企画していた釣行は、木枯らし一号が吹いたために中止になりました。そのため、ネタがなく今回は休刊です。
結局先週は荒天のために、出船は中止になった。
まぁ、こうなることは前週から予想はしていたが、何もしなかったので、ネタは殆ど無い。やや無理矢理気味だが、今回は天気予報についての話でもしておこう。
以前にこのブログでも紹介したが、釣行計画を立てたり、当日の波の出具合を予想するのには、国際気象海洋株式会社(IMOC)のサイト
http://www.imocwx.com/index.htm
で、「波浪予想図」、台風が近付く場合は、同サイトの「台風経路図」を確認することを、最も多用しているが、それらは共に3日後までの予想が基本となっている。
そのため、「今週がダメなら来週はどうか?」と思い、翌週末の状況を知ろうにも、週半ばを過ぎるまで、普通の週間予報を見る以外に我々素人は手がかりを失うことになる。
特に台風情報は、「気象庁の台風情報以外の予報を発表することは禁じられている。」ということであるらしく、精度の高い3日程度の情報に限ることは仕方のないことかも知れないが、それでも「何か方法は?」と探し当てたのが、バイオウェザーサービス
http://www.bioweather.net/
の「気圧配置図」だった。この図は1週間先までを確認することができるので、ある程度役に立っていたが、普通の低気圧も台風も同じ低気圧で表示されるため、勢力の衰え具合が判り難く、また、図が荒いため、イマイチ見辛い感があった。
今期の玄達瀬釣行では、ご存知のように毎回のように天候に振り回されているので、「他に何か解り易いサイトはないものか?」とあれこれ検索する機会が多かった。そうするうちに出会ったのが、「気象予報士Kasayanのお天気放談」
http://blog.livedoor.jp/kasayan77/
というサイトだった。
このサイトでは台風が近づいた際に、気象庁発表(GSM)を始め、アメリカ気象機関(NOAA)、ヨーロッパ中期予報センター、米軍(JTWC)他が発表するスーパーコンピューターでの解析図を使って、かなり先までの台風進路を解説しているし、それに伴う天気状況も詳しく解説している。
皆さんにも、釣行計画の参考に是非取り入れてほしい「気象予報士Kasayanのお天気放談」だが、これにより、台風11号が進む方向については、ボクには1週間前からおおよその予想はできていた。そしてそれは現実となり、明日の釣行は中止となった。
118cmは獲ったものの、夢の130cmクラスには出会えないまま、ボクの玄達釣行チャンスは尽きてしまった。7回予約を入れて、1.5回の釣行。これが今期の玄達釣行の実際だった。
「行けぬほど 思いが募る 玄達瀬」
不出来な川柳で、今期を締めくくっておこう。
ただし、禁漁自体は8月16日からなので、盆休みに釣行できる人に関しては、まだチャンスは残っているヨ!
まぁ、こうなることは前週から予想はしていたが、何もしなかったので、ネタは殆ど無い。やや無理矢理気味だが、今回は天気予報についての話でもしておこう。
以前にこのブログでも紹介したが、釣行計画を立てたり、当日の波の出具合を予想するのには、国際気象海洋株式会社(IMOC)のサイト
http://www.imocwx.com/index.htm
で、「波浪予想図」、台風が近付く場合は、同サイトの「台風経路図」を確認することを、最も多用しているが、それらは共に3日後までの予想が基本となっている。
そのため、「今週がダメなら来週はどうか?」と思い、翌週末の状況を知ろうにも、週半ばを過ぎるまで、普通の週間予報を見る以外に我々素人は手がかりを失うことになる。
特に台風情報は、「気象庁の台風情報以外の予報を発表することは禁じられている。」ということであるらしく、精度の高い3日程度の情報に限ることは仕方のないことかも知れないが、それでも「何か方法は?」と探し当てたのが、バイオウェザーサービス
http://www.bioweather.net/
の「気圧配置図」だった。この図は1週間先までを確認することができるので、ある程度役に立っていたが、普通の低気圧も台風も同じ低気圧で表示されるため、勢力の衰え具合が判り難く、また、図が荒いため、イマイチ見辛い感があった。
今期の玄達瀬釣行では、ご存知のように毎回のように天候に振り回されているので、「他に何か解り易いサイトはないものか?」とあれこれ検索する機会が多かった。そうするうちに出会ったのが、「気象予報士Kasayanのお天気放談」
http://blog.livedoor.jp/kasayan77/
というサイトだった。
このサイトでは台風が近づいた際に、気象庁発表(GSM)を始め、アメリカ気象機関(NOAA)、ヨーロッパ中期予報センター、米軍(JTWC)他が発表するスーパーコンピューターでの解析図を使って、かなり先までの台風進路を解説しているし、それに伴う天気状況も詳しく解説している。
皆さんにも、釣行計画の参考に是非取り入れてほしい「気象予報士Kasayanのお天気放談」だが、これにより、台風11号が進む方向については、ボクには1週間前からおおよその予想はできていた。そしてそれは現実となり、明日の釣行は中止となった。
118cmは獲ったものの、夢の130cmクラスには出会えないまま、ボクの玄達釣行チャンスは尽きてしまった。7回予約を入れて、1.5回の釣行。これが今期の玄達釣行の実際だった。
「行けぬほど 思いが募る 玄達瀬」
不出来な川柳で、今期を締めくくっておこう。
ただし、禁漁自体は8月16日からなので、盆休みに釣行できる人に関しては、まだチャンスは残っているヨ!
先週はネタになる行動は特にしておらず、残念ながら今週は休刊日。
明日は16日に解禁となった大型ヒラマサの聖地である、福井県沖玄達瀬への今年初の釣行日となる。果たして数年越しの悲願である、メーターオーバーゲットとなるか?。
明日は16日に解禁となった大型ヒラマサの聖地である、福井県沖玄達瀬への今年初の釣行日となる。果たして数年越しの悲願である、メーターオーバーゲットとなるか?。
このブログを書き始めて以来、最大のスランプに陥っている。
釣りに行ける凪の日がほとんど無い中にあって、先週の日曜にようやく乗船はできたものの、途中から立っているのも辛くなるほどの風が吹き始め、大半が風裏中心のポイントのみで竿を出す展開になってしまった。
今冬以来、ただでさえ留守がほとんのどの若狭湾内の魚礁群だが、限られたエリア内で狙いの魚が居着く箇所を探し出すのは至難の業だ。結局は、船長や一緒に乗船した乗合船のメンバーの努力の甲斐もなく、5人で外道が数匹という恐ろしい程の貧果に終わってしまった。
”ボーズ”という言葉は「気(け)も無い」というところから来ているそうだが、まさしくその通りで、魚探にわずかに写る反応を便りに仕掛けを入れても、ハリに刺したエサすら盗られないような、「生物の気配」を感じないポイントばかりで、ボクの釣果も水ガレイ1匹という、ボーズ同然の釣果だった。
今冬は日本海各地でダイオウイカや各種深海魚の発見や水揚げがニュースになっているが、その原因として日本海方面の水温低下を上げているニュース番組があった。中でも驚かされたのは鳥取県沖の海水温が、過去25年間で最低を記録したという話で、そういった傾向が二軒?隣の若狭湾周辺にもあるようである。例年であれば、冬場であっても深場に行けば掛かって来る中小型のマダイが、今年はほとんど釣れていないのも、その影響を受けた結果なのかも知れない。
しかし、前週の釣行が”底”と考えると、これから先は上向くしかないワケで、そう考えることにしよう…。
釣りに行ける凪の日がほとんど無い中にあって、先週の日曜にようやく乗船はできたものの、途中から立っているのも辛くなるほどの風が吹き始め、大半が風裏中心のポイントのみで竿を出す展開になってしまった。
今冬以来、ただでさえ留守がほとんのどの若狭湾内の魚礁群だが、限られたエリア内で狙いの魚が居着く箇所を探し出すのは至難の業だ。結局は、船長や一緒に乗船した乗合船のメンバーの努力の甲斐もなく、5人で外道が数匹という恐ろしい程の貧果に終わってしまった。
”ボーズ”という言葉は「気(け)も無い」というところから来ているそうだが、まさしくその通りで、魚探にわずかに写る反応を便りに仕掛けを入れても、ハリに刺したエサすら盗られないような、「生物の気配」を感じないポイントばかりで、ボクの釣果も水ガレイ1匹という、ボーズ同然の釣果だった。
今冬は日本海各地でダイオウイカや各種深海魚の発見や水揚げがニュースになっているが、その原因として日本海方面の水温低下を上げているニュース番組があった。中でも驚かされたのは鳥取県沖の海水温が、過去25年間で最低を記録したという話で、そういった傾向が二軒?隣の若狭湾周辺にもあるようである。例年であれば、冬場であっても深場に行けば掛かって来る中小型のマダイが、今年はほとんど釣れていないのも、その影響を受けた結果なのかも知れない。
しかし、前週の釣行が”底”と考えると、これから先は上向くしかないワケで、そう考えることにしよう…。
●マダイ竿を久しぶりに出したが…●
案の定、北西風が吹き、日本海の若狭湾方面は全面出船中止の状態であった。
このまま続くとストレスはたまる一方なので、行き先を太平洋側へ変更することを検討中。しかし、そうこうしているうちに渓流シーズンが始まるので、そっちへ向かうことが得策とも考えられるワケであり…。それにしても悶々とした週末が続いている。
このまま続くとストレスはたまる一方なので、行き先を太平洋側へ変更することを検討中。しかし、そうこうしているうちに渓流シーズンが始まるので、そっちへ向かうことが得策とも考えられるワケであり…。それにしても悶々とした週末が続いている。
またもや、台風の接近で釣りどころではない週末を過ごしていた。相変わらず実釣レポートはできないままだ…。
■気分転換からスタート■
今から20年ほど昔、ボクのグレ釣りは既に初級段階を抜け出して中級の領域に入ってはいたものの、技術的に伸び悩み、頭打ち状態でメンタル面でも萎え気味だった。もっとも、今考えてみると、通う場所が悪かっただけのように思うが、釣っても釣っても同じサイズばかりで自己記録の更新はならず、やや少々食傷気味になっていた。
丁度その頃、ブラック・バス釣りのブームがあった。グレ釣りからの気分転換と物珍しさもあって、この釣りを覚えてやろうと、そのブームの波に乗ってみることにしたのだ。
今では考えられないことだろうが、その頃はまさに「バス・バブル」と呼ばれる状態であり、エバーグリーンや、メガバスの竿やルアーは釣具店に入荷次第売り切れのことが多く、稀少?なタックル入荷の情報が流れると、釣具店には開店前から人が並ぶほどの盛況振りだった。しかもそれらは、その後何年もデフレが続く日本の経済状況下では想像もできないほどの、強気の定価販売だった。
勿論、その頃のボクも、釣具店で気になるルアーを見つければ、次回にいつ入荷になるかも知れないので、まとめ買いをしていたし、釣具店に予約を入れてまで手に入れることもあった。そして、気付けば手元にルアーの山ができており、それらは捨てられないまま、今も大小3個のタックルボックスの中に眠っている。
そして、当時はブランクスと呼ばれる何も装着されていない竿を手に入れ、それにガイドやリールシートを装着して半オリジナル・ロッドを自作したり、型枠に鉛を流し込んでラバー・ジグも自作するほどまでに凝っていた。
更にはそれらが高じて、ついには妻との新婚旅行でアメリカのミズーリ州にある全米最大の釣具店であるところのBass Pro Shopsに立ち寄るまでの入れ込みようになっていた。
今でこそ、フロリダ・バスの遺伝子を継ぐ個体が成長したお陰で60cmオーバーが時折仕留められているそうだが、当時はそんなサイズはごく希であり、一般的な釣り師の間では50cm台後半が最大目標とされていた。そんな中でボクが仕留めた最大サイズは56cmで、釣った場所は、当時は大型狙いの有名ポイントであった、近江八幡の、伊崎不動手前のワンドだった。それ以下の50cmオーバーであれば琵琶湖の名鉄沖、小野の浮き魚礁周辺、池原ダムなどで、かなりの数を釣っている。
■ブラック・バスの釣り味■
だが、5年程真剣に取り組んだ後はフェードアウトするかのように興味が薄れ、いつしか全くバスロッドを手にすることがなくなってしまった。
飽きたのには理由があった。ボクにとって好敵手の条件は、例えば大型のグレやヒラマサのように普通では「どうにもならないヤツ」が、自分が研究や経験を積んで能力を最大に発揮することで、「どうにかなるかも知れない」と思わせてくれることが大切なのだ。つまりは、ブラックバスの場合、ボクにはその部分が希薄に感じてしまうようになったからだ。
ご存じのように、バスロッドは2.1m(7フィート)以下が大半で、そのうえ、ルアーを投げたり動かしたりするための調子が殆どで、魚を獲る為の調子ではない。そんな竿を使っていても、細い場合はスピニングタックルであれば、1~1.2号(4~5ポンド)でも「ボートから狙う」という有利さも手伝って、大型が充分に獲れてしまうのだ。勿論、ヘビーカバーと呼ばれる障害物周りを狙う場合はそれなりの太さは必要だが、それは「そこに居る」のを引っこ抜くためであって、そこに逃げ込んで糸を切られるからではない。(もちろん100%のパターンではないけれど…。)
そして、この魚にはシーズナル・パターンというのが存在するが、これも飽きる原因になった。
魚は「何のために生きるのか?」と問われれば、「種を永続させるため」と答えるのが適当だと思うが、メスは産卵し、オスはそこに放精するために生きている。エサを取ることを始め、何もかもが子孫繁栄のために行われている。
この産卵&放精行動を出発点と捉え、自身や先人のデータを研究することで、そこから先の動きがある程度読めるようになり、季節ごとに付き場が判ってくるようになる。これはどんな魚でも同様であるのだが、海の魚の場合は最も沖を流れる黒潮や対馬暖流といった地球単位での潮流の他、豊後水道や紀伊水道といった水道の流れ、湾内を流れる湾流、そして満ち引きによる潮流の変化が複雑に作用し合う結果、人間にはとうてい計算し切れない状況になってしまうのだ。しかしこれが、ブラック・バスが主に生息する緩やかな流れはあるが、止水域と呼ばれるところでは作用する要素が減って計算がかなりし易くなる。
つまり、季節ごとの付き場が判ってしまい、それが読めるようになると、極論を言えば、毎年同じ時期に同じ場所で、同じパターンで釣れてしまうことが多いのだ。また、ブルーギルのようなエサ取り的存在も居るには居るが、困る程には存在せず、つつかれることがあっても、使うハリが大きいことが多いため、結果的に掛かるのはバスになることが殆どだ。そのあたりのイージーさを如実に感じ取ってしまうと、勝手な解釈だが、「やり尽くし感」を感じてしまい、ボクが飽きるのは早かった。
ただし、ここまではボクのような一般釣り師レベルでの話であることをことわっておく。もしこれがプロを始めとするトーナメントの釣りになると、話は変わる。誰もが考えつくパターンでポイントを選定すると、皆が一斉に同じポイントへと集中することになるからだ。そのため、”他人の読み”をハズした行動も採らなければならず、そうなると、選択しなければならない範囲も広がってくる。だからこそ、この魚のトーナメントが盛んに行われているのだろうが、他人と競い合って狙うことでこの魚の価値は上がるのだと思う。
残念ながら?、ボクのブラックバス釣りは、トーナメントに参加することなく、一般釣り人のままで終わってしまった。よって、この魚の釣り味を正確に評価することは難しいが、一応10段階の6としておこう。
■ブームの盛衰■
ブラック・バス釣りが一時ブームにもなった背景をボクはこう考えている。
「主人公である釣り人が竿というお供を連れてボートに乗って旅に出る。」そして「その季節や天候などに合わせたポイントに向かい、アイテムであるルアーやワームを駆使してブラック・バスをゲットする。」
つまりはこの一連の流れに、ロールプレイングゲーム的要素があったから、ゲーム世代にウケたのだと思う。
だが、ブームは数年で去ってしまった。これは、極端なことを言うと、一種類のルアーに対してそれを投入し、動かすための専用竿が必要になり、効率を求めれば岸から釣るよりもボートから狙う方が有利になるから、それを所有する、もしくはレンタルするコストと操船免許を取得する経費、そして釣り場に向かうための車とそれに入れる燃料費を含めると、かなり経費を負担せねばならず、それがデフレ続きだった時流には受け入れられないことが大きかったのだと思う。
また、ブーム後半になると資源量が減って「チョっとバス釣りでも始めようか?」という初心者には、なかなか釣れにくくなってしまったことの影響も大きかった。更には害魚としての扱いを受け、琵琶湖のように「釣った外来魚はリリースが禁止とされ、釣り人に(結果的にだが)殺処分を求める」とした条例が成立した地域もあって、その施行に際しての混乱が大きかったこともブームの火消しに作用したのだと思う。
元々そこに居なかった魚が繁殖したことは、放流した側に責任があるので、条例の成立自体は仕方のないことだと思うが、「この条例の効果が果たしてあったのかどうか?」については、毎日新聞の2013年5/30版「http://mainichi.jp/area/shiga/news/20130530ddlk25010464000c.html」を参照して欲しい。もっとも、この紙面を見る限り、条例成立前の反対側にまわっていた釣り人側が立てていた予想が、ある程度当たっていたかのように思えるのは皮肉な結果だが…。
■ブラック・バスの食い味■
もしも、一般的にブラック・バスを食する習慣があったのならば、漁業資源としての活用もできて、この魚の運命も変わっていたのだと思うが、釣った経験のある側から言わせてもらうと、釣り上げてすぐに感じるほどに強い、淡水魚独特の「青臭く、かつ泥臭い」ような臭いは食欲をそそるものではなく、食う気は全く起こらなかった。ブラック・バスの身を使い、フィレ・オ・フィッシュのように仕上げたバス・バーガーも一時は各所で紹介されていたが、半ば無理矢理の感もあるし、臭みを消す下処理が大変で、普及には至らなかったようだ。そのため、食い味が評価外になるのは当然だ。
■ブラック・バスの総合評価■
引き味そのものは魚全般の中で比較すると、強烈という程ではなく、動きも鈍重に思えるが、反面、水面からジャンプしたりと派手な動きもあって、ある程度楽しめるし、淡水魚の中では引きが強い部類に入ることは確かだ。また、トップウォーター・プラグという表層を狙うルアーを使って、水面に飛び出す個体を狙ったり、ラバージグを使って中層の食い上げアタリをとったり、アシの中にスピナーベイトをブチ込んだり、深場で深層を潜るクランクベイトを引いたりと、季節や魚の状態に合わせていろんな釣法で釣り上げた思い出を辿ってみると、今でも魅力を感じる部分もあるが、如何せん普通に食えないことには総合評価の付けようがないから、記さずにおく。
所有していたアルミボートを売却して以降は、この釣りに合わせて取得した船舶操縦免許も更新のみで、全くのペーパー操縦士状態になっているうえ、上述しているようにルアー類もタックボックス内に眠っている状態だ。「再チャレンジを」と、時たま考えることもあるが、「完全フカセ釣り」、「たて釣り」、「渓流釣り」と、季節ごとに各種の釣りがスケジュールを埋めてしまうので、時間が全くとれないままに今日に至っているのが現状だ。
嗚呼、山のようにある各種のルアーは、このままタックルボックスの肥やしになってしまうのだろうか…。
■気分転換からスタート■
今から20年ほど昔、ボクのグレ釣りは既に初級段階を抜け出して中級の領域に入ってはいたものの、技術的に伸び悩み、頭打ち状態でメンタル面でも萎え気味だった。もっとも、今考えてみると、通う場所が悪かっただけのように思うが、釣っても釣っても同じサイズばかりで自己記録の更新はならず、やや少々食傷気味になっていた。
丁度その頃、ブラック・バス釣りのブームがあった。グレ釣りからの気分転換と物珍しさもあって、この釣りを覚えてやろうと、そのブームの波に乗ってみることにしたのだ。
今では考えられないことだろうが、その頃はまさに「バス・バブル」と呼ばれる状態であり、エバーグリーンや、メガバスの竿やルアーは釣具店に入荷次第売り切れのことが多く、稀少?なタックル入荷の情報が流れると、釣具店には開店前から人が並ぶほどの盛況振りだった。しかもそれらは、その後何年もデフレが続く日本の経済状況下では想像もできないほどの、強気の定価販売だった。
勿論、その頃のボクも、釣具店で気になるルアーを見つければ、次回にいつ入荷になるかも知れないので、まとめ買いをしていたし、釣具店に予約を入れてまで手に入れることもあった。そして、気付けば手元にルアーの山ができており、それらは捨てられないまま、今も大小3個のタックルボックスの中に眠っている。
●タックルボックスの一つ●
そして、当時はブランクスと呼ばれる何も装着されていない竿を手に入れ、それにガイドやリールシートを装着して半オリジナル・ロッドを自作したり、型枠に鉛を流し込んでラバー・ジグも自作するほどまでに凝っていた。
更にはそれらが高じて、ついには妻との新婚旅行でアメリカのミズーリ州にある全米最大の釣具店であるところのBass Pro Shopsに立ち寄るまでの入れ込みようになっていた。
今でこそ、フロリダ・バスの遺伝子を継ぐ個体が成長したお陰で60cmオーバーが時折仕留められているそうだが、当時はそんなサイズはごく希であり、一般的な釣り師の間では50cm台後半が最大目標とされていた。そんな中でボクが仕留めた最大サイズは56cmで、釣った場所は、当時は大型狙いの有名ポイントであった、近江八幡の、伊崎不動手前のワンドだった。それ以下の50cmオーバーであれば琵琶湖の名鉄沖、小野の浮き魚礁周辺、池原ダムなどで、かなりの数を釣っている。
■ブラック・バスの釣り味■
だが、5年程真剣に取り組んだ後はフェードアウトするかのように興味が薄れ、いつしか全くバスロッドを手にすることがなくなってしまった。
飽きたのには理由があった。ボクにとって好敵手の条件は、例えば大型のグレやヒラマサのように普通では「どうにもならないヤツ」が、自分が研究や経験を積んで能力を最大に発揮することで、「どうにかなるかも知れない」と思わせてくれることが大切なのだ。つまりは、ブラックバスの場合、ボクにはその部分が希薄に感じてしまうようになったからだ。
ご存じのように、バスロッドは2.1m(7フィート)以下が大半で、そのうえ、ルアーを投げたり動かしたりするための調子が殆どで、魚を獲る為の調子ではない。そんな竿を使っていても、細い場合はスピニングタックルであれば、1~1.2号(4~5ポンド)でも「ボートから狙う」という有利さも手伝って、大型が充分に獲れてしまうのだ。勿論、ヘビーカバーと呼ばれる障害物周りを狙う場合はそれなりの太さは必要だが、それは「そこに居る」のを引っこ抜くためであって、そこに逃げ込んで糸を切られるからではない。(もちろん100%のパターンではないけれど…。)
そして、この魚にはシーズナル・パターンというのが存在するが、これも飽きる原因になった。
魚は「何のために生きるのか?」と問われれば、「種を永続させるため」と答えるのが適当だと思うが、メスは産卵し、オスはそこに放精するために生きている。エサを取ることを始め、何もかもが子孫繁栄のために行われている。
この産卵&放精行動を出発点と捉え、自身や先人のデータを研究することで、そこから先の動きがある程度読めるようになり、季節ごとに付き場が判ってくるようになる。これはどんな魚でも同様であるのだが、海の魚の場合は最も沖を流れる黒潮や対馬暖流といった地球単位での潮流の他、豊後水道や紀伊水道といった水道の流れ、湾内を流れる湾流、そして満ち引きによる潮流の変化が複雑に作用し合う結果、人間にはとうてい計算し切れない状況になってしまうのだ。しかしこれが、ブラック・バスが主に生息する緩やかな流れはあるが、止水域と呼ばれるところでは作用する要素が減って計算がかなりし易くなる。
つまり、季節ごとの付き場が判ってしまい、それが読めるようになると、極論を言えば、毎年同じ時期に同じ場所で、同じパターンで釣れてしまうことが多いのだ。また、ブルーギルのようなエサ取り的存在も居るには居るが、困る程には存在せず、つつかれることがあっても、使うハリが大きいことが多いため、結果的に掛かるのはバスになることが殆どだ。そのあたりのイージーさを如実に感じ取ってしまうと、勝手な解釈だが、「やり尽くし感」を感じてしまい、ボクが飽きるのは早かった。
ただし、ここまではボクのような一般釣り師レベルでの話であることをことわっておく。もしこれがプロを始めとするトーナメントの釣りになると、話は変わる。誰もが考えつくパターンでポイントを選定すると、皆が一斉に同じポイントへと集中することになるからだ。そのため、”他人の読み”をハズした行動も採らなければならず、そうなると、選択しなければならない範囲も広がってくる。だからこそ、この魚のトーナメントが盛んに行われているのだろうが、他人と競い合って狙うことでこの魚の価値は上がるのだと思う。
●一財産あるのだが…●
残念ながら?、ボクのブラックバス釣りは、トーナメントに参加することなく、一般釣り人のままで終わってしまった。よって、この魚の釣り味を正確に評価することは難しいが、一応10段階の6としておこう。
■ブームの盛衰■
ブラック・バス釣りが一時ブームにもなった背景をボクはこう考えている。
「主人公である釣り人が竿というお供を連れてボートに乗って旅に出る。」そして「その季節や天候などに合わせたポイントに向かい、アイテムであるルアーやワームを駆使してブラック・バスをゲットする。」
つまりはこの一連の流れに、ロールプレイングゲーム的要素があったから、ゲーム世代にウケたのだと思う。
だが、ブームは数年で去ってしまった。これは、極端なことを言うと、一種類のルアーに対してそれを投入し、動かすための専用竿が必要になり、効率を求めれば岸から釣るよりもボートから狙う方が有利になるから、それを所有する、もしくはレンタルするコストと操船免許を取得する経費、そして釣り場に向かうための車とそれに入れる燃料費を含めると、かなり経費を負担せねばならず、それがデフレ続きだった時流には受け入れられないことが大きかったのだと思う。
また、ブーム後半になると資源量が減って「チョっとバス釣りでも始めようか?」という初心者には、なかなか釣れにくくなってしまったことの影響も大きかった。更には害魚としての扱いを受け、琵琶湖のように「釣った外来魚はリリースが禁止とされ、釣り人に(結果的にだが)殺処分を求める」とした条例が成立した地域もあって、その施行に際しての混乱が大きかったこともブームの火消しに作用したのだと思う。
元々そこに居なかった魚が繁殖したことは、放流した側に責任があるので、条例の成立自体は仕方のないことだと思うが、「この条例の効果が果たしてあったのかどうか?」については、毎日新聞の2013年5/30版「http://mainichi.jp/area/shiga/news/20130530ddlk25010464000c.html」を参照して欲しい。もっとも、この紙面を見る限り、条例成立前の反対側にまわっていた釣り人側が立てていた予想が、ある程度当たっていたかのように思えるのは皮肉な結果だが…。
■ブラック・バスの食い味■
もしも、一般的にブラック・バスを食する習慣があったのならば、漁業資源としての活用もできて、この魚の運命も変わっていたのだと思うが、釣った経験のある側から言わせてもらうと、釣り上げてすぐに感じるほどに強い、淡水魚独特の「青臭く、かつ泥臭い」ような臭いは食欲をそそるものではなく、食う気は全く起こらなかった。ブラック・バスの身を使い、フィレ・オ・フィッシュのように仕上げたバス・バーガーも一時は各所で紹介されていたが、半ば無理矢理の感もあるし、臭みを消す下処理が大変で、普及には至らなかったようだ。そのため、食い味が評価外になるのは当然だ。
■ブラック・バスの総合評価■
引き味そのものは魚全般の中で比較すると、強烈という程ではなく、動きも鈍重に思えるが、反面、水面からジャンプしたりと派手な動きもあって、ある程度楽しめるし、淡水魚の中では引きが強い部類に入ることは確かだ。また、トップウォーター・プラグという表層を狙うルアーを使って、水面に飛び出す個体を狙ったり、ラバージグを使って中層の食い上げアタリをとったり、アシの中にスピナーベイトをブチ込んだり、深場で深層を潜るクランクベイトを引いたりと、季節や魚の状態に合わせていろんな釣法で釣り上げた思い出を辿ってみると、今でも魅力を感じる部分もあるが、如何せん普通に食えないことには総合評価の付けようがないから、記さずにおく。
所有していたアルミボートを売却して以降は、この釣りに合わせて取得した船舶操縦免許も更新のみで、全くのペーパー操縦士状態になっているうえ、上述しているようにルアー類もタックボックス内に眠っている状態だ。「再チャレンジを」と、時たま考えることもあるが、「完全フカセ釣り」、「たて釣り」、「渓流釣り」と、季節ごとに各種の釣りがスケジュールを埋めてしまうので、時間が全くとれないままに今日に至っているのが現状だ。
嗚呼、山のようにある各種のルアーは、このままタックルボックスの肥やしになってしまうのだろうか…。
■中止続き■
8月後半から停滞気味な秋雨前線のお陰で、登山&ハイキングが数回と、釣りが1回中止になっている。そのためレポートが全くできず、なんとか記事をひねり出しているのだが…。
特に9月8日は昨年から取り組み始めた「たて釣り」の開幕(ボク的に)だっただけに落胆も大きかった。当日朝は前線の通過と共に強風と落雷を伴う降雨が予想されていただけに中止は仕方がなかったのだが、「落雷」という言葉に以前経験した、とあることを思い出していた。
■避雷針■
今年の7月のことだが、東京都の荒川河川敷で雨宿りをする釣り人に落雷があって死亡事故が起こった。もっともこれは逃げ込んだ木に一旦落ちた雷の電撃が近くの人間まで飛んできたことが事故の原因だったが、このようなパターン以外にも釣り人が電撃による事故に遭う可能性はあって、注意を怠ってはならないのだ。
知っている人も多いとは思うが、我々釣り人が持つカーボン素材で作られる竿はかなりの高効率で電気を通す素材だ。そのため、説明書での注意喚起と共に、竿の本体にも「感電注意」のシールが貼られている。
「感電」で起こる事故は主にアユ釣りで起こっており、過去に犠牲者も出ていることが知られている。これはアユ釣りで使用する竿の全長が9~10mという長さのために、竿を伸ばしたままで移動している途中で河川を渡る高圧電線に触れてしまうことが主な原因だ。オマケに足下が水中であったり、濡れていることが多いため、体内を抜けた電撃が水中にアースされてしまうことで、非情に効率良く伝導されて、被害が大きくなるのだそうだ。
また、事程左様に電気を通し易い素材で作られ、かつ長尺な竿を、何も遮るモノがない船上や磯の上を始めとする、釣りのフィールドで握っていることは、長大な避雷針を握って広場の真ん中に立っていることと同じ意味になるから、雷雲の接近には神経を特に使わなくてはならないのだ。
■実体験■
釣りを始めとする外遊びを長く続けていると、当然雷雨に遭遇することが何度もあって、これまではそれなりにやり過ごしてきた。しかし、今から12年程前の、長崎県五島列島の中五島地区で冬まっただ中に体験したことは、今考えても震え上がる程のことだった。
五島列島では、シケ以外であれば24時間体制で磯上がりができる地区が多く、夜釣りは勿論のこと、例えば日没前後の数時間に訪れるゴールデンタイムをしばらく釣ってから磯上がりし、宿でゆっくり休むことも渡船店との打ち合わせ次第で可能になる。
この日も、日没を2時間ほど過ぎた午後8時に迎えの船が来るので、辺りが暗くなる頃に磯際を回遊するという尾長グレを狙って、夕マヅメ以降も兄と二人で竿を振っていた。
ウキが見え辛くなったので、「電気ウキに交換しようか?」と思っていた頃、遠くの上五島方面で稲光が見えたような気がした。しかし、それに伴う雷鳴等はまだ聞こえず「もし雷雲が来ていても、まだ遠いから大丈夫」と判断し、そのまま釣り続けていた。
やがて天候が変わり、それまで曇りがちだった空から雨が降りだし、それに雹(ひょう)が混じるようになった。異変が起こったのはそのすぐ後だった。
竿を持つ左手に、心なしかピリピリとした感触が伝わり始めたのだ。最初は気のせいだと思っていたが、やがてピリピリさは明確になり始めた。それと同時に段々と恐怖感が沸き出し、「もしや?」と思って隣の釣り座にいる兄に確認すると、現象は同じだと言うのだ。
このピリピリ感が空中を浮遊する電気を拾っている結果だと確信した時には、自然と伸ばしていた竿をたたみ始めていた。兄も同様にたたんだ竿をその場に置き、二人で釣り座から離れた場所をライトで照らして待避場所を探し始めた。そして、適当な窪みを確認した後は一目散にそこに逃げ込んだ。
それから先は周囲が稲光と雷鳴に包まれる中、大粒の雹に打たれながら二人でじっと我慢していた。雹が雪に変わる頃になってようやく天候が落ち着き始めたが、それまでの間は生きた心地はしなかった。
その後は釣りどころではなく、雷雲が去ることを充分に確認をしたうえで、急いで道具を片付け、再び窪みの中で渡船が来るのを待ち続けたことは言うまでもない。
■諦めが肝心■
幸いにも、ぼくら兄弟の近くには落雷はなかったのだが、釣り界では有名な話があって、今は無き週刊釣りサンデーの会長さんであった、故小西和人氏の体験が有名だ。
その昔、クエ等の底物狙いでサイパン島の磯で小西さん達一行が夜釣りをしていた際に、ボクらと同じように雷雲に遭遇した。そしてそれを避けてやり過ごそうとしていたところ、避難場所の反対に出していた竿に落雷があったことを、当時の記事と写真で紹介していた。その写真をこの目で見たが、落雷があった竿は原形をとどめず、見事にバラバラになり、繊維だけの黒い塊になっていた。しかし、奇跡的に被害者が出ていなかったことは幸いだったようだ。
これらの話で判るように、釣りと電撃は近いモノなので、落雷の可能性が高い際にはさっさと釣行を中止にするべきだし、もし現場で雷雲が近付く気配を感じたら、早めにたたんで、竿から離れることが大切だ。また、アユ釣りばかりではなく、他の釣りでも特に移動時は足下に目が行きがちで、上部にある高圧電線に気付かずに触れてしまう可能性があるので、どんな釣りに於いても、十分な注意を心掛けておいて欲しいところだ。
とは言うものの、釣行予定だった当日の天候は大した崩れではなく、「やろうと思えばできていた」のだが…。しかし、こんなことを言っていると、しまいには雷に打たれてしまうワケであり、「諦めが肝心」と言い聞かせつつ、悶々とした日々を送る今日この頃なのである。
8月後半から停滞気味な秋雨前線のお陰で、登山&ハイキングが数回と、釣りが1回中止になっている。そのためレポートが全くできず、なんとか記事をひねり出しているのだが…。
特に9月8日は昨年から取り組み始めた「たて釣り」の開幕(ボク的に)だっただけに落胆も大きかった。当日朝は前線の通過と共に強風と落雷を伴う降雨が予想されていただけに中止は仕方がなかったのだが、「落雷」という言葉に以前経験した、とあることを思い出していた。
■避雷針■
今年の7月のことだが、東京都の荒川河川敷で雨宿りをする釣り人に落雷があって死亡事故が起こった。もっともこれは逃げ込んだ木に一旦落ちた雷の電撃が近くの人間まで飛んできたことが事故の原因だったが、このようなパターン以外にも釣り人が電撃による事故に遭う可能性はあって、注意を怠ってはならないのだ。
知っている人も多いとは思うが、我々釣り人が持つカーボン素材で作られる竿はかなりの高効率で電気を通す素材だ。そのため、説明書での注意喚起と共に、竿の本体にも「感電注意」のシールが貼られている。
「感電」で起こる事故は主にアユ釣りで起こっており、過去に犠牲者も出ていることが知られている。これはアユ釣りで使用する竿の全長が9~10mという長さのために、竿を伸ばしたままで移動している途中で河川を渡る高圧電線に触れてしまうことが主な原因だ。オマケに足下が水中であったり、濡れていることが多いため、体内を抜けた電撃が水中にアースされてしまうことで、非情に効率良く伝導されて、被害が大きくなるのだそうだ。
また、事程左様に電気を通し易い素材で作られ、かつ長尺な竿を、何も遮るモノがない船上や磯の上を始めとする、釣りのフィールドで握っていることは、長大な避雷針を握って広場の真ん中に立っていることと同じ意味になるから、雷雲の接近には神経を特に使わなくてはならないのだ。
■実体験■
釣りを始めとする外遊びを長く続けていると、当然雷雨に遭遇することが何度もあって、これまではそれなりにやり過ごしてきた。しかし、今から12年程前の、長崎県五島列島の中五島地区で冬まっただ中に体験したことは、今考えても震え上がる程のことだった。
五島列島では、シケ以外であれば24時間体制で磯上がりができる地区が多く、夜釣りは勿論のこと、例えば日没前後の数時間に訪れるゴールデンタイムをしばらく釣ってから磯上がりし、宿でゆっくり休むことも渡船店との打ち合わせ次第で可能になる。
この日も、日没を2時間ほど過ぎた午後8時に迎えの船が来るので、辺りが暗くなる頃に磯際を回遊するという尾長グレを狙って、夕マヅメ以降も兄と二人で竿を振っていた。
ウキが見え辛くなったので、「電気ウキに交換しようか?」と思っていた頃、遠くの上五島方面で稲光が見えたような気がした。しかし、それに伴う雷鳴等はまだ聞こえず「もし雷雲が来ていても、まだ遠いから大丈夫」と判断し、そのまま釣り続けていた。
やがて天候が変わり、それまで曇りがちだった空から雨が降りだし、それに雹(ひょう)が混じるようになった。異変が起こったのはそのすぐ後だった。
竿を持つ左手に、心なしかピリピリとした感触が伝わり始めたのだ。最初は気のせいだと思っていたが、やがてピリピリさは明確になり始めた。それと同時に段々と恐怖感が沸き出し、「もしや?」と思って隣の釣り座にいる兄に確認すると、現象は同じだと言うのだ。
このピリピリ感が空中を浮遊する電気を拾っている結果だと確信した時には、自然と伸ばしていた竿をたたみ始めていた。兄も同様にたたんだ竿をその場に置き、二人で釣り座から離れた場所をライトで照らして待避場所を探し始めた。そして、適当な窪みを確認した後は一目散にそこに逃げ込んだ。
それから先は周囲が稲光と雷鳴に包まれる中、大粒の雹に打たれながら二人でじっと我慢していた。雹が雪に変わる頃になってようやく天候が落ち着き始めたが、それまでの間は生きた心地はしなかった。
その後は釣りどころではなく、雷雲が去ることを充分に確認をしたうえで、急いで道具を片付け、再び窪みの中で渡船が来るのを待ち続けたことは言うまでもない。
■諦めが肝心■
幸いにも、ぼくら兄弟の近くには落雷はなかったのだが、釣り界では有名な話があって、今は無き週刊釣りサンデーの会長さんであった、故小西和人氏の体験が有名だ。
その昔、クエ等の底物狙いでサイパン島の磯で小西さん達一行が夜釣りをしていた際に、ボクらと同じように雷雲に遭遇した。そしてそれを避けてやり過ごそうとしていたところ、避難場所の反対に出していた竿に落雷があったことを、当時の記事と写真で紹介していた。その写真をこの目で見たが、落雷があった竿は原形をとどめず、見事にバラバラになり、繊維だけの黒い塊になっていた。しかし、奇跡的に被害者が出ていなかったことは幸いだったようだ。
これらの話で判るように、釣りと電撃は近いモノなので、落雷の可能性が高い際にはさっさと釣行を中止にするべきだし、もし現場で雷雲が近付く気配を感じたら、早めにたたんで、竿から離れることが大切だ。また、アユ釣りばかりではなく、他の釣りでも特に移動時は足下に目が行きがちで、上部にある高圧電線に気付かずに触れてしまう可能性があるので、どんな釣りに於いても、十分な注意を心掛けておいて欲しいところだ。
とは言うものの、釣行予定だった当日の天候は大した崩れではなく、「やろうと思えばできていた」のだが…。しかし、こんなことを言っていると、しまいには雷に打たれてしまうワケであり、「諦めが肝心」と言い聞かせつつ、悶々とした日々を送る今日この頃なのである。
■お助け魚■
磯釣りスペシャルの連載をしていた頃は、普段は上物釣りでグレを狙うことがほとんどだったが、グレ釣りにもオフがあって、産卵とその直後の2月下旬~4月下旬はその時期にあたるため、釣果は殆ど望めない。しかし、記事は年間を通じて書かねばならず、この時期限定でメインに据えて狙う重宝な魚にチヌ(黒鯛)があった。
もっとも、チヌ専門に狙う人は年中追いかけているのだが、それ以外の磯釣り師が春限定で狙うのは、磯の周囲にグレが居なくなるタイミングに合わせたかのように接岸し、産卵前の荒食いする魚=”乗っ込み魚”を狙えるからだ。
早春は水温が年間で一番低いために、エサ取りは殆どおらず、アタリがあればチヌであることが多い。寒い春先に朝からな~んにも起こらないまま、「今日はボーズで取材ボツか?」と思った頃に出るアタリは涙が出るほど嬉しかったことを記憶している。しかも、乗っ込み初期は大型が出る確率が高いので、ゲットした写真は見応えのあるモノになることが多く、この魚には何度も助けられた。
■チヌの釣り味■
チヌは、グレと並んで磯の上物釣りで狙う代表的な対象魚だが、こと大型魚同士を対比すると随分と難易度は違う。
実例を挙げるとボク自身の最大寸は56cmで、同寸を2回、一枚は愛媛県の宇和島1.5号ハリスを使い、もう一枚は長崎県の五島灘に浮かぶ江ノ島で1.7号を使って釣っているが、どちらも全く危なげない展開でゲットしている。もし同寸のグレを同じ仕掛けで掛けた場合は、”危なげ”だらけだったと思うが、それほどに両者の引く力には差が有るのだ。
単に「力勝負の差」だけではなく、習性にも違いがある。グレが近くの沈み根と呼ばれる海底の岩塊等を目指して一目散に走るのに対して、チヌのそれは、障害物を避けつつ縫って走るような印象がある。そのため、チヌの場合はハリスが細くてもリールを逆転させるか、ドラグを滑らせて道糸を出してもハリスが飛んでしまうことは少ない。(もちろん、テトラの穴に居着くタイプを食わせるなど、特殊な場合を除く)しかし、グレを掛けて同じことをすると、ハリスが岩塊等に擦れて飛んでしまうことが多くなるため、簡単には糸が出せないのだ。
乗っ込み期は腹に子や白子を抱えているため、引きが弱いとも言われる。しかし、江ノ島で釣ったのは6月で、産卵には関係ない個体だったが、そんなに強い引きではなかった。また、7月に長崎県の対馬で、兄が62cmという、トロフィーサイズをボクの横で釣ったが、本人は「重い、重い」と言うだけで、割とすんなりと取り込んでいた。したがって、取り込みの難易度ということに関しては、どうしても評価を高くできない。
食わせることに関しても、ほぼオキアミ一辺倒のグレに比べて、サシエサの工夫でエサ取りを避けられる分だけ展開が楽である。紀州釣りや、かかり釣りのように、ぬかベースのダンゴにサシエサを包んで狙える他、コーンやスイカなど、他の魚がなかなか食わないエサを口にすることも知られているし、他の魚が噛み潰せない殻付の貝類をサシエサに使って攻めることができる。
また、磯で狙っている際に潮が悪くなると、グレは真っ先に釣れなくなるが、チヌは口を使ってくれるので、悪潮にも強いとされている。
普段からグレを狙っていると、どうしてもチヌの方がアプローチが楽で、大型も釣り易いように感じてしまう。よって釣り味は5.5としたい。
■チヌの食い味■
殺生をする以上、なんとか食して往生させるため、今まで何度もチヌを食してきたが、どう料理をしてもマズくはないが、ハッキリ言って「ウマい」と感じたことがない。
刺身で食すると、身の締まりが少なくて柔らかなために食感が悪く、脂の甘みも少なめでイマイチの印象なのだ。そのため、焼き物にすることが多いが、それでも塩焼きの他、タレを使ったつけ焼きなどが、そこそこな味わいに感じる程度だ。また、悪食で知られるチヌだけに、生息域ごとに常食しているエサも違うし、水質も違うため、中には臭う個体もある。したがって、食い味は4.5となってしまうのは仕方がないことだ。
もっとも、TVの旅番組での料理紹介で「黒鯛の刺身」をウマそうに食うシーンを見かけるし、旅館の定番メニューで出しているところもあるようなので、ボクが釣った場所や料理法が悪いだけなのかも知れないが…。
■総合評価■
しかし、上述した評価は他のウマい魚や、グレの大型の釣り味との比較で差がついただけであって、この魚の最大の魅力は他にある。
50cm以上の大型をゲットするには、釣れる地域と磯が限られるグレに対して、チヌは大阪湾、伊勢湾(名古屋港)、それに東京湾といった大都市の防波堤周りでも55cmクラスまでなら生息数が多く、出会える機会は多い。そのため、近場であっても、釣り人の努力と工夫次第で大型のゲット数が伸びる点は評価に値する。
また、「かかり釣り」「落とし込み釣り」「フカセ釣り」「紀州釣り」等、釣種も多いことから、好きなスタイルで攻めることができるのもチヌ釣りの魅力になっている。
そんなチヌを相手に近場で腕を磨いて磯釣りデビューするも良し、そのまま好みの釣りスタイルで狙い続けて極めるも良しであり、いろんな意味で「親しみやすく奥が深い」という、貴重な魚なのだ。
そして、そういった意味を評価するとポイントは上昇し、総合評価は6となる。
磯釣りスペシャルの連載をしていた頃は、普段は上物釣りでグレを狙うことがほとんどだったが、グレ釣りにもオフがあって、産卵とその直後の2月下旬~4月下旬はその時期にあたるため、釣果は殆ど望めない。しかし、記事は年間を通じて書かねばならず、この時期限定でメインに据えて狙う重宝な魚にチヌ(黒鯛)があった。
もっとも、チヌ専門に狙う人は年中追いかけているのだが、それ以外の磯釣り師が春限定で狙うのは、磯の周囲にグレが居なくなるタイミングに合わせたかのように接岸し、産卵前の荒食いする魚=”乗っ込み魚”を狙えるからだ。
早春は水温が年間で一番低いために、エサ取りは殆どおらず、アタリがあればチヌであることが多い。寒い春先に朝からな~んにも起こらないまま、「今日はボーズで取材ボツか?」と思った頃に出るアタリは涙が出るほど嬉しかったことを記憶している。しかも、乗っ込み初期は大型が出る確率が高いので、ゲットした写真は見応えのあるモノになることが多く、この魚には何度も助けられた。
■チヌの釣り味■
チヌは、グレと並んで磯の上物釣りで狙う代表的な対象魚だが、こと大型魚同士を対比すると随分と難易度は違う。
実例を挙げるとボク自身の最大寸は56cmで、同寸を2回、一枚は愛媛県の宇和島1.5号ハリスを使い、もう一枚は長崎県の五島灘に浮かぶ江ノ島で1.7号を使って釣っているが、どちらも全く危なげない展開でゲットしている。もし同寸のグレを同じ仕掛けで掛けた場合は、”危なげ”だらけだったと思うが、それほどに両者の引く力には差が有るのだ。
単に「力勝負の差」だけではなく、習性にも違いがある。グレが近くの沈み根と呼ばれる海底の岩塊等を目指して一目散に走るのに対して、チヌのそれは、障害物を避けつつ縫って走るような印象がある。そのため、チヌの場合はハリスが細くてもリールを逆転させるか、ドラグを滑らせて道糸を出してもハリスが飛んでしまうことは少ない。(もちろん、テトラの穴に居着くタイプを食わせるなど、特殊な場合を除く)しかし、グレを掛けて同じことをすると、ハリスが岩塊等に擦れて飛んでしまうことが多くなるため、簡単には糸が出せないのだ。
乗っ込み期は腹に子や白子を抱えているため、引きが弱いとも言われる。しかし、江ノ島で釣ったのは6月で、産卵には関係ない個体だったが、そんなに強い引きではなかった。また、7月に長崎県の対馬で、兄が62cmという、トロフィーサイズをボクの横で釣ったが、本人は「重い、重い」と言うだけで、割とすんなりと取り込んでいた。したがって、取り込みの難易度ということに関しては、どうしても評価を高くできない。
食わせることに関しても、ほぼオキアミ一辺倒のグレに比べて、サシエサの工夫でエサ取りを避けられる分だけ展開が楽である。紀州釣りや、かかり釣りのように、ぬかベースのダンゴにサシエサを包んで狙える他、コーンやスイカなど、他の魚がなかなか食わないエサを口にすることも知られているし、他の魚が噛み潰せない殻付の貝類をサシエサに使って攻めることができる。
また、磯で狙っている際に潮が悪くなると、グレは真っ先に釣れなくなるが、チヌは口を使ってくれるので、悪潮にも強いとされている。
普段からグレを狙っていると、どうしてもチヌの方がアプローチが楽で、大型も釣り易いように感じてしまう。よって釣り味は5.5としたい。
●自己記録その1●
■チヌの食い味■
殺生をする以上、なんとか食して往生させるため、今まで何度もチヌを食してきたが、どう料理をしてもマズくはないが、ハッキリ言って「ウマい」と感じたことがない。
刺身で食すると、身の締まりが少なくて柔らかなために食感が悪く、脂の甘みも少なめでイマイチの印象なのだ。そのため、焼き物にすることが多いが、それでも塩焼きの他、タレを使ったつけ焼きなどが、そこそこな味わいに感じる程度だ。また、悪食で知られるチヌだけに、生息域ごとに常食しているエサも違うし、水質も違うため、中には臭う個体もある。したがって、食い味は4.5となってしまうのは仕方がないことだ。
もっとも、TVの旅番組での料理紹介で「黒鯛の刺身」をウマそうに食うシーンを見かけるし、旅館の定番メニューで出しているところもあるようなので、ボクが釣った場所や料理法が悪いだけなのかも知れないが…。
●自己記録その2●
■総合評価■
しかし、上述した評価は他のウマい魚や、グレの大型の釣り味との比較で差がついただけであって、この魚の最大の魅力は他にある。
50cm以上の大型をゲットするには、釣れる地域と磯が限られるグレに対して、チヌは大阪湾、伊勢湾(名古屋港)、それに東京湾といった大都市の防波堤周りでも55cmクラスまでなら生息数が多く、出会える機会は多い。そのため、近場であっても、釣り人の努力と工夫次第で大型のゲット数が伸びる点は評価に値する。
また、「かかり釣り」「落とし込み釣り」「フカセ釣り」「紀州釣り」等、釣種も多いことから、好きなスタイルで攻めることができるのもチヌ釣りの魅力になっている。
そんなチヌを相手に近場で腕を磨いて磯釣りデビューするも良し、そのまま好みの釣りスタイルで狙い続けて極めるも良しであり、いろんな意味で「親しみやすく奥が深い」という、貴重な魚なのだ。
そして、そういった意味を評価するとポイントは上昇し、総合評価は6となる。