中島ブラザーズ ”弟”の「外で遊ぼう!」

近頃は日本海で、ヒラマサを追ってばかり。よって磯釣りや渓流釣りは休止状態ですが…。

’17 玄達瀬のヒラマサ釣り ~1回目

2017-06-24 12:30:00 | 船釣り・釣行記

■待ちに待った解禁■

 ようやくこの季節がやってきた。福井県沖にある、玄達瀬を舞台に2ヶ月間の戦いが始まった。
 今回、乗船したのは越前フィッシングセンター(℡0776-22-1095)が斡旋する、SAKAE丸さん。ここは、以前にも紹介したが、僕が今から18年(ほど?)前に初めての玄達瀬チャレンジをサポートしてもらった船だ。

●停泊中のSAKAE丸さん●




■実釣開始からの前半戦■

 約1時間の航海で現地に到着。さっそく準備タックルのセッティングを開始した。

●今年の基本タックル●


 アンカリング後、マキエサを入れてみると、潮流は上潮が玄達にしてはやや緩めで、中~深部がやや速くなるという潮なので、表面上は釣り易そうではあった。

●100mあたり、6分45秒●


 早速、セッティングを始めるが、道糸=10号、ハリス=12号&メジ・カツオ14号バリという、巨マサ狙いタックルのため、通常の設定よりも沈みが速いことを考慮して、発泡ウキは8番+7番を装着した。
 期待を込めて流し始めたが、緩い上潮に対して横から吹く風がやや強く、その強弱で船位が左右に大きくブレていた。数投する中、流しが安定せず、エサシサの盗られ具合も安定しないため、タナ決めが難しいが、発泡ウキ8番+8番+6番では残るようになったので、8番+8番にして様子を伺っていた。

 あれこれ探るうち、船位と道糸が一直線になった流しで初アタリ。しかし10数m巻き上げた時点で、ハリが外れてしまった。
 「バレたのは小マサかマダイ程度の引きだったから、まだアタリは続くさ。」と甘く考えていたが、以後はエサシサが盗られるばかりで行き詰っていった。そうこうするうちに、隣の釣り座では70cm台後半のヒラマサをゲットしていたが…。

 しばしの沈黙の後、エサの残り具合から、「そろそろ大型が…。」との野生の勘?がボクに沸き始めたが、意に反して、ここでリールが不調に陥る。これで3年連続のトラブルだ。「恐らくグリスが古く、固着しているからだろう。」と、船長がパーツクリーナーを吹き付けてくれた。すると回転が復調したが、何とそのタイミングで、「ブーンッ!」とリールがうなりを上げて逆転を開始したのだ。

 アタリが出たのは180mライン。いつものように、スプールを指で押さえ、クラッチをオンにする。そこからアワセを入れて巻上げを開始したが、一瞬の重みを感じた直後に生命感が伝わらなくなった。
 しばし、呆然としたが、回収した仕掛を確認すると、ハリハズレではなく、ハリスが短い範囲で根ズレを起こしてブツリと切れていた。しかも、発泡ウキのずり上がりを防ぐために入れていたウキ止め糸とゴムが10m以上もズリ上がっていたのだ。
 その様子から、特大クラスが沈み瀬の向こう側で食って、一気に走った感があったが、やり取りする間も無く12号のハリスを切って行くパワーを、今更ながら思い知らされてしまった。しかし、このパターンのバラシは本人の努力の埒外にあるため、「単に不運だったとしか言いようがない。」と、言い訳をしておこう。


■中盤戦■

 その後も船位は安定せず、流す角度がコロコロ変わっていた。上述したように何度か発泡ウキの浮力を調整してエサ盗りをかわそうとしていたが、午前10を前にした頃、8番+8番+6番のセッティングで船尾から一直線に流れた仕掛を回収すると、サシエサが残ってくるようになった。

 「もしかして?」との思いから、6番を外して8番+8番にセッティングを変更してみることにした。そしてその流しが140mに差し掛かった頃に、例の「ブーンッ!」が始まったのだ。
 アワセを入れた瞬間の「ドスンッ!」とした大型特有の衝撃感と、自らの予感が当たった気持ち良さが相乗してアドレナリンが出まくったが、それに昇天している場合ではなかった。

 フルドラグに近い状態、しかも750番という、大型リールをもってしても、デカマサ相手では電動巻き上げはあまりあてにはならないため、道糸を手で掴んでリール側に送り込む=糸抜きを使って、どうにか相手の頭をこっちに向かせる作戦に打って出た。
 これが成功したようで、徐々に電動の巻上げに魚がついてくるようになった。しかも、「ズンズン」といった重い衝撃を伴う抵抗感はあるものの、残る距離が100~70mにかけての様子はあまりに素直で「ホンマにヒラマサかいな?。」と思わせるモノだった。

●なぜか中間距離では撮影ができるほどの余裕が…●



 しかし、それはボクを油断させただけに過ぎなかった。足下の水深である65mを切る頃になると、豹変し、牙をむき始めたのだ。
 この頃になると、相手との距離が縮まって、道糸の衝撃吸収性も落ちてくるため、徐々にリールのドラグを緩めてゆくのだが、そうすると、15m近くも走られてしまう。そして、それが数度続いた。

 そこで、「いつもの8号ハリス感覚ではだめだ。」、「ここが中間の勝負どころだから、12号ハリスの強度を頼みにもっと強気で攻めなくては…。」と、自身に言い聞かせながら次なる作戦を展開する。ここでギヤをパワー側に切り替え、緩め気味だったドラグを、様子を伺いながら少しずつ締めてみることにした。すると、これが当たって何とか40mまでに詰め寄ることができた。

 船下の、一応は安全圏まで引き寄せたものの、この辺りからは、更に距離が縮まった分だけ、余計にドラグを緩めなくてはならない区間に差し掛かる。しかも、最後の玉入れで暴れないようにするために、できる限り相手を弱らせることが重要になってくる。
 そのうえ、「道糸やハリスが根ズレしていたら、無理すると切れてしまう…。」という、心配事が浮かんでくるから、余計に慎重にならざるを得なかった。
 しかし、単にドラグを緩めるだけでは、「電動巻上げと、ドラグ力、それに魚のパワーのバランスが合っていないため」に、簡単に10m近く走られてしまった。
 「これでは距離を詰められない。」と判断して、更なる作戦を実行することにした。

 まずは「走られても10m程度だろうから、底根までは届かない。」と、こちらが有利であることを自身に言い聞かせることで、「ドラグは緩めにしたままでも、大丈夫。」と判断した。しかし、このセッティングでは、電動巻上げは滑って意味が無いので、アクセルレバーを戻して巻き上げは手巻きとした。
 この時のドラグ設定は、竿を倒しながら右手を高速で回すとギリギリ巻き取れる程度まで緩めていたが、これだと普通の、一定の角度で竿を保持する方法では道糸は巻き取れない。
 実はこれ、その昔にストッパー無しの、太鼓リールでやっていた頃の、チヌ釣りでのやり取りの際と同じ要領で巻き取れば良いのだ。
 この方法では、まず、相手の走りに対しては、右手親指の抵抗を微調整しながら道糸を送り込むことで対処する。やがて走りが緩むと、完全にスプールを押さえて道糸が出ない状態にしながら竿を持ち上げ、次いで下げながら巻き取る=ポンピングで距離を詰めてゆくのだ。

 この辺りの用心深さは、昨年4月に、わずか5m先で大マサをバラした苦い経験を糧とした結果だが、この作戦もウマくハマッた。だが、36mまで巻き上げるのが限界で、そこから45mまで一気に走られてしまう。これが何度もあって、40m付近を挟んでの膠着状態が続く、と言うか、あまりにそこから動かないため、船長から「何かに引っ掛かってるのかな?。」との声が上がるほどだった。

 それらの繰り返しが10回近くあった後だろうか?。こちらの体力と50肩で痛めている左腕が限界に達しそうな頃だったが、この辺りでようやく相手の泳力が尽きて、「ただ重いだけ」の感覚のみがタックルを通して伝わるようになった。

 ここまでのやり取りに、あまりに時間が掛かりすぎたため、今度はハリ穴が広がることによるハリハズレが心配になったので、「ここからは、やや大胆に距離を詰めてやろう。」と、どんどん距離を詰めてゆく。
 そして発泡ウキが見える頃、その姿がチラリと見えたが、既にバランスを崩して横向きに泳ぐようになっていた。その様子から「もう大丈夫。」と判断し、一気に浮かせることを決意した。

 発泡ウキが穂先の直前に来るまでに、アタリが出てから時間にして20分は経過していただろうか?。私が、もしもの疾走に備えてリールのクラッチをオフにしてスプールを親指で押さえ、竿を前に突き出した状態で身構える中、船長が手でハリスを手繰る。そして、次の瞬間には同船者が構える玉網にデカマサは吸い込まれていった。

 デッキに横たわるのは、圧巻でありながらも優美な、ボク自身2本目の110cmオーバーである114cmのデカマサだった。彼女(メスだったため)は、自己記録である、’14年の118cmに次ぐサイズでありながら、今までの釣り人生で獲った魚の中では、一番へこたれない=タフな引き味の持ち主だった。

●114cmのデカマサ!●



■後半戦■

 デカマサの後は「更なるサイズ・アップを」と、気合を入れ続けたが、意に反してそれに応えてくれる魚は、アタリが無いままに付いていた、65cmほどの小マサ以外に無かった。
 何も答えが得られないまま、時間の経過していったが、それと共に上潮が緩んでいったために、船位のブレが更に大きくなっていった。
 こうなると、サシエサが残って帰ってきても「ポイントからズレたため」なのか、「エサ盗りが消えたから」なのかが判らなくなり、タナ決めの効率が大幅に悪化するので、状況を見かねた船長が移動を決意するに至った。

 次なるポイントは、先ほど攻めていたポイントからさほど遠くない位置だった。しかし、ここでも状況の悪化は止まらず、とうとう船首方向に潮が流れる“アンカー潮”となった。完全フカセ釣りでは、この潮になると高確率でアンカーロープに仕掛けが掛かるので、最悪の状況となる。
 この状況への対処として船長が船の胴部からアンカーロープを出し直したことで、何とか仕掛を流せるようにはなったが、「足元にロープがあるので、大型が掛かっても獲れないだろう。」と、心配しながらの流しを続いた。
 だが、その必要は無かった。デカマサから6時間近く経ってようやく得た、この日最後のアタリも、

●久しぶりに曲がるも…●


 玄達瀬ではレギュラーサイズの、65cm級マダイからのモノだった。

●65cmのマダイ●


 そして最後の流しでは、絡みを防ぐために同船者3人が一斉に投入したのだが、右隣で70cmクラスのマダイが出たものの、ボクに何もナシで、この日の釣りが終わった。


■今シーズンの展望■

 今シーズは出足好調で、すでに130cmが1本と、124cmが1本出ている。当日得た感触と、各船のH.P.を覗き見た結果から言えば、こと大型狙い(玄達瀬に来て数釣りがしたい人は少ないと思うが)では、絶好調だった2014年に次ぐ好調さに思える。
 具体的に言えば、例年であれば、普通に頑張れば手の届くサイズが、95cmほどだとすれば、今年はそのサイズが5~10cmほど大きいように感じられるのだ。ということは、メーターオーバーを目指す釣り人にとっては、大きなチャンスの年なのかもしれない。で、あるから、ここを目指す人は普段より気合を入れ、太ハリスで臨んで欲しい。
 かく言うボクも、残りのシーズンで、最終目標である130cm級のゲットを目指して最大限の努力を重ねるつもりだ。

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玄達釣行の充電中

2017-06-17 12:30:00 | 船釣り・釣行記
 16日に玄達瀬は解禁した。初日には、すでに130cmの巨マサが仕留められているが、ボク自身は、これまでの一週間は充電期間。よって今回は休刊日です。
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完全フカセ ヒラマサ狙いの準備 ’17年版 「玄達瀬の巨マサ対策」編

2017-06-10 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
~前回から続く


■外道に気をとられるな!■

 玄達瀬では、磯魚やマダイ等、大して強く引かない魚たちを相手に、8号程度のハリスの仕掛を使い「これで充分だ。」とばかり釣り続けているうちに、突然、異次元パワーの引きに襲われて、「ハリス単体もしくは道糸ごと根ズレでフッ飛んだりすること」や、「道糸やハリスが単に力負けしてブチ切れたりすること」、「ハリ折れ、ハリ伸びが起こること」等が直接要因でのバラシに見舞われることがよくある。
 「バラシたら、太くしようかな?。」といった、後手に回るタイプの人も居る。だが、はっきり言って、よほどの食い渋りでも起こらない限り、玄達瀬のマダイ他の外道は10号以上のハリスを使っても普通に食ってくるから、そんな「外道類」に仕掛強度を合わせる必要など無いハズだとボクは思う。
 で、あるから、「“一生に一度きりの巨マサ”だったかも知れない相手を逃し、悔やんでも悔やみきれなくなってもイイのか?。」と、自問自答しながら仕掛けの太さを選んで欲しい。


■あまり頼りにならないドラグ・ワーク■

 「ドラグを効かせて…。」と考える人も居るだろう。しかし、ドラグを滑らす=道糸を出しながら引きをいなす余裕が果たしてあるのだろうか?。と言うのも、横方向に走るブリ族と違って、ヒラマサはアタリと同時に急速潜行を開始し、根と根の間や海溝部に走り込む習性があるからだ。そのうえ玄達瀬は、浅場であっても深場であってもヒラマサにとっては入り込み放題の地形なので、中型以下は兎も角、大~超大型を相手にした場合、「運を天(ヒラマサ?)に任せる」部分が多くなり、結果はヒラマサの走る方向次第となる。これが太仕掛であれば、ヒラマサとの勝負どころである、「最初の走り(ファースト・ラン)を強引に止め、頭をこっちに向けさせる」率が上がり、ついては釣り人側が以後も有利になる率が上がることに繋がるのだ。そのためには、大型の電動リールを使い、道糸10号を巻いて臨んで欲しい。そしてハリスは、特に巨マサに対する遭遇チャンス率が高めな前期であれば、万全を期して12号で臨むべきだと思う。実体験として、12号ハリスであっても、前期の巨マサ(らしき魚)の引きに、根ズレではなく、マトモにブチ切られたことがあるが、巨マサの引きとはそんなに強烈なモノなのだ。
 「自分のリールには、そんな太糸は巻き込めない。」という場合であっても、ギリギリのバランスではあるが、道糸は7号、ハリスは10号のセッティングで望むべきだ。ただし、リールの機種によっては、フルドラグを掛けて無理に止めようとした結果、バラバラに壊された例もあるので注意が必要だが…。


■怠れない細部のチェック■
 
 勿論、仕掛けと小物類についてのチェックが必要なのは言うまでもないことだ。しかしながら現実には、スナップサルカンのスナップや、恐らく何度か使いまわした結果だと思うが、中にはサルカン自体が飛んでバラす人も居ると聞く。ボクの場合は、スナップなしのベアリング入りスイベルの2号を使い、発泡ウキの交換時は道糸を切ってその都度結び変えることにしている。ハリスも大きな魚が掛かったりした場合や、3時間を経過した場合は定期的に交換しているので、結び目もフレッシュな状態をキープしているが、チチワ&スナップの組み合わせで連結している場合は、サルカン自体のチェックもさることながら、結びっぱなしによる、強度低下も考慮しておくべきだ。
 また、浮力調整用の発泡ウキが、割れて海水が染み込み易くなっていたり、欠けたり潰れていたりすると、他の釣り人と仕掛の浮力を合わせる際に苦労するし、好調に魚が掛かっていても、バラシで仕掛けが飛んでしまった後に新品を装着した途端に浮力が再現できなくなるから、こんなところにも気配りが必要だ。兎に角、玄達まで出てきて、こういった小物1個、たった数十円をケチって手痛い目に遭うのはバカらしいことと思うべきだ。
 発泡ウキと言えば、道糸の太さや水深の関係上、8番+8番W装着に+5~8番を加えたトリプル装着もあるので、より大胆に使う必要が出てくる。初めてこの海域に出る場合は、普段では考えられないような、遥か沖合まで流しても仕掛けが浮いたままになるので、不安になるが、それも「ここでの常識」と理解しておいて欲しい。



 補足として、潮流が速い際には、水流抵抗に泳力が相殺されるため、最初に頭さえこちらに向けておけば、リールの巻上げについてくることが多く、船下に来てから豹変し、牙をむいてくるパターンが多いが、潮の遅い日には走りたい放題となって、終始苦労させられるパターンが多く、労力は倍増する。そういったヒラマサの習性を頭に入れておき、当日の潮流と照らし合わせた心構えが必要であることも行け加えておく。



 前回~今回で述べた内容は、付き合いのある船長たちの意見とボクの実感と想像からの、「玄達瀬の2ヶ月」の傾向と対策だ。勿論、科学者でもなんでもない、ただキャリアだけが長くなってきただけの、ヒラマサ釣り好きが言うことであり、これだけこだわっていても、相変わらずバラシは続いている。であるから、頭の片隅にでも記憶しておき、釣行時の参考としていただけると幸いだ。
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完全フカセ ヒラマサ狙いの準備 ’17年版 「玄達瀬・2ヶ月間の傾向」編

2017-06-03 12:30:00 | 船釣りタックル&仕掛、戦略他
 1年の内で、たった2ヶ月しかない玄達瀬の解禁期間。今年も16日に解禁されるが、「禁漁期に保護された、ウブな魚がいっぱい居るだろうから、行けば簡単に釣れるだろう。」と考えてしまう人が居てもおかしくない。幸運であったり、小型狙いであれば、そういった側面もあるにはあるが、より大型の、ヒラマサのゲット率を高くしたければ、傾向を掴み、対策を練っておく必要があるように思う。


■前、後期の傾向■

 チビ&小マサは別として、大~超大型は時期ごとの着き場やエサを拾う層に変化が大きく、前期と後期では狙う場所が変わってくる。それを分けるのが、産卵&放精で、これを境にコロッと話が変わる。

 解禁したばかりの前期は産卵&放精前の栄養補給のため、活発にエサを拾う個体が多い。この時期のエサ場(着き場)は浅場と言われるところであることが多く、例年解禁当初からしばらくの間はこの位置でアンカーを降ろす船が多い。浅場の魚はマキエサへの反応も良く、大~超大型ヒラマサであっても上層まで浮上してくるため、あくまでも玄達レベルの中での話だが、比較的掛け易い。
 「釣り易い」とせずに「掛け易い」としたのは、タナが浅いために仕掛けが合わせ易いこととは裏腹に、掛かる層と根回りの障害物との距離が近いため、モタモタしていると、すぐそれらに突っ込まれて、根ズレを起こしてしまうからだ。京都府・経ヶ岬沖の白石グリの例でも判るように、オス・メス共に腹の大きい個体は引きが弱まる傾向にあるが、ここ玄達瀬では、上述の理由と、より適水温に近付くこと、そしてハナからパワーの次元が違う1m30cmクラスの、巨マサの来襲もあるため、他地域での常識は通用しないことを覚悟しておいて欲しい。

 7月中旬以降の後期になると、ヒラマサたちは適当な根回りに入り込んで、産卵&放精し始める個体が多くなるのだが、「大型から産卵&放精を始め、口をあまり使わなくなる」という、魚類の殆どが辿るパターンの通り、ヒラマサもその例外ではない。玄達瀬の大~超大型ヒラマサの釣果がこの時期から減ってくるのは、この影響だと思われる。
 そして、産卵&放精が終わった個体から、潮流の比較的穏やかな深場へと順次落ちてゆく。この状態になると、初めは食ったとしても目の前に落ちてきたエサに反応する程度になり、その後は体力回復を図るために小移動の範囲で採れるエサから拾い始め、体力が戻り始めると完全アフター状態となって積極的にエサを追うようになる。ただし、1m20cm以上の巨マサクラスはクラスは食性、行動エリア共に完全フカセ釣法の圏外へと行ってしまうのか、ほとんど姿を見せなくなる。したがって、大きくても110cmクラスまでになることがほとんどだ。また、群れる数も少なく、オキアミを拾って浮上してくる層もやや深めになるので、船長、釣り人共にテクニックと経験の蓄積が必要になる。特に潮流の速い日には攻略がより困難になる。

 因みに、前期に好調だった浅場では、大型の姿があまり見られなくなり、解禁当初からここに回遊している65cm前後の小マサ・クラス、年回りによっては50cm台のチビマサたちが相変わらず口を使い続けていることが多い。時折ここで“1船で30以上!”といった数釣りが起こるが、これは新たな群れが入った時で、その可能性は解禁から禁漁日までの間で終始続く。

 産卵&放精といっても、全魚が一斉にそれを行うワケではないので、前期であっても、早めに終えて深場に落ちた大~超大型を先回りして狙う船長も居るし、後期であっても遅れて入るなど、多少は残っているかも知れない大~超大型を念頭において浅場で攻め続ける船長も居る。また、潮がブッ飛ぶと仕掛けが入り辛くなるので、仕方なしに浅場で釣らなくてはならない場合もある。したがって、全てを決め付けることはできないので、あくまでも、「そういった傾向がある」として捉えて欲しい。


■浅場&深場の傾向■

 自分の乗った船の船長判断で、どの位置に着けるかは日々違ってくるが、浅場に入った場合は、「玄達瀬の最浅部は7m」であることを頭に入れておいて欲しい。もちろん、最浅部そのもので釣ることは多分、無いと思うが、魚が掛かる位置の水深が想像以上に浅いというケースは多々ある。そんなポイントでは釣れてくる外道が、グレやイシダイといった磯釣りの対象魚が中心になることが多い。外道がこのパターンになれば、自分が浅場に入っていることを充分に意識しなくてはならない。(もっとも、船長にポイントの水深を聞けばいいのだが…。)
 浅場では、上記の外道以外に、水深に関係なく食ってくるマダイやチビ&小マサが掛かってくることも多いため、つい、気を抜いてしまうことがある。しかし、大~超大型ヒラマサは外道が消えた瞬間に、いきなりやってくるので、油断は禁物だ。

 逆の深場のポイントに入った場合は、外道はマダイが中心になることが多く、夏場だというのに時折メダイが混じる箇所もある。こういったポイントに精通する船長は「マダイの群れの外で様子を伺っていた大マサが、スイッチが入った途端にマキエサの中にツッ込んでくる。」と、よく言うが、その通り、イメージ的にはマダイが順調に釣れている内に、そのアタリが遠退き、「アレッ?、何か変だぞ」と思った瞬間に「ドカンッ!」と来るパターンが多いように思う。

~以下、次週の「巨マサ対策編」に続く
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