早速、蔵柱川沿いを走る道路に沿って上流部に向かいつつ、眼下に見える川の様子を確認する。しかし、思わしい入渓地点が見つからず、結局一番下流部から入ることにした。

●蔵柱川最下流部の様子●


 さすが、支流とあって川幅は狭い。そこで、それまでの全長7.5mの竿から、5.0mに持ち替えて遡行していった。そしてすぐに淵を発見する。

●これが、すぐに発見した淵●


 1投目、すぐに目印が「ツンッ」と引き込まれ、すかさず合わせるが、アワセと同時に空を飛んでくるほどのサイズだ。

●全てがこのサイズ●


 しかし、魚は予想通りに貯まっているようで、次々にアタってくる。渕尻から攻め始めて淵頭までの間、全て同じエリアで計6匹のヤマメが出たが15~17cmといったところで不満足な結果だ。時間も丁度1時間経ち、判断のしどころである。
 「このまま、遡行すべきか、それとも…。」
 結局、この日のボクは男らしかった。「弱い者イジメ?」はヤメて、すぐに車に戻ったかと思うと一目散に下流へと向かうのであった。


■下流へ■

 一口に下流部と言ってもエリアはかなり広い。ボクがこれまで入った経験があるところは「二ツ屋」と「割石」の2箇所だった。上述した宝フィッシングさんの情報では連休前に良かったのは「二ツ屋」ということであった。
 ここで浮かんでくるのが
 「好調だったところは、条件が良いからそうなるのであって、水が回復しつつある今日なら、ポイントとしても復調しているのでは?。」という考えと、
 「連休前半に釣りきられて、ソコには魚は残っていない。」と考えの二つになる。
 ボクは、車中で後者を選んだ。釣りではよく「昨日までは良かったポイント」というのが存在する。これは磯釣り等で渡船店の店主に「今日は調子の良いところに上げてやるよ。」と言われて喜び勇んで上がったはイイものの、結果が出ずに惨敗すると、帰港時に「昨日までは良かったんやけどなぁ~。」と店主に慰められるという、そんなポイントのことを指す。その経験をイヤ?というほど味わっているボクとしては、そうなってしまうのは仕方がない。これは一種の性(さが)なのだ。


■割石上流■

 以前に割石から入渓したのは橋の下流部であった。その時、橋の真下から見えていた上流部に気になる淵があったのだが、河岸が切り立っていて、どうしてもアプローチ出来ずにいた。車窓から見ていると、その気になる淵に入れる場所を発見し、何かに吸い込まれるかのように気が付けばそこに車を駐めていた。
 この場所から降りて、攻めることが出来るのは、2箇所の淵と、その間のみになる。というのも神岡町街から下流にある地区では、切り立った河岸が多くて降りられる場所が限られてくるうえ、川通しが出来ない(川沿いを上がって行けない)ところも多いので、一つの入渓点から釣れる範囲が限られてくるからだ。

●割石から数えて一つ上流にある橋の下の淵●
          

 まずはすぐ近くの淵を攻め始める。水深はかなりあって、流れの幅もあるので8mの竿を使用した。
 数投目、目印がキレイに引き込まれてヤマメをゲット。アタリがあったのは淵尻からだった。

●本日最長寸のヤマメ=22cm●


 ただし、この頃から下流部から吹き付ける風が強まり、目印の動きが安定しなくなる。そこで、オモリを重くして対抗してゆく。
 後にこの淵では何度かアタリがあるものの、全てがウグイからのものであった。


■大トラブル■

 淵を丹念に探っている最中に事件は起こった。この時足場を変えつつ、様々な角度から淵を攻めていたのだが、誤って足を滑らせ、右臀部というか、右太もも付け根のやや上のケツ部を突き出た岩で強打したのだ。先端部が尖っておらず、突き刺さらなかったのは不幸中の幸いだったが、打ち所が打ち所なのでしゃがみ込むことも出来ず、ただ立ちつくすのみで、その場で激痛に耐えていた。何分が経ったところで、右足が動くことを確認し、ようやく安全な位置まで引き返したが、この時点で日没の時間までは30分ほどしかなくなっていた。
 「そのまま上がろうか?」とも思ったが、ふと下流部を見ると以前に見た、見るからにオイシソウな割石橋上流の淵が「おいで、おいで」をしているではないか!。これも釣り師の性なのか、何故か変な力が沸いてきて、気が付けば痛い足のことも忘れて小走りをしている始末だ。そして数分後には、その淵の横にバカが一人で立っているのであった。

●これがその淵頭だ●



■竿を襲う激震■

 「狙いは目は淵頭に流れ込む、白泡の流芯の両サイドとその下、それに流れがぶつかっている先にある岩盤の窪み部分だろう。」と予測したが、この時、もう既に山間の向こうに太陽は隠れており、道糸に結ばれた目印はかろうじて見えるか見えないかの境目だった。それに加えて風は一向に止みそうにもない。
 そこで、風対策としてオモリをそれまでよりも更に重い0.5号を装着した。そして目印が見えなくてもアタリがとれるよう、竿を持つ手に全神経を集中しつつ、竿を操作して仕掛を流してゆく。
 何投かするが通常の流し方では反応がない。ここで作戦を変更し、根掛かり覚悟でオモリを底に着け、コロコロと転がして行く戦法に切り替える。
 そしてまた数投。白泡の手前を転がしていた仕掛から伝わるオモリの「コトコト感」が一瞬消えたように感じた。「異変を感じたらアワセる」という鉄則を考えるヒマもなく、気が付けば反射的に竿を持った手首がアワセの方向へと返っていた。その瞬間、激震が我が愛竿である翠隼本流(すいしゅん・ほんりゅう/シマノ製)を襲い、それと同時にヒン曲がっていった。
 「最初の一撃への対処が肝心だ!」と心に言い聞かせ、竿を上流側に倒して踏ん張るが、相手は言うことを聞いてくれない。こちらもそれは予想の範囲内なので、下流に突進する相手の動きに合わせて、こちらも脳内をアドレナリンで埋め尽くすことでケツの痛さを忘れさせて走る走る!。この動きを何度か繰り返していると、相手の動きに対してこちらがアドバンテージを持つように変化していった。こうなればこちらのモノだ。グレ釣りで培った竿サバキ=相手が進む方向に先回りして竿を回しつつ、テンションを上方向にかけて相手の頭を持ち上げてやる。
 引き具合からして、大きめのイワナだろうと思っていたが、現した魚影を確認すると、その通り!良型のイワナだ。しかし、このクラスになるとここからでも抵抗を繰り返し、何度か潜ってゆく。引きが弱まる機会を捉えてようやく玉網を右手に持ったが、今度はそれを避けて通り越してしまう動きで抵抗を繰り返す。しかし何度目かのチャレンジで何とか玉網に収めることに成功した。

 このブログでも書いたことだが、昨年はゲットしていたハズのこのクラスのイワナには、不注意のために計測及び写真撮影の前に玉網から逃亡されてしまった。結局それは未公認のイワナとなってしまったが、今回はしっかりと握って撮影の後、安全地帯で計測をする。

●40cmジャスト!の大?イワナ●


 「ヤッター!自己記録クラスのイワナだ!」これをゲットしたことで、ふぬけ同然となったボクは、これを機に退渓を決意し、アドレナリンが出なくなったと共に復活したケツの痛みをこらえつつ、駐車地点へと向かった。


■まだ痛いケツ■

 それから1週間以上経ったが、その後、右臀部は腫れ上がり、今も紫に色付いている。したがってイスに座るにも半ケツ状態=左半分だけで座っている。もちろん、このブログもその状態でキーボードを打っているのだ。
 実は、今から20年くらい前にボクは島根県の隠岐で地磯に向かう途中に転落して、両足骨折をやらかしている。当時は交際中で「彼女」であった妻も、もちろんその時のことはよく記憶しているハズだ。だから今回の件に関しても、いつまでも懲りないボクに対して
 「バッカじゃないの?」という半ば呆れた目線で息子共々に見ていることだろう。
 もちろん、こっちとしてもそれは十分に承知している。だが、この日のような大逆転を味わってしまうと、もう手遅れなのかも知れない。そう言えば昔からこんなことが言われているのだ。
「釣りバカは、そう簡単に止められないのだ。」と…。
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高原川 ’10 その3 ~第1部

2010-05-15 12:30:20 | 渓流&管理釣り場での釣り
■新緑の季節■

 乱高下する今春の気温傾向には、ほとほと参ってしまう。高原川の流れる岐阜県最北部では、2週間前、マイナス基調の極寒状態だった状況から一変し、ゴールデン・ウィークには30度を超していたようだ。
 それでも日照時間を積算しているのか、木々は芽吹いて季節通りの色に変わりつつある。

●高原流域も新緑の季節を迎えている●


 今年のように山にストックされた雪が多いところに気温が急上昇すると、雪解け水が大量に発生する。そのような水のことを「雪代(ゆきしろ)」と言い、それが流れ込む河川では多くの場合、白濁した流れとなり、水温が急低下する。誰もが知っていると思うが、魚は変温動物だ。急激な水温低下が起こると、彼らは自らの生命を保護する法則に従って行動を開始する。つまり餌もとらずにジッと我慢し、体力を使わない=低活性化するのだ。
 更には釣行前々日には温かい雨がしっかりと降り、雪解けを加速させて中流部では1m近い増水となっていた。そして事前に問い合わせた宝フィッシングさんの見解では、
 「水は引きつつあるものの、本流はキビシイかも?」ということだった。 
 元々、ボクはこの釣りを始めた頃から長い竿をブン回して大型を狙う、本流での釣りが好みだ。従ってこんな状況下では時間に余裕のある人の場合なら諦めるのかも知れない。だが、ボクはサンデー・アングラーと呼ばれる、基本的に日曜日にしか釣行出来ない釣り師だ。よって危険のない状況下であれば「行くと決めたら行くしかない」のである。
 「逆に本流で釣る人が少なくて、釣りやすいかも?」と自らを言い聞かせながらも、
 「ハテさて、どのような結果になるのやら」と、不安という暗雲がたれ込める中、岐阜県最北部へと車を走らせた。


■厳しい状況■

●雪代によって白濁した水で増水する高原川●


 仮眠を数時間採った後、夜明けと共に準備を開始する。今回は、前回の脱渓地点である「蒲田建設裏」から上流を目ざし、「笠谷の出合」という地区までを釣るつもりであったが、一度川を確認しないことにはその後の流れ展開が読めない。そこで、いつもとは違って脱渓予定地点であるが、川の展望が効く「笠谷の出合」で一旦確認した後、入渓地点に戻って釣り上がるパターンで攻めることにした。
 川の様子は予想通り増水傾向だが、確実に引き始めており、その点では合格ではあったが、やはり雪代で白濁傾向にあり、如何にも水温が低そうである。


■実釣スタート■

 「蒲田建設裏」の河原は以前に大水があった影響か、右岸側(下流に向かって右側)が削り取られており、今にも崩れそうに感じるが、ザッと見回した感じではそちら側にオイシソウなポイントが見える。そこで慎重に河原を歩きながら各ポイントに仕掛を打ち込んでいくことにした。まず最初は20cmチョイのイワナが登場するが、目印に出るハッキリとしたアタリではなく、モゾモゾとした感じのアタリを捉えての結果である。

●当日の初イワナ●



■溜まり場発見■

 アタリはイワナらしい流れのたるんだところで出たのだが、試しに周囲にある、やや流れは強いがヤマメが好みそうなところに仕掛を打ってみても全く無反応。
「やはり水温低下の影響でヤマメは動いていないのか?」と自問自答を繰り返す。
 そして更に釣り上がったところに「如何にも!」という流れのたるみを発見した。

●この石の後ろのライン上に魚が溜まっていた●


 一見して、ソコには魚が溜まっていそうな気配がプンプンと漂っていた。一番のポイントは石のすぐ裏になるだろうが、すぐにソコへ仕掛を入れて釣ってしまうと、他の魚が警戒しそうだったので、まずは慎重に一番下流にある深みが浅場に向かってカケ上がる部分から攻めてみる。
 答えはすぐに出たが、やはりそれはイワナだった。続いてアタリをとってゆくと計5本のイワナが玉網に収まる。
 そして最終の攻めとして石のすぐ裏を狙い始める。2投、3投と繰り返すが、無反応。そこでオモリをそれまでのG2サイズから、重めの2Bに変更して早めに仕掛が低層に入るようにした。イメージとして、底をエサが転がるように流していくと根掛かりのように仕掛の流れが止まった。
 すかさずアワせると、相手はそれまでとは違う重々しい引きで抵抗を繰り返す。それまでは高い位置から竿を出して全て魚は引き抜いていたのだが、コイツは無理そうだ。崩れやすい河岸をやり取りしながらスロープ状に降りて行き、玉網で無事に掬い取ったのは尺にはチョッとだけ足りないイワナであった。

●29cmのイワナ●


 この縄張りのリーダー格を釣ったせいか、その後はウグイが食い始める。コレには閉口して退散を決め込み更に上流へと向かう。そして、またもや石裏の攻めパターンで良型イワナをゲットしたがコレは単発に終わった。

●先程と同寸=29cmのイワナ●



■ポイント・チェック■

 時間が過ぎ、何も得るモノがないままに笠谷の出合には到達したが、ココから上流は更に流れが速く、この日の「魚が低活性」という状況下では釣果が望めそうになかった。それに、ボクはどうしてもイワナよりもヤマメが好みなのだ。そこで、一旦退渓し、前回、前々回にヤマメをゲットしたポイント3箇所に対してピンスポット的にアプローチし、活性をチェックすることにした。幸い、この状況下ではボクの予想通り本流で竿を出す人は見かけなかったので、今回はこの方法が採りやすかった。
 まず最初は芋生茂橋付近に入り、前回と同じようにヤマメを1匹ゲットする。しかし、サイズはそこそこであったが後が続かない。

●当日初ヤマメ=21cm●


 続いて葛山堰堤の上流に入る。そして1箇所目。

●2方からの流れが合わさるところがポイント●


 ココではズドンと目印を引き込む大アタリが出る。それと同時にそれまでとは違う引きがロッドを絞り込んでいった。ボクは腰を落として何度も締め込みをかわすが、相手はシツコク抵抗を繰り返す。

●ようやく水面に顔を出したところを必死に撮影●


 応戦を繰り返してゆく内に取り込みに成功したのは尺越えサイズのイワナだった。

●尺越え第一弾=32cmのイワナ●


 このポイントではまたもや単発で後が続かず、更に上流へと移動し、続いて前々回にヤマメを連発した、この区間で2箇所目のポイントに仕掛を打ち込む。

●白泡の奥にピンポイントキャストで仕掛を投入●


 始め仕掛は反転しながら渦巻く流れ=反転流に沿ってグルグルと回っていたが、その動きが止まるのを受け、
「コレは生命からの信号だ!」と感じた瞬間に、手首が反射的にアワせる方向へと動いていた。そしてまたもや強い引きがロッドを襲った。
 今度は2度目なので落ち着いてはいた。しかし、先程とは違って流れの速い部分で釣っているので、下流に走られると水圧が加わり厄介だ。それは相手もよく解っているようで、ボクが嫌がる方向へと執拗に回り込もうとするが、その度にボク自身が下流に走ることで応戦をする。何度かそのやり取りを繰り返し、何度も転倒しそうになりながらも相手の動きを制することに成功する。必死のパッチでようやく玉網に収めたのは、またもや尺越えのイワナで、先程よりも心持ち大きそうなサイズである。

●今度は33cmのイワナ!●


 気をよくして少し粘ってみたが、やはり良型が居座るところには縄張りがあるようで、他の魚は居ない。よって単発のままでこの区間での釣りを終えることにした。


■脳内の一人作戦会議■

 ココまでの釣りで得た結果は、
「葛山より上流部の本流ではヤマメがほとんど動いていない。」
ということだった。ここで、
「だったら思い切ってヤマメの居そうな支流に行くべきか?」
「イヤイヤ、もっと下流に向かって本流の実績場で一発勝負か?」
という二つの選択肢が出てきた。しかし、その方面の情報は全く掴んでおらず、判断に困った。そこでいつもの宝フィッシングで近況を確認することにした。丁度エサの補充もしたいところでもあった。
             
●自己採取したクロカワムシも使用したが、このキンパクにアタリは集中した●



■ヒレが欠けている理由■

 お気付きの人もいるかと思うが、ココまでの時点で釣った尺越えイワナの2匹ともが尾ビレの一部が欠けている。ボク自身、この2匹は成魚の状態で放流されたのが大きくなったモノだと思っていた。(養殖魚は狭い水槽の中で泳ぐので、ヒレが擦れて少し溶けたような感じになっている。)しかい、アドバイスを求めに行った宝フィッシングさんにココまでの釣果報告していると意外な事実を聞かされた。
「いや~、マズマズのサイズのイワナが釣れたんですけど、どうもヒレピンの天然魚ではないようで残念です。」
と、ボク。
「その魚は天然魚ですが、フライをやる釣り人が、リリースをする際に尾ビレをカットした痕ですよ。」
と、宝フィッシングさん。
 調査員が漁業資源調査のために脂ヒレという小ビレをカットする話を聞いたことはあるが、個人がそんなことをするなんて…。
 「この行為は、個人的に調査するためなのか?」それとも「もう一度釣った際に区別できるように個人の楽しみのためにやったのか?」ボクには定かな理由は解らない。
 よく我々エサ釣り師は「リリースをせずに持ち帰り、魚を殺す。」と、ルアーやフライの愛好家の一部から批判されることがある。勿論、ボク自身も釣った後に食いきれず、処理に困るような量(しかも小型ばかり)を釣って自慢する人を見ていると「どうもな~。」と思うことも多いが、入漁証をキチンと購入して資源増殖に貢献していればいれば、基準は難しいが適量の獲物を持ち替えるのは当然の権利だと思う。
 尾ビレのカットが魚に与えるダメージに関しての知識はないが、もしも理由が個人の楽しみであったのなら
「殺すのはダメで、傷つけるのはアリかよ?」
と、ついついボクはツッ込みたくなる。そしてこの行為は別れる相手に
「お別れだが、今度会ったときにボクがすぐ判るようにイレズミを入れておくよ。」
「コレは愛情の印だからね。」
と言っているのと同じでは?と思え、その独善さに唖然とするばかりである。


 色々と思うことはあったが、ともかく宝フィッシングさんの意見を参考にボクは作戦を練り直した。この時点で時計は午後2時半を指していた。時間はまだあるが、充分ではない。この後はやや焦りを伴って移動を開始。実は、その先には更なる大きな展開が待っていたのだが、この時のボクには当然予想すら出来ていなかった。そしてドラマ?は第2部へと続くのであった。
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尾白川渓谷でのキャンプ

2010-05-08 12:30:44 | キャンプ
■2年ぶりのキャンプ■

 本来は「キャンプ大好き家族」だった我が家だが、残念ながら諸事情のために約2年間封印していた。それがようやく解けたのを機に、ゴールデンウィーク真っ只中の山梨県北杜市へと向かった。

  
     ●小淵沢インター・チェンジを降りると、眼前に北杜市のシンボルである「甲斐駒ヶ岳」が迫ってくる●


■白州観光キャンプ場尾白■

 我が家のゴールデンウィークに利用するキャンプ場は「白州観光キャンプ場尾白」と定番化されており、当然今年もそこへと向かった。
 そもそもこのキャンプ場に通うようになったのは東京在住の友人が、そのまた友人に勧められ、我が家を含めた合同キャンプ?を始めたのがキッカケだった。それがいつしか3家族に増えるまでに至ったのだが、今年は各家族の都合が合わず、我が家のみの単独になってしまったのは残念なことだ。
 このキャンプ場は尾白川(「おじら」、「おじろ」どっちでもイイらしい)沿いにあり、ロケーションは抜群だ。ココを起点に川沿いを行けば滝が多くある渓谷上流部へは簡単にアプローチできるし、加えて甲斐駒ヶ岳方面への登山口にもなっているから、ハイキング~本格登山に便利なところに位置している。そのうえ、水場から出る水は正真正銘の「南アルプス天然水」でウマイのだ。
 反面、そのロケーション故にトイレが汲み取り式の「ポットン便所」になるなど、多少慣れ?が必要な部分もある。しかし、それが都会生活を抜けられない軟弱派?が敬遠する理由のようで、都合よく解釈すれば、混雑具合のバランスをとっているようだ。従って、連休中には、ある程度の混雑はしても、テントでごった返して「張る場所がない」ということを、未だ我が家は経験していない。

 以前なら、アプローチ道に問題があって、1BOX車としては車高の低いボクの車の場合は底部を必ずコスる石が何カ所かあって、それを避けて通ることは出来なかった。その結果、帰宅後はいつも悲しい思いをしていたのだ。(車のキズの90%以上は、このキャンプ場で着けたモノ)それが今回、全くコスらずに済んだのは、どうやらその石が削られためであり、その計らいはウレシイ限りであった。

  
            ●粉砕された花崗岩が河原を埋め、それが白く輝く渓流沿いのキャンプ場だ。●


■キャンプの楽しみ方■

 キャンプの楽しみ方は色々あって当然だが、よくあるのは「都会の喧騒を離れ、ゆっくりとした時間の流れを楽しむ」、「家族の団結を図る」、「料理を楽しむ」といったあたりで、他にも色々とあろうが、何でもオタク気味になってしまうボクの場合は、それらに加えて自分で構想したテント・レイアウトや自作したキャンプ・グッズ類が「実際に使えるのか?」ということを確認することも重要な楽しみである。

                    
                      ●テント(就寝スペース)が今年からグレード・アップ●
                    
             ●脚以外は自作品と100均グッズの組み合わせで製作したキッチン・カウンター●
                    
                             ●「使える!」と悦に入るボク●

 実際に自作したキッチンの使いやすさを確認したが、仕上がりも上々だ。その後の4日間で「焼肉」、「タイ式イエロー・カレー」、「野菜&ベーコンのスープ」、「ビーフ・ストロガノフ」等を作り続けたが、特に問題は起きなかった。しかし、使いながらも「あそこをこ~したら?」と、イメージがドンドン湧いてくるから楽しい。前回使用したときよりもコレで進化はしているが、今度の夏には更に進化しそうだ。それが「どのように変化しているのか?」それもまた楽しみなのである。
 因みに我が家の場合は、キャンプ中の料理はほとんど全てボクがすることになっている。コレはキャンプ料理の製作が「心底楽しい」からやっているのであって、女房子供をゲストとして迎えてあげれば自分が楽しくて、家族が大喜びになる。これは「一挙両得?」であり、「家族円満?の原動力」にもなるのだ。


■工場見学■

 1日目昼からは、この地区でのキャンプには定番?のコースである、シャトレーゼ白州工場へと向かう。いつもの年だと大混雑する中での訪問だったが、今年は終了間際に向かったせいか人は少なく、試食(勿論無料)品の種類も少な目だった。

                    
                        ●このゲートの先が自然豊かな工場の敷地だ●

 シャトレーゼのアイス類をたらふく食った我ら家族は続いて、シャルマン・ワインの工場へと向かった。
 この地域はサントリー白州工場に代表されるよう、南アルプスから湧き出す「天然水」を利用した施設&工場が点在している。加えて説明するまでもなく、山梨県内には甲州葡萄と名水を利用したワイナリーが多い。

                    
                                ●ココも試飲O.K.●


■尾白の湯■

 工場内にある直売所でワインを購入した後は、買い出しを近くのスーパーで済ませた後は「べるが」という公園内にある温泉「尾白の湯」へと向かう。

                    
           ●立派な自然公園だが、特に施設を作らなくても自然はそこら中にあるのだが…●

                    
                          ●源泉は日本最高濃度クラスを誇る●


■名物発見■

 車を降りて浴場へ向かう途中にのぼりを発見!。

                    
                   ●ナニヤラ意味ありげでオイシソウなソフトクリームのようだ。●

 風呂上がりに女房&子供と共に食すことを約束し、温泉にザブ~ンと浸かって、くつろぐ。
 そして上がった後は、お楽しみの「信玄ソフト」だ。

                             
                                 ●コレが信玄ソフト●

 牛乳ベースのソフトクリームの上からキャラメルがかけてあり、その周りにきなこの団子を添えてあるシロモノで、味は濃厚で非常にウマイ。


■焚き火■

 夕食後は、谷が冷え込んでくる。そこで、これまたキャンプの「お楽しみ」の一つである、焚き火台で暖をとることにする。

                     
                ●このキャンプ場は直火O.K.だが、焚き火台の上の方が美しく燃える●

 焚き火は人間が料理に利用すると共に肉食動物から身を守るために行ってきた行為だ。そしてその火を絶やさず燃やし続けるのは多く場合、父親の役目であったことだろう。ボ~ッと火を見つめているだけで我が身のD.N.A.に刻み込まれているであろう、何かが刺激されて心地が良いのだ。


■清里ミルク・プラント■

 翌朝は乳製品を購入するために、少し足を伸ばして清里方面の牧場に向かう。下調べの段階では何カ所か有ったが、周りの施設と共に楽しめることを考えて、「清里ミルク・プラント」に的を絞った。

                    
                        ●清里ミルク・プラントは萌木の村内に有る●
                    
                   ●ソフトクリーム&ヨーグルトドリンクの他、チーズもウマイ!●

 ミルク・プラントでのお買い物の後は、萌木の村をブラブラとする。中には美味しいジャムを売る店やアロマ関連の店もあり、ほどほどに楽しめた。キャンプ生活とは縁のない、「少々物価の高い高級?リゾート地」に迷い込んだ感というか、何となく違和感もあったが、まぁ、ウマイモノもあったし、それなりに皆で楽しんでいたようではあった。
 
                    
                             ●巨峰ジャムその他を購入●

                    
                          ●アロマを扱う店では結局何も買わず●


■ハイジの村■

 最終日は、家路に就く前に、人混み&テーマパークが大嫌いなオヤジと、その家族(しかも中1の男子を含む)が、何故か地元で配っていたパンフレットを頼りに、南清里方面にある「ハイジの村」に立ち寄ることとなったのである。

                    
                               ●ハイジの村の入り口●

  
                             ●花は綺麗だった…●
                    
                           ●ぬいぐるみだとカワイイ、ヨーゼフ●

 いわゆるテーマパークなので、キャラクターに関するモノは結構揃っている。しかし、動物類は何だかイケてない。

                    
                      ●「ヨーゼフの仲間」と銘打ったセントバーナード犬●

 特に「ヨーゼフの仲間」はどうもこうにも「いただけない」状態だった。
 普通、犬達は柵内に居るのだが、コレを定期的にオジサンが園内への散歩に連れ出して子供達と触れ合う企画があるらしい。しかしコイツがデカくて引っ張り出そうにも、テコでも動かない。必死になったオジサンが、怒鳴りながら何とか無理矢理柵外に出したかと思うと、今度は園内路を、さも何事もないように歩きながらも器用に脱糞する始末だ。後ろを歩いていたボクがオジサンに「落としてますよ。」と注意しても、オジサンは掃除もせずに前進あるのみ。そうこうしている内にヨーゼフの仲間は、またもや便意を催したらしく、今度はしっかりとしゃがみ込み始めたのである。こうなると、またまたテコでも動かない。コレには、さすがにオジサンも気付いたらしく、横から押花壇にオシリを押し込んで、そこで用を足させるのであった…。

 子供の夢を壊す最低なシーンの後は、お口直しにと、「山羊のゆきちゃん」に会いに行く。

                    
                         ●って顎ヒゲ生やした大人の山羊やん!●

 園内を半周ほど回った後にようやく、ゆきちゃんに出会えたのであった。

                    
            ●角が生えかかってるけど、本当に「ゆきちゃん」だよね?もしかして「ゆきおくん」?●

 キャンプとテーマパークという相反する状況下の中であっても、息子は楽しんでいたようでもあったし「こういったのもアリかな?」と、ボク自身は、ややブラック気味な楽しさに納得?しつつ、その後は家路へ向かう車でごった返す群れの中へと突入するのであった。
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高原川 ’10 その2

2010-05-01 12:30:40 | 渓流&管理釣り場での釣り
■今期二度目の高原川■

 今春は誰もが言うように寒暖の差が激しく、安定しない。この日も4月が終わろうとしているのにやって来た寒気の影響で、岐阜県北部の道端に立つ温度計は午前0時頃には既に氷点下を指していた。海とは違って外気温と連動しやすい川の水温を気遣いながらも岐阜県最北部を走破し、高原川河畔へと向かった。


●明け方にはいったい何度まで下がっているのだろうか?●


■朝靄の中■

 前回の脱渓地点だった「芋生茂(おいも)橋」を渡って、その近辺から入渓し、そこから上流を目指した。

●芋生茂(おいも)橋●


 あまりに激しい寒暖差の煽りを受けてか、各渓流では釣果ムラが出ているようだが、ここ高原川も例外ではなく、スタート地点に立ちこめる朝靄(あさもや)は前途を予感させるモノであった。

●朝靄の立ちこめる高原川●


■実釣スタート■

 まず、目に入ったポイントに仕掛を投入し始める。数頭目で早くも、そこそこサイズのヤマメをゲットし、その後も散々攻めてみたが、小型がポツンと1匹アタッたものの、それっきりで後が続かない。更にアタッたポイントは、通常ヤマメが好む流れよりも遅い部分だ。
「やはり、気温と共に水温低下で活性が落ちているのだろうか?」との思いが頭を巡り始める。

●21cmのヤマメ●


 橋のすぐ上流にある、やや深みのある部分を攻めてみるが、ココは盛期にはヤマメの良いアタリがとれそうな感じはするが、この日の条件では流れが速すぎて無反応だった。更に他のそれらしきヤマメ・ポイントも攻めてみるが、稀にアタッてもエサの端をカジるのみで、食い込まない。これでいよいよ水温低下による食い渋りが現実のモノとして感じるようになった。そしてここから導いた予測から「流れの緩い部分にある、変化」に対する重点的な攻めを心掛けた。

 その甲斐あってか、ポツリポツリとアタリが出始めるが、そのアタリの発信元は全てイワナからのモノだった。コレには理由がある。イワナはヤマメより低水温と流れがやや遅い部分を好むからである。

●アタッてくるのは全てイワナ●


■晴れ渡る河原で■

 時間が経つと朝靄も消え、天気はピーカン・モードに突入した。それと共に上流正面に「焼岳」が姿を現す。こういう景色も渓流釣りの楽しみの一つである。

●残雪の輝く焼岳●


 焼岳に見とれつつ更に釣り上がるが、ココで他の釣り人と遭遇する。上流に向かって釣り上がってくる人に気付かず、前に入ってしまうことは偶然として考えられるが、そうではない。
 動きを観察していると、こちらのペースが速くて追いついた結果であったり、その人が釣り上がる人の目の前にワザと入る「頭はね」と呼ばれる行為をしたのでもなさそうだ。どうやら下流に向かって釣り下って来ているようだ。
 この釣りをやっていて何度か釣り下って来る人を見かけたことがあるが、そのほとんどがルアー釣りをする人で、この人もそうだった。
 この「釣り下り」という行為をする人の神経は、どうにも理解できない。それは、ボクがもし仮にルアーをキャストする立場に変わった場合であってもだ。
 元々、渓流でのルールを作ってきたのはルアーやフライが日本に入ってくるよりも、遙か昔からそこで釣りをしてきたエサ釣り師やテンカラ師達だ。だから、たとえ何かの不条理さを感じても「渓流では下流から釣り上がる」という基本ルールは何人であっても従わざるを得ないのだ。
 唯一釣り下って構わないのは、下流に大型堰堤や滝のように人が絶対に上がってこられない区間=「一方通行区間」に向かう場合だけで、しかも自分が降りた場所から下流には人が降りられないという条件が必要だ。
 釣り下りの弊害は、左側通行の日本の道路で「自分は右側通行の方が走りやすい」という根拠の下、「近くに誰も居ない」のをイイことに車を逆走させ続ければ、やがては必ず正面衝突するのと同じだ。お互いに気持ちの良い釣りがしたければ、絶対に守るべきルールなのだ。

 一言言ってやろうと待ち構えていたのだが、その意気込みが事前に届いてしまったのか、そのルアー君は、ボクを避ける方向に歩いて行った。
「避けるくらいなら、最初からするな!」と思いつつ、彼がさっきまで執拗にキャストしていて、何も釣っていなかった地点を見ると、良さげなポイントではないか!。
「どうせ、この日の低活性下では、ルアーを追うようなヤル気のある魚は居るまい。」との判断から、ボクはそのポイントを攻め始めた。

●ルアー君の諦めたポイント●


 数投目、アタリを捉えて良型のイワナをゲット。しかし、「ドーだ、参ったかこのヤロー」と振り返ってみるが、ルアー君は退散した後とみえて、既に姿は消えていた。

●結果的に本日最長寸の、27cmのイワナ●


 その後は更に釣り上がるが、既にルアー君が叩いていたのに加えて、更なる釣り人を発見したこと(この人はエサ釣り師だったが、ちゃんと釣り上がっていた)で諦めがつき、本日1回目の脱渓を決意した。

●土手にはツクシが顔を出すが、気温は低い●


■情報収集■

 今回のエサも前回同様「キンパク」であったが、サイズが小さく2個装着する機会が多くてエサ切れの心配があった。そこで追加のエサを購入するため、いつも高原川釣行でお世話になっている「宝フィッシング」さん(http://www.geocities.jp/takaraf/)に立ち寄り、同時に情報収集をする。
 予想通り店長さんから
「3日前から水温が下がって昨日も食いが悪かった。」という情報をもらったので、ボクからは
「上流の蒲田川なら温泉が流れ込むので水温が高いの?」という、質問をする。
 聞けばその通りだった。退店後は上流に車を走らせ、車窓から見下ろして気になる部分に仕掛を打ち込む「ラン&ガン」攻撃をしつつ、蒲田川に向かって高原川沿いを遡っていった。

■天然記念物■

 途中、とある淵が気になって、河原に降りていこうとした際に、ナニヤラ茂みに気配を感じ、そこででゴソゴソと動くモノを発見した。「すわ、熊かっ!」と身構えたが、それは国指定特別天然記念物である、ニホンカモシカだった。自身3度目の遭遇であるが、それらは全て3年間での出来事なので、「遭遇密度?が濃いような…」との思いから「個体数はそんなに減っていないのでは?」と、調べてみたが、中国地方以西では絶滅状態にあるものの、予想通り、それ以東ではかなり増えているようである。

●ボクを見つめるメスのニホンカモシカ●


 カモシカに見送られた先にある淵では、なんとかヤマメをゲットしたこともあって少々粘ってはみたものの、コレも単発だった。
 どこも気配が薄く、万策尽きた感があったので、宝フィツシングさんのアドバイスに素直に従い、間のポイントはもう飛ばすことにしてダイレクトに蒲田川へと向かうことを決意した。

●淵での釣果=ヤマメの24cm(当日最長寸)●


■蒲田川へ■

 蒲田川は今見という地区で高原川に注ぎ込む、比較的規模の大きな支流の一つだ。ここの特徴は前述したように、川沿いに何カ所もある温泉地から流れ込む温泉水のお陰で、水温が他地区に比べて高く、低水温に強いのが特徴だ。しかし、ココを目指す釣り人=特にルアーやフライをする釣り人が多く、激戦区とも言われている。

●蒲田川名物?地獄谷砂防堰堤(通称:メガネ橋)●


 人混みがキライなボクはこれまでこの川を意図的に避けてきたのだが、背に腹は替えられない。しばらく川沿いを走って入渓点を探しているうちに気が付けば中尾橋まで到達したのだが、既に日没の時間が迫っており、躊躇するヒマも無くなりつつあった。
 ふと橋の上から見下ろすと、良い感じのポイントを発見した。しかし今、正にそこから釣りを切り上げて帰る人の姿がそこにあった。
「まだ、魚は残っているのだろうか?」と、不安になりつつもその釣り人の様子を確認してみる。「釣りは道具ではない」という人が居るが、偏見を承知で発言させてもらうと、長年釣りをやっていれば、立ち振る舞いや恰好、それに道具立てである程度実力が判ってしまうものだ。幸い?にも名人級ではなさそうだったので、半ば安心しつつ空いたポイントに入ってみることにした。

●典型的な渓魚ポイントが空いた。●


 散々叩かれて、魚が警戒しているのかもしれないので、仕掛は今までよりも細いモノを装着し、投入する。すると、案の定、2投目でキレイなアタリが出た。
 だが、小さなアマゴだった。
「日本海に注ぐ川なのにアマゴ?」と思うだろうが、漁協関係者の説明では昨年放流?した発眼卵(受精済みの卵)の中に手違いでアマゴの卵が混入していたようである。
「しっかりしてくれよ。」と、言いたくもなるが、もう入ってしまったものは取り返しがつかないので、誰が何を言っても無駄なことだ。


●アマゴのサイズは15cm前後●


 最後の約45分間で、合計6匹出たが、どれもが小型でキープ出来そうなモノは1匹も出ず、この日の釣りが終わった。


■頭の引き出しに…■

 今回は、水温の低下でボクがいつもメインに狙っている、ヤマメやアマゴの良型に遭遇するチャンスがほとんど無かった。
 こんな日には誰もが思いつくであろう、水温の高いエリアに混雑を承知で移るか、思い切ってイワナ専門に狙う方が結果的に楽しめるという経験が再確認されたうえでボクの、頭の中の引き出しに仕舞い込まれたのだが、反面、「玉砕覚悟で目的の魚を狙い続けていれば、もしかして…。」と、頭のどこかでチラついてしまうのも釣り師の性だ。
 ボクの好きなギタリストである、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの曲に「PRIDE & JOY」というのがあるが、それは「非常に大事にしている人[もの]」という意味らしい。ボクにとっての釣りは、正しくそうであるが、釣りは(そんな英語があるのかどうかは判らないが)「PRIDE OR JOY」でもあるのだ。
 「ひたすら本命の良型魚を求め続ける」=「プライド(PRIDE)をとるか?」、「そこそこサイズに妥協し、安定した釣果を得る」=「楽しみ(JOY)をとるか?」…。勿論、両方成立するのが最高だが、機会はそう多くはない。だが、こうやって葛藤するのも、「実は釣りの楽しさなのだ。」と、ボクは肯定的に捉えている。

 「嗚呼、罪深きかな釣りという趣味は…。」ということだ。


●蒲田川上流方向に望む山々●
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